第2章 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況(2.1.2)

2. 健康、教育等様々な分野の指標を設定するアプローチを用いた貧困に関する指標の設定状況

2.1. 子供の貧困に関する指標

2 イギリス労働年金省 2012年「より良い子供の貧困指標作成のための検討報告書 (Measuring Child Poverty: A consultation on better measures of child poverty)」70

イギリスでは、労働年金省と教育省が協働して、より良い子供の貧困指標作成のための検討会を設け、2012年に報告書「より良い子供の貧困指標作成のための検討報告書(Measuring Child Poverty: A consultation on better measures of child poverty)」として取りまとめている。

報告書では、8つの分野を設定し、各分野について子供の貧困との関連や先行研究の内容を紹介している。子供の貧困の状況を把握するという目的と子供たちのライフチャンスを確保する71 という目的に対して各分野がなぜ重要であるかを説明しているものであり、新たな指標とその測定方法について具体的に示しているものではない。今後新たな調査が必要となるものも含めて、どのような指標を設定すれば子供の貧困をより正しく捉えることができるかを検討している。また、これら8分野の指標にウェイトを付け集約した複合指標を作りたいという意向も述べられている。

2013年、政府による政策の実施状況を独立して監視評価する機関である社会移動及び子供の貧困委員会からこの報告書に対する意見書(「より良い子供の貧困指標作成のための検討報告書に対する返答(Response to “Measuring Child Poverty: A consultation on better measures of child poverty”)」)72 が発表され、現物給付が反映される指標が必要であること、貧困の深度を捉える指標を検討すべきこと等が指摘されている73

図表2-4 イギリス「より良い子供の貧困指標作成のための検討報告書」における指標の選定基準
指標の選定基準
1 貧困の多様な側面を経験しながら成長しているイギリスの子供の全数を、経年で追跡できること
2 どの属性の子供が最も支援を必要としているかがわかるよう、子供の貧困の深刻度を示すこと
3 貧困が属性の異なる子供たち(例えば少数民族の子供や障害児など)にどのように影響を与えるかを示すこと
4 貧困の状況にある子供やそうでない子供の状況を偏りなく表しており、一般市民にも専門家にも広く受け入れられるものであること
5 入手可能なもののうち、統計的に頑強であり、最も良い統計データを用いること
図表2-5 イギリス「より良い子供の貧困指標作成のための検討報告書」における指標の分類
指標の分類
1 世帯の所得及び子供の物質的はく奪
2 世帯の非就業
3 処理できないほどの世帯の負債
4 貧しい居住環境
5 親の養育スキルの水準
6 質の高い教育へのアクセス
7 家族の安定性
8 親の健康

70前掲43

71ライフチャンスの定義:前掲60

72Social Mobility and Child Poverty Commission (2013) Response to “Measuring Child Poverty: A consultation on better measures of child poverty.”
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/185682/Measuring_Child_Poverty_Consultation_-_Social_Mobility_and_Child_Poverty_Commission_Response.FINAL.pdf

73本報告書をもとに、イギリスで新たな子供の貧困指標を開発したという情報は、まだない。