第1章 高齢化の状況 

第2節 高齢者の状況

高齢者と家族

○ 65歳以上の者のいる世帯数は1,637万世帯であり、全世帯(4,566万世帯)の35.8%を占めている。内訳は、「単独世帯」が318万世帯(19.4%)、「夫婦のみの世帯」が455万世帯(27.8%)、「親と未婚の子のみの世帯」が256万世帯(15.7%)、「三世代世帯」が418万世帯(25.5%)であり、三世代世帯の割合が低下し、夫婦のみの世帯及び親と未婚の子のみの世帯の割合が大きくなってきている。
○ 高齢者の子との同居率は、平成13(2001)年現在、48.4%となっており、低下傾向にある(図1−2−5)。

 
図1−2−5 家族形態別にみた高齢者の割合

図1−2−5家族形態別にみた高齢者の割合

○ 高齢者人口に占める一人暮らし高齢者の割合は、昭和55(1980)年には男性4.3%、女性11.2%であったが、平成12(2000)年には男性8.0%、女性17.9%と顕著に増加している。今後も一人暮らし高齢者は増加を続け、特に男性の一人暮らし高齢者の割合が大きく伸びることが見込まれている(図1−2−3)。

 
図1−2−3 一人暮らし高齢者の動向

図1−2−3一人暮らし高齢者の動向

高齢者の経済状況

 高齢者の生活意識をみると、全世帯における割合と比べ、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)では、現在の暮らしについて「普通」とする世帯の割合が高く、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせたもの)とする世帯の割合は低くなっている(図1−2−11)。

 
図1−2−11 高齢者世帯における生活意識

図1−2−11高齢者世帯における生活意識

○ 高齢者世帯の年間所得(平成12年の平均所得)は319.5万円となっており、全世帯平均(616.9万円)の半分程度に過ぎないが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、203.6万円となり、全世帯平均(212.1万円)との間に大きな差はみられなくなる(表1−2−13)。

 
表1−2−13 高齢者世帯の所得

表1−2−13高齢者世帯の所得

○ 高齢者の個人所得の平均は、65歳以上男性は303.6万円、女性は112.4万円と、女性は男性の3分の1強に過ぎず、所得のない者の割合も65歳以上の男性4.4%に対し女性16.5%と、女性が大きく上回っている(図1−2−15)。

 
図1−2−15 高齢者の所得水準

図1−2−15高齢者の所得水準

○ 現在の貯蓄額が老後の備えとして十分かどうかについては、「十分」と「最低限はある」とを合計した「足りると思う」が34.1%となっている。また、「少し足りない」と「かなり足りない」とを合計した「足りないと思う」は57.1%と半数を超えており、その割合は年齢が低くなるほど高くなっている(図1−2−21)。

 
図1−2−21 高齢者の老後の備え

図1−2−21高齢者の老後の備え

高齢者の就業

○ 高齢者の就業状況は、男性の場合、就業者の割合は、55〜59歳で89.9%、60〜64歳で66.5%、65〜69歳で51.6%となっている。また、60〜64歳の不就業者(33.5%)のうち5割以上が、65〜69歳の不就業者(48.4%)のうち4割近くの者が、就業を希望している。
○ 女性の就業者の割合は、60〜64歳で41.5%、65〜69歳で28.7%となっている。不就業者でも、60〜64歳の不就業者(58.5%)の3割以上、65〜69歳の不就業者(71.3%)の2割以上が就業を希望している(図1−2−25)。

 
図1−2−25 高年齢者の就業・不就業状況

図1−2−25高年齢者の就業・不就業状況

高齢者と健康・福祉

○ 高齢者の健康状態について、平成13(2001)年における65歳以上の高齢者(入院者を除く)の有訴者率(人口千人当たりの病気やけが等で自覚症状のある者の数)は502.7である。日常生活に影響のある65歳以上の高齢者(健康上の問題で、日常生活の動作・外出・仕事・家事・学業・運動・スポーツ等に影響のある者。入院者を除く)の割合は、高齢者人口千人当たりで235.0となっている(図1−2−28)。

 
図1−2−28 65歳以上の高齢者の有訴者率及び日常生活に影響のある者の率

図1−2−28_65歳以上の高齢者の有訴者率及び日常生活に影響のある者の率

○ 健康の維持増進のために日ごろ心がけていることについてみると、「休養や睡眠を十分とる」が60.4%と最も高く、次いで「規則正しい生活を送る」53.0%、「栄養のバランスのとれた食事をとる」49.5%の順となっている(図1−2−31)。

 
図1−2−31 健康の維持増進のために心がけていることの内容

図1−2−31健康の維持増進のために心がけていることの内容

○ 介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された者のうち、65歳以上の人数についてみると、平成13年度末で287.7万人となっている。また、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設における65歳以上の在所者数は、それぞれ30.6万人、22万人、10.5万人(65歳以上人口千人当たりそれぞれ13.4、9.6、4.6)となっている(表1−2−36)。

 
表1−2−36 要介護等高齢者の状況(要介護等認定者数)

表1−2−36要介護等高齢者の状況(要介護等認定者数)

高齢者の社会参加活動

○ 高齢者の近所の人たちとの交流について、「ほとんどない」が25.5%、「ほとんど毎日」が21.0%となっている。特に男性は「ほとんどない」が31.5%となっており、三人に一人が近所の人たちとの交流を持っていない(図1−2−46)。

 
図1−2−46 近所の人たちとの交流

図1−2−46近所の人たちとの交流

高齢者の住生活

○ 高齢者の住宅について、高齢単身主世帯の70.8%、高齢夫婦主世帯では76.6%が誘導居住水準(「住宅建設五箇年計画」における、住宅ストックの質の向上を誘導する上での指針)を満たしている。このうち、借家に住む世帯では、高齢単身主世帯で41.1%、高齢夫婦主世帯で34.0%の世帯が水準を満たすにとどまっている。
○ 高齢者向けに必要な住宅の構造・設備の改造希望について、「特にない」は54.1%にとどまっており、半数近くが改造を希望している。改造の内容は、「手すりを設置したい」20.9%、「住宅内の床の段差をなくしたい」19.6%、「浴槽を入りやすいものに取り替えたい」11.0%、「浴室に暖房装置をつけたい」8.6%、「玄関から道路までの段差を解消したい」8.4%などとなっている(表1−2−54)。

 
表1−2−54 高齢者主世帯の誘導居住水準の状況

表1−2−54高齢者主世帯の誘導居住水準の状況

高齢者の生活環境

○ 高齢者の外出状況についてみると、「ほとんど毎日」が41.7%と最も多く、「週に2〜3日」が25.2%、「週に4〜5日」が17.2%となっている。男女別にみると、「ほとんど毎日」の割合は男性が高く、「週に1日以下」の割合は女性が高くなっている。年齢階級別にみると、年齢が高くなるほど「ほとんど毎日」の割合は低く、「週に1日以下」の割合は高くなっている(図1−2−59)。

 
図1−2−59 高齢者の外出状況

図1−2−59高齢者の外出状況

高齢者と安全

○ 65歳以上の高齢者の交通事故死者数は3,144人、交通事故死者全体の37.8%を占めている。交通事故死者数は、平成4年までは16〜24歳の若者が多かったが、5年に高齢者が若者の死者数を上回り、その後も高齢者の割合の増加と若者の割合の低下が続いている(図1−2−63)。

 
図1−2−63 年齢層別交通事故死者数の推移

図1−2−63年齢層別交通事故死者数の推移

 

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