第1章 調査研究の概要(2)

2. 本調査研究の手法・実施内容、本報告書の構成

本事業は以下の手順で作業を進めた。

なお、本報告書の第2~6章の構成は、以下の手順に沿ったものとなっている。

(1) 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況の調査:

我が国における子供の貧困に関する指標を検討するに当たって、諸外国において用いられている子供の貧困に関する指標の選定基準・体系を参考にすることが望ましいと考えた。

そこで、内閣府が平成27年度に実施した「諸外国における子供の貧困対策に関する調査研究」の内容を基に改めて諸外国の状況を調査し、諸外国における子供の貧困に関する指標の状況を整理することとした。具体的には、子供の貧困に関する指標の開発の変遷についてまとめられた英語文献、日本語文献を基に貧困に関する指標の選定基準、体系や諸外国等における貧困に関する指標の開発状況を整理した。

(2) 日本の子供の貧困に関する先行研究の収集・分析:

子供の貧困の状況は、その国の社会制度、慣習等の社会的要因に大きく左右されると考えられることから、我が国の子供・世帯を調査対象とした先行研究を中心に整理する必要があると考えた。

そこで、子供の貧困について、日本の子供・世帯を調査対象とした先行研究を把握するため、大綱の施策に関連性のあるキーワードを基に文献検索や、収集した文献の参考文献を確認するなどして、幅広く先行研究を収集した。

収集した先行研究は1使用されている統計調査(データ)が統計学的に信頼性の高いものであるか、2使用されている分析方法が信頼性の高いものであるかの2つの視点から評価をした。また、複数の先行研究で同じ結果が得られている場合は、その結果はより信頼性が高いものとして評価をした。

評価の結果、信頼性が高く、新たな指標を検討するうえで参考になると考えられる先行研究の内容を要約してまとめた。

(3) 指標の体系化と現行指標の課題を整理:

法や大綱から子供の貧困対策の目標について分類整理をし、諸外国における子供の貧困に関する指標の体系と日本の子供の貧困に関する先行研究の収集・分析結果を踏まえ、それぞれの目標について把握すべき状況(指標の分野)を設定した。

目標について把握すべき状況に対し、現行の25指標を整理することにより体系化を試みるとともに、現行指標の特徴及び課題を整理した。

(4) 現行指標に追加すべき新たな指標の検討:

指標の体系化と現行指標の課題の整理の結果を踏まえて、現行指標に追加すべき新たな指標候補を検討し、その例を挙げた。具体的には、日本の子供の貧困に関する先行研究の収集・分析の結果、子供の貧困との関係が確からしいと評価された具体的な状況に対して、定期的に実施されている政府統計から適当と考えられる調査項目を収集した。さらに、各政府統計の特徴や国による関連施策との関連性を踏まえた上で、指標として用いることが適当であるか検討し、絞り込みを行った。

なお、新たな指標の例に関しては、子供の貧困に関する指標として適切であると考えられる理由、関連があると考えられる国の施策、子供の貧困に関する指標として子供の貧困の実態把握や政策効果の検証などに活用する場合に考慮すべき点をそれぞれ整理し、数値の経年変化も示した。

(5) 物質的はく奪指標に関する検討:

平成27年度の「諸外国における子供の貧困対策に関する調査研究」及び「(1)諸外国における子供の貧困に関する指標の状況の調査」において、EU諸国を中心に物質的はく奪指標が他の貧困に関する指標と併用されている例が多いことが明らかになった。我が国において、物質的はく奪指標の導入の是非を検討するに当たっては、EUにおける物質的はく奪指標を構成する項目や作成方法、物質的はく奪指標の活用状況に関して調査を行い内容を整理する必要がある。

このため、1物質的はく奪指標の基本的概念と諸外国・国内における活用状況の調査、2EUにおける物質的はく奪指標作成手順の調査、3課題の整理及び今後の進め方の検討を行った。また、12の調査を通じて、物質的はく奪指標を構成する項目はその国・地域の社会的、文化的背景を踏まえたものである必要があり、欧州の項目をそのまま適用するのは難しいことが明らかとなった。このため、仮に日本において物質的はく奪指標を作成する場合に参考となるよう、はく奪指標を構成する項目のたたき台を整理した。