国連経済社会理事会 E/ESCAP/APDDP/1 2002年8月21日 原文:英語 (内閣府仮訳) 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP) 「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」最終年ハイレベル政府間会合 2002年10月25-28 日 滋賀県大津市 「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題実施に関する達成状況レビュー (暫定議題4) 「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」の行動課題の実施に関する 国内レベルでの進ちょく状況 要約 「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」は、2002年に終了する。この「十年」のテーマと目標は、アジア太平洋地域における障害者の完全参加と平等の促進である。41のESCAP加盟国及び準加盟国は、「アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等に関する宣言」に署名した。  この「十年」を通じて2年ごとに行われたレビューの過程では、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題におけるいくつかの政策領域で、目覚ましい成功があったことが示された。これらには、国内調整、立法と政策、訓練と雇用、障害の予防及び障害者の自助団体などが含まれる。一方、域内における障害者に関する包括的データが継続的に欠如していること、障害児の教育へのアクセス率の極端な低さは主たる懸念領域となった。それらに対する各準地域の進展は不均一であり、北部及び中央アジアと大洋州の諸国や地域では、行動課題への取組が遅々としている。  ESCAPは、2002年5月の決議58/4により、21世紀のアジア太平洋地域における障害者のためのインクルーシブで、バリアフリーかつ権利に基づく社会を促進する観点から、「アジア太平洋障害者の十年」の延長を宣言した。 本レポートは「アジア太平洋障害者の十年」最終年ハイレベル政府間会合に向けて準備されたものである。 目次(ページ略) 序 A. アジア太平洋障害者の十年(1993-2002) B. レビューの過程 一.「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題実施における達成状況及び直面した阻害要因に関するレビュー A. 国内調整 B. 立法 C. 情報 D. 啓発広報 E. 施設の整備及びコミュニケーション F. 教育 G. 訓練及び雇用 H. 障害の予防 I. リハビリテーション J. 介助機器 K. 自助団体 L. 地域協力 M. ジェンダー 二.教訓及び改善のための優先事項 三.結論 添付資料. 「アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等に関する宣言」の署名国及び地域、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題の実施状況に関する2001年ESCAPアンケートへの回答(略) 序 1.本稿の目的は、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題の実施と目標の達成に向けてなされた国内レベルでの進ちょく状況についてレビューを行い、直面した阻害要因について認識することである。この「十年」の課題と目標は、アジア太平洋地域における障害者の完全参加と平等の推進である。本稿はまた、学んだ教訓を報告し、一層の活動を行うべき分野の優先順位を認識し、いくつかの好事例に焦点を当てる。 A.アジア太平洋障害者の十年(1993-2002) 2.国連アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP)は、「国連障害者の十年(1983-1992)」の終わりに1992年4月23日の決議48/3により、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」を宣言した。その目的は1992年以降のESCAP地域における「障害者に関する世界行動計画」の実施に新たな刺激を与え、世界行動計画の目標、特に障害者の完全参加と平等に関する目標達成に影響する諸問題の解決のため、域内の協力を強化することである。「アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等に関する宣言」への署名は、1992年12月、北京において開催された「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」開始会議において採択された。 3.1993年第49回総会において採択された「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題は、12の主要な政策領域から構成される。これらに含まれるのは国内調整、立法、情報、啓発広報、施設の整備及びコミュニケーション、教育、訓練と雇用、障害の予防、リハビリテーション・サービス、介助機器、自助組織、地域協力である。この「行動課題」はESCAP地域の政府にとって、障害者関連プログラムの政策、計画、実施を進める上での効果的な指標となった。 4.2002年7月までにESCAPの41の加盟国及び準加盟国が、「アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等に関する宣言」に署名した。署名日は1992年から2000年にわたるが、最近署名に至ったのは、大洋州及び中央アジアの政府である。このことは、これらの2つの準地域については参加率がより低く、行動課題への取り組み期間がより短期であることを示している。 5.「十年」は2002年12月をもって終了する。「アジア太平洋障害者の十年」最終年ハイレベル政府間会合が、日本政府と滋賀県との共催により、2002年10月25日より28日まで、日本の滋賀県大津市において開かれる。決議58/4によりESCAPは、すべての加盟国及び準加盟国が積極的にこの会議に参加し、行動課題実施の成果のレビューを行うように促した。ESCAPは決議58/4に基づき、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」を、更に10年延長し、2003-2012年とすることを宣言した。 B.レビューの過程 6.1992年4月23日決議48/3、1993年4月20日決議49/6、1998年4月22日決議54/1のそれぞれに従い、ESCAPは2年ごとに「アジア太平洋障害者の十年」の目標達成に向けての進展状況をレビューし、評価してきた。2001年には各政府の担当者あてに行動課題の12の政策領域における実施状況に関するアンケート票を送付し、地域調査を行った。調査では、「十年」の間の主な達成事項と優先改善領域について回答を求めた。 7.当報告は、「アジア太平洋障害者の十年」最終年ハイレベル政府間会合を念頭に準備された。当報告書作成においては、2001年の地域調査からのデータを、それ以前の再検討会議、その他の会議報告書、行動課題実施のためにとられた活動に関する文書により補った。本報告書はESCAPアンケート調査票への33件の回答に基づいている。参考資料として宣言への署名国リストと2001年地域調査への回答を添付した。 一.「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題実施における達成状況及び直面した阻害要因に関するレビュー A.国内調整 8.アジア太平洋地域の27政府が障害者に関する国内調整委員会を設立しているが、そのうち22政府は「アジア太平洋障害者の十年」の宣言の後に委員会設立に着手し、そのうち12政府の委員会には行動課題における12の政策領域を反映した下部委員会を設けている。他の7か国・地域においてもこのような調整委員会の設立が計画されている。国内の政策及び行動計画は16か国・地域で策定され、他の13か国・地域でその策定が進行中である。 9.回答国の過半数(17)は、国内調整委員会を社会福祉省の下に設置していると回答した。障害がいまだ、主として福祉の問題であると認識されていることを示している。さらに、国家及び準国家レベルでの政策立案、予算及び評価プロセスを含む支援・実行を通じて、多部門かつ多重階層構造を持つ国家機構がどの程度まで行動課題を効果的に実施しているか、という点が明らかではない。 10.特にバングラディシュ、中国、フィリピン、スリランカ、タイでは、特別に設けられた障害者協議委員会と定期的に協議を行っていると報告している。タイでは全ての地域委員会において4人の障害者が委員であることが求められている。 11.インド、フィリピン、タイ政府では、障害者問題を人権及び貧困の問題を含めた国の開発計画に含めるという、意義深い進展が見られた。 12.レビューにおいては、障害者の完全参加と平等という目標に向けた取組を阻害する主要因は、障害者を開発の問題として認識する視点が恒常的に欠如している点であると指摘した。国から草の根レベルまでの政策立案と実施、及びモニタリング・評価のメカニズムを組み込んだ制度が真剣に求められている。 B.立法 13.障害者の平等に関する権利は、フィジー、インド、マレーシア、及びタイの憲法において、明確に規定されている。ESCAP地域の13政府は包括的な障害者法を可決し、11政府が「障害者の十年」を発端としてこれに乗り出した。11の政府とは、バングラデシュ、フィジー、香港(中国)、インド、インドネシア、モンゴル、ニュージーランド、ロシア連邦、スリランカ、トルコ及びベトナムである。4つの太平洋準地域を含む9つの政府は、立法手続きを準備している。27政府は、拡張的・追加的な特別法もしくは規則を制定したと報告した。中国及び日本政府は、現行法への大規模な修正を行った。 14.オーストラリア、中国、香港(中国)、インド、日本、フィリピン、マレーシア、ニュージーランドにおいては反差別法の強化及び立法化の手段がとられた。1995年に制定された香港(中国)における障害者差別法令は、特に優れた事例である。法令の強化により障害者の権利を守るための独立の法定機関である機会均等委員会が設立され、障害者は自らの苦情を法廷による解決に持ち込む権利を有するようになった。 15.立法に必要なことは、障害者に対する差別からの保護と権利の強化を確実にすることである。この目標に対する主な阻害要因は、政府が立法強化及び罰則適用の厳格なメカニズムを確立していないことであった。 C.情報 16.「十年」の間、多くの政府が障害者についてのデータを収集するための活動を行った。中国、インド、クック諸島を含む9つの政府は、国家規模での障害者データベースを開発したと報告した。5つの政府は国家規模でのデータベースの開発に向け計画中であると報告した。さらに、8つの政府において、国民人口統計調査に障害に関する質問を取り入れることが報告された。インド及びフィリピンにおいては人口統計データが他の利用可能な国内データとリンクされた。障害者関係の多くの領域をカバーする特定目的のデータベースの構築は多くの国で行われ、障害児の教育への参加を促すためのデータ収集の事例は、バングラデシュ、ミクロネシア(連邦)、パキスタン、及びサモアによって示されている。シンガポールのデータベースは、障害者の産業プロファイルや雇用機会を中心に構築されている。5つの政府においては、障害者が利用可能な各種サービスについて、利用者情報を収集するためのデータベースが構築された。太平洋諸島経済域においては最近、障害に関する包括調査(クック諸島)及び特定課題調査(サモア)が行われた。さらに、フィジー、キリバス、パプアニューギニア、ソロモン諸島で調査が計画されている(2002-2003年)。データベースは、特殊なあるいは広範かつ多様な利用が可能となるように、政府、非政府組織その他障害者問題の関係者により設計されている。 17.障害者関連情報はアクセス可能なウェブ・サイトの利用増加と共に、広く一般に共用されている。 18.韓国は障害者についての国内調査を5年ごとに行っている。データが収集されたことにより、社会経済的状況、失業、コンピューターへのアクセスなどの様々な分野での障害者と非障害者との状況比較が可能となった。この調査結果は、両者間の不平等に対処するための政策変更に役立った。 19.こういった取組の実施と進展をレビューし評価するための政策と手段を形成するためには、信頼できるデータが最も重要であると考えられる。しかし、この地域の様々な事情を考えると、収集されたデータは障害者全体を反映しているわけではなく、データ収集方法は不透明であることから、データの比較は無意味である。こういった制約は、用いられた概念的枠組み、調査の範囲と対象項目、また、使われた定義、分類、方法論によって一部引き起こされるものである。その結果、障害者問題が手つかずに置かれる。障害の定義と分類の共通の体系が、当該地域において適用されていない点も認められる。こうした関係において、世界保健機構(WHO)により2001年5月に発表された国際障害分類(ICF)をより広範に活用することが重要となろう。 D.啓発広報 20.障害者に対する啓発広報は、担当する複数の部局によって、より頻繁に行われるようになっている。多くの政府が啓発活動に対して財政支援を行っている。香港(中国)は「十年」の終了を記念する祝典のための特別予算を計上した。モンゴルは2001年を「障害者プロモーションの年」と宣言し、目覚ましい成果を残したことを報告した。 21.障害者のスポーツ活動は伝統的に強く支持されているが、文化・芸術活動なども注目を集めてきている。マレーシア政府は2001年文化・芸術フェスティバルを主催したことを報告した。タイにおいては「全人類のための芸術」プロジェクトが1999年にスタートし、毎年恒例の行事となった。そこには地域の有名な芸術家、障害を持つ子供や若年者等が集い、彼らの才能を開花させるための、他に類を見ない機会が与えられた。 22.障害者に対する認識を高め、特定のグループやより多くの人々を教育するという各種キャンペーンは、精神衛生の問題や教育、予防に対する理解と受容という課題に取り組んできた。例としてインド政府は最近、22の地区において障害者の能力についての認識を生み出すための試験計画を開始した。さらに当政府は公務員になるための国立の行政教育機関において、障害者問題の科目を導入した。このような発案は域内に普及して効果をもたらす可能性がある。 23.「アジア太平洋障害者の十年」のためのキャンペーンは、それらが行われている諸国・地域における障害者に関する意識の向上に対し、多大な影響を与えてきた。このキャンペーンには日本(1993年)、フィリピン(1994年)、インドネシア(1995年)、ニュージーランド(1996年)、韓国(1997年)、香港(中国)(1998年)、マレーシア(1999年)、タイ(2000年)、ベトナム(2002年)が含まれる。最終キャンペーンは2002年10月に日本の大阪で開催される予定である。 E.施設の整備及びコミュニケーション 24.障害者が直面する最も深刻な問題は、物理的環境とコミュニケーションに対するバリアである。多くの政府によって、この分野で若干ではあるが取組が行われてきた。地域内で、24政府がアクセス可能な環境及び交通機関の整備に関する立法や基準の法制化を完了もしくは作業中である。だが強化メカニズムや遵守を奨励するようなシステムを設けている国はほとんどない。アクセス可能な環境の達成に向けての取組は、19の政府により報告された。オーストラリア、香港(中国)、日本、ニュージーランド及びシンガポールでの達成レベルは、注目に値する。中国、インド、タイにおいてはかなりの進展が報告された。アクセス可能な交通システムの提供に向けての取組は、香港(中国)、日本において発展した。大洋州においては、フィジーにおいて若干の進展が見られた。国の訓練機関の中には、最近になって、この問題を、職業訓練の問題として捉えるようになった機関もある。 25.コミュニケーションへのアクセスについては、中国及びタイなどの国々では、点字や手話の使用が広まっており、実際の使用やアクセスも多い。国民による手話辞書が開発されており、タイでは1999年に手話が聴覚障害者の公用語となった。聴覚障害者のための通訳は広く普及している。聴覚障害者のための字幕付け及びアクセシブル・テレフォニーは、極めて限られたベースではあるが利用可能である。 26.コミュニケーション技術及びコンピューターによる読み書きへのアクセスは、障害者の生活を変える可能性を有し、豊かな暮らしを追求する能力を大いに促進するものである。韓国で行われた障害者調査の情報によると、障害者のインターネットへのアクセスの機会は非障害者のそれより75%低く、両者間のコンピューター読み書きにおける不公平を是正するための手段を実施する法律が可決された。コンピューターへのフリー・アクセスが可能な香港(中国)、タイ、トルコにおいてもこの点に関心が高まっていることが報告された。 27.農村部や都心部の貧困状況の中で暮らす障害者の大多数にとっては、アクセスは明らかに制限されているか、全くない状態である。この問題は次の「十年」において大いに対処が求められる。 28.「アジア太平洋障害者の十年」は、全地域からサービスにアクセス可能であるような環境を実現するには至らなかった。関連法が可決されても、しばしば遵守されていない。この政策領域の状況改善のためには、民間部門とのパートナーシップにより、政府が一層の取組を行うことが不可欠である。 F. 教育 29.障害を持つ児童と青少年のための教育へのアクセスの欠如は、次の10年に政府が直面する問題の中でも、最も重要な問題の一つである。教育へのアクセスの欠如は、彼らに更なる成長をもたらす全ての機会を制限することとなり、貧困の原因となる。当地域23か国・地域の1999年調査による推計では、開発途上国の障害児のうち学校に通っているのはわずか2%から5%のみである。1 障害児数及び教育普及率についてのデータが無いため、教育サービスにアクセスしている児童の実際の人数が明らかであっても、進ちょく状況を測定したり、重要性を見出したりすること困難である。 30.状況が改善されつつあるという事実はある。すべての児童に対する教育を義務づける法律が、20の政府で可決もしくは計画されている。しかし、障害児が確実に国家教育の全プログラムを受ける機会があると回答したのは、わずか7政府のみであった。22の政府がこの分野でのデータが不足していると報告している。また、資金援助は27政府において行われている。 31.教育へのアクセスは、特殊学校を提供するという形態が支配的であったが、インクルーシブな教育の提供が増加している。27の政府は、障害を持つ児童及び若年者が普通学校へ通うケースを数件報告した。中国では1993年、すべての子供に対する義務教育が定められた。1992年から2000年にかけて障害を持つ児童や若年者の就業者数は20%から70%へと増加した。インド政府は障害児の集中的教育システムと「地域初等教育プログラム」を導入した。これにより、30万人を超える障害児が普通学校に通うようになった。教育にアクセスする障害児の比率のデータは公表されていない。トルコでは1997年、教育に関する前進的な法律が可決された。この法律では、障害児が早期処置、就学前教育、小学校、中学校、高校教育を普通学校において受けることができるよう定められている。ラオス人民民主共和国では1993年からインクルーシブ教育が実施されており、全国から集まった25人の子供にサービスを提供する障害児のための学校が設置された。2001年にはすべての州がいくつかのインクルーシブ学校を持つようになり、2005年までには全141地区が少なくとも3校のインクルーシブ学校を持つようになる。 32.教師の訓練は、養護学校においてもインクルーシブ学校においても、障害児に適切な質の教育を提供し、成果をもたらすための極めて重要な要因である。1993年からのフィジーを含む18の回答国は、普通学校の教師向けに必要な技術を訓練する用意があると回答した。太平洋準地域においては遠隔地教育が広く利用されている。 33.普通高等教育及び通常の訓練施設へのアクセスも増加しているものの、限りがある。 34.「2015年までに万人に教育を」は、「ダカール行動枠組み」、「ミレニアム開発目標」において共有された目標であるが、この目標は、この領域における政府及び市民社会による更なるコミットメントがなければ達成されないであろう。 G. 訓練及び雇用 35.障害者の失業及び貧困についての統計上の数の多さを考えると、当該地域の多くの政府が訓練と雇用に真剣に取り組んでいることは、時宜を得ており、前向きなものである。職業訓練サービスの実施を報告した27政府のうち5政府は、こうしたサービス確立の初期段階にある。9政府は職業訓練の集中的準備に向けて動き出していると報告した。香港(中国)においては2000年現在、スキル・センターの卒業者の80%強が一般採用で職を見つけた。独立の職業訓練センターでの訓練の質と適合性は、独立型・統合型それぞれの環境に対応した訓練要因の養成同様、極めて重要な問題である。 36.障害者の雇用を促進するため、多くの方策が用いられてきた。割当制の実施が12か国で報告された。多くの国が割当てを3%に設定している中で、インドは地方政府に対する要求を5%にし、貧困削減プログラムからの資金を供与した。その施行に当たっては奨励金と罰金の制度が広く利用された。追加方策として、職業斡旋機関、職業紹介支援センター、賃金補助、職業指導、トライアル採用及び産業プロファイリングなどが含まれる。スリランカにおいては障害者に対する雇用者ネットワークが形成された。イランの労働組合は、政府との共同作業を行っている。 37.小規模の助成金供与や小額短期融資、ローンなどを通じ、自営や所得創出を促進する方策は、バングラデシュ、インド、マカオ(中国)、タイ及びベトナム等で実施された。これらの政府の報告によると、農村地域の障害者の雇用に特に焦点を当てている。中国政府は1992年から2000年の間に農村地域の障害者の雇用率は60%から80%へ上昇したと報告した。サモアにおいては全国、特に農村地域をターゲットとした、障害を持つ青年の統合的職業訓練及び雇用に焦点を当てたプロジェクトが始まった。ソロモン諸島では農村における地域に密着したリハビリテーション・サービスの一部として、所得創出が奨励されている。 38.1983年に国際労働機関(ILO)によって採択された障害者の雇用及び職業リハビリテーションに関する条約は6政府が批准した。日本政府は民間部門における重度障害者の雇用促進を開始し、障害を持つ女性全体の状況を調査している。 H.障害の予防 39.回答があったうち25か国が総合的な保健プログラムの中に障害予防戦略を持っている。包括的な障害予防プログラムは、バングラデシュ、中国、インドその他の国々で実施された。中国では、知的障害の主原因を予防するため、いつでも活用できるよう強制的にヨードを用意するなど、国家的規模の予防策が都市、農村、移民社会をターゲットとして実施されている。バングラデシュは、政府自ら、予防注射の普及と集中的栄養プログラムを国の80%を網羅する形で実施した結果、乳幼児死亡率と障害発生率の低下を実現したと報告した。女性、少女及び伝統的な助産師を対象とした健康と家族計画に関する教育は、成果を生み出した。出生時の負傷に起因する障害を予防するため、訓練された伝統的な助産師がキリバスの離島でも利用されている。栄養教育の重視はフィリピン、スリランカ、ベトナムにより報告された。インドにおいては、障害原因を防止するための訓練を受けた草の根運動家とともに、100か所のリハビリセンターの建設が計画され、うち50か所が設立された。 40.23か国及び地域において障害が発生するリスクのある児童に関する調査が行われ、都市及び地域ベースの枠組みの中で、早期の認知及び処置サービスの下に、家族に対する研修や支援が行われた。これらのサービスは二次的障害の予防及び障害児の主たる介護者である家族への支援を提供するため、必要不可欠である。 41.予防プログラムには職場での安全、交通事故の防止や、ある場合には地雷による負傷の予防が含まれる。障害の原因として、徐々に認識されている金属疾患の予防については、限定的な言及に留まっている。2001年、ニュージーランド政府は、ポジティブな高齢化と障害予防の観点から策定された高齢者の健康に関する戦略を発表した。 42.障害の予防は、世界行動計画の3つの優先的対象の1つであり、多くの政府によって取り組まれてきた。母親の栄養失調や出生前後の不適切なケア、妊娠合併症及び予防可能な乳幼児疾患を原因とする新生児の障害件数を減少させるためには、継続的な努力が必要である。 I.リハビリテーション 43.回答国のうち26か国でリハビリテーション・サービスが行われており、そのうち、22か国でCBR(地域に密着したリハビリテーション)アプローチがとられている。バングラデシュの特記すべきモデルでは、3つの政府部局が100以上のNGOやいくつかの障害者団体と協力して域内の障害者にリハビリテーションを提供している。Center for Disability in Developmentでは、障害に対する地域アプローチや、障害に関する方法論とともに、開発の主流に障害者を取り入れている。Center for Disability in Developmentは地域のニーズ全体に焦点を置き、障害者のニーズをすべての地域開発問題と統合することによってこれに対応している。このモデルは国全体、地区及び地域間、そして最近ではヨーロッパにも普及している。 44.慎重な政策判断によって、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピンではCBRサービスが広く行われており、また、タイ、スリランカ、ソロモン諸島、ベトナムでは、それが急速に拡大している。こうしたサービスが網羅するのは人口の50%から75%であると推計されている。CBRの「都市版」としては、香港(中国)において開発された地域リハビリテーション・ネットワークがある。 45.「十年」の開始からCBR構想はこの地域においてより広範に実施されるようになり、障害の問題を地域開発の枠組みに統合する方策として適用する傾向が強まっている。CBRは、障害者問題を医療や福祉の問題としてではなく、基本的には地域開発の問題として取り組むとしている。障害者は徐々に意思決定者、行動者そしてリーダーとしての役割を担うようになった。 46.域内の多くのリハビリテーション・サービスは、いまだに都市及び機関ベースのものである。それらに欠けているのは、障害者とその家族を、リハビリテーション・ニーズに対応するための問題解決アプローチのパートナーとして役割を与える協議型・参加型のメカニズムである。農村地域におけるサービスの欠如は、貧困に置かれる農村居住の障害者の増大につながる。 47.障害者の家族への支援に関する資料は極めて少なく、その面は懸念されるべきである。多くの家族メンバーが障害者メンバーの特別な支援ニーズによって影響を受けるものであるとすれば、彼らのサービスへのニーズには特に配慮が必要である。 J.介助機器 48.およそ20程度の政府から介助機器を生産している旨の報告があった。中国政府は介助機器提供のための大規模な国家的ネットワークを確立し、独自の技術と素材をその生産に広く活用している。インド政府はやはり独自の技術と素材とを用い、インド義肢製造会社を設立した。当社は幅広く多様な製品と全国的な流通機構を有する。フィリピンでは、介助機器の開発に対するプロジェクト・チームが設立された。日本、シンガポール、タイでは調査センターが設立された。ロシアは200を超える生産工場を有する。ウズベキスタンでは3つの生産センターが生産を開始し、国全体で9つに拡大する計画を有している。カンボジアでは矯正学及び補綴学の学校が設置された。 49.介助機器の購入のための給付金あるいは財政支援が供与されている。基準が定められているのは、4か国のみである。介助機器の輸入に対して関税を撤廃している政府はわずかである。輸入及び拡張的な自国生産にもかかわらず、バングラデシュでは介助機器、特に品質の良い介助機器に対する需要を満たせないことが報告され、ニュージーランドも同様の状況であった。パプアニューギニアは、介助機器のメンテナンスと修理が不適切、困難、また高コストであることを報告した。 50.介助機器への需要の多くが満たされずにいる。政府がこの点への取組を優先的義務と考えなかったために、何百万もの障害者の完全かつ平等な参加への機会が、本来避けられるはずの制約のある状態に置かれている。最も深刻な状況にあるのは農村地域や大洋州の小国・地域であり、寄贈者から寄付が介助機器供給の唯一の手段であり、需要が十分に満たされていない。適切な技術及び地域の能力が強化される必要がある。 51.このような重要な領域において存在する深刻な状況は、問題の解決策を見い出すために、地域及び準地域の協力が、早急に必要とされることを示唆している。 K.自助団体 52.22か国において、国家的規模の障害者間組織、もしくは自助団体が組織されている。4か国がこうした団体を設立する過程にある。世界盲人連合及び世界ろう連盟は、国家的組織の拡張ネットワークを有する。17政府は、自助団体が国内の施策にインプットを行うことができるようにしており、12政府は自助団体の強化を図るために財政的な支援をしている。ニュージーランドとフィリピンにおいては、障害者組織へのリーダシップ・トレーニングが行われた。フィリピンは、自助団体の国民フォーラムを設立した。これらの成果は、これら地域の政府が自助団体に支援的になってきたこと、及び障害者問題において政府に助言を行うだけの価値を認めていることを示している。 53.キリバス及びソロモン諸島では、いくつかの自助団体は政府の支援なしで発展し、否定的な態度からの変化に影響を与えている。多くの本質的に異なる自助団体同士の調整が行われていないため、自助団体がその目的を効果的に訴えていく能力が弱くなっている。自助団体が障害者全体の利益を代表するという傾向は、前向きな進展である。 54.自助団体の草の根レベルの活動範囲に関する情報は少ない。バングラデシュ、クック諸島及びフィジーにおいてそういった活動は積極的に奨励されていることが報告された。インドネシア、マレーシア、スリランカその他では、自助団体は地域ベースのサービスにおいて重要なリーダーシップ的役割を担った。イランでは遠隔地に住む障害者への職業訓練を提供するいくつかの組織が、自助団体に改められた。太平洋諸島では、障害者家族による経済的組織が形成された。これらの組織は障害者とその家族に対し、適切な教育や特定の領域における他の問題について、強力な擁護を行い成果を得てきた。 55.アジア太平洋地域の障害者インターナショナル(DPI)は、22の障害者国民会議メンバーを有する。これらには、太平洋諸島経済領域の6つの組織が含まれる。オセアニアでは、DPIの地域事務所が2000年に設立された。当事務所は準地域内の多くの国を支援している。さらに、太平洋フォーラムのように、障害者関連の問題を、準地域における議題に組み入れるよう、強く訴えている。こうした調整は、政府と障害者に明らかに有益である。 56.政府は、障害者とその組織をパートナーとして認識する必要があり、国の開発において障害者関連の問題のすべてを彼らと協議する必要がある。このパートナーシップと協議の状況は、当該地域においてはいまだ達成されておらず、それに向けての進展も遅々としている。 L.地域協力 57.ESCAPレビュー会合及び2001年地域調査の結果から示されるものは、域内34政府による、「アジア太平洋障害者の十年」関連の域内行事への積極的な参加と協力である。障害者の参加の程度と性格は国及び地域により様々であったが、どのような程度であれ障害者の関与は積極的であると見られ、高く評価されている。こうした価値ある意見交換及び相互交流が継続することが望まれる。 58.多くの政府は、障害者関連問題に関連する種々の重要会議、ワークショップ、セミナーのホストを努め、地域での協力に大きく貢献した。これらには既に述べた中国、インド、韓国その他の政府が含まれており、これらの政府は「アジア太平洋障害者の十年」における各年の推進事業を主催してきた。ニュージーランドは太平洋準地域の唯一の主催国である。遠距離、コミュニケーションの欠如、コスト、言語の壁など様々な理由から北部及び中央アジアと太平洋準地域においては、行動課題への取組に限りがある。最近では、ESCAP太平洋オペレーション・センターとのより積極的な関わり合いが見られるようになった。 59.日本政府はこれまで、「アジア太平洋障害者の十年」事業の開始、実施に計り知れない支援と貢献を行い、全体として「十年」を成功に導くことができた。「十年」が支援する多国間、二国間の援助プログラムは、障害者やその家族、団体、その他のNGO、域内の政府、「十年」の目標を追求することに携わった他の国連の機関にとって非常に有益であった。日本政府による援助には、施設建設、フィジーの盲学生のためのコンピューター等を含む設備の供与、専門家及びボランティア、トレーニングとリーダーシップ・プログラム、多くの分野における技術支援、アジア及び太平洋の準地域における非政府組織、特に形成途上の自助団体に対する支援などが含まれる。障害者の完全参加と平等という目標への積極的な取組は、成果に対する計り知れない貢献となった。 M.ジェンダー 60.「アジア太平洋障害者の十年」行動課題実施におけるジェンダー要因に関する勧告が、1995年6月にバンコクで開かれた「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」レビュー会合において採択された。当会合は、第4回世界女性会議が北京において開催されたのと同年に開催された。女性障害者の状況に関する問題は、ジェンダー差別反対運動の主流から比べると、最小限の注目しか置かれなかった。9つの政府が、この最も無視され、取り残され、さらに社会の背後に隠れた障害者の集団について、自発的に報告を行った。 61.日本、フィリピン、スリランカでは、男女均等な障害者施策が行われている。パキスタンからは、ジェンダー関連のデータの報告があった。バングラデシュ、ブータン、フィジー、香港(中国)、インドネシア及びフィリピンは、女性障害者のネットワークが形成されている。ハノイでは、女性障害者の地域ネットワークが、2001年の推進機関中に形成された。フィジーでは、女性障害者のグループがフィジー国民女性会議のメンバーになっている。フィジー障害者連合は女性対策本部を設けている。フィリピンでは女性障害者に対するリーダーシップ・トレーニング・マニュアルが開発され、現在トレーニングが実施されている。女性障害者のためのリーダーシップ・トレーニングは、2001 年から2002年にかけてESCAP及び障害者インターナショナルによって遂行されてきた。こうした試みは、女性障害者が、障害者自助団体、主流擁護団体、より広いコミュニティーに彼女らが持つ特定の問題を含むよう主張していくための能力と自信を持つようになるまで続ける必要がある。 62.女性障害者は、女性であること、障害者であること、という二重の理由からの苦しみを抱えている。女性障害者に配慮しその向上を図ることを、この地域における将来の行動計画の中核とするべきであることは明らかである。 二.教訓及び改善のための優先事項 63.「アジア太平洋障害者の十年」行動課題は、それぞれの政府が障害者の完全参加と平等の達成を目指して行う障害者政策と実務において、重要な推進力と指針を与えてきた。最近になって宣言に署名した政府は、「十年」の期間を超えた将来の活動を進めるため、その12の政策領域と目標を持つ行動課題を維持することの重要性を強調してきた。域内の各国・地域はそれぞれ極めて異なる発展段階にあるため、障害者問題への介入のレベルは異なる。浮上した問題を開発の問題として取り組み始めた政府もある一方、まだ国内調整メカニズムを設立する過程にある政府、また行動課題によって与えられた青写真の重要性に気付いた段階の政府もある。 64.障害者問題へのアプローチは「十年」を超えて発展してきた。差別問題に対する方策と解決法の発展もまた必要とされてきた。障害者問題は単なる福祉問題としてではなく、人権問題としてより広く考えられるようになっている。アプローチに関するこうした移り変わりは、いくつかの政府が障害者問題に対し、ばらばらにではなく、包括的なやり方で取り組む傾向を見せ始めたことにも反映されている。主たる障害者問題への努力には、以下のようなやり方がある。すなわち、広く実施可能な反差別的手段によって障害者の権利を確保し、障害者問題を主な公益事業の開発に含めるというやり方である。これらにはアクセス可能な環境、コミュニケーション・システム、ユニバーサルデザイン、インクルーシブ学校等の教育制度、統合的訓練と雇用の枠組み及び地域ベースの支援システムなどが含まれる。 65.障害者がそれぞれの社会に完全参加し貢献しうる市民となるために、障害者と政府の両者が自らの役割や責任、及び相互の関係を再認識する必要がある。政府は自助団体を、政策発展プロセスにおける対等なパートナーとして認識する必要がある。この場合、自助団体は障害者問題にかかわるすべての意思決定における、正規の諮問機関的地位を有するものと認識される必要がある。これを達成するために政府ができることは、自助団体の発展を促し、彼らが主張とリーダーシップのスキルを高められるようにするための能力開発投資をすることである。 66.自助団体が政府と共に諮問機関的地位を築き、政策決定に影響を与えるようにするためには、自助団体は自らの組織内でどのような形で代表を送るかの問題を解決しなければならない。複数の障害に関するものがある一方で、単一の障害に関するものもあるというように、多種多様な障害者団体が存在する今日の状況は、女性障害者や農村地域の障害者の平等の問題、現在取り上げられていない知的障害や精神障害、及び複数の障害を有するグループの内包の問題と同様、解決されなければならない。解決を要する他の問題としては、障害児の家族や両親の組織が審議プロセスに含まれるようなメカニズムを構築していくことである。 67.障害者と貧困の間の関連づけや、農村に居住する障害者の大多数のニーズが満たされていない点などは、徐々に認識されるようになった。国内調整メカニズム、政策、及び実行機関は草の根レベルにまで広がる必要がある。障害者は、自らの直面する問題について、地域ベースの解決に貢献できるよう、能力を育成されなければならない。政府は弱い立場にある障害者の保健衛生、教育、訓練、雇用などのサービスへのアクセスを強化し、貧困の中に暮らす障害者の数を減少させるため、彼らが地域開発プログラムに統合されることを、確実にする必要がある。最近の世界銀行の推計によると、世界で最も貧困な人々の20%が障害を有していると言う。2 政府は、障害者をすべての貧困削減手段に含む必要があり、発展と基本的サービスへのアクセスが遠隔地や農村、都市の貧困の中に暮らす障害者に確実に到達するようにしなければならない。障害児の適切な教育へのアクセス率の低さと障害を持つ青年及び成人の失業率の高さに対し、早急に注意を向ける必要がある。 三.結論 68.この「十年」の課題と目標は、アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等の促進である。有用なデータと報告が合わせて示唆するのは、この目標は達成されはしなかったが、達成へ向けての重要な進歩が実現されたということであろう。発展にはばらつきがあり、極めて重点的な注意を要する地域もある。国内データベースの確立は、障害者とその状況についての正確な情報を提供するために必要不可欠であり、それなしには的確な事業を計画し、完全参加と平等の達成に向けての進展状況をモニターすることは困難である。バリアフリー環境や情報とコミュニケーション技術への平等なアクセスの欠如は、限られた数の都市環境に住むわずかな障害者を除き、障害者の完全参加を阻んでいる。教育へのアクセスを欠けば、アジア太平洋地域の障害を持つ児童と若年者の平等は達成されない。教育から排除されることにより、彼らはどんな機会や発展からも排除され、貧困生活に追い込まれる。そしてこうしたことが自己永続的、あるいは世代間サイクルとなり得るのである。この状況を覆すため、地域内での一層の有意義な行動が求められる。女性障害者を含む障害者とその組織の能力強化は、彼らが政府及び非政府組織とのパートナーシップの中で、彼ら自身の発展に対して責任を持つ場合の優先事項となる。 69.行動課題の政策分野の多くにおいて、いくつかの重要な成果を認識する場合、自己満足を警戒する必要がある。添付資料中に列挙されたESCAP地域の57か国・地域のうち、41が「アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等に関する宣言」に署名した。だが署名したすべての政府が行動課題達成へ向けての政策の実施について、重要なステップを踏み出したわけではない。多くの政府が最近になって宣言に署名したため、行動課題の目標を追求するための取組の初期段階にいるに過ぎない。データの欠如により、「アジア太平洋障害者の十年」の活動が、何パーセントの障害者の生活に影響を与えたか、また彼らの機会を拡張したかを確認することは難しい。「完全参加と平等」の達成のためには、更なる行動が必要であることは明白だ。 70.決議58/4により、ESCAPは「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002年)」の延長を宣言した。それは2002年を超えて、ESCAP地域における「障害者に関する世界行動計画」及び「アジア太平洋障害者の十年」行動課題の実施への、一層の推進力を与える、という考えに基づいている。 71.2012年までに我々アジア太平洋コミュニティーにおいて、開発と意思決定への参加の権利をも含めた全障害者の平等の権利が達成されることを確実にするため、地域及び準地域の十分な協力を伴う域内の各政府の取組が必要である。2012年には、アジア太平洋地域においては「到達されない領域への到達」という目標への取組がもはや必要なくなるようにしようではないか。「到達されない領域」のない地域へと。 添付資料 「アジア太平洋地域の障害者の完全参加と平等に関する宣言」への署名国及び地域、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」行動課題の実施状況に関する2001年ESCAPアンケートへの回答(省略) ※この和訳は、内閣府において便宜上仮訳したものであり、誤りを含む場合がありますので、引用される際は、必ず原文を参照して下さい。