第5章 現行指標に追加すべき新たな指標の例(3.3)
3. 健やかな成育環境の確保に関する指標
3.3. 保護者の就労状況の把握
3.3.1. 「ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合」
(1) 新しい指標の例とする理由
我が国においては、ひとり親家庭の親の就業率は高いにもかかわらず、子供がいる現役世帯のうち、大人が一人の世帯の貧困率が高い510 。一般世帯に比べ、ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合が低いことが原因の一つとして考えられることから、「ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合」を把握する必要があると考えられる。
(2) 大綱における関連施策
現行の子供の貧困に関する施策と関連施策は以下のとおりである。
- ひとり親家庭の親に対する就業支援
- ひとり親家庭への高等職業訓練促進給付金等の支給
- ひとり親家庭への自立支援教育訓練給付金の支給
- ひとり親家庭の高等学校卒業程度認定試験の合格支援
- ひとり親家庭の在宅就業の推進
(3) 活用が考えられる統計調査
ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合を把握するのに寄与するわが国の統計調査としては、厚生労働省「全国母子世帯等調査」が候補として考えられる。
本調査は、1998(平成10)年度よりおおむね5年度毎に実施されており、最新調査は2011(平成23)年度である。なお、ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合は以下のとおり推移している。
図表5-8 ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合の推移
出典:ひとり親世帯:全国母子世帯等調査(厚生労働省)
※おおむね5年度ごとに実施。最新の調査は平成23年度。
一般世帯:労働力調査(総務省)
※昭和22年度より毎年実施。最新の調査は平成28年度。
注1) 一般世帯は15歳~64歳の人口であり、2人以上の世帯及び単身世帯両方の人口が含まれる。
注2) 全国母子世帯等調査は年度単位、労働力調査は暦年。
注3) 平成18年度以前の全国母子世帯等調査においては「正規の職員・従業員」ではなく「常用雇用者」の集計がされている。「常用雇用者」とは、会社、団体、官公庁など雇用期間について特定の定めがない、あるいは1年を超える期間を定めて雇われる者をいう。
(4) 考慮すべき点
ひとり親家庭の親の正規の職員・従業員の割合の値は、国民生活基礎調査(厚生労働省)や労働力調査(総務省)を用いることも考えられるが、特別集計が必要となる。また、比較として参考に掲載している一般世帯の正規雇用率の算出に関しても、労働力調査(総務省)ではなく、国民生活基礎調査(厚生労働省)を用いることが考えられる。その場合には、一般世帯を「15歳以上の人口」ではなく「児童のいる世帯」とすることも可能である。
510子供がいる現役世帯のうち大人一人の貧困率の直近値は54.6%(平成25年国民生活基礎調査)である。