第2章 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況(2.2.3)
2. 健康、教育等様々な分野の指標を設定するアプローチを用いた貧困に関する指標の設定状況
2.2. 人口全体の貧困に関する指標
③EU「社会的包摂関連指標(Social Inclusion Portofolio)(旧ラーケン指標)」114
EUでは、2011年以来、社会的保護委員会とその作業部会である指標作業部会が、社会保障(年金、医療・保健、介護)及び社会的包摂の分野における指標を開発してきた。これらの指標の目的は、欧州2020の目標達成115 に向け、EU加盟国と欧州委員会が共同で、合意した社会的保護と社会的包摂のための一連の取組の進捗状況をモニタリングすることである。
これらの指標は、2001年12月のベルギー、ラーケンで開催された欧州理事会116 において承認を受け、通称「ラーケン指標」(図2-11)と呼ばれるものから始まった。この当時は社会的包摂に関する18項目に限られたものであったが、2001/02年度に年金関連の項目を、2004年には医療・保健、介護関連の項目が追加された。指標は改定が重ねられ、2017年3月時点では2015年改訂版が最新となっている。2015年改訂版の報告書では、包括指標117 、社会的包摂関連指標、年金関連指標、医療・保健・介護関連指標の4分野に体系化して掲載されている。
この中で、社会的包摂関連指標は貧困と社会的排除対策のモニタリングに特化した指標であり、主要指標13項目、二次指標14項目、背景情報15項目が定められている。具体的な指標項目を俯瞰すると、所得、雇用、住居、健康、教育などの分類にわたって作成されていることがわかる。
図表2-11 EU「ラーケン指標(2001)」の項目一覧
ジニ係数、長期失業者比率、超長期失業率を除き、ラーケン指標(2001)は社会的包摂関連指標(2015)に引き継がれている。引き継がれた指標の算出方法は図表2-12を参照。
指標の分類 | 指標項目 |
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①主要指標 (10項目) |
|
①二次指標 (8項目) |
指標の分類 | 具体的な指標項目122 | ||
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①主要指標 (13項目) |
貧困のリスクにある者の割合(相対的貧困率) | 等価可処分所得が中央値の60%(貧困線)未満である世帯に暮らす者の割合 補完的に、単身世帯及び子供2人と成人2人によって構成される世帯についても貧困線123 を算出 |
年齢階級別(17歳以下、18-64歳、65歳以上)、性別(18歳以上) |
慢性的に貧困のリスクにある者の割合 | 当該年とそれ以前の3年間のうち、2年以上にわたって等価可処分所得が貧困線以下であった者の全人口に占める割合 | 同上 | |
貧困ギャップ率 | 貧困線124 の値と貧困線未満の世帯の等価可処分所得の中央値の差の貧困線の値に占める割合 | 同上 | |
長期失業率 | 15歳以上の生産年齢人口に占める12ヶ月以上失業状態にある者の割合 | 性別 | |
(準)非就業者世帯(就業密度が非常に低い)に暮らす者の割合 | 0~59歳の者で、就業密度が非常に低い世帯125 に暮らす者の割合 | 年齢階級別(17歳以下、18-59歳)別、性別 | |
早期退学者 | 18~24歳人口に占める最終学歴が前期中等教育以下126 で、調査までの4週間の間に教育あるいは職業訓練を受けなかった者 | 性別 | |
移民の雇用格差 | 非移民と移民の就労率の差。「移民」とは海外で生まれた者とする。 | 性別 | |
物質的はく奪指標 | 「家賃や公共料金の支払」「適切な暖房設備」「予期せぬ出費」「一日おきの肉や魚などのたんぱく質の摂取」「年に一度の1週間の休暇(自宅以外)」「自家用車」「洗濯機」「カラーテレビ」「電話(携帯電話を含む)」の9項目のうち3項目以上についてまかなえない世帯に暮らしている者の割合 | 年齢階級別(17歳以下、18-59歳)、性別、貧困のリスクにあるかないか別127 、都市化の度合別128 、活動状況別129 、世帯類型別130 | |
住居指標 | (更なる検討が必要である131 ) | ||
必要な診療サービスを受けられない人の割合及び診療利用頻度 | 費用、待ち時間、距離のいずれかの理由により必要な医療サービスを受けられないと自己申告した者の割合。また、「診療利用頻度」は過去1年間で医者を訪問した回数132 | 年齢階級別(18-44歳、45-54歳、55-64歳、65歳以上、75歳以上、18-64歳)、所得階層別 | |
子供のウェル・ビーイング指標 | 開発中133 | ||
社会移転制度の効果 | 社会移転前134 と社会移転後の貧困のリスクにある者の割合の差 | ||
貧困のリスクにある有業者の割合 | 活動状況が「就業者」135 であり、貧困のリスクにある者136 の割合 | フルタイム・パートタイム別 | |
②二次指標 (14項目) |
世帯類型別貧困のリスクにある者の割合 | 以下の世帯類型別に算出した貧困のリスクにある者の割合137 1)扶養する子供がいない世帯 ・65歳未満の単身世帯 ・65歳以上の単身世帯 ・女性の単身世帯 ・男性の単身世帯 ・最低1名が65歳以上である2人世帯 ・2人とも65歳未満の2人世帯 ・扶養する子供がいない3人以上の世帯 2)扶養する子供がいる世帯 ・扶養する子供が1人以上いるひとり親世帯 ・扶養する子供1人と成人2人の世帯 ・扶養する子供2人と成人2人の世帯 ・扶養する子供3人以上と成人2人の世帯 ・扶養する子供複数人138 と成人3人以上の世帯 |
|
世帯の就業密度階級別貧困のリスクにある者の割合 | 就業密度階級別139 ,140 の貧困のリスクにある者の割合141 | 性別(18歳以上)、年齢階級別(0-17歳、0-5歳、6-11歳、12-17歳、18-64歳、65歳以上) | |
活動状況別貧困のリスクにある者の割合 | 活動状況別の18歳以上人口に占める貧困のリスクにある者142 の比率。活動状況は、個人が暦年のうち7か月以上143 行っていた活動を指し144 、1)就業者, 2)失業者, 3)退職した者, 4)その他の非活動者に分類する。 | 性別(18歳以上) | |
住宅所有状況別貧困のリスクにある者の割合 | 以下の住宅所有状況別の全人口に占める貧困のリスクにある者145 の割合 1. 住宅所有者又は無償での賃貸住宅居住者 2. (有償での)賃貸住宅居住者 |
性別(18歳以上)、年齢階級別(0-17歳, 18-64歳, 65歳以上) | |
貧困線周辺の貧困のリスクの分散 | 居住国の等価可処分所得の中央値の40%、50%、70%のそれぞれを貧困線とし、所得がこれらの貧困線未満である世帯に暮らす者の割合 | 性別(18歳以上)、年齢階級別(0-17歳, 18-64歳, 65歳以上) | |
有業者世帯に暮らす貧困のリスクにある子供の割合 | 有業者世帯146 に暮らす子供に占める、貧困のリスクにある子供の割合 | 世帯類型別147 、就業密度別(中位の就業密度(0.2超~0.55)と高い就業密度(0.55超~1)別) | |
低学歴の者 | 25歳以上の成人に占める、国際標準教育分類(ISCED)148 が0~2149 の者の割合 | 性別、年齢階級別(25-34歳、35-54歳、55-64歳, 65歳以上、25-64歳) | |
識字力の弱い生徒 | 15歳の生徒に占める、PISA150 の読解力の学習習熟度がレベル1以下151 の生徒の割合 | 性別 | |
物質的はく奪の深度 | 物質的はく奪指標の9項目152 のうち子供全員の欠けている項目の平均数 | 貧困のリスクにあるかないか別153 、はく奪状態にあるかないか別154 | |
住居の費用の負担 | 住居費が可処分所得の40%以上を占める世帯に暮らす者の割合。住居費には住宅ローン等の支払い利子、ゴミ処理などの義務的サービス費用、定期的修繕費、税金、公共料金(水道、電気、ガス、暖房)が含まれ、住居補助が除かれる。 | 性別、年齢階級別(0-17歳、0-5歳、6-11歳、12-17歳、18-64歳、65歳以上)、所得階級別、貧困のリスクにあるかないか別155 、活動状況別156 、住居所有状況別157 、都市化の度合別158 、世帯類型別159 | |
住宅過密度 | 過密住宅に住んでいる者の割合。「1世帯につき1部屋ある」「1組の夫婦につき1部屋ある」「18際以上の者に1人1部屋ある」「12-17歳の者に2人1部屋ある(同性の場合)」「12-17歳の者に1人1部屋ある(異性の場合)」「12歳未満の者に2人1部屋ある(同性・異性関係なし)」の6項目のうち1つでも満たせない住宅に住んでいる世帯を過密住宅に住んでいる世帯とする。 | 年齢階級別(0-17歳, 0-5歳, 6-11歳, 12-17歳)、貧困のリスクにあるかないか別160 、住居所有状況別161 、都市化の度合別162 、世帯類型別163 | |
住居のはく奪 | 「天井から雨漏りがする、壁・床・家の土台が湿っている、窓枠や床が腐っている」「風呂やシャワーがない」「共用でない水洗トイレがない」「暗すぎる、光が足りないといった問題がある」の4項目のうち1つでも当てはまる住宅に住む世帯の世帯員の割合 | 年齢階級別(0-17歳, 0-5歳, 6-11歳, 12-17歳)、貧困のリスクにあるかないか別164 、世帯類型別165 、都市化の度合別166 | |
年齢別社会移転制度の貧困に対する効果 | 社会移転前と社会移転後167 の貧困のリスクにある者の割合の差 | 年齢階級別(0-17歳,18-59歳) | |
無職の世帯に暮らす者の割合 | 18~24歳の学生を除く18~59歳人口に占める、無職の世帯に暮らす者の割合 | 性別、年齢階級別(0-17歳,18-59歳) | |
③背景情報 (15項目) |
所得分位総所得比率 | 第5五分位(国の人口の上位20%)の総所得と第1五分位(国の人口の下位20%)の総所得の比率。算出には等価可処分所得を用いる。 | |
ジニ係数 | ジニ係数は所得の分配がどの程度不平等であるかを図る係数である。値は0%(完全平等)から100%(完全不平等)をとる。 | ||
地域別就業率の格差 | 第二種地域統計分類単位(NUTS2)168 間における就職率の分散。変動係数169 を用いて算出する。 | ||
健康寿命 | 出生児と65歳時点でその後健康な状態170 で生きられると期待される年数。モニタリングにおいては平均余命と共に動態を見る必要がある。 | 性別、社会経済的属性別(教育段階別、所得五分位別) | |
平均余命 | 現在の死亡率(対象となる各年齢の死亡率)が今後も継続すると仮定した場合、対象となる年齢人口が生きると期待される平均年数 | 性別、年齢別(出生時、65歳) | |
貧困のリスクにある者の割合(貧困線を固定した相対的貧困率) | 居住国での2005年の等価可処分所得の中央値の60%未満の収入の世帯に暮らす者の割合 | ||
社会的現金給付を行う前の貧困リスクにある者の割合 | 社会的現金給付171 ,172 前の等価可処分所得が中央値の60%未満である世帯に暮らす者の割合 | ||
世帯類型別の無職世帯 | 同一年齢階級173 の全人口のうち、無職世帯で暮らす人口の割合 | 世帯類型174 | |
貧困のリスクにある有業者の割合 | 貧困のリスクにある175 有業者の割合 | フルタイム・パートタイム別 | |
失業の罠176 | 失業者が就業したときの総収入に占める、所得税の支払、社会保険料の支払、失業手当等の給付金の停止によって失う収入の割合177 | ||
非労働力化の罠178 | 非労働力状態から低賃金のフルタイムの仕事に就業するによって増える税負担179 の増加率 | 世帯類型(子供がいない単身世帯・子供がいない夫婦世帯・子供が2人いるひとり親世帯、子供が2人いる共働き夫婦世帯)、所得階級別 | |
低賃金の罠180 | 総収入が居住国の平均収入の33%から67%に増加したときの総収入に占める、所得税の支払、社会保険料の支払、社会給付等の停止により失う収入の割合 | 世帯類型(子供がいない単身世帯、2人の子供がおり、1人が働いている夫婦世帯) | |
社会扶助による純収入の割合 | 貧困線の値の所得181 に占める社会扶助による純収入の割合 | 非就業者世帯類型別(子供がいない単身世帯、子供が2人いるひとり親世帯、子供が2人いる夫婦世帯) | |
自己申告による日常活動における制約 | 日常生活における活動が制約される又は非常に制約されると自己申告した者の割合182 | 性別、年齢階級別(18-44歳、45-54歳、55-64歳、65歳以上、75歳以上)、所得五分位階級別 | |
世帯可処分所得に占める住宅費用の割合 | 住宅費用の個人負担率(等価可処分所得における住宅費用の割合)の中央値 | 性別、年齢階級別(0-17歳、18-64歳、65歳以上)、貧困リスクにあるかないか別183 、都市化の度合別184 |
なお、現在に続く社会指標の方法論的枠組みは、2001年にEUの議長国を務めていたベルギーの大統領府によって研究を委託されたイギリスのTony Atkinson教授をはじめとする研究チームから提案された内容がベースとなっている185 ,186 。現在の枠組みは、細部は異なっているものの、このときの提案と大枠は一致している。提案内容は2002年に書籍「社会的指標:EUと社会的包摂(Social Indicators: The EU and Social Inclusion)」として発表されている187 。この文献に社会的包摂をより捉えることのできる指標の策定に向けた作成手順や考え方がまとめられており、他の報告書や文献より詳細であり参考になると考えられるため、以下に指標の選定基準を示し、巻末の参考資料に具体的な検討事項について翻訳した資料を掲載している。
指標の選定基準 |
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【各指標】 ①問題の本質を特定し、明確かつ一般に認められた標準的解釈を持つもの ②頑強で統計的に検証されたもの ③政策介入の効果をよく捉えるもので、かつ操作されないもの ④加盟国間において、国連やOECDが国際的に用いている基準と可能な限り実践的に国際比較可能な方法で測定できるもの ⑤指標の概念が時宜にかなっており、その内容も適時修正されるもの ⑥測定が、加盟国、企業、EU市民にあまりにも大きな負担をかけすぎないもの 【指標全体】 ⑦主要な分類が確実にカバーされるようにするとともに、加盟国ごとの政策の重要性の違いを考慮し、バランスをとって構成する ⑧指標が相互に一貫性を持っており、一つ一つの指標の軽重の差が大きくない ⑨EU市民にとってできるだけ透明性が高く、かつアクセス可能である |
検討の分類 |
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①経済的貧困(貧困の深さ、所得格差を含む) ②教育 ③雇用・労働 ④健康 ⑤住居 ⑥その他 |
114前掲39
115欧州2020における貧困・社会的包摂に関する目標とその指標の詳細については「第1章ア.相対的貧困率と物質的はく奪指標を併用するアプローチ」を参照。
116政治レベルの最高協議機関。EU加盟国首脳及び欧州理事会議長及び欧州委員会委員長により構成。EUの発展に必要な原動力を与え一般的政治指針を策定する。(外務省(2013)「EU関連用語集」http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/keyword.html)
117ここで包括とはOverarchingの訳であり、包括指標とは社会保護・社会的包摂戦略の全体の進捗状況の把握において特に重要だと思われる指標の分類である。社会的包摂関連指標、年金関連指標、医療・保健・介護関連指標から重要と考えられる項目が抜粋されている。
118購買力基準(PPS: Purchasing Power Standard)とは物価水準の違いにかかわらず、各国の実質的な経済力を比較するためにEU統計局が用いている概念上の共通通貨。経済指標(GDPや所得など)を各国の購買力平価で割ることで算出する。
119主観的健康を尋ねる設問で、自身の健康を「悪い」「とても悪い」と回答した者の割合を所得の上位20%、下位20%で比較。
120失業者に占める12か月以上失業状態にある者の割合。(長期失業率は、15歳以上の生産年齢人口に占める12ヶ月以上失業状態にある者の割合)
121労働力人口に占める超長期失業者(最低24ヶ月失業)の割合
122日本語訳は、高橋義明(2013)「欧州連合における貧困・社会的排除指標の数値目標とモニタリング」海外社会保障研究,No185を参考とし、前掲のSocial Protection Committee Indicators Sub-group (2015)(前掲39)の情報に基づき内容を更新した。
123「貧困線」の定義については同表の「貧困のリスクにある者の割合(相対的貧困率)」を参照。
124同上
125図表2-1参照
126国により前期中等教育修了年齢・学年が異なるため、年齢や学年によって定義されていない。
127算出方法は同表の「貧困のリスクにある者の割合」を参照。
128都市化の度合いは、その自治体の全人口に占める都市部(人口密度が1,500人/km2であり、人口が50,000人以上である地域)に住んでいる者の割合によって、1)都市、2)街・都市近郊、3)地方、の3つに分類される。(参考:Eurostat(2015). “EU Statistics on Income and Living Condition(EU-SILC) methodology - definitions of dimensions”. http://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/EU_statistics_on_income_and_living_conditions_%28EU-SILC%29_methodology_-_definition_of_dimensions#Activity_status)
129活動状況はthe most frequent activity statusの訳である。活動状況の分類には、1)就業者、2)非就業者、3)失業者(非就業者で就業する意思のある者)、4)退職した者、5)非活動者、6)その他の6分類と、1)就業者、2)被雇用者、3)就業者だが被雇用者ではない、4)非就業者、5)失業者(非就業者で就業する意思のある者)、6)退職した者、7)その他の非活動者の7分類が見られ、指標にどちらの分類を用いるかは記載されていない。活動状況は、個人が暦年のうち7か月間以上行っていた活動を指す。例えば、7か月間以上失業状態であれば活動状況は「失業者」となる。(参考:Eurostat(2015). 前掲128)
130この指標に使用する世帯類型は定義されていない。EUが使用する世帯類型に関する詳細情報は脚注86を参照。
131検討内容や検討を担当する部署、機関は記載されていない。
132過去1年間で医者を訪問した回数の平均数を算出するのか、又は回数階級別に人口割合を算出するのか記載がなく明らかでない。
133同報告書内に、前述のEU(2012)「社会的保護委員会から欧州委員会への勧告書:子供の貧困対策・予防と子供のウェル・ビーイングの推進」(図2-7)に記載されているものと同じ指標が開発中の指標として記載されている。
134社会移転とは、老齢年金、遺族年金、失業手当、家族関連給付、疾病・障害給付、教育関連給付、住宅手当、社会扶助、その他の給付を含むとされている。社会移転制度とは、老齢年金、遺族年金、失業手当、家族関連給付、疾病・障害給付、教育関連給付、住宅手当、社会扶助及びその他の給付を含むとされている。(参考: Eurostat(2016).“Glossary: Social Transfers”. http://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/Glossary:Social_transfer)
135定義は脚注129を参照。
136算出方法は同表の「貧困のリスクにある者の割合」を参照。
137同上
138扶養する子供の人数は設定されていない。
139就業密度の定義は前掲125
140階級の定義は記載されていない。
141算出方法は同表の「貧困のリスクにある者の割合」(28頁)を参照。
142同上
143報告書における表記はmore than half of the calendar monthsであり、「7か月以上」と訳すのが適切である。また、EU統計局も活動状況の定義を7か月以上としている。(参考:参考:Eurostat(2015).前掲128)
144例えば、7か月以上失業状態であった場合は、活動状況は「失業者」とされる。
145算出方法は同表の「貧困のリスクにある者の割合」(28頁)を参照。
146有業世帯は就業密度 が0.2超~1である世帯を指す。就業密度の定義は図2-1参照。
147この指標に使用する世帯類型は定義されていない。EUが使用する世帯類型に関する詳細情報は脚注86を参照。
148国際標準教育分類(ISCED: International Standard Classification of Education)は、ユネスコ統計研究所が1970年代に開発した加盟国の教育統計における分類項目の標準化の試みである。2011年に改訂版が公表された。(参考: UNESCO Institute for Statistics (2012). International Standard Classificatin of Education: ISCD 2011, Montreal, UNESCO Institute for Statistics.)
1490から6までの7段階があり、0は就学前教育、1は初等教育(日本における小学校)、2は前期中等教育(日本における中学校)を指す。(参考:WIPジャパン株式会社(2015)「教育と職業・雇用の連携に係る仕組みに関する国際比較についての調査研究」(平成26年度内閣府 政策統括官(経済財政運営担当)委託調査)
150前掲94
151PISAにおいて読解力はレベル1b~レベル6までの8段階で評価されており、レベル1以下には、レベル1b未満、レベル1b、レベル1aが含まれる。レベル1は実生活で効果的、生産的に能力を発揮し始める習熟度レベルとされている。
152項目の詳細は同表の「物質的はく奪指標」(29頁)を参照。
153貧困のリスクにあるかないかの定義は、同表の「貧困のリスクにある者の割合」を参照。
154はく奪状態の定義は同表の「物質的はく奪指標」(29頁)を参照。
155貧困のリスクにあるかないかの定義は、同表の「貧困のリスクにある者の割合」(28頁)を参照。
156活動状況の詳細については前掲129を参照。
157この指標に使用する住宅所有状況の定義は記載されていない。EU統計局は住宅所有状況を1)自宅所有者で住宅ローンがない完全所有者、2)自宅所有者で住宅ローンがある者、3)市場価格での賃貸居住者、4)住居補助又は無償での賃貸住居者の4つに分類しているが、同表における「住宅所有状況別貧困のリスクにある者の割合」では1) 住宅所有者又は無償での賃貸住宅居住者、2)(有償での)賃貸住宅居住者の2分類が使用されている。(参考:Eurostat(2015).前掲128)
158都市化の度合いの詳細については脚注120を参照。
159この指標に使用する世帯類型は定義されていない。EUが使用する世帯類型に関する詳細情報は脚注86を参照。
160貧困のリスクにあるかないかの定義は、同表の「貧困のリスクにある者の割合」を参照。
161脚注157を参照。
162都市化の度合いの詳細については脚注128を参照。
163この指標に使用する世帯類型は定義されていない。EUが使用する世帯類型に関する詳細情報は脚注86を参照。
164貧困のリスクにあるかないかの定義は、同表の「貧困のリスクにある者の割合」を参照。
165この指標に使用する世帯類型は定義されていない。EUが使用する世帯類型に関する詳細情報は脚注86を参照。
166都市化の度合の詳細については脚注128を参照。
167社会移転の定義については脚注92を参照。
168EU統計局はEU加盟国に対しNUTS(Nomenclature of Territorial Units for Statistics)っと呼ばれる以下の3段階の区画を人口規模によって設定している。NUTS1: 300万人~700万人、NUTS2: 80万人~300万人、NUTS3:15万人~80万人(参考: Eurostat (2015). Regions in the European Union: Nomenclature of territorial units for statistics NUTS 2013/EU-28, Luxembourg, European Union. )
169標準偏差を平均値で割った値を指す。
170「健康な状態」とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる状態」とされている。(Eurostat (2015). “Glossary: Healty life years (HLY)”, http://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/Glossary:Healthy_life_years_%28HLY%29)
171社会的現金給付(social cash transfer)に具体的に何が含まれるか定義はされていないが、社会移転 (social transfer)の定義はEU統計局が公表している。詳細については脚注92を参照。
172老齢年金と遺族年金は社会給付として含めず等価可処分所得の一部として扱う。
173どのような年齢幅を年齢階級を用いるのかについては記載がない。
174この指標に使用する世帯類型は定義されていない。EUが使用する世帯類型に関する詳細情報は脚注86を参照。
175算出方法は、同表の「貧困のリスクにある者の割合」を参照。
176「失業の罠」及び「非労働力化の罠」とは、賃金と比較してあまりにも高い失業給付や公的扶助は就業する意欲を減退させることを指す。(参考:三矢直紀(2013)「OECDにおける労働政策の形成と展開」 日本労働研究雑誌, 640, 63-75; 内閣府政策統括官室(経済財政分析担当)(2007)「世界経済の潮流 2007年春:多くの人が活躍できる労働市場の構築に向けて 先進各国の生産性等の動向:アメリカの「第二の波」と英国、フィンランド、アイルランド等の経験」)
177つまり、「1-(労働所得-税額-給付削減額)/労働所得」であり、参加税率(PTR: Participation Tax Rate)と言われるものであり、社会保障給付を加味した平均税率と理解できる。(参考:藤谷武史(2010)「労働政策の手法としての給付付き税額控除」日本労働研究雑誌, 605, 18-27.
178同上
179就業することによって保育費用が発生する場合はその費用も負担として換算する。
180「低賃金の罠」とは、低所得層に対する社会保険料の軽減措置が低賃金労働者の低賃金状態から脱出する意欲を減退させることを指す。(参考:三矢直紀(2009)「フランスの最低賃金制度について」日本労働研究雑誌, 593, 68-83.)
181貧困線の定義については同表の「貧困のリスクにある者の割合」を参照。
182この報告書において、制約される理由が健康に関する理由によるものであるか否か記載はされていが、EU統計局の「日常生活における制限に関する統計(Functional and activity limitations statistics)」においては、健康に関する理由で日常生活における活動が制限されると自己申告した者の割合が示されている。(Eurostat (2016). “Functional and activity limitations statistics”, http://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/Functional_and_activity_limitations_statistics)
183貧困のリスクにあるかないかの定義は、同表の「貧困のリスクにある者の割合」(28頁)を参照。
184都市化の度合の詳細については脚注128を参照。
185前掲39
186濱口桂一郎(2002)「ニューヨーロッパへの新展開(6)貧困と社会的排除の指標の開発に向けて」総合社会保障, 40(1), 16-19.
187Atkinson, T., Cantillon, B., Marlier, E., & Nolan, B. (2002). Social indicators: The EU and social inclusion, Oxford, Oxford University Press.