5 高い社会参加意欲
前期高齢者のグループ活動への参加状況をみると、いずれにも参加していない者が男性45.3%、女性47.1%であり、後期高齢者(男性47.5%、女性61.6%)より低い。また、ボランティア活動への参加意識をみると、60歳代では男性の69.0%、女性の71.8%がボランティア活動への参加希望がある。70歳代では男性の66.9%、女性の61.8%となっており、60歳代の方が希望している割合が高い(前掲表1−1−22、図1−1−23)。
前期高齢者が学習・社会活動に参加したきっかけは、「個人の意思で」(男性34.2%、女性27.8%)、「友人、仲間のすすめ」(男性32.7%、女性46.9%)、「自治会、町内会の呼びかけ」(男性26.3%、女性15.2%)が高い(図1−2−12)。一方で、学習・社会参加の活動に参加しなかった者もおり、その理由として、「家庭の事情(病人等)があるから」(男性29.8%、女性32.6%)、「健康・体力に自信がないから」(男性23.1%、女性35.4%)が多いが、「同好の友人・仲間がいないから」、「気軽に参加できる活動が少ないから」、「どのような活動が行われているか知らないから」もそれぞれ1割程度ある(表1−2−13)。
図1−2−12 活動に参加したきっかけ(複数回答)
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CSVデータ>
表1−2−13 活動に参加しなかった理由(複数回答)
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CSVデータ>
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65〜74歳 |
(参考)65歳以上 |
男 |
女 |
男 |
女 |
家庭の事情(病人、家事、仕事)があるから |
29.8% |
32.6% |
24.8% |
28.1% |
健康・体力に自信がないから(年をとっているから) |
23.1% |
35.4% |
33.6% |
43.2% |
気軽に参加できる活動が少ないから |
11.4% |
7.3% |
10.3% |
7.0% |
どのような活動が行われているか知らないから |
9.9% |
8.7% |
8.8% |
7.7% |
同好の友人・仲間がいないから |
9.5% |
10.4% |
9.5% |
9.3% |
活動場所が近くにないから |
5.1% |
3.9% |
4.3% |
4.1% |
経費や手間がかかりすぎるから |
3.7% |
2.2% |
2.7% |
2.2% |
活動に必要な技術・経験がないから |
3.3% |
2.0% |
2.5% |
1.9% |
過去に参加したが期待はずれだったから |
0.7% |
1.1% |
1.0% |
1.1% |
その他 |
6.2% |
4.5% |
6.5% |
5.0% |
特に理由はない |
25.4% |
16.3% |
21.8% |
15.5% |
資料:総務庁「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成10年)
また、高齢者のボランティア活動への参加の状況をみると、団体所属のボランティア活動者の35.1%が60〜69歳、14.5%が70歳以上、団体に所属しないボランティアの場合、26.3%が60〜69歳、10.0%が70歳以上となっている。ボランティア活動を支える上で高齢者は大きな地位を占めている。今後、女性の就業が進み、従来、ボランティアの担い手として大きな位置付けを占めていたと考えられる専業主婦が減少していく中で、就業から離れた高齢者の役割が更に重要になると考えられる(図1−2−14)。
図1−2−14 ボランティア活動に従事する人の年齢構成
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CSVデータ>
このように、高齢者は就業以外にも社会活動に参加しており、意向も高い。参加を妨げているものとして家庭の事情や健康状況があり、逆に促進する上では友人・仲間や地域の呼びかけ、活動の受け皿づくりが有効である。
(新大綱に基づく施策の方向)
家族の介護等で時間が取れない高齢者が気分転換も兼ねて外出し、社会参加できるよう、在宅介護サービスの充実を図る。
高齢期に一緒にボランティア活動や学習活動を行う友人等を持つためにも、より若い時期からの生涯を通じた地域社会への参画を促進することとし、働き方の多様化・柔軟化、労働時間の短縮に引き続き取り組み、職住近接のまちづくり等を進める。また、退職後にボランティア活動に参加するためのきっかけづくりを、企業や地域社会の関係者が協力して進める。
活動の受け皿として、ボランティア活動の養成・研修や拠点確保、NPO法人制度の普及・活用等を進める。また、子育て支援など若い世代を支援する活動や、若い世代と共に参加し世代間の交流を深める活動を促進することにより、世代間の連帯を強化する。
高齢者が高齢者に教えるパソコン教室
宮城県仙台市の「仙台シニアネットクラブ」は、仙台市などの支援を受けて、仙台在住の高齢者を対象にパソコンの基本的な操作方法やインターネット、電子メールの楽しみ方などを教えている。
教えているのは、やはりこのクラブが企画運営した講習会などでパソコンを覚えた高齢者のボランティアたち。教えてくれるのが同世代の高齢者であることで受講する高齢者にとっても、安心し親しみを持って受講できる。また、講師となる高齢者にとっても、受講者への説明や質問への対応に必要となる知識を得ようとすることで更なる学習の意欲や、自分の知識を伝えることによる社会参加意識がめばえ、生きがいづくりにもつながっている。
分かりやすいオリジナルのテキストを配布しているほか、1回の講習で、受講生20人に対し、講師のほかサポーターと呼ばれる補助的な講師を含め都合15名を配置し、ほぼ1対1の形式で講習を進め、初めてパソコンに触れる高齢者の理解を助けている。
こういったクラブの取組が人気となって、講習はいつも募集定員を上回る応募があり、平成13年度に開催された「仙台市65歳以上を対象とするIT講習会」では、応募者2,093名の中から抽選で1,260名が受講している。
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