第3章 高齢社会対策の実施の状況

ウ 建築物・公共施設等の改善
 高齢者等が円滑に利用できる建築物の建築を促進するため、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成6年法律第44号。以下「ハートビル法」という。)に基づき、出入口、廊下、階段、エレベーター、便所、駐車場等について、建築主の判断基準として、高齢者等の利用を阻むような建築物の障壁を除去する水準を示す「基礎的基準」と、社会全体で目指すべき高齢者等が特段の不自由なく建築物を利用できる水準を示す「誘導的基準」を定めている(図3−4−8)。

図3−4−8 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる建築物のイメージ

高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる建築物のイメージ図

 ハートビル法に基づき認定を受けた建築物に対しては、補助、日本政策投資銀行等による融資及び税制上の特例措置を実施しているほか、市街地再開発事業等のうちハートビル法等に基づく一定の要件等を満たす施設建築物を整備するものについて、補助を行っている(図3−4−9)。

図3−4−9 ハートビル法に基づく認定実績

ハートビル法に基づく認定実績の推移を示した年次推移グラフ

 官庁施設においては、高齢者等すべての人が円滑かつ快適に施設を利用できるよう、窓口業務を行う事務室の出入口への自動ドア、多機能トイレの設置等による高度なバリアフリー化を目指した官庁施設の整備をモデル事業として実施している。また、既存官庁施設のバリアフリー化を図るため、窓口業務を行う官署が入居する一定規模以上の低層庁舎については、エレベーターの設置を積極的に推進している。
 また、都市公園においては、高齢者等が気軽に、安心して利用できるよう、高齢者等が使いやすい「ゆったりトイレ」の整備など、公園施設のバリアフリー化を進めている。
 さらに、簡易保険加入者福祉施設においても、身体障害者用客室の浴室、トイレ等について、重度の障害のある方も利用できるように諸設備の機能の向上を図っているほか、既存の施設への介護専用浴室の設置を進め、全面改築する施設については、客室や浴場等の施設トータルのバリアフリー化を図っている。
 なお、平成14年3月には、高齢者等が円滑に利用できる特定建築物の建築を一層推進するため、特定建築物のうち一定の用途及び規模のもののバリアフリー対応の義務付けの創設及び努力義務の対象の拡大、容積率特例制度を始めとする認定建築物に対する支援措置の拡大等を内容とする高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案を第154回国会に提出した。

 

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