第2章 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況(2.3.6)

2. 健康、教育等様々な分野の指標を設定するアプローチを用いた貧困に関する指標の設定状況

2.3. 子供のウェル・ビーイング指標

6 スウェーデン子供オンブズマン局275「子供のウェル・ビーイング指標(Living Conditions Survey of Children)」276

スウェーデン政府は子供に関する政策の基盤を「子どもの権利条約」277 に置いており、2003年にこの権利条約への履行状況を把握する目的で子どもオンブズマン局と共同で指標の開発を開始し、2010年より6分野45指標を公表している。この指標は定期的に更新され、全国だけでなく県、市町村別にも統計が整備されている278

図表2-27 スウェーデン「子供のウェル・ビーイング指標」における指標一覧279
分野 指標
1 経済
  • 貧困世帯に暮らす子供
  • 低所得で急な現金出費への支払いができない世帯に暮らす子供
  • 10ヶ月以上公的扶助を受けている世帯に暮らす子供の割合
  • 自分の部屋がない家に暮らす子供の割合
2 健康
  • 肥満の16-17歳児の割合
  • 乳幼児死亡率
  • 低体重出生率
  • 虫歯がある3,6,12歳児の割合
  • 精神面の問題がある280 10-18歳児の割合
  • 心理的要因により週一回以上頭痛、胃痛、不眠がある10-18歳児の割合
  • 9年生、高校2年生281 で月に一回以上大量飲酒をしている割合
  • 9年生、高校2年生282 で喫煙している割合
  • 9年生、高校2年生283 で薬物の使用経験がある者の割合
  • 9年生、高校2年生284 で過去30日に薬物使用経験がある者の割合
3 教育訓練
  • 高等学校に入学可能な基礎力を身につけて初等学校を卒業した者の割合
  • 初等学校の各教科の目標グレードを達成した子供の割合
  • 大学入学資格を高校卒業時に得ている子供の割合
  • 9年生でPISA285 の数学スコアが平均以上の割合
  • 9年生でPISA286 の読解スコアが平均以上の割合
4 安全
  • 就学前教育、家族デイケア、レクレーションセンターにおける教員と子供の割合
  • 初等学校等における生徒100人当たりフルタイム教師の数
  • 教員養成大学の卒業生のうち小中学校のフルタイム教師の職に就いた者の割合
  • 教員養成大学の卒業生のうちフルタイム小学校教師あるいは保育士の職に就いた者の割合
  • 特別支援学校教員養成大学卒業者のうち、フルタイムで特別支援学校の教師に就いているものの割合
  • 4-6年生のうち他の生徒にいじめられていると答えた子供の割合
  • 4-6年生のうち教師にいじめられていると答えた子供の割合
  • 4-6年生のうち学校がよい学習環境であると答えた子供の割合
  • 4-6年生のうち学校で虐待されたことがあると答えた子供の割合
  • 4-6年生のうち学校の授業中に他の生徒に妨害されたことがあると答えた子供の割合
5 参加
  • 学校に対し影響力があると考える4-6学年の子供の割合
  • 毎日ニュースを確認している10-18歳の子供の割合
  • 余暇期間中に毎日本を読む子供の割合10-18歳の割合
  • 音楽や芸術活動に参加している3-6学年の生徒の割合
  • 過去6ヶ月間に余暇で文化的活動(劇場、映画、博物館、図書館、コンサート等)を行った10-18歳の割合
  • クラブや団体のスポーツ活動に週一回以上参加している10-18歳の子供の割合
  • スポーツやボーイ/ガールスカウト等の余暇的組織活動に週一回以上参加している10-18歳の子供の割合
6 支援と保護
  • 自宅以外でケアを受けている子供の割合
  • 6ヶ月以上児童養護施設に入っている子供の割合
  • 児童養護施設を退所した12ヶ月以内に再び入所した子供の割合
  • 9年生で、過去12ヶ月に犯罪を犯した子供の割合
  • 9年生で、過去12ヶ月に犯罪犠牲者となった子供の割合
  • 15-17歳で刑罰を受けた者の割合

275オンブズマンとは市民主権の理念に立って、公正・中立な立場で、行政に関する苦情を調査・処理するための第三者的機関である。行政全般を所管する総合オンブズマンだけでなく、福祉分野、情報公開・個人情報保護分野等、特定の分野を管轄するオンブズマン制度も存在する。(参考:一般財団法人行政管理研究センター(2016)「地方公共団体における公的オンブズマン制度の実態把握のための調査研究報告書」(総務省行政評価局行政相談課委託))スウェーデン子供オンブズマンは1993年に発足し、「子どもの権利条約」に基づき、子供及び若者の権利及び利益に影響を与える問題を監視することを目的としている。政府に対して子供及び若者の権利及び利益を守るために必要な改革又はその他の措置を提案する義務を負っており、毎年政府に報告書を提出している。また、子供及び若者の権利と利益を守るための情報を一般に提供すること、虐待されている子供についての情報を得た場合に社会擁護委員会に報告することも義務として定められている。これらの義務を遂行するために、社会的に弱い立場にある子供たちと定期的に対話をすることで、彼らの状況・意見の把握をしている。(参考:The Ombudsman for Children in Sweden (2015). “About the Ombudsman for Children in Sweden”. https://www.barnombudsmannen.se/om-webbplatsen/english/)

276前掲45

277前掲206

278竹沢純子(2013)「子どもウェルビーイング指標に関する国際的動向」海外社会保障研究, 185, 48-59.

279竹沢(2013)56頁より抜粋

280「精神面の問題」は定義されていない。

281スウェーデンでは9年間の義務教育(基礎学校)終了後、3年間高等学校へ進学する。

282同上

283同上

284同上

285前掲94

286同上