平成17年度 高齢社会対策 

5  調査研究等の推進
(1) 各種の調査研究等の推進
ア 高齢者に特有の疾病及び健康増進に関する調査研究等
 認知症、悪性新生物(がん)等の高齢期にかかりやすい疾患については、長寿科学総合研究事業等において研究を推進し、特に、悪性新生物(がん)及び心筋梗塞、要介護状態の大きな原因となる脳卒中、認知症及び骨折について、ゲノム科学やタンパク質科学などを用いた治療技術・新薬の研究や自己修復能力を用いた再生医療の実現のための研究、老化の原因となる遺伝子要因や環境要因など老化抑制機構の解明に関する基礎的研究など先端科学技術を重点的に振興するほか、これらの基礎研究の成果を臨床に応用していくための研究、これらにより効果的な保健医療技術を確立するための研究等を推進する。また、老化分野、老年病分野のほかに社会科学分野、支援機器等の調査研究を進める。
 特にがんについては、がんのり患率と死亡率の激減を目指した「第3次対がん10か年総合戦略」の2か年目として、更なるがんの本態解明を進めるとともに、革新的な予防、診断、治療法の開発等を推進する。
 生活習慣病や慢性疾患については、画期的・独創的な新薬の開発に向けて、創薬等ヒューマンサイエンス総合研究事業等の各研究事業を行う。また、生活習慣病の克服に資する関連遺伝子の探索や機能解明研究を拡充する。
 アルツハイマー病などの神経変性疾患については、関連遺伝子の探索や機能解明研究、失われた脳機能の回復を目指した研究を推進する。
 また、平成17年度から、疾病負担が大きく、かつ研究の推進による疾病負担の軽減効果が大きいと考えられる糖尿病や老化等の疾病・障害については、生活習慣病対策や介護予防対策を考慮し、5年後の成果目標を設定した研究計画に基づき保健、医療、福祉、産業から広く参画を求める戦略研究を実施する。この新たな枠組みにより、より大型で戦略的かつ効果的な実践的研究を振興するとともに、複雑な生命機能の解明、画期的な創薬の実現につながる成果等が期待されるゲノムネットワーク研究や、「第3次対がん10か年総合戦略」に基づくがんに係る基礎研究の成果を着実に新たな治療法につなげる橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)を推進するとともに、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テーラーメイド医療)や幹細胞を用いた再生医療の実現に向けた研究開発、タンパク質の構造・機能の解析等を引き続き推進する。
 また、平成17年度より、生物を構成するタンパク質などの様々な分子の挙動を生きた状態のまま画像としてとらえることを可能にし、腫瘍診断及び脳機能の解明につながる成果等が期待される分子イメージング研究を新たに推進する。
 さらに、高齢社会に対応し健康増進に寄与する食品の開発を促進するため、バイオマーカー(酵素や細胞等を使用した簡易な指標)や遺伝子情報等を活用した低コストで効率的な食品機能性の評価技術及び新規健康志向食品の製造技術の開発支援を行う。

 

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