第2章 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況(2)

2. 健康、教育等様々な分野の指標を設定するアプローチを用いた貧困に関する指標の設定状況

日本においては、相対的貧困率のみならず、25の指標で多面的に子供の貧困を捉えているところである。これは健康、教育等様々な分野の指標を設定するアプローチに当てはまると言える。よってこのアプローチを用いた貧困に関する指標の設定状況をより詳細に概観し、その選定基準や分類方法を参考にすることとする。

指標の内容から、子供の貧困に関する指標(子供の貧困に着目した指標)、人口全体の貧困に関する指標(大人も含む貧困に着目した指標)、子供のウェル・ビーイング指標(より子供のウェル・ビーイングに着目した指標)、人口全体のウェル・ビーイング指標(大人も含むウェル・ビーイングに着目した指標)の順に概観していく48

48貧困と社会的排除は異なる概念であるが、密接に関係しており、EU、フランス、ドイツでは貧困と社会的排除の両方を捉える指標を設定している。EUにおいて社会的排除とは、貧困、基本的な能力の欠如、生涯にわたる学習の機会の不足又は差別によって、特定の個人又は集団が社会の周縁に追いやられ、社会参加から阻外されてしまうのに至るプロセスを指すとしている。したがって、社会的排除を測る指標は、貧困を測る指標に含まれるものとして整理した。(European Union Council (2004). Joint report by the Comission and the Council on social inclusion.