勲章・褒章制度の概要
1 勲章
(1)春秋叙勲
生存者に対する勲章の授与は、昭和21年5月3日の閣議決定により一時停止されていましたが、昭和38年7月12日の閣議決定により再開されることになり、その第1回の叙勲(賜杯を含む。以下同じ。)は、昭和39年4月29日付けで、各界の功労者に対して授与されました。その後、現在に至るまで春秋叙勲として毎年2回、春は4月29日付けで、秋は11月3日付けで授与されています。
候補者は、栄典に関する有識者の意見を聴取して内閣総理大臣が決定した「春秋叙勲候補者推薦要綱」に基づき、各省各庁の長から推薦されます。内閣府賞勲局は、推薦された候補者について審査を行い、原案を取りまとめます。その後、閣議に諮り、受章者が決定されます。
受章者は、大勲位菊花章、桐花大綬章、旭日大綬章及び瑞宝大綬章を、宮中において天皇陛下から親授され、旭日重光章及び瑞宝重光章を、宮中において内閣総理大臣から伝達されます。また、その他の中綬章等の勲章並びに銀杯及び木杯にあっては、各府省大臣等から伝達されます。いずれの場合も、受章者は勲章を着用し、配偶者同伴で天皇陛下に拝謁します。
(2)危険業務従事者叙勲
春秋叙勲とは別に、警察官、自衛官など著しく危険性の高い業務に精励した者に対する叙勲で、平成15年11月から開始されました。
候補者は、「危険業務従事者叙勲受章者の選考手続について」(閣議了解)に基づき、関係大臣から推薦されます。内閣府賞勲局は、推薦された候補者について審査を行い、原案を取りまとめます。その後、閣議に諮り、受章者が決定されます。
春秋叙勲と同じく、毎年4月29日及び11月3日付けで授与されます。また、受章者は勲章を関係大臣から伝達され、勲章を着用し、配偶者同伴で天皇陛下に拝謁します。
(3)高齢者叙勲
春秋叙勲によって勲章を授与されていない功労者に対しては、年齢88歳に達した機会に勲章を授与することとし、昭和48年6月以降、毎月1日付けで実施しています。
(4)死亡叙勲
勲章の授与の対象となるべき者が死亡した場合には、春秋叙勲とは別に随時勲章を授与しています。
(5)外国人叙勲
外国人叙勲は、国賓等の来日や駐日外交官の離任に際して実施する儀礼的色彩の濃い叙勲と、我が国との友好の増進等について顕著な功労のあった外国人に対して実施する叙勲とに分けられます。いずれの場合も、外務大臣からの推薦に基づき行われています。
後者については、昭和56年秋から春秋叙勲と時期を合わせて実施しているほか、功労のある者が来日又は離日する等の機会をとらえて勲章を授与することが適当と認められる場合には、春秋叙勲の時期とは別に個別に実施しています。
2 文化勲章
文化勲章は、我が国の文化の発達に関して顕著な功績のあった者に対して授与される勲章です。
受章者は、文化審議会に置かれる文化功労者選考分科会に属する委員全員の意見を聴いて文部科学大臣から推薦された者について内閣府賞勲局で審査を行い、閣議に諮り、決定されます。
受章者は、毎年11月3日の文化の日に、宮中において天皇陛下から親授されます。
3 褒章
(1)春秋褒章
自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した方を対象とする紅綬褒章、ボランティア活動に従事し顕著な実績を挙げた方を対象とする緑綬褒章、農業、商業、工業等の業務に精励し他の模範となるような技術や事績を有する方を対象とする黄綬褒章、科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方を対象とする紫綬褒章、会社経営、各種団体での活動等を通じて、産業の振興、社会福祉の増進等に優れた業績を挙げた方又は国や地方公共団体から依頼されて行われる公共の事務(保護司、民生・児童委員、調停委員等の事務)に尽力した方を対象とする藍綬褒章があります。
これらについては、毎年春は4月29日に、秋は11月3日に、春秋叙勲と同日付けで授与されます。
(2)紺綬褒章
公益のために私財(個人は500万円以上、団体は1,000万円以上)を寄附した者を対象とする紺綬褒章は、表彰されるべき事績の生じた都度、各府省等の推薦に基づき審査をし、授与を行っています。
国、地方公共団体又は公益団体(公益を目的とし、法人格を有し、公益の増進に著しく寄与する事業を行う団体であって、当該団体に関係の深い府省等の申請に基づき賞勲局が認定した団体)に対する寄附が授与の対象となります。
※地方公共団体等への寄附について、寄附者が当該寄附に対する返礼品(記念品の類を除く)を受領した場合は、紺綬褒章の対象となりません。
(3)遺族追賞
褒章条例により表彰されるべき者が死亡した場合には、その遺族に杯又は褒状を授与することにより、これを追賞しています。
勲章・褒章等の種類及び授与対象
勲章・褒章等の種類及び授与対象については、以下で紹介しています。