第2章 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況(5)

5. 諸外国の指標の特徴のまとめ

平成27年度海外調査及び今年度の追加調査から、イギリス等においては、子供の貧困率のほか、非就業者世帯に暮らす子供の割合や不利な条件にある子供の中等教育終了時の教育到達度、早期中途退学率など様々な指標を設定していることが確認された。

また、EU統計局「所得と生活水準」統計やEU諸国の統計において、物質的はく奪指標(その国で典型的に保持・享受するものとされている財・サービスの欠如について社会調査を実施し、それに基づいて作成される指標)が公表されており、広義の指標の一部として用いられていることが明らかとなった。

物質的豊かさは、所得による貧困率以外に物質的はく奪指標を用いて経済的な貧困を測定していることが明らかになった。

貧困率だけをみても、貧困線を複数設定したり、相対的貧困率と絶対的貧困率を並列したり、世帯の属性別(人種別、子供の年齢階級別、ひとり親・ふたり親の別、等)に算出したり、と複数の指標を設定している場合がある。

指標の分類の分野としては、健康や教育、居住環境、行動に関するものなど、幅広い分野が取り入れられ、それに対する指標が設定されている。

指標の数に着目すると、最も多いのはアメリカ連邦政府フォーラムによるもので、41指標を公表していた。

子供の貧困は世帯の貧困であり、人口全体の指標とは別に子供の貧困の状況を表す指標は設定する必要がないとする考えも見られた304 。一方で、EUUNICEFOECDは、子供の貧困の状況を把握するためには、できるだけ世帯ではなく子供が分析の単位とした子供の貧困に関する指標を、人口全体の指標とは別に設定すべきとし指標を開発している。

304前掲54