平成16年2月6日(金) 13:00〜14:30
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室 藤井康弘室長
産業技術環境局リサイクル推進課 井内摂男課長
住宅局市街地建築課 高井憲司課長、井上勝徳高度利用調整官
住宅局総務課 野村守課長、井上雅夫公営住宅管理対策官
住宅局建築指導課 小川富由課長、島田和明課長補佐
文教施設部 笠原隆文教施設環境対策専門官
八田達夫主査、村山利栄委員、福井秀夫専門委員
内閣府 福井和夫審議官、下山洋文企画官、廣田明企画官、中山泰事務室次長 他
○八田主査 それでは、第11回住宅・土地・公共工事・環境ワーキング、規制改革全国要望に関する各省ヒアリングを開催致します。最初は、環境省さんと経済産業省さんからのヒアリングで、拡大生産者責任の考え方及びデポジット制の導入について、どうぞ宜しくお願い申上げます。
○環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室 藤井康弘室長 では、ご説明させていただきたいと存じます。私、廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室室長をしております藤井と申します。容器包装リサイクルの関係でございますけれども、初めに結論を申し上げますと、お話をいただきまして、実はその後、関係5省ございますけれども、相談をさせていただきまして、こちらこれまでご回答させてきていただいたところに、平成17年度にということを加えるような格好でいいのではないかというように、一応合意をしてまいったところでございます。
お手元の資料を、せっかくの機会でもございますので、容器包装リサイクル法につきまして、大変簡単な資料で恐縮ではございますが、概要だけご説明させていただきまして、今回論点になってございますその見直しの時期等につきましてもご説明させていただきたいと存じます。
初めに、容器包装リサイクル法でございますが、基本的に消費者、市町村、それから事業者、この3者の役割分担を明確にするというような考え方のもとに制度が構築されてございます。まず一般家庭、消費者の方で、いわゆる容器包装、瓶、缶、それからペットボトル等につきまして分別排出をしていただくと。これを市町村が分別収集するということでございます。その後それを再商品化してまいりますのが、いわゆる特定事業者、これは容器をつくっているメーカー、それから容器の中身、飲料をつくっているメーカーなどにつきまして、特定事業者ということで再商品化の義務を負うという形になってございます。
その再商品化のルートにつきましては、法律上は3つのルートがございます。
一つは、一番左側の自主回収ルートでございますが、これはリターナブル瓶に代表されますように、事業者の方が自分で、みずから構築するシステムによって回収して、リサイクル、あるいはリターナブルですとリユースをしていくようなルートでございます。
それから、真ん中に独自ルートとございますが、特定事業者が再商品化義務を課されておりますので、特定事業者自身で再商品化をすることができるわけでございますけれども、ただ実際には、この独自ルートというのは現在のところ使われておりません。
したがいまして、自主回収ルートを使っている以外の特定事業者は、現在、一番右側の指定法人ルートというのを使っておるところでございます。
この指定法人ルートというのはどういうものかと申しますと、指定法人、財団法人日本容器包装リサイクル協会というのがございまして、こちらの指定法人に特定事業者が再商品化の義務の履行を委託するという形で、この指定法人が実際の業務を行う、このような仕組みになってございます。
指定法人は基本的に入札によりまして、市町村が集めてまいりました廃ペットボトルですとか、あるいはガラス瓶等ですね、これを、入札によりまして再商品化事業者の方に持っていくと。その再商品化事業者が実際にそれぞれの容器包装廃棄物の再商品化を行う、このような体制になってございます。
特定事業者は、その指定法人に委託をしておるわけでございますから、再商品化に要する費用につきまして指定法人の方に拠出をすると、このような仕組みになってございます。
大変簡単で恐縮でございますけれども、おおむね容器包装リサイクル法はこのような仕組みになってございます。
次のページでございますけれども、そういった仕組みでございますけれども、平成9年4月から、ガラス瓶とペットボトルにつきまして、対象の容器包装としてこの法律が施行されてございます。
平成12年4月、いわば完全施行されるわけでございますけれども、プラスチック製の容器包装、これは例えばカップラーメンの容器ですとか、あるいは駄菓子の包装のフィルムですとか、こういったものが対象になってございます。それから紙製容器包装、包装用紙のたぐいですね、あるいは菓子折りの箱とかそういったものが平成12年の4月から対象になってございます。
それからその下の、缶、紙パックでございますが、これらにつきましてはその下に書いてございますように、市町村が分別収集した段階で有償で取引をされるものですから、再商品化の義務というのを事業者にかけてございません。スチール缶、アルミ缶、紙パック類、この3つは、平成9年4月当初から対象になってございますけれども、市町村は分別収集をいたしますけれども、特定事業者の方に再商品化義務をかけていないというような、そういう整理になってございます。同じようなカテゴリーといたしまして、段ボールが平成12年4月から適用になっておると。対象の容器包装といたしましては、このような状況となってございます。
さらに、3枚目でございますけれども、このあたりが今回ご指摘をいただきました部分に直接かかわりのあるところでございますが、この容器包装リサイクル法の附則の第3条に、いわゆる検討規定がございます。お手元にございますとおりですが、政府はこの法律の施行後10年を経過した場合におきまして、第5章、第6章、第38条から第40条までの規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするというような、このような規定になってございます。
ちなみに、第5章、第6章、第38条から第40条までの規定と申しますのは、そこにございますような規定でございますけれども、このように、この法律の施行後10年を経過した場合において検討を加えると、このような規定になってございます。
私ども実は、この10年というのがいつごろなのかなというところも含めまして、そろそろ検討を始めなければいけないなと、こう思っているところだったのでございますけれども、ちなみに施行の経緯をこのペーパーの下の方でごらんいただきますと、この法律は平成7年の6月に成立、公布しておりまして、12月に第1段階の施行としまして、全体の基本方針ですとか、あるいは指定法人の関係ですとか、幾つか施行されております。
それから第2段階として、平成8年の6月に市町村の分別収集計画の関係が施行されております。
それから、本格施行として平成9年4月、先ほど申しましたように、ガラス瓶とペットボトルにつきまして再商品化事業が実際に具体的に開始をされたと、このような流れになってございます。
ただ、この時点では、まだ大企業だけが義務を負うという形になってございまして、中小企業につきましては、さらに平成12年4月の完全施行まで待って義務を課すというようなことになってございますけれども、いずれにしましても、平成12年4月に紙製容器包装、プラスチック容器包装も追加をされまして、この時点で完全施行ということになってございます。
そのような流れでございますので、私どもも、まず検討規定に申します、施行後10年というのがいつなのかなというのがございますが、そこはしかし、平成7年12月が第1段階施行でございますので、ここから数えますと平成17年12月が10年目なのかなというような、その基本的な認識は持ってございます。
ただ、そうは申しましても、これは率直に申しましてこういう検討規定でございますから、平成17年12月の時点で一体どこまでやっていればいいのかというのも、正直判然としないものでございますから、平成17年12月、まだしばらく間があったということもございますが、まだ、実はご指摘をいただいた段階で、関係5省庁で余り具体的な議論ができておりませんでした。それぞれの省の中で内部的な検討をぼちぼち始めていっていたというぐらいの段階でございましたものです。
せっかく今回ご指摘をいただいたものですから、どんな感じのスケジュールでいきますかねと関係5省庁で議論をさせていただきまして、その結果、平成17年度によく検討するというような、そのような文言を加えるような形で、少し時期的な明確化を図ってまいりたいというような結論に達したところでございます。
ご説明といたしましては以上でございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。そうすると、当室からの要望のデポジット制の検討、実現をまとめたものであり、検討の中には、これらの点についての検討の開始も含め具体的に示されたいということで、よろしいですか。
○藤井室長 はい、おっしゃるとおりでございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。私どもの要望を、そのまま非常に明確な形で受け入れていただきまして、どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○八田主査 それでは、お忙しいところをお越しくださいましてどうもありがとうございました。住宅・土地・公共工事・環境ワーキンググループで次のヒアリングは国土交通省さんで、最初は複合映画館の建設に係る用途地域規制の緩和についてであります。よろしくお願い申し上げます。
○国土交通省住宅局市街地建築課高井課長 お手元の資料をざっと、まず説明させていただきます。まず、用途規制の概要でございます。
建築基準法によります用途規制というのは、用途地域ごとの住宅の環境の保護や、商業、工業等の業務の利便の増進を図るために、建築することができる建築物の用途を規制しているものでございます。劇場、映画館、演芸場または観覧場につきましては、特定の時間帯に不特定多数の者が集散する施設であるために、用途地域のうち、商業地域と準工業地域において建築が可能とされてきました。平成4年の法律改正によりまして、従来の用途地域が8区分から12区分――これは住居系を細分化したものでございます――に細分化されたことに伴いまして、住居系の中でも沿道型の住居系の準住居地域、それから近隣商業地域におきまして、比較的小規模な客席の部分の床面積の合計が200平米未満の劇場等の建築を可能としたところでございます。
それから、用途規制の特例措置というのがございます。用途規制の緩和につきましては、用途地域そのものの変更によるほか、市町村が社会経済情勢の変化や地域の実情に応じてきめ細かく対応する手段といたしまして、市町村の条例によって建築物の用途規制の緩和を定めることができる特別用途地区制度が用意されておりまして、現在、全国91都市で活用されています。この特別用途地区制度につきましては、平成10年の都市計画法の改正によりまして、従来は11種類に限定的に列記されていたわけですけれども、この類型をすべて廃止いたしまして、市町村が特別用途地区をこれらの類型にとらわれず自由に設定できることにいたしました。
さらに、平成14年の建築基準法改正によりまして、特別用途地区の用途規制の緩和をより使いやすくしたものといたしまして、地区計画の中で用途を緩和できるという制度をつくりまして、昨年1月に施行したところでございます。これはまだ実例はないということでございますけれども、参考といたしまして特別用途地区の決定実績、全体の3割で用途規制を緩和する内容を定めた条例を制定しております。それから緩和事例といたしましては、東映の京都市の東映太秦映画村とか長崎のハウステンボスなどが代表的な事例としてはございます。それから、今後の対応方針でございますけれども、今後、地方公共団体に対しまして、複合映画館につきまして地域の実情やニーズに応じて、必要に応じて、用途地域の変更や特別用途地区、または用途緩和型地区計画の活用により、きめ細かく対応することが望ましい旨を通知したいと考えてございます。以上でございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。シネコンを最終的につくることが、いろいろな今までの制度を利用してできないわけではないというのはよくわかりました。しかし、私どもの方からの要望は、そうではなくて、大型ショッピングセンターができるところで、そんなに多くの観客を収容するところでもない劇場は自動的にできるようにしていただければ、十分手続も簡単になる。何よりもこういうシネコンなんていうのは地元の人にとっても非常に役に立つものでしょうから、従来型の非常に大きな劇場を迷惑施設と考えていたというのとは少し違うのではないだろうかと、そういう観点です。
○高井課長 はい、私どももそれにつきましては、まさしく今申し上げたように、もっと市町村単位で自由に使っていただきたいという趣旨で、基本的な考え方が用途地域の12種類の別表というのがございまして、そこに用途地域ごとの土地ゾーンに応じて建築物を決めているわけですけれども、それは基本的には余り、全国一律の体系ですので変えることなく、今申し上げましたように、平成10年とか14年の法改正で、順次、市町村が自分たちで決められるように、別表をいじるのではなくて、市町村のその地域の実情に応じて決められるようにという体系に移行してきておりまして、むしろそちらの活用をやっていただく方がいいのではないかと。
全体の類型を変えますと、全国一律なので、それをまた全ての都市計画を見直さないといけないという、実は昭和45年と平成4年に別表の改正を2回やっております。昭和45年と平成4年です。ですから1970年と92年に別表を、昭和45年は4つの用途地域から8つに細分化していますし、平成4年は、8つからさらに12地域へ細分化しています。これをやりますと、全部の都市計画を見直さないといけないということになるわけで、これは約2,000市町村の都市計画区域があるのですけれども、そこに非常に手間もかかりますし大変な作業をお願いすることにもなるので、これはむしろ、一律の基準としてはベースとして置いておいて、市町村が自由にその実情に応じて対応できるような方向へシフトしてきております。ですから、むしろその制度をもっと活用していただきたいというのが私どもの思いです。
平成12年4月までは機関委任事務だったものですから、市町村の対応の仕方にそういう部分もまだ若干残っているところがあって、県がだめだと言っているとか国がだめだと言っているからというようなことがまだ若干残っているところもありますので、そういうところはむしろ積極的に、地域の実情に応じてやってくださいということをはっきり通知したいと思います。
○八田主査 どうもありがとうございました。ほかの委員の方がお聞きになる前に、質問があります。一つは、市町村に自由度が与えられたということなのですが、その手続がどれほど簡単なのだろうかということですね。特に民間からの要望があったときに、別表でもって変えてあればもちろん、そういうことを一々やらなくても済むわけです。別表で変更でなくても、それが非常に簡単化できるような手はずというのがあるのだろうかということが一つ。
それからもう一つは、こういうような自由度を与えるのならば、同時にその別表の改訂自体を、もっと頻繁に行っていって緩和していくと、できるところは緩和していくというようなことも考えられるのではないかというように思うのです。
それが余り遠くない先に、頻繁な改訂が行われるということになったら、その中の一環としてみなせるのではないかと思うのですが、それについてはどうでしょうか。
○高井課長 別表自体の改正は、先ほど申し上げましたように、その別表を変えると全部の市町村で見直し作業をしなければいけないという部分が、しかも3年以内にやれというようになるものですから、非常に過大な負担を要求するので、それはむしろ一律の基準としては置いておいて、その幅を市町村独自に地域の実情に応じてやってもらうという方がいいのではないかというように私どもは今考えているわけです。
○八田主査 でも、緩和なら別に全国でそんなに過大な負担を要求する必要ないのではないのですか。例えばこの例みたいに、もうシネコンが大丈夫だということは、ほかにもそういうのがあるかもしれませんけれども、非常に簡単な作業で済むのと違うのですか。全部の見直しを包括的にやれといったら、もちろん大変でしょうけれども。
○高井課長 別表の改正をやるということになると、基本的には全部見直すことになると思います。
○八田主査 もう少し気楽にはできないですか。
要するに、全体の精神がもっと自由度をあげるということですよね、市町村にも自由をあげると。そうすると別表自体も、どの要望が来たら、緩和は割と楽に進めていくというようなことはできないわけですか。
○高井課長 緩和自体が全ていいものかどうかという議論ももちろんありますけれども、もう何度も申し上げるようで恐縮なのですけれども、要するに別表をさわること自体は、本格的に全部のいろんな方面の方々に意見を聞いて、この部分はこういうように緩和してほしいとかというのは、現に平成4年のときにも5年ぐらいかけて作業をしておりまして、もちろんその作業自体は必要であればやらないといけないと思いますけれども、そうすると、先ほどから申し上げているように、全部の都市計画の見直しを全部の市町村に強要する部分がございまして、それであれば、むしろ市町村が自由にその条例でもって変えられるという方がより合理的なのではないかなというように考えています。
○八田主査 それからもう一つは、市町村でこういうものを自由度を持ってやられるその手続自体が、かなり簡単にできるという。
○高井課長 はい。条例で決めるだけです。
○八田主査 でも、シネコンつくるのに一々条例をつくってもらうのも大変だと思うのですけれども。
○高井課長 どちらがいいかという部分はあるかと思いますけれども、それはむしろ国の段階で全国一律に緩和するというよりは、地域の実情に応じてその緩和の幅も、国がやると全部一律で決まってきてしまいますから、それよりもむしろ地域の実情に応じて、この町はこの程度までいける、この町はこの程度までというようなことをやれる方向にシフトした方がいいのではないかなというように考えて、そういう運用をとってきているわけです。
○八田主査 私の印象では、こういう大型ショッピングセンターにシネコンをつくるなんていうのは、全国一律でも何の弊害もなさそうな気がしますけれども。
○村山委員 少しこの話とずれてしまうかもしれないですし、勉強不足な質問だと思いますので恐縮ですけれども、やはり、常にこの別表の改正を伴わないといけないのですか。
この別表の改正をしないと、こういうことができないと。別表を改正するには、もう大変な事務作業が伴うと。そのシステム自体がもう、少し時勢に合わないような気もするのですけれども、そういう根本的な考え方を変えるというようなことは、それもまた宇宙的な話になってしまうのですか。
○高井課長 宇宙的かどうかはともかく、現にそう言われてずっとやってきているものですから、それをむしろ市町村の条例でもって自由に動かせるようにしていこうというように変えて来ているわけです。その制度そのものを抜本的に変えるというのは、もちろん議論としては大いにあると思いますけれども、当面は市町村が条例で対応すると。
○八田主査 今の村山委員の発言に関してなのですけれども、たしかに市町村で、独自にいろいろな検討すべきことというのはあって、ある町では禁止されているけれどもある町ではいいと、そういうことが望ましいことというのは非常に多くあると思うのです。すなわち、そこの町に住んでいる人の年齢とか、都会であるか田舎であるかというような観点から、裁量に任せた方がいいということもあると思うのです。
しかし、例えばこのシネコンみたいな非常に新しいタイプのもので、こういうものを、要するに一発中央で変えておけば全国はあと何もしなくて済むのを、四十幾つの、要するに全国市町村の何百件でもってその条例を変えるという、大変な面倒くさい作業をするということが望ましいような種類のことかなという気がするのです。
今の村山委員のおっしゃったことはそういうことではないかと思うのです。市町村ごとに検討すべきこともあるかもしれないけれども、もうちょっと新しい情勢が来て、これは全国一律でもってすっと直してやった方が、条例を一々改正するよりいいねというようなことに関して、もう少しフレキシブルに対応できる中央のシステムが必要なのではないか、そういうことです。
○高井課長 おっしゃることはよくわかりますし、私どもも、できればそういう制度に変えたらいいなとは思いますけれども、その法律、立法論の議論をするときには、従来の体系がこうなっているのに何でこういう体系に変えるのかという部分はかなりハードコアな部分がございまして、それであればむしろ、これは要するに特別用途地区というのは地区単位で規制を緩和する、典型的な地場産業があるようなところで住居系の用途地域に指定するけれども、一定の工業、原動機なんかも認めるというのは一番典型的なのですけれども、そういうもの。
それから、地区計画というのはもう少し小さくて、スポット的に定めることができますし、ですからそういう緩和、手段をいろいろ用意してきて、そういうのを使っていただくという方向で対応させていただきたいというように考えています。
○八田主査 そうするとご回答としては、結局は、例えばこういうシネコンみたいなことについては、そういう制度が活用できるよということを、特にショッピングセンターのことを例に挙げて通知するという、そういうことですか。
○高井課長 はい、ほかの例もあるかもしれませんけれども。
○八田主査 いろいろあるでしょうね、ほかの面もあるけれども、その中の一つに入れてということです。
それでは、あと少しこちらでまた検討をさせていただくということですが、お話はわかりました。それでは、どうもありがとうございました。
○八田主査 それでは引き続きまして、ドメスティック・バイオレンスの被害者における公営住宅の年齢要件の緩和について、国土交通省からのご意見を伺いたいと思います。
○国土交通省住宅局総務課野村課長 住宅局の総務課長でございます。よろしくお願い申し上げます。それでは、1枚紙でございますが用意してございますので、これに沿いましてご説明をさせていただきます。
ご要望の趣旨は、50歳未満のドメスティック・バイオレンスの被害者の単身の方について入居を認めるべきではないかということでございます。この問題でございますけれども、既に昨年の7月に閣議決定がございまして、基本的に単身の方も含めてでございますが、ドメスティック・バイオレンスの被害者に対する対応といたしましては、まず、現在入居資格のある方につきましては、基本的に公営住宅の入居に当たっての優先的取り扱いをするというような対応をすることにいたしております。
ただその場合に、優先入居ですから必ず入れるということはございませんし、抽選ということで、倍率が低くなっても倍率があるということもございます。それからご指摘のように、50歳未満で単身の方は入居資格がないということもありますので、優先的取り扱いにさらに加えまして、入居資格のない方も含めて公営住宅を目的外使用をすることができるということで対応しようということになっております。
それで、この点についてもう少し詳しくご説明いたしますと、目的外使用につきましては、1でございますが、ただいま申し上げましたように、抽選というものが必要ございません。非常にニーズの高い場合は抽選なしに入るということが目的外使用では可能でございます。それから時期も定期的な公募ではなくて、必要に応じて随時入居が可能でございます。それから3が50歳未満の単身の方も可能ということでございます。それからドメスティック・バイオレンスにつきましては、一定期間の間にいろいろな努力によりましてその状態が解消されるということも当然考えられ、またそれが好ましいわけでございますので、そういった入居期間につきましてもフレキシブルに対応することができると、このようなことがございまして、公共団体とも協議の上、昨年7月のような閣議決定に至っているわけでございまして、私どもとしてはできるだけ早くということでございますが、今年の3月に通知を出しまして、4月から対応できるように今準備を進めているところでございます。
2で、ご指摘の点について若干触れましてご説明申し上げますが、閣議決定の中に、一時的あるいは緊急避難というような言葉が出ておりましてこういう指摘になったかと思っておりますが、公営住宅につきましては、典型的な目的外使用につきましては法律の中に書いてございます。そういったこともございまして、まだこれは法律ではございませんのでこういう言葉を使っておりますが、現実の運用として私ども考えておりますのは、使用期間につきましては、2の1でございますが、公営住宅を目的外使用している例がございますが、グループホーム等の社会福祉事業につきましては、一応1年で切っておる例が多くございます。それから災害等の場合は3カ月ということになっておりますが、これはかなり更新をしておりまして、例えばグループホームでございましたら数回更新いたしまして、5年ぐらいグループホームを続けているという例もございますので、言葉が少しきついので誤解を招いているかもしれませんが、私どもとしてはその辺、ドメスティック・バイオレンスの対応に必要な期間は確保するように公共団体と協議してまいりたいと思っております。
それから2番目、これは若干誤解を受けたのかもしれませんが、居住地から離れた──確かにドメスティック・バイオレンスの場合、できるだけ離れたいということはあると思います。これにつきまして、目的外使用だと難しいのではないかというご心配だと思うんですが、これは逆でございまして、本来入居ということになりますと、例えば市営住宅でございますと市民の方の税金が入っておるわけでございますので、かなり市民優先ということにならざるを得ませんが、こういう目的外使用の場合には、県をまたがなければ県営住宅を使うという手が1つございますし、それから市町村につきましても、離れたいという、離れた先の市町村住宅についてもお互いのことでございますから、お互いに連絡し合って対応ができるようにということも今後公共団体ときちんと整理をしてまいりたいと思っております。
結論といたしまして、私どもこの昨年7月の閣議決定に沿いまして、優先的入居というのを基本としつつも、目的外使用をかなりきちっと制度的に整理して、異論のないようにしてまいりたいと思っております。それを4月から始めたいと思っております。以上でございます。
○八田主査 どうもありがとうございました。
2番目の市外の公営住宅に入居するということは、今のお話だと何の問題もない。
○野村課長 もちろん公営住宅のA市在住の方がB市の公営住宅の方に入りたいといった場合に、もちろん制度的にはできるんですが、B市の公営住宅として空き家があるかどうか、あるいはそういうことをやって差し支えがないかどうかというB市の判断がありますので、そこは話し合っていただかなければいけませんが、原理的にだめだということではございませんので。
○八田主査 そうするとここについて何らかの、特に緊急避難的な場合については、1年は一応大丈夫なわけですか。
○野村課長 期間につきましても、これは公営住宅でございまして、私どもがこうせよというわけにはいきません。今、公共団体とドメスティック・バイオレンスということについて対応を話し合っておりますけれども、とりあえずは6カ月ぐらいというようにしたいという公共団体、あるいは1年ぐらいという団体、いろいろありまして、ただそれもそこで切るということではなくて、更新を前提としてですけれども、そうしたお話になっております。
○八田主査 わかりました。正直言って更新に関しては結構慎重にした方がいいと思いますけれども、少なくとも当座は要りますね。別に公営住宅ではなくてもいいけれども、ある意味では家賃補助でも何でもいいから、とにかくどこかに出ないといけないと思います。入居には緊急を要すると思うのですが、たまたまほかの町であいた公営住宅があるというときに、その市との間の話し合いが非常にスムーズにいくメカニズムがあるのか、それともそれを通知とかそういうことでもって促進していただくことができるのかということはどうでしょうか。
○野村課長 今、公共団体と話しておりますのは、県はかなり領域が広くございますので、まず県営住宅の方で対応していただきたいとは思っております。ただ、県営住宅でそのケースにうまくフィットするものがあるとは限りませんので、市の方も連絡をとれるようにしておりますけれども、先生おっしゃるように、すぐに対応するという意味ではまず県の方かなというように思っております。
○八田主査 そうすると、即座に対応できるようなシステムといいますか、県と市との連携策と、そういうような制度が──制度としてつくるかどうかは別として、そういうことがいろいろな県でもって可能になるように促す必要があるということでしょうか。
○野村課長 私どもはこういうようにできますよということを、通知を出して終わりというふうには全く考えておりませんで、実際に対応できるように公共団体とよく話し合って、もちろん通知も地方自治の侵害にならないようにしなければいけないのですが、先ほどの期間の話しであればやはり典型的に大体6カ月、1年ぐらいがいいですよとか、それから市町村同士でよく話し合ってくださいと、それから県営住宅の方をきちっと対応してくださいというような形は事前に調整しながら、大体合意のできたものについては通知という形で流していって、それをフォローしていくという形を取りたいと思っております。
○八田主査 わかりました。それであと当然公営住宅があいているときにこういう措置がとれるわけですけれども、あいていないときに何らかの住宅の補助をするとかいうようなことは、ある意味では役所的には国土交通省の範囲を超えてしまうわけですかね。ある意味ではそういう福祉的な考え方がまずあって、そこから依頼されて公営住宅のあきがあればうちで一定期間やってもいいよということだろうと思うのです。あきがなかったらきちんと責任を持って対応してあげるというところがあるのでしょうか。特に低所得の方の場合に必要なのではないかと思うのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
○野村課長 大変難しい問題なのですけれども、この問題は、まず福祉として考えるべき問題だと私どもは思っておりまして、ドメスティック・バイオレンスも大事な問題ですけれども、また公営住宅そのものの目的もございますので、それを排除してまでということはなかなか難しいというふうに思っておりますので、県内、市内は厚生労働省にもお願いしまして、よく公共団体の福祉部局と住宅部局で話し合っていただくと。それでどうしても住宅部局で対応できないものについては、福祉と住宅を合わせた高次の公共団体の中での対応ということになりますので、それもしていただくのかなと思っています。
ただマクロ的に数字を見ますと、大体長期の空き家が全国で216万戸のうち1万5,000戸ぐらいはございます。それでドメスティック・バイオレンスの、今、14年度の厚生労働省から伺っているのは4,500人ぐらいだということでございますので、そのうちのもちろんお金持ち等公営住宅の対応の不要な方もいらっしゃいますし、いろいろありますので、それほど数字的には対応可能だと思います。
ただ、大都市、その他、箇所ごとにかなり切迫しているところはあると思いますので、そういったところは単に長期空き家というだけではなくて、戸数等は言えませんけれども、一定の空き家があれば少し配慮していただくこともあると考えています。
○八田主査 そうすると、場所を選ばなければ住宅に関しては公営住宅はどこかにあるというわけですね。それで問題は、その人たちの生活再建を含めた当初の援助をどうやるかという別な組織が必要で、その中の一貫としてこの住宅の手当てということも位置づけられるべきだということなのでしょうね。
○野村課長 多分実際に自立しようとされる方ですから、単身の方も含めて勤めておられたり、そういうことが多いので、職場に通えないとか、そういうことになるとちょっと対応できない、その場合は、やはりある程度通えるようなところとなりますと、大体そこは公営住宅でも人気のある場所になりますので、その辺の工夫は個別個別には要ると思います。
○八田主査 そうすると、これだけの問題ではないということですね。
それでは私はそれで結構です。村山委員、福井専門委員、何かありますか。
○福井専門委員 所得要件とか、あるいは家賃での何か特別な配慮というのはあるのですか。
○野村課長 これは公営住宅ということでございますので、所得要件としては公営住宅の所得要件ということで考えたいと思っております。
それから家賃につきましては、これは目的外使用でございますので、必ずしも公営住宅の家賃を取る必要はないのですけれども、公共団体とも話し合っておりますが、公営住宅に入っておられる方のことを考えますと、やはり公営住宅の家賃というものを基本に考えたいと。ただいろいろな例がございますので、特殊事情によって減免するなり、いろいろなことは工夫したいということでございますが、基本は公営住宅並みの家賃は使用料としていただくということを考えています。
○福井専門委員 もともとは、公営住宅に入れないような一定所得以上の人は、そもそも原則として対象としないというのは大前提ですね。
○野村課長 そこは議論があると思いますが、一応今考えておりますのは、公営住宅層でない方には、まず民間の賃貸住宅をチャレンジしていただくと。
○福井専門委員 そうしますと、公営住宅の入居層の中で公営住宅の家賃を取るかどうかというのは、もっと安くするかどうかということですか。公営住宅入居階層だったらそれだけの家賃は当然取れるわけですね。高くするというのではなくて、もっと安くする余地があるかどうかを考えているということでしょうか。
○八田主査 優先度合いでしょう。
○野村課長 公営住宅並みの家賃をまずいただくというのは基本に考えております。個別例によって、そうはいっても今一時的に働けないので、少し二、三カ月減免してくれとか、そういう話は出てくると思います。
○福井専門委員 下げる方ですね。公営住宅入居層にもっと高い家賃というわけではなくて。
○野村課長 それは違います。
○福井専門委員 それは、むしろ当会議としてどうかはともかく、私は個人的に賛成なのです。要するにお金持ちがDVだという理由だけで公営住宅に安く入れるというのは、やはり間違った政策だろうと思うのです。
○野村課長 そこはやはり市民感情、県民感情からいってちょっとできませんので。
○福井専門委員 所得階層が公営層である方で差し迫った必要がある方がたまたま公営住宅を活用できるというのが、やはり全うな納税者の感情にある論理ではないかと思ったものですから、そういうお話を聞いてむしろ安心したという印象です。
○八田主査 その場合、一応それなりの自営業をやっていてまあまあの家庭だったと。奥さんはドメスティック・バイオレンスで外へ出たと。これから実質的に離婚に進めていくわけだけれども、実質的に彼女自身の所得は何もないというときは、公営住宅の認定の所得としてはどうなるのですか。
○野村課長 その場合は、一般的に公営住宅の場合は、離婚が成立しないと別にカウントしないということがありますが、そこはこの問題でございますので、事実上離婚状態、それは私どもが言うのは僣越ではあるんですけれども、そういうふうに構成いたしまして、先生のおっしゃる例ですと全く所得がないと、十分公営住宅階層であるという認定をするように考えています。
○八田主査 それなら何の問題もないですね。ドメスティック・バイオレンスを受けた奥さんが、例えばストック・アナリストであったと、そういう人はだめだということですね。
○野村課長 はい。
○八田主査 わかりました。
それでは基本的なところは、県との調整とか、そういうことがなるべくうまくいって、緊急の必要性があるときにあいている住宅にきちんと入れると、そういう手当てを講じていただくということ。
○野村課長 かなり各論はそれぞれご事情がございますので、よく話し合っていかないといけないと思っています。
○事務局 事務局から済みません、教えていただきたいのですけれども、目的外使用の手続、これが大体どういう形の──もちろん大臣承認なわけですけれども、大臣承認に至るまでの手続と、今回通知の中でそういった手続については何か触れられるのか、その点を教えていただけますか。
○八田主査 そこの核心ですね。
○野村課長 もちろん適化法とか一定のスキームがかかりますので手続が要りますが、それはわかりやすく、例えば公営住宅法の中にありますグループホーム的なものにつきましては手続が決まっておりまして、さらに条例に落として条例の中で手続が詳しく決まっているというようなことがありますけれども、今回は条例とかそういうことではなくて、通知の中で基本的にこういう手続でやってくださいということで、時間がかかるような手続にならないようにもちろん配慮して、わかりやすく示していきたいと思っております。
○八田主査 その通知が出た後もケアされるということですね。
○野村課長 もちろん通知を出して終わりというようには考えていません。
○中山事務室次長 その関係なのですけれども、そういったことを通知の中で盛り込みますよというのを今回の措置として書いていただきたいというようにも少なくとも思うのですけれども。7月の閣議決定の書き方だと中身がどんなことなのかというのがわからないという不安が多分あって、野田市のご提案ということになったとも思われるのですけれども、だから今のご議論のようなことを通知の中に盛り込みますよということをぜひ書いていただきたいと。
○野村課長 はい。それはよくご相談させていただきます。実際やることはもう決まっておりますので。
○八田主査 それでは大体そういう線で、今後事務的に詰めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○八田主査 お忙しいところをお越しくださいましてありがとうございました。次は、国土交通省、文部科学省の両省へのヒアリングで、学校における天井の高さの見直しについてお願いいたします。
○国土交通省住宅局建築指導課小川建築指導課長 国土交通省の建築指導課長でございます。よろしくお願いいたします。
学校における天井の高さの見直しでございますが、空調設備等の進歩や設計・デザインの際の選択肢の幅の増加によるコスト削減・効率性の追求の観点から、規制値を3メートル以上から2.5メートル以上に改定すべきであるとのご要望ですが、現在の規制につきましては、建築基準法施行令で教室の天井の高さが一般則としては2.1メートル以上と定められておりますが、学校の教室では50平米を超えるものについては3メートル以上と定められております。
なお、昨年の9月末に施行令を改正いたしまして大学の天井高を2.1メートル以上としたところでございます。
大学などいわゆる成年に近い方々が使用する空間ということで2.1メートル以上としたわけでございますが、その他の小学校、中学校あるいは高校につきましては、成長期にある児童・生徒、そういった方々が長時間学習等の活動を行っているという特性がございまして、視覚的な環境の保持、いわゆる圧迫感の緩和等に配慮するために天井の高さは3メートル以上でなければならないとしているものでございます。
ただ、3メートルとか、2メートル98ならだめなのかとか、いろいろな議論もございます。そこで文部科学省の方でも調査をしていただいて、今回の調査の結果としては、天井の高さを3メートルから2.7メートルなどに変更した教室を体験していただいたところ、7割の方がマイナス評価であると、生理的な不快感が多いという結果が得られたところでございます。「気分が悪くなる」とか「頭が痛い」、「押しつぶされそう」といった生理的な不快感を訴える記述が並び、「不思議な感じがする」というような感想もあって、非常にマイナス評価が高かったということでございます。そういうことで、この基準を緩和してもこういった成長期にある児童・生徒の健康への影響、そういったものが全くないということを証明できる状況ではないのではないかというように考えています。
こういう調査の結果などを見ますと、現時点において最低基準としての規制を緩和する合理的な理由はないため、現行基準の緩和を行うことは困難であると考えています。
ただし、今回の調査は主に心理的なデータでございますから、さらにいろいろな面での調査、研究といったものは必要かと思いますし、そういった知見が蓄積されていけば、私どももそれに対応していくことを考えたいわけでございますけれども、現在の状況でこういった調査というものの結果を見ますと、対応が非常に困難ではないかなというように思っております。以上です。
○八田主査 どうもありがとうございました。
日本人よりも背が高い米国やオーストラリア、スウェーデンなどでも2.7メートルだということは、注目に値すると思いました。ところで確認ですが、例えば2.5メートル以上にするということは、2.5メートルにしろということではないと思うのです。可能ならば天井をなるべく高くすればいいわけで、しかし、ほかのものとの勘案でもってあえて2.5メートルのところまで下げる必要性がどうしてもある場所ではそうできるように、裁量の余地を与えるということの提案だと思います。だからこれをやると全部が2.5メートルになるということではないと思うのです。
この規則は、各都道府県だけでなく私立学校も当てはまるわけでしょう。私立学校では、自分のところで何が一番いいか、何が一番子供たちの環境をととのえることができるかということを、いろいろなほかの条件と比較しながら一要素として見たときに、もし天井が低いのを選ぶとしたら、それが本当にいけないことなのだろうかというわけです。よほど強い理由がない限り規制でもって縛ってしまうというのはまずいのではないかということが前提としてあります。そういう状況で、この規制緩和をできない唯一の理由が、この文部科学省の委託を受けた日本建築学会の調査であったとしたら、そこでの一番問われるべきことは、この調査が大体この2.7メートルの天井で生徒に何年使わせたのかということが一番肝心なことだと思うのですが、具体的には何年ぐらい使わせたわけですか。
○文部科学省文教施設部 笠原文教施設環境対策専門官 文部科学省でございます。この調査については、やはり通常の教室で授業をしていただくという制約がございますので、1週間実測をさせていただいております。
○八田主査 1週間では全然わからないでしょう。全く前のに慣れているわけだから、慣れているのと違う環境だという、それだけの話でしょう。
○福井専門委員 やる前からわかっている結果じゃないですか、これは。
○八田主査 まさに変えたくないという結果を出すための調査のようなものではないかと思いますけれども。少なくとも半年とか1年とかやってみる。それからさらにほかの要件を良くすると、今まで空調がなかったところに空調を入れるとか、それはもう完全に予算的にトレードオフがありますから、低い天井ならばその分予算ができるからカーペットもひけるかもしれないし空調もできるかもしれない。そういうほかの面で良くした施設にして、そして半年なり1年なり入れてみて調査をすべきではないかと思うのです。
実際に、自由度を与えたら、私立学校だって公立学校だってそういうことをいろいろ試してみますよ。それから学者もいろいろなそういう調査をするようになると思いますよ。それを最初から規制でもって3メートル以下は一切選択の余地を認めないというのは非常に過剰な規制の典型ではないかというように思いますけれども。
○福井専門委員 例えば、当たり前ですけれども、他の事情が一定だったら、天井が高い方が大人だろうが子供だろうがだれだってうれしいですよ、個人住宅でも。そんなことを聞いても仕方ないではないですか。やはり何か失うかわりに天井を高くするのです。天井を低くするということは何か別のものを得るわけですから、機会費用を考えないで、単に快適ですか、不愉快ですかって、こんな調査、これを学問的に行ったのだとしたら、学者の資格はないですよ。冗談ではないという調査だと思います。
やはり慣れは大きいわけです。これは学問を待つまでもなくだれでも直感でわかるけれども。特に今八田主査が言ったような事情をコントロールするのだったら、幼稚園は違うわけでしょう。だったら小学校入学したときに、例えば1年生の間ずっと過ごさせてみてどうなのかというようなことをやれば、かなりコントロールしたことができるわけです。
やはり普通の人間の普通の生理的感覚で、失うものとの比較衡量をしてきちんと調査するというまっとうなことをやった上で結論を出すべき問題であり、学問に値しないような調査に基づいて規制ができているということは、これ自体驚くべきことだというのが正直な印象です。
○八田主査 研究を委託する段階で、天井は低くするけれどもほかのものを良くしてくださいと、それで生徒の意見を聞いてくださいと、そういうふうにしたらいいのでしょうね。
○福井専門委員 だれが責任者ですか、この調査は。建築学会のどの先生ですか。
○八田主査 でも委託先もおかしいのではないですか。
○福井専門委員 委託先もおかしいです。誰ですか、委員長は。
○笠原専門官 今回の調査については、東京都立大学の上野先生が主査をされております。
○福井専門委員 何の専門の方ですか。
○笠原専門官 学校建築の専門の方です。
○福井専門委員 もう一つよくわからないのは、建築というのは、要するに何か一定の目的があって、例えば3メートルなら3メートルとか、高さ何メートルというところが決まったら最も耐震構造がいいようにするとか、快適なようにする、ということになるかもしれませんけれども、およそ何メートルの天井が気持ちいいとか悪いかとかというのは、生理的あるいは一種の心理的反応です。そういう専門家がきちんと入っているのかどうかもわかりませんし、建築家ではなくて、医学とか生理学とか心理学の専門家が判断することでしょうし、さらに言えば、そういう人だけで判断してはいけないわけで、それに伴うまさに機会費用の測定というのがあるわけです。高くすることに伴って予算がそこにかけられた分、ほかを削らざるを得ないという関係、トレードオフが必ずあるわけですから、ほかを削るということによるマイナスも考慮しないと比較の対象にならないわけです。そういうことを、この新聞記事で読む限りでも、ご説明をお聞きした限りでも、全くしていないわけですから、こんなものを前提にして規制維持だということは、子供の理屈以下だという気がします。やり直していただく必要があるのではないでしょうか。
○八田主査 それから、外国でもって2.7メートルでやっていて一度いいことになっている。しかも2.7メートルにしなければいけないというような規制ではないわけですから、自由度を与えようということですから、別に調査も要らないのではないですかね。要するにあくまで当事者の責任において選択をしてくださいということですよね。
○福井専門委員 特に私立学校とかでしたら、本当に圧迫感があって頭痛がするというように考えるような私立学校は倒産するわけですから。天井を低くして、本当にそれで子供が迷惑だというなら。通学を強制されていない私立学校で差し当たり認めて、それで本当にその学校に子供が集まらなくなるのかどうか、一回試してみればいいのではないですか。
○八田主査 それから、この実験は中学でやっているわけですけれども、小学校も中学も高校もみんな3メートルというわけですけれども小学生は明らかに背が低いですから、この調査が唯一の根拠で3メートルを維持するというのは少し難しいのではないかと思いますけれども。
○福井専門委員 高校卒業して大学に入ったら急に2.5メートルでもよくなるわけでしょう。その段階で、たまたま卒業式と入学式隔てるだけで本当に圧迫感がなくなるのかどうか。何かおかしい規制ではないですかね。
○八田主査 規制をするということは、よほどすごい理由がなければやるべきでなくて、それ以外は当事者の判断に任せるということが必要なのではないかと思うのです。
○村山委員 少し興味本位の質問で申しわけないのですけれども、これは昭和25年にできた法律で、3メートル以上でなければいけないというように25年に決めた根拠は何だったのですか。
○国土交通省住宅局建築指導課島田課長補佐 さすがに当時の資料は残ってございませんけれども、基本的にはその当時の観点として、解説等においては、室内空気環境の保持と視覚的環境の保持に対して一般の多数が集まる...。
○村山委員 あのころはたしか石炭ストーブだったころですからね、私が子供のころもそうでしたけれども、石炭ストーブだとさすがに天井が高くないと、こういうのがついているからだめだったのだと思いますけれども。
○福井専門委員 対流しないですからね。
○村山委員 対流しない、今はうちの息子の小学校もエアコンがついていますので、3メートルだと余計暖房が利かないとかそちらの方になってしまって、弊害の方が多いと思いますけれども。
○島田課長補佐 そういった意味でも、今回の文部科学省の委託調査の中で、さまざまな室内環境について分析はしていただき、空気質の問題については、余り規制の意味はないのではないかというところは整理されています。一方で、ここに申し上げていますような視覚的環境につきまして、今回の調査の中では、なお懸念が残るというご意見がでているようでございます。
○福井専門委員 「シカク」的ってどういう字を書くのですか。
○島田課長補佐 視覚です、見る。
○福井専門委員 その視覚的環境というのは、だれが何を見る環境ですか。
○島田課長補佐 室内の在室者がその空間を感じるときの環境ということで、ここで資料にもありますように圧迫感とか、そういった心理への影響のことでございます。昭和25年の立法当時からそういったことをもって規制として設定したということのようでございます。
○福井専門委員 視覚というのは黒板の字がよく見えるとか、そういう意味ではないのですか。
○島田課長補佐 そういった意味も含まれているのかもしれませんけれども、広い意味での。
○福井専門委員 立法当時の資料に圧迫感と書いてあるのですか、この言葉を使って。
○島田課長補佐 立法当時の資料そのものは残っていませんで、いろいろと聞き歩いたりとかした中でこういったものがあるだろうと。
○福井専門委員 言いかえているのではないかという疑いを持つのですけれども。圧迫感に。視覚的な環境というのと圧迫感というのは、日本語として大分意味が違うと思うのですけれども。圧迫感とか一種の閉塞感みたいものと比べて、視覚というのは目で感じるものでしょう。まさに学校教育で一番重要なことは、先生の手元で書いている黒板の字が見えるとか、あるいは前に張ってある地図が後ろから見えるとかではないかと思います。
○八田主査 天井が低い方が音はよく聞こえるといいます。
○福井専門委員 そうそう、だから教育環境という意味で言えば、先生がやっていることがきちんと子供とコミュニケートできるかどうかということが、目の限りでも耳の限りでも一番重要なわけで、それが、天井が高いということと何の関係があるのかさっぱりわからないのです。
○村山委員 あと先ほど立法当初3メートルにした理由は詳しくはわからないとおっしゃられましたけれども、いわゆる換気とか空気の問題ということをおっしゃられて、今回のこの調査は余りあてになるかどうかは別として、空気・熱環境、二酸化炭素濃度、室温ともに天井高の違いによる差異はないということであれば、当時はその理由で3メートルにしたという理由が少しでもあるのであれば、そしてこの調査によって空気は関係ないですよということであれば、それだけでこの調査は本当にあてにならないと思いますけれども、それだけでも外す理由の一考として考えられるのではないですか。関係ないのでしょう、昔は換気の問題があるから3メートル、石炭ストーブのこともあるから3メートルにしなければだめだと。今は変えてもそれに関しては変わらないということがここに言われたとすると、それでこの調査を信じられるのだとすれば、それだけでご一考なさる価値はあるかと思いますけれども。
○小川建築指導課長 その心理的な部分というところが違うということでございます。それについてはさらに長期的に、あるいは別の観点からいろいろな調査をしていくことによりわかってくると思います。ただ我々も変更するわけですから、そもそもなぜ規制するのかという原点に立ち返るという議論もあろうかと思いますけれども、これは政令で過去にそういう形で決まっておりますので、変更するためには変更するための合理的な理由が必要であると考えております。空気環境等々については、それほど差異がないということではありますが、心理面については、この調査ではそういう答えをいただいているということですから、私どもここの部分については、さらに知見を積み重ねる必要はあるかと思いますし、そういう知見さえ積み重なるものであれば、私どももこういう対応することは全くやぶさかではありません。
○福井専門委員 もちろん何らかの実証的根拠がいるというのはそのとおりだと思いますが、やはり1週間だけとかというのではなくて、さきほどのまさにトレードオフも考えていただくということと、この生徒の感想は、しょせん子供の感想文ですから、そういうのだけではなくて、学校を提供する運営主体なり、学校法人なり公立学校の先生方なりが、その天井についてどういう選好を持っているのかも調べる。あるいは私立学校ならもっとはっきりします。天井を高くしない分で例えば倹約できる費用が幾らですというようなことも、前提の知識として与えた上で、それを例えば普通の空調ではなくて床暖房に充てようではないかとか、あるいはその分視聴覚教室できちんとしたAV機器をそろえようではないかとか、いろいろな経営判断等があるわけで、トータルで学校の生徒の満足度を高めないとやっていけない学校という場所で、本当に天井にお金を使わせるように義務づけて、ほかに費用をかけさせないというように強制的にすることがいいことかどうか、という観点で調べていただかないとまずいと思うのです。
○八田主査 もう一つは、例えば既存のビルを学校に転用できるということだと、非常に近くで便利にできるという場合があります。そういうことができないと結構遠くに建てざるを得ないというような場合には、天井の高さと距離とのトレードオフということもありますよね。いろいろなものがトレードオフの対象になり得ると思うのです。だから、こういうものは絶対だめだよというのは、それを守らないと死んでしまうよというようなときには規制をする必要があると思うけれども、そうでない限りなるべく自由度を与えてやるような仕組みにすべきなのではないかと思いますけれどもね。
○村山委員 これから規制改革の流れでいろいろな学校が出てくるじゃないですか、コミュニティスクールとかいろいろありますよね。そういった中で、こういう昭和25年にできた法律をずっと堅持するということに対しての、そうしたせっかく規制が変わって、そういったものがつくれるようになったとしてもコストがかかり過ぎるからできないとか、そういうことにもなると思いますけれども。
○小川建築指導課長 少なくとも、そのような議論の中では、子供に対する最低限のサービスというような視点が失われているのではと思われます。私は、それでいいのであろうかと思います。ですから、単に経営のみの観点から判断すれば、どこかに詰め込んで、それこそクラムスクールで何でもかんでも子供さんさえ入ればいいんだという考え方が出るかもしれませんけれども、少なくともここで出てきている知見については、子供は明らかにマイナスの評価、つまり心理的な圧迫感など頭が痛い、そういったマイナス評価をしています。
教育というものは、やはり受ける者に対する最低限のサービスということは考えないといけないと思います。それについて、すべからく経済とのトレードオフで議論をすることは、いかがなものかと思います。
ただし、私が申し上げたいのは、この評価結果がすべてかどうかということについては、議論の余地があるだろう、ということでございます。
○福井専門委員 全く理解されていないのでもう一回反論しますけれど、今まで何のために議論していたのだと言いたくなるようなことをおっしゃるので。いいですか。
我々は天井高を高くしないといけないと一律に義務づけるということに対して異論を唱えているのです。何度も、もう嫌になるぐらい申し上げていますが、天井高を高くさせることによって、ほかの面での子供の学習環境を必ず失わせているのです。天秤にかけるという考慮をしてほしい。
○八田主査 結局は子供のためにサービスすることが唯一の目標なのですよね。それを考える人がどこにあるべきか。それはやはり学校の校長さんであり学校の経営者であり、公立学校ならば教育委員会がやるべきではないかと思います。そういう方々に最大の自由を与えることが子供の環境をよくすることではないかと思います。1週間だけ行った調査に基づいてこのような判断力のある人々の自由を奪うというのは、根拠として不足しているのではないかと、そういうことです。
○笠原専門官 文科省としても、建築指導課長からもお話がありましたけれども、まず子供たちは成長過程にありますので、普通の大人と違いますので、その子供たちにとってよりよい教育環境というのを考えたいと思っています。
今回は確かに1週間しかしていませんので、この新聞記事というのは確かに子供たちの声だけが出ていますけれども、実際そこでの先生方とかのヒアリングとかもさせていただいています。確かに1週間という期限を限られた期間でありますので、それがすべてだと思っておりませんので、そういう意味で、やはりさらなる知見を積み重ねた上で考えていかなければいけないのではないかという考え方なのですけれども。
○福井専門委員 もし調査されるのだとしたら規制改革会議にもご相談いただいて、今のような観点で過不足なく、結果を、みんなが、どっちの立場に立つ人も素直に受け入れられるような形で調査していただくと、お金も手間も二度手間にならなくていいと思うのです。
我々だって子供の選択を尊重したい、子供の健康や学習環境を尊重したいという点で何の違いもないのです。だけど天井でそれを尊重するのか、別の空調設備で尊重するのか、あるいは何か高度な学習機器で尊重するのかという、まさにトレードオフの中での選択の自由をもう少しふやしてあげた方がいいのではないかというだけです。天井が全てではないということをご理解いただきたいと思うのです。
○八田主査 実験されるときは、ぜひともそういう意味で、空調つけたりカーペットつけたり、何か環境を良くするというもう一つの側面をつけた上で評価願いたいと思いますね。
○笠原専門官 調査の仕方については現行の規制の中でいろいろやるものですから、いろいろ難しいところがございますけれども、実際のやり方については、国土交通省と一緒にやっていますので、いろいろ国土交通省とも相談しながらやっていきたいと思っております。
○八田主査 特に私立学校は予算の枠に──要するに私立学校というのは自由度が利くと思いますから、要するに天井を低くするならほかでいいものをしてあげるというもので実験していただきたいと思いますね。
○事務局 その調査の方ですけれども、実際の具体の日程とかはもう決まっているのでしょうか、今、されているということですけれども、特に今後ですね。
○笠原専門官 今、ここで出ております調査については、一応今年度を目途にとりあえず取りまとめるということになってございます。
○八田主査 これではだめだよ、全然。
○福井専門委員 ただちに打ち切って、もっとまともなやり方の調査を今から企画し直していただく。予算の無駄だと思いますよ。幾ら続きをやっても。
○八田主査 それから当然この調査を行った方にはやめていただかないとだめだと思いますよね。やはりこれを行った方は、自分の言ったことに関してまた再び同じことを言いたいという、動機が最初からありますからね。別な方に行ってもらうべきだと思います。
○福井専門委員 人選の企画内容も含めてご相談いただけませんでしょうか、事前に。
○八田主査 報告書はもうできているわけですか。
○笠原専門官 まだです。
○八田主査 まだできていないのですか。
○笠原専門官 はい。
○八田主査 そうすると具体的には、もう来年度の予算がないから来年度すぐ調査をするわけにはいかないですよね。
○事務局 事務局として考えますのは、今回、知見を積み重ねるということでは合意を見たところだと思いますので、その知見を積み重ねるという点について、これは我々まとめていく際には実施時期とかそういったものを入れざるを得ないのですけれども、そこについてまたできれば事務的にご相談させていただいて、先生方にまたお諮りはさせていただくと。
○八田主査 その知見を積み重ねるというところの具体策を入れていただきたいと思います。
○福井専門委員 さらに言えば、今回行ったような形でない、こういう調査の形態なり趣旨でない形で検証し直すということを明記していただきたいと思います。
○八田主査 他にご意見ありますか。
そういうことで合意させていただきたいと思いますので、どうもありがとうございました。お忙しいところありがとうございました。
以上