平成16年5月20日(木)15:00〜16:30
永田町合同庁舎第1会議室
宮内義彦議長、神田秀樹、草刈隆郎、黒川和美、志太勤、白石真澄、南場智子、原早苗、矢崎裕彦、八代尚宏の各委員 (鈴木良男議長代理、本田桂子委員、安居祥策委員は欠席)
安念潤司成蹊大学教授、橋本博之立教大学教授、福井秀夫政策研究大学院大学教授
河野規制改革・民間開放推進室長、宮川参事官、原企画官、岩佐企画官、長瀬企画官
官製市場民間開放委員会の検討体制など
意見交換
○宮内議長 それでは定刻でございますので、ただいまから、第1回「官製市場民間開放委員会」、これは仮称でございますが、開催させていただきます。
本日は、本委員会の検討体制につきまして確認させていただきました後、今後のワーキンググループ、この進め方につきまして、各主査の方々から御説明をいただき、皆様方と意見交換をさせていただくと、こういう形を取りたいと思います。
なお、主査の皆様から御推薦をいただきまして、本日は、成蹊大学の安念教授、政策研究大学院大学の福井教授、立教大学の橋本教授のお三方にお越しいただいております。今後、専門委員としてお力添えをいただく予定でございまして、早速、今日から議論に御参加していただくということで、御出席をいただきました。何分よろしくお願いいたします。
それでは、私から検討体制につきまして説明させていただきたいと存じます。
まず、委員会の名称でございますが、議事次第にございますように「官製市場民間開放委員会」にさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」との声あり)
それでは名称は「官製市場民間開放委員会」ということにさせていただきたいと思います。
また、この委員会の委員長でございますが、これも私が務めさせていただくということで御了承賜わりたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」との声あり)
ありがとうございます。次に、本委員会の運営についてでございますが、会議終了後、記者会見を行い、私から議事内容を説明させていただくことといたします。
本日は、非公開とさせていただきましたが、次回以降は原則公開とし、委員長が必要に応じて非公開にすることができると、このようにさせていただきたいと思います。
更に、委員会終了後、議事録及び会議の資料を公表することといたしたいと思いますが、以上につきましても御賛同賜わりたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」との声あり)
それでは、そのようにさせていただきます。
続いて、この委員会の下にワーキンググループをつくるということで、先日、私からの案といたしまして、事務局より委員の皆様方に御連絡をさせていただいておりますように、委員会に3つのワーキンググループを設置したいと考えております。
1つは、これも仮称でございますが、横断的手法ワーキンググループでございまして「規制改革・民間開放推進3か年計画」に盛り込まれました、官でなければできない業務の範囲を明確にする「市場化テスト」、あるいは民間開放に関する数値目標の設定など、民間開放を推進するための横断的手法の早期実現に向けた制度設計について御検討をいただくワーキンググループでございます。
このワーキンググループの統括ということで、主査につきましては、八代委員にお願いしたいと思っております。
2つ目のワーキンググループでございますが、官業民営化等ワーキンググループ、これも仮称でございます。この官業民営化等ワーキンググループでは、国及び地方公共団体の事務・事業の民間への移管、いわゆる民営化、民間譲渡、民間委託、あるいは公物管理の在り方について検討していただくワーキンググループでございます。
このワーキンググループにつきましては、本日は御欠席でございますが、鈴木議長代理にお願いしたいと存じております。
3つ目は、主要官製市場改革ワーキンググループ、これも仮称でございます。前身の総合規制改革会議が取り組みました「規制改革推進のためのアクションプラン・17の重点検討事項」等を参考に、医療・福祉・教育など国民生活に密着した主要な官製市場に関連する制度の見直しを検討するワーキンググループでございます。
このワーキンググループの主査は、草刈委員にお願いしたいと存じております。
これらのワーキンググループの名前につきましては、仮称として御紹介いたしましたが、仮称を取ってもよろしいかとお聞きすると同時に、もっといい名前がございましたら、主査の方々に決めていただくということで、とりあえず、ただいまの仮称をその名前にさせていただきます。もし、いい名前がございましたら、お決めいただきまして御連絡いただければと思います。
なお、ワーキンググループを3つに分けましたが、いずれも密接に関連した問題でございます。したがいまして、ワーキンググループには、当会議委員の全員参加の形を取らせていただきたいと思います。なかなか難しい課題ばかりでございますが、いずれにつきましても、7月の中間とりまとめというのを1つの目標といたしまして、是非とも精力的な御検討をお願い申し上げたいと、このように思います。
次に、私から御報告させていただきたい点がございます。昨日夕刻に開催されました経済財政諮問会議で規制改革・民間開放がテーマとして取り上げられまして、私が出席してまいりました。その模様につきまして、報告をさせていただきたいと思います。
お手元の資料の4が、私から提出させていただきましたペーパーでございます。これはご覧いただきましたらおわかりでございますが、その前に金子大臣から発言がございまして、新しい体制で一層規制改革を促進すると、したがって諮問会議にも協力を求める旨の御発言がございました。
また、規制改革・民間開放推進会議が立ち上がって、主な課題といたしまして、官製市場の民間開放をするということ。また、規制改革・民間開放推進本部が25日に第1回会合という形で立ち上がり、そこに推進会議の企画委員会のメンバーが参加し、個別のテーマについて関係閣僚と推進会議の委員が審議する、そういう場が設置されるという報告がございました。
続きまして、私から資料に基づきまして説明させていただきました。
規制改革・民間開放推進本部が立ち上がるということで、本部との連携による政治のリーダーシップに期待するということを申し上げました。
それから、7月に中間とりまとめを行うこと、そのために、これから精力的に検討を進めるということで、このとりまとめを行うテーマといたしまして、主要な官製市場の改革、いわゆる医療、福祉、教育等でございます。
それから、横断的な手法の開発ということで、市場化テストの導入、数値目標の設定など、ここのペーパーにございます点を申し上げました。
私のこのペーパーの説明に対しまして、民間議員を代表いたしまして、奥田議員より、資料5にございますようなペーパーの説明がございました。市場化テストの導入などは大変有益であり、目標設定と併せて16年度を目途に整備し、17年度のモデル導入が必要であること、官製市場の改革、特に利便性の向上、雇用の拡大につながる項目について、夏頃を目途にアクションプランをとりまとめてほしいこと、構造改革特区につきまして、特段の弊害を役所が立証できない限り全国展開すべきであり、また、自治体からの提案の実現率を高めるために、省庁別の実現率を公表して、省庁間の競争を促すべきであること、あるいは、大企業からの提案が少ないので、経団連としても努力したいというような発言がございました。
それを受けまして、他の民間委員からの発言が2、3ございました。1つは、市場化テストについて、17年度中にモデルケースをつくれという提言は大変重要なので受け止めて議論させていただきたい、あるいは、市場化テストの実施に当たっては、専門の推進機関が必要であり、諮問会議でも御議論いただきたいということでございます。
竹中大臣より、とりまとめといたしまして、一層の規制改革が必要であることについて会議としては一致している、官製市場の17事項、市場化テスト等について是非とも前向きに取り組んでほしいということでございます。
最後に総理から発言がございまして、官製市場の民間開放については、わかりやすく、こうやった方がいいという賛成論と反対論を浮き掘りにする、浮き上がらせて、それをまとめて結論を出していくということが大事ではないかという御発言がございました。
あとは、資料の4、5、6をご覧いただければ、その模様につきましては御理解給われると思います。
それでは、最初に申し上げましたとおり、各ワーキンググループの主査にお願い申し上げました皆様方から、その担当分野につきましての今後の進め方等につきまして御説明をいただきたいと思います。
それでは、八代主査からお願いいたします。
○八代主査 「横断的手法WGの取り組みについて」という資料1を御参照いただければと思います。
既に、宮内議長から御説明がありましたように、官でなければできない事業の範囲というものを、まずきちんと決めた上で、民間ができるものについては、極力民間に事業を移していくということが基本でございまして、そのために具体的にどういう手法を開発すればいいかということを考えるのが、このワーキンググループの目的でございます。
具体的には、市場化テストというのが、既に海外では多くの国で実施されているわけでありまして、それの具体的な中身の研究と、それをどのような形で日本の現状に適用できるかということを第一段階で考えます。
その中では、官と民との公正な競争入札を可能とする手法というのが大事であるわけであります。
1枚めくっていただきますと「公と民のコスト比較」というのが、地方自治経営学会等で計算されておりますが、いずれもかなり大きな官民格差があるわけであります。
コスト面では、格差がこれだけあるわけですけれども、官の方は、いろいろ質の違いがあるというようなことを言うわけでありますので、本当にそうであるかというのをきちんと公平的な形での競争入札を通じて実現できるための指標を考えるということであります。
それから、今もお話がありましたように、本年度中に具体的な制度設計を行い、本格的な実施に向けてモデル事業というのを、これは実験というより先行実施ということでありますが、その枠組みをつくって来年度に実施するということであります。
同時に、単に実施するだけではなくて、数値目標というのがある程度要るわけでありまして、米国ですと、とりあえず10%、長期的には50%というような目標があるわけでありますが、日本についても他の先進国の取り組みを参考にしつつ、こういう目標を設定するための検討を行うということでございます。
それから、こういうことをするためには、細かい点をいちいち詰めなければいけないわけで、例えば、今の資料4で、宮内議長が昨日御説明になられました資料の最後に参考として、市場化テスト(官民競争入札制度)の実施プロセス(イメージ)図がございます。
これは、対象事業の決定であるとか、官民競争条件の平準化であるとか、競争的な入札制度をどういうふうに具体的にやっていくのか、その結果、評価というものを客観的な基準でやらなければいけないので、それをどのようにやっていくかというような論点が書いてございますが、これについて横断的ワーキンググループで検討したいということであります。
既に、例えば駐車違反の取り締まり業務の民営化では、実際の作業に当たる民間事業者の方にみなし公務員規定を適用するというようなことがあるわけですが、これも民間開放後の事業者のガバナンスの在り方の一つのやり方であるわけです。
それから、入札制度を具体的に考えるときは、単に値段が安いだけではなくて、質の担保ということが重要なので、場合によっては公募方式みたいな形も検討対象にするということであります。
(3)の「事業の民間へのアウトソーシングに伴う公務員の出向等にかかわる制度のあり方」というのは、例えば、アウトソーシングした方が公務員がやる場合よりもコストが低いというのが明らかな場合であっても、結果的に公務員の数が減らないままアウトソーシングしたら、自治体にとっては逆にコスト高になってしまうということがあるわけで、そういうような形でアウトソーシングをした場合には、それに伴って、例えばそれまでそういう仕事をやっておられた公務員の方にアウトソーシング先に出向していただくと、そういうことがスムーズにできるような制度ができないものかどうかということを検討すると、そういうような考え方でございます。
以上でございます。
○宮内議長 ありがとうございました。御議論は後ほどさせていただくということで、まず、各主査から御説明をいただくということにしたいと思います。
2つ目のワーキンググループ、官業民営化等ワーキンググループでございます。これは、鈴木議長代理に主査をお願いしておりますが、本日は御都合が悪うございますので、配付資料につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。
○岩佐企画官 それでは、議長代理の資料につきまして、事務局から御説明させていただきたいと思います。
官業民営化等ワーキンググループにつきましては、まず、今後、3年間の課題といたしまして、国・地方の事務・事業、公物管理を含むものでございますが、こういったものにつきまして、検討し得る事項をまず網羅的に抽出していこうということでございまして、7月までは、そこの抽出のところを中心に行っていこうということでございます。
具体的には、抽出基準をワーキンググループの方で作成いたしまして、各省庁にそれに対応する事務・事業を提出させるというようなことで作業を進めていきたいと考えおります。
それから、これらにつきまして、横断的手法のワーキンググループとも連携を密にしながら精査をいたしまして、対象として検討すべき事項を確定していきたいと考えております。
想定されるスケジュールといたしましては、一応6月に各省庁に照会を行いまして、結果に基づきましてヒアリングを行いまして、7月の中間とりまとめに向けまして、検討事項の確定を行っていきたいと考えているところでございます。
鈴木議長代理の方からは、その他のところで、これ以外の個別ワーキンググループにつきましても、早急に立ち上げて検討を進めるべきという御意見をいただいております。
以上でございます。
○宮内議長 ありがとうございました。それでは、3つ目のワーキンググループでございます。主要官製市場改革ワーキンググループでございます。草刈主査からお願いいたします。
○草刈主査 それでは御説明を申し上げます。
まず、資料3の1ページ目にまとめが書いてございますが、先ほど議長からお話がありましたように、去年の第3次答申、それから政府の3か年計画に盛り込まれておりますアクションプランの17項目というものが既にあるわけでございまして、基本的にはこれの深掘りと、それにプラスαというようなことが、本年のテーマであろうかと思っております。
アクションプランで取り上げた事項は17あるわけでございますけれども、そのうち、私が担当しますワーキンググループ関係は、大体10項目程度あるかと思います。ただし、7月という時間の制限もございますので、中間報告までの短い時間を考慮して、最も難度の高いと思われる、次の4項目に集中して取り組んでいこうという考え方でございます。
残りのアイテムについては、あるいは追加的に発生した分については、本年の後半以降、精力的に取り組んでいくということにしたらいかがかと思います。
これから集中的に7月までにやる4つのアイテムは、ここに書いてありますように、まず第1が混合診療の解禁。すなわち保険診療と保険外診療の併用というテーマ。
2番目が、医療法人の経営方式の在り方。医療法人への出資額に応じた議決権の容認等。
3番目が、施設介護と在宅介護の制度一元化。介護ケア付き共同住宅の促進等。
4番目が、異なる経営形態の学校間の対等な競争条件の在り方ということで、国公立学校と学校法人、株式会社学校等に対する、いわゆる私学助成の適用等というテーマでございます。
資料に沿って4つのテーマについて御説明をさせていただければと思います。
まず、資料3の次のページを見ていただきたいのですけれども、まず、最初のテーマの「『混合診療』の解禁の意義」というところでございます。
これは、皆さん御存じのとおりで、いわゆる公的保険だけで国民の医療ニーズをすべて賄うというのは、やはり限界が既に来ています。
もう一つは、医療技術の発展という面からもまずいのではないかということで、ここに書いてございますように、真中に保険診療、それから特定療養費制度というのがございます。
そして、左側に保険外診療と書いてありますが、もう重々御承知のとおり、まず保険診療と、それからいわゆる高度な技術を要する医療をやる場合、現在では特定療養費制度の下で極めて限られた病院の技術、それは官が指定した技術以外のものは、保険も効かないし、それを同じ病院でやった場合には全部保険外になってしまうと、こういうことでございます。
それを右側の形のように、保険診療と保険外、つまり自由診療、これをもっともっと拡大していった形で、いわゆる混合診療、保険の効く部分、それから効かない部分、これを同じ病院でやっても、そういうふうに両方ともカバーできるようにしようではないかということで、この右側に書いてあるメリットというところに、いろいろなことが書いてございます。
次のページを見ていただいた方がわかりやすいかと思いますが、現在は、一番左側の絵でございます。先ほど申し上げたように、特定療養費制度というのがございまして、特定の医療機関、今、121 あるそうですが、そこにa、b、cといろいろな技術があると。それで指定された121 の病院に、この技術、この技術、この技術、全部指定がありまして、そういうものを高度先進医療技術については、病院ごと、技術ごとに中医協などで個別に承認したもの、それ以外は、すべて場違いになるので、もし、それ以外のものを同じ病院で保険と一緒にやった場合には、全部保険適用外になってしまうということであります。
今、少し進歩したという形になっているのが真中でございまして、いわゆるこの制度が多少拡大されているということでありますけれども、やはり新しい技術につきましては、引き続き個別に承認を要するということで、基本的にはものの考え方は変わらないと。これをなんとか、もう少し大きく範囲を広げていこうというのが、右側の考え方で、いわゆる特定承認医療保険機関、これをできるだけ拡大することが1つ。
それから、この下に、a技術、b技術、c技術と書いてあって、ポツが書いてございません。それはどういう意味かというと、いわゆる病院は指定をすると、しかし、技術については病院で持っている技術は全部使ってよろしいという形で、非常にフレキシブルな形に持っていきたいというのが、この趣旨でございます。それが第1でございます。 2番目のテーマは「医療法人の経営方式のあり方」。これは次のページをご覧いただきたいと思います。
アクションプランにおいては、株式会社等による医療機関の解禁というテーマでありました。この前のときはですね。これは、言ってみましたら直球をばんと投げた格好なのですけれども、今回は、この下に◆がありますが、以下の3つを根拠として、要するに、厚労省は株式会社の経営関与を否定しているという現状でございますので、これをある意味で変化球を混ぜながら、医療法人への参画、そしてその場合には、議決権を出資額に応じて付与すると、こういう形に要求の看板をちょっと変えたということで、基本的な考え方は同じでございます。
この3つの根拠というのは、厚労省の、いわゆるここに書いてございますように、医療法人への出資額に応じた議決権が容認されていないという根拠が3つあると。1つは、株式会社が医療法人に出資はできますが、経営には参画できませんよと。
下の方にずっとアンダーラインが引いてありますが、営利を目的とする商法上の会社は、医療法人に出資することにより社員になることはできないと。それで、出資または寄付によって医療法人に財産を提供する行為は可能だけれども、社員としての社員総会における議決権を取得することや役員として医療法人の経営に参画することはできないということでございまして、しかも根拠としては、平成3年、随分古い時期に、東京弁護士会の会長あてに厚生省の一課長が、こういう回答をしたというのが最大の根拠で、今回、我々が求めたいのは、これを容認できないというものを容認させるべきであるというのが、今回、我々の主張だということであります。
それから、次の◆のところですが「出資額に関わりなく、社員の議決権は1個のみ」、これも厚生省の健康政策局長の通知の中にあるわけで、下の方に書いてありますが「社員は、社員総会において1個の議決権及び選挙権を有する」と書いてあるわけですが、これも出資額に関係なく、1票だけと、こういうことであります。
更に3つ目として、余剰金の配当を禁止すると、これははっきりと医療法の54条というところで明解に書いてございます。
それから、次のページに行く前に、この辺に関連しまして、ちょっと御参考までに申し上げますと、近年、営利法人が病院の土地、設備等、お医者さんに貸与するという方式で病院経営に間接的に参画しているというケースもかなり出てきているという辺りが1つのヒントになろうかと。
一方、医療機関の経営状態が非常に悪いというのは、皆さん御承知のとおりで、大体病院全体の7割が赤字と。毎年数十件の病院が倒産しているわけでありますので、この辺を考えると、株式会社等の出資額に応じた議決権を容認し、病院のM&Aを促進していって、やはり病院の質を上げていく、あるいは活性化を図るという必要があるのではないかと、そういう意味合いもございます。
次のテーマでございますが、施設介護と在宅介護制度の一本化ということで、いわゆる介護保険の問題でございます。
ここに書いてございますように、現行の介護保険制度では、在宅介護と施設介護(特別養護老人ホーム等)との大きな格差があるということです。
これについては、ちょっと次のページをご覧いただければと思います。
もう御存じのとおりかと思いますが、左側が、いわゆる特養を中心とする国公立の施設です。これは、こういう黒いところにカバーされているように、3つの施設においては、このカバーの仕方が非常に手厚いと。
一方、右側の特定施設とか、グループホーム、これは民間でございます。それから在宅。この3つは、いわゆる在宅介護並みの給付しか行われていないということで、非常に大きな格差があるということが、まず第1でございます。
次に、今、申し上げた事実上の介護施設である民間有料老人ホーム、あるいはケアハウスというのが、今、申し上げように、在宅介護に類似した扱いになっているということで、これについても、次の次のページに数字が出ております。
左の4つの類型が、いわゆる施設介護に当たるもの。それから右側の3つが、いわゆる民間を中心とする施設、そして在宅というふうに大きな格差があるということが2つございます。
それで、ちょっとこの辺が、少し今までと考え方を変えたところだろうと思いますが、いわゆる新規の特別養護老人ホームは、これからは、今までのような集団住宅というよりも、小さな、いわゆる個室をベースにする形態に変えていくというのも方針として決まっているわけでございまして、したがって、これからつくる個室化を前提とした特養については、ホテルコストというものを個人から徴収するというふうにもっていくべきではないかと。
同様の流れで、ホテルコストを設備の償却費用に充てれば、社会福祉法人への、いわゆる施設設設費補助というものを撤廃して、民間施設との対等な競争条件を確保することが可能になると。
それから、介護ケア付き集合住宅を標準として、施設介護と在宅介護を一本化した介護報酬体制の構築をゆくゆくは目指していくべきではないかと。
そういうことでございまして、アクションプランの中では、これも株式会社等による特養ホーム経営の解禁と、こういうテーマに実はなっております。
具体的に言いますと、民間の有料老人ホーム等の民間施設に対しても施設整備等の補助金を適用して、補助金を出すということを、この中では主張してきたわけですが、しかし、近年の急激な給与の額の増大、これは3年度が大体5.5 兆円と、それから25年度になると、この予算が20兆円になるという予測がございます。急激に拡大しているので、それは保険料の大幅なアップを招くことが必至の情勢になってきているということで、当方としても、設備費等の補助金の民間適用による、いわゆるイコール・フッティングという主張に替えて、今後、特養の主流となる、いわゆる小規模単位、個室型の施設においては、ホテルコストとして利用者から徴収をしていくと。
一方で、設備経費の補助というものを全部撤廃してしまうということで、財政の健全化を目指すとともに、官民の競争条件をそういう形で対等にしていくと。別の形のイコール・フッティングを実現すると。そして、ゆくゆくはケア付きの集合住宅を標準として、施設介護と在宅介護を一元化した報酬体系を目指すというふうな形で、若干修正をしております。
4番目のテーマですが、これは異なる経営形態の学校間の対等な競争状況の在り方ということで、資料がございます。
それで、一番上の表でございますけれども、特にちょっと見ていただきたいのは、(1)の「国公立学校と私立学校の数の比較」というところで、特に、大学のところを見ていただきますと、国立が100 、私立が526 ということになっています。
続いて、次のページをごらんいただきますと、国立大学のいわゆる財政支出、これが一兆五千数百億円と。それから、私立に対しては三千五百億円弱という、全部合計の数字が右側にあります。
一方、学生の人数は、財政支出においては、83対17の割合になっているのですが、学生数」で見ますと国立大学が15、私立大学が85ということで、一人当たりコストにすると確然とした差が出てくると、この辺を一つ押さえていきたいと思います。
それから、3ページ目になりますけれども、次のページを見ていただきたいのですが、いわゆるここが総合規制改革会議、我々の3次答申における主張でありまして、これは全く変わっていないと考えていただいて結構でございます。
ア、イ、ウと3つ主張点がございますが、最初は、学校について仮に経営主体が株式会社であるという理由のみで、私学助成金や優遇税制の対象がなされないと、それで授業料が高くなるということであれば、それは教育サービスを受ける学生の立場から見て、法の下の平等性に欠けるという主張が1つ。
それから2番目に、教育に関する公金支出は、公の支配に属する学校法人に対してのみ可能であって、ほかの主体については、当条との関係で慎重な検討が必要であるというふうに文部科学省は、かねてから憲法89条の解釈についてそう言っているわけです。
しかしながら、一方、私立学校振興助成法は、附則の中で盲学校・聾学校・養護学校・幼稚園については、学校法人を目指す当分の間、5年間は学校法人以外にも助成をするということを許容していると。
更に、期限内に学校法人ができなかった場合にも返還されていないというような実例もあるということが、2つ目の主張です。
3番目は、これも非常に大事だと思うのですが、文部科学省は学校法人に対する私学助成は宗教教育に携わる教育の人件費に対しても、実は無条件で行っていると。これは憲法の政教分離規定を逸脱しているのではないかという疑念があると。
例えば、株式会社、NPOに対する助成は憲法違反だと、こう言っているのだけれども、矛盾しているのではないかということが明解に言えるのではないだろうかと考えております。
したがって、少なくとも、特区において株式会社等に対する私学助成、優遇税制の適用を容認して、学校法人等の関係において、競争条件を同一化すべきであると、この辺が我々の主張でございます。
次のページをちょっとご覧いただきたいのですけれども、この法律問題については、いろんな論争がございます。
憲法89条は、先ほどの宗教との関係でも、公金その他公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、または公の支配に属していない慈善、教育もしくは博愛の事業に対して、これを支出し、またはその利用に供してはならないと書いてあるわけです。
この下の方には、いわゆる公の支配とは何ぞやということで、いろいろな文部科学省の解釈、それから別の人の解釈、内閣法制局の解釈等々が出ておりまして、株式会社、NPOによる経営が公の支配に属するか否かということについては、まだ、明解な結論が出ていない。
一方で、先ほど指摘をしたような、いわゆる宗教上の組織または団体というところの使用については許容しているというのは、やはり明らかに矛盾ではないかということで、当方の主張の根拠はありということが言えるのではないかということで、この4番目のテーマについて、今後更に詰めていきたいと思っております。
○宮内議長 ありがとうございました。早速、非常に詳しい御説明をいただきました。
それでは、ただいままでの3つのワーキンググループの方向性を含めまして、御意見、御質問等がございましたら、御自由に御発言いただきたいと思います。
○原委員 原です。市場化テストのワーキンググループ、横断的手法のところに関心を持っておりまして確認をさせていただきたいのですが、この市場化テストは各国ともかなりもうやられているということで、制度的にはかなり確立をしていて、それを日本に持ってきて検討しようという、もう検討が進められているような話もちょっと聞いたりしたものですから、どういう状況かというところと、それから、前回までの報告書を見たとき、パブリック・コメントの在り方の検討も含めて書いてあったのですが、この辺りに大変関心を持っているので、その他の検討課題にも幾つか挙げられていますけれども、その辺りも7月までというのは到底この市場化テストだけになると思いますけれども、検討課題としては、主査はどのように考えてらっしゃるのか、ちょっと確認させていただけたらと思います。
○八代主査 最初の点につきましては、各国ではかなりやられておりますが、必ずしも手法が確立しているというわけではなくて、それぞれの国においてそれぞれのやり方をしておりますし、また個別の事例において進められているわけでして、直ちに日本にそのまま適用できないという面もあるわけです。その意味で日本型の市場化テストの在り方というのを各国の例から応用してみるということを考えているわけで、まだ十分進んでいるとはとても言えない状況でありまして、既に行われているいろんな考え方等を、うまく短期間の間にまとめて、1つの枠組みをつくってみたいということでございます。
パブリック・コメントの在り方については、やや別の問題かなということで、そこは個別のワーキンググループの方で規制改革の手法の在り方を検討するワーキンググループがあると思いますので、そちらの方でお願いすることになるかと思いますが、関連するところはここでも勿論取り上げたいと思います。
○原委員 横断的というネーミングにわざわざしていらしたものですから、パブリック・コメントもこちらかと思いましたので。
○八代主査 横断的というのは、例えば、医療とか、福祉とか、教育とか、異なる分野について横断的にやろうというような考え方でございます。
○黒川委員 2年ぐらい前だったのですけれども、川崎市で中期計画285 ある項目について、私が座長だったのですけれども、全部の仕事についてもし民間でやってくださる人がいたら手を挙げてくださいということで、オープンにしてやったのですが、3,000 以上の問い合わせがあったのですが、一つもやりたいという人がいらっしゃいませんでした。サッチャー政権のときは、コンパルソリー・コンペティティブ・テンダリング、強制競争入札という言葉だったのですが、その後ボランティアに変わったのです。でも、今やっているのは市場化テストということで、まさに市場化テストになっていて、とりあえず行政がやっているサービスについても、私たちがやるとこれだけの費用がかかりますと、これに対して民間側もこれぐらいで私たちもできますよと示すと。お互いに示し合うというところまでは必ずやりましょうというのが、今のイギリスのケースになっていると思うのです。昔は強制競争入札にしていたのですけれども、すごく評判が悪くて、いろいろな意味で評判が悪かったみたいで、それでサッチャーはかなりダメージを受けたということもあったと思うのです。
ともあれ、そういう考え方を川崎市でもやってみようと思って、中期計画で出てくる一個一個の項目について、民間でもプランを出せますかとやったらだめでして、それでは一番出しやすそうな55項目というのだけを拾い上げて、それもインターネットに載せて情報提供したのです。たくさんの民間会社からの問い合わせはあったのですけれども、これもまただめでして、最終的にはもうこちらの方からPFI事業で、この事業についてはどうですかということで、6項目についてだけ出しました。
これは、とても面白いことですけれども、民間の側にまだ心構えができてないと、一生懸命行政の側がセッティングしてもなかなか難しいので、すごい面白いやり方だと思うし、いつでもサービスについて民が関心を持ってうまくやる方法を考えるということでは、必ずお互いに提案を出し合うというのは、とてもいいと思うのですけれども、どうやってやるかという工夫が必要ではないかという気がします。私のケースは、フライングをして失敗したというケースです。
○南場委員 今のことに関連してお聞きしたいのですが、この横断的手法ワーキンググループの中で、手法、手段の導入の検討と、それから非常に重要なことだと思うのですが数値目標の設定というのがあって、加えてその他の検討課題の部分というのが、今のようなもろもろの支障を来す可能性がある部分にどういう手を打つかということだと思うのですが、ここに関しても7月までに一定の方向性を明記するというところまで検討を進める予定でいるという心づもりでいてよろしいのでしょうか。それとも、課題として認識されるのでということで、持ちこすという形でしょうか。
○八代主査 それは進行次第ですけれども、7月までにどこまで方向性を示されるかはやはり難しいわけで、論点整理みたいな形でとどまる部分もあるかと思っております。どちらにしても年末の答申できちんとした方向性を示すということを目的にしておりますので、それ以上細かいことはまだ決まっておりません。
○黒川委員 こういう市場化テストをやるというイメージはわかって、それで数値目標というお話があったのですけれども、とりあえず1割とか、最終目的は5割とか、これはアメリカの事例だと思うのですけれども、例えば日本で市町村まで含めたり、あるいは国で今、使われているお金で、市場化テストにかけるというときに、1割達成しようというと、その予算の項目の事項名の範囲で何個までという感覚になって、全体の数に占める数がパーセントになるようなイメージなのか、全体で使われている金額の中のどれぐらいのものがそれに関わったということになるようなイメージなのか、それとも一番初めにやっていくのはこの筋だと、やはり同じように戦略的に一定のある種の形の支出の仕方について対応するのか、ちょっとこれも戦略が要るのではないかと。私が川崎でやったときは、中期計画に出てきている全部の項目、こんな事業をやるぞと言っていた5か年間で285 やると言っていたのを全部入れてしまったのですが、余りにもそれですら大き過ぎて動きが取れなかったし、ものすごく関心を持っている民間の事業者もたくさんいると思うのですけれども、こういうのが全国でどっと出ると、もうどれにどう対応したらいいかわからないぐらい、民間側で入札するのも対応ができないと思いますけれども、徐々に事業者の側が入札に慣れてくるような環境をつくらないと、このシステムに慣れるのがすごく難しいのではないかと思うのです。
とは言え、すごく関心が強く、事務局が大変になるぐらい問い合わせがあったということも聞いています。
○南場委員 なぜ最終的に川崎市の場合は一つもまとまらなかったというか、問い合わせで終わったのでしょうか。
○黒川委員 ですから、最終的に自分でやるというけれども、補助金はもらえるのかとか、つまりその仕事を自分たちでやるというときの制度が、こちらの規制改革会議の中でやってきたような、個別の基本的なところがまだ崩されてなかったので、私たちだったらどんふうにやるぞというプログラム型の、コンペ型の提案というのに慣れていなかったというのが一番大きいと思います。
補助金付きの入札とか、PFIの形になるのかとか、どの制度についても現行の制度があって、それとの関わりがどうなるのかということが一番大きかったと思います。補助が付かないで私たちがやると損をすると。できたら補助をもらってやりたいと民間のサイドも思われたというのが大きかったと思います。
○志太委員 私ども産業界では、産学連携という言葉があるように、その両方をお見合いさせていろいろなアドバイスをするということをしているのです。あれは、結構成功していると思うのですけれども、そういうところまで手を差し伸べるということはしたのですか。それはあり得ないのですか。
○黒川委員 方法としては十分あり得るかもしれないです。どういう体制で官民が対等に事業をやるという可能性があるのかということに関して、それを的確に理解してもらうように情報提供するのは相当難しい感じがします。
○志太委員 産学連携というのは、そういう両方の希望する方々を集めて、いろんなミーティングをするのです。それを繰り返すのです。そして、だんだん絞っていて、それではこことここは結婚してくださいということをやるわけですけれども、そういう方法も取れるのではないかと思いますけれども、ドイツとかフランスとかはそういう制度があると聞いています。
○黒川委員 何となく今のは入札の感覚だけに、費用が安くなるイメージは成り立たないよりは成り立つと思うのですけれども、エフィシェントにできたかどうかということに関しては、なかなか難しい感じがします。それをうまく担保ができればいいと思います。
○八代主査 これは、民間で同じようなことがやられていると、それだけ比較がしやすいわけです。一番具体的な例は、認可保育園の経営であって、これは厚生労働省が既に認可基準というのを明確に定めているわけですから、それを満たした保育所であれば、公立であろうが、私立であろうか、基本的にアウトプットは同じと考えられます。そうすると、コストの比較が明確になるわけです。ただ、民間に今、全然存在しないような、官だけしかやってないようなものを競争入札にかけるとしたときの、民間側にとっての不確実性というのは非常に大きいわけで、それはケース・バイ・ケースで考えていかなければいけないのではないかと思っております。
○志太委員 産学連携のやり方は、片方は特許みたいなものです。ですから、全然値段はないわけで、それをお互いに見合いさせて、間に人が入って、推進する人たちがいると、両方でいろいろ直接話をさせて、入札なんて一切ないのです。そうしていってまとめていくという形ですね。そういう方法にすれば、もうちょっと理解されていくのではないかという感じはするのです。
○宮内議長 ただいまの問題は、3か年計画では、平成16年度中に市場化テストの導入について調査研究を行うということになっているわけでして、それに基づきまして私のペーパーの5枚目のところにイメージ図としてつくりましたので、結局この3か年計画の前倒しということで、本年度中にガイドラインの策定、官民間の競争条件の監視機能、各府省のモデル事業選定などというところまでいって、先ほどの諮問会議の民間議員の御提言にもございましたように、来年度、すなわち平成17年度中にモデル事業を選んで、それをやってみるというところまで是非やりたい。やったらどうだというふうな御提言。そして、できればこの当会議の3年度、最後の年には全面的に制度として、国としてやると。そして、おそらくその次は地方自治体というイメージ、皆様方にまた御議論いただきたいわけでございますけれども、そういうことで政府の3か年計画との関連性、前倒しという意味合いで、タイミングなどを入れているという案件だということでございます。
○草刈主査 今の市場化テストの件で、これはまさにイメージ図ということで、なるほどと思ってずっと読んでいたのですけれども、例えば一番左に書いてある各省庁、あるいは独立行政法人のやっているものを、民間でやったらどういうふうになるのという、何か競争入札をすると。それはそれで大変いいのですけれども、アメリカとかイギリスではそういうことはないと思うのだけれども、いわゆる官の規制で生きている日本の中で言うと、その独立行政法人を、俺がやりたいといって手を挙げると、お前変なことをするなみたいなプレッシャーがかかって、変なことにならないかと、この心配が若干あるのかなという気がしたのですが、その辺の配慮はやはり必要なのかなという気はするのですけれども、
かなりそういうのは、案件によってはあると思います。その辺のことも考えなければいけないのではないかと思ったのですけれども。
○八代主査 今おっしゃったのは、かなり重要な点です。よく日本では、江戸の敵を長崎で討つという形で、どういう不利益が高じるかわからないという不安が企業にあるわけでして、ですからそれを防ぐためには徹底した情報公開という形でやるのが防衛策だと思います。特区におきましても、例えば特区で事実上既存の規制を抜く場合に、同じような心配があったわけで、それについてはもうとにかく選定基準から何からすべて公開するというやり方を取っておりますので、それをある程度応用するような形で、情報公開が一つの武器になるというようなイメージを持っております。
神田委員に是非お聞きしたいのですが、先ほど草刈主査が御説明になった資料の3ページで、医療法人の経営方式の在り方ということがあるのですが、商法に明確に決められた個人とか企業の財産権というものを一課長や一局長が通知で、それと矛盾することを指導することは商法違反にならないのでしょうか。
○神田委員 安念先生や福井先生の方がお詳しいと思いますけれども、例として、資料の1番目「株式会社は医療法人に出資はできるが経営に参画できず」について言いますと、商法の問題というよりも、これは当時解釈を示したということで、法律上は恐らく医療法とかには何の規定もないはずです。どういう文脈か私は存じ上げませんけれども、当時こういう解釈を示したということですから、勿論違う解釈も当然可能だということだとは思います。
こういう問題は多数あると思います。最後の憲法の話も似ているのだと思います。憲法の場合と普通の法律の場合と多少重みは違いますけれども、いずれにしても解釈には幅があると、中立的に言えばそういうことですね。
もう一つは、何か具体的な文脈のもとで役所が解釈をあるいは役所の課長が解釈を示すということ自体は別に悪いことではないし、また必要な場合もあると思うのですけれども、何かそれが非常に決定的な意味を持ってしまうということの方に、むしろ今日で言えば問題があるのではないでしょうか。
おそらくこういう解釈を示したのは、ある文脈があって、ある照会があって、それに対応するための解釈だったと思います。今、我々が議論している話というのは、表現はともかく、もう少し大きな話をしているのであって、制度自体をどういうふうに考えたらいいのか、場合によっては法改正も含めて世の中を変えていきましょうという議論をしているわけですから、そうだとすれば解釈に幅があるとすれば、むしろそういう前向きの議論に整合的な解釈を取るべきであるというふうに言えると思うのです。
そういう観点で考えれば、特定の文脈で課長がおっしゃったこと、それはそれとして事実として存在するものの、それに我々が縛られる必要はないし、また厚生労働省と議論するときにも、お互いそれに縛られないで議論しようという形で物事は進められるべきです。最後は私の感想ですけれども、そういうふうに思います。
○志太委員 この官業民営化ということですが、いろいろな数字を調べてもなかなか出てこないのですけれども、これはそもそもマーケットとしては、どれぐらいあるものなのですか。
○八代主査 前に内閣府が調べたときには、日本のGDPのたしか4割ぐらいが政府の何らかの形の規制を受けている分野であるというような分析があったのは覚えておりますが、どれぐらいがと言われた場合は、それしかないと思います。
○志太委員 そういう数字があるともっと我々が前へ動きやすいような気がするのです。いろいろ項目があります。あの中で調べたのでは6,000 億円ぐらいのことが出ていました、しかしそれはまだ3割ぐらい実行されてないのだと、それでそうなのだと、それに含まれるものがあるだろうというようなデータしか出ていなかったのですが、そこのところをもっと、どういう機関かわかりませんが、出していただけるとやりやすいのではないかと思います。
○宮内議長 草刈主査のペーパーについて御質問させていただきたいのですけれども、1ページ目のあるべき姿という、保険外診療の概念というものと、次のページの今後の方向性の一番下の新技術の黒く塗りつぶしている新たな技術サービスという場面、このページで見る限り特定承認保険医療機関という、ある機関を特定し、新たな技術サービスの自由な、言うなれば現場の創意工夫の部分ということで、範囲がちょっと違うような感じもするのですけれども、どちらを草刈主査としてはお考えになっておられるのでしょうか。
○草刈主査 いわゆる混合診療というと、非常に概念的に不明解な部分もあるので、この右側の例で言えば、特定承認医療機関と、これはやはり厚労省が指定をすべきであろうといったような技術水準というのは認定してやるべきだろうと。ただ、そこで持っている技術というものについては、それぞれの病院なり現機関が工夫をして進化をさせると。そういう向上する技術をどういうふうに適用するか、あるいは技術については厚労省には、こういった左のような形で一個一個の技術を指定して認定するということはやめようと、そのようなもっていき方をしようという理解で私はいるのです。
そういうことでいけば、いわゆる混合診療といって、何でもかんでも混合をOKにしろというよりも、到達しやすいターゲットになっていくというふうなアプローチの方が、実現性が高いという理解を私はしたのですけれども。
○宮内議長 今おっしゃったのは、前身の会議のときに主張した考え方を踏襲されたお考えだと。
○草刈主査 全く同じだと思います。ここは考え方、あるいは攻め方を変えたということではないと思います。
○黒川委員 草刈主査が説明された最後の4つ目の○の私立学校と独立行政法人になる大学との間の補助金に関するイコール・フッティングの話があったのですけれども、これも4、5年前になると思うのですが、これは大学から結局は拒否されたのかもしれませんけれども、私大連というところで委員会をつくって、つまり補助金の問題というのは、大学の場合機関補助にすべきなのか、それとも個人への補助になるべきなのかという議論で、同じ金額を全部機関補助ではなくて、クーポンのような形で学生に補助するというシステムにした場合どうかということで、それを私立大学の場合だけ、ちょうど当時2,800 億円ぐらいを授業料の所得控除という形で、それを申告所得のときに持っていくと、つまりその一定水準まで控除されるというシステムで配分した方がいいのではないかという提案をしました。私大連はOKだったのですが、私大協というのがありまして、そちらの方で拒否されまして、どういう理由で拒否されたかわからなかったので、その案も苦労して2年もかけてつくったのにつぶれてしまいましたが、いつもこの議論をするときに話題になるのは、機関補助にするよりは個人に補助をした方がいいのではないかという議論があって、是非この議論をするときに、同じ組織同士のイコール・フッティングの話よりは、一人ひとりの学生たちに、あるいは世帯に補助が行くような形で考えてもいいのではないかという気がします。
○草刈主査 この話は、一筋縄ではいかないようないろいろな話だと思うのです。今、先生おっしゃったような、いわゆる対象を機関で限定しないで、もっと個人に還元させるというのも一つの方法論としてはあるのだと思いますので、皆さんの御意見をいろいろ伺いながら、もうちょっと厚みのある議論、あるいは論理構成をしないといけないと思います。
○志太委員 この中で医療の問題が非常に多くあるのですが、医者の方々の話を聞きますと、一番問題はこれなのだということを言われるのですが、要するに、有名な大学の名誉教授が診療しても、免許証取りたての人と値段は同じなのだと、やはりそういう高度の人を入れるということはなかなかできないのだと、だからそこのところを今の時代に、その濃度によって料金が変わるということを考えてもらうと、より医療は進むのだけどなということを言っている医者の方がいたのですけれども、そういうものはこの17の後のところには入っているのですか。
○八代主査 今、言われたのが、まさしく混合診療の応用であります。混合診療の考え方というのは、国が定めました基礎的な医療については保険診療を適用するが、それが、今、志太委員がおっしゃった例であれば、成りたてのお医者さんの技術というのを考えますと、ベテランのお医者さんが高度な技術を使ってやったというものについては、その部分を混合診療の対象にするという考え方も当然あるわけです。
ですから、先ほど草刈委員がおっしゃった技術ということですが、この技術の中身には、例えば個人個人のお医者さんの技術の違いというのも、概念的には含まれるという解釈もありえるのではありません。お医者さんというのは弁護士と同じように、高度の専門的なサービスを提供されるわけですから、当然質の差がある。ただ、今の保険診療でそれを個別に判断するというのは非常に難しいので、それを混合診療部分で、上乗せ部分で判断するというやり方もここには含まれると私は考えております。
○志太委員 含まれているのですか、それはいいですね。ありがとうございました。
○宮内議長 今の件は、既にこの3か年計画に、いわゆる出来高払いから包括払いというふうに診療報酬を変えるべきだと、これは随分長い間議論してきたことでありますけれども、ここに一応取り上げられております。ですから、非常に医療全体の中の太いテーマとして、まだ解決しないままでまだ残っていると。それは保険医療であってもそうであるということですから、保険外になりますとその部分は今のお話のようなことになると思いますけれども、一番ベースのところが出来高払いという形のものになってしまっているということです。
○原委員 細かなことで恐縮ですが、資料3の草刈さんの方で主査をおやりになるものの5ページ、施設介護と在宅介護の制度一元化の話が出ていて、この表がちょっと気になるところがありまして、この特定施設のところの下に「上乗せの介護サービス」というのが書かれています。この上乗せ介護サービスというのが、どういうものを指すのかということですが、これも先ほど課長通達の話が出ておりましたけれども、介護保険が導入されたときの当時の課長が通達を出した中に、労基52号と呼ばれているものですけれども、上乗せ介護サービスについての解釈があって、2つ理由があって、ちゃんとした根拠を明示できるということと、それから人員配置が手厚いこと、その介護職員がです。ところが、有料老人ホームではこの後者の人員配置が手厚いというところだけを取って、こういう上乗せ介護サービスを提供しているとして、費用をちょっと徴収したりというところが見られて、どうも非常にあいまいな状況にあって、それで今回公正取引委員会の方で不当表示というところで、有料老人ホームの表示が入りまして、この辺りはきちんと合理的な算定根拠を明示しないと表示はできないといたしますので、この10月から告示ということになりますので、そういった公正取引委員会の動きとも合わせて、それからこの上乗せが、当時ともかく混乱を避けるための課長通達だったというところにすぎないところもあるので、丁寧に見ていただけたらと思っております。
○草刈主査 その辺、またこれもそれだけではなくて、いろいろなところで、あれというところがたくさんございますので、是非また原委員のお力も借りて、いろいろ深堀りしなければいけないと思っておりますが、とりあえずの形だけ今日はお示ししました。介護の問題は、4年前の2000年に介護保険が入ってからまだ、ちょうどわっと走って、これからどうなってしまうのだというところに来ているわけで、やはりそれの今までのやり方のいろいろな矛盾点も随分出てきています。ですから、そういう辺りをしっかりと見据えて、ここで言っているいわゆる設備費を民間にもよこせというのが最初の主張だったわけだけれども、どうもそれをやっていくとどんどん財政的な負担が増えてしまう。だから、そういう形ではない形で民間がもっとサービスを充実させる方向で、それはやはり老人ホームそのものが足らないわけですから、それをもっと民間に開放するために、同じような競争条件であれば、多分民間の方ができるだろうと。ここで言っているのはここだけのことです。
ですけれども、おっしゃるようにいろいろなところで矛盾している部分が、見ているとたくさんあるものですから、またいろいろ教えていただきたいと思っています。
○原委員 私も民間でどんどんやっていける分野だというふうに考えているのですけれども、やはりそのためには、消費者が支払う費用とかがきちんと明確化された形で出ていないと、結果として民間がこういう分野をやったにしても信用をなくすみたいなことになるので、そういう意味でしっかりルールを決めていただきたいと思っています。
○八代主査 今の民間の有料老人ホームが、私は一つの理想的な民間の施設介護の在り方とは、個人的には全く思っておりません。つまりあれははっきり言って住居権の保障が極めてあいまいで、現に寝たきりになったら追い出されるようなケースもあります。ですからここで標準ケースと考えております介護ケア付き住宅というのは、当然ながら賃貸であろうが、分譲であろうが、居住権がきちっと保障されている普通の住宅であって、そこに介護ケアサービスが在宅のような形で付いてくるものだと。
ですから、今の有料老人ホームの形態は似て非なるものであるというイメージであります。
○安念教授 先ほどから六法を見ていたのですが、先ほどの医療法人で社員の議決権が1個しかないというのは、あれはうそです。うそですというのは、民法上の公益法人たる社団法人の場合は、民法の規定で、議決権は平等なるものとするのですが、定款で別段の定めをすれば、差別をすることができるのです。つまり出資額が多い社員については、多い議決権とすることができるのです。
医療法を見ると、社団法人たる医療法人については、その民法の規定が準用されているのです。つまり定款で別段の定めをすれば、社員の間の議決権に差別を設けることができるのです。ところが、これを拝見すると、どうやらこれは法律の解釈を言っているのでなくて、定款例というのを示して、議決権は平等だという定款しかつくってはいかぬという事実上の指導をしているのだと私は推測するのです。
神田先生のおっしゃるとおり、ここで細かい解釈論をしたってしようがないのであって、建設的な議論をするべきなのだが、私の申し上げたいのは、これは典型的な役人の手口だということです。法律では幾らでも選択肢のあるものを、これしかできないのだといって、法務の方でもう確定してしまうわけですよ。こんなことばっかり考えているわけだから、だから我々のこれからの仕事がいかに困難であるかということを、既にもうこの段階で示してしまうという感想を申し上げているだけですが、わかったことですが、この業界はこういうものでしょう。そういうことでございます。
○宮内議長 専門委員として、その他の部分にわたりまして、何か御感想ございましたらどうぞ。
○安念教授 また同じことをやるのかなというのが率直な感想で、つまりさっきの各主査のおっしゃることが、もう正しいことは明明白白、明明白白なのをまたずっとやってきたわけですね。もうずっとけんかして、こっちもはっきり言って手がないですね。こっちは民営化しろと、自由化がいいに決まっているのだとわかりきったことを言っているわけですが、向こうはそうじゃなくて、これは議長も御存じだし、八代主査も御存じだと思いますが、例えば一例として、最低売却価額、あんなものあったってしようがないとずっと言っていたわけです。札が入らなければ下げるのですから、そんなものどっちみち売れる値段でしか売れないのだから、最低売却価額なんかあったってしようがないのだけれども、それがどういうわけだか知らないが法務省は必ず、あれがないと債務者の保護にならぬと言うのです。あったってなくたって売れる値段でしか売れないのですから意味ないのだけれども、あれは本当に信じているのではないですか。意味があると信じているのではないかと思うのです。そうとなると、信じている人に何を言ってもしようがないので、あれはもう一種の宗教です。そういうのが非常にある。だから、学校だって民営化するとだめだとか、老人ホームもだめだ、保育園もとにかく台所がないと教育にならぬとか、そういう信仰がある。その信仰をどうやって打ち破ればいいのかは、率直に言ってもう手がないという感じです。私、ほとほと困却しているというのが率直な印象でございます。
○宮内議長 安念先生にそんなこと言われたら困るのでありまして、これからやるのでございますから、めげずに御協力をいただいて。
○安念教授 勿論、めげずにやります。
○南場委員 黒川委員のお話にもあったのですが、この教育の問題と介護の問題、両方そうだと思うのですけれども、補助金や助成金の話をする場合に、やはり私がいつも違和感を覚えるのが、供給側に対する補助金や助成金というものの限界というものがあって、マーケットメカニズムが本当に働きにくい状況はそこにあると思うので、思い切って需要側、ユーザー側、国民側、利用者側にバウチャーを発行するというやり方を、会議の仮説の中に入れていただけたらと思います。
あとは、この主要官製市場改革ワーキンググループの部分に関して、この4つに絞られたという点は私も非常に大賛成でありまして、これを何とか拡散しない方向で進めていければなと感じております。
この中で一番突破が難しいのは、どれでしょうか。
○宮内議長 今までの制度的な問題で言うとどうでしょう。やはり医療、結局一番難しい問題がずっと残ってきているのです。それから、その先に何があるかというと、おそらくこの市場化テスト等で出てくる、官業そのものです。これはまさに行政改革につながるもので、また山の向こうのまた山が見えてきたみたいな感じはするわけですから、その辺りになるともっと難しいということがあり得るかもしれないと思います。
○南場委員 その場合、これまで繰り返してきた議論をまた同じように繰り返すべきなのか、もしかしたらそこに絞って突破する方向も必要になってくる可能性はどうでしょうか。
○宮内議長 それはまた皆様方と議論をしたいと思いますけれども、実はこれもこんなところで申し上げていいかどうかわかりませんが、同じことを何度も何度も言うことが必要なのだろうなと、1回では動かない。ですから、安念さんもあきらめずにやっていただくと。
○安念教授 手を変え品を変えということですね。
○宮内議長 だから、正論を1回言ったから、もうあれはちゃんと言ってあるよというのはだめなのです。ほとんど意味がないわけです。
橋本先生、どうぞ。
○橋本教授 私は法律が専門ですから、法制度とか、仕組みだとか、それの支える理念とか、そういうところからフレッシュに議論していけば、結局固い分野というのは、なるほど固いのだろうなという直観的な印象はありますけれども、そういうところも変わりつつあるのではなないかという気もいたしますし、私なりに努力させていただきたいと思います。
○宮内議長 それでは、これから官製市場民間開放委員会の下にワーキンググループに分けまして、具体的な作業に入っていただくということで、大体今日は雰囲気をそれなりに出していただきましたので、今後の作業に大変プラスになると思われます。
いずれにいたしましても、7月というのは中間的な目標でございますので、それに向けましてお忙しい中でございますが、是非御協力をお願い申し上げたいと思います。
それでは、事務局から何かございましたら。
○宮川参事官 特にございません。
○宮内議長 特によろしゅうございましょうか。それでは、以上をもちまして、本日の会合を終わらせていただきます。ありがとうございました。
以上(文責 規制改革・民間開放推進室)