第7回住宅・土地・公共工事・環境WG 議事概要

1. 日時

平成15年10月28日(火) 12:30〜14:00

2. 場所

永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室

3. テーマ
1 国土交通省・法務省ヒアリング

○ 不動産取引情報の開示について

2 国土交通省・警察庁ヒアリング

○ 河川空間の有効活用(河川占用許可)について

○ 道路、歩道空間の有効活用(道路占用許可、道路使用許可)について

4. 出席者
<不動産取引情報の開示について>
(国土交通省)

土地・水資源局 松葉土地政策課長、高岡土地情報課長

(法務省)

民事局 後藤民事第二課長

<河川空間の有効活用(河川占用許可)について>
(国土交通省)

河川局 福本水政課長、近江同課企画専門官、望月治水課長、岡部同課企画専門官

<道路、歩道空間の有効活用(道路占用許可、道路使用許可)について>
(国土交通省)

道路局 菊池道路利用調整室長、大窪同室課長補佐

(警察庁)

交通局 倉田交通規制課長

(委員、専門委員)

八田達夫主査、福井秀夫専門委員

(事務局)

内閣府 福井和夫審議官、中山泰次長 他


議事概要

【不動産取引情報の開示について】

○八田主査 それでは、第7回住宅・土地・公共工事・環境ワーキンググループを開催いたしたいと思います。
 最初の議題は、不動産取引価額情報の開示について、国土交通省、法務省ヒアリングです。これについて、今のご検討の進捗状況をお話しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高岡土地情報課長 国土交通省の土地情報課長の高岡でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元に資料1、2、それから「扉を開けよう」というパンフレットを準備させていただいております。不動産取引価格情報の提供制度につきましては、既にご案内のとおり、国土審議会の土地政策分科会企画部会の土地情報ワーキンググループにおきましていろいろとご検討をいただいてまいってきたわけでございます。今年の6月に中間的なとりまとめをしていただきまして、その結果を踏まえまして、お手元にございますがこの「扉を開けよう」というパンフレットで情報提供のあり方についてパブリックコメント、あるいは世論調査をやりなさいというようなことになりまして私どもやらせていただきました。今日はこの結果をご報告させていただきたいと思います。
 「扉を開けよう」というのはご存じの方も多いと思いますけれども、欧米諸国ではデパートとかビルに入るときに自分で扉をあけて、後から来る人のために扉をあけて待っておいてあげるということで、不動産の売買をした際にいろいろ苦労したのだけれども、自分の情報を少し提供することによって後から来る子々孫々にメリットを与えようと、そういう思いを込めた土地情報ワーキンググループの山野目座長のお考えもありましてこんな形でパンフレットを作らさせていただいたわけでございます。
 パンフレットの表にはメリットをポンチ絵的に書かさせていただいております。それから、中をめくっていただきますと「不動産取引価格情報の提供方法」ということでA案、B案、C案、3つの案を記載しております。それから、後ろの方では「よくあるご質問Q&A」ということで皆さんの便宜を図っております。こういうパンフレットでパブリックコメントをしたところでございます。
 順番が逆になって恐縮でございますけれども、このパンフレットで行いましたパブリックコメントの集計結果でございますが、資料2にございますように7月31日から8月31日まで行いまして、意見総数としては61件いただいております。賛成の件数が16件で、主な意見といたしましては、「透明、健全な不動産市場の形成のための基本的な施策である。実際の取引の際の値付けをするために極めて有用。不動産鑑定評価の精度向上につながる」といったようなご意見を頂戴しております。
 反対は40件でございます。主な意見としては、「個人情報保護の観点から問題。自分が売った価格を知られたくない。売り急ぎ等の特殊要因により成立した価格の開示により、一般国民に誤った相場観を与える。デフレ下での開示は国民に値下がり期待を抱かせ、買い控えを招き、取引が停滞する。国による規制強化をすべきでない」というものでございます。
 その他の意見として5件ございまして、主な意見としては、「価格以外の情報についても提供すべき」等でございます。
 それから、パブリックコメントのほかに世論調査をやらせていただきました。一番最後のページにも書いておきましたけれども、4ページでございますが、全国20歳以上の者、標本数 3,000人、調査時期8月21日から9月1日、約10日間にわたって調査員による個別訪問聴取ということで行った調査でございます。有効回収率といたしましては 2,224人、74.1%の調査でございます。
 この結果につきましてご説明をしたいと思います。
 まず、不動産の取引についてでございますけれども、約8割の者が不動産の取引について難しそうで分かりにくい、あるいはなんとなく不安ということでございます。不動産取引に関してやはり不安感を持っていらっしゃる方が多いという結果が出ております。
 それから、不動産を売買する際には不動産会社からの情報を利用するとした者が約5割で最も多くなっております。以下、知人・友人の話、不動産の情報誌というような形になっております。
 1枚めくっていただきまして2ページ目でございますけれども、取引価格情報の提供制度についてということで、以下のことについて聞いております。
 1つは、土地は公共財であり、取引価格を公開すべきという制度の理念についてでございますが、これは賛成が50、反対が10という結果になっております。
 それから、実際に制度を導入することについて聞きましたところ、賛成60に対して反対が10となっております。ここで特徴的なのは、不動産の売買をしたことがある層で賛成が多くなっているということで、下の表にもございますように、不動産の売買をしたことがある層がない層と比べて10ポイントばかり高くなっているということでございます。
 それから、この制度導入のメリットでございますけれども、市場の透明生向上・安心度といったものが77%、それから判断のしやすさといったものが73%、市場の安定性とか良好な都市環境といったことについてはごらんのとおりのような数字になっております。
 それから、1枚めくっていただきまして3ページ目でございますけれども、制度の導入に賛成する理由でございますけれども、不動産の値付けがより適正になされるようになるというのが67%、不動産の売買がやりやすくなるというのが49%という結果でございます。
 次に、具体的な提供方法でございますけれども、A案が最も多くて34%、B案が24%、C案が6%という順になっております。今の数字は全体でございまして、今回調査をしました人の中で制度導入に賛成としている者にさらに聞いた場合には、A案という方が47%、B案が27%、C案が3%という結果になっております。
 次に、自分自身の取引価格が一般に知られることについてどうですかとお尋ねをしたところ、物件の所在は構わないが個人名は公表しない方がよいまでが4割、加えて、物件の所在もわからない方がよいとする者までで7割強となっております。
 もう少し詳しくご説明いたしますと、10%の方が物件の所在や個人名まで公表されても構わないとご回答をいただいております。それから、物件の所在は構わないが個人名は公表しない方がよいというのが31%ということでございます。あわせて4割でございます。それから、個人名は公表せず物件も簡単に特定されないようにしてほしいというのが22%、個人名も物件の所在もわからない方がよいというのが10%でございます。
 世論調査の結果は以上でございます。
 それから、今後の段取りでございますけれども、先般、このパブリックコメントと世論調査の結果を土地情報ワーキンググループにてご説明をさせていただきました。来月11月の半ばに次回の土地情報ワーキンググループを開催することとしております。前回の土地情報ワーキンググループでは、この結果についていろいろご意見をちょうだいいたしました。次回で、土地情報ワーキンググループとしての意見の骨格的なものをとりまとめましょうということで皆さんの意見が集約されております。もしそのとおりになりましたら、11月中にも国土審議会の土地政策分科会等の上の組織にご説明を申し上げて取りまとめていきたいと思っております。また、その結果を踏まえまして、もしお許しがいただけるのであれば、役所の方で法案化の作業を進めて来年の通常国会に法制度を創設すべく努力をしたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 それでは、続けて法務省にお願いしまして、後でまとめてこちらからご質問をさせていただくことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤民事第二課長 法務省民事局民事第二課長の後藤でございます。
 この制度に関しましては、今、国土交通省の土地情報課長からご説明がありましたとおり、国土交通省を中心に制度の枠組みを検討されるということでございますので、それについては私どもの立場で検討について協力させていただいているということで、特に現時点で私どもからご報告すべきことはございません。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 それでは、二、三質問させていただきたいと思いますが、まず、土地情報ワーキンググループでA案、B案、C案のどれが望ましいだろうということを推薦されると、第1段階としてはそういうことなのですか。

○高岡土地情報課長 前回の土地情報ワーキンググループの議論では、そういう形で整理しようというようなことで皆さんのご意見がまとまったように私どもは理解しております。

○八田主査 それから、この意識調査をされたのは大変面白いと思うのですけれども、パブリックコメントとかなり結果が違いますね。意識調査の方では割とA案に対する指示が非常に大きくて、パブリックコメントの方は数でいくとこの反対というのが非常に多いのですけれども、これについてはどういうふうな解釈をしていらっしゃいますか。

○高岡土地情報課長 反対の方については同じようなご意見がまとまってきているようなところもございまして、受け取り方だろうと思いますけれども、私どもとしては賛成、反対両方半々ぐらいのご意見があったのかなというふうに、この件数とは別に考えております。

○八田主査 わかりました、どうもありがとうございました。
 民事第二課長に伺いたいのですけれども、この制度ができた場合、例えば私が取引したときに司法書士に持っていってもらうのか、行政書士に持っていってもらうのかという問題が最初の頃オープンクエスチョンで提示されたのですけれども、基本的にこの売買情報が法務省に提出されて、その後法務省から国交省に転送されるというわけです。そのときにそれを届け出るのは司法書士でもいいのだろうかと、そこの部分だけ切り離して行政書士がしなくてはいけないのだろうかという議論があったと思うのですが、これをもし切り離すと大変面倒なことになると思うのですけれども、その辺についてご検討の状況はどうでしょうか。

○後藤民事第二課長 以前のこの場でそういう議論があったということは議事録を拝見いたしまして承知しております。ただ、法務局としてどういうふうに取り扱うかということは今後のその制度の枠の中で決まることだとは思うのですけれども、1つの案として現時点の考え方、私どもの考え方をご説明いたしますと、不動産登記の申請書に価格情報を記載することによって取引価格の届け出があったという場合には、これを登記所でとりまとめて国土交通省にお渡ししようと思っております。そういう制度であれば登記申請書に書いていただきますので、特にその司法書士法を手直しするということでなしに、登記所に提出する書類を出すというだけですので、現行の枠組みで行けるのではないかなと考えております。

○八田主査 わかりました。

○福井専門委員 以前お聞きしたときには、その点、今の解釈と大分違って、法務省からのご説明では、要するに国土省に渡す情報というのはいかなる意味でも行政書士の業務独占事務でしかあり得ない。そこは司法書士は一切アンタッチャブルなのだということをかなり強調しておられたのですが、それは解釈を変えられたという理解でよろしいですか。

○後藤民事第二課長 オープンクエスチョンだというふうに先ほど八田先生の方からありましたけれども、確定的にそうだということではなくて、そういう考え方もあるということだと思います。私どもの現時点での考え方は今私が述べたとおりです。

○福井専門委員 要するに、その部分は行政書士云々の独占部分ではなくて司法書士でもなし得るという理解でおられるということですね。

○後藤民事第二課長 そう考えております。

○福井専門委員 わかりました。

○八田主査 私はそこが一番関心があるところだったのです。前に考えたときはそこが一番のハードルで、そこが何とかなれば全体の体系として本当に一緒にお考えくださったのがうまくいくのではないかなという感じでしたので、大変なご努力どうもありがとうございます。本当にA案になるように期待しています。A案でないと本当に意味がないというのが私どもの会議の立場ですので、この意識調査でもそれが支持されたのは非常に心強く思っております。
 今日は、本当にお忙しいところをお越しくださいましてどうもありがとうございました。

○高岡土地情報課長 今のお言葉は非常にありがたく、今後も頑張らさせていただきたいと思いますけれども、A案だけが役に立つということではなくて、B案も役に立つしC案も役に立つと、それぞれメリットがあるというふうに私どもは理解しております。それぞれやっぱりいいところがあるというふうに理解しております。そのことだけちょっとお話をして、先生方のご意見もよくわかっておりますので。

○八田主査 私どもの考え方では、B案、C案に関することをA案ができればあとは統計的に処理できますし、それである意味ではオープンなところでやられた方がいいだろうというのを前に縷々申し上げたとおりです。

○福井専門委員 ちょっと待ってください。「それぞれ役に立つ」というのがよくわからなかったのですが、A案ではできなくて、B案かC案でできるメリットというのは何かあるのでしょうか。

○高岡土地情報課長 A案がいいとか、B案が悪いとか、そういうことを言うつもりではなくて、例えばB案でもそのある地区の最新の取引価格がわかるとか、あるいは取引件数がわかるとか、あるいは取引の……。

○福井専門委員 わかりますけれども、このパンフレットでも、まさに右側のこの「透明性低い」から「透明生高い」に至る矢印があって、情報開示の度合いで色分けまでされておられます。要するに、透明性が低くなったものからだんだんと情報量が多くなって、連続して最後一番透明性の高いところに至るというふうに、まさにご自身でお作りになった資料を我々そういうふうに受けとめたのですが、もう一回聞きたいのは、A案でできないことでB案かC案ではできるという、情報開示に関して何かA案では不可能なメリットというのがあるのかどうかということだけお聞きしたのです。

○高岡土地情報課長 非常に難しいご質問ですけれども、そういう捉え方もあろうかと思いますけれども、それぞれメリットがあるというか、役に立つ制度だという……。

○福井専門委員 聞かれたことに答えていただけませんでしょうか。

○高岡土地情報課長 非常に難しい質問でお答えしづらい。

○福井専門委員 A案では出ない事実でB案かC案なら出るという事実があるのかないのかだけ端的にお答えください。

○八田主査 これは何にも厳しい質問ではなくて、ただ事実関係に関してだけということだと思います。ほかに全然事実関係とは別のメリットがあるというならおっしゃればいいと思います。

○福井専門委員 メリット、デメリットの評価ではないです。事実をお伺いしているのです。

○八田主査 本当に事実に関してです。

○福井専門委員 もう一度繰り返しますが、A案でできることでB案かC案でできないことは、あるいは開示されない事項はあるのですかというご質問です。

○高岡土地情報課長 それはないですかね、事実としてないです。

○福井専門委員 ということは、それぞれのメリットというのは連続的なものだと理解すればよろしいわけですか。それぞれの案ごとにメリットがあるというのはある意味では当たり前のことだと思うのですけれども、連続的なものとして理解すればよろしいわけですね。

○高岡土地情報課長 おっしゃっている趣旨のとおりで、連続的と言えば連続的だと思います。

○福井専門委員 要するに、情報開示については包含関係にある。A案が一番たくさんの情報をカバーしていて、その中にB案の情報があり、B案の情報の中にまたC案があるというものだということでよろしいわけですね。

○高岡土地情報課長 そうですね、理屈的に言えばそんなことかなと思います。

○福井専門委員 もう一回確認ですけれども、それぞれにメリットがあるというのは、まさに開示の程度に応じてその情報開示がもたらすメリットがある、しかしそのメリットの量は当然A案、B案、C案で違うという理解でよろしいですね。

○高岡土地情報課長 おっしゃるとおりです。

○福井専門委員 わかりました。

○八田主査 基本的にはA案のような情報が出ないことで、しかしその内輪で情報が廻っていって、その情報を持った人がいろいろな意味で有利に立ち回ると、それが非常にまずいということが根本的な情報開示の原点ですから、我々がA案が望ましいと考えるのはそういう立場です。

○高岡情報課長 先生方のご意見は十分理解しております。

○八田主査 どうもありがとうございました。

【河川空間の有効活用(河川占用許可)について】

○八田主査 それでは、次に河川空間の有効活用についてのヒアリングをさせていただきたいと思います。今日はお忙しいところをお越しくださいましてどうもありがとうございました。
 この議題についての我々の問題意識は提示させていただいたと思いますが、国土交通省からそれについてお話をいただきたいと思います。

○望月治水課長 治水課長の望月と申します。
 問題意識は共有しているのですが、少し歴史的な経緯も含めてバックグラウンドみたいなお話をご理解いただいた方がいいかと思いまして資料を作ってみました。
 最初に、日本の河川の特性というのがあります。これは後ほど図でもご説明しますが、日本列島は、細長い島国で真ん中に脊梁山脈がありますので川がすぐに海に至るということで非常に急勾配であります。したがって洪水もすぐに起こる、すぐに水が出てしまう、流速も早いという事情がある。それから集中豪雨が発生しやすい、それから河状係数といいまして、普段の川の水と洪水のときの水の量の比でありますけれども、普段と洪水とえらい違うということであります。いずれにしても、治水ということを我が国においては非常にベースにおいて考えていかざるを得ないという部分のご説明であります。
 その次ですが、要約だけお話ししてその後ちょっと写真をごらんいただきますが、明治の当初は、いわゆる舟運といいますか、まだ道路ができておりませんでしたから、川というのは舟運で使われていたという時代がございました。したがってそのときは、国の役割はそういう舟運路をしっかり整備するというところだったのですが、明治の中期以降、大洪水が相次ぎまして、国は今度は治水そのものをしっかりやろうというふうになりました。その過程で、その表にありますが、明治29年に昔の河川法というのができまして、治水優先ということで進められてきたと、こういうことです。実はこのとき、河川空間自体がいろいろな形で不法に使われていたという経緯があります。これは明治もそうですが、不法と言っていいのかどうかわかりませんが、前々から河川を生業とする方たちも多かったということと、それから戦後、話が飛びますが、第二次世界大戦後ですがいわゆる引き上げた方々が河川敷にいろいろ家を建てて住むというようなことがございまして、これは全国的な状況なんですが、そういう状況ですと洪水が流れるのにも支障をきたしますし、その方たちも洪水だと流されてしまうと、家も流されてしまうということなので、河川改修にあわせてその河川空間を整除していくというのが非常に大きなお仕事になっておりました。その際に、一般使用の原則、一旦クリアしたその空間は一般使用だと、つまり誰かに占用させるということはしないと、不特定多数の者が自由に使えるよという原則で進めてきたという経緯があります。
 歴史的にはその後、その2番目の欄をご覧いただきますと東京オリンピックと書いてあるのですが、新河川法が昭和39年にできまして、東京オリンピックを契機に国会でも大分議論され、日本人の体力を高めなくてはいかんのではないかと、河川にそういう広大な空間があるだろうと、そこをその運動場なり何なりで使わなくてはいけないのではないかと、こういう話が国会で議論されて、そこから運動場としての利用というのが一般的に行われるようになってきたという経緯があります。このときはいわゆる運動場ですので、非営利の原則というのを入れて、要するに自治体等がそのスペースを借りて、占用して運動場を整備してみんなに使っていただくと、こういう時代がありました。ちょっとそこまでを図でご説明したいのですが、その次のページを開けていただけますでしょうか。
 ちょっと目で見ていただければと思います。上の方に、さっき言いましたように日本の川というのは治水を考えざるを得ないというあたりをお話ししているのですが、その諸外国の川と比べて急速に高いところから海に行ってしまうということですので非常に急流だと、ちょっとした雨でも大きな洪水になると、急に水が出てくると、こういう事情があるということです。
 それから下の方の左ですが、世界の降水量と比べて日本は多雨であります。なおかつそのいわゆる梅雨時と台風シーズンにまとまって降るということですから洪水が起こりやすい。それから下の右の方の図をごらんいただきたいのですが、洪水時と平常時の流量比較と書いてあります。洪水時というのが一番大きい四角だと思っていただくと、利根川というのが緑で下に小さく書いてありますけれども、ふだんは 100分の1ぐらいしかない、洪水になると 100倍になる。だから、普段は河川敷でオープンスペースで広々としているところが洪水のときは水がどっと流れるという状態になるわけです。これがドナウ川とかミシシッピー川の例を見ていただきますと4分の1とか3分の1ですので普段と洪水時と余り差がないということであります。したがって、我々がその河川空間をどういうふうに利活用していくかということを考えていく際に、洪水対策ということをどうしても一番のベースに置かざるを得ないということです。
 次のページの写真でご覧いただきますと、上が神田川の例で左が平常時の写真です。右が洪水時の写真です。このように水の量がどっと増えてしまうわけです。波打って流れているのが見える。下が揖斐川、これは岐阜の方ですが、揖斐川・牧田川の合流点、左が普段で右が洪水時、去年の7月に大垣でもかなり大きな水害がございましたけれどもそのときの写真です。こんな形でそこらじゅうが水になってしまうということです。ここを頭に置いておかないといかんということであります。
 その次をご覧ください。
 先ほど言いましたように、戦後、不法占用を撤去してきた歴史というのを写真でお示ししてあります。左の方をご覧いただきますと、これは広島の太田川です。ここで、ちょっと見づらいですけれども、たくさんの家が見えます。これを右のようにオープンスペースにしてきたという歴史があります。その下が東京の江戸川です。この左に拡大した写真がその下についていますが、こんなふうに家がいっぱい建っていたのですね。それを撤去していって今右のようになってきていると。こういうことです、オープンスペースにしたと。それからその下が、これも白黒で左の方にありますこれはゴルフ場です、左、これは多摩川ですけれども、これをやめさせて、右はこれ野球場だと思うのですけれども、治水をベースにしながらオープンスペースにしてきたという歴史があるわけです。オープンスペースをつくって不特定多数の方にお使いいただく、その後運動場という話で非営利の者に貸すということをやってきたという歴史です。
 また最初のページに戻っていただきまして、真中からちょっと下に「価値観の多様化の時代」と書いてあります。その後非常に河川に対する物の見方は変化をしてまいりました。今度は環境というのが出てきたのです。昔の河川を川のままにしておくべきではないかと、河川の中の自然環境というのを非常に大事にすべきではないかという考えが非常に多くなってきました。
 これは、誤解のないように申し上げますが、いわゆる大河川、多摩川みたいな大河川だけではなくて治水対策優先で都市部の中小河川を整備しました。例えば先ほど写真でご覧になった神田川みたいなコンクリートで三面張りしてあるような川がありますけれども、ああいうところでも実は自然があるのです。それをそれなりにまたちゃんとしっかり確保していけというご意見も非常に強いということで、環境という新たな軸が出てきたわけです。そこにありますが、平成9年に河川法を改正しました。河川法を改正して洪水対策と利水だけじゃなくて、環境も河川の管理の目的にするぞというのをここで謳ったというのが今の状況であるわけです。そうすると、河川空間の利用という観点から見ていくと、さまざまな価値観、つまり運動場に使いたいという従来の流れの人たちもいる中で自然環境を大事にすべきではないかという人たちもいるという、そういう状況に今来ているということになるのです。
 今、我々は、実は平成9年の河川法改正の中で、1つの合意形成のルールを一応入手しました。それは、従来河川の計画というのは国が一元的に決めるという形をとっていたのですが、河川基本方針と整備計画と2つに分けて、その整備計画の中に当面の整備とそれから管理をどうしていくかという内容を盛り込むのですが、それを決めるに際して徹底的に公聴会をやるとか、各自治体の意見を聞くとかという仕掛けというのを法的に位置づけたということであります。
 したがって、そういう過程でここはどうしていこうか、このエリア、1つの河川のこの部分はむしろ自然をしっかり守っていかなくてはいけないのではないかとか、あるいはこの部分はいろいろ利用をしていこうではないかとかという話が、一応の合意形成がとれるツールとしてでき上がってきたというのが今の状況です。
 そこで、その一番下の3つの視点というところをご覧いただきたいのですが、河川の利用を考えていく際に3つ課題があります。1つは、一番ベースとして治水の問題があります。日本の川の特性から考えて、治水対策上まずいということは、これは徹底的に排除せざるを得ない、これは多くの方々にご迷惑をかけることになりますからやらないといかんと。2つめに、価値観が違うので合意形成がされてなくてはいかん。この地域でどういうふうな利用をしようか、あるいは保全をしようかということの合意が非常に大事だということですから、これが第2点めです。その次に利権の関係です。今までざっとご説明しましたが、最初に治水優先主義で河川空間にあったいろいろな不法占用の住宅などを撤去していった時代は一般使用の原則でいった。誰もが使えるけども占用は認めないという考え方。その次に、オリンピック絡みで運動場を作ろうと、運動場を作るのは自治体にやらせましょう、相手も非営利ですし非営利の団体にやらせようという形でやってきた。その後で、いろいろな要請を踏まえる中でその価値観の調整という欄に書いてありますが、国とか地方公共団体でなくても非営利団体ならいいよと、だからまだ非営利の原則は残しているのですけれども、という形でやってきたいという歴史があるわけです。
 ところが、我々としても河川というのをいろいろな形で価値を皆さんに享受をしていただくというのが非常に大事だと。まちづくりの中で川をいろいろな形でみんなに親しんでいただければいいのではないかというのが大きな方向としてあるわけです。それをやっていこうとすると、今度は営利も認めていかざるを得ないだろうということになるわけです。ところが、営利と言うけれどもその場合には利権の問題が必ず絡んでまいります。したがって、そこのところをどうやってうまく切り抜けるかということを、いわゆる社会実験的にチャレンジしてみなくてはいけないのではないかという問題意識を持っているわけです。
 そこで、都市再生絡みで2つの河川について実際にやってみようということに今なっています。1つは、先ほども出てきましたが広島の太田川、それからもう一つは大阪の道頓堀川、阪神タイガースで大分飛び込んだりしていますが、この2つです。この2つは、まず治水の面から言うと、道頓堀川は洪水は流しませんから問題はない。それから次に太田川ですが、太田川は洪水は流しますが、あそこはいわゆる三角デルタになっていまして本川以外に幾つも派川があるのです。たくさんあります、まさに水の都ですが、したがって洪水を流すという点では結構余力があるのです。この2つの条件がまずあると。ただ、洪水のときに物を残したままでいますとそれが流れてまたいろいろなものに当たったりしてまずいですから、そこは洪水のときはもちろんいろいろなものは撤去していただくという前提ですけれども、治水の問題とかは何とかなると。
 その次にその価値観の調整の議論ですが、これは都市再生でやろうと言っているわけで自治体も必死に取り組んでいるわけですからそこはそれでクリアできている。
 問題は3番目の利権関係が調整されるかということになるわけです。現に太田川で、実はその都市再生で動かすぞという前からフリーマーケットをやっていた。これは、私どもが非営利団体にまず占用をオーケーするわけですね。その非営利団体が、実際にはそれはフリーマーケットですからたくさんお店が出るわけです。その辺は本当は営利です。結構人手があって賑いはあるのです。だから、その辺は調整で都市再生をやろうではないかとなっているのですが、ところが実はそこで既に利権絡みのトラブルが発生していて、言ってみればテキ屋です。いろいろな人がいると思うのですが、そこから何なんだあいつらはと、今占用を受けているあいつらだけでやらせておくのはおかしいではないかとか、実際に占用を受けている者に言ってくれればいいけれど、そうではなくて当然こっちに来るわけです。事務所にさんざんどうなんだみたいな電話がかかってくるという状況に今あります。
 要はいろんな形で河川空間を利用していただいた際に必ず利潤が出るはずなのです。そのときにある方たちが利潤が出る、ある方たちは店を出したい、そこの調整をうまくやらなくてはいかん。そこの仕掛けをつくって、今回はどういう仕掛けを都市再生でやろうかとしているかというと、結局別途の委員会をつくるわけです。1つはその委員会が包括的に占用許可を受けていろいろ誰かやってねという方法と、もう1つはその委員会があれは良い、これはちょっと困るよという一応意見は言ってもらって、最後は我々がいいとか悪いとか言う、つまり間にその第三者機関的な地元の人たちで集まったような委員会を組織しておいて、そこでうまく調整できないかという試みを今の都市再生の2つの河川でやろうとしているということです。これもうまくいくかどうかはわかりません。ヒットすればヒットするほど、今度はテキ屋さんではなくて、地元の方々の中で私もあそこでやりたいんだけどという人が必ず出てくるはずで、一方で既得権化したらまずいからその辺どうやるのというところはかなり難しい調整にはなると思うのですが、そこのノウハウをつまないと、せっかくその川を使って地域を活性化しようと言っているのに地域の中で無用な対立とかが生じているようでは何にもならないということで、そこをとにかく社会実験的にその2つの川でチャレンジしながらそこのノウハウを生かしてうまく切り抜けると期待しているわけですが、順次展開していこうというふうに思っているということです。
 したがって、方向としてはまさにその方向を目指したいのだけれども3つの課題があると。治水はもちろんベースとして大前提ですが、その次にうまく価値観の調整をしなくてはいかんと、ここは自然で残しておかないといかんとか、うまく利用すればいいじゃないかとか、まずそこは皆さんの調整が要る。その次に、これが一番難しいと思います。これからの初チャレンジですが、利益が出る、利潤が出る中でのその地域の利害調整をいかにうまく切り抜けるかという、この3番目が一番難しいと思いますが、それをやりながら順次拡大したいというのが我々の考えであります。

○福本水政課長 続きまして、河川局水政課長の福本でございますが、今、治水課長から全般的な背景等を申し上げましたので、2番目と3番目の資料で具体的にご説明させていただきたいと思います。
 河川法、それから河川敷地占用許可準則の抜粋をお配りしております。占用の仕組みでございますが、河川法24条がありまして、河川管理者、国または都道府県か一部政令指定都市の許可を受けなければならないとなっておりまして、これに基づきまして事務次官通達を出しておりまして、河川敷地占用許可準則ということで、第1のところに目的として、これは河川法の1条の規定を受けておりますが、治水、利水及び環境に関する機能維持、それから良好な環境の保全と適正な利用ということで規定を作っておりまして、この第6に占用主体として、治水課長から申し上げました、基本的には公的主体に絞っております。1から5までありまして、第6に水面の利用協議会等の議論を経たものについては、船舶の受け入れ施設は普通民間の人ですので、特に不法係留の問題等がありましたので、こういうものを整備していくということでこういう形を最近の改正では入れております。
 それから、第7が占用施設でありまして、これが今回のご指摘の点だと思いますが、ここで1から6まで分けておりますが、1は住民の福利厚生のために利用する施設、先ほど治水課長が申し上げましたスポーツ施設等はこれに入ってくると思います。それから2は、いわゆる道路とか鉄道の橋梁等の公的な公益事業の関係であります。それから3はまちづくりに関する施設でございますが、この点については、例えば、市街地再開発事業等の際に川をまたいで施設をつくったりするような場合を認めていますが、かなり限定的であるというのはご指摘のとおりであります。
 そして、4番に水面の利用、いわゆる水面等の関係の施設、それから住民生活のための通路等のもの。6は、これはラジコンとか非常に場所が限られておりまして、これらについては限定的に認めているという現在までの制度がありまして、あわせまして、この今の3のところに一体的な工作物、売店とか便所、休憩所、ベンチ等を認めております。
 第8の全般の基準としまして、治水上、利水上の支障を生じないものでなければならないということで、例えばある程度施設をつくっていただく場合に、すぐ例えば洪水等の場合に撤去できるということを条件として付しまして、治水上問題ないことを記しているということでございます。
 それからちょっと飛びまして、第15のところに一時占用の許可という制度を設けておりまして、全般に言えば、例えば工事とか、それから例えば花火大会等の際に河川敷地についてかなり一時的な占用を認めることによって柔軟に対処しているという規定がございます。ですからご指摘の点で、水面における臨時店舗や仮設店舗の営業についてこれでできることもあるかもしれませんが、その点も対処したのがこのもう1つの資料にありまして、これも治水課長から申し上げましたが、占用許可準則に関して都市再生の関係でございまして、これはご承知のとおり小泉内閣になりましてからヒアリングをしてプロジェクトを出してまいりまして、その中で大阪市と広島市の方から提案が出ましたので、これについて私どもの方で一緒に話をしてきたということであります。
 大阪と広島の例で具体的にちょっと資料の3ページを見ていただきますと、横長の部分ですが、大阪の場合は左の上に4つのブロックがありまして、一番左上にありますが、これは水の都大阪再生構想ということで4つのゾーニングをしまして、中之島、東横堀川、木津川、道頓堀川と、このうち道頓堀川の方が今回の例にかかりまして、この右下に区域が出ておりますが、一定の区間、これは実は治水上問題がないということで、この東横堀川と1つ図面に書いてありますが、東横堀川の一番上のところに東横堀川水門というのが整備されています。それから、木津川との合流点に道頓堀川水門というのが整備されまして、大阪の場合は逆に海から逆流することもありまして、何か安政の大地震のときには大阪湾の船がここに来て道頓堀川が船で埋まってしまったということが、地震の際に高潮が重なって逆流してきたということがあるそうでありますので、両方の治水の安全を確保する必要がありますが、ここに水門が2つできましたので水位はそれほど大きな変化は予想されないということで、それならばこういうことができるのではないかということで、大阪市が考えておりますのは、この左側にあります現在矢板が立って非常に無味乾燥な形になっていますが、ビルを全部反対側の道路に向けて、こっち側はもうほとんど裏道、裏側ということになっていますが、これを全面的に改修しまして、ここにあります遊歩道を整備されまして、これは現在今年度予算で整備中でございますが、これにあわせていろいろな賑わいの広場を作りたいというご相談がございましたので、先ほど申し上げた治水安全度を確認した上で個別に今回認めるものについて、右の上のようなものを認めていってはどうかということで今案を固めて、いわゆるパブリックインボルメントをしているところです。
 具体的には、ここにあります観光船を固定しまして、中を水上レストランのようにして活用する。それから切符売り場とか船着場、切符売り場等は従来割と固定的なものですので河川区域の外につくっていただくことにしておりましたけれどもこれも認めていこうと。さらに、オープンカフェですとか日除け突き出し看板、広告板といったものを認めていくということでありますが、これも先ほど治水課長が申し上げましたが、これを認めるに当たってはその公共的な主体を絡ませるということで、地元の協議会等も絡んでそういう利用適正を図りつつ、かつ治水の安全度の問題にならないものを認めていくということでございます。
 同じく、広島の場合はどういう点を見たかというと、次のページの4ページですが、これも写真がわかりやすいと思いますが、水辺のステージとなっていますが、この高水敷といいますか、河原が割と高くなっておりまして、これは河川を整備しましてある程度高さが整備されて、予定、想定している洪水の場合、計画高水位というのがございますが、それよりも上回る高さになっているということを確認した上で、これらについてはオープンカフェのようなある程度固定的なものを認めていくという運用をしたいと思っていまして、これを今回案をまとめまして、これはいずれも今整備中でございますので、16年度当初の運用開始に向けて現在案をまとめていただくということでございますので、私どももこういう形で個別のそういう水辺の活性化とか運用していく点があれば個別に弾力的に対応していきたいと。治水上、それから先ほど申し上げたいろんな権利の問題とか、そういう点を留意しながら可能なものはできるだけ前向きに取り組んでいきたいと、こういうふうに私どもは基本的には努めてございます。
 以上でございます。

○八田主査 非常に周到なご説明をいただきましてどうもありがとうございました。今の現状がよくわかりました。
 残り時間もあまりありませんので、要点に入りたいと思うのですが、まず課長がおっしゃった治水、それから価値観、それから権利の調整、それらが大切であるとおっしゃったのですが、なるほどそうだと思うのですが、特に治水と価値観の問題、これはそれこそ公的な場で協議せざるを得ない問題だと思います。今度、その場所を例えばフリーマーケットなり、それからいろんなベンダー、臨時店舗だとかオープンカフェだとか、そういうところに貸した方が街の賑わいができるだろうというときに、どうその権利を配分すればいいか。私は経済学者だから考えるのかもしれませんけれども、普通ならば入札とか価格とかを考える。もちろん入札してもいいし、それが面倒くさければ価格を決めてその応募者が非常に多いときには次の年にはそれをもうちょっと価格を上げる。実績入札に近いものにしていく。そういうのが自然だと思うのです。
 それで、先ほどお話しくださった歴史について見れば、一番最初の誰でも自由に使っていいよというときは、ある意味で混雑を許容する状況で価格はとらないという状況だった、それからそれを排除して完全な公共的な財であると、これは言ってみれば価値観の問題で、そういうクリーンな環境にして治水の目的のためにもそういうことをしたということなのでしょうが、普通の一般的な資源の使い方というのはやっぱり料金を取ると、料金を取って一番払っても使いたいという人に使ってもらうと、それが最終的な消費者の言ってみれば投票権を得たような使い方というふうに考えることができると思うのです。この場合も、実験をお始めになったというのはすばらしいことだと思うのですが、実験の期限を切って何らかの料金をきちんと取っていくと、それを競争的に決めると、そういう仕組みを持ち込めないだろうかということなのです。街の賑わいということのためにはテキ屋が入ったって当然いいわけで、だって縁日というのはテキ屋さんで成り立っているわけですから入っていいわけで、ちゃんとした料金を払ってくれればいいわけです。その料金をきちんと取れるかどうか、そういうオープンな透明なシステムができるかどうか、そこにこういう賑わいを河川につくるシステムが全国に広がれるかどうかというのはそこにかかっていると思うのですけれども、それについてどうお考えでしょうか。

○望月治水課長 普通の経済原理と違う部分がもしあるとすると、もともと河川は国有財産であり国有地であります。したがって、いろいろな方々が本来利用するべき筋合いだし、いろいろな意見をお持ちの方々から見て、まあまあそれならいいよねというふうにみんなが思ってもらわないと、あれおかしいじゃないかという話になってしまうということであります。
 おっしゃるように透明性は大変重要で、それでおっしゃるような実験もしてみたらいいとは思うのですが、そのときに余程うまくコンセプトをつくっておかないと、とにかくその利潤を上げられるだけ上げてというような話だとその周辺の景観と合わないとか、賑わいのムードがおかしくなるとかというのがあると思います。

○八田主査 制約をつける。

○望月治水課長 それでやってみればいいと思う。ただし、もう1つ問題があるのはこの占用料というのがあるのです。国有地を使うので占用許可を受けるわけですから占用料を払う。これがあんまり今は高くないのです。それと、我々ではなく県に入る形になっているので、各県が占用料をどう決めるかという話になる。だから、その辺も地方分権ですから、どうこうせいとは言えないけれども、実験をいろいろしてみる中で県はいろいろやってみるのだろうなとは思うのです。ある意味では少し高めにしてみたらどうなるとかやってみたらいいとは思うのです。ただ、今先生がおっしゃったようなテキ屋が入ってもいいのではないかというふうにみんなが言ってくれるかどうかはわかりませんから、そこはかなりオープンな状態で見せながら、まさに実験ですからそこでどういう反応が出てくるのか、広島なら広島の市民がどういうふうに物を言ってくるのかということをちゃんとフォローアップしてみるということだろうと思います。

○八田主査 おっしゃるとおりで、まず治水が大切でその次が価値観が大切でという、その価値観に入ると思うのです。どういうものならばいいということが入ると思うのですが、しかし、例えば賑わいを作りたいということでその一定の基準を決めた商業活動に開放するということになった場合、その場合にこれは県が設ければいいでしょうとおっしゃったのですが、実は先ほどの法律をいろいろご説明いただくと、必ずしもそういう商業用の店舗がオープンできないのではないかと思うのです。スポーツ施設とかそういうのはいいと書いてありますけれども、先ほどのどういうものが許せるということのリストがありましたね、それが最後の15条の一時的な占用ということで全部解決できるならそれは何の問題もないですけれども、これは基本的には解決できるわけですか。

○望月治水課長 一時的なものはあり得ます。

○八田主査 毎週土、日だけとか。

○望月治水課長 ですから、さっきの洪水の話がベースにありますから、極端なことを言えば川の中に家建ててもらっては困るわけです。だから、洪水のときは撤去できるという話がもちろんベースにはなりますね。

○八田主査 でも、この最後の15条では、一時的占用ならばこの準則によらないことにするというのですから、これはそういう商業的な施設でもよろしいわけですか。

○近江企画専門官 可能ではございますけれども、前に花火大会とかそういう河川敷地を使ったイベントの類がございまして、そういうときに例えば花火大会をするとどうしてもそうしたものがないと花火大会のイベント自体が成り立たないものですから、それを認めるために規定を作っております。花火大会ですとその期間、例えば3日間とか、あるいは長くてもせいぜい1週間程度で、不定期なイベントについてはそういった適用もできるわけです。ただ、その場合も、花火大会なら花火大会で、主催者の地元の公共団体等に占用許可を出すのを原則にしております。その上で、許可を受けた地元の市町村等の団体が、おたくはいいですよと認めた者だけが現実的には出店をしておるという状況です。

○望月治水課長 補足ですが、もし毎週日曜日に何か使いますというものだと一時占用というわけにはいきません。これは周りの方がいつも日曜日はそうなっているではないかということになりますので、これはちゃんとした占用許可を出さなくてはいけないと思います。

○八田主査 その際の占用許可はもちろん直接お店には出せないわけですね、県といえども。

○近江企画専門官 出しておりません。

○八田主査 今の準則ではできないですよね。ここのいろんな施設、オープンカフェとかそういうものは、占用施設として7条で許されているものの中には入らないですよね。

○望月治水課長 だから、そこで今仕掛けを考えているところです。

○八田主査 都市再生型のものだけが今例外ということですか。

○望月治水課長 都市再生ですが、そのときに委員会とか管理組合的なものをつくって、公的な段階をつくってそこに一元的に与えるとか、あるいはさっき言ったように委員会の許可を得て与えるとか、許可と言ったら変ですけれども、委員会の了承を得て・・・。

○八田主査 そうすると、その委員会が県に対して占用料を払うわけですね。

○望月治水課長 占用許可をその委員会が受けていれば委員会が払います。

○八田主査 払うわけですね。

○望月治水課長 払います。

○八田主査 そして、その委員会は先ほど私が申し上げたようなその価格付けをしてもよろしいのですか。

○望月治水課長 そこはこちらは言っていません。当然その委員会としてもお金はかかります。もちろん占用料自体は払わなくてはいけないというのもあるし、交通整理とかいろいろやらなくてはいけないとか、いろいろな金はかかりますから、当然それは実際に出店されている方から徴収すると思います。だからお金を取ることになります。さっきの太田川のフリーマーケットでも取っています。

○八田主査 河川管理者に入らない。だから、そのお金が例えば実費負担というような形ではなくて、先ほどのように基本的には入札と、要するに払えるものは払えるという形で入って、それが何らかの形で河川管理者に入る、一番最初のその許可を与えているところに入るという仕組みがないと利権の問題は解決しないのではないかと思います。誰かが、いかによさそうな顔しても誰かが不当な利得をとると、むしろ悪そうな顔をした人を差別して、よさそうな顔をした人が不当な利得をとるということがどうしても起こるのではないかと思います。

○望月治水課長 わかりますけど、今のスキームでは先ほどの占用料というのがあって、これは昭和39年の河川法改正時のいろいろな経緯があって占用料自体は県に帰属するとなっているのですけれども、ご案内のとおり非常に安い値段、ほとんどただみたいなものだからあまり意味をなさない。先ほどの太田川でいけば、これは国の管理ですが、広島県に入ります。道頓堀川は大阪市の管理だが大阪府に入る。だから、そこのところを実際に管理している主体に入れるということは、ちょっとこれはなかなか大ごとですけれども現行法規ではできないです。

○八田主査 そうしたら、入らないまでも価格付けをして、それがどこか公共の団体がある意味で中間搾取できると。

○望月治水課長 そのときにその話をオープンにどっちにしてもしなくてはならないと思いますし、それから、実際に広島とか大阪でやってみたらというところまでは言えるけれども強制はできません。多分そのときにやってみようかなと半分思ったと、半分思ってオープンにしたときにまたどういうふうに大阪市民なり広島市民から言われるかという話が入ってくると思います。

○八田主査 私の唯一の気がかりは、要するに特例でなきゃできないのですよね、ここのリスト、準則の中に入ってないですから、そのオープンカフェとかそういうものは。だから中間的なものをつくらなくてはまずいということですね、委員会なり地方自治体なり。

○望月治水課長 それは、いわゆる河川法上どうするかという問題もありますが、同時にその地域内のトラブルを避けたいという思いももちろんあるわけです。例えば、河川管理者が直にどこかの企業にここを使わせるという話は本当にそれこそ利権みたいな世界に入ります。

○八田主査 そのオープンな透明性の高いその価格付けに基づいて、誰でもが入札できるようにしたら、誰も後ろ指をささないのではないですか。そういうルールがないところで貸し出すと、これはみんな後ろ指をさすということではないですか。

○望月治水課長 それはそれこそやってみればわかりますが、先ほど自然保護団体を含めて、要はそういうふうに国が商売をすること自体に対して相当の抵抗感は出てくると思います。

○八田主査 しかし、抵抗感云々の問題よりは合理的にその賑わいをつくり出そうと思ったら、どうしてもその最も能率よく人々、お客様を集めることができると……。

○望月治水課長 ですからそれを、実際にその抵抗感の有無についてまさに実験をしてみたらわかると思うのです。ただ今の制度上は占用料を引き上げるみたいな話はできません。それはいろいろほかのことを考えないといかん、そうすると公的な主体がとりあえず広島にしても大阪にしても一括して云々という話になっていますから、そこがいろいろな利潤を上げたらそいつをまた何かに使えばいいですね、法的に。ただし、直接的な営業する人からそれなりの費用をいただくよという話は可能なわけですね。

○八田主査 ということは、私の申し上げているようなことは中途段階で市を置けば全部可能である、今の法律上可能であるということですね、そういう解釈をしてよろしいのですか。

○望月治水課長 もちろんそうです。

○八田主査 だから実験はできると。

○望月治水課長 実験はできる。だから実験をして、それをどれだけ皆さんがちゃんと認知してくれるか、それからそのトラブルなくうまく進むか、それは先生おっしゃるように経済原理で動けば必ずうまくいくはずだと言いたいけどそれはわからないですから。

○八田主査 そんなことない、やってみる価値があるでしょう。

○望月治水課長 やってみます、もちろんだからやってみようと思っているのです。

○福本水政課長 そういう意味では、今回の場合は例えば大阪ですね、大阪市に我々も別にどこを指定しなさいと指示していません。ただ、大阪市の意向としては、やはり河川はこれは誰のものかということになりますが、河川の利用に関しては準則にもありますが割と地域住民、地元の住民のメリットというのもやはりありますので、そこで今回の場合も地元の商店街を中心に活性化しようということで、例えば外部の方で大資本をどんと入れて敷地は一定程度貸していくということは考えておられません。ですから、そこはもちろんそれはあり得ると思うのです。先生のおっしゃることもあり得ると思いますし、トータルでそれこそ大きなディズニーランドでも入ったらもっと人が来るかもしれません。それはおっしゃるとおりですが、そこはおそらくバランスで、そこは地元の中間にある自治体のご判断にお任せするのかなと。

○望月治水課長 ですから、大阪なり広島なり、実際にやるときにこんなものもやってみたらどうと、それに決めることはないけど、みんなの意見聞いてみたらどうというまさに実験としての市民のリアクション確保、それもやらないと言うかもしれません、それはわかりませんけどそれは可能です。

○八田主査 そして、その市などがそのお金を取ってもそれは国交省としても文句は言わないと。

○望月治水課長 そこは地元にある中間の自治体の判断ですから。

○八田主査 今の段階はそこであると。そして今度将来は、本当にその委員会にそれを渡すのは正当だろうかという問題が次に出てきますね。というのはその委員会が利権をとれますからね。そうすると、最後はどの委員会に渡すかいうときに治水とか価値観とは別ですよ、賑わいをつくろうというところにどうしても管理者がお金を取るという仕組みが必要だと思うのですよ。それで、その仕組みを考えていただきたいというのが我々の要望です。

○福井専門委員 私も基本的に全く同じですが、中部地方建設局で水政課長をやって、これと全く同じ仕事をしていましたからある程度は同じ問題意識は共有していると思います。河川管理の担当者は現場の人であればあるほど、もちろん治水、環境ということについては全く同じ認識だと思うのですけれども、占用料の問題とか、あるいは利権化した占用の問題について問題意識を持っているわけです。今までからある、戦後まもなくからあるというだけでレストランとかボートとか、いかがわしいものと呼ばれるもので随分認められてきているのがある一方、新たに何かやろうとすると大変厳です。しかも河川管理者としては、ちゃんと占用許可を与えたからといって占用料が県に入ってしまうので、特に直轄河川ではそれはインセンティブにならないのではないかなど、いろいろな矛盾があることも現場の人たちの随分共有された認識だったと思うのです。
 やはり今八田先生から申し上げたように、もともと河川というのは国民の財産です。もちろん地域住民の財産でもある。だとすると、河川も、環境にせよ、スポーツ施設にせよ、使って何らかの収益が得られたのであればそれはもとに戻す、国民に戻すというのが筋で、利益を上げることに使ったにもかかわらずうんと安く使えてしまうというのは、やはり利権とか不透明な輩をそこに呼び寄せることになるので、価格を使うというのは非常にフェアなやり方になります。しかも、一定の環境とか治水の大前提は当然のこととして、その中で一番みんなに喜んでもらえるようなことをやる人がある意味では高い値付けで入札され得る人ですから、枠組みを決めた上でフェアな価格で調整する仕組みを、中途の自治体を介在させるというよりも、端的に河川管理者と占用許可を受ける者との間で一種の模擬市場を形成するのがあるべき方向ではないかと思うのです。
 だから、今回のような試みは大変結構なことだと思うのですが、やはり中長期的に見ればその河川の占用料の決め方、あるいは河川の利用に伴う対価をどう決めるのが国民のためなのかという観点の中では今の体系を見直す余地があると思います。

○望月治水課長 行政の現場では、結局かなりの価値観の、最初の1つ前の部分ですが、価値観の変化の中でどういうふうにこれから乗り越えていくかというのが非常に重大な課題になっています。そういう意味でいうと、例えば淀川では流域委員会、整備計画をつくるので流域委員会というのをつくっているのですけれども、中で川は、本来の川の姿に戻せと言っていて、運動公園みたいなものも順次縮小していけと、さすがにすぐにとは言っていないですが、順次縮小していけというような意見が出てきている。
 それから、環境の例でいうと北陸ですけれども、阿賀野川というところで、災害復旧工事で堤防が壊れかけているから直しますよと、堤防というよりは正確にはもうちょっと前のものですけれども、その川の中に生えている木を切らないとその作業スペースができないと、それがだめだと、環境調査をしてからやれと。さすがにそれは周辺のマスコミもこれはおかしいなと、住民もおかしいなとなって、一応調査はやって工事は今着工していますけれども、要するにそういう価値観の対立を我々としては周辺住民みんなこう思うよねと、あれはやっぱりおかしいよねという中で切り抜けていくという今は仕掛けをとらざるを得ないという状況にあるわけです。
 だから、今おっしゃるような話、理想論としては僕らもぜひやりたい、最近その河川の整備云々の話もありますから、そういう賑わいのある整備も一方でやっていかなくてはいかんとするとそれなりの施設整備要ります。村山先生のご提言でも昔の川を少し取り戻すような整備をしたらどうだと、それがすぐできないからとりあえずやってみたらというご提言だけど、お隣の中国ではそんなこと現にやっているわけです、昔の川を取り戻すために。そのぐらいのことはしていきたいけれども、そういった財源には充てたいなとは思いますけれども、それを今言った途端にとてもではない。話がおかしくなるなとは思うのです。だから、そこはちょっと行政の知恵かもしれないけれども、今みたいな中間的なものをつくりながらそこでいろいろ試してみるという仕掛けをやってみたらどうかなというところだろうと思うのです。ただ、最終的に今の経済的に資金というのをこっちへ持ってくる、持ってこないという話は別としても、少なくとも今のある河川空間の価値のにぎわいみたいな形でご利用いただけるという部分を引き出していくということは当然必要だろうという、そっちの方の目的もありますからチャレンジはしたいと。

○八田主査 福井さんも言われたように、とにかくこの実験されるのは大変いいことだと思うのです。しかし、やはり利権に関しては価格を利用するのが一番透明性を高めると、その視点がちょっとなかったように思うのですよ。それで、先ほどの運動場もやめて自然に戻そうよという意見がある、場所によってあると、それは大歓迎で、それとこれとは全然別な話で、一遍賑わいをつくろうよと決めたときにどうやって権利を分配するかという話だと思います。

○望月治水課長 ちょっとここも1点是非念頭に置いて、先ほど福井専門委員が現場の話をしていただいたので是非頭に入れておいていただきたいのですけれども、その河川管理をやっている立場からすると、あそこでできたからおまえのところでここはなぜできないのだというのがいつも入ってくるバージョンです。だから逆に言うと、あそこではオーケーだけれどもここではだめだというときに、なぜあそこではオーケーでここはだめなのかということを言わなくてはいかんというのを常に意識しているのですね。ここは、実際に管理をしてみると実感としてはわかって、私もそれまではわからなかったけれども管理してみたら非常によくわかった。
 そこで、最終的に規制改革会議としておまとめいただくときに、こういう課題ありみたいな話は是非入れておいて欲しいのです。そうしないとどこでもかしこでもすぐ言ってくる人がいるのです。ここは非常に現場が困りますので、その点は是非よろしくお願いしたいと思います。

○福井専門委員 おっしゃるとおりだと思うのです。さらに補足すると、現場の河川管理者は、ひどいのを見つけてきてそれとの対比で許可申請を出す者なども多いので、あれがよくてこれは何でだということはあるのです。ただ、本当は1回最初にひどいので既得権ができてしまったら、あとは全部それに合わさないといけないとき、河川管理は成り立たないわけです。だから、本当はやはり不適切な占用を縮小ないし根絶する方向できっちりと占用許可制度を見直す、そのかわり一定の管理された公共公益性のあるものについては、厳格で公正なルールのもとに認めるというメリハリがいると思うのです。前者の既得権化したようなものが、今ではあまりに蔓延しているのが非常に全体の管理のバランスをもゆがめている要因だと思います。そちらもぜひ対策を別途の問題かもしれませんが講じていただきたいと思います。

○望月治水課長 あまりにというのはちょっとあれですけど、大分整理してきているのは事実だと。

○福井専門委員 中部地建関連などはすごい。

○八田主査 基本的には同じ問題があって、その既得権化したところにも料金をだんだん高く上げていくということが本当なら1つの手段としてあり得ると思います。すぐ追い出すのも1つかもしれませんが、料金を上げていってそれでもちゃんと耐えられるかということです。

○福井専門委員 使用料金を払わないから利権化しているというところもあるわけですね。そこは連動している問題だと思います。

○八田主査 ちょっと時間が押しておりますので、最後にさせていただきたいと思います。

○近江企画専門官 1点だけ、先ほど大阪道頓堀、あるいは太田川で中間的な公的色彩の団体を入れることによって今のような試みをやりましょうという話をしましたが、その際施設利用料を当然その団体が個別の出店者から取るわけでございますけれども、その施設利用料につきましても、今回その当該占用許可を受けている河川敷地の施設の維持管理とか、あるいは良好な水辺空間の保全とか創出を図るための費用にそれを用いてくださいということで、たまたま収益が上がりましてもそれが決して利権化にはつながらないように配慮したような仕組みを今回も講じてこういった試みをやってみたいというふうに考えております。

○八田主査 それでは、本当にどうもありがとうございました。
 繰り返しますけれども、全体的なフレームワークとしてまさにそういうふうな財源に使えるように、価格機構をできるだけ使っていただけるようなシステムを将来的にお考えいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【道路、歩道空間の有効活用(道路占用許可、道路使用許可)について】

○八田主査 お忙しいところをお越しくださいましてありがとうございました。道路、歩道空間の有効活用について、私どもから出させていただきました問題意識についてコメントいただきたい思います。よろしくお願いいたします。

○菊池道路調整室長 国土交通省道路局路政課道路調整室長の菊池と申します。本来ならば路政課長の林部がプレゼンテーションを行うところではございますけれども、ちょっと抜けられない会議がバッティングしてしまいしまして代理にプレゼンテーションさせていただきたいと思います。
 では、お手元の資料、カラーコピーで用意させていただきました3枚紙に基づきましてご説明申し上げたいと思います。
 当方で用意いたしました資料の概略でございますけれども、1枚目が道路占用制度の概要、制度の仕組みを1枚紙にまとめさせてもらっております。2枚目、3枚目、これはペアでございまして、構造改革特別区域基本方針が平成15年の7月4日に出されておりますので、それに基づいての当省の取り組み状況を2枚、3枚目の紙でご説明申し上げたいと思います。
 それでは恐縮です、1枚目に戻っていただきまして、道路占用法制度の概要でございます。
 まず冒頭でございますけれども、制度の概要につきましては、道路管理者の許可によって、道路空間への物件等の設置を可能としていると。ただ、最低限守っていただかなければいけないということではありますけれども、道路構造の保全、あとは円滑な通行の確保、これを最低限守ってその許可を行っているというような制度でございます。
 具体的には、点線の四角の中に道路法32条ということで基本条文を書き出してございますけれども、ここで1から6号に挙げるようなものにつきましては道路管理者の許可を得なければならないというような、ある意味では限定列挙的な書き方になってございます。ただ、注意していただきたいのは下線で引かせていただいておりまして、すべての号の中に「その他これに類する工作物」ということで、限定列挙ではございますけれども、ある程度運用の中で柔軟性を持たせるといった意味でこのようなバスケットクローズを設けさせてもらっているということでございます。
 ですので、一番最後の一番下の水色の色のついているところでございますけれども、対象となる物件は、各号に列挙された物件の形状や用法を踏まえつつ、個別の案件において自治体等の各道路管理者が「その他これに類する物件」等として設置を許可することが可能となっているということで、制度上はある程度自由度を持たせている形になってございます。
 続きまして、2枚目でございます。特区絡みの話でございますが、平成15年7月4日閣議決定で、一番上の背景の下の点線の四角でございますけれども、要は各路上イベント事例に関する全国調査を進め、当該事例について周知するというようなことがうたわれてございます。路上イベントにおきます各地方からの各団体からの要望が結構ありました。特区の1次では7団体、2次では同じく7団体、いろいろ規制緩和をお願いしたいというような形でありましたが、最終的にはその事例調査をして、それを全国周知するというふうな方針で決められてございます。
 それに基づきまして当省の取り組み状況でございますが、まず全国の都道府県、市町村に対しまして道路占用を伴う路上イベントの事例を調査、これは平成15年4月から同じ年の6月にかけて調査を行っております。各団体で特徴的な路上イベントの事例があるかないかということの調査をかけまして、あまりさかのぼることもできませんで平成14年度実施分のイベントについての事例を集めたところでございます。今うちの課におきましてその事例、共通的なものがあるか、また参考になるようなものがあるかというようなことを分析している最中でございます。
 下の四角に移りまして、今後の措置としまして、いい事例につきましては今年度中にまとめて周知を行いたいと考えてございます。どのような観点から整理をしていくのかというのが下に書いてございますが、主催者の構成、例えば地方自治体が入っているとか入っていないとか、また関係機関等と合意形成なり調整の仕方、これは警察庁の方もいらっしゃっていますけれども、地元の警察なりあとは地元の住民なり、あと商工会議所なりといったところの合意形成がどのようになっているのかとか、あとは物件の種類、先ほど言いましたがその他これに類する工作物というようなものがどういうものが含まれているのかとか、あとは占用許可条件の内容、これは許可をするに当たってどのようなことを追加的に条件として付しているのか、例えば掃除を行ってくださいとかというようなものがあるのかないのかというようなことをまとめて全国に周知したいと。
 周知の方法につきましては、うちの役所のホームページにまずは記載をしたいと思っています。誰でもアクセスができるような形にしたいと思っています。あわせまして、当省からは各地方整備局にこういうものを掲載したということで、有効に活用願いたいというような事務連絡か、形はわかりませんけれども、機関にも連絡を行いたいと思っております。
 その周知を行う上での効果でございますけれども、なかなか道路管理者は横のつながりが余りあまりせんので、ほかの地方団体でこういうような、道路管理者でこのような事例があるとかというのが参考になれば、いろんな形で路上イベントがしやすくなるのかなというふうなことを期待している次第でございます。
 先ほどいろいろな事例を今分析中と申し上げましたが、その一例としまして一番最後のページでございます。歩道上のオープンカフェということで、これは山口県の宇部市の事例でございます。これはちょっと期間が長うございまして平成14年7月から10月、3カ月間毎週金、土、日ということで、写真が右に載っておりますけれどもこのような形でオープンカフェを行っているという事例でございます。
 1つの特徴的なことではございますが、ピンク色の中に書いてございますけれども、これは市の「中心市街地活性化基本計画」というものに基づいてこのようなオープンカフェを行っていると。そういう意味では、ある意味では公共性が保たれているというような事例でございます。あと、歩行者の邪魔にならないようにプランターや植木鉢などで境目をちゃんと設けているというようなことで行っている事例でございまして、こういうような事例をいろいろな形で全国周知を行いたいというのが今の取り組み状況でございます。
 簡単ではありますけれども、以上でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。

○倉田交通規制課長 引き続きまして、警察庁の交通局交通規制課長の倉田でございます。よろしくお願いいたします。
 警察は、道路交通法に基づきまして道路使用許可制度というものを運用しておりますが、これは交通管理者の立場から交通の安全と円滑の確保を図るという趣旨のものでございます。
 その道路使用許可の運用に当たりましては、その対象の行為がどういう価値を創造しようとしているのか、あるいはそれに対して地域の意思はどうなっているのかということについて十分目を配る必要があろうかと思っておりますが、例えばオープンカフェ等、あるいはいろいろなイベント等につきましては、それが適切にマネージされたものであるときには新たな地域の賑わいですとか、あるいは交流の場となるという公益性を備え得るものであるということは十分理解するものでございます。その一方で歩道を通行する方々、それは歩行者のほか自転車も通行しておりますし、あるいは身障者、車いすの方々もおりますので、そうした方々の安全と円滑を確保するということも必要だということは大方の理解が得られるところではないかと思っているところでございます。
 そこで、その調整ということになるわけでございますが、そのポイントは、やはりそのイベントなりあるいはオープンカフェ等の出店につきまして地域の合意と申しましょうか、なるほどこれは地域の賑わい創出等のために必要なことであると、多少交通の妨害があってもこれはやむを得ないのであると、そういう地域の意思と申しましょうか、そういった地域合意というものがなされているかどうかというのが1つのポイントではないかと思っておりまして、実際道路交通法の法自体もこの資料にありますように、「これらの行為が現に交通の妨害となるおそれがあっても、公益上又は社会慣習上やむを得ないと認められる場合は、許可をしなければならない」となっておりまして、今申し上げましたような地域合意がなされているようなそういう状況にありますれば、それはとりもなおさず公益性がある、みんながいいことだと思っているということになるわけでございまして、受け入れられるべき性格のものであると認識をしております。
 実際、道路使用許可の実施事例でございますが、ここにありますようにオープンカフェを例にとりますと、これは大規模に行われたものとして警察庁に報告があったものをとりあえず掲げたものでございましてこれ以外にもおそらくあるものと思いますが、とりあえず今日の席に間に合うものとして資料に掲げさせていただいたものとしてこういった事例が平成15年中に報告をされているところでございます。
 なお、これ以外にもいわゆる屋台、露店等について3号許可、それからイベント・祭礼等について4号許可というものがございますが、その許可件数はこの資料の3のところにあるような記載のとおりになっているところでございます。
 したがいまして、こういったイベントないしはオープンカフェ等につきましては、道路使用許可制度そのものというよりは、その土俵にのってくる前の段階としていかに地域合意がなされているかという点がポイントだろうかとは思いますが、警察としてそういった円滑な合意形成がなされるように貢献をしていくべき事柄でもあろうと思っておりまして、そういう見地からこの道路使用許可の円滑化に向けた取り組みとしましてここに掲げましたような取り組み方針でいるところでございます。すなわち、イベント等に伴う道路使用許可手続に関しまして、実施主体と都道府県警察や地域住民、道路の利用者等との調整・合意形成の円滑化を図ることにより、地域活性化等を目的とするイベント等の円滑な実現に資するというものでございます。
 これは、その下にありますように、本年7月4日の閣議決定がなされました構造改革特別区域基本方針の一部変更、これは全国対応による規制改革事項におきまして、この趣旨でその調整、合意形成の円滑化を図るために必要な事項等を明確化するための通達を発出するということにしておりまして、今年度中に全国の警察に対しましてこの合意形成に必要な事項等を明確化するための通達を発出いたしたいと考えているところでございます。
 例えばオープンカフェ等につきましては、その社会的な意義ですとか、あるいは地域の合意形成に成功した事例から導き出される教訓といったものを全国の警察に周知をし、円滑な許可手続の遂行を図るようにし、それがひいてはオープンカフェの円滑な実施につながるようにすると、そういったものをねらいとしたいと思っているところでございます。
 以上でございます。

○八田主査 どうもありがとうございました。
 今オープンカフェの例が両方とも出ていて、道路の占用とそれから道路の使用許可の両方ともに出たのですが、オープンカフェなどの場合はどちらが必要なのですか。占用というのはずっと置いておくということと考えてよろしいのですか。

○菊池道路利用調整室長 恒常的というよりは、ある期間を区切って、できれば時間を区切ってということで、ずっとというような占用ということはまだ考えてございません。

○八田主査 期間は大体どのくらいに区切っていらっしゃるのですか。

○菊池道路利用調整室長 今事例を調査している最中ではございますけれども、ここに挙げられているのは3カ月間ぐらいで、ただ毎日というわけではなくて週末にかけてというふうな形になってございますがケース・バイ・ケースかなと、3カ月というのは比較的長い方かなと思っております。

○八田主査 そういうオープンカフェを開こうと思ったら占用許可をとるべきなのですか、それとも道路使用許可ではだめなのですか。

○倉田交通規制課長 道路使用許可は必要であるというふうに考えております。

○八田主査 両方とも必要であると。

○倉田交通規制課長 私どもの道路交通法の道路使用許可は必要であると考えております。

○菊池道路利用調整室長 占用の方も、もちろん物を置くということになりますので。

○八田主査 物を置くということだからということですね。

○福井専門委員 どう違うのですか、使用許可と占用許可は。道路占用と道路使用の論理的概念の異同がわかるように教えていただきたいのですが。

○倉田交通規制課長 道路使用許可につきましては、交通の安全と円滑を確保するという立場から、その道路の使用が、いわゆる交通の安全・円滑の確保が保証されて、交通の妨害にならないようにという見地からの調整手続であるというふうに考えております。

○菊池道路利用調整室長 占用の方は、やはり道路空間の中に物が置かれるということに対しての許可をするという形で、多分その交通安全という意味での違いが我々には余りない、ただ空間を利用するということに着目しての許可になろうかと思います。

○大窪課長補佐 補足させていただきます。担当の課長補佐の大窪といいますが、道路占用について概念的なというお話でございましたので、道路占用の場合、もともとの考え方としては、道路は通行の用に供するためにつくられるという本来的な効用があるのですが、それに加えて、一定の場合にその2次的な用途としてそれ以外の用途に供することもあり得るということで、そこにいわゆる行政法学上は特許という概念構成になると考えられますが、これによってその物件の設置を道路上に2次的な用途として認めるという考え方が道路占用であるというふうに伝統的には考えられているというところでございます。

○福井専門委員 しかし、道路使用も交通とか通行の目的以外のことに許可を出すわけでしょう。かなり重なっているのではないですか。講学上行政法でいろいろな議論をやっているということはよく存じているつもりですが、具体の行為に即してこれが道路占用許可で、これが道路使用許可、相互で重なるものはこういうケース、両方必要ならこういうケース、道路使用許可だけでいいのがこういうケース、道路占用許可だけでいいのがこういうケースなどというように、実例と概念が論理的に整理できるように後ほどでも教えていただけませんでしょうか。

○八田主査 例えば屋台のようなものは当然道路使用許可にかかわることだと思うのですが、これは占用の方にも関わるのでしょうか。動くものでもということですね。それでは伺いますけれども、先ほどの宇部のオープンカフェの場合、当然ある程度利潤が上がる場合があるわけですね。その利潤はそのオープンカフェを開く人は当然もらってもいいということになっているわけですか。

○菊池道路利用調整室長 この例ですけれども、どこかの例えばある喫茶店がここにお店を出しているというふうな形態ではなくて、ここのものは市のもの、市のいすとかいうものを置いています。要は、商店街と市が一体になってこういうようなイベントをやっているわけでございますけれども、どこかのお店で買ってきて、ここである意味では休息所みたいな形で休んでくつろいでいただくというような空間として利用しているということですので、もちろんここのお店で買った場合にはそこの利潤にはなりますけれども、ここで何かを特別にどこかの商店に店を開かせているというような形ではありません。

○福井専門委員 ここで注文をとって提供してはいけないという制約があるのですか。どこかで買ってきて座る場所としてしか使ってはいけないということで、要するにこの囲い込んだオープンカフェの中にウエイトレスとかウエイターがいて、注文を聞いて物をそこでもらって、そこでお金を払って会計をして出ていくということは禁止しているという意味ですか。

○菊池道路利用調整室長 すみません、そこまではちょっと聞いてはございませんけれども、一般的には一般論の話になりますけれども、やはり道路の一部ということは公共の場の一部でございますので、特定のその商店に対応するというのはちょっと概念的には不適当なのかなと考えてございます。

○福井専門委員 そういうふうにされていたのかどうかということを、今おわかりにならないのであれば後で教えてください。

○菊池道路利用調整室長 わかりました、そこはちょっと聞いてみます。

○八田主査 そうでなかったらただ道端にベンチを置くものだから、オープンカフェと特に言わないと思います。それから、屋台とか、それから出店とかが出るときに、そのときの道路の占用料というのはどういうふうに決めておられるのでしょうか。例えば新宿でも道にいっぱい夜屋台が出ていますけれども、料金は一律なのでしょうか、それとも時間によって違うとか、季節によって料金が違うとか、それからある程度混雑を考えていらっしゃるとか、あるいは応募する人は無制限に幾らでも屋台を出させているのか、その辺について伺いたいと思います。

○菊池道路利用調整室長 占用料はちょっと調べさせてください。無制限に希望する人間に対して占用許可を与えるのかどうかというのは、やはり先ほどの説明の繰り返しになってしまいますけれども、要はやはり国民の税金でつくった道路ということで、ある意味では公共の要物の部類になりますので、やはりその占用を認めるといった場合にはある程度の公共性が……。

○八田主査 いや、現状です。例えば新宿で応募者の方が多くて制限しているのか、それとも応募した者はみんな許可しているのか、その辺について伺いたいのです。

○大窪課長補佐 応募がどれぐらいあって、それに対してすべて許可なのか、それとも何らかのふるいにかけているのかというところは、まだ事実関係の把握が手元にございません。
 占用料についてでございますが、屋台ということであれば占用料の徴収の対象になるということは間違いございません。それで占用料は道路の種別によって分かれておりまして、これがいわゆる国が直接管理している直轄国道であるのか、あるいは自治体が管理する、これは都なのか区なのか、県なのか市なのかといろいろございますが、この自治体別にまたそれぞれの自治体が占用料をこの自分が管理する道路に応じて決めているということがございまして、基本的にその1つの自治体が管理する道路の中で占用料の体系が2つ、3つに分かれるかどうかというのはその自治体それぞれという面があると思われます。

○八田主査 すみません、本題に入る前にもう1点だけ伺いたいのは、例えば靖国通りにお餅を出すベンダーが夜出ているとします。そうすると、またちょっと小さい小道に入っちゃうことだってあるのではないかと思うのですけれども、靖国通りは国の道路だから、国に対して占用料を払って靖国通り分だけいいよと、そういうふうになっているわけですか。
 それから、その代金というのはどう決めているかというのが関心があるのです。なぜそういうことに関心があるかというと、結局多くの商業施設がそこに開きたいとするときに、需給調整するそのメカニズムは何だろうかということなのです。
 例えば、博多でラーメン屋の屋台があったときに地元から大変な文句が出て、これはその警察庁の問題でもないし国土交通省の問題でもなくて、地元のラーメン屋さんがあれは不当だと、ただ同然で道路を使っていて自分たちの商売がたきになるということで非常に反発をして制限しようとして、それに対してその博多の町の人は、あれは結構お客さんを呼んでくるのだから大変ぐあいがいいと言っている。ところがその占用許可の与え方が非常に不透明で、要するに既に権利を持っている人はずっと持ち続けていい、新しく持つにはその占用許可の持っている人の子供じゃないとだめだというような仕組みがあると、それでその占用の許可を人に売買することもできないと、そういう状況であると。そうすると、結局は占用許可をどういう形で透明な形で与えて価格付けをして企業を区切るか、そういうシステムがどうしても必要なのではないかと思うのです。それは国のレベルでも必要だし、市町村がそういうことを自由にやるためのフレームワークを国が用意することも必要なのではないかと思います。ご意見を伺えませんでしょうか。

○菊池道路利用調整室長 今先生がおっしゃられたとおり、博多の事例につきましてはある意味でも歴史的経緯が背景にあって、それでいろいろ博多市でもいろいろな学者、先生方を交えたりしてどうあるべきかという研究会をして、基本的な考え方はやはり道路でございますので、その特定の者に所有を特権的にさせるということについてはこれは望ましくないと。ただ歴史的経緯もあるということで、ある意味では例外的に認めているというふうなことは聞いたことはございます。そのほかにだれか新しい人が入ってくるとしても、もう前にいた人に限定的に例外的に認めているというふうなことも聞いてございますので、そういう意味ではほかの人たちから見れば不透明に見えてしまう部分があるのかなとは思いますけれども。

○福井専門委員 今博多だけではないのです。いろいろなところで道路占用の具体例があると思うのですが、そういったものについて、悉皆的にではなくてもいいのですけれども、どのように占用の相手方を決めているのか、それからどのように占用料を決めているのか、をある程度調べていただけませんでしょうか。そこに非常に当会議として重要な関心があるのです。
 まさに今主査が申し上げたとおり、占用の相手方の決め方が既得権化ないしは利権化しているのではないか、それは道路が国民、公共の財産だということからすると極めてアンフェアな話ではないかということもありますし、要するに料金が極めて低廉だということですとそこにまさに利権がかえって入り込みやすくなる。かえって既得権化しやすくなる。そこがもし市場価格なら、例えば新宿なのか、あるいは盛岡市なのかというので、その道路を使って何らかの飲食店を営む土地柄の利益は全然違うわけですけれども、そういうものが反映されていないとすると、本当にその道路なりに許可を与えてもいいものにしたってできるだけその土地を有効に使ってくれるような賑わい空間に寄与するような人が入ってこられるかどうかに非常に影響が出るわけです。こういう問題意識で今のような、先ほどから話題に出ているようなところを少し具体的に調べたものを後ほど教えていただければと思います。道路使用で料金は取らないのですか。

○倉田交通規制課長 これは許可手数料でございまして、手数料として手数料条例で各県で決めています。

○福井専門委員 それは使用の対価ということではなくて、許可の承認に当たって必要となる事務的手数料ということですか。

○倉田交通規制課長 はい。

○八田主査 使用料についても、使用の権限についても、例えば東京駅の前の靴磨き屋さんは許可を持っていると思うのですが、これは大体親が持っていたから自分も持っているというのが多いし、それから今は20代の人がいますけれどもその人も親から継承していると思うのです。ほかの人は入れない、既得権を持った人が守られているという仕組みになっているのです。そこをどうしたらいいのかというのが1つの問題です。それから、東京駅ではもう靴磨き屋さんはだんだん要らないのだと、どんどん減らしていくのだという方向で新しい許可は出さないと思うのですけれども、それが交通の邪魔になっているとはとても思えないのですけれども、それが邪魔になっているか公益の目的になるかということを判断する主体が警察だけなのか、それとも地元の、例えば千代田区なりがそこの判断に相談に預かるような仕組みがあるのか、その辺についてもちょっと伺いたいと思います。

○倉田交通規制課長 冒頭申し上げましたように、それがその地域において、例えば靴磨きのおじさんたちがいっぱい並んでいることを1つの地域振興にしようということで何かマネージされているものであれば、それは道路使用許可を、もちろんそのときの歩道の交通事情等も考慮されますけれども、許可するということはあり得る話であると思います。
 ただ、そういう意味で、ただ単に私的に、とにかく自分は営業がしたいのだというので個人的に手を挙げて許可くれといったような場合には、その公益性というのを認めるのは難しい場合が多いのではないかと思います。その結果として、新しい新規許可というのはなされていないというのが実態だと思います。おっしゃられたように、これまでの許可を得られている方があって、実際それで生計を立てておられていたという状況があった中で、慣習上やむを得ないとして許可をしている例が例外的にあったということは事実だと思います。

○八田主査 そうすると、基本的には警察で、公益とそれから交通の難しさとのバランスを判断するけれども、もし地方公共団体が特別の事情があると言ってくればもちろん考慮すると、そういうふうに考えてよろしいですか。

○倉田交通規制課長 ですから、そこはまさに地方自治体なり、あるいはNPOといったガバナンスの問題であって、そこがこういう取り組みとしてやるのですよということでマネージをしていただけるものだと、公益性ありという判断をする方向に導きやすいものであると考えています。

○八田主査 そうすると、今警察が基本的には主体的に公益性を判断しておられるけれども、そこの公益性の判断基準ですね、そういうものを示していただければありがたいと思います。例えば靴磨きの例でいいのですけれども、こういうことがあれば公益性があると思うし、こういうときには公益性がないというのを、例えばヒアリングなさるとか、いろいろな手続があると思うのですけれども、そういう手続についてご説明してください。

○倉田交通規制課長 基本的には冒頭申し上げましたように、それをやることについての公的な目的になる、例えば地域振興なりその街の賑わい創出なりというものがあると、そういうふうにマネージされているものである、あるいは主催者がその公的な団体なりあるいはNPOである、また、道路利用者を含めてその地域の方々の合意があるということだと思っております。

○八田主査 でも、靴磨きの場合は別に千代田区の人だけではないです。東京駅を使う人みんなです。そういうときに当然警察で判断なさるのでしょうけれども、そういう利害はどのように判断していらっしゃるかということなのです。

○倉田交通規制課長 基本的に、その駅前で個人営業を道路を使ってやるということは、少なくとも公益性がある場合というのはほとんどないのではないかと思っています。ただ、たまたまその駅前をそういう靴磨きのためのものにしていこうということになって運営されているものは別だと思うのですけれども。

○八田主査 それはもう屋台もできないし、みんなできなくなってしまう議論ではないですか。特別な催しものがなければだめだというのであれば、当然それはそういう商業施設を使いたいという人の意向をやっぱり組み入れるべきではないかと思います。交通の邪魔にあまりになるというならまた話は別ですけれども、そういう商業施設に対する立派な需要がある場合です。

○倉田交通規制課長 需要があり皆さんが認めているということであればです。

○八田主査 だから、それをどうやって判断されるかという基準があるはずだから、それを出していただければと思います。今何らかの形で決めていらっしゃるに違いないので、まさかその基準がなしにやっていらっしゃるということはないと思うのです。

○福井専門委員 先ほどの占用の方でもお願いしたことと同じですが、使用の方でも具体的な実例についてある程度のサンプルでもいいのですが教えていただけませんでしょうか。特にこれは使用も占用も共通ですが、許可しなかったものとしたものとの境目が、実例でどの辺にあるのか、がわかるような両方の例、不許可例と許可例の両例を教えていただければと思います。

○八田主査 それでは、非常に時間をおしておりまして質問だけで終わってしまって申しわけないなと思いますけれども、これからもこの問題、我々も強い関心を持ってまいりますので、いろいろとお話を伺うことはあると思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

以上


内閣府 総合規制改革会議