第2章 高齢社会対策の実施の状況 

5  調査研究等の推進

○ 認知症、悪性新生物(がん)等の高齢期にかかりやすい疾患については、長寿科学総合研究事業等において研究を推進し、特に、悪性新生物(がん)及び心筋梗塞、要介護状態の大きな原因となる脳卒中、認知症及び骨折について、ゲノム科学やタンパク質科学などを用いた治療技術・新薬の研究や自己修復能力を用いた再生医療の実現のための研究など先端科学技術を重点的に振興するほか、これらの基礎研究の成果を臨床に応用していくための研究、これらにより効果的な保健医療技術を確立するための研究等を推進している。
○ 「対がん10カ年総合戦略」及び「がん克服新10か年戦略」に続く、平成16年度からの新たな10か年の戦略として、「第3次対がん10か年総合戦略」を策定し、これに基づいて、がんのり患率と死亡率の激減を目指して、研究、予防及び医療の総合的な推進に取り組んでいる。
○ 生活習慣病や慢性疾患については、画期的・独創的な新薬の開発に向けて、創薬等ヒューマンサイエンス総合研究事業等の各研究事業を行っている。また、生活習慣病の克服に資する関連遺伝子の探索や機能解明研究を拡充した。
  アルツハイマー病などの神経変性疾患については、関連遺伝子の探索や機能解明研究、失われた脳機能の回復を目指した研究を推進した。
○ 平成15年4月に、ヒトの遺伝情報であるヒトゲノムの精密解読が完了したことを踏まえ、我が国の強みをいかして、複雑な生命機能の解明や、画期的な創薬の実現につながる成果等が期待されるゲノムネットワーク研究、「第3次対がん10か年総合戦略」に基づくがんに係る基礎研究の成果を着実に新たな治療法につなげる橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)を推進するとともに、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テーラーメイド医療)や幹細胞を用いた再生医療の実現に向けた研究開発、タンパク質の構造・機能の解析等を推進した。
○ 医療福祉機器技術に関しては、最先端の産業技術を駆使し、安全性、利便性に優れた機器の研究開発を産学官の連携の下に取り組んでいる。
○ 長寿科学総合研究事業等において、老年病、看護・介護、リハビリテーション、居住環境といった横断的な研究体制を構築して研究を推進するとともに、医薬品、医療機器に関する保健医療分野における基礎研究の強化を進めているほか、在宅医療機器等の高度な治療器機の研究開発について補助を行っている。
○ 近年の研究開発は、高度化・複雑化し、境界領域、複合領域も拡大しており、人材の養成、確保、資質の向上及び流動化に努めていかなければならない。
  このため、将来の研究開発活動の中核を担う創造性豊かな優れた若手研究者が、その能力を最大限に発揮できるよう、独立行政法人日本学術振興会の特別研究員制度、海外特別研究員制度、外国人特別研究員制度など、大学院博士課程修了者等の若手研究者を対象とした多様な支援制度を推進している。

 

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