平成15年8月25日(月) 14:30〜17:15
永田町合同庁舎総合規制改革会議大会議室
○都市公園の地下利用の拡大(水道、下水道、変電所設置等)
○都市公園における配電用変圧器の占有条件の緩和
外国人課 品田首席事務官
司法法制課 黒川課長
江原検事
監督課 伊澤課長
計画課 石井課長
育成環境課 林課長
計画課 鹿田課長、内海課長補佐、小林課長補佐、田中課長補佐
漁政課 渡辺課長補佐
公園緑地課 高梨課長、稗田公園企画官
八代主査、森委員、安念専門委員
滑川室長、檜参事官
内閣府 河野審議官、浅野間審議官、宮川室長 他
○八代主査 それでは、ただいまから「構造改革特区提案および規制改革全国要望に関する意見交換会」を始めたいと思います。本日は、議論はすべて公開させていただきます。 テーマは、外務省関係のノービザ観光の容認、法務省関係から、弁護士等の労働者派遣の解禁、厚生労働省関係から、演劇の子役の問題、株式会社による老人ホームの解禁、児童館経営の解禁等について議論させていただきます。
まず、最初に外務省の方からノービザ観光の容認につきして担当の方に来ていただいておりますので、恐縮ですが時間が限られておりますので、資料に基づき5、6分程度でお話いただき、それからまた質疑、意見交換をしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○品田外務省大臣官房領事移住部外国人課首席事務官 よろしくお願いいたします。外務省領事移住部外国人課の品田と申します。
特区の関係で、ノービザの関連で私どもがいただいております提案が幾つかございます。例えば、長崎県からいただいている韓国人観光客に対する査証免除ですとか、熊本県菊池市から提案をいただいております、韓国人修学旅行生、スポーツ・文化交流団体等に対するビザ免除、その他にも幾つか似たような提案をいただいております。
配られている大きめの資料をごらんになっていただけると、現状を把握していただけると思いますけれども、基本的に特区につきましては、第2次提案の際も当省といたしましては、できるだけ前向きな対応をしたいと、種々検討してきたところでございます。
第2次提案につきましては、韓国人の就学旅行生に対する査証発給の際の申請書類の簡素化等の措置を内閣官房と御相談してきたわけですけれども、ビザ免除につきましては、種々困難が実はございまして、御提案は幾つかいただいているのですけれども、一旦日本に入国した外国人は、これは勿論国籍問わずですけれども、特区内にとどまるということではなくて、日本国内の移動は勿論自由でございますので、仮に特区の中だけで行動することを確保する手段が非常に見つけにくいということもあって、その部分を地方自治体に責任を持っていただくことは、やはり無理があるのだろうと思います。
ですから、ビザ免除というのは、基本的には国が責任を持って全国対応させていただくべき話だと思っておりますので、ビザ免除に関する御提案につきましては、残念ながらこの特区という枠組みの中では、御満足いただける回答ではなかったかもしれませんけれども、ビザというのは人の移動を円滑にすると同時に、日本国内の公安の維持ですとか、最近問題になっております、不法滞在、不法就労、あるいは犯罪とか、そういうのを未然に防ぐための重要な手段の1つでございますので、やはり国が責任を持って十分検討した上で行うということにさせていただきたいと思っております。
以上です。
○八代主査 どうもありがとうございました。それでは、いかがでしょうか。
○安念専門委員 移動の自由は制限できないとおっしゃいますが、「仮に」の話ですが、地方公共団体が責任を持って移動をそこに制限できるのであれば、また別途のお考えがあるということでしょうか。
それとも、およそそんなことは不可能であると、不可能であるというのは、地方公共団体がどれだけ頑張ったところで、移動の自由を制限するなどということは、はなからできないというお考えでしょうか。
○品田首席事務官 やはり極端に言いますと、本当に特区内の、本来ビザが必要な国であるけれども、何らかの形で、ビザ免除で特区に来た方が、その特区から出ないということを責任を持って確保していただくとすると、極端に言うとどこかに関所を設けなければいけない話になるわけです。これはどう考えても現実的な話ではありませんし、地方自治体の市長の方でもどなたでもいいのですけれども、行動に責任を持つとおっしゃられても、それはやはり相当限界があって、団体観光旅行の何十人、何百人と来る人たちの行動を一人ずつチェックするということは、事実上不可能でしょうし、ですからやはり先ほど申し上げましたけれども、ビザ免除についてはどうしても全国的な対応が必要になるのではないかと思います。
○八代主査 ただ、そのときにこれは団体旅行なわけですから、団体旅行の責任者が予め決められたスケジュールのところしか行かないということで、個人旅行ではないのだということが1つのポイントになっているわけですね。それでも、だめだということですか。
○品田首席事務官 団体観光旅行については、その点についても勿論検討はいたしました。ただ、一部の国では団体観光旅行の制度を乱用、あるいは悪用して、そこで失踪者が相当数出ていると。勿論旅行社にはそれなりの責任は課せられているわけですけれども、そういう実態がございますので、やはり全面的に責任を旅行者なりが取っていただいて、行動をコントロールするのもかなり無理があるのではないかと思います。
○安念専門委員 ビザの発給事務のいろいろな御苦労は多分多かろうということは拝察するのですが、もともとビザというものは粗ごなしという程度以上の役割を果たすことは不可能なのではないでしょうか。そもそもビザを相互に免除している国同士に、悪い人がお互いに一人も行かないはずだなんていう、そんな非現実的な前提はございませんね。ビザ・リクワイアメントがある国の人が、ビザをきちんと取って来たからといって、やはり悪い人は幾らでもと言っては語弊がありますが、あり得ることですね。つまり歩どまりというか、そこそこコントロールできればいいと考えなければ、およそビザという制度は成り立ちませんでしょうし、それならこの場合もそこそこコントロールできればいいというふうに考えることはできませんでしょうか。
○八代主査 ちょっと補足いたしますと、安念先生が言われたことと同じなのですが、逆に今のビザ制度だけで、現にどれだけ犯罪とか不法就労を未然に防ぐことができるのかということも同時に教えていただきたいと思います。
○品田首席事務官 ビザによるコントロールというのは、そこそこでいいのではないかということですけれども、勿論私どもとしましても、ビザの制度によっていろんな不法滞在とか不法就労、あるいは潜在的な犯罪者を100 %入国を未然に阻止することができるとは毛頭思っておりませんで、ただ実際は今、日本の場合、ビザ免除をやっている国は約六十か国あるわけです。世界の大体3分の1近くです。
○八代主査 60か国の話をしているのではなくて、現在は中国、台湾、韓国ということを特に考えているわけですけれども。
○品田首席事務官 1つ確認したいのですが、中国に対するビザ免除といっている提案はないと思うのですけれども、中国人に対しても特区だけでもビザ免除した方がいいのではないかというふうに理解してよろしいですか。
○八代主査 観光客の中には、中国も入っております。これは60030番の岡山県です。それは例えばということで、別にインド、バングラディッシュのことを言っているわけではないのだということです。
○品田首席事務官 岡山県の御提案は、ビザ免除ではなくて、短期滞在査証発給要件の緩和ですね。
○八代主査 そうですね。例えば、韓国ですね。
○品田首席事務官 韓国につきましては、実はこの紙ができて以降なのですけれども、一つ前向きな動きがありまして、特区の御提案と必ずしも直接関係しているわけではないのですけれども、6月の始めに盧武鉉大統領が訪日されて、首脳会談を行ったわけですけれども、そのときに韓国の修学旅行生等に対しては、全国レベルで査証免除措置を検討するということになっております。
現在事務方で、細かいところを詰めているところで、今年中というのは困難かもしれないのですけれども、韓国につきましては修学旅行生についてそういう措置を全国的なレベルでとろうということで、今、検討を進めております。
ですから、そういうふうにビザ免除というのは特区に限ったものではなくて、全国レベルで、私どももできる部分が始めていこうと思っております。
○八代主査 ですから、勿論全国でやっていただければ、特区をつくる必要はないのですが、今は韓国の修学旅行で、非常に限定された形なのが問題です。別に修学旅行でなくても観光等の目的での団体旅行という意味では同じではないか。ですから、全国レベルでやっていただけるのは結構ですけれども、どういうスケジュールで考えていただけるのか、単に将来的課題というのは、我々から見ればやらないとの同じですので、例えば具体的に来年検討を始めるとか、そういう形でのスケジュールはお持ちなのでしょうか。
○品田首席事務官 韓国人の修学旅行生については、検討はもう始めておりまして、できれば来年度中には実施したいと考えております。
○八代主査 ただ、なぜ修学旅行だけなのですか。
○品田首席事務官 現在、日本には記録されているだけで、22万7,000 人の不法滞在者がいるわけです。韓国につきましては、国別でトップなのですけれども、そのうちの4分の1ぐらいが韓国の方なのです。ですから、韓国については、不法滞在者の絶対数が多いということがあって、なかなか今の時点で修学旅行生だけではなくて、全部の団体についてビザ免除をするという状況にはなってないと思います。
ただ、昨年日韓共催のワールドカップサッカーがございまして、それに際して1枚紙を事前にお配りしていると思いますけれども、去年の始めから韓国の方については、5年有効の90日の短期滞在の数次ビザを出せるようになっております。
○八代主査 これはビジネスマンについてですね。
○品田首席事務官 いや、観光客も含めて全部です。香港、台湾等についても似たような制度が既にあるのですけれども、5年有効90日の数次ビザというのは、実はこれはもう既にビザ免除と非常に近い形でして、というのは一回数次ビザを取れば、向こう5年間は90日以内の滞在であれば何度でも来られるわけですから、私どもの運用上はビザの免除に非常に近い形になっているわけです。
ビザ申請のときに出していただく書類も必要最低限のもので、原則翌日発給ということになっております。ですから、団体観光旅行の場合なんかですと、御本人がわざわざ大使館までこられなくても、旅行社がとりまとめてやりますので、実際はビザを取るに際する手間というのは、それほどかかってないのです。一回取れば3年なり5年なり何度でも来られるということで、ビザ免除こそまだ実現しておりませんけれども、私どもとしてはできることはやっているというふうに認識しております。
○安念専門委員 非常に前向きな御措置を取っておられることに大変敬意を表するのですが、そうだとすれば今一歩進めてごらんになるのも1つの手ではないかと思います。つまり、有効期間5年の数次ビザとなれば、今おっしゃったようにもうビザ免除と実質同じではないか、それなら原則としてはある地域から来て、ある地域だけを観光する。場合によっては、日本に来てある島だけを観光して、それから旅行業者にも責任を持たせるし、地方公共団体にも責任を持たせるという方が、率直に申しまして期間5年の数次ビザよりも、ある程度コントロールし易いのではないかと素人考えでは思うのですが、ここまでなさるのであれば、この特区提案にあるようなやり方の方が、まだある意味ではコントローラブルなやり方なのではないかという気がするのですが、いかがなものでございましょうか。
○八代主査 それから、時間もないのでついでに聞きたいのですけれども、今の韓国の5年滞在90日間というのは、団体旅行客でも簡単に取れるということなのですか。
○品田首席事務官 観光旅行で簡単に取れるはずです。
○八代主査 そうですか。
○品田首席事務官 それから、先ほどの御質問ですけれども、要するにそこまでやっているのであれば、査証免除してもいいのではないかということですけれども。
まず、3つか4つの点があると思うのですけれども、まず特区に限って査証免除というのは、先ほどから御説明しておりますように無理があって、査証免除を全国レベルで対応した方がいいという性格の措置だと思います。
それがありまして、2番目は韓国の方に対する査証免除は、実は一回試行、テストをやっておりまして、去年のワールドカップのときに45日間査証免除をやっています。そういう期間が短かったことと、韓国のチームが勝ち進んだものですから、日本に来る人がそれほどは増えなかったということもあって、その効果とメリット・デメリット面の分析というのは、なかなか難しいのですけれども、実は、これは法務省さんの関係になるかもしれませんけれども、本来来ていただいては困るという方が相当混じっていたという問題があるのです。
もう一つは、5年90日の数次と査証免除の大きな違いというのは、やはり査証を出すということは、そこで査証を出したときに記録が残るわけです。入ってきてからの不法就労とか犯罪、中には凶悪犯罪も国に限らずあるわけですけれども、そういうときに記録が残っているのと、残っていないのでは、大きな違いがあるということ。
それから、最後の点は、昨年試行措置をやったわけですけれども、やはりそういうテストケースを日韓双方が協力して積み重ねていって、韓国についてはいずれは査証免除になるのだと思います。将来はですね。ただ、それを余り拙速にやると、実は来ていただくと余りよくないという人がいっぱい来たり、そのために不法滞在者が増えたりしたときに、一回査証免除にしたものをまた戻すというのは、相当な政治的なインパクトがあるものですから、そこをやはり慎重に考えて、今回就学旅行生の査証免除を検討しているわけですけれども、少しずつ進めていった方がお互いのためにいいのではないかと思います。
○八代主査 基礎的な質問なのですが、査証をとらせれば本人が来たことが確認できるということですが、パスポートでも基本的にはそこでだれが入国したか確認しているわけですね。どこかそんなに大きな違いなのでしょうか。
○品田首席事務官 本人が来たことがというよりも、査証を出したことが確認できるわけですけれども、パスポートで入国のときには、インタビューしない限りは例えば本人の職業とかまでは書いてませんし。
○八代主査 入国者本人に書かせたら何でいけないのですが、我々も外国に行くときは入国カードに職業なんて書かせられますけれども。
○品田首席事務官 ただ、要するに、日本に来る方の大部分は、全く問題のない観光客とかビジネスマンなのです。それで、一部の人に、これは国に限らず問題があるわけですけれども……
○八代主査 それはビザでも同じではないですか。
○品田首席事務官 そうです。ビザのときにどういう申請をされるか、まず写真が必要になりますね。それで、ちょっとテクニカルな細かい話になりますけれども、なり代わりとか、すり代わりとか、ビザを書いたときの筆跡とか、それは記録に残っているわけです。少なくともサインは残っているわけです。
これは、入ってきてから問題になったときに、そういったビザを発給したときの記録というのが、繰り返して言いますけれども、国には限りませんけれども、国は別にどこの国と限ったわけではないですけれども、一定の参考になるということはあるわけです。
○安念専門委員 その程度なら、エンバケーションカードで大体リプレーサブルになるような気がするのですが、違いますか。
○八代主査 写真と筆跡は、その場で書かせた方がビザよりは確実ではないかと思われますが、時間もないので、技術的な点についてビザを要求した方が不法就労、犯罪を防止できるというお考えであると、それから、特区にはなじまないと、全国でやると。ただ、全国については今のようなお話だと、韓国についてはやっておられるわけですけれども、ほかの国とかそういうものについては、まだ予定はないということですね。
○品田首席事務官 そうですね。
○安念専門委員 だから、全国で対応していただくのがよりプレファーラブルであるというのは当たり前、その点では恐らく見解は一致していると思うのですが、そうだとすると大体のタイムテーブルを示していただけると非常に生産的だと思います。
というのは、悪い人が入るかもしれないというのは、何年待っていたって悪い人がいなくなる国はないわけですけれども、ここをもう少し見通しを立てていただけるとお互いいいのではないかと思うのですが。
○品田首席事務官 見通しとおっしゃるのは。
○安念専門委員 タイムテーブルです。ここまで検討を完了するということでないと。
○品田首席事務官 何についてのタイムテーブルですか?
○安念専門委員 つまり、査証免除するというのであれば、何年までに検討を完結するということでないと。
○品田首席事務官 韓国についてですか。
○安念専門委員 ええ、例えばですよ。
○品田首席事務官 ですから、韓国については、今タイムテーブルということである程度申し上げられるのは、さっき言いましたように修学旅行生を来年度中にはということで、その先になりますとまだ、いずれはそういうふうになる関係にある国だと思いますけれども、まだ申し上げられる段階ではないと思います。
○檜木参事官 特区室ですけれども、移動可能性ということで特区になじまないとは我々全く思っておりませんで、既に、入管絡みですけれども、IT技術者とか研究者の在留資格を3年から5年にするというのは、既に特区で認められておりまして、これも初めは移動可能性という議論があったのですけれども、その特区で自治体が必要だと思う人についてはもう既に認められております。
それともう一つは、先ほどから御議論を聞いていると、違法な人とか不法滞在ということをおっしゃっておられますけれども、であればむしろ自治体をかましてそれをなくすということで、まさに特区になじむ話ではないかという気がします。
○八代主査 つまり関所はつくれないけれども、自治体が少なくとも団体旅行等はかなり監督できるわけですね。そういう意味だと思います。
○品田首席事務官 そこは、IT技術者については、ちょっと私の勘違いでない限りは、在留資格の問題は特区に限ってですか。
○檜木参事官 特区に限ってです。ちょっと勉強してください。特区に限って、まず研究者について特区法を……
○品田首席事務官 在留資格、そこでIT技術者の勤務先とかは、私ちょっと勉強不足なのですけれども。
○檜木参事官 勤務先は特区内に限っています。ただし、特区以外のところに行って、研究活動の延長でやることは、全然やぶさかではありません。要するに、その人は特区を離れても構いません。
○品田首席事務官 だから、勤務先は特区に限っているわけですね。移動したら、そこで在留資格の延長手続をしなければいけないわけですね。
○檜木参事官 だから、勤務先を変えた場合ですね。
○品田首席事務官 でも変えなければ、勤務先というのは特区の中に限定されているわけですね。だから、勤務先というのはそんなに……
○檜木参事官 勤務先は限定されているけれども、例えば研究者だったら、東大で研究所があったとしても、副次的に筑波大学に関連の研究に行くとか、これは全然問題ないし、例えば、後援会活動とか、これも全然問題ないです。
○品田首席事務官 それは当然そうだと思います。
○檜木参事官 ですから、移動するからだめだという問題ではなくて。
○品田首席事務官 それは在留資格と国内のビザ免除の場合の国内の移動というのを混同されているのではないですか。在留資格というのは、こうこうこういう場所で、こういう仕事をしますということで入管に申請して、それで在留資格を取るわけですから、だからといってそこの働いているところの自治体から一歩も出てはいかぬと、そういうことは必ずしもないわけです。
だから、ビザの免除の話と、IT技術者の在留資格の問題は、決して同列に語れないと思いますけれども、そこが混同されているのではないですか。
○八代主査 どっちにしても、次の法務省の時間に食い込んでいますので、またこの点については改めてよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
(外務省関係者退室)
○八代主査 本日はお忙しい中ありがとうございました。また、お待たせして恐縮です。
それでは、弁護士の労働者派遣解禁の問題でございますが、時間も押しておりますし、これは非常に重要なポイントですので、そちらのお話はもう十分承知しておりますので、いきなり質疑に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
本問題は、労働者派遣という問題について、これまで医師・弁護士等が禁止されていたわけなのですが、医師の方は一応部分的ですが解禁になったのですが、依然として弁護士の方が認められない。
そちらの「だめだ」という理由について、これは非常に私ども理解できなかったのですが、労働者派遣業者がもし弁護士を派遣すると実質的に弁護士業務に介入するようなことになるからだめだというお話だと思いますが、仮にそうだとしたら、医師の派遣をすることによって、医師を派遣する会社も医療行為に介入するということで、これも厳しく禁止されている筈ですが、厚生労働省ではこの点は問題にはなっていません。
労働者派遣業というのは、本来そういう派遣業者が派遣する人の仕事に介入するということは一切ないような形になっているはずで、指揮・命令権は派遣先にあるわけで、派遣元にはないというのは派遣法にも明記されているわけですが、なぜそういう理由でいけないのかということを御説明させていただきたいと思います。
○黒川法務省大臣官房司法法制部司法法制課課長 法務省司法法制課長の黒川でございます。
ただいまの御質問の関係につきましては、もう既に先生方御承知のように、弁護士法72条という規制の条文がございまして、これは弁護士でない者が報酬を得て、他人の法律事務を取り扱ってはいけないという条項でございます。
この労働者派遣形態で想定される事柄について、この弁護士法72条をあてはめて考えてみますと、72条の適用があるかどうかという観点から見ると、72条に違反するおそれが極めて強いのではないかということを我々は申し上げております。
その理由として、今、主査から御指摘ありましたけれども、労働者派遣についてまず派遣業者側と弁護士との間に雇用関係があると。指揮・命令関係は派遣先との関係で生じることになりましょうが、派遣業者と弁護士の間にも雇用契約に当然随伴しまして、指揮・命令関係は残るはずであろうと。
○八代主査 それは厚生労働省の解釈がそうなっていますか、雇ったら必ず指揮・命令関係があるという、そういう解釈を厚生労働省はしておりますか。
○黒川課長 そこら辺の詳細はわかりませんが。
○八代主査 それがわからなかったら、どうしてそんなことが言えるのでしょうか。
○黒川課長 厚生労働省の解釈はわかりませんが。
○八代主査 しかし、厚生労働省がこの派遣法をつくった官庁であって、その官庁が派遣法を解釈する権利を持っているのではないですか。
○黒川課長 私法上の雇用関係に当然伴う指揮・命令系統、指揮・命令関係はあるはずですので、例えば派遣された弁護士がきちんとした仕事をせずに、派遣先からクレームが付いたような場合には、派遣業者側が被雇用の弁護士に対して「もっときちんと派遣契約上の義務が履行できるように働かなければだめだぞ」ということを当然言わないといけないでしょうし。
○八代主査 そのときは単にその人を代えるだけです。それが労働者派遣の仕組みなわけです。
○黒川課長 いずれにしても、雇用関係が根っ子に残っている以上、その意味の私法上の雇用契約から生ずる指揮・命令関係、あるいは服務の関係、そういう作用は本質的に残るのではないかと我々は考えております。
○八代主査 それは厚生労働省にきちっと解釈は聞いてもらわなければいけないので、この派遣法というのはそういう労働法の特別法になっているわけですから、御心配のようなことはないことで法律がきちっとできているわけです。
そうなると、二重指揮・命令関係があったら、そもそも混乱してしまって、派遣先と派遣元のどっちの命令に従っていいか、派遣された人は困ってしまうわけです。だから、これはあくまでも派遣先の指揮・命令に従うということが、法律上規定されているわけです。
とにかく、厚生労働省とこの解釈をされるに当たっては協議されてないのですか。
○黒川課長 従来この労働者派遣法制ができる段階で、勿論協議はさせていただいておりますが、今回のこの協議の関係では、厚生労働省さんとは打ち合わせしておりません。御指導もいただいておりません。
○八代主査 わかりました。それは、派遣法は、そんなことになったら派遣企業自体が動かないようになってしまいますから、当然あり得ないと思いますが、そういうふうに二重の指揮・命令関係にあるから弁護士法違反だというのが、法務省の考え方なわけですね。
○安念専門委員 その場合、派遣先業者と派遣される弁護士との間に雇用関係はあるわけですから、雇用関係に基づく私法上の権利義務関係がある。これは私法上、まさに私法上の常識、その中身が何かはともかくとしてそうだと思うのですが。
そうなった場合に、さて弁護士法72条とのインフリンジメントはどういう形で発生するのでしょうか。
○黒川課長 ですから、これも例えば派遣業者が弁護士を雇用すること自体、それ自体が弁護士法上禁止されているわけではありませんし、それによって派遣という形態を採ること、それ自体が直ちに72条違反を生ずるということには我々は理解しておりません。
ただし、ユーザーの方のニーズを考えますと、派遣先において当該弁護士が法律事務を処理するのでしょうから、その場合には派遣業者から見ると派遣先企業の法律事務を取り扱ってしまうことになる、雇用している弁護士を通じてですね。
そういうことになった場合に72条違反のおそれがあるのではないかと我々は申し上げているところです。
○安念専門委員 それであれば、特に外資系なんかによく見られる、インハウスローヤーでも同じような危険はございませんか。
○黒川課長 これは、弁護士法の規定は、あくまで他人事務を処理すること、これを禁じている。インハウスローヤー、あるいは企業に雇用されている弁護士の方々は、あくまで理屈の問題かもしれませんが、自己の事務、その当該会社の自己事務を処理しているということで、72条の問題は生じないというふう我々は理解しております。
○安念専門委員 それを黒川課長に申し上げるのは、お釈迦様に説法なのですが、御承知のように日本の場合はインハウスを雇っているところは大きい企業でございますから、当然子会社とか関連会社の法律事務に全く触れないということはないことはよく御存じだと思うのです。
そうだとすると、果たして何が違うと黒川課長が思っておられるのか、それとも関係団体のご主張なのか、私はよく存じませんが、その辺の切り分けはどうなるのでしょうか。
○黒川課長 確かに、今、安念専門委員から御指摘のあった点については、特に企業法務に雇用されている、企業法務として活躍されているインハウスローヤーである弁護士さんが、グループ企業に対してどういうリーガルサービスの提供ができるかどうか、ここは弁護士法72条の射程範囲の整理の問題として、今まさに司法改革の大きいテーマの1つとして、司法改革推進本部事務局が一定の見解をまとめるよう努力しているところでございます。
そこの辺はニーズは、十分当方も把握しておりますし、72条を明確化しなければいけないという政府の責務の中で、今、鋭意やっているところでございますので、その点はちょっと留保させていただきたいと思っておりますけれども。
今日のテーマの労働者派遣との関係においては、私どももこのこと自体が直ちに違反すると、だめだと申しているわけではなく、72条を当てはめられてしまう可能性がかなり高いのではないかということを申し上げているところです。
○八代主査 そうすると、御質問ですが、具体的にどういう弊害があるというふうに考えられているのですか。今おっしゃった違反ではないと言うのであれば、この派遣を認めることによって。
それから、先ほども言いましたが、同じような立場にある医者については、既に一部実現しているわけです。もし今の黒川課長のような解釈があれば、当然厚生労働省の医療局の方から、これは派遣業者が医行為をすることは医療法違反だというクレームがつくはずでありますが、そういうことは一切聞いたことはありませんが、どうなのでしょうか。
○黒川課長 まず根本として、ちょっと医師との関係は別にして、弁護士法の問題としては、弁護士という国家資格を名称独占ではなくて、業務独占としてセットしている以上、弁護士でない方が弁護士の仕事を処理するようなスキームというのはちょっと組めないという前提に立ちますと、まず、派遣業者の方は弁護士でないわけです。なぜ72条があるかというと、結局、資格を得て倫理的にも制度上担保されて、弁護士に業務を独占されることが、国民の法律生活の安定になるし、権利義務関係が事件やその他によってめちゃくちゃにされてしまうことがないようにしましょうと、こういうことを制度趣旨としておりますので、個別の派遣業者さんが変なことをするということは、全く念頭にありませんけれども、制度論として弁護士でない派遣業者さんが弁護士を通じてよそ様の法律事件を処理するような枠組みについては、72条に違反するおそれが非常に高いですということを申し上げているわけです。
○八代主査 本当にそういうことを考えておられるのですか。派遣業者が弁護士を通じて個々の事件に口を出すなんていうことがあり得るというか、そんなことをしたらその派遣業者は市場で淘汰されてしまいますね。
逆にそういう派遣業者は弁護士法違反で捕まえればいいわけであって、そういう懸念があるということだけで、そういう新しい業務自体を一々禁止していたら、何も動かないわけです。世の中の動きについていけないのではないでしょうか。
○黒川課長 ですから、派遣業や業態を禁止する立場にも我々はありませんし、できるものでもないのですが、弁護士法72条に違反するおそれが高いですよということを申し上げているわけです。
○八代主査 そのおそれが高いというのは、どういう根拠でおそれが高いのですか。
○黒川課長 派遣業者が非弁護士であるから。
○八代主査 非弁護士は当たり前ですけれども、非弁護士である派遣業者が介入するというおそれがあるという根拠はどこにあるのですか。
○黒川課長 そこは派遣契約上の契約内容や契約関係いかんによっては、より効率的に働かせなければいけないとか、さまざまな雇用契約上の指導をしてしまうおそれもなくはないと。
○八代主査 そういうことをしてはいけないということを禁止したらいいのではないですか、なぜごく一部のおそれがあるから、全体を禁止してしまうのですか。
弁護士業務に口を出してはいけない。あるいは、効率的に働けと言ってはいけないということを明示すればいいわけですね。
○黒川課長 派遣業者側の行為規制として、ですね。それも考えられないアプローチではないとは思いますが、現在スキームとして弁護士法72条は維持しつつ、個別に72条で具体的な弊害があった場合に、それを解除していこうと、そういう方向で今、努力を重ねているところですので、この派遣業との関係で、具体的にどうしても弁護士さんをどこか派遣先に派遣しなければならないという、具体的ニーズ、その辺も私ども申し訳ないのですが情報が不足していて、その辺にも接していないのです。
○八代主査 そういうニーズがあるからこういう提案が出てきているわけですけれども。
○黒川課長 例えば、派遣先としてどんな業態の方が想定されているのか、また弁護士を求められる方がどういう形で弁護士を使おうとされているのか、この辺について実社会の本当のニーズがあれば、またきちっと承って、弊害や弁護士法72条の趣旨との整合性も考えて、個別に解除するというアプローチはあり得なくはないと思っております。
○八代主査 個別のニーズがあったら査定してやるという考え方は随分自由経済社会の考え方と矛盾するものですね。本来はこういう派遣業の対象職種は禁止されてない限り基本的には自由なはずですね。ビジネスマンというのは、いろんなアイデアを出して、新しい消費者のニーズに応えるような形でやるわけですから、どういうニーズがあるか把握してないから禁止するというのは、余りにも極端ではないですか。
○黒川課長 ですから、八代主査がおっしゃったとおりなのです。別に我々として労働者派遣業や労働者派遣形態自体を禁止するつもりは毛頭ございません。
○八代主査 弁護士について禁止しているわけですね。
○黒川課長 禁止するつもりはありません。弁護士法72条に違反してしまうかもしれませんということを申し上げているわけです。
ただ、あとそれをクリアーに、安心して、例えばこの形態に当てはめてみて、労働者派遣形態について、安全弁としてこういう行為規制を設けなさいということであれば、それはそれで考えられなくもないアプローチだとは思います。
○八代主査 そうですか。行為規制が十分にあれば、こういう外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、こういうものが全部同じような行為規制があれば、別に適用除外業務にしなくてもいいということなのですね。
○黒川課長 とりあえず、弁護士法との関係では、他の士業さんについては、私申し上げる立場にはありませんが、弁護士法については、そういうアプローチも不可能ではない。ただそれは、個別具体的なニーズとの関係で、弊害をどういうふうに除去していかなければいけないだろうかということを考えなければいけないと思っておりまして、今まさに司法制度改革はそういうアプローチで、労働者派遣については検討されておりませんけれども、いろいろなADRその他の枠組みで、他の専門の方々を活用する方策はないだろうかとか、そういう観点で弁護士法72条の整理をしているところでございますので、そこの辺の推移もまた機会があれば御報告したいと思っております。
○八代主査 医師との絡みでは、医師と弁護士は基本的に業務独占というのは同じなのですが、医師に関しては別に厚生労働省は、今、黒川課長がおっしゃったような問題があるとは夢にも思っていないわけです。それについては、他省のことだから関知しないということですか。
○黒川課長 そういう意味ではございませんが、医師について我々その詳細は把握しておりませんので、非常に素人的な感覚で言うと、お医者さんの仕事については、そうそう外部の素人の人が口を出したり、こういう医療行為をしろと言ったりすることが想定し難いのではないかということです。
○八代主査 素人の方が口を出すことが想定されるのですか。
○黒川課長 ここは、法律の中身、個別判断についてはわかりませんけれども、事件の受任とか、弁護士倫理からしたら少しおかしいような指示を出すおそれがあるのではないかと。
○八代主査 何の根拠に基づいて、そんな悪徳派遣業者がいるというか、そういうことをして派遣業者はどんなメリットがあるのですか。
○安念専門委員 そこはやはり経済人としてのインセンティブというのを常識的に判断するべきなのではないでしょうか。つまりそんなことをしても何の得にもならないわけです。派遣業者には、別にこの法律をこういうふうに処理しなさいなんていうことを言うインセンティブは、経済的に何もございませんね。
だから、こういう超抽象的危険犯とでも言うのか、もう危険がものすごい遠方にちょっとでもほの見えるとだめだという論法はどうも。
○黒川課長 我が国は、もう御承知のように、不幸な歴史があって、事件屋、三百代言がばっこして、他人の紛争事に口を出して一般国民を泣かせてきたという歴史があって、それを引きずって弁護士法72条というものができてきているということがございます。ですから、この72条の規制しているスキーム自体を取っ払うという議論にはなかなか、これは我々として与し得ないのですけれども、それを72条が存在する上でいろいろな副作用が出てきている。社会の法化という観点で副作用が出てきていることは、これはもう我々も十分承知しているところで、個別にこういうケースについて72条の例外を考えていこうというアプローチで今、種々やっているところでございますので、この労働者派遣形態についても、本当にそういうニーズがあって、何とかしていかなければならないのであれば、いろいろなアプローチで考えていくことはやぶさかではございません。
○安念専門委員 それはちょっと確認なのですが、72条自体が行為規制ですね。こういうことをやってはいかぬと言っているわけですね。そうすると、この72条があるだけではだめであって、72条を守るための、更に外掘りがないといけないというお考えになるわけですか。
○黒川課長 72条は一般的な禁止規範として、犯罪構成要件にもなっておりますので、非常に高度な反倫理性を持つ刑罰法令、あるいは一般の方々の行動を決める準則となっておりますので、これはある意味で一般法的な位置づけになると思います。
あと個別の事柄について、個別法で72条の例外を設けていく、書き分けていく、そういうアプローチで今いろいろな仕事をしてきているところですので。
○安念専門委員 だから、派遣法の場合は、72条の例外をしてくれと言っているわけではなくて、派遣法で派遣をすると72条違反になるシチュエーションが生じるかもしれないと言っているのですね。
その場合、72条でお前は違反だと、あるいは資格がなくなるぞというだけで足りないということになるのでしょうか。
○黒川課長 そこは、ある意味で、極論するとフリーかもしれません。ただ、弁護士を欲しい、弁護士を使いたいという方々は、その弁護士をして自分のところの法律事務を処理させたい。ジェネラルパブリックにリーガルサービスを代理人、あるいは内部の者として使っていきたいということだと思うのです。
だとすると、それは、繰り返しになりますが、派遣業者さんが雇用関係という法律関係を使って派遣先企業の法律事務を処理して、報酬を得ていると、そういう業になってしまうという、そういう類型的に72条違反になる危険性が必要に高いのではないかというふうに申し上げているわけです。
○安念専門委員 こうなると世界観の差になってしまいますね。
○八代主査 私も派遣法を巡っていろんな議論をしましたけれども、こういう議論はいまだかつて聞いたことがないのですが、しかし時間の制約もありますので、同じことを繰り返しても仕方ありません。第1段階としてはご趣旨はよく理解できましたので、改めてまた別の機会によろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
(法務省関係者退室)
○八代主査 どうもお待たせいたしました。
それでは、ちょっと遅れておりますが、厚生労働省関係3つございますが、第1に満15歳に満たない演劇子役の就労時間の延長ということですが、恐縮ですが5分ぐらいで簡単に御説明いただけませんでしょうか。
○伊澤厚生労働省労働基準局監督課課長 それでは、既にここに書いておりますけれども、厚生労働省としての考え方を御説明させていただきます。
労働基準法といいますのは、まず児童の福祉とか道徳を保護し、その心身の正常な発育を図る必要があること。
2番目として、児童の交渉力の不足から生ずる不当な圧迫より保護する必要があること。
3番目として、児童の教育を阻害しないようにする必要があること。
といった理由から、午後8時以降の児童の就労を禁止しているというようなことになっております。
このような児童の保護という観点から、子役についてのみ例外を認めるという理由はなく、現行法制における子役の就業可能時間を延長することは適当ではないというふうに考えております。
なお、若干補足的に説明させていただきますと、現行の労働基準法上では、そもそも原則として義務教育が終了するまでの間の児童の就労というものは禁止されているという大原則がございます。しかしながら、例外といたしまして、製造業とか建設業などのようなもの以外の、いわゆる非工業的事業と我々は言っておりますけれども、そういった非工業的事業で働く場合であって、児童の健康・福祉に有害ではなく、軽易なものについては、監督所長の許可を受けた場合に、満13歳以上の児童が就学時間外に働けるということになっております。
更にその例外といたしまして、映画制作、演劇の事業については、満13歳未満の児童についても、就学時間外であれば就労できるということになっておりまして、今、御説明いたしましたように、言わば子役の就労といいますのは、労働基準法上の例外の、そのまた例外という取り扱いになっておりまして、これを今回更に緩和するというのは適切ではないのではないかというのが私どもの立場でございます。
もう一つ付け加えさせていただきますと、現行法上も、例えば演劇の主役のように、代替性がきかないとか、タレント性が高いというような子役につきましては、労働基準法上の労働者ではないという運用をしておりまして、そういったタレント性の高い子役については、労働基準法上の就労制限はかかってこないということになっております。
また、例えばボランティアとか研修生というような形で、いわゆる使用者の指揮命令下での労働という形を取っていない子役については労働者に当たらないということで、これまた就労の制限にかかってこないということになっております。
したがいまして、現行法上もある程度今回の要望に応じた形で公演していただくことは可能ではないかと私ども考えておりまして、恐らく今回の要望で一番問題となるのは、むしろ主役だとか、代替性のきかない子役というよりは、端役とか、その他大勢役で出てくるような子役ではないかと考えておりまして、そういった子役については実態として雇用契約を締結して、使用者の指揮命令下で就労しているというので、それを10時まで就労できるようにしてほしいということだと思いますけれども、今、申し上げましたように現行法上でもかなり柔軟に対応できるということもございますし、最初に申し上げましたように、労働基準法上の例外の例外という形で子役について今、取り扱いを認めているということでございますので、これ以上の労働基準法上の規制の緩和ということについては適当ではないということを考えております。
○八代主査 どうもありがとうございました。
ただ、何が例外かというのは、そちらの事情であって、問題は実態であって、それが強制労働なのか本人が喜んでやっているのかが一番大事かと思いますが。
今、初めて聞いたのですが、主役なら構わないのですね。今の御説明だと、主役の子どもだと代替性がきかないから、これは労働者ではない、就労制限の対象にはならないけれども、端役なら労働者だという、この主役と端役でなぜそんなに違うのか初めて聞いたのですが、その根拠は何なのでしょうか。
○伊澤課長 済みません。主役と端役というのを、やや象徴的に言っただけでして、もう少し法律的に説明いたしますと、いわゆる労働契約を結び、いわゆる指揮命令下の労働を行っている者については、労働基準法の適用があるというのが我々の考え方でございます。
したがいまして、私ども通達で取り扱っているのですけれども、例えば次のいずれにも該当する場合には、労働基準法上の労働者ではないということで、例えば当人の提供する歌唱・演技等が、基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等、当人の個性が重要な要素となっていること。当人に対する報酬は稼働時間に応じて定められているものではないこと。リハーサル、出演時間等、スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等の関係では時間的に拘束されることはないこと。契約形態が雇用契約ではないこと。というような、これは別に子役だけではなくて、いわゆる労働基準法上の労働者に当たるかどうかという判断で、難しい場面多々あるのですけれども、同じような判断基準でここで子役についても、例えば主役といったのは象徴的にそういったことでございまして、契約の実態を見ながら労働者に当たらない場合については、労働基準法上の制限がかからないということでございます。
○八代主査 ただ、それは逆に危険なことではないですか。今おっしゃったのは、要するに自営業にしてしまえば、一切労基法の対象にならないから、子どもであっても、ある意味では何したっていいわけですね。それは、むしろ自営業であっても、実態が雇用契約に近いものであれば、むしろ労基法の網は被せておく。ただ、8時以降はだめだというような、そういうやや社会実態に合わないような規制を緩和していく方が、むしろ子どもを含めた労働者全体の保護に当たるのではないでしょうか。
今は、何か必要に迫られて、主役みたいな子どもは逆にあえて労働者ではないという強弁をすることによって、今のニーズに応えていこうというふうな対策というふうに受け止められますけれども、むしろそれは危険なことではないかと。
なぜ8時ということに、そんな根拠があるのかということを、例外の例外の例外かもしれませんが、是非教えていただきたいと思います。
それから、別に端役であったとしても、やはりそういうミュージカルとか演劇に出ることによって、将来やはりスターの道になる子どももたくさんいるわけですから、ちょっと言葉のあやとはおっしゃいましたけれども、主役と端役でそんな差別をすることはいかがなものかと思いますけれども、どうなのでしょうか。
○伊澤課長 まず、現行法上なぜ8時ということになっているかといいますのは、これは1つ労働基準法を制定する際に、ILO条約の79号という条約がございまして、これは児童の労働に関する条約なのですけれども、そこの中で基本的に午後8時から午前8時までの間を含む14時間継続して夜働かせてはいけないという規定がございまして、そういったものを参考につくらせていただいております。
また、なぜ10時ならいけないかということでございますけれども、各種統計調査で見てみますと、例えば都市圏における平均の通勤時間は、43分ぐらいというデータがございます。あるいは、東京の区部に通勤する場合は56分というデータもございます。仮に、児童が22時、夜10時まで就労した場合、そういった通勤時間を考えますと、恐らく23時前後になると考えられます。
○八代主査 それは随分大ざっぱな規定で、それであればきちっと、子役の人は通勤しなくても、タクシーで帰せというような代替措置があれば構わないわけですね。
○伊澤課長 そういった形の規定は、労働基準法上……
○八代主査 本来通勤時間まで考慮されておりますか。
○伊澤課長 ですから、そもそもそういった形で就寝時間が遅くなると。例えば、中学生の今の平均就寝時間というのは、23時18分というデータになっております。それから、小学校の高学年が22時4分。小学校の中学年が21時40分。そういたしますと、10時まで働いて、仮に通勤時間が非常に短い場合でも、小学生の高学年については影響が出てくると。
ですから、10時まで延長した場合に、何ら影響が出ないということにはならないと思います。通勤時間だけではなくて、帰ってから今度は身の周りの入浴だとか……
○八代主査 わかりました。
○安念専門委員 しかし、それは親に任せればいいのですよ。それは役所が心配することではない。しかも、こうことが適応されるのは、そんなマスでいるわけではないのですよ。しかも、皆さんのところのお子さんもそうかもしれないが、学習塾何時までやっていますか、同じことですよ。それは結局親に任せるべきことです。最小限のケアだけガバメントがすればいいとお考えになりませんか。
○伊澤課長 私ども、学習塾と実際の労働というのを……
○安念専門委員 私は就寝時間のことだけ言っているのです。学習塾と演劇が同じだと申し上げているわけではありませんよ。
○伊澤課長 つまり、使用従属における労働という、つまり強制されてやらされているというところが問題だと思うのです。学習塾は、本人なのか親なのかはわかりませんけれども、全く自由にやっていただいている話ですが、こういった労働というのは、例えば強制的にこういうことをやれということもあり得るわけです。
○安念専門委員 嫌なら辞めればいいではないですか。つまりこの手の保護や規制は、少なくともかつてはものすごく意味があったと思うのです。それはとにかくかつての少年労働がどれだけ悲惨だったかという、極めて深刻な体験に基づいてこういうのができているわけですね。それはそのとおりです。今だって途上国に行けばものすごい悲惨な例は幾らでもあるわけです。少なくとも日本だって一部はまだあるだろうけれども、しかしその平均値を取って議論することにどれだけの意味があるかということです。
確かに、何時に寝ます、それはそうかもしれません。しかし、子どもの中のほんのわずかな層がやるだけの話なのです。しかも、今の時代に、昔のようにサーカスに売られて、酢を飲まされて働かすと、そんなことはないわけです。嫌なら辞めればいいわけです。それで十分ではないかと思うのですが、やはり御心配ですか。
○伊澤課長 それは、わずかでもそういう心配がある場合は、私どもの立場としては児童を保護するという観点からは、中にはやはり悪質な事業主というのはおるわけでございまして、これはほかのいろんな産業、業種にも時々監督署で調べさせていただく例があるのですけれども、芸能界だって勿論大多数はまじめにやっておられると思いますけれども、どうのような事業主がいないという心配……。
○安念専門委員 私、芸能界割に詳しいのでよく知っています。しかし、それならさっきの主査のお話になってしまうけれども、主役とかモーニング娘。などの著名な歌手などは保護しないのでしょう。
○伊澤課長 これは、本人のタレント性といいますか、交渉力があるのです。要するに、端役とかそういった場合は、例えば自分の年俸だとか、そういったものを自分で決められないと。勿論、モーニング娘。とかが御自分で決めているか、プロダクションが決めているか。
○安念専門委員 プロダクションが決めているのですよ。基本的に給料制ですよ。だけど、とても人気のあるのは、リプレーサブルではないから、労働者ではないというふうに定義なさるわけですね。そうすると、そこでは少なくとも労基法上の子ども保護はなくなってしまうわけです。労基法上はですね。それは非常に逆転している感じがするのですがね。
○八代主査 しかし、厚生労働省もモーニング娘。はよくて、これはだめだと、そんなことを一々決めるのはちょっと行き過ぎではないですか。
それから、悪徳な業者に対してはそれはそれできちっと労働基準監督署が監督しなければいけないので、こういう8時というILOの途上国を対象にした条約にそう書いてあるかもしれませんが、そこはやはり規制のコストということをどう考えておられるのか、やはりそれによって子役の才能が活かされないと、要するに子役というのは使いにくいのだということで、日本では発展しないということが、本人にとってどういうデメリットがあるかということは、全然考えておられないわけですね。勿論労基法はそういうことは考えないわけですけれども。
要望がこれだけあるということは、他の先進国と比べて日本の労基法が余りにも硬直的に使われているということの証拠ではないかと思いますが。
○伊澤課長 要望がこれだけあるというお話なのですけれども、私ども伺っておるのは、今回の特区で出てきている横浜市と、それから。
○八代主査 では、幾つあればいいのですか。
○伊澤課長 別に幾つということではないのですけれども、私どもが心配しているのと同じように、例えば先ほどの就寝時間の問題だとか、あるいはまだ議論になっておりませんけれども、教育の阻害の問題というのも出てくると思います。そういった問題についても。
○八代主査 それ自体が教育なのではないですか。芸術をやりたい子どもから見れば、義務教育で学校で座っているより、こっちの方が最も重要な教育だという観点もあるのではないですか。
○伊澤課長 そういう見方もあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、この問題については私ども国民のコンセンサスといいますか、国民大多数がこれで問題ないということであれば、また検討する余地はあると思いますけれども、今の段階でそのような意見というのは私ども聞いておりませんし。
○八代主査 労基法とは国民大多数の意見で決めるものなのですか。
○伊澤課長 ですから、私どもとしては労働者の保護という観点から考えておりますので、そういう意味では今の段階で難しいのではないかと。
○八代主査 では、先ほど私が質問しました、労働者の保護について主役というか、そういうタレント性のある人は保護しなくてもいうということと矛盾はないのですか。
○伊澤課長 ですから、先ほど申し上げましたように、それはタレント性のある者については、交渉力があるからということでございます。
○八代主査 子どもでもですか。
○伊澤課長 はい。
○八代主査 ただ、だれが交渉力があって、だれが交渉力がないかは、どういう基準で決められるのですか。
○伊澤課長 ですから、先ほど申し上げましたように、労働者性に該当するかどうかという判断基準を我々は用いております。
例えば、報酬の形態だとか。あるいは、契約の形態。あるいは、先ほど言いましたように、代替できるか否かとか。
○八代主査 主役だって代替できますよ、ダブルキャストというのがあるのですから。
○伊澤課長 それはもともとダブルキャストを前提につくっているミュージカル等だと思います。
○安念専門委員 ただ、交渉力とおっしゃいましたけれども、確かにギャラの交渉力はありませんね。その他大勢には。しかし、最大の交渉力、つまりエグジットオプションは幾らでもあるわけです。嫌なら辞めればいいのですから。それで私は保護として十分でないかと思うのですが。
○八代主査 特区室から。
○檜木参事官 アメリカやヨーロッパはどうなっていますか。
○伊澤課長 アメリカ、ヨーロッパは、10時までは可能です。
○檜木参事官 日本だけがそうなっているということですね。
○伊澤課長 日本だけかどうかはわかりませんけれども、私が確認しているのは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツです。
○檜木参事官 よく厚生労働省さんは、アメリカ、ヨーロッパもこうなっているというふうにおっしゃって、それを論理に使われるのですが、これについてアメリカ、ヨーロッパではこうなっているけれども、日本は独自のものをやるということですか。
○伊澤課長 おそらく、各国でやっているからといって、いきなりそれを我が国に導入するというのは、そもそも法体系等も違いますから、それをそのままというわけにはいかないと思いますし、そもそも諸外国でやっているから日本もというのは、余りにも主体性がないと思いますし、我が国でどう考えるべきかという問題だと思います。
○八代主査 そうすると、具体的な弊害としてこういうことが言われているわけで、つまり子どもがいっぱい出るようなミュージカル、サウンド・オブ・ミュージックとか、そういうものなのですが、そうするとみんなが主役ではないから、とにかく8時までに終わらせるためには、5時ごろから演劇を始めなければいけないと。そうすると、サラリーマンはほとんど観られない。そういう意味で、非常に大きな外部不経済のようなものが生ずるのですが、そこを押してまでやはり8時までに終わる。平均的な就寝時間の関係から、そういうことが必要だと考えておられるということですね。
○伊澤課長 そこは、勿論そういったニーズといいますか、必要性が一方であるというのは理解するところではあるのですけれども、ただそれはそういった観点からのニーズでございまして、私どもは私どもとしてやはり児童の保護なり、労働を守るという観点からは、やはり難しいのではないかと。そこは価値観といいますか、何を保護していくべきかというのがずれていると思いますので、なかなか議論が噛み合わないのかもしれませんけれども、私どもの立場としてはやはりそういうニーズがあっても、先ほど申し上げた理由で、例えば健康の阻害ということも踏まえて考えると、今の時点で難しいのではないかと思っております。
○八代主査 なぜもっと自主的に子役の健康を守れる措置が担保されていれば、別に10時でも9時でも構わないというか、実態的な規制に変えられないのですかね。そういうふうに形式的な規制さえ守っていれば保護できるというのは、余りにも甘いのではないのですか。何というか性能規制というか、子どもの人権を守るために弾力的な解釈をし、また規制も必要に応じて強化するという、ケース・バイ・ケースというのがなかなかできないと思うのですが、この場合でもそうですけれども。
○伊澤課長 八代先生とは、前にもほかの場で議論させていただいたような気もしますけれども、労働基準法というのは、やはり事業主に対して最低限、しかも労働時間を制限するといって、例えば先ほど言われたように、通勤時間を短くするためにタクシーを手配するように義務づけるとか、そういったことまで基準法の枠内ではできない法律に体系的になっておりまして、ですから……
○八代主査 法律ではそうですけれども、だからいろんな形で、逆に言うと法律では実質的に守られればこの限りではないというふうに書くわけですね。何が実効性ある規制かは、そちらのいろんな通知とか、色々なもっと別の法律で書くわけですけれども、実効性ある規制にいつまでもなれないというのが、結果的に労基法の精神を損ねているのではないかということを申しているわけでありまして、決して労基法を無視しろということではないわけです。
○安念専門委員 子どもを保護するというのは、私も小学校1年生の双子がおりますので、それは大賛成なのですが。問題は、8時以降使わないと子どもを保護したことになるというのは、一種の定義をしているだけの話であって、大分実質論からは遠いのではないかと思うのですが。しかも、その場合は子どもを保護するということは、早く寝かせてあげようというのも保護だけれども、一方では才能を開花させてやろうという自己実現だって保護なのですから、そのバランスで考えないと、実質的には子どもがかえってかわいそうということになることもあると私は思います。
これは一親としての意見でございますが。
○八代主査 これはまだまだ議論が要ることでありますけれども、今回はちょっともうオーバーしておりますので、また次の機会によろしくお願いいたします。
今日はわざわざありがとうございました。
(厚生労働省労働基準局関係者退室)
○八代主査 お待たせして恐縮です。
10分遅れておりますけれども、20分でということで、恐縮ですが最初に5分ほど御発言をいただいて、あと15分質疑応答をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○石井厚生労働省老健局計画課課長 計画課長の石井でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日御用意いたしました資料の中で、ポイントだけ触れさせていただきたいと思います。
表紙に、本日資料を3種類ご用意申し上げたということで載せてございますが、資料3のところで15年4月3日と出ております。特別養護老人ホームを始めとする施設サービスの在り方の見直しにつきましては、4月のヒアリングの際に資料としてまとめ、また、御説明申し上げた経過がございます。本日は、そのときの資料と同じものを念のために資料3として入れております。
その際に申し上げたのでございますが、介護保険制度、いろいろ中身は多岐にわたるわけでございますけれども、法律の付則で施行後5年を目途とする全般的な見直しというものが政府に対して義務づけられてございます。その中で、特養ホームを始めとする施設サービスの在り方の見直しも重要な検討課題と考えていること、また、審議会を立ち上げて見直しに着手すること、これを申し上げました。
もう一点、そういう制度論もさることながら、高齢者介護の在り方、ケアの在り方というものにつきまして、現在私ども12年度から16年度までの5か年の「ゴールドプラン21」というものを持っておりますが、17年度以降新たなものが必要という認識でございまして、今の「ゴールドプラン21」の後継プランの在り方について、これは研究会を立ち上げて3月から議論をスタートさせているということを、これは2点目の大きな事項として申し上げた経過がございます。
そこで、あと2、3分だけお時間をちょうだいしまして、その審議会と研究会のその後の状況ということで御報告申し上げます。
資料1をごらんいただきたいと思います。これが審議会の方でございます。社会保障審議会に介護保険部会という施行後5年の制度見直し全般にわたる御議論をいただく部会を発足させてございます。
資料1の2ページ目にメンバーが載ってございますが、◎の貝塚啓明先生に座長をお願い申し上げてございます。
3ページ目でございますが、既に5月27日以降3回開いております。9月の上旬に4回目を予定してございます。第1回の5月27日のところに進め方ということでまとめてございますが、大体当面月1回のペースでやっていこうと。それで、9月までの間はこの介護保険制度施行後3年間の検証をして、論点を整理していこうと。10月以降は論点整理に基づいた議論をして、年末までに論点項目の検討を一巡しようということで合意をいただいてございます。
この後の御説明に若干関係しますので、第3回のところをごらんいただきたいと思います。第3回部会(7月28日)というところの2つ目の○で「高齢者介護研究会報告書」ということで、さっき触れました2点目の大きな事項でございます。有識者の方に今後の高齢者ケアの在り方について御議論いただいた報告書を、審議会の方にも御説明をしております。
あと資料2、これは枝番で1〜3までございますが、高齢者介護研究会報告書の関係資料でございます。
この研究会に御議論をお願いしました趣旨が、資料2−3の1枚目に載っております。先ほど少し触れました16年度末を終期とする「ゴールドプラン21」の後の新たなプランの策定の方向性ということで、17年度がスタートするまでに新しいプランを策定してはどうかという問題意識から、この方向性について御議論をいただいたということでございます。
その次のページですが、座長には◎のさわやか福祉財団の堀田力先生にお願いをし、その次でございますが、第1回から第10回ということで、ほぼ4か月足らずの間に10回お開きいただきまして、この後ポイントだけ申し上げますが、とりまとめを6月25日にしていただいたという経過がございます。
この研究会の報告書の本体は、資料の2−1でございますので、本日のテーマに関係の深い事項を資料2−2を使いまして、あと2分ほどで御説明をいたします。中身に入ります前に、「2015年の高齢者介護」というタイトルでございますが、これはいわゆる団塊の世代の方が、皆さん65歳以上、高齢者の仲間入りをなさるのが2015年でございますので、そういう節目を迎えるまでに、それまでの間にできるだけ早く、我が国の高齢者介護のあるべき姿を実現しようという思い、できるだけ早く着手をし、着実に2015年までにはすべて形を整えるという思いが込もったタイトルでございます。
それでは、あと一点だけ、本日のテーマに非常に関係が深いと考えておりますのが、この資料2−2の7ページでございます。タイトルが「小規模・多機能サービス拠点について」という資料でございます。ここで右肩の方に「地域に365日・24時間の安心を提供」と書いてございます。これは、現在の高齢者介護の中で、在宅で暮らしておられる要介護高齢者の方、あるいはその御家族の方が願っておられるにもかかわらず、まだ実現できていないものが、この、1年365日・1日24時間、常に安心して介護が受けられる仕組みづくりであろうと考えております。
これに対しまして、その下でございます。通い、訪問、泊まり、入居という4つの種類のサービスを掲げてございますが、そのワンストップサービスということで、こういった4つの種類のサービスを、キーワードで拾いますと、左下、人間の形が書いたすぐ上に括弧書きで「状態に応じて回数、時間に幅がある」とございます。あるいは、真ん中の下から2行目に「心身の変化に対応」とございますが、御自宅で暮らしておられる要介護の高齢者の方の心身の状態に応じて、この4種類のサービス、どういう回数で行くか、どういう時間帯に行くか、あるいはどのサービスをお受けいただくかということを、ワンストップサービスで適切に組み合わせて提供する。それによって、冒頭申し述べました365日・24時間の安心を提供することを目指そうということでございます。平たく申しますと、昼間は通うと……
○八代主査 済みせんが、本題とは余り関係ないので。
○石井課長 では、もうこれでやめます。こういう小規模・多機能サービス拠点を始めとする、新しいこれからの介護の姿について研究会報告書をいただきましたので、さっき触れました1点目の審議会の場などでも関係者の方々の御意見を伺いながら、行政として制度見直しの中身を詰めてまいる予定でございます。
失礼をいたしました。
○八代主査 だから、今、介護保険及び高齢者介護サービスについて研究会をしておられるのはよくわかりましたけれども、それと本日のテーマである株式会社による特養の経営を解禁したいということは、これまで全く触れておられないし、将来とも直接的に触れる気はないというふうに理解しますが、どちらにしてもなぜいけないのか、今もおっしゃいましたけれども、今、介護施設が圧倒的に不足して、24時間安心したケアを提供できるものが少ないと、したがって特養には非常に長い行列が起こっていると。
そのときに、社会福祉法人の形態も勿論結構ですけれども、それ以外に株式会社が同じような社会福祉法人がつくる特養と全く同じ、あるいはそれ以上のよいサービスを持つものをつくったとしても、絶対特養としては認められないと。あくまでもそれは在宅サービスだと、特養は施設サービスだといって、介護報酬面で非常に大きな差があるが、これを見直すということは、今のところ全くやる気はないという解釈でよろしいですね。
そのときは、なぜそうなのかと。サービスの内容に注目せず、経営主体によって差別をするという考え方というのは、本当に高齢者のためになっているのかという点についてお聞きしたいと思います。
○石井課長 八代先生から幾つか御指摘ございました。ただ、その中でまず申し上げたいのは、今、特別養護老人ホームの入所申込者が多いという御指摘に関してでございます。これにつきましては、例えば、健保連が調査したデータがございますけれども、入所申込をなさっている方のうち、施設のスタッフ、プロのスタッフも、それから家族も入所を希望する、入所が適当だと考えているというケースというのは約二割でございます。
何を申し上げたいかといいますと、まず高齢者御本人のお気持ちとしては、できることなら特別養護老人ホームに入りたいとはお考えになっていないのではないか、それが1点でございます。
もう一点は、家族のお気持ちの上で、高齢者御本人の意向はさて置いて入所を申し込んでおこうという、家族の御希望が先行した形の実態も覗えるということで、特に先ほど申し上げた説明と関連して申し上げれば、小規模・多機能サービス拠点という365日・24時間の安心を自宅でも実感できるような仕組みをつくれば、特養への入所申込みをしなくても済むケースがあるだろうという問題意識で、新しいサービスのことなども申し上げたわけでございます。
○八代主査 問題がすり替えられたのですが、それは特養自体が望ましくないと、むしろ小規模・多機能の施設の方が望ましいということを言われたわけで、なぜ社会福祉法人がつくる特養はよくて、家族、本人の希望に応えていて、株式会社がやるものは応えてないかというお答えに全然なっていないわけで、今、言っているのは、特養というものが仮に求められているとしたら、なぜそれを株式会社と社会福祉法人で区別するかということを聞いているわけで、今の課長のお答えは、特養自体がつくってはいけないと、本人の希望に即してないから、むしろ多機能・小規模の方に誘導するのだという厚生労働省の方針を説明されたわけですが、それは全然別の問題だと思います。
○石井課長 失礼をいたしました。先ほど八代先生のお言葉の中に、特養には入所申込者が多いということで言及がありましたので、その点について触れさせていただいたつもりでございます。
○八代主査 では、わずか2割だからもう構わないということなのですね。特養はもうつくらなくてもいいということなのですか。
○石井課長 私の言葉で申し上げれば、今は、自宅での暮らしが難しいというときには、どこか施設、特別養護老人ホームに入ってもらうしかないということで、一見多くの特養入所申込者という実態があるけれども、今後の介護の在り方としては、もっと選択肢を増やしていこうと。小規模・多機能しかり、第三類型しかりでございますが、そういうものをこれからの施策として肉づけをしていきたいということでございます。
その中で、特別養護老人ホームがどういう部分を分担することになるのか、あるいは、新しい施設サービス体系の中で、経営主体の在り方についてもどういうものが適当なのか、そういう議論を深めていきたいと。これは、さっき申し上げた4月のヒアリングの際にも申し上げたつもりでございます。
○八代主査 それはかなり大きなポイントだと思いますけれども、ではもうこれ以上特養は増やさないという方針だということなのですね。厚生労働省としては。
○石井課長 そこまで性急に御指摘があると困ってしまうのですが、まさに審議会で言えば、5月26日に第1回を立ち上げ、9月12日の第4回までで一通りの検証をしようというのが今の段階ですので、私どもが今この時点でそういう方針を決めているのかというお尋ねであれば、そうではありません。さっき申し上げたように、これから議論を深めていくということです。あえてちょっと余分なことを申し上げますと、何も先延ばしで申し上げているということではなく、審議会の進め方でも、年内はこういう段取りでやろうということを5月の第1回でお決めいただいていることなど触れましたのも、そういう先延ばしで申し上げいる趣旨ではないということを是非申し上げたかったということでございます。
○安念専門委員 私も、それは遠からず福祉サービスの消費者になるであろうから、切実な問題なのですが、我々にとっては将来どうなるかわからないわけだから、サービスのメニューはたくさんあった方がいいわけです。特養もあった方がいい、入るかどうかは別です。特養もあった方がいい、デイ・ケアもあった方がいい、入浴サービスもあった方がいい、在宅介護もあった方がいいわけです。利用可能なサービスはたくさんあった方がいい。問題は、勿論消費者が選ぶことであり、かつ、ここからが本質的な問題ですが、それらの多様なサービスのいずれについても、株式会社が経営主体となってはいけないという論理は少なくとも消費者の側から全く出てこないのです。なのに、なぜ消費者のためにあるサービスについて株式会社はだめだという論理がどこから出てくるのかがわからないということです。
○石井課長 これまでも何度も資料としてもお出しをし、こういう場でお話申し上げております。それは、社会福祉法人というものが、いろんな規制、端的なことで申し上げれば、撤退の自由がない、あるいは、本来社会福祉事業を為すことを目的に法人格を与えられているので限定的にしか収益事業はできない、あるいは、収益事業の収益も本来事業に、社会福祉の目的にしか使えない、細かく申し上げればもっとありますが、そういう制約があるがゆえに、寝たきりであるとか、痴呆であるとか、1日24時間お世話が必要な高齢者に安心していていただける場になっているということで、そこが法人論としての株式会社と社会福祉法人の大きな違いですので、我々としては、さっき申し上げたような高齢者が消費者、利用者である特養については、安心できる社会福祉法人が主体として適当であると考えているということでございます。
○八代主査 今の課長の御発言はこういうふうに解釈していいですか、つまり高齢者にとって一番安心する介護施設というのは、撤退の自由がないということが一番大事だということですね。質というのはどうなのですか、撤退する危険性が少なければ、それでいいのだというのは、随分貧しい時代の発想であって、今はやはり安心して質のいいサービスを受けたいということの方がはるかに重要なのではないのですか。
○石井課長 これは、もうお時間の制約があると思ってはしょって申し上げなかったわけで、私、今の仕事もう2年2か月させていただいております。その中で何度かこうやって八代先生にお話させていただいておりますが、これまでサービスのこともきちんと申し上げております。先生と私の間で食い違うのは、競争を通じてサービスの質を上げるべきだという先生の御主張に対して、私は、そうではなくて第三者評価であるとか、行政の指導・監査であるとか、私がこれまで申し上げてきたやり方で、社会福祉法人の特養についてもサービスの担保はできておりますというふうに御主張申し上げている。その部分が食い違っているのだと思います。
私は、撤退の自由を代表例で申し上げましたが、撤退の自由以外にも、撤退したくてするのではなくて、株式会社であれば特養を仮に認めたときに、ほかのいろんな事業ができる。ほかのいろんな事業の方で左前になったことで、この特養が閉鎖のやむなきに至るとか、いろいろこれまでも申し上げてきたことがございます。その中にサービスのことも触れておりますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
○八代主査 社会福祉法人だって潰れているのがいっぱいあるではないですか。
○石井課長 そんなことないですよ。
○八代主査 そうですか。
○石井課長 先生、それはもうこれまで何度も申し上げておりますけれども、社会福祉法人は、最後は法律で財産は国庫帰属ということがありますから、そこで裏打ちがございます。
○八代主査 その法律が、どれだけ実効的かというのが、まさに新聞では、社会福祉法人でいくらでも、例えば法律で禁止されていても、例えば自分で子会社をつくって、そこに利益を移転したり、いろんなことができると聞いています。
○石井課長 先生がおっしゃったのは、また別のことをおっしゃったように理解いたします。その社会福祉法人でも潰れているところがあるという御指摘であれば、それは法律に基づいて、同様の事業をやる他の法人に財産を移管するか…。
○八代主査 そういうとき財産など残ってないのですよ。
○石井課長 でも、そういう仕組みで継続性を担保している社会福祉法人に比べれば、株式会社にはその辺の担保は何もないということを従来から申し上げいるわけです。
○八代主査 どんどん他の事業体が入ってくればいいわけではないですか。
○安念専門委員 ですから、社福のサービスが悪いと言っているのではないのです。勿論ピンからキリまであると思いますが。そうではなくて、消費者に選ばせてくれと言っているのです。
○石井課長 選択ということで言えば、資料3にも入ってございますが、有料老人ホームが介護サービス提供体制を整える、ケアハウスが提供体制を整える、グループホームもある。いろんな形で消費者の方に選んでいただけるようにしております。ですから、その中で……
○八代主査 介護報酬の額が違うでしょう。
○石井課長 それは違います。でも、そういう中で企業経営の特養を選べるようにしろという御主張かと思うのですが、そこは行政を預かる者として再三申し上げているのは、寝たきりや痴呆という、まさに常時介護が必要な方が入るのが特養でございます。そういう受け皿であります特養に、継続性というものは強く強く求められると考えておりまして、そういうことから経営主体としては、法律上さっきいろいろ申し上げたような規制が被っておる社会福祉法人に委ねているということで、同じような介護の分野で競争が働いていないかといえば、そういうことではないと認識しております。
○八代主査 ですから、きちっと継続性が担保されれば、経営主体は問わないということですね。継続性を担保する手段として、社会福祉法人という形態を挙げておられるわけですけれども、それは1つのやり方であって……
○石井課長 これも4月に申し上げましたけれども、ただ株式会社というものについて、利益をこういう事業にしか当ててはならないとか、社会福祉法人のようないろんな規制を課すことができると思ってはおりません。
○八代主査 だから、社会福祉法人に対する規制というのは、1つのやり方であって、それしかないというふうに考えておられる根拠は何なのかということです。
○石井課長 現在の法人制度を見渡したときに、社会福祉法人のように、幾つも規制がかかっておる法人形態はないと考えております。
○八代主査 だから、その規制に実効性があるか、もっといい規制はないのでしょうかということなのです。だから、株式会社であっても規制なしに行なえる筈はなく、今の社会福祉法人が経営している特養と同じサービスを提供できることをきちっと担保すればいいのではないかということなのです。
○石井課長 そのサービス提供というものの中身が、毎日毎日その瞬間のお年寄りに対するサービス提供であると同時に、そういう50人なら50人という施設を設けて介護保険の事業者指定を受けた以上、砕けた言い方をお許しいただければ、「長らくの御愛顧ありがとうございました。3日後には我が特養は閉めます。」というような形態ではだめだということでございます。
○八代主査 ですから、それを防ぐような規制をかければいいですね。
○石井課長 それを担保できるのが社会福祉法人だと。
○八代主査 だから、それしかないのかということを聞いているわけです。
○石井課長 わかりやすく代表例で撤退とか申し上げているわけで、今日の私の2つ目の例で申し上げますと、企業はいろんな事業ができます。特養もやれば、B、C、Dといろんな事業ができる。では、BとかCの方で赤字が出て、もうこの特養を続けることができなくなるということがリスクとしてあると考えております。例えば、そういう点もお考えいただきたいと思います。
○安念専門委員 たくさん事業をやっているから撤退のリスクが高まるというのはナンセンスです。なぜなら、その本体事業で撤退のリスクだってあるわけですから、それは同じことですよ。
○石井課長 先生、社会福祉法人はそういうのはないのです。特養をやるために法人格を付与するわけですから。
○安念専門委員 いやいや、つまり特養をやるためにあるとおっしゃるなら、特養だけやっているからといって、左前になるリスクが小さくなるということは論理的にあり得ないでしょう。
○石井課長 あるのです。ルールはちゃんとあるのです。法律、政令、省令、行政の指導監査。
○安念専門委員 ルールがあったらつぶれないとお思いなのですか。
○石井課長 先生、企業には県庁の職員は監査に入りません。
○安念専門委員 監査すればいいではないですか。だって、補助金との見合いで監査すればいいではないですか。
○石井課長 補助金は出さないのです。出さない前提でお考えください。
○八代主査 補助金を出さないと監査できないというのは、そちらの1つの手法にすぎないわけです。
○石井課長 補助金のお話が出たのであれですが、社会福祉法人は補助金をもらおうが、もらうまいが監査に行けるのです。法人の監査がやれるわけです。でも、営利法人、例えば株式会社であれば、何々法に基づく監査ということで、定期的に県庁の職員が行くかというと、そういうルールはないわけです。
○安念専門委員 だから、ルールつくればいいではないですか。例えば、銀行は全くの営利法人ですけれども、うるさいぐらいFSAが入っていますよ、御存じだと思いますけれども、もうほとんど毎日のように入っていますよ。それだって監査やっているわけですよ。
○八代主査 それまで、厚生労働省がそういう規制の仕方をされていたのはよくわかりますけれども、それしかないんだというふうに強弁することはないのではないですか。銀行とか電力会社と同じように、行為規制に変えていけばいいわけですね。
○石井課長 これまでのやり方で、さっき先生がおっしゃったような特養がつぶれているという実態もなく、ちゃんと行政が関与していく中で、サービスの質も確保できているわけです。
それから、もう一つ今日是非御理解いただきたいのは、特養が足りないから、入所申し込みをなさっている方の数の分だけこれからも特養をつくる必要があるからと、もしお考えであれば、それは私どもの今後の方向性とは食い違っております。
○八代主査 もう十分特養はあるという御認識なのですね。
○石井課長 そこまで言い出すとまたあれなのですが、高齢化が進みます、特に我が国の高齢化の場合、後期高齢者が増えます。後期高齢者は重度の要介護者が発生するリスクは高いですから、そこが頭にありますので、今後つくらないなどとは一切申し上げておりませんが、今、並んでいる方が、例えば100なら100おられるから、では100を今すぐつくる必要があるというような御主張であれば、そこは今日申し上げたような方向性と異なっております。
○八代主査 それは随分認識が違いますけれども、高齢化がどんどん進んで、今でも待機者がいるわけで、それがどんどん増えるときに、そんな将来の課題だと悠長に構えていていいのかどうか、介護施設に対するニーズはあるわけですね。
○石井課長 小規模・多機能サービス拠点には、「居住」ということも書いております。
○八代主査 小規模・多機能もいいですけれども、それでなければいけなくて、特養のような大規模な介護施設はもう要らないのですか。
○石井課長 要らないとは申し上げていません。今、小規模・多機能や第三類型がない、そういう状態で自宅で暮らすことが難しくなった方が、特養への入所申込をなさっている。では、これからいろんな選択肢を増やそうと、第三類型も増やそう、小規模・多機能も増やそうという中で、特養の在り方というものをこれからちゃんと考えていきますと今日申し上げたわけです。
それも遠い先の話ではなくて、5年後見直しというのは、16年度末です。審議会ももう立ち上げております。
○八代主査 何かそこに消費者というのが全然欠けているように感じて、審議会さえあればいいという問題ではないわけですね。
○石井課長 利用者は、高齢者御本人は、いろんな選択肢があった方がいいわけです。ですから、今もグループホームとか増えてきていますけれども、もっとそこを手厚くして、いろんな……
○八代主査 それはそれでいいですね。
○安念専門委員 そういう意見を言っていたではないですか。だって、選択肢が多い方がいいなら、経営主体についても色々あった方がいいということになるではないですか。
○石井課長 私の言っていることを正確にお聞きください。私はそんなこと言ってないのです。
○安念専門委員 いやいや、だって選択肢ですから。
○石井課長 サービスのメニューとしての選択肢です。
○安念専門委員 そうですよ。
○石井課長 特別養護老人ホームという24時間介護が必要な方が専らお入りになる施設は、1つのメニューとしてあるのです。それ以外に、自宅でも施設でもない、新しい類型を増やしていこうと、そこを申し上げたわけです。
○安念専門委員 すばらしいです。だから、経営主体も選択させてもらいたいのです。
○石井課長 そのことは、今日、違うと申し上げているわけです。
○安念専門委員 いやいや、だって消費者が決めることでしょう。
○石井課長 消費者が欲しているから、すべての規制が緩和できるというと、そうではないと思います。
○安念専門委員 ですから、規制してくださいと申し上げているではないですか。
○石井課長 もう一回だけ言いたいことを言わせていただきますと、今は、自宅で暮らすことが難しい方にお入りいただける大きな受け皿というのは、特養しかないのです。細かなことを言い出すと他にもいろいろありますが…。でも、それは高齢者御本人の希望に合ってないと考えております。健保連の調査とかでも……
○八代主査 健保連の調査だけですか。
○石井課長 内閣府の調査もございます。自宅と施設の間というものを増やしていったときに、では特養というものがこういう経営主体で、こういう機能で、これからどれぐらいあればいいのかということが、1つの答えとして出てくると思っておりまして、そこを今、一生懸命やっていますし、これからもやりますと申し上げているわけです。
○八代主査 だから、全国規模で審議会にかけて改革していただくのは非常に結構ですが、とりあえず特区ということで、今おっしゃった株式会社は撤退するからだめだ、社会福祉法人に任せていれば安心だというのが従来のスタンスですけれども、本当にそうかどうか、この要望のある特区で試してみましょうということは、なぜだめなのですか。もう実験するまでもないということなのですか、当たり前であるということなのですか。
○石井課長 私どもとしては、いろいろ賛否両論ある中で、特区の第1次提案を受けて、行政の関与がある程度期待できる形でということで、公設民営・PFIを盛り込んでいただいて、道を開いていますから、まずはその様子を見た上で考えていきたいと思います。
○八代主査 だから、それはそれで1つのやり方であって、公設民営で資本整備費を、例えば企業が自治体から自主的に出してもらうと、そういう形でやりましょうと。これはこれでいいわけですね。
今ある提案は、そうではなくて、資本整備費は自分で調達しますと、その代わり介護報酬を特別養護老人ホームと同じ額を出していただければ非常に助かりますと。別の提案なのです。1つ認めたから、これをチェックしなければ、次の別の実験はしないということはないので、これは別の試みですから同時にやっていいのではないかということです。
○石井課長 報酬のお話が出たので補足をしますと、報酬の在り方として、介護保険の公の財源から、いわゆる居住費、ホテルコストとか、あるいは食事に要する費用というものを今後とも出していくことが適当なのかどうか、いわゆる骨太方針でも触れられておりますし、政府与党の社会保障改革大綱でも触れられております。いろんなところから宿題をいただいております。それは、今日何回も申し上げている見直しの1つの重要テーマであり、そこを片付けないのに、特養の方が報酬が高いと言っている企業の方がおられて、では高い方の報酬を出してあげる道を開きなさいという御提案であれば、そこはまたもう少し時間をいただかないと、それは拙速にすぎると思います。
○八代主査 しかし、特養を一切つくらないというなら、今おっしゃったことはよくわかりますけれども、今後ともつくっていかれるわけですね。
○石井課長 一切つくらないとは言っておりません。先生、傍聴の方もおられますから、また早まった記事が出ると大変なので。私はそんなこと言っていませんから。
○八代主査 だから、言っておられないなら、そのうちの一部でも特区の中で株式会社があってなぜいけないのかということなのです。
○石井課長 それは、もうさんざん去年の第1次提案のときに、私ども検討しました。その結論が公設民営とPFIですから、それが実際に形で見えるようになり、それを見た上でのことです。
○八代主査 だから、公設民営とはまた違うのだということなのです。
○石井課長 物事には、やはり順番というものがあると思いますけれども。
○八代主査 これは順番ではなくて、多様化の1つの選択肢を増やすわけですから、決して公設民営のやり方の上にあるものではないのですね。その辺は意見の見解の違いだと思いますけれども、とにかくこれしかないのだというのではなくて、先ほど安念さんも言われたように、もっと消費者の多様な選択肢を考慮して行政をしていただきたいという要望でございますけれども、これ自身また今後ともアクションプラン等でいろいろ議論したいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
○石井課長 ありがとうございます。失礼いたしました。
(厚生労働省老健局関係者退室)
○八代主査 お待たせいたしました。それでは、株式会社等による児童館経営の解禁という問題についてお願いしたいと思いますが、全部で20分ございますので、最初の5分で恐縮ですが簡単に御説明いただきたいと思います。
○林厚生労働省雇用均等・児童家庭局育成環境課課長 育成環境課長の林でございます。2枚ほど児童館の関係で資料を用意させていただきました。
まず、アウトラインとして児童館についての根拠等について若干御説明させていただきたいと思います。ここの書いてありますように、児童館につきましては、児童福祉法上の児童福祉施設という形でございます。現時点では、全体の約7割に当たる3,255か所が公営という形でございます。その中で、特に市部において設置率としまして75.6%、市町村全体約3,250か所のうち42.5%の設置率ということでございます。
実施主体がここで提案されておりますように、現時点におきましては都道府県、指定都市、市町村、また社会福祉法人、民法法人というところに限定してございます。これは、児童福祉法上は設置、経営主体の根拠として縛りはございません。これは次官通知として出している通知で縛っておるという形でございます。
事業内容につきまして、これは児童福祉法上に書いてございますけれども、児童の健全な遊び場の確保、健康増進、情操の高揚ということでございます。
また、設備の基準、職員の基準につきましては、省令で最低基準というのがございまして、その中で最低限の基準を定めてございます。ここに書いてありますように、集会室、遊戯室、図書室、便所、これについて設置という形。職員につきましても、遊びを指導する者というような定義づけという形になっております。
公的な助成という形では、現時点では施設整備の補助等がございますので、2枚目にあります児童館の種類という形、この種類に応じた施設整備の補助体系をとってございます。法律上は児童館という形で一本でございます。
運営費につきましては、人件費、事業費、一部民間については、事業費は補助しておりますが、従来から地方交付税で措置することになっております。
以上、児童館でございますが、今回提案がございました関係でいきますと、1つはNPO法人の児童館経営の参入。もう一つは、児童館の設置運営について制限を撤廃することというような要望、この2点が出ております。基本的には、制限を撤廃する方向という形でお答えしているところでございますが、若干大型児童館の中でA型という形で、機能を明記させていただきましたけれども、このA型については一応2,000m2を超えるものという形の定義と合わせて、規模も大きい、また県の中で県内の児童館の中核を成す関係、職員の研修ですとか、あとは各児童館との連絡調整という形で県の役割として重要ではないかということで、この設置については都道府県にお願いしたいというふうに考えております。
運営につきましては、規制を撤廃しようと考えております。
あと、その規制撤廃するに当たって、一定の要件という形でお答えしておりますけれども、その一定の要件が非常に厳しい一定の要件ではなくて、いわゆる公共性であるとか、経営の永続性とか、その辺を児童福祉法の精神、また第2種社会福祉事業でございますので、社会福祉法の目的というものを認識していただくというような一定の規制というか、制限的なものを書きたいと考えております。
以上でございます。
○八代主査 ありがとうございました。
運営の規制を緩和するということですけも、今、御発言にはなかったのですけれども、NPOだけではなくて、要望では株式会社というのも入っているのですが、それも……
○林課長 それも含めて、そこには制限を課さないと、社会福祉法人その他のものという形にしたいと思っております。
○八代主査 そのときに、設置運営者に社会福祉事業一般の経験がなければいけないということが入っているのですが、ちょっとこれ奇異に思いましたのは、これは社会福祉法人を想定した規制だと思うのでけれども、これは児童館ですから別に老人介護の経験があったって仕方がないわけですね。ですから、なぜこれを社会福祉事業一般というふうに限定されるのか、児童教育・福祉に関する知識があれば十分ではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○林課長 おっしゃるとおりでございまして、これは児童福祉施設でございますので、児童福祉法にいう児童に関する健全育成という精神、教育的なものも入りますけれども、そういうものを重視するということは当然のことだと思います。ただ、先ほどちょっと説明で触れさせていただきましたように、社会福祉法上の第2種社会福祉事業という形で定義されているものでございますから、社会福祉法の目的も一応念頭に置いてくださいというつもりでございます。
ですから、社会福祉法等という形で、児童福祉法を逆に書かなかったということで、先生の誤解を招いたのではないかと思っております。
○安念専門委員 株式会社の参入もよろしいという方向になるということでございますね。
○林課長 はい。
○安念専門委員 大変ポジティブな方向だと思って、敬意を表しますが、ここで設置運営者に社会福祉事業についての知識・経験を有することというのは、当該参入しようとする法人自身が何かそういう事業を営んだ経験がないといけないということですか。それとも、我々の日常の言葉で言えば、そこの児童館にいる先生がそういう経験者であればよろしいということですか。
○林課長 あえてこういう形で言いたいと思いますのは、企業の参入という形で、児童を中心にした、例えばスポーツクラブでありますとか、スイミングスクールとか、そういう特定な目的、特定なお子さんに対した事業という形で、企業でかなりやられておるものですから、いわゆるそういう営利を目的としたものではないというような形のことを言いたいわけです。いわゆる公共財としての児童館ですよということを一定の要件として触れたいなと。
○安念専門委員 とおっしゃいますと、どういうことですか。例えば、突飛な例で恐縮ですけれども、ある企業が事業展開で児童館をやることにしたと、それについては勿論先生は一定の要件をそろえると、そういう場合はいかがなのですか。
○林課長 それは、当然児童館をやりたいという形でお申し出になった場合、当然それなりに根拠なり、児童福祉法なりを勉強されて、そういうことをだれかが提示したのだろうと思いますし、そこは児童館としての経営を分離していただいて、単発で児童館のためだというふうにしていただければよろしいのではないかと。それは、都道府県が設置認可を行うものですから、今回の次官通知、あくまでも技術的助言という形の通知になるものですから、そういうことをお考えになって設置認可に当たってくださいというつもりで書きたいと思っております。
○安念専門委員 ということは、今まで法人がどういう事業をやっていたかという業態の問題ではなくて、要するに勘定を分離して、児童館からのもうけなんてあるはずもないですが、もしあればそれを内部補助してはいかぬということが担保されていることが大切だということでございますね。
○林課長 内部補助という、寄付という形で、逆にこの児童福祉施設に寄付されるのは結構だと思いますけれども。逆に、それほどもうかりはしませんから、逆に流れるということはないと思いますし、だからそこは公明正大に、ここの事業は収入がこうであって、歳出はこういうことですよというものを明確に分離しておいてほしいというつもりでございます。
○八代主査 そのときに、いただいた資料では、公的助成というのがあって、人件費とか、事業費の補助とか、設備補助があるわけですけれども、これは全く同じということでよろしいわけですね。
○林課長 はい、これについてはもう人件費と公立の事業費についても、交付税に参入していますので、国庫ではございません。ですから、施設整備、建てる場合の施設整備が補助されております。これにつきましては、やはり社会福祉法人までに限定したいというふうに思っております。
○八代主査 それは何故ですか。
○林課長 これは、一般の社会福祉施設全般なのですが、それにつきましては社会福祉法人までございます。やはりものを建てるわけですから、資産を造成するのに補助金を出すのはいかがなものかという判断でございます。
○安念専門委員 しかし、会計を区分するのだからいいではないですか、その資産だって区分された会計にしか所属しないわけですから。
○林課長 株式会社の場合は、事業を廃止した場合に、それは戻ってきませんね。社会福祉法人ですと、事業を廃止した場合は国庫に帰属というようになっているのです。ですから、その資産はまた国庫に戻ると。
○安念専門委員 それはそうですが、しかし実際に廃止してしまって……
○林課長 児童館だけではなくて……
○安念専門委員 法制度上はわかりますが、廃止してしまったようなところ、たいしたものは残っていないでしょう。
○林課長 そう言ったら何でもそうですけれども。
○八代主査 それは特約を設けて、仮に株式会社が別会計でこの児童館をつくる、そのときに施設整備をすると、残された施設は必ず自治体に寄付するという特別契約を付けておけばいかがですか。
○林課長 ちょっとそこは、なかなか施設整備についてそこまで踏み切るというのは、厚生労働省全体としてまだ社会福祉施設整備全体がそこまで踏み切っておりませんので。
○八代主査 逆に言うと、返されても困るということですね。そこはどうなのですかね。ほかの児童館、要するに社会福祉法人と同じように、それを自分の利益にせずにほかに寄付するということを特約として入れておけば、基本的に同じことになると思うのですが、そういう形態は一切認められないということですかね。
○林課長 これは、一つ児童福祉施設で同じような形で、保育所はもう既に株式会社に開いておりますが、保育所の施設整備につきましても、やはりそこまでは踏み込んでございません。
○八代主査 ほかに何かありますか。
どうもありがとうございました。
○林課長 よろしくお願いいたします。
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局育成環境課関係者退室)
○八代主査 お待たせいたしまして恐縮です。
次は、農林水産省から「漁港の活性化のための施設整備の円滑化」ということでヒアリングさせていただきます。全体20分ほどありますので、5分ほどで御説明いただき、質疑応答に入りたいと思います。
○鹿田農林水産省水産庁計画課課長 それでは、御説明させていただきます。新潟県の規制改革要望は2つございます。
1つは、漁港漁場整備法第3条に掲げられている「漁港施設」には、直販・直食施設、都市漁村交流施設が含まれていないことから、これらの施設を同法第3条の「漁港施設」に加え、漁港用地内に当該施設の整備を可能とされたい。
2つ目が、あるいは、水産庁が平成13年10月に発出した、「国庫補助事業により取得した漁港施設用地の有効利用について」と題する、漁港漁場整備部長通知が漁港施設用地等利用計画に基づく、公共施設用地の整備がすべて完了し、その用地について供用開始後原則10年以上経過した用地を対象としているところ、これを削除されたいというものでございます。
まず、漁港施設については、資料の3ページをお開きください、漁港漁場整備法の抜粋を載せております。第3条に列挙されている施設を指しております。その上に、第2条がございますけれども、漁港の定義がされております。「天然又は人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並びに施設の総合体」というふうに定義されておりますけれども、このように定義されている漁港が、漁港根拠地として備えるべく最小必要限度の施設を列挙しているものでございます。
新潟県が要望されております直販施設等につきましては、漁業根拠地として不可欠な機能を果たす施設ではないということから、同法における漁港施設として位置づけることは適切ではないというふうに私どもは考えております。
それから、これらの施設につきましては、補助金により整備されました漁業施設用地に整備する場合は、この漁港機能と違う、当初の目的とは異なる形で当該用地を使用することになります。
5ページを見ていただきたいのですが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、私ども適正化法と呼んでおりますけれども、これの22条をごらんいただきますと、補助事業者等は、補助事業等により取得し、または効用の増加した政令で定める財産、この場合は下の13条に、土地ですから不動産に該当しますけれども、各省庁の長の承認を受けないで、補助金等に交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、また担保に供してはならないというふうに書いてございます。というわけでございまして、この法律に基づいて承認を得れば可能ということでございます。
それから、このような施設は補助用地としての漁港施設用地に建てることはできないのですけれども、それ以外の用地、例えば市町村ですとか、漁協が所有しております土地に整備することは可能でございまして、多くの直販施設等がこういう形で漁港区域内に整備されているということを付け加えておきたいと思います。
漁港漁場整備部長通知ですけれども、これは状況の変化等によりまして、当初の計画どおりに利用が進まない、未利用等の状況が続いている公共施設用地につきまして、補助金の有効活用を図るという観点から、先ほどの法律に基づく承認につきまして、利用を見直す時期的な基準を示す、一定のガイドラインとして示したものでございます。10年というふうに中に数字が出てきておりますけれども、この10年といいますのは、あくまでもメルクマールでございまして、この承認を行います場合個々の案件ごとに判断しているということになっております。
したがいまして、私どもとしましては、この新潟県の要望は、規制改革というよりも、補助金の目的外使用の在り方についての側面が強いのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
○八代主査 ありがとうございました。
最後の解釈もそれでいいのですが、そのときにケース・バイ・ケースに判断するからいいではないかと言われても、ケース・バイ・ケースに拒否される場合が多いから、こういう特区提案が出ているわけで、例えばなぜ10年というのを5年に変えてはいけないのか。
これは、例えば1つの例として、農林水産省ではありませんが、公有水面埋立法というのがありまして、これも同じように用途変更をみだりにしてはいけないということで、10年という制限期間がかかっていたのですが、これも特区提案で5年というふうに短縮されているわけで、言わばこれと同じような形で特区というもので10年を5年に変えることによって、いかなる弊害があるかをチェックしてみようというのが新潟県の要望だと思いますが、それについてどうしても10年でなければいけないという根拠は何かあるのでございましょうか。
○鹿田課長 私ども公有水面埋立法等を参考にして10年というふうに定めております。
ただ、この法律にありますように、補助金を得て造成した土地でございますので、あくまでも補助金の目的に沿った利用、これを追及するのが原則だというふうに考えておりまして、ただ10年ほど経ちますと、いろんな状況の変化もございまして、それ以外の条件を加味して考えることも必要ではないかということも考えておりまして、そういう意味でのメルクマールとして示したものでございまして、あくまでもこれにこだわっているつもりではございません。ですから、これ以前にこういった申請がございましたならば、それはそれなりに検討していきたいというふうに考えております。
○八代主査 ですから、それなりにというのが非常に裁量性があるわけで、やはり基準を明確にする必要がある。そのときに10年で変化が起きるというのは、やはりこの法律はいつできたのでしたか、とにかくかつてはそうだったかもしれないわけですけれども、今の目まぐるしい変化の中では、やはり漁港をつくってみたけれども、実は余り漁船もいなかったということがなぜかわかったというときに、10年待たなくてももっと短い間に別の用地に使うニーズは高まっているわけですから、ケース・バイ・ケースで判断するからいいというのではなくて、新潟県のケースは例えば5年というのに、どっちみちケース・バイ・ケースで判断されるわけですから、認めて何かいけない理由があるのでしょうか。
○鹿田課長 私どもは、この10年については、10年経ったら制限を取っ払うということを言っているわけでございません。あくまでも見直しをする時期として10年ぐらい経ったら見直してくださいということを言っておりまして、要するにこの適正化法も、何年以上経ったら勝手にやっていいよということを言っているわけではございませんで、これを何年にしようと、私どもは本来の目的に反していないかどうかという観点からチェックをせざるを得ないということになっております。
○八代主査 ただ、新潟県もレジャーランドにしようと言っているわけではないわけで、やはりそこは適切な範囲なわけですね。
○鹿田課長 ですから、具体的な事例をお持ちいただければ、私どももそういう観点から判断していきたいというふうに考えております。
○八代主査 ただ、その判断がどうも、きちっと判断していただけると思えば、わざわざ新潟県も要望など出してこないわけであって、これまで多分要請されても突っ返されたという経緯があるのではないかというふうに、これは邪推しているわけでございますが。
○鹿田課長 そういうことはございません。
○八代主査 そんなことはないわけですか。では、特区の形で新潟の提案をケース・バイ・ケースでやっていただいても、特に状況は変わらないわけですね。
○鹿田課長 はい。
○八代主査 だから、要望には特に御反対ということではないわけですね。
○鹿田課長 こういう事例について、一律にだめとか、一律にいいという問題ではないというふうに考えております。
○八代主査 そうすると、いいわけですか。この要望を認めるということは。
○鹿田課長 ですから、そういう個別の事案を持ってきていただければ、私どもそういう観点から対処したいと思っております。
○八代主査 ですから、そこのときに裁量性というのが、やはり気になる点で、見直すときの1つの基準として、勿論何をやってもいいというのは別にここには書いてないわけですが、この10年以上を経過して云々と書いてあるのを、これを5年以上経過してという形で考えるということなのですかね。この10年という基準が長過ぎるのではないかという御提案ですね。
○鹿田課長 ただ、私ども漁業を対象にしてやっておりまして、御承知のとおり非常に変動が大きい自然を相手にしておりまして、なかなかわからないという海を相手にしておりますものですから、余り拙速に物事を決めてもまずいという状況にございます。そういう特殊な状況にあるということも御理解いただきたいと思います。
○八代主査 拙速の考え方の違いであって、5年は十分慎重に議論したという見方もできるのではないかと思いますが、ほかの委員の方はいかがですか。
○安念専門委員 余り後継者もいないような産業で、5年経っても使わなかったものは10年待ったって同じなのではないかというのは、素人考えでしょうか。
○鹿田課長 ですから、先ほども言っておりますように、それは持ってきていただければ、別に10年しないと受け付けないとか、10年すれば規制がかからないということを言っているものではございません。
○安念専門委員 わかりました。そうおっしゃるなら、10を5に変えていただくことぐらいは、そう大したことではないような、つまりだめならだめだとおっしゃればいいわけだから。
○八代主査 そうですね。目的外使用ならどの途だめなわけですから。
○鹿田課長 なかなか5年という根拠が……
○八代主査 そうすると、10年という根拠はどこにあるわけですか。
事務局どうですか。それ以外のポイントというのはありますか。
○藤原室長補佐 御要望の趣旨では、10年というところにかなり重きを置いておられますので、そこのところが個別に御対応いただけるということであれば、逆に10年という規定自体を、安念専門委員おっしゃったように、少し見直していただくような、そういったことも御検討いただければということでございます。
○八代主査 その見直すというときに、例えば新潟県ではなくても、どこかが例えばこういう事業の見直しをしたいというときに、例えば農水省はだめだと言ったときに、だめな理由をきちっと開示されるとか、そういうルールはあるのですか。
○鹿田課長 何ですか。
○八代主査 ですから、あるところが10年以内なのですが、漁港を本来の目的と違う形で設備をつくりたいという要望があったと。農水省できちっと検討された結果、これはだめだったと、認められませんといったときに、例えば認められない理由をきちっと開示するとか、そういう原則というのはあるのでしょうか。
○鹿田課長 今までそういう事例はありませんので。
○八代主査 仮定の質問なのですけれども、ですから、ケース・バイ・ケースで判断すると言われたのですが、判断してだめだったというときに、理由も示さずにだめだったと言っても、普通のほかの手続法だとそういうことが許されるのですが、こういう場合はどうなのでしょうか。
○鹿田課長 特に今までそういう事例はございません。必要があれば、文章でということであれば。
○八代主査 そういうルールになっているわけですか。
○鹿田課長 ですから、今までないものですから、ルール自体もございません。
○森委員 廃止したり使用目的を変更なさっている事例というのは、今までにたくさんあるのですか。
○鹿田課長 いえ、こういう事例はございません。
○森委員 使用目的を変更した事例がそもそもないのですか。
○鹿田課長 こういう土地でですか。事例はございます。
○森委員 そのときに、どういう目的に変更なさっているのでしょうか。
○鹿田課長 それはいろいろあります。こういう場合もございますし、特に多いのは、例えば町道がちょうど漁港区域にかかるとか、そういう場合に交換してやるとか、そういう事例が多ございます。
○安念専門委員 それは土地ですか。
○鹿田課長 ですから、町道の路線が、私どもの漁港の用地にかかるというような場合に、どこかに土地をつくっていただいて、今までと同じような機能を継続できるような形で用意していただいて、そういうことで認めるというのはございます。
私どもはやはり補助事業でやったものでございますので、当初決めた補助事業の趣旨を追及していただくのが原則ではないかと。ほかの使い道をするのは、やはり事情やむを得ない場合に限るという形にしたいものですから、余りこういったものをこういうふうにやるのもいかがかなという気がしまして、とりあえずこういう形でやらせていただきたいというふうに考えております。
○森委員 どういう趣旨でやられたとしても、全く使われてないとか、そういうのはまた資産の無駄といいますか、投資も無駄なので、やはり何らかの有用なものに使われる方に、積極的にやられた方がいいのではないかと思うのですが。
○鹿田課長 ですから、事情やむを得ない場合にはそういうことで、そういう使い方も認めないわけではございません。
ただ、一方補助事業をやったという立場からいくと、安易に計画変更というようなことが前提になりますと、やはりまずい面もあるのではないかということです。
○森委員 安易に変えるとまずいのですが、安易につくってきたのが現状ですからね。
○鹿田課長 先ほど申し上げましたように、私ども漁業という非常に変動の激しいものを相手にしておりまして、今たまたま資源が非常に下がった状況でございまして、いつまでもこういう状況が続くという見極めをするのは拙速ではないかというふうに思います。
○森委員 もっとレジャーとか何かに使われる方が、色々な意味で有用でしょう。
○鹿田課長 ですから、先ほどから言っておりますように、そういうことについてはちゃんと私どもも配慮してやっていきたいというふうに考えております。
○八代主査 きちっとそれが情報公開の下で、門前払いがないような形で行われるのであればいいと思いますが。
ちょっと時間も押しておりますので、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
○鹿田課長 よろしくお願いいたします。
(農林水産省水産庁関係者退室)
○八代主査 お持たせいたしました。では、最後、国土交通省の方から「都市公園の地下利用の拡大(水道、下水道、変電所設置等)」「都市公園における配電用変圧器の占有条件の緩和」という問題について、全国要望でございますが、お願いしたいと思います。
20分ほどございますので、最初に5分ほど両テーマについて簡単にお話をいただいた後、質疑応答したいと思います。よろしくお願いいたします。
○高梨国土交通省都市・地域整備局公園緑地課課長 公園緑地課長でございます。よろしくお願いいたします。
まず、都市公園の占用物件の件でございますけれども、これについてまず御説明させていただきたいと思います。御承知のように都市公園というのは都市の中で、非常に貴重な自然的環境を形成する空間でございまして、そういう自然的な環境の保全という観点とともに、オープンスペース、いわゆる空地を確保することによりまして、大地震・火災時の避難地となったりというような機能を持っている空間でございます。
したがいまして、こういうような都市公園の性格からいたしまして、公園の効用を増す施設、これは公園施設というふうに申しておりますけれども、これについては原則建蔽率を2%以下という、非常に厳しい規定になっているところでございます。
しかしながら、都市公園というのは都市の中の社会的な施設でございますので、そういったような観点から、公園施設以外の都市公園の占用というのを法律上認めているわけでございますけれども、その種類を見てみますと、1つは公共性の強いもの、例えば水道管ですとか、下水道管ですとか、ガス管といったようなものですとか、あるいは道路、鉄道などで高架のものといったようなもの、それと公園の機能との関連性を有するものというのがございまして、これは例えば競技会を行うとか、集会を行う、あるいは展示会を行うといったようなときに設けられる仮設の工作物、それから警察署の派出所、例えば日比谷公園の中に交番がございますけれども、こういった派出所ですとか、あるいは工事のための仮設の施設といったようなものがございます。
3点目は、公園というのがオープンスペースとしての性格を持っているわけでございますので、非常災害に際しまして、災害にかかった者を収容するような仮設の工作物、これは住宅などの場合もあるわけでございます。
こういった3つの観点から占用物件というのを設けているということでございます。
また、特に大きな施設につきましては、地下であることを要件にしているところでございますが、これは御承知のように都市内の貴重な自然的な空間でございますので、その機能を確保する観点からいきますと、必要な樹林地、樹木の健全な育成が図られるといったような観点でございますとか、あるいは雨が降ったときに地下の方に浸透するといったような自然性を確保するというような観点から、地下に設けます構造物というのは、そういった自然的な機能を阻害しないような範囲内で占用の許可をするというのが基本的な考え方になっているところでございます。
そういったような観点からいきますと、現在ございます占用の規定というのは、基本的に維持されていく必要があるというふうに考えているところでございます。
今お手元に「立体公園制度イメージ」というのをお渡ししてございますが、これにつきましては、実は今年の4月でございますけれども、社会資本整備審議会の中に都市計画歴史的風土分科会都市計画部会の下に公園緑地小委員会というのがございまして、そこの第2次報告というのがございました。これは、森委員も御参画いただいた小委員会の報告でございますけれども、こういった中で今後の緑とオープンスペースの確保方策について、できるだけ緑とオープンスペースを確保していくという観点から、効率的な都市公園の整備を進める、その際に都市公園の区域について、その上空をオープンスペースとして確保することを基本的な考え方にしまして、立体的に公園の区域を定められるような方策を検討するべきであるという御提言をいただいたところでございます。
それを踏まえまして、現在いろいろ法制度について検討させていただいているところでございますけれども、ここの図にございますけれども、現行は地下の利用は先ほど申しましたように占用物件といったようなものに限定してございます。また、都市公園法上上空から地下について私権の制限をしてございますけれども、右にございますように、公園法の及ぶ範囲を限定的にすることによって、地下については自由な利用ができるようにするといったような制度を今、検討しているところでございます。
特に、先ほど申しましたように、公園緑地小委員会の第2次報告におきまして、緑とオープンスペース、これは現在地球温暖化対策ですとか、あるいは生物・多様性の確保、そしてヒートアイランド対策、更に都市の防災性の向上といったような政策的な課題がございますので、そういったものに応えていくということになりますと、例えば都市再生に伴いまして、再開発等の区域において、いかに公園を確保していくかといったようなときに、この立体公園制度を活用することによりまして、緑とオープンスペース、豊かな街づくりを地域の実情に応じてできるようにしようというのが基本的な考え方でございます。
これによりまして、公園づくりを進めております地方公共団体にとってみますと、地域の実情に応じたいろいろな手法を持つことになりますので、より都市公園の整備、あるいは都市部の緑化に資するのではないかということで、今、一生懸命検討させていただいているところでございます。
もう一つ、配電用変圧器の件でございますけれども、これは過去の経緯から申しますと、6,600ボルトの配電盤につきましては、去年公園の中の占用物件ということを示させていただいております。この御要望があります件について、私どもとしては本当に安全性というのが確認できるのかどうかということが一番の関心事でございまして、22,000ボルトというようなものでございますし、規模は非常に小さいというふうにお伺いしているのですけれども、公園の一角というのはいろいろな方が多目的に利用されるというような性格のものでございますので、本当に安全性というのが確保できるのかどうかというのが、一番私ども懸念している点でございまして、公園の中ですといろいろ公園施設に対してのいたずら行為とかがございまして、公園施設が破損されるようなケースがあるものですから、そういった中で非常に電圧が高いもので、きちっと安全性が管理されるかどうかということが、非常に私どもとしては懸念をしているということで御回答させていただいているということでございます。
以上でございます。
○八代主査 ありがとうございました。基本的には、今の規定を性能規定に変えていくと、つまり都市公園の機能を損なわない範囲で地下利用とか何かをきちっとやっていくことだと思いますけれども、今、検討されているのは非常に結構なのですが、それは本当にいつごろまでにできるのか、もし速やかにできるなら、この要望している方の趣旨には合うということでよろしいのですか。要するに、今、検討されている内容がうまく実現すれば、都市公園の地下利用の拡大ということはカバーされているということですか。
○高梨課長 この立体公園制度であれば、地域の実情に応じてこれを活用していけば、基本的には対応できるというふうに考えておりますけれども、設置される場所、場所によって、それぞれ公園の実情というのがございますので、そういった観点からいきますと、立体公園制度で全て動くかどうかということについて言いますと、私どもとしては立体公園制度をつくる趣旨と、占用物件というものの取り扱いというのが、ストレートに組んでいるとイメージしているものではございませんので、そういった意味からいきますと、既存の都市公園法の占用規定といいますか、それはそれとして取り扱っていかなければいけないということでございます。
○森委員 世界各国、いろんな公園の状況を見ますと、例えばシカゴのように、鉄道とか高速道路とかの上にふたをしてしまって、大きな公園施設をつくってしまうと。しかも、いろいろな音楽堂を建てたり、あるいは開閉式のアリーナをつくったりとか、要するに皆さんの積極的な都市のアメニティーとして使うという方向で、今までの公園というのは見て楽しむと、時間になったら閉めてしまって、どっちかというと植物のためにあって人間のためにあるのではないような、そういう感じが多かったと思うのですが、そういうものから市民とか住民、あるいは来訪者も含めてですが、交流の場として大いに使っていくという方向になっていっていると思うのですが、基本的には国交省もそういう方向でお考えなのでしょうか。
○高梨課長 確保された公園につきまして、やはりいろいろな利用に供して初めて機能が発揮される、効用が発揮されるということでございますので、今、森委員おっしゃられたように、やはり賑わいのある公園、人にとって使い勝手がよくて、常に利用される公園づくりというのは、非常に重要な視点というふうに考えております。その方向で私どもも考えているところでございます。
○森委員 もう一つ、公園のほかに庭園というのがあるのですね。庭園というのは、やたらに入って荒しては困るというようなことで、厳重に管理して、かつ時間外は入れないとか、そういうことがあっても仕方がないと思うのですが、今まではどうなっていて、これからどうなっていくのでしょうか。
○高梨課長 都市公園の中には、江戸時代の大名公園を都市公園として現在開放しているといったようなものがございます。東京都でいきますと、六義園ですとか、浜離宮ですとか、そういったものが都市公園になっているわけですけれども、これは一度東京都が全部無料にした時期がございました。無料にすることによって、当然入園者というのが倍増したわけでございますけれども、やはり日本庭園なんかですときめの細かいつくり方をしておりますので、一時に多くの人が入ったことによって、かえってお庭が荒廃してしまったというようなことがございまして、その結果東京都はまた日本庭園型の都市公園については有料制を導入しているということでございますので、やはり空間の質に応じた利用の調整といいますか、そういったものは大切な視点だというふうに考えております。
それと、例えば多目的な広場でも、例えば国営の昭和記念公園なんかですと、大きな原っぱに相当の人が入るわけですけれども、それによって広場としての体裁といいますか、植物が踏圧によって生育しなくなってしまうということになりますと、その空間の機能を発揮することができないわけですけれども、そういった点についてはかなり技術的に今、進歩してきておりますので、そういう技術的な裏づけがあったとしても、やはりある一定の空間についていうと、オーバーユースになることによって、その空間そのものが崩壊してしまうというようなことが出てまいりますので、それぞれの空間に応じた利用の仕方、それとそれを支える技術力の発揮ということが同時に行われることが必要だというふうに考えております。
○八代主査 今日は地下利用の話なので、申し訳ありません。今おっしゃっていることはもっともだと思うのですが、そういうことを担保すれば、別に地下を使ってもいいのではないかと、別に植物がちゃんと生えて、水はけがよければ、そういう性能規定化にこの法律を変えていけないだろうかというのが趣旨だと思うのです。
ですから、立体公園は、それはそれで結構なのですが、それがどうもお話を聞くと随分大規模なイメージがあって、そうではなくて小さな、例えば2ヘクタールもないような公園であっても、ニーズがあれば地下に駐車場をつくってみるとか、そういうことがなぜいけないのかということですね。公園としての機能は十分保持さえできれば、空いているその下の部分を別に何に使ったっていいではないか、別に公共的な目的ではなくても、人々が必要と思えば活用して何がいけないのかということです。
○高梨課長 今、出ました駐車場につきましては、5、6年前だったかいろいろ議論がございまして、実は公園については公共駐車場でも、お子さんたちの利用の安全という観点もございまして、相当厳しく昭和30年代から制限していたのですけれども、現在では公共駐車場については、その地域の状況に応じて設けることができるというのが実態でございます。
立体公園制度ですとか、いろいろな利用が可能になってくるわけですけれども、これは大規模なものだけイメージしているということではございませんで、ある一定の開発をしていくということになりますと、当然既存の小さい公園の位置の変更ということも起きてきますので、そういった従前の公共用地もうまく活用しながら、緑豊かな空間をつくっていこうという考え方でございますので、そういうふうに御理解いただければと思います。
○八代主査 ただ、立体公園ができたとしても、それはそれで、この規制はそのまま残ると先ほどおっしゃったので、この規制自体も立体公園と同じような趣旨で、なぜ一般的に取っ払ってはいけないのですか。
○高梨課長 先ほど申しましたように、公園の持っている自然地としての……
○八代主査 ですから、勿論公園の機能を100%保存した形で地下を利用できるとしたら、それを使ってもいいでしょうという一般原則なのです。それがなぜいけないのですか。
○高梨課長 ということは、立体公園制度以外でも、都市公園法の占用の規定を……
○八代主査 ここにあるのがまさにそういう要望ですね。
○高梨課長 今、個別対応しているのを、包括的なものにしたらどうかということでございましょうか。
○八代主査 はい。
○稗田公園企画官 その点、いろんなお考えあるのかと思います。やはり都市公園、非常に地域の拠点として重要な施設ですので、その使い方、廃止、あるいは在り方含めて、地域で十分な合意を取っていただくことが必要になってくると思います。
○八代主査 都市公園を廃止はしないのです。都市公園のままで。
○稗田公園企画官 その上で、先ほどの規模とかについても、私ども制限は設けるつもりはございませんので、立体公園ということで都市計画的にきちんとした手続を踏んで、地域の合意を取っていただければ、これについて特段の制限なくつくっていただこうと考えておりますので、一般の公園については従来どうおりやれば十分ではないかというふうに考えております。
○八代主査 よくわからないですけれども、立体公園の制度を使えばいいけれども、その制度に乗らない限りはやはり従来どおりの規制は残すのだということですね。
○稗田公園企画官 はい。
○八代主査 何かそこが理解できないのですけれども。
○森委員 立体化したければどうぞということで、今のような、都市公園であるから単純利用でなければいかぬということはもうやめるという方向で検討中ということですか。もう検討結果が出た、立体公園化すればいいのですよということになったのでしたか。現状はどういうところにあるのですか。
○高梨課長 立体公園につきましては、一つ既存の市街地などで土地を買って公園にするということについていきますと、財政的な制約もございますので、そういった観点から工夫をしながら、緑とオープンスペースを確保していこうという制度でございますので、その制度の枠組みと、現在ございます都市公園法の占用の規定というのと、直接的にリンクをしている制度としてイメージしているわけではございません。
○森委員 既存の公園は変えられない、新しいのは立体公園もあるといふうにおっしゃっているのですか。
○高梨課長 地域の実情に応じて、この立体公園制度というのは、活用されてしかるべきだというのか基本的な考え方でございますけれども、通常の公園で占用物件について、いろいろ御要望が集中するというような状況は、今のところ私の認識している範囲ではございませんので。
○八代主査 それは規制があるからみんなあきらめているわけですから、要望がないから何もしなくていいということにはならないのではないですか、そういうオプションができれば、当然要望は幾つも出てくる可能性があるわけで、要するに一般論として、都市の貴重なスペースがあると、上に公園がありますと、しかしその地下はほかの用途に使ってはいけません、ガス管とか特例のもの以外はいけませんという規制自体に問題があるのではないかという意識なのですけれども。
要望がないからと言っても、今、使ったらいけないという制度だから、要望があるはずないのではないですか。
○高梨課長 その要望云々というのは、規制があるから要望が出てきてないというようなお話ですか、その話はちょっと横に置きまして、実は公園の施設として設けている地下の施設というのは相当ございまして、これは電灯を1つ付けるにしても電線管を引いたり、あるいは雨水排水のために、流末との関係で、これは下水もそうなのですけれども、自然勾配できちっと取っていかなければいけないというような物理的なものがございますので、まずそれがきちっとしていませんと、公園としての機能を果たせないと。だから、その上で、占用物件というのは設置が判断されるということでございますので、あるいは将来の公園施設として新たに建てる場合も当然出てまいりますので、例えば既存の野球場なんかで耐震性がないというようなことから、公園内のほかの場所でそれを建て替えようという需要も当然出てまいりますので、そういったことからいくと、公園の機能を発揮させるための、いろいろな地下に関わる工作物も出てまいります。
○八代主査 それはわかります。先ほどありましたから。ただ、公園と関係ないものであったら、なぜだめなのかということです。
○稗田公園企画官 関係ないもの……
○八代主査 ですから、駐車場のように、公園機能とは直接関係ないようなものであれば、今のところ、例えば2ヘクタール以上公園がなければいけないとか、公園の半分の面積しか使ってはいけないとか、何かそういうのがあるわけですね。
○稗田公園企画官 それは変電所とかの地下利用施設のケースですね。
○八代主査 当然ほかのものだって同じものがあるわけでしょう。水道施設でさえ、これぐらいの規制があるわけだから。だから、何か個人の土地の地下権みたいなイメージがあって、これは都市公園局の土地だから、我々にも地下権があってほかのものには使わせないというような、何となくそういうイメージがあるのですけれども、そういうことではないのですか。
○高梨課長 今の占用物件のほかに……
○八代主査 何でもいいから、公園の機能を損なわなければ、おっしゃった水はけとか、いろんな意味でできなければ、民間のニーズがあるといったときに、その責任でつくらせるというようなイメージですね。この要望というのは。
○稗田公園企画官 そういうものが出てきたときには、まさに今回の立体公園の制度で対応できるものというふうに考えて、今回まだ国会には通ってない段階ですけれども、制度改正させていただければと思います。
○八代主査 無理やり立体公園を押し付けているような感じであって、それはそれでいいですけれども、そうでなければいけないのですか。
○森委員 大きな公園の一部がショッピングセンターで、半分地下に入って、半分顔を出しているとか、オランダなんかも美術館を地下にあえてつくって、近くに行くまでそれが美術館であることがわからないとか、ゴッホ美術館とかですね。自由に楽しく使って、しかも屋上は緑になっているわけですから、公園はフラットでなければいかぬということはないので、むしろ立体的に山があったり谷があったりした方が楽しいとか、そういうことをもっと自由に、むしろ積極的に推進していただきたいというのが、私の希望ですけれども。
○高梨課長 今お話がございました、美術館ですとか、コンサートを行う施設ですとか、こういうのは公園施設という概念なものですから、それは公園計画の中で地上であろうと、地下であろうと、これは計画できちっと位置づければ、整備・管理ができるような仕組みになってございますので。
○八代主査 レストランはどうですか。
○高梨課長 レストランもできます。
○森委員 オランダの場合はショッピングセンターが入っていましたよ。
○高梨課長 ショッピングセンターだけは、この都市公園法では今まで想定してないです。
例えば、日比谷公園の松本楼ですとか、ああいうのは公園に来た方の利用、サービスをするという基本的な考え方ですので、不特定多数の方を対象にして公園の中でやるということになりますと、逆に今いろいろ言われるのが民業圧迫だとか、そういうようなとらえ方も……
○八代主査 民間にやらせるのだから、民業圧迫ではないのではないですか。
○高梨課長 ということで、松本楼なんかそうなのですけれども、民間でレストランだとかを、公園管理者以外の者に行うことができるような仕組みになってございます。
○森委員 ショッピングセンターであっても、屋上を大いに楽しく公園化するということは、駐車場に限らずあって、立体的につくられた公園というのが、公園だから万人が共通で使わなければいけないということは多分ないのではないでしょうか。診療所だっていいし、児童託児所だっていいしというようなことで、ショッピングセンターだってパブリックだといえばパブリックですから、そういうふうにしていかないと、大都市の場合なんかはそういうスペースも確保できないというふうに、私は思っておるのですが、無理にというわけではないですけれども、そういうふうに考えていっていただきたいと思っております。
○八代主査 どうも立体公園の要件が簡単につくれるようなものだったら、事実上今の都市公園をすべて立体公園にすればいいのですけれども、その辺はどういう立体公園の制度になるかを是非また教えていただきたいと思いますが、何か資料等でも後で今の考え方があれば、もしそれが本当に自由なものであれば、おっしゃるように全部立体公園にすればいいのですけれども、ちょっと先ほどから言われた点が気になって、立体公園はつくるけれどもという……
○稗田公園企画官 一つだけ補足させていただきますと、地下利用させる場合に、どういう点が肝心かというと、ただ単に地下ということで限ってしまいますと、いわゆる半地下状のものか、それから斜面地でのものとか、いろんな場合が出てきますので、そこはやはりここだというのを法律的に明確にしてやる必要があると思います。
そういうために、区域を上下で限るということが法律的に、ちょっと技術的に必要になってきますので、そういう点を今回の制度で措置させていただければというような考え方でございます。
○八代主査 そちらの考える立体公園を、もう少し明確にした上で、やはりそれでは制約が多いというのだったら、もう一回お話いただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
(国土交通省都市・地域整備局公園緑地課関係者退室)
○八代主査 それでは、今日の予定はこれで全部終わります。