平成15年11月18日(火) 11:00〜12:30
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
大臣官房 玉井総括審議官
高等教育局 加茂川私学部長、栗山私学助成課長
初等中教育局 義本幼児教育課長
雇用均等・児童家庭局 伍藤局長、北井大臣官房審議官、中村総務課長、唐澤保育課長
宮内主査、鈴木副主査、河野委員、佐々木委員、村山委員、森委員、八代委員、米澤委員、稲葉専門委員、河北専門委員、福井専門委員
檜木参事官
内閣府 河野審議官、福井審議官、浅野間審議官
総合規制改革会議事務室 宮川室長 他
○宮内主査 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから第16回「アクションプラン実行ワーキンググループ」を開始いたします。
皆さんも御承知のとおり、12の重点検討事項につきましては、6月の基本方針2003において、アクションプランでの取り組みを改革の一里塚として、引き続き規制改革に取り組み、その成果を本年末にまとめる総合規制改革会議の答申に盛り込むという閣議決定がなされております。
また、これを受けての当会議の7月の答申でも述べておりますように、当会議としましては、答申の中にございます総合規制改革会議としての今後の課題の内容について、本年末に可能な限り成果を得るために最大限の努力を尽くしていくことが重要であると考えております。
○宮内主査 本日は、12の重点検討事項のうち、株式会社NPO等による学校経営の解禁につきまして、ただいまから約一時間にわたりまして、文部科学省との意見交換を行いたいと思います。
本日は、大変お忙しい中、玉井総括審議官を始め、御担当の皆様においでいただいております。ありがとうございます。何分よろしくお願い申し上げます。
本日は、当会議の7月の答申以降、特区において進捗のございました2点を取り上げたいと考えております。
1つは、学校に関する公設民営方式であり、お手元の資料の1ページの(1)にございますように、当会議といたしましては、義務教育を含めた学校一般について、少なくとも構造改革特区において、公設民営方式の導入を図るべきと考えております。
もう一つは、同じく1ページの(2)でございますが、ここにございます株式会社等と学校法人との間の同等条件の確保、すなわち株式会社等に対する私学助成や、優遇税制の適用などでございます。
この10月には、特区において学校設置会社による学校設置事業が認められ、学校法人との関係において、競争条件を同一化することは大変重要であると考えております。
したがいまして、少なくとも特区においては、株式会社等に対する私学助成、優遇税制の適用を容認すべきであると考えるわけでございます。
さて、こうした点も参考にしていただきながら、意見交換の前に、まず、文部科学省からお考えにつきまして御説明をちょうだいしたいと、このように思いますが、1時間ということでございますので、できましたら10分程度にまとめていただければと思います。
よろしくお願い申し上げます。
○玉井総括審議官 文部科学省の総括審議官の玉井でございます。お時間をいただきまして、ありがとうございます。
お手元の方に、先ほど宮内議長から御指摘のございましたことについて、特に公設民営関係、ページを1枚めくっていただきますと、「中央教育審議会における審議の進捗状況について」というペーパーを御用意いたしましたので、これに沿って公設民営の審議の状況について御説明をさせていただきたいと思います。
八代委員には中央教育審議会の議論においでいただきまして、本当にありがとうございました。改めて感謝を申し上げます。
まず、この公設民営の審議は、この中央教育審議会(中教審)におきまして、初等中等教育、特に義務教育などの学校教育に関わる諸制度の在り方というのをトータルで大きく議論をしているわけでございます。
そういう中で、学校の管理、運営の在り方ということで、その中の1つとして、公設民営問題を議論しているわけでございます。
今、ごらんいただいています第1回から始まりまして、現在、第11回を数えておりますが、これはすべて公設民営を議論しているわけではなくて、コミュニティースクールなどもこの中に入っておりますが、その中の大きな議論の1つ柱が、これが公設民営でございます。
今の議論のおおよその状況を若干かいつまんで申し上げたいと存じます。
これは、現在、有識者あるいは関係団体のヒアリングを行いながら、制度導入の目的とか、意義だとか、あるいは学校で働く教員の身分だとか、服務というのはどうしたらいいのか、あるいは設置者と受託者の責任分担の在り方をどう考えたらいいのか。
更には、やはりこの議論をしていますと、このような制度を導入するとなると、いわゆるモニタリングだとか、評価というのが大変重要になってくるであろうと。したがって、その辺りをどのように考えるかといったような議論がなされているわけでございます。
若干申し上げますと、この議論、例えば八代委員に来ていただきましたけれども、八代委員からは、この公設民営議論というのは、多くの事業者が教育サービスの市場に参入することで消費者の選択肢が増えると、また質の向上に役立つのではないかという形で積極的な導入についての意見を述べられたわけでございます。
その後、第5回は藤田先生に来ていただきまして、御議論をいただきまして、藤田委員は消極の立場で御議論がなされました。そこでの議論というのは、競争原理によって学校選択制を入れるとなると、そこは学校の序列化が発生する懸念があるのではないか、あるいは学校選択制によって参加者の選択が起こると、優秀な生徒を確保できなかった学校の評価が落ちてくるのではないか、すべての学校の評価が高まる可能性というのは低いのではないかというような議論がなされました。
それから、アメリカのチャータースクール、実は、この中央教育審議会でもチャータースクールをしっかり調べようということで委員がアメリカに行かれまして、その調査もなさったわけでございますけれども、藤田先生からはチャータースクールでは、特定の志向を持った者など参加者が限定的になって、閉鎖的になってしまう危険性があるのではないか、米国でそういうことが起こっているのではないかというような議論もされたわけでございます。 また、港区の教育委員会から第7回にヒアリングをいたしましたけれども、ここでは特区で公設民営学校が提案されていますので、そこの趣旨などをお聞きしてきたわけでございます。
かなり活発な議論が、公設民営を巡って議論をされてございますが、総じて申し上げますと、それぞれ、やはりこの議論になってまいりますと、1つは責任の所在ということで、ここでも何度か議論になりましたけれども、やはり入学許可を始めとする処分性の問題と、それから責任関係をどういうふうに考えていったらいいだろうかとか、あるいは教育活動が、例えばアメリカのチャータースクールの場合、途中で中止されるというケースが結構生じているわけですけれども、そこの責任関係はどういうふうに考えていくべきであろうかとか、あるいは公立学校の場合、公務員を前提で成り立っていますけれども、そこの中立性等々の関係をどういうふうに考えていったらいいだろうかと、こういった議論もなされているわけでございまして、更には教育、これは幼稚園から高校まであるわけでございますけれども、初等中等教育、その場合に義務教育と、それから義務教育以外のところは果たして同じなのだろうかという議論になっておりまして、特に義務教育につきましては、今、申し上げました責任の所在の面だとか、あるいは途中で中断してはならないといった面をどういうふうに考えるかというのは、かなり慎重な議論がなされておりますし、また義務教育の場合には、これは国庫負担制度等、要は義務教育を担保するさまざまな仕組みがあるものでございますから、それらとの関係をどう考えていくかといった、かなり慎重な議論がなされているわけでございます。
そこで、今の議論は第11回まで来ておりますけれども、できうれば、本年中に中間的なとりまとめができないのかと、つまり、今、全体について私どもは幼稚園から高校まで含めて、この包括的な管理・運営の在り方、どのように考えるべきか議論をしているわけでございますけれども、中間的なまとめをできれば今年中にしたいということで議論を急いでいるわけでございます。
包括的な管理・運営委託について、おおよその状況を申し上げますと、議論はそういうところに来ているわけでございます。
もう一点、私学助成の関係でございますが、これはこの会で相当な議論をさせていただいているところでございまして、私どもとしては、言わば私学助成につきまして、これはやはり憲法の公の支配との関係があって適切ではないということを縷々申し上げてきておりまして、その考え方は基本的には同じでございます。
それから、常にこの議論のときにイコール・フッティングという立場から御議論をなさるわけでございますけれども、私どもとしては、これはもともと規制緩和の観点から、私どもは学校法人になることがまず必要ではないかというふうに考えておりまして、ただ学校法人というものが、非常に参入しにくい仕組みになっていて、今の時点で見れば、過去は必要性があったからかもしれないけれども、今の時点で見直してみると、なかなか参入しにくいところがあるのではないかと、こういう御議論があるものですから、私どもとしては、例えば株式会社、NPO法人につきましても、自己所有要件の緩和の特例を適用できるようにするといった形で、学校法人になりやすい条件は整えていっているわけでございまして、そこは今後とも必要であろうと考えております。
ただ、現行制度においても、設置者の如何、あるいは役割の違いによってやはり財政的な援助というものの違いがございます。
税については、これは私どもが直接の立場ではないので、責任を持ってお答えし難いわけでございますけれども、税についてもやはりそれぞれの法人の在り方によって、やはり体系が異なっているわけでございまして、したがって、それをもって直ちにイコール・フッティングだから同等にするとはなかなか言い難いのではなかろうかというのが、私どもの基本的な考え方でございますので、また御理解を賜わればと思っております。
短い時間ということで、できるだけかいつまんだお話にさせていただきました。
以上でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
○宮内主査 ありがとうございました。それでは、ただいまから意見交換を始めさせていただきたいと思います。
私ども当会議の方では、この問題につきましては、特区官製市場の八代委員が担当になりますので、まず、八代委員から議論の口火を切っていただければと思います。
よろしくお願いします。
○八代委員 御説明ありがとうございました。この点については随分長い間議論しているわけでございますが、まず、株式会社、NPOによる学校経営の解禁というところでは、随分御努力していただいたわけでして、株式会社が学校を経営するということは、特区においてはかなり進展していると思われます。
ただ、依然として公設民営、つまり、私立学校がなかなか入れないような地域において、既存の公立学校の施設を活用して、それを民間の経営者に経営してもらうということが、義務教育の段階ではまだ十分進んでいないかと思いますが、そのときに今も御説明いただいたように、受託者の責任であるとか、そういうところが十分にクリアーされていないということですが、それをきちんとクリアーするような法的措置を取られればいいという意味なのか、その辺がまだ明確ではないのではないかと思います。
経営主体がどうだからという参入規制ではなくて、きちんと学校教育というのはこうあるべきだという行為規制をしておられるわけですから、その規制を満たせば、後は別に公設民営であっても経営主体がだれであってもいいのではないか、というのが当方の基本的な論点ですが、その点についてはどこまで審議会で検討されているかどうかというのが第1点であります。
私学助成の点については、こちらの方で用意しました資料で、先般の国会におきまして、民主党の松井議員との答弁があったわけでございますが、ポイントというのは、こちらのページで言えば、4ページ辺りであります。
今、文部科学省の方から言われた点は、私学助成金を出すときの要件として、公の支配にお金をもらう主体が公の支配を受けていなければいけない。そのときの基準としては、第1が学校教育法、第2が私立学校法、第3が私立学校振興助成法がある。今、3つの法律によって一般の学校法人は公の支配を受けているという解釈だそうです。このうち、特区において株式会社が学校を認められた場合には、当然第1の学校教育法の支配は受けているわけであって、そういう意味で認可していただいたわけですね。
それから、3番目の私立学校振興助成法というのは、逆に言えば、助成金を受ければ、当然助成金を受ける在り方という形でその法律に縛られるわけですから問題はない。
したがって、問題は第2の私立学校法になります。学校法人でなければ公の支配を受けていないと解釈できるのかというのが最大の争点になっているわけです。単にこれまでは過去そうであったということは、よく承知しておりますが、そもそもなぜ学校法人の形態でなければ文科省が責任を持って私学助成を受け入れる学校として監督できないというふうに自信のないことをおっしゃっているのか、それがなぜ学校教育法ではだめなのかという点が我々の最大の疑問なわけですね。
勿論、学校法人であってもいいし、NPOであってもいいし、経営主体によってそういう公の支配を受けるか受けないかというのをなぜこだわられるのか。きちんと学校教育に基づくよい教育を与えるという基準を示していただいて、現に示されているわけですが、それに従うだけで、なぜ私学助成金を受けられないのか。これは特に学生の立場からですね、文科省が認められた学校でありながら、経営主体が違うという理由だけで学校助成金を受けられない、それによって授業料が高くなるということは、まさに学生の立場から見たら法の下の平等に反することになる。そういう意味で、なぜ学校法人にそこまでこだわられるのかということを、是非この公開討論でもう一度明らかにしていただきたいと、これが2点目でございます。
○玉井総括審議官 まず、前段の公設民営についての御指摘に私の方から答えさせていただきたいと思っております。
私どもは、そもそも2003年の骨太方針に基づいて、学校について、直ちに公設民営について議論を開始するという指摘に沿って、今、中教審で議論をしているわけでございます。
その後、特区において提案等がございましたので、特区において高校及び幼稚園をどうするかについて、今年中に結論をいただいた上で、必要な措置を講ずると、こういう考え方に沿って議論を急いでいるわけでございます。
全体について、議論を急いでおりますけれども、特に、幼稚園、高校についてはそういう御指摘も踏まえて検討せねばならないということでやっております。
ところで、頭から義務教育をどうのこうのといったことではなくて、八代委員御指摘のように、そもそもどういったところにどういうニーズがあるのか、必要性があるのか、こういうのを考慮しながら議論をしているわけでございます。
その中で、先ほど来、幼稚園から高校まで含めまして、責任の所在の問題だとか、教育の質なり、教育を受ける権利とのバランスだとか、こういった議論は当然せねばならないものでございますから御議論をしているわけでございまして、そういう中で幼稚園も高校もそれぞれ同様の問題があるわけでございますけれども、義務教育については、特にそこがかなりの議論になっているということで、先ほど議論の状況を御説明したわけでございます。
更に、先ほど申し上げました義務教育につきましては、国庫負担制度とか、もろもろの義務教育にまつわる制度がございますので、その制度とのバランスなり整合性ということも、また考えねばならない、それらを含めて、今、議論をしている最中でございます。
そこで、先ほど、ちょっとチャータースクールの例なんかも含めて申し上げておりますけれども、現にアメリカ辺りでも起きた例で、学校事故なんかが起こったときに、その責任をだれが本当に負っているのだろうか、あるいは学校が閉鎖になっている例があるものですから、そういったものをどのように考えたらいいのだろうかとか、これは議論してはあるわけでございます。それについて、例えばモニタリングだとか、あるいは評価をきちんとやることが重要であり、それによってかなり担保できるのだという議論もあるし、また別途それなりの措置を講ずる必要があるのではなかろうかとか、あるいは処分性について、これは教育委員会と学校の関係になってまいりますけれども、その処分というものをどこまでのものと考えるのかというところは、当然メリット、デメリットを比較しながらの議論というものが必要になってまいります。
一方、余り処分性ということを強く打ち出しますと、包括的な委託をすることの意味というものもまた関わってくるものですから、どの辺りが本当にバランスのとれた公設民営の意義を生かした形になるのかといった議論を、今、積み重ねている状況であるというふうに御理解いただければというふうに思います。
○八代委員 そこで、ちょっと追加なのですが、途中で学校をやめてしまうとか言われましたが、別に今の学校法人だって倒産するケースだって当然あるわけですから、むしろそれは公設民営の問題というより、学校全体のセーフティーネットの問題としてなぜ議論されないのかということなのですね。例えば学校の財務の情報公開とかを強化することも当たり前のことであります。まさにそうした学校全体の問題を、公設民営とか株式会社の問題だけに、逆に言えばすり替えて議論をされているのではないか、今の学校教育というのは多くの問題を持っているわけで、それをすべて株式会社とか、公設民営を認めるかどうかの議論で検討し出したら切りがないわけですね。
ですから、なぜ学校法人と、それ以外の法人という経営主体の違いだけに基づく問題点に集中されないのかというのも、ちょっと補足をお願いします。
○玉井総括審議官 確かに評価・情報公開というのが大きな時代の要請であるということは十分認識をしているわけでありまして、したがって、大学につきましては既に第三者評価制度まで入ってきているわけでございますし、八代委員は、この間の中教審での議論でも、改革はそれなりに良い方向に向かってきているけれども、スピードだと、もっと改革のスピードを上げるべきではないかと、たしかそういう御指摘をなさったと思います。
大学につきましては、評価が徐々に入ってきて約十年ぐらいかかったわけでございますけれども、スピードの御指摘があるにせよ、もともと評価というのが日本の社会で難しい問題が結構ございました。そういう中で評価というのが進んできたと、かように思っております。
それから、初等中等教育でも、やはり評価は重要だという認識の下に、既に昨年に設置基準を改正して、幼稚園から高校まで、自己点検、自己評価という形での評価制度を出発させたわけでございます。
そういう意味で、評価だとか、あるいは情報公開というのは進むだろうと思いますし、また進めるべきであろうと、かように思っています。それは全体の状況でございます。
しかし、その全体の状況の中でも、こういった公設民営という形になりますと、つまり、これは別に学校法人という議論をしているつもりはございません。つまり、公が自ら設置して、自ら運営するというのが基本的な公立学校の形でございますけれども、そこは永続性だとか、安定性という問題があるわけでございまして、それを全面的に委託した場合に、果たして安定性、継続性というのはいかがだろうかというのは、当然の議論としてあるわけでございまして、そのときになかなか私どもとしても例が少ないわけでございますから、したがって、アメリカのチャーター制、議論というのは常にここと交わってあるものでございますから、チャータースクールの例なんかも参考にしながら議論をしていると。そうするとチャータースクールの例として途中で閉鎖された例があったり、そういう問題が起きているということは一つの意義もありますけれども、課題でも取り上げられているものですから当然議論になると、こういう意味で受け取っていただければと思います。
○宮内主査 どうぞ。
○加茂川私学部長 2点目の私学助成ついて、この場でも度々お話しさせていただいたことの繰り返しになるかもしれませんが、述べさせていただきますと、憲法89条の公の支配に属していると見られる教育事業について、その設置主体がなぜ学校法人でなければならないのかという八代委員の御指摘でありましたが、私どもは学校法人でなければならないと断言できる立場にはないわけでございまして、そこはこの場でもお話をしましたように、制度論、法律論としては、いろいろあり得るでありましょうと、そういう立場であります。
ただ、これまで私立学校に対する憲法89条の疑義の国会の議論、またはいろいろな各省の方々の議論を聞いておりますときに、今の私立学校についても意見が一部にありますように解釈がいろいろ分かれておるわけです。
その中で、私学についても、八代委員がおっしゃいましたように、学校教育法、私立学校法、私立学校振興助成法、3法の規制が総合的に及んで、ようやく憲法上の要件がクリアーできているという解釈を私どもはしておりますし、そういう意見が多いものですから同じぐらいの規制が及ばないと公の支配の要件はクリアーできないのではないでしょうかということを申し上げているにすぎないのであります。
株式会社について申し上げますと、学校法人とは違った規制の形になっておりますから、そのままでは憲法89条の疑義はやはり残るでありましょうと。
特に、これも皆さん御案内のとおりでありますけれども、従来、法制局、または法制局前身の法務調査意見長官の見解では、決定的な支配力が及ばなければ、例えば人事ですとか、財産、財政等について決定的な支配力、発言権が及ばなければ、憲法上の公の支配が及んでいるとは言えないというのが確立した解釈、見解だと思っておりますので、やはり3法の規制が総合的に及ばなければ難しいのだと思っておりますし、もし制度設計として、法律論として私立学校法に変わるような、例えば私立学校法には、学校法人に対する解散命令という強い権限がありますけれども、こういったものが別途保障されるような、ほかにもいろんな規制がありますから、制度設計としてはいろんなものが考えられると思いますが、そういったことが根幹的に保障されるような別途の制度があり得ましたならば、憲法上の疑義についても、また違った検討があり得るのだと思います。現状では、今、申し上げたとおりの解釈整理になるのだと思います。
もう一点、蛇足かもしれませんが、授業料が高くなるという前提で八代委員はおっしゃいましたけれども、株式会社が参入するときに授業料が高くなるというのは、あくまでも仮定ではないでしょうか。といいますのは…
○八代委員 いやいや、株式会社が参入したら授業料が高くなるとは言っていませんので、助成金がもらえなければ、当然、その分だけ授業料を上げざるを得ないわけですね。
○加茂川部長 いろんな株式会社参入の仕方があろうかと思いますが、つい最近、昨日の新聞に載られたリーダーの一人の方の御意見では、私学助成も受けず、公費を使わず、それから税金も納めて、しかも授業料も安く抑えて、雇用も多大に創出できる可能性があるということをアピールしておられましたけれども、異論があるかもしれません、私も一部異論がありますが、そういったことをアピールすることも可能でありますから、必ずしも授業料が上がるという前提で、株式会社参入を考える必要はないのではないかと思っております。
株式会社の参入は、まさに特性を生かして、今の公立学校、私立学校にないやり方で参入して、アトラクティブなサービスを提供することだと思っておりますから、それは株式会社が最大限頑張ればよろしいのではないでしょうか。
○八代委員 しかし、それはどこの私立学校でも株式会社でもできるだけ営業努力をして、安い授業料で質の高いサービスをするというのは当たり前のことであって、そのときになぜ教育の質の違いではなくて、経営形態の違いだけで、一方の学生には私学助成金を出し、他方の方には出さないという不公平な措置をされるのかということを聞いているわけですね。別に学校法人がもっと努力して授業料を下げるのはちっとも構わないし、株式会社がそうするのも構わない。
そういう一経営者の意見を、あたかも株式会社全体の意見かのように取り上げられて言われるのは、非常に曲解だと思いますけれども、株式会社だから授業料が高くなるなんてことは一切言っておりません。私学助成金を受けないから高くなるというのは、これは一般的な議論であって、別に学校法人だって同じことですね。
○加茂川部長 私も前提が仮定的に高くなるとすればという表現の文章があったものですから、それから一部の意見の方が、リーダーの一人として申しましたが、一部の意見として御紹介しました。全体に皆さん同じ意見を持っているとは思っておりませんで、一部にそういう意見があるということを参考までに御紹介したわけであります。
それから、子どもの立場、保護者の立場に立ったときに、授業料の差が、例えば学納金で差が出ること自体について言いますと、冒頭総括審議官からもお話ししましたように、今でも国立、公立、私立、設置者の違いで公費の投入の仕方が違っておりますから、私立学校は大学で言いますと、国立よりも1.6 倍の高い授業料設定になっておるわけでありまして、今でも設置者の違いによって、学生、保護者から見た教育条件といいますか、学納金のレベルについては、今でも格差があるのでありまして、これを本当にイコール・フッティングの観点から同等化できるというのは、なかなか難しい課題ではないでしょうか。設置者の違いによって、おのずと公費の投入の仕方には差はどうしても残らざるを得ないわけだと思っておるわけであります。
○宮内主査 どうぞ。
○鈴木副主査 今、解散命令ですか、そういうことをおっしゃったけれども、特区の認定をされた学校法人が反社会的な行動だとか、あるいは認定要件というものに反したときには、特区認定を取り消すという、そういうことはできないのですか。
○玉井総括審議官 勿論、特区の制度の中で認定取消ということは、制度上はあります。
○鈴木副主査 とすれば、それは解散命令と同じことではないですか。解散命令という言葉は使っていないけれども、解散命令と全く同じ、取り消して、もう学校はできないということなのだから、株式会社のほかの仕事をやらなければいけないということになりませんか。
したがって、公の支配というのは十分に満たされているのではないですか。憲法が議論しているのは公の支配という問題であって、それは学校法人だとか、国だとか、地方公共団体という公のものに限られる問題ではないはずであって、その一例としておっしゃったのが解散命令が云々というのだったら同じことではないではないですか。
○加茂川部長 私が申し上げました一番強い監督規制の例とした解散命令というのは、学校の設置主体としての学校法人という法的なステータスがありますが、それをねこそぎ失わせるのが解散命令でございます。学校を設置する基本的な資格を失わせるという権限でございます。
例えば、それを株式会社に導入するというのは、株式会社のままでは、私はなかなか株式会社にやめろという行政権が発動できるとおよそ思いませんから、それまでは難しいと思いますけれども…
○鈴木副主査 そんなことをする必要がどうしてあるのですか…
○加茂川部長 それに相当するような仕組みを法律論として考えられるのであれば、可能性はあるということを申し上げたにすぎないのであって、特区について言いますと、特区は特別な規制参入で、参入できるという特別なステータスを与えることであって、設置主体、存在そのものを否定するのとは観点が違うように思っております。
○鈴木副主査 しかし特区の認定を取り消せば、もう学校として株式会社が学校運営をすることはできなくなるわけですね。それで十分であって、何も解散命令という形式をとって、ねこそぎ取る必要がどこにあるのか、効果的としては全く同じではないかと、こういうことを言っているわけです。
○加茂川部長 制度論としては、その特区のスキームがそのままふさわしいかどうかは別にしまして、私立学校法にある学校法人解散命令権と同じように同等に厳しい、鈴木委員がおっしゃるように、それは特区のスキームなのか、別の法制度なのかわかりませんけれども、同じような規制を別途かけておくというので、公の支配の要請をクリアーしようとするのは、考え方としてはあり得ることだと思います。法制度論としてはあり得ることだと思います。
○鈴木副主査 それは、言葉のあやみたいなもので、たまたま今までの制度設計が解散命令という言葉を使ってきただけで、教育をやってはならないという命令でも全く同じことであって、教育をやらないけれども、学校法人として何もしていないだなんて、そういうものは考えられないだけの話にすぎないのではないですかと。要するに言葉の遊びをやっておるのではないかということです。
○八代委員 ちょっと質問ですが、例えば今、宗教法人が私立学校を経営している例が幾つもあるわけですね、現に。そのときに宗教法人設立の私立学校で問題が起きたときに、例えば今の学校法人法の規定で、その学校の経営をやめなさいということを文科省としては言えるわけですね。だけど、宗教団体に何も解散しろという権限まではそちらはないはずであります。株式会社でも同じであって、株式会社自体の経営の学校が問題を起こせば、その学校を閉鎖すればいいわけで、株式会社の解体まで命ずる必要はないわけで、それと同じことではないのですか、あくまでもそっちが所管をされているのは教育の分野であって、なぜ学校法人の解散というときに、根っこまで株式会社をつぶせということと同じというふうになるのかどうかというのが、よくわからないわけですけれども。
○加茂川部長 学校の閉鎖命令は、学校法人にしろ、設置主体が設けている学校に対して、これ以上、教育サービスの提供を続けてはならないという規制です。
それから、法人の解散命令は法人の学校設置主体としての適格性を失わせる処分と2つあると思います。
八代委員がおっしゃられた宗教の関係で言いますと、宗教法人が寄付行為をして立ち上げた学校法人、学校法人に対しては解散命令が及びます。ですから、宗教色があるという言い方は語弊があるかもしれませんが、宗教教育を取り込んでいる学校法人が、ある一定の法律違反等、要件に合致すれば、解散命令の対象になることはあることです。
それから、宗教法人のままで学校設置主体には原則なれないのですが、今、102 条という特別な形があって、従前から幼稚園等を経営している宗教法人が実際にあります、今もありますけれども、そこに対して、法人の解散命令をかけられるかというと、学校の幼稚園の閉鎖命令はかけられますけれども、宗教法人の廃止、とてもそういう権限はありません。その整理を是非していただきたいと思うのですけれども。
○宮内主査 整理はできているので、ちょっと今の議論は行き違っているような気がするのですけれども。
○鈴木副主査 だから、何を言っておるのかわからない。解散命令ができる云々といって、学校法人自体をつぶすということができると、さも公の支配が貫徹されたかのごとくおっしゃるけれども、特区認定を取り消せば、当然その学校は株式会社としては教育事業はできないわけですから、だから効果としては同じことで、言葉の遊戯しておられるだけではないかというのが私の言い分です。
要するに株式会社のある一部分で学校経営をしたとしたときに、その株式会社を全部つぶすなどというようなことを言える権限が文部省にあるわけがない。しかし、特区認定として、その学校教育をやることは特区として認定したけれども取消だと言えば、その部門は解散命令を受けたのと全く同じで、解散せざるを得ないでしょうと。だから、事実上解散命令を出したのと同じことでしょうということを言っているわけです。
したがって、公の支配に属するというふうに考えるのが常識でしょうと、こういうことを言っているだけのことですよ。
○加茂川部長 学校法人に対する3つの法律の規制が総合的に及んで、やっと憲法89条の要請している公の支配に属しているというのは、これは法制局の見解でもありますから、私の言葉の遊びだけではないのだということを申し上げたいのが1点でございます。
それから、別に法人の解散命令権だけが公の支配の要素と言っているのではなく、3法の規制が総合的にかかる中で、憲法上の要請がクリアーできるのだと思っていますが、たまたま法人の解散命令権を申し上げましたのは、振興助成法では、人事について言うと、役員の解職勧告でありますとか、財政について言いますと、予算の変更勧告権がありますが、あくまでも勧告権でありますから、これが決定的な支配力、実行を持つためには、法人の一番根幹部分である法人に対する解散命令権のような強い権限が背景にあって、初めてそういった勧告権が担保されると思いますが、総合的にというのは、そういう意味があるのだと思っております。
ただ、この法人解散権は、そこで学校を設置することができなくなるだけではなくて、設置主体としての適格性も失わせる強い権限ですから、株式会社が特区で参入したときに、特区が特区で認められなくても、そこでは株式会社は特区での事業をやめればいいわけでして、また別の特区申請もできるかもしれませんし、教育事業、一条学校ではない別の広い意味での教育産業でも活躍できるわけですから、学校法人に対して命を絶つような厳しい権限が及ぶケースと、株式会社が特区で参入して、特区が否定されたから、別のところで事業転換をするのでは、基本条件が全く違っているように、大きく違っているように思うのですが、私の考え方はおかしいでしょうか。
○鈴木副主査 では、そういうふうにやっておられますかということが、むしろ疑問になりますよ。
今、おっしゃっておるのは、解散命令権を背景として、いろいろな指導勧告というものに従わせるのだと、こういうふうにおっしゃっておられるようなのだけれども、それでは特区の法人に対する関与というのは、普通の学校法人に対する関与よりもはるかに甘いのかということをお聞きしたいのですよ。
例えば、教員の任命について、私のところにも言ってきたけれども、例えば予備校的なものの指導をするのに対して、これはやはりそういうような道のプロでないと、行き届いたような教育ができないという要望に対して、大学教授の経験のある、万年講義録みたいなものを読んで数十年を過ごした人という、そういう前歴がないとだめだということで断わっておるというような、そういう至せり尽くせりの指導を現実におやりになっているのではありませんか。それとも全く自由にやらせていると、ここで公言できるのですかと、そこを聞きたいのです。
○玉井総括審議官 設置認可のお話になったので、若干申し上げますけれども、学校と、その設置者と2つあるわけですけれども、その設置者のところについては特区において特例が認められているわけでございます。今、現に大学について2件申請が来ておりまして、それから高校以下、つまり中・高について1件、岡山の方で申請が出ているというふうに承知をしておりますけれども、ここでも既に御議論をいただきましたけれども、設置者のところの株式会社議論のときに常におっしゃったのは、学校としての設置基準、さらに高校以下でいいますと、指導要領も加わりますけれども、そういう行為規制があれば、水準担保になるのではないか。したがって、設置者のところについての規制は緩和してもいいのではないかという議論をずっとここでさせていただいたわけでございまして、したがって、学校については、大学で言えば、大学設置基準があるわけでございますから、それに照らして審査をするというのは、これは御理解を賜わりたいと、かように思っております。
勿論、大学設置基準自体について、これまでも例えば校舎だとか、校地面積の議論なんかもございましたので、それはそれでまた1つの議論になってこようかと思いますけれども、しかし、その行為規制も要らないのだという趣旨であるとすると、今までの御議論は一体何であったのだろうかというふうになってしまいますので、そこは設置基準としてはお認めいただいてきたのではないかと…
○鈴木副主査 そうではなくて、それでは行為規制は全く外しているとおっしゃるのですか、ほぼ同じようなものをかけておるのではありませんかということを言っているのです。
○玉井総括審議官 勿論、同じ大学でございますので、大学設置基準に照らして、今、審査をしているという…
○鈴木副主査 それであれば、何が違うということを言っているわけですよ。
○玉井総括審議官 今、議論申し上げているのは、設置者のところについての規制という問題が一方にあるわけでございます。つまり、公の支配との関係に。しだかって、設置者についての議論を今させていただいているということでございます。
○宮内主査 ちょっとかみ合わないのですが、それでは稲葉さんどうぞ。それから福井さんお願いいたします。
○稲葉専門委員 今までの議論でお伺いしたいことが何点かあるのです。1つは憲法問題で、文部省が、今、御主張されているような御主張をしなければならない社会的背景といいますか、だれにそういう解釈をしろと言われているのか。今の憲法、御承知のようにいろんな解釈ができるので、国民の間でどういう解釈をするのが、今、一番適切かということから我々は議論しなければいけないと思うのですけれども、一体だれがそういう解釈をしなければならないということを背後で主張されているのか。
多分、法制局さんは、文部省がそう言うからサポートされているのではないかと思いますけれども、そのほかに何かあるのか、文部省が自分で今まで言われてきたことにとらわれ過ぎているのではないかということを、ちょっと懸念してお聞きしているのですけれども、だれがそう言っているのかということを1点お聞きしたい。
それから、先ほどのお話をお伺いしていますと、新たに参入してくる株式会社は、その株式会社のマーケットとに即した形で経営すればいいので、既存の、いわゆる義務教育から始まるところの基幹的な教育部分は、学校法人にお任せくださいと、それは聖域なんだというふうに聞こえてしまうのですよ、お話をお伺いしていると。
ところが、そうではなくて、これから行う新しいことばかりではなくて、今までやっている部分をもう少し国民のニーズに合ったような形で展開したいから株式会社が参入できるような制度を仕組みたいということを御議論しているので、そこのところをどう考えるかということです。
だからこそイコール・フッティングでなければいけないと言っているわけなので、さっき引用されたように、どなたかが言っているような、そういう新しい分野の話ばかりではないのですね。
第3点として、学校法人制度につきまして、参入手続といいますか、設立手続といいますか、そういうものをもっと簡素化すると、やりやすくするというようなお話がありましたけれども、これは手続論も勿論あると思うのですけれども、それだけではなくて、そもそも学校法人の問題点、要するに寄付を一生懸命お集めになるのだけれども、出資者の立場として、寄付という形では非常に動機づけが弱いのです。つまり、株式会社の株主のような発言権といいますか、その後の経営の透明性といいますか、そういうものが確保されないと、手続論だけで考えられても困るのではないかと。
そして、義務教育を中心として、今の学校制度に不満を持っていて、地域で自分たちで新しい学校をつくりたいというような意欲がある人はいっぱいおりますね。そういう地域の意欲というものを満たして、大勢の人が出資して、自分たちで経営していくというパターンに持っていくために、学校法人だけでいいのかどうかということは大いに疑問があるので、その点はどう考えているのか、お答えいただきたいと思います。
○玉井総括審議官 今、義務教育といいますか、初等中等教育に対して、さまざまな議論があることは私どもも十分承知をしております。やはり時代が大きく変わる中で、教育に対する多様なニーズが生まれているわけでありますから、それにどのように応えていくのか、言わば公立学校の魅力といいますか、きちんとしていかなければならないという基本的な認識を持っておりますし、そのためには大きな時代の流れの中で、地方分権といいますか、地域が自らいろんなことを考えていく、行動していく、あるいは学校で言えば、学校自体が自主性、自立性を大いに持っていく、こういうのは基本的な方向だろうというふうに思っております。
ただ、問題は、特に義務教育につきましては、先ほどちょっと申し上げました中立性の問題をどう考えていくのかとか、あるいは教育水準の担保というものを全国的にある程度担保していかなければならない。それはどういう仕組みで考えていったらいいのだろうかといった、義務教育の基本的な要請される面と、地域なり学校でのいろんなことができるニーズに応えていく、そこのバランスを今後どのように考えていくのかといったところを、現に、中教審を中心に議論を行っているところであります。
したがって、特区における試みも、そういう一つの試みと我が方は受け止めておりまして、現に始まりつつございますので、そこに対する評価をきちんとしながら、今後どうしていくか十分考えさせていただきたいと思っております。
だから、公立学校自身がより魅力を持って、よりニーズにどう応えていくか。また、公立学校以外のタイプの学校をどのように考えていくのかということだろうと思います。
そして、公立学校以外は、伝統的に学校法人があるものですから、学校法人の要件、私は手続という意味で申し上げたわけではなくて、学校法人の要件、設立要件といいますか、そういったものについて、よくよくこの時代に応じて考えていかなければならない面があるだろうし、また公益法人なり、あるいは株式会社も含めて、やはり法人のガバナンスということが大変重要な時代に入ってきておりますので、したがって、学校法人のガバナンスということも見直していかなければならない、そういう認識で既に議論を開始しているところであります。
○加茂川部長 2、3補わせていただきますと、だれが公の支配についての解釈について主張しているのだと、文部科学省だけではないかという御質問であったかと思うのですが、この公の支配について言いますと、先ほども申し上げておりますように、私学助成が憲法上問題がないのかというのが、これまでも何度も、国会でも議論がありましたし、学者の間でも議論があったわけでありまして、それを総合してみますと、公の支配について、先ほどのような決定的支配、関係する法律を総合的に運用して、初めて達成できる要請、ハードルだということになっておるというのを整理して申し上げたのであって、だれが、またはだれだけが主張しているということではないのでございます。
○稲葉専門委員 その議論というのは、ずっと宗教教育に対する助成というような感じからの議論を引用されていると思うのですけれども、そういう話を宗教教育に対する助成、あるいは私学助成一般での話をそういうふうに解釈していたという話でしょう。こういう新たな話にもその解釈を適用しなければならないということをだれが主張しているのだということを申し上げているわけです。
○加茂川部長 これは、事務局で後でお助けいただければよろしいかと思いますけれども、累次の国会答弁で私学助成について、政教分離ではありません。私立学校に対する助成が憲法89条に問題がないのかというやりとりが何度もありまして、法制局の見解が、先ほど私が申し上げたところに収斂されているのだと整理をしておるわけでございます。
それから、学校法人を聖域化しているではないかという厳しい御指摘がありましたが、私ども決して聖域化しておるつもりはございません。
学校法人も実は官ではなくて、民の世界でありまして、今の官から民について言いますと、民の要素を強く持っている、民の代表でもある学校法人がもっとおっしゃられた国民のニーズにきちんと対応していく、課題解消していかなければいけないのだという課題を持っていると思っております。
ですから、その課題の解消の受け止め方は別としまして、学校法人は民であるということと、私どもは民である学校法人にハードルを下げてでも法人化してほしいという基本的な姿勢を持って、基本的な姿勢を持っていることは、ここで何度もお話をいたしました。 しかし、特区にあっては、学校法人だけが設置主体ではなくて、株式会社等が、NPO法人もそうですが、特性を生かして学校経営に参入していただくことによって、学校法人制度もいい影響を受ける、学校制度全体が活性化するのであれば、それは特区での成果をきちんと評価していただいて、全国化することもあり得るでしょうと言っておるわけですから、決して学校法人は聖域化して、それ以外のものは全部認めないという立場では今はないのでございます。特区での成果をきちんと見極めさせていただきたいという考え方をとっております。
また、特性を持って学校経営に参入することが株式会社等の参入の意味だと思っておりますから、株主としての発言権を保持しながら学校経営に参入したいということと、学校法人として寄付はするけれども、経営は理事会、または理事長に任せる、もしくは評議員といった諮問機関が関与する今の制度に委ねるというのは、それぞれの特性を生かした学校経営の参入の仕方でありまして、発言権を持って参入したい方は、株式会社の方法について検討なさることもあるかもしれませんし、学校法人も学校法人なりのよさがあるのだと思っております。寄附者についても学校法人によっては、同窓会形式ですとか、先ほど申しました評議委員会ですとか、いろんな意見を寄附者からも集める、収集する方法はいろいろ工夫をしておるところでございます。
○宮内主査 福井さん、どうぞ。
○福井専門委員 憲法89条の解釈に関する、特に内閣法制局の答弁について、かなり誤解をしておられるようですので、もう一度念を押します。
過去における法制局、ないしはその前身組織等の答弁は、一貫して現在の学校教育法、私立学校法、私立学校振興助成法、これらの規定を総合的に勘案して、こういうものがある場合には公の支配があると言っているのでありまして、この3つが全部そろわなければ89条違反だなどということは、法制局のどの関係者からも一度たりとも、一言たりとも提示されたことはありません。
これは論理学の問題でありまして、必要条件と十分条件を混同して議論しておられると思います。
特に、今回の5月29日の参議院の答弁は、その点を極めて明確に示しておりまして、松井議員から、今の私立学校法による学校法人の解散命令がなければ、公の支配に服するというふうにしか解釈できないのかという質問に対して、ポイントは学校教育法上の規定と、更に私立学校振興助成法によります、いろんな勧告と命令という規定でございますと答えておりまして、明確にこれは必要条件としてはこの2つ、十分条件としては、例えば解散命令があったって、大は小を兼ねるわけですから、それがあるからといって、別に違憲だということにはならないのは余りにも当たり前のことでありまして、少なくともこの2点、学校教育法上の規定と、私立学校振興助成法、これらが法制局のいうところの十分条件だということを明言しているわけであります。これは一貫して過去の法制局答弁とも整合しておりますし、文部省で示される解釈とは全く論理的に異なる解釈だということを念のため付言しておきたいと思います。
○加茂川部長 5月29日での参議院内閣委員会でのやりとりのことを、今、福井委員が御指摘になさいましたけれども、私はその場にもおりましたので、また議事録も確認をいたしましたから、もう少し付け加えさせていただきますと、政府参考人の答弁には、その前段がございまして、89条の公の支配についてのコメントでありますけれども、そこで第1には学校教育法による閉鎖命令、第2には私立学校法による学校法人の解散命令、それから第3に、これが大事だと断わっておりますけれども、振興助成法による各種の規制と。 やはり、学校法人の解散命令権もここで例示をされておりますのは、代々法制局が取られております考え方を根底に踏まえた答弁になっておるのだと、私どもは理解をしておるわけでございます。
○福井専門委員 この3つがそろわなければ違憲だという、要するに3つとも必要条件だというふうに論理的にこれは読めますか。
○加茂川部長 総合的に解釈するのだというのが、代々の法制局の見解だと思っておりますし、この答弁もそのラインに乗っておるのだと思います。
○福井専門委員 それは意味が違うのでありまして、こうした特別の監督関係にあれば、公の支配に属しているということでありますから、明確に論理学上の十分条件を示したものでありまして、お示しは、必要条件だという論理学的に成り立たない命題を吐露しておられると思います。
その証拠に何度も申し上げますが、最後まさに総括する段階で、ポイントは学校教育法上の規定と、更に私立学校振興助成法によりますいろんな勧告と命令だと、ここまで念を押しているわけですから、自明のことだと思います。
○鈴木副主査 聞いて感じるのですが、特区によって認定するという制度がない時代に書かれた解散命令だとかいう言葉を取って、そういう言葉がないから、だからだめだと、こう言っているというふうにしか聞こえない。
だから、特区取消というものは解散命令と等しいではないかということです。今まで法制局がいろいろ言っただろうが、それは特区というものを想定していないから、だから特区取消という言葉を入れないだけの話なのだというふうに思いませんか。
○加茂川部長 何度も申し上げますが、学校法人についても私ども所管ですから、学校法人と憲法89条についてはこういう解釈を取っておるという有権解釈はできますけれども、憲法についてというと、内閣法制局が有権解釈ができる政府の機関でございます。
それから、学校法人に対する解散命令権といいますのは、決定的な支配権が及ばなければ、憲法89条の要請がクリアーできないというときに、私ども私立学校を所管する関係から言いますと、例えば学校の閉鎖命令、法人の解散命令を背景にして、それぞれの規制が及ぶ、振興助成法上の必要な規制が及ぶことが決定的な支配権を満足することになるのだろうということを申し上げているのであって、制度論としては、技術論としては、これに相当するようなものを別途検討するということはあり得ないわけではないと冒頭申し上げたとおりでございまして、学校法人解散命令権でなければならないと言っているのではないのです。これに相当するような…
○鈴木副主査 だったら特区取消権というもので十分に公の支配があるから…
○加茂川部長 特区の取消権が十分かどうかは、にわかに判断ができませんが、特区の取消権は、そこで学校を設置することの資格を認めないというだけなわけですから、学校法人に対する解散命令権とは、その質、レベルが随分違うように今の段階では思うのであります。
○福井専門委員 ここは憲法解釈を前提にしているのですから、要するに89条の内閣法制局の見解を前提にして議論することにいたしませんか。解散命令を必要条件ではないとはっきり言っているわけじゃないですか。文部省がそうされたいというのは、政策判断としてあるかもしれませんけれども、憲法解釈論としては、これ以上明確な見解はないと思いますけれども。
○加茂川部長 学校私学助成について、私学法の学校法人解散命令権が不要だと、必要条件ではないという法制局の見解が示されたと私どもは理解をしておりません。
ですから、今の私学助成について言いますと、これは私ども行政の範囲ですから、私立学校法の根幹部分の規制が及ばないままで私学助成を憲法上疑義なく実施できるのだということについては、大変心配をしますし、憲法上、本当に解釈が成り立つのかという心配を大きく持たざるを得ないわけでございます。
○福井専門委員 それは、法制局の政府参考人のどの文言をとらえて、そういう特殊な解釈を正当化されるのですか。
○加茂川部長 これは法制局の解釈を詰める話でありますから、法制局という第三者を置いて、ここで議論をしても余り前へ進まないと思いますから、そこは法制局に確認をしていただきたいと思いますが、私どもの理解は、今、何度も申し上げましたとおり、これまでの法制局の従来の解釈上、もしくは今回の答弁も前段で申し上げていることを紹介させていただきましたけれども、総合して考えますと、基本的に法制局の考えは変わっておりませんし、私どももそれに立脚しているのだということを申し上げたわけでございます。
○福井専門委員 要するに、明確に質問では学校法人の解散命令がなければ公の支配に服するというふうにしか解釈できないのかという質問に対して、なぜポイントは学校教育法上の規定と、更に私立学校振興助成法による規定だと、こういう答え方をしているのでしょうか。
○加茂川部長 それは、私が答弁者ではないものですから、その部分だけをとらえると、福井委員の御指摘が成り立つかと思うのですが、前段、答弁全体をお読みいただければ、私も流れでおりましたけれども、政府委員の答弁を聞いておりましたときに、従来の法制局の答弁をしっかり踏まえた全体の答弁になっていたと、私は理解をいたしておるわけでございます。
○福井専門委員 十分条件と、必要条件の区分ということは御理解いただかないのでしょうか。
○加茂川部長 憲法解釈の話でありますから、最終的には法制局の判断になるわけでありまして、ここで議論を幾らしていただいもいいのですが、私どもの解釈から申しますと、今繰り返している解釈になるのだということを何度も繰り返さざるを得ないのでございます。大変申し訳ございません。
○宮内主査 どうぞ。
○河北専門委員 今のお話に関連いたしまして、解散命令の前例というもの、明らかに刑法とか、その他の法律に違反をしたもの以外、教育の内容、あるいは教育に関する内容で解散命令が実施された前例というのは、どんなものがあるのでしょうか。
○加茂川部長 少なくとも文部科学大臣、文部省がこれまで所管してきた法人、大学法人等が主でありますけれども、それについて申しますと、法人の解散命令権の前例はまだありません。
○八代委員 ちょっと、今の河北委員の質問に補足ですけれども、そうであれば、例えば文部省が定めた定員基準とか、そういうものが明らかに違反した学校についても解散命令というのは、これまで全く検討されていないということですね。
○加茂川部長 質問の趣旨がちょっとつかみかねたので、的確な答えになるかどうかわかりませんが、例えば学校法人経営上、明確な法律違反が生じたり、そういう事件が起きましたときに、さまざまな対応を検討いたしますが、いろんな検討がある中に、いまだかつて検討したことがないのかという御質問であれば、それに明確に答える情報を、今、持っておりません。
ただ、不祥事に対する学校法人の指導にいろんな程度の差はあれ、厳しい指導をこれまでも助成金のカットでありますとか、厳しい指導をしてまいりましたけれども、その背景としてぎりぎり詰めていけば、この強権である学校法人法の解散命令権でありますとか、学校教育法の閉鎖命令権があることは受け取る方、学校の設置者としては、強権が背後にあるということを意識して、その厳しい指導に応じてくれたことは幾つもあったのではないかと思っております。
○八代委員 指導に全然応じずに、私学助成金だけ返上して、堂々と定員超過を経営の1つの柱にしている学校も幾つもあったと思います。だからおっしゃるように、解散命令権があるから、そんなにこれまできちんと文科省の行為規制というのが十分なされたとは到底思えないわけでして、そこは今まさにおっしゃったように、一回も解散命令権というは発令されたことがないわけですね。それに値する不祥事も今まで起こっていないという解釈だと思いますが、そのときに、ではなぜそういう緩い基準の中で、株式会社については解散命令権がないから、まだ一回も発動したようなものがないからという理由だけで私学助成を出さないのか。
もし、そうであれば、株式会社が問題を起こしたと思えば、私学助成金をその段階でストップすればいいわけであって、まさに文科省が決めた基準を満たさない、学校法人に対してやられたのと同じやり方をすればいいのであって、なぜそういう拡大解釈をされるのかということを最後にお聞きしたいということなのですね。
○加茂川部長 今の八代委員の話は制度論として、こういう制度を必要な規制をかけて憲法なり、法律の要請をクリアーすることと運用が適切がどうかということがミックスになっているような御質問かと思いましたけれども、私どもは制度としてはこうあるべきだと、御指摘のように、運用について言うと、いろいろ御指摘があって、甘いではないかと、見直すべきではないかという課題があれば、それに対応しなければならないと思っていますが、制度論と運用論は区別して議論すべきではないかと、私どもは考えるわけでございます。
○八代委員 十分に運用されていない制度には意味がないというのは、一般の常識ではないかと思います。
○宮内主査 まだ、いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、予定しておりました時間が参りましたので、一応、本件につきましては、文部科学省との意見交換を終了せていただきたいと思います。
残念ながら、なかなか議論がかみ合わなかったという感想を持ちますし、教育そのものに対する危機感、あるいは社会の要請というものをとらえて、どのように今後の教育政策を進めていかれるかという前広の御意見はなかなか聞かせていただけなかったのではないかという感想を持つものでございます。
特に、憲法解釈等につきましては、やはり法制局の考え方につきまして、今後もう少し詰めさせていただく必要があるというふうに感じました。いずれにいたしましても、引き続き本件につきまして意見交換の場を持たせていただくということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
本日は、本件につきまして、大変長時間ありがとうございました。
引き続きまして、厚生労働省にもお入りいただきまして、議論を続けさせていただきたいと思いますので、ちょっと席順を替えさせていただきたいと思います。
(厚生労働省関係者 入室)
○宮内主査 それでは、再開させていただきます。厚生労働省にもお入りいただきましたので、次のテーマでございます。幼稚園・保育所の一元化につきまして、公開討論を行います。
本日は、大変御多忙のところ、伍藤雇用均等児童家庭局長を始め、御担当の皆様においでいただいております。ありがとうございます。何分よろしくお願いいたします。
それでは、本件につきましては、私どもの用意いたしました資料の1ページにございますように、6月の基本方針2003におきまして、新しい児童育成のための体制整備として、平成18年度までに、就学前の教育・保育を一体としてとらえた、一貫した総合施設の設置を可能とすることを検討とされておりましたが、その後、小泉総理におかれましては、18年度を待たずに、前倒しで実施する旨の御発言がございました。
本日は、この点につきまして、御担当の文部科学省と厚生労働省の方からそれぞれこの御発言に基づく検討状況などをお聞かせいただきたいと、このように考えておる次第でございます。
恐れ入りますが、両省から現況につきまして、大変失礼でございますけれども、できるだけ手短にまとめていただきまして、現況のお話をちょうだいできればと思います。
それでは、文部科学省からよろしくお願いいたします。
○玉井総括審議官 引き続き、総括審議官の玉井でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
私どもは、本日、お配りしているペーパー、先ほどの公設民営の中教審の状況をお話し申し上げました。そのもう一枚下に「新しい児童育成のための体制整備について」という資料を御用意いたしましたので、それに沿ってかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
私どもは、幼稚園と保育所の一体的運営を推進するということから、厚生労働省とも相談をしながら、また協力しながら進めているところでございまして、既に特区においてさまざまな特例措置を講じさせていただいているということは、御案内のとおりでございますし、保育室の共用化の特例というのを一つの例で出してございます。その前にも、さまざまな措置を講じております。
更に、職員資格の併用の問題の問題につきましても、当面ということでございますので、保育士資格所有者の幼稚園教諭免許状を取得することを容易化する方策を検討してございますし、また、逆に厚労省の方においても御検討なさっているというふうに承知しております。
今後の方針でございますけれども、先ほどの基本方針2003に基づく総合施設の在り方につきましては、既に私ども厚生労働省と事務的検討を開始してございまして、そのときのポイントというのは、そこにございますように、さまざまなニーズがございますので、就学前の子どもが、保護者の就労形態等により区別することなく、充実した教育・保育の機会の提供を得られるということが大変重要だろうという認識で、今、お互いに進めているところでございます。そのときの具体的な課題ということで、私どもは3つぐらい挙げさせていただいて、事務的な検討を急いでいるわけでございます。
1つは、その下にございますように、発達段階に応じた一貫した教育・保育の実現をどのようにとっていったらいいだろうか。
2つ目に、保護者にとって利用しやすい柔軟な利用形態、あるいは児童の発達や負担に配慮した環境というのはどのように考えるべきなのか。
更には、そういった点を踏まえた施設の基準や、あるいは経費の問題をどのように考えていったらいいだろうかと、こういった観点から、今、事務的な検討を急いでいるというのが今の状況でございます。
かいつまんだお話で恐縮でございますけれども、今の状況でございます。
○宮内主査 ありがとうございました。それでは、厚生労働省のお考えをお願いします。
○伍藤雇用均等児童家庭局長 雇用均等児童家庭局長の伍藤でございます。
お手元に私どもの資料を配布させていただいておりまして、資料に沿いまして簡単に御説明申し上げます。
基本的には、ただいま文部科学省の方から御説明がありましたものと同一の基調でございますが、1ページ目には、これまで両省で進めてまいりました、主として施設の共用化という観点からのこれまでの施策の推進状況についてまとめております。
一番下の平成16年からは特区制度を活用して、今までいろんな施設の共用等進めてまいりましたが、最後の保育室の共用ということで、これでほぼ施設の面からの一体的な運用ということは、かなりのところに到達するのではないかなというふうに思っております。 2ページ目でありますが、総合施設の論点でありますが、総合施設の在り方を考える際に、私どもの立場といたしましては、社会的に大きな課題になっております待機児童の解消と。あるいは地域の子育てニーズ、これは共働き夫婦のみならず、専業主婦のお母さんも非常に子育てに悩んでおるというような実情がございますから、そういったニーズに幅広く応えるということを念頭に置きながら検討していくことが必要ではないかということでございます。
それから、総合施設を考えるに当たっての主要検討項目ということで、これは幼稚園と保育所の利用の形態がいろいろ違いますが、できるだけ利用者が簡便に利用しやすい仕組みをどう考えるかということが1点だと思います。
それから、人員配置とか、施設基準、これをどこまでどういうふうに弾力化できるかと。一方では、サービスの質の確保ということが、やはり必要でございますから、そういった観点から、こういったものをどういうふうに考えていくかというのがあろうかと思います。 それから、最も難しいのは、制度を一緒にするという施設でありますから、今、それぞれ幼稚園と保育所と全く違う体系の財政負担の仕組みになっております。これをどういうふうに、この新しい施設に適用し、調整をしていくかと。その中で、公、国や地方自治体が負担する割合と、対象者を広げて利用しやすい施設にした、そういう施設の利用者の負担というものをどう考えていくか、この辺りの費用の問題というのが大きな論点ではないかなというふうに考えております。
対応といたしましては、今、夏以来ずっと事務局的な協議を進めておるところでございますし、この総合施設、先ほども申し上げましたが、特区で合同して保育をやるということも来年からスタートするわけでありますから、そういうところの実施状況も見て、幅広い観点から今後更に検討を進めていきたいというふうに思っておりますし、先ほどの御下問からいたしますと、今後のスケジュールといたしましては、下に書いてありますように、骨太の方針では、18年度までに検討ということで御猶予いただいておりますが、できれば大変難しい、先ほども申し上げました費用負担の問題なんか、かなりこれは省をまたがる話でありますから、大変な課題だと思いますが、できれば基本的な考え方ぐらいを16年度中ぐらいに何とかまとめられないかというのが、私どもの考えでございます。
できれば、これはものによっては、多分法律改正も必要になりますから、その後、モデル事業を17年度辺りにできればやりたいなと思っておりますし、それと並行して必要な法律改正等にも取り組んでまいらなければなりませんので、そんなことを考えますと、そういう必要な準備段階を経て、できれば18年度からは実現を目指したいと、18年度までに検討ということをできるだけ早くということで、18年度からは実施にこぎつけたいなという一応のおおざっぱな腹積もりでありますが、そんなことを考えておるところでございます。 以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。
○宮内主査 ありがとうございました。それでは、ただいまから意見交換をさせていただきたいと思いますが、どうぞ。
○八代委員 ありがとうございました。今、両省から御説明いただいた内容と、こちらから資料で配っております総理答弁ですね。これを比べていただきますと、一番大きな違いというのは、総理答弁は明確にこういうふうに言っておられるわけですね。
この幼稚園と保育園の問題については、もっと地方に裁量権を渡して、幼稚園、保育園、お子どもさんの立場、親御さんの立場に立って柔軟に考えるということで、18年度を待たなくても実施に移していくように致しますというふうに総理は言っておられるわけで、地方にもっと裁量権を渡すという点について、具体的にどういうふうに検討されているのかというのが第1点の御質問でございます。
もう一つは、どういう形で制度を一元化するかというのが大変だと思いますが、そのときに保育所と幼稚園というのは、それぞれ規制が違います。そのときに、両方の規制のより高い方で一体化するのか、それともより低い方で一体化するのかと、この点について両省から是非お考えをお聞きしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○義本幼児教育課長 幼児教育課長でございます。八代委員から2点御質問がございまして、1つは総理答弁の中に、地方により裁量権を出すというふうなことでの方向でございますけれども、特区の取り組みにしましても、そういう方向で検討しておりますし、また、総合施設の制度設計におきましても、事務的な検討の中でいろいろな御議論がございますけれども、できるだけ地方の取り組みがしやすいような仕組みづくりということについて、何ができるのかについて研究させていただいているところでございます。
2点目は、より規制が高いのか、あるいは低いのかというふうなことでございますけれども、やはり総合施設という形で骨太の方針に出させていただきまして、やはり未来において、新しい児童育成の体制の整備ということでございますので、地方にとって魅力ある制度にしなければいけないということがございますので、サービスの多様化と、質をどういうふうに確保していくのかと併せて考えていかなければいけないということでございますので、その中で、より地方が、あるいは利用者が利用しやすい形態なり、仕組みなりということを設計するのと同時に、質をどういうふうに確保していくかということを併せて、その中で基準なり、あるいは仕組みなりを考えていこうかというふうな基本方針で、今、検討を進めようとしているところでございます。
○伍藤局長 ほぼ同じことかと思いますが、地方に裁量権を渡すと。今、一般財源化というような議論も進められておりますから、そういう流れの中でのこういう議論だということは十分承知しておりますから、先ほど言いましたように、総合施設をどういう財政負担の方法にするのか、利用者と公がどう負担を分かち合うのか、公が負担する部分を国と地方がどういう役割を分担した方がいいかというのは、当然検討課題になっておりますし、総理が発言しているような流れに沿って私どもも考えなければいけないというふうに思っております。
規制の高い方か、低い方かというのは、これは機械的に定められるものではないと思います。先ほど、文科省の方からも発言がありましたが、できるだけ簡便で、コストがかからない方法にするということが、一つの観点かと思いますが、同時にある程度の質を確保し、安全で安心して使えるという施設にしていくことも必要だと思いますから、利用者からみて、本当に理解が得られる納得が得られるようなものにするという視点から、こういう規制といいますか、必要な規制を考えていくべきではないかという、そういった観点もあろうかというふうに思っております。
○八代委員 そういう一般論ではなくて、幼稚園も保育園も既に両省が十分検討されて、質の確保と、利用しやすい観点から規制を定めておられるわけですから、ゼロから考える話ではないわけですね。
そうなると、今の御答弁であれば、当然ながら両省が今まで設けられた規制のうちの少なくとも低い方で十分ではないだろうかというのがポイントであります。
○義本幼児教育課長 当然、八代委員御指摘のように、ゼロからスタートするわけではございませんし、勿論、特区における合同保育もございますし、あるいは既に先行して、いわゆる幼稚園と保育所の一体的な施設という形で運用されている部分もございますので、ここで出てくる課題なりを洗い出しながら検討させていただくと。
その中で、例えば、地方にとってこういう点が課題だということも当然出てきます。そういうことも勘案しながら具体的に考えていこうということでございます。
ただ、先ほど申しましたように、幼稚園と保育所につきましては、同じ幼児を対象にしますけれども、いわゆる役割機能としましては、学校教育の一環、あるいは児童福祉施設の一環、それぞれの機能の違い等によって制度設計がございます。
その中で、どういうふうな仕組みとして、全体として子どもたちの発達なり、あるいは親御さんにとっての利便も含めまして、子どもたちの最善としては何がいいのかというふうな、いささか抽象論になりますけれども、そういう観点から検討していただこうと。
当然、その中で、今、実行しておりますような、共用化施設ですとか、あるいは特区での取り組みも十分勘案しながら、踏まえて考えていくということでございます。
○佐々木委員 3年前は、一元化ということもなかなかディスカッションさせていただけなかったのが、ここまで来たのかなと思って聞いているのですけれども、今、御検討いただいた中で、施設の話が出てきたのですが、16年に検討して、17年モデル、18年実施というアイデアの中で、そもそも文部科学省と厚生労働省に分けて考えるのではなく、新たな考え方で取り組むというようなことまで検討の中には入れていただけるのでしょうか。
結局、どうしても両方の立場があり、どう整合性をとろうかというようなディスカッションにしか聞こえないのですけれども、子どもの親として申し上げれば、結局、今まさに義本課長がおっしゃったように、子どもにとって最善は何かということから考えれば、普通に考えると2つの省に分かれていることがおかしいと、またそこに戻ると思うので、ディスカッションの中には今の時代を反映し、子どものニーズ、家庭環境のニーズなどをとらえて、これから1年、2年検討される中で、ただ両省の調整に及ばす、1つの省にするような、もう少しストレッチした形でのディスカッションもされる予定なのかということをちょっとお伺いしたいのですが。
○宮内主査 どうぞ。
○唐澤保育課長 保育課長でございますが、今は、実務的な検討をしておりますけれども、私どもの局長からもお話しを申しましたように、この出発点は、利用するお子さんと、それから親御さんがおりますので、そのニーズにどういうふうに応えていくかと。
そして、私どもの直面している課題を申しますと、1つには、現実に2万6,000 人の待機児童の子どもさんというのがおりまして、そのうち1万7,000 人というのは3歳未満のお子さんでございます。特に、女性の就業率は非常に上がっておりますので、そういう小さいお子さんのニーズが非常に増えているものにどういうふうに応えていくかということをしなければいけない。
もう一つは、先ほどもお話が出ておりましたけれども、働いている親御さんだけではなくて、現実に専業主婦で家庭にいるお母さんも非常に子育てに悩んでいる。特に独っ子が多いものですから、一人目のお子さんを育てるときには非常に悩んでいる方が多くて、2人目になると、かなり慣れるということがあるのですけれども、そういうものにも応えていかなければいけないというところを出発点にしてやっていきたいと思っておるのです。 したがって、これまでは連携という形で進めてまいりましたけれども、これは議論をしていく中で、そういうニーズにどういうふうに応えていくかということになれば、更にもっと突っ込んだ形で検討していかなければいけないというふうに私どもは思っておりますが、その形を今どうするかということは、まだそこまでいっておりませんけれども、考え方としては、できるだけ利用者のニーズに応えられるようなわかりやすい仕組みを考えていく必要があると思っております。
○宮内主査 どうぞ、稲葉さん。
○稲葉専門委員 ここまで持ってこられてということは、高く評価するのです。ただ、今のお話を聞いていて、かなり奇異に受け取られる方がたくさんいるんではないかと思うことは、親と子どもさんのニーズに応える、それで魅力ある仕組みをつくりたい、あるいは利用しやすい仕組みをつくりたいというのですけれども、これは地域によって全部違うわけですから、最大公約数的なものはあるかもしれないけれども、それにこだわれば、またニーズから乖離するので、やはりこういうことは地方にほとんどお任せになることがまず前提でないと、これからの時代の方向に合わないと思いますし、今、進められている三位一体の改革なども、その方向でないとうまく進まないと思います。今の御説明では、まだこういうことについても国は頑張っていくんだというような姿勢が見え過ぎてしまっているので、ちょっと心配しているのです。
○唐澤保育課長 稲葉先生の御指摘に、私どもは子育ての仕事を一生懸命やっていきたいという、その気持ちを申し上げただけでございまして、お話のように、過疎地でありますとか、非常に子どもさんの数が減っているところ、これは地方と都心の中心部みたいなところも減っておるのですけれども、そういうところの郊外の非常に増えているところ、いろんなニーズが多少違っているところがあります。
私どもが先ほど申し上げたかったのは、それぞれのところでやって伸ばしていく分野というのは、多少違いが量的にも出てくると思いますので、それはそれぞれの地域の利用者の人の子どもさんと親御さんと両方になりますけれども、それに応えられるような仕組みを考えていくということで、全国一律に何割はこの事業、何割はこの事業ということではなくて、それぞれの地域のニーズに応えられるということを出発点に全体を考えていく必要があると考えております。
○稲葉専門委員 そういうふうに過疎地だとか、都心だとか、あるいは人口急増地域とか、そういうパターンの違いがあると言っているのではなくて、こういう問題に自分たちが、地域がどういうふうに取り組むかということ自体を任せないと適切に取り組まないですよと、そういうことを申し上げているのです。いや、私どもは取り組みませんと、それは行政に任せますというところと、もう行政ではなくて、自分たちが全部地域でみんなやりますというところと、そういうニーズの違いが、これからどんどん出てくるのではないか、また、それが出てくるようにしないと、日本という国がいい国にならないのではないかと、そういう思っているわけなのです。
○中村総務課長 少し補足をさせていただきますと、市町村によって随分違うということはおっしゃられるとおりで、例えば今、合計出生率が日本は1.32なのですけれども、鹿児島県の離島の辺りですと2.5 ぐらい、一方、東京都の目黒区では0.8 とかなり違いもありますし、また、三世代同居の中で育っているお子さんというのがまだ25%ぐらい、一方、両親だけのところが70%、それから独り親の御家庭が5%と、かなり地域によって、まだまだ地域社会が残っていると、それから都市部のように全然そういうことが期待できないようなところ、いろいろでございます。
それで、私どもといたしましても、子育てについて市町村が考えていくという基本方針を立てまして、先の通常国会で、そういう子育てについて市町村が中心になってやっていくと、そのために計画も自分たちで考えて、また待機児童の多いところについては、その解消計画を市町村で考えていく。かなり全国レベルの対応も必要なわけですけれども、ここにはすごくミスマッチもあったりして、待機児童の解消はなかなかできないということもありますので、市町村を中心にという考え方で、高齢者の介護につきましても市町村ということでやってまいりましたけれども、子育てについても市町村を中心にという一貫した考え方で進めておるところでございます。
○宮内主査 どうぞ。
○森委員 この問題が起こってきている理由の根本の1つは、もっと早くから知育にしろ、体育にしろ、あるいは語学教育とか、音感教育とかをしなければいけないので、保育所というのは健康管理の方に主力があって、教育、しつけとかも含みますけれども、そういうことに遅いと、幼稚園に行ってからでは遅過ぎるという井深さんの本があるのですが、そういうことです。
もう一つは、情報化社会というか、テレビ、ラジオ、その他パソコンとか、いろいろ情報が非常にあふれているときに、小さな子どもも昔よりよほどたくさんの情報を持っていると。私の孫なんか5つのことから200 ぐらいまでの数を勘定していましたけれども、そういうふうになってしまっているという、そういう状況の中でもっと早くから教育しようじゃないかということもあったと思うのです。
もう一つは、健康保健的な知識も非常に普及したし、また少子化時代を迎えて、お母様方や何かの家庭のレベルが上がっているので、どっちかと言えば、厚労省レベルの問題から文部省レベルの方にウェートを移すべき時代が来ているのだというようなことが前提にあると思うのですが、その辺についてのお考えはいかがですか。
○玉井総括審議官 所管がどうというよりも、幼児教育が非常に重要になってきているということは世界的な一つの方向であることは十分承知しております。就学前教育といいますか、そこの年齢段階の教育が非常に幼児教育という目で、今、焦点が当たっていまして、それは多分発達のいろんな関わりが出てきているのだろうと思います。
そういう目で、私どもも幼児教育の在り方をしっかり考えていかなければならないと。そういうことで、もう少し年齢を下げたらという宮内議長の御指摘はありますけれども、とりあえず特区において、年齢のところの緩和を少ししながら、今、いろいろと始めてみている。
ただ、発達課題というのは、なかなか難しいところがあるのは、森委員も御承知のとおりだと思いますが、かなりいろんな専門家の間で議論が重ねられておりますし、いろんな実証的なデータも出てきております。
しかし、やはりかなり年齢によってぐっと変わってくるということも、まず間違いないわけでございます。どの辺りから集団教育が本当に適当なのかということと、それからニーズとしての親御さんの預かってほしいというニーズもあるわけでございますから、そういったところをどのように考えていったらいいかなと。
ただ、いずれにせよ、先ほど森委員がおっしゃった幼児教育が大切でしょうという御指摘はそのとおりだと思っておりまして、世界的にも今、幼児教育のところが非常に重要になってきているという認識は持っているということでございます。
○宮内主査 時間が迫ってまいりましたが…
○森委員 厚労省の方はいかがでしょうか。
○伍藤局長 従来から保育の中で、保育指針というのを定めておりますが、その中でもそういった教育的なものも幼稚園の指針に合わせて、できるだけ整合性を持ったような形で定めてきておりますから、御指摘のあったような部分を保育所においても相当程度取り入れられていますし、遜色のないような内容になっているのだというふうに思っておりますが、なおこれから、今ありましたように教育の重要性といいますか、早期教育とか、そういったことについても、文部科学省とのいろいろな御協議の中でも、そういった面について私どももいろいろ努力をしてまいりたいと思っております。
○宮内主査 この問題は、国民の立場から言いますと、恐らく縦割行政の弊害、もしこれが1つの省庁、1つの局、1つの課の中で行政が行われていれば、何年もかかるというようなことは考えられないことなのだろうと。
したがいまして、国民の目で見ますと非常に動きが遅いということを感じているのではないかと思うのですけれども、明確に国会答弁で総理が、18年度を待たなくても実施していくということを言っております。これに対して、先ほどのプレゼンテーションでは18年から実施するというような厚生労働省のお話もございましたけれども、これは総理の国会答弁と、18年度を待たずに実施するということ対しまして、両省のお考えですね、総理はそう言ったけれども、やらないよとおっしゃるのか、国会答弁は守るのだというふうにおっしゃるのか、そこのところだけ両省からお聞かせいただきたいと思うのですけれども。
○伍藤局長 先ほど申し上げましたように、18年度までに検討ということではなしに、それまでに必要な法改正、モデル事業、事業を実施しながら、また反応とか、不十分な点があろうかと思いますので、そういったことを検討していくには若干の時間がかかると思いますから、そういったことを考慮いたしましても、総理のそういう御発言もありますし、できるだけ早くするということが、いろんな方々の御要請だと思いますから、少なくとも18年度から実施をしたいということで、前倒しでやりたいというふうに思っているところでございます。
○宮内主査 総理は18年度を待たなくても実施するというふうに言っているのですが、それに対して、どういうふうにお考えですか。
○伍藤局長 全面的に実施をするという観点からは、18年度を待たずにというのをどういうふうに解釈するかはあれですが、先ほど冒頭申し上げましたように、16年度中ぐらいにはなんとか骨格をかためて、基本的な考え方をとりまとめた上で、モデル事業というのか、それが実施というふうに考えるのかは、いろいろ考え方があろうかと思いますが、そういうことで、なんらかの形で17年度から実施にこぎつけて、全面的といいますか、本格的に制度としてスタートするのは、いろいろ法律改正等も含めて考えますと、18年度からが精一杯かなというように思っております。
○宮内主査 この議事録の最後を見ていただきますと、総理がそういうふうにおっしゃっていないと私は読めるのでございますけれども、国会答弁にもかかわらず、それでいいのかということについて、これはいかがでございましょうか。
○伍藤局長 その点は、ちょっと、どこまであれかわかりませんが、18年度を待たずというのは、この骨太の指針で示されていることを意識して言われたことだと思いますので、それを少しでも前倒しにするという趣旨ではないかと思いますし、私どもの大臣から総理にそういったことで18年度から実施をするということで内々お話をしているのではないかなというふうに聞いております。
○宮内主査 ということは、国会答弁と違うということでございますね。
○唐澤保育課長 私が言うのも変なのですが、私どもは国会答弁と違っているというふうには受け止めておりませんで、骨太の方針にございます18年度まで検討というと、それではゆっくり検討していればいいのかということでは勿論ないと思いますけれども、やはり事業として具体的に現場で行ってみるということが重要だと思っているわけでございます。そういうことで、局長からお話を申し上げたと。
○宮内主査 文部科学省はいかがでございましょうか。
○玉井総括審議官 まだ、事務的な検討を続けているところでございますけれども、勿論、総理の御発言等、国会での御答弁もあるわけでございますし、骨太の方針を踏まえながら、できるだけ急いでいこうということで、今、厚生労働省とも事務的な検討を急がしているところでございます。
○宮内主査 18年を待たなくても実施に移していくという総理答弁に沿って実行すると、こういうふうに考えてよろしゅうございましょうか。
○玉井総括審議官 総理答弁を、要はここで急げという御趣旨というふうに十分受け止めておりますし、私どもとしては、できるだけ急いでいこうということは、厚労省とまさに話し合いをして、今、事務的な検討を進めているというふうに御理解賜わりたいと思います。
○宮内主査 そう読めるのでしょうか。時間がございませんから、是非国会答弁というものについて尊重いただくということも含めまして、引き続き、私どもこの問題につきましては、文部科学省、厚生労働省とも意見交換をさせていただきたいと思うわけでございます。
国民から見ますと、なぜそんなに時間がかかるのかということは、なかなか理解が得られるのかなという思いもするわけでございますが、いずれにいたしましても引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
本日は、御多用のところおいでいただきまして、ありがとうございました。
以上をもちまして、本日の意見交換を終わらせていただきます。