第2章 高齢社会対策の実施の状況 |
コラム 07
バリアフリー化への取組 ア 埼玉県さいたま市 さいたま市のさいたま新都心では、高齢者や車いすの人でも移動しやすいように、段差を解消したり、エレベーターの設置といったハード面のバリアフリーだけでなく、ボランティアによる移動介助などのソフト面での取組も進めている。 さいたま新都心にはエレベーターやスロープが整備されており、車いすの人も、駅から官庁街、レストラン・ショッピングセンターなどへ容易に移動することができる。 また、高齢者に人気があるのは「お食事遠足」。特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホームなどの介護施設の入居者が、施設の職員だけでなくボランティアの人たちの介助を受けながらさいたま新都心を見学して回り、お昼に新都心内のレストランで食事をするというものだ。 施設の職員でないボランティアの人たちとお話しできることや、施設の外で食事や買い物ができるのが好評だ。 さいたま新都心のボランティアマネージャーは「活動のモットーは、様々な人とのふれあいを楽しむこと。」と語る。この街では、ハード面だけでなく、様々な人とのふれあいを通じた心のバリアフリーへの取組が行われている。
お食事遠足の様子
車いすでの移動風景
イ 島根県多伎町 全国で最も高齢化の進む島根県で、早くからバリアフリー化の推進に取り組んできた簸川郡の多伎町(平成17年3月の市町村合併により現在は出雲市多伎町)。 同町では、アンケート調査やバリアウォッチング(通行の阻害要因の現地点検)などを通じ、高齢者、障害者を含めた地域住民の意見を聞きながら、平成15年に交通バリアフリー法による基本構想を県内で初めて策定した。 同基本構想に基づき、町営の循環バス(低床車両)が導入されたほか、JR小田駅の改修工事(スロープの設置、手すりの取付け等)や、国道9号を中心とした歩行環境の整備(歩道の新設、標識・照明等の設置)などが進められている。 また、NPOや関連団体と連携し、鉄道利用補助ボランティア(鉄道駅の構内や駅周辺において案内や手荷物の運搬、乗降の支援などを実施)の育成を図るなど、ソフト面でのバリアフリー化にも取り組んでいくこととしている。
町民参加のバリアウォッチング
だれにもやさしい公共の足「LRV(Light Rail Vehicle)」 岡山県岡山市の市街を颯爽と走り抜ける新型路面電車の「MOMO」。岡山電気軌道が平成14年に導入したこの車両は、路面から乗降口までの高さが30cmと低く(従来は75cm)、車内の床面すべてがフラットな超低床車両。車内には、車いす利用者のための専用スペースや安全ベルトなどが設けられたほか、バリアフリー体験講習を受講した乗務員が必要に応じてサポートに当たる。また、車両の導入に併せ、停留所のかさ上げやスロープの設置作業も行われ、子どもやお年寄り、障害者でもスムーズな乗り降りが可能となっている。 「MOMO」の走行位置はインターネットや携帯電話、主要な停留所のLED表示機を通じてリアルタイムに配信されており、「MOMO」を利用したい地元市民や観光客らの利便性の向上に一役買っている。
「MOMO」車体
車いすでの乗降の様子
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