「海の日」を迎えるに当たっての内閣総理大臣メッセージ

国民の祝日「海の日(7月の第3月曜日)」は、海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願う日です。

この「海の日」が、国民の皆様が海の大切さについて改めて考える機会となることを願い、内閣総理大臣よりメッセージが出されましたので、御紹介いたします。



内閣総理大臣メッセージ

首相写真
内閣総理大臣・総合海洋政策本部長
石破茂

 令和7年の「海の日」を迎えるに当たり、心からお慶びを申し上げます。

 四方を海に囲まれ、世界第6位の広大な管轄海域を有する我が国にとりまして、「海」をいかしていくこと、そして、「海」を継承していくことは、非常に重要な課題でございます。

 今年は、1675年に、江戸幕府の命により、長崎の嶋谷市左衛門(しまや・いちざえもん)が小笠原諸島の父島・母島の探検調査を行ってから350年にあたります。
 当時の幕府は、母島に漂着、流れ着いて、自力で帰還した乗組員からの報告を受けて、調査隊を派遣しました。調査隊は一か月余り島を調査をし、この島が日本の一部であることを示す碑を設置をするとともに、実測図を作成しました。この調査が他の国に先んじて行なえたことが、その後の小笠原諸島の領有につながったとこのように言われております。
 小笠原村の島々を起点とする排他的経済水域は、南鳥島単独でも我が国の国土面積を超えるものです。嶋谷の探検調査がなければ、小笠原村の島々の領有は実現せず、ひいては、我が国の広大な排他的経済水域(EEZ)、その確保も困難であったに違いありません。
 昨年、国連海洋法条約に基づいて、小笠原海台海域の大部分を、我が国の延長大陸棚と定めました。これによって、我が国はこの海域の海底資源の探査や開発に関する主権的権利の行使ができるようになりました。これも、小笠原諸島を領有できたからこそ、実現できたものでございます。

 このように、我が国の領土、領海、排他的経済水域は、我が国の先人達のたゆまない努力によって獲得され、あるいは守られてきたものでございます。 私たちは、先人達の努力に思いを致しながら、我が国の豊かな海を守り、そして次の世代へと引き継いでいかなくてはなりません。 そのためには、国民の皆様に、海の大切さを御理解いただくとともに、海の魅力を知っていただくことが大変重要です。しかし、最近、国民の皆様方が海に親しむ機会が減ってきております。海水浴場も減りました。臨海学校も少なくなりました。私たちがこどもの頃とは随分と変わってきたような気もいたしております。これは、我が国にとって、大変心配なことだなと私は思っています。
 今日の「海の日」が、国民の皆様方が海に親しむ良い機会となりますことを心より願っております。 皆様におかれましては、是非とも、この夏に、御家族やお友達などと御一緒に、海水浴、釣り、シュノーケリングなどのマリンレジャー、臨海学校、船旅など安全を第一にしながら楽しんでいただいて、海への学び、関心、あるいは海への恐れ、そういうものを深めていただければいいなと心から思っております。

 結びに、海が我々にもたらしてくれる恵みに感謝するとともに、島国国家ではない海洋国家としての日本、そして世界の、ますますの繁栄と平和を願って、海洋政策を我が日本国として着実に進めていくことをお約束申し上げ、本日の「海の日」のメッセージといたします。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

令和7年7月21日

内閣総理大臣・総合海洋政策本部長 石破茂

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