障害者差別解消法 【合理的配慮の提供等事例集】 令和5年4月 内閣府障害者施策担当 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現のためには、合理的配慮の提供をはじめ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)で求められる取組やその考え方が、幅広く社会に浸透することが重要です。 また、令和3年には障害者差別解消法が改正され、令和6年4月1日から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されます。 障害者差別解消法の改正に伴い、今後、事業者や各相談機関が参考にできる事例の重要性が一層高まることが見込まれます。そのための一助として、このたび、「合理的配慮の提供等事例集」を改訂しました。本事例集は、関係省庁、地方公共団体、障害者団体などから収集・整理した事例を基に、想定事例も含めた事例集として取りまとめたものとなります。 この事例集を活用し、合理的配慮の提供をはじめ、障害者差別の解消に向けた取組の裾野が更に広がるとともに、障害者差別解消法の意義や趣旨などが、社会全体に一層浸透していくことを期待しています。 ただし、障害の種類は多様で程度も様々であり、また、事業者の状況も様々であることから、この事例集に掲載されている事例に類似した出来事であっても、そこで適切となる合理的配慮の提供等は掲載されているものと異なることがあります。この事例集を参考としつつも、実際の事案においては柔軟な対応が求められますので、個別の事案ごとに、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断してください。 ※雇用・就業については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによります。 目次 1.合理的配慮の提供事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (1)視覚障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 (2)聴覚・言語障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 (3)盲ろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 (4)肢体不自由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 (5)内部障害、難病に起因する障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 (6)知的障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 (7)重症心身障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 (8)精神障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 (9)発達障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54 2.環境の整備事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60 (1)視覚障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 (2)聴覚・言語障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 (3)盲ろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75 (4)肢体不自由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77 (5)内部障害、難病に起因する障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86 (6)知的障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87 (7)重症心身障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89 (8)精神障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91 (9)発達障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92 3.合理的配慮の提供+環境の整備事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94 (1)視覚障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96 (2)聴覚・言語障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97 (3)肢体不自由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98 参考・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99 ○障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(抄)・・・・・・・・・・・100 ○同一場面における不当な差別的取扱い/合理的配慮の提供/環境の整備に当たる事例・・・・・102 〇不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例/該当しないと考えられる例・・103 〇合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例/該当しないと考えられる例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105 ○合理的配慮の提供における留意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107 ○不当な差別的取扱い/合理的配慮の提供に関するQ&A・・・・・・・・108 ○社会モデルとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113 p1 1.合理的配慮の提供事例 p2 合理的配慮の提供事例 障害者差別解消法(第7条第2項、第8条第2項)は、行政機関等及び事業者に対し、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮を行うこと(合理的配慮の提供)を求めています。 これは、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものです。 合理的配慮の提供は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要があります。 ○事例紹介の見方 上段:障害者が困っていることや合理的配慮の提供の申出などを記載しています。 下段:どのように合理的配慮を提供したのかを記載しています。 p3 合理的配慮の提供事例 @視覚障害 【生活場面例:行政】 1-(1)-1 事例 役所に申請手続に来たが、慣れない場所なので、どこで受付すればよいのか分からない。 →驚かせることのないように、正面から「私は○○ですが、何かお手伝いしましょうか?」と声をかけて受付窓口まで案内した。 1-(1)-2 事例 研修会に参加したいが、会場での移動や研修会資料が読めるか不安である。 →移動しやすいよう出入口に近い席を受付窓口から介添えして席まで案内したり、研修資料をPDFやテキストデータにデジタル化して事前に送付した。 1-(1)-3 事例 書類等にマーカーで線を引いて説明をされても、色が同じに見えてしまうので分からない。 →該当箇所に数字や下線、波線等の印をつけて説明をした。 1-(1)-4 事例 図書館を利用するときに、蔵書の検索機を操作できず、書架のレイアウトも分からない。 →要望に沿って職員が検索機を操作したり、本を代わりに取ってくるなどの配慮を行った。 p4 1-(1)-5 事例 図書館で借りた本を点字化して読みたいので、作業のために貸出期間を延長してほしい。 →その本の貸出頻度を考慮しつつ、通常よりも延長した期間の貸出しを行った。 1-(1)-6 事例 図書館の見学ツアーに視覚障害者複数名で参加したい。 →説明者や誘導者による配慮がしやすいよう、視覚障害者の参加者の見学グループを少人数に調整した。 1-(1)-7 事例 博物館施設の見学イベントがあるので参加したい。直接触れることのできる展示物があるとありがたい。 →展示物に触れることは禁止されているが、差し支えないと思われるものについては触れてもよいこととした。 1-(1)-8 事例 視覚障害があるが、博物館で資料を閲覧、印刷したい。 →デジタル資料を紙に拡大印刷する方法や、印刷資料をPDFやテキストデータにデジタル化して提供するサービスを案内した。 1-(1)-9 事例 警察官が巡回連絡に来ると、本当に警察官なのか確認できなくて不安になる。 →初回は点字を付したCR名刺(※Community Relations 名刺:巡回連絡などで配布している)を渡し、その後は同じ警察官が訪問するようにした。 p5 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(1)-10 事例 まず整理券を取り、受付の順番になると整理番号がモニターに表示される仕組みであったが、表示されても気付くことができない。 →受付の担当者が整理番号を把握しておき、順番になったときには声かけを行った。 1-(1)-11 事例 列に並んで順番待ちをする場合には、並ぶべき列の終端や徐々に進んでいくタイミングが分からない。 →店員が順番について把握しておき、順番となるまで列とは別のところで待機できるようにした。 1-(1)-12 事例 盲導犬を連れたお客が来店したところ、他のお客から犬アレルギーだという申出があった。 →双方に御了解いただいた上で、お互いが離れた位置になるよう配席を変更した。 1-(1)-13 事例 盲導犬と温泉施設へ来たが、入浴している間に盲導犬を待機させる場所はあるだろうか。 →浴室や脱衣所に盲導犬の待機場所はないので、入浴している間は事務室で預かることとした。 1-(1)-14 事例 買いたい商品があるのだが、陳列棚のどこに置いてあるのか、また価格がいくらなのかが分からない。 →商品が置いてあるところまで案内し、価格や機能などの表示情報を読み上げてお伝えした。 p6 1-(1)-15 事例 弱視のため商品をタブレットで撮影・拡大して確認したいのだが、店内での撮影が禁止されている。 →情報保障のため、撮影は認めることとした。 1-(1)-16 事例 自分の好みに合う衣料品を購入したい。 →衣料品の形状や色について口頭で説明し、布地に触れて肌触りを確かめていただいた。 1-(1)-17 事例 銀行のATMや食堂の券売機などを使用したいときに、タッチパネル式になっていると操作できない。 →(ATMについては暗証番号を聞くことについて御了解いただいた上で)店員がATMや券売機などのタッチパネル操作を代行した。 1-(1)-18 事例 トイレの場所を聞いたときに入口まで案内してくれたのだが、複数の便器があるトイレだったので中で困ってしまった。 →同性の店員がいる場合には、トイレの中まで案内するようにした。 1-(1)-19 事例 駐車場から店舗までの通路にある点字ブロック上に、他の客の自転車が置かれており立ち往生してしまった。 →店舗まで店員が案内するとともに、点字ブロック上の自転車は駐輪場へ移動させた。 p7 1-(1)-20 事例 定食など複数の食器に分かれて盛り付けられている料理では、どこに何があるのか分かりにくい。 →店員が配膳するときに、食器の位置や料理内容について説明する配慮を行った。 1-(1)-21 事例 食堂における食事の受け取りなど、一人で食堂を利用することが難しい。 →食堂スタッフが誘導や食事の受け取りサポートを行った。 1-(1)-22 事例 インターネットの通信販売で商品を注文したところ、PDF形式の確認書類が電子メール送付されてきたが、その記載内容が画像として情報認識されており、読み上げソフトを使用することができない。 →印刷した確認書類をスキャナーで読み込んでPDF形式に変換していたが、テキスト情報が残るように、パソコン上で形式変換したものを送付した。 【生活場面例:教育】 1-(1)-23 事例 入学当初は特に、教室、階段、トイレの位置などが分からず、学校内の移動が不安になる。 →入学の際に学校内の歩行指導を行った。 1-(1)-24 事例 後で復習するときに使いたいので、授業を録音させてほしい。 →授業の録音は禁止されているが、障害の状況等を踏まえ、録音機器の使用を認めることとした。 p8 1-(1)-25 事例 黒板に書かれている重要な箇所について、赤色のチョークで強調されると、色覚障害があるため分からなくなってしまう。 →強調したい箇所があるときは、他の見やすい色のチョークを用いたり、カラーチョークではなく波線によって強調したりするなど、黒板の書き方を工夫した。 1-(1)-26 事例 通常のテスト問題用紙では印刷された文字が小さくて、弱視のため読むことができない。 →当該児童生徒の見やすいフォントを確認し、ポイントを上げてテスト問題用紙を作成した。また、弱視レンズや拡大読書器などの視覚補助具を使用できることとした。 1-(1)-27 事例 授業で使用する資料や授業中の黒板などの文字が小さくて、弱視のため読むことが難しい。 →授業で使用する資料のデータを提供して自身のタブレットPCで拡大できるようにした。また、授業中に黒板や紙媒体の資料を拡大するため弱視レンズなどの視覚補助具の活用やタブレット型端末で写真撮影を許可した。 1-(1)-28 事例 拡大文字を使う配慮の提供を受けているが、教材が大きくなり机からはみ出してしまう。 →座席配置を変更して、当該生徒等が2つの机を使えるようにした。 1-(1)-29 事例 視機能の低下があり、テストの問題文の読み取りに時間がかかる。 →定期考査等の時間延長や問題文の拡大を実施した。 p9 【生活場面例:医療・福祉】 1-(1)-30 事例 処方された2種類の点眼薬が同形状の容器であり、区別ができない。 →調剤する際に一方の点眼薬にテープを貼り、感触だけで判別がつくようにした。 【生活場面例:交通・移動】 1-(1)-31 事例 乗車券をクレジットカードで購入しようとすると署名を求められるが、視覚障害があり文字を書くことができない。 →本人に承諾の上、署名の代筆についてクレジットカードの関係機関に確認するとともに、複数の職員で対応した。 【生活場面例:災害等】 1-(1)-32 事例 避難所のレイアウトに慣れておらず、一人ではトイレに行くことが難しい。 →避難所のスタッフがいない間もトイレに行けるように、トイレまでの動線が分かりやすい場所を割当スペースとした。 1-(1)-33 事例 弱視により障害者向けの配慮を受けていたところ、他の被災者から「見えているのに不公平ではないか」と非難されてしまった。 →本人の希望を踏まえて、弱視も視覚障害であることについて、周囲の理解を得られるように説明を行った。 p10 合理的配慮の提供事例 A聴覚・言語障害 【生活場面例:行政】 1-(2)-1 事例 会話や筆談することが難しいため、音声出力と文字表示ができる携帯型の意思伝達装置を市役所内に持参したい。 →窓口でのやり取りが円滑になるよう、市役所内への当該機器の持参・利用が可能であることを御案内した。 1-(2)-2 事例 左耳のほうが聞き取りやすいので、参加予定の講習会では、講師に向かって右側の位置に配席してもらいたい。 →希望に沿う位置に配席した。 1-(2)-3 事例 会議の傍聴時にパソコンによるノートテイクを行いたいが、パソコンの持込みが禁止されている。 →一律にパソコンの持込みを禁止するのではなく、個別に判断して必要と認められる場合には持ち込めるようにした。 1-(2)-4 事例 会議での音声が聞き取れない。 →音声を文字に変換するアプリが搭載されたタブレットを提供し、当該タブレットを使用してもらうことで会議の内容を伝えた。 p11 1-(2)-5 事例 市が主催する連続講座にオンラインで参加したい。 →会場に要約筆記者を配置し、遠隔で要約筆記画面を視聴してもらった。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(2)-6 事例 食券制の飲食店で、呼ばれたらカウンターまで自分で取りに行く仕組みになっているが、呼ばれても分からない。 →呼ばれても分からないという申出があったので、身振りによって料理ができたことを伝えた。それでも気づかなかったようなので、店員が座席まで配膳した。 1-(2)-7 事例 飲食店ではメニュー表への指差しで注文しているが、細かい希望を伝えることが難しい。 →麺類を扱っているお店で、これまでは注文された麺類を出すだけだったが、筆談ボードを使うことによって、「固い麺か柔らかい麺か」、味付けについて「辛口か甘口か」などを店員が聞けるようになり、他のお客と同じように細かい注文にも対応できるようになった。 1-(2)-8 事例 イベント開催時に手話通訳者が配置されていたが、会場が薄暗くて手話がよく見えない。 →スポットライトを調整し、手話通訳者の立ち位置が明るくなるようにした。 1-(2)-9 事例 会員登録の内容を変更したいのだが、受付が電話のみのため手続を行うことができない。 →受付用ではないが他の業務で使っているFAXがあったので、そちらに新しい登録事項を連絡してもらい変更手続をした。 p12 1-(2)-10 事例 検定試験の開始前に監督者から注意事項が述べられるそうだが、口頭だと内容が分からない。 →注意事項を文章にしたものを配布した。 1-(2)-11 事例 携帯電話のキャリア変更手続の中に自動音声案内によるものがあり、聴覚障害者は自身で手続ができない。 →指定日時に自動で変更処理される方法や、実施希望日を伝えれば会社側による手動の手続もできることを案内した。 1-(2)-12 事例 ケーブルテレビ会社の社員が訪問してきたが、聴覚障害があるため口頭で説明を聞くことができない。 →聴覚障害者に対し、細かく書いたメモで説明を残すようにした。 1-(2)-13 事例 保険の加入手続をしたいが、聴覚障害があるため口頭での説明を聞くことができない。 →代理店の担当者が、筆談を交えながら保険内容の説明を行った。 1-(2)-14 事例 スマートフォン等決済アプリの登録手続の一部に、音声による確認が必要な部分があり、手続ができない。 →本人の了承を得た上で職員が本人に代わって手続を実施した。 p13 1-(2)-15 事例 お金を借りたいと思い無人の契約機店舗に行ったところ、ガイドフォンによる通話でしか契約手続ができず困っている。 →メールにて必要書類及び有人店舗検索リンクを案内した上で、無人の契約機ではなく店頭窓口での契約手続を行った。 1-(2)-16 事例 固定電話の移転手続が電話のみでの対応となっており手続ができない。 →書面での移転手続を行うこととした。 【教育場面例:教育】 1-(2)-17 事例 難聴がある影響で、授業を聞くこととノートを書くことの両立が難しいときがある。 →授業の撮影は禁止されているが、障害の状況等を踏まえ黒板の撮影を認めることとした。 1-(2)-18 事例 出席点呼を聞き取れないが、他の生徒と同じように返事をしたい。 →出席点呼をするときには、口頭だけではなく身振り・指文字・手話などを加えて、その生徒に自分の順番となったことが伝わるようにした。 1-(2)-19 事例 難聴のため、音楽の授業で扱う曲について、当日初めて聴くと内容がよく分からない。 →学習予定曲のCDを貸し出し、事前に聴いておくことができるようにした。 p14 1-(2)-20 事例 聴覚障害により聞き取りに困難があることから、音声のやり取りが必要なリスニング等の試験を受験することができない。 →リスニング等の音声のやり取りが必要な試験は、代替の課題を設けて点数を補えるようにした。 1-(2)-21 事例 聴覚障害があるが、学校で友人達とコミュニケーションをとりたい。 →本人の了承を得て、教員が他の生徒等に対して、本人とのコミュニケーションの際は、ホワイトボードに書く、実物や絵カード、図など視覚的な手がかりを用いる、話すときにゆっくり・はっきりと口元が見えるような話し方で伝えるといった方法を説明し、そのことにより簡単なコミュニケーションがとれるようになった。 1-(2)-22 事例 講義の内容が雑音で聞き取りにくいときがあるので、座席を配慮してほしい。 →教員の口元が見え、本人の聞き取りやすい位置に座席を変更した。 1-(2)-23 事例 遠隔授業で使用される動画に字幕が付いていないため、動画に字幕を付けてほしい。 →配信型の授業で字幕挿入の希望があった映像には字幕を付けるか、又は書き起こしテキストを作成した。 p15 1-(2)-24 事例 聴覚障害があるが、自動車教習所へ入所し、運転免許を取りたい。 →安全運転相談を行った結果を踏まえ、技能教習では必要に応じ筆談や音声を文字変換するスマートフォンアプリの活用を行うとともに、学科教習においても字幕を利用するほか、指導員は透明マスクやフェイスガードを使用し、教習生に一番前に座ってもらい読唇できるようにゆっくり・はっきりとした声で講義するようにした。またマンツーマンでの学科教習なども行った。 【生活場面例:医療・福祉】 1-(2)-25 事例 病院の待合室で診察順を待っているとき、呼び込まれても分からない。 →通常は診察室から次の受診者の名前を呼んでいるが、待合室の座席まで呼びに行くようにした。 1-(2)-26 事例 聴覚障害があり、電話でのやり取りが難しいため、病院との連絡はメールでしたい。また、家族の付添いが困難なので、診察中の要約筆記をしてほしい。 →緊急時以外は郵送により連絡するが、病院へ何か連絡などがある場合は事務職員宛てにメールするよう伝え、メールでやり取りした。また、診察中はポイントを筆談で伝えるようにした。 1-(2)-27 事例 病院でエコー検査を受けたが、検査技師が何を話しているのか分からない。 →エコー検査をするときは検査技師の手が塞がっているため筆談は難しいが、検査技師とは別のスタッフが筆談対応するようにした。 p16 【生活場面例:災害等】 1-(2)-28 事例 避難所で弁当の配給時間などのアナウンスがあっても、聞こえないので情報を得ることができない。 →掲示板やホワイトボードなどを用いて、アナウンス内容を文字化してお知らせするようにした。 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 1-(2)-29 事例 感染症の感染予防のため、お店で一定の距離を空けての会話が徹底されているが、耳元で大きな声で話してもらわないと聞き取ることが難しいので困っている。 →感染症の感染防止のため、耳元への大きな声の呼び掛けが難しいが、筆談器又はコミュニケーションボードの利用を案内し、希望に応じて対応した。 1-(2)-30 事例 日常生活で相手の口の動きから話している内容を読み取っていたが、マスクの着用で相手の口の動きが確認できず困っている。 →メモ、ホワイトボード、筆談器やコミュニケーションボードを使って案内した。 1-(2)-31 事例 授業を受けるときに先生の声をデジタルワイヤレス補聴器で聞き取り、口の動きで内容を読み取っていたが、先生がマスクを着用していると口の動きが読み取れない。 →生徒には教室の前方に座ってもらうとともに、教卓との間を透明シートで仕切り、教員はマスクを外して授業を行うようにした。 p17 1-(2)-32 事例 妊娠・出産に備えた個別の保健指導を受けたいが、マスク着用での応対では話している内容が分かりづらい。 →口元が見えるよう、フェイスシールドを着用して保健指導等を実施した。 1-(2)-33 事例 いつも店頭で筆談による投資相談をしていたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からお店が臨時休業となって相談ができなくなってしまった。 →感染防止策を講じた上で、事前に連絡をすれば面談が可能である旨をメールで説明し、希望により来店できるようにした。 1-(2)-34 事例 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、事業者のサービス提供受付窓口は当面の間休止すると言われてしまい、サービスが受けられず困った。 →メール・郵送でのやり取りによりサービス提供を行った。 1-(2)-35 事例 新型コロナウイルスワクチン接種会場での説明が聞こえない。 →接種会場での手話通訳を実施した。 【生活場面例:その他】 1-(2)-36 事例 自治会が主催する住民行事(球技大会)に、聴覚障害のある子供も参加できるよう配慮してほしい。 →事前に行われるルール説明会において、聴覚障害のある子供も参加する旨を伝えるとともに、他の参加者と一緒に競技できるよう音声ではなく視覚的に伝える工夫について話し合って合意形成を図った。 p18 1-(2)-37 事例 法律相談の申込みが本人からの電話のみとなっているが、聴覚障害があるため本人からの申込みができない。 →郵送で申込みをしてもらい、その返信で日程を連絡することにした。当日は、筆談を交えて相談を実施した。 p19 合理的配慮の提供事例 B盲ろう 【生活場面例:行政】 1-(3)-1 事例 会議に出席したときに、資料の事前送付がなく、また当日は点字化した資料が用意されていなかった。また、長時間の会議であったが、休憩時間が設けられていなかった。 →資料を事前送付するとともに、資料の概要を点字化して会議で配布した。また、議事進行に当たっては、適時休憩を挟んだ。 1-(3)-2 事例 通訳・介助者を同行して会議に出席したが、通訳・介助者については、座席が決まっておらず配布資料も準備されていなかった。 →盲ろう者と意思疎通しやすい位置に、通訳・介助者の座席と配布資料を準備するようにした。 1-(3)-3 事例 会議の終了予定時間が夜になっており負担が大きい。また、介助者は障害者を送迎してから帰宅することになるので、更に遅い時間になってしまう。 →夕方までに会議が終了するよう開催時間を変更した。 p20 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(3)-4 事例 飲食店に入ったが、混雑状況や空席状況が分からない。店員が声をかけてくれても聞き取れないことがあり困ってしまう。 →店員がそばまで行き、手のひらに「○」(空席がある)」か「×」(空席がない)かを指で書いてお知らせした。また、空席がある場合には、店員がそこまで案内した。 1-(3)-5 事例 受付窓口などでは、名前を呼ばれたり番号を電光掲示板に表示されたりしても分からない。 →そばまで行って直接合図して受付窓口へ誘導した。 1-(3)-6 事例 難聴のため筆談をお願いしたが、弱視でもあるので細いペンや小さな文字では読み取りづらい。 →太いペンで大きな文字を書いて筆談を行った。 1-(3)-7 事例 聴覚障害者向けのイベントに参加したところ手話通訳者が配置されていたが、弱視でもあるので手話が読み取りづらい。 →手話通訳者の直近の位置に配席した。 1-(3)-8 事例 聴覚障害者向けのイベントに参加したところ舞台上のスクリーンに要約筆記が表示されていたが、弱視でもあるのでスクリーン上の文字を読み取りづらい。 →本人が所持していたパソコンと要約筆記者のパソコンをつなぎ、手元のモニターにも要約筆記が表示されるようにした。 p21 1-(3)-9 事例 聴覚障害者団体の活動に参加しているのだが、視覚障害向けの配慮がなく、会報誌やイベント案内などの配布物を読むことができない。 →必要に応じて点字や拡大文字を用いた配布物を作成したほか、配布物の電子データを提供した。 1-(3)-10 事例 電話リレーサービス利用に関する問合せをしようとしたが、ホームページからメールフォームに入力する方法となっており、盲ろう者は使うことができない。 →問合せを電子メールでも受け付けた。 1-(3)-11 事例 飲食店で店員が水を運んできたことに気付かず、手を出してこぼしてしまった。 →コップの位置が分かるように、店員が水の入ったコップをお客の手に軽く触れて置くようにした。 1-(3)-12 事例 一人でもスポーツジムを利用できるように施設内を案内誘導してほしい。 →盲ろう者が一人で利用する際には、スタッフが手のひらに書くこと(手書き文字)でコミュニケーションをとりながら、スポーツジム内を案内誘導するようにした。 1-(3)-13 事例 スーパーのレジに並びたいが、足元にあるレジ待ちの位置を示す印が見づらくて並ぶことができない。 →店員がレジまで誘導した。次回以降の来店時も、店員が見かけたときに近くまで行ってレジまで誘導するようにした。 p22 【生活場面例:教育】 1-(3)-14 事例 入試(面接、小論文)の際に、通訳・介助者の派遣制度を利用したい。 →面接では、事前に面接方法や会場レイアウトなどについて打合せを行ってから実施した。小論文では、通訳・介助者が同席したほか、時間延長やパソコン使用許可などの配慮を行った。 1-(3)-15 事例 学校の授業を受けるときに、弱視難聴のため黒板が見えづらく、声も聞こえづらい。 →黒板が見えやすく、音声が聞き取りやすい位置に座れるよう座席を確保した。 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 1-(3)-16 事例 自治体のホームページにある相談窓口の連絡先が電話とFAX番号のみの掲載なので、自力で相談窓口とやり取りができない。 →通訳・介助員を介して電話相談をした結果、本人と相談窓口の担当者がメールでやり取りをすることにした。 【生活場面例:その他】 1-(3)-17 事例 障害者スポーツ大会に参加するのだが、弱視難聴の盲ろう者なので、スタート合図が分かりにくい。 →スタート合図者の一番近くのレーンに配置し、スタート合図はピストル音と光の両方を使って行った。 p23 合理的配慮の提供事例 C肢体不自由 【生活場面例:行政】 1-(4)-1 事例 車椅子を使用しているが、庁舎の玄関に大きな段差があって通れないので、携帯スロープを架けてほしい。 →庁舎では携帯スロープを準備しておらず、また重量のある大きな車椅子のため職員が持ち上げて段差を乗り越えることもできなかったが、通常は職員専用である段差が小さい通用口へ案内することで、庁舎に入っていただくことができた。 1-(4)-2 事例 申請書類の受付窓口が庁舎の2階にあるのだが、エレベーターがないため上がることができない。 →使用していない会議室など1階の適宜の場所まで担当職員が移動し、臨時に受付を実施することで対応した。 1-(4)-3 事例 申請書類に記入したいのだが、設置されている記帳台が高すぎて使うことができない。 →記帳台に代わるものとして、バインダーをお貸しした。 1-(4)-4 事例 手続の受付時間が指定されていたが、朝一の時間になっており、通勤で混雑する時間帯と重なってしまい移動の負担が大きい。 →混雑する時間帯を避けて移動できるように、受付時間の調整を行った。 p24 1-(4)-5 事例 頸髄損傷により体温調節機能が損なわれているが、出席する会議の部屋の冷房が不調で、室温が高い状態になっている。 →会議の部屋に扇風機や氷枕型保冷剤を用意した。 1-(4)-6 事例 役所の説明会に参加するときに出入りしやすいように後方の席を用意してほしい。 →出入りと移動のしやすさを考慮して後方に席を用意した。 1-(4)-7 事例 図書館を利用するときに、蔵書の検索機を操作できないので、どこに本があるのか探しづらい。 →要望に沿って職員が検索機を操作したり、手が届かない位置にある場合は代わりに取ってくるなどして、読みたい本を探せるようにした。 1-(4)-8 事例 平らなところは歩けるが、段差や傾斜があると負担が大きい。フォーラム会場は自由席とのことだが、何らかの配慮をしてほしい。目立つような配慮をされると恐縮してしまうので、できるだけ自然な配慮をお願いしたい。 →会場内の段差がない区域に「関係者席」として座席を確保しておき、そちらへ案内した。 1-(4)-9 事例 歴史的建造物の見学イベントに参加したいが段差が多い。車椅子で移動可能な範囲だけでも見学させてほしい。 →当日のスタッフの一部を案内役へ変更し、車椅子でも移動可能な順路で別途案内した。 p25 1-(4)-10 事例 県が主催するイベントに参加したいが、会場周辺のトイレや移動のための段差を解消してほしい。 →車椅子用トイレを整備している会場周辺の店舗等においてイベント開催時にはトイレを借りられるようにした。また、段差のある場所に携帯スロープを架けた。 1-(4)-11 事例 行政が契約している地下駐車場が改修工事のため、福祉車両が駐車できなかった。 →行政の担当者が工事業者と交渉し、資材等が置いてあるビル1階の共有スペースを空けてもらい、福祉車両が駐車できるスペースを確保した。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(4)-12 事例 商業施設の2階にある店舗へ行きたいのだが、エレベーターが故障しており上がることができない。 →裏口にある従業員用のエレベーターを使って2階まで上がっていただいた。 1-(4)-13 事例 店舗の出入口が押し引きして開けるドアのため、一人で出入りするのが難しい。 →出入口に着いたところで電話をかけてもらい、店員がドアの開閉を行った。 1-(4)-14 事例 商業施設で他のお客が多すぎて、通路を通れなかったり、エレベーターに乗れなかったりする。 →目的の売場まで店員が誘導を行った。 p26 1-(4)-15 事例 駐輪場に停めてある自転車が数台通路にはみ出ており、電動車椅子では通路を通り抜けることができない。 →電動車椅子が通れるよう、はみ出ている自転車を移動させた。 1-(4)-16 事例 飲食店へ行ったときに、まだ空きはあったのだが、車椅子のまま利用できる入口付近のテーブルは、すでに他のお客が使用していた。 →入口付近のテーブルを使用していたお客に御了解いただいた上で、車椅子のお客も利用できるよう配席を変更した。 1-(4)-17 事例 飲食店で車椅子のまま着席したい。 →机に備付けの椅子は片付けて、車椅子のまま着席できるスペースを確保した。 1-(4)-18 事例 飲食店で車椅子から備付けの椅子に移動して着席したい。 →移るときにふらつくことのないよう椅子を押さえたり、車椅子を空きスペースで預かったりした。 1-(4)-19 事例 大型の車椅子を使用しており、また、貧血防止のためフットレストを上げたりリクライニングを倒したりすることがあるので、飲食店での配席時に配慮してほしい。 →飲食店で配席するときに、後方のスペースが広く、テーブルの脚がない位置へ案内した。 p27 1-(4)-20 事例 人工呼吸器を使用しており、外出中はバッテリーで駆動しているので、もし可能であれば充電させてほしい。 →飲食店で配席するときに、コンセントに近い場所へ案内し、コンセントを使用していただいても構わない旨をお伝えした。 1-(4)-21 事例 半身麻痺はあるが、フォークやスプーンを使って一人で食事をすることができる。しかし、皿を支えることができずに動いてしまい、食べにくいことがある。 →滑りにくい素材のマットがあったので、それを敷いて皿が動かないようにすることができた。 1-(4)-22 事例 通常の盛り付けでは食べづらい料理がある。 →料理を食べやすい大きさにカットし、取りやすさに加えて見ばえも考慮しながら盛り付けを行った。 1-(4)-23 事例 ホテルに宿泊したときに、大広間へ移動して食事をすることになっていたが、体調不良のため、なるべく移動する機会を少なくしたい。 →バイキング形式であったが、およそ一人前の料理を取り分けて客室まで運び、移動せずに食事できるようにした。 1-(4)-24 事例 ホテルに宿泊したときに、バスルームで使えるシャワーチェアーが備えられていなかった。 →「代用できるためパイプ椅子でも構わない」という申出があったので、事務用にあったものをお貸しして、シャワーチェアーの代わりとしていただいた。 p28 1-(4)-25 事例 ホテルの大浴場を利用したいが、広いスペースと介助、複数枚のタオルが必要になるので気が引けてしまう。 →事前に相談があったので、当日は通常よりも早く大浴場の準備を整え、本来の開放時間までの間に占有して入浴できるようにした。また、タオルも複数枚を準備しておいた。 1-(4)-26 事例 申込書類に自分で記入することができず、同行者もいないので、店員に代筆してほしい。 →十分に本人の意向を確認した上で、店員が代筆による記入を行った。この際、記入内容について後で見解の相違が生じないように、複数の店員が立ち会った。 1-(4)-27 事例 自動精算機の順番待ちにおいて、行列が折れ曲がるように配置されていると、車椅子では並べないことがある。 →自動精算機ではなく、有人の窓口で精算を行った。 1-(4)-28 事例 障害により指を動かすのが難しく、会計のときに財布から小銭を取り出すのに手間取ってしまう。 →申出があったことから、本人によく確認しつつ、店員が代わりに小銭を取り出して会計を行った。 1-(4)-29 事例 購入したい商品があったので車を自分で運転して向かったが、目的の店舗の駐車場が小さくて、車椅子を降ろして店舗内へ入れるスペースがない。 →駐車場から店舗に電話があったので、店員が商品を駐車場まで持って行き、その場で代金もいただいた。 p29 1-(4)-30 事例 体温調節機能の障害により、テーマパークなどで炎天下に長時間並ぶことが困難だ。 →スタッフが順番について把握しておき、順番となるまでは室内で待機できるようにした。 1-(4)-31 事例 スポーツ観戦のため訪れたスタジアムで、マイコップの持込みが禁止されていた。障害特性で手の震えが強いため、スタジアム内で提供される紙コップでは中身をこぼしてしまう。 →持参のプラスチック製の蓋付き容器を使用できることとした。 1-(4)-32 事例 セルフ式ガソリンスタンドが増加しているが、障害により自分で給油することができない。 →セルフ式ガソリンスタンドにも給油監視するスタッフはいるため、手が空いているスタッフがいるときには給油を手伝うようにした。 1-(4)-33 事例 資格取得のための実技講習において、身体の一部に麻痺があるので配慮してほしい。 →一定の配慮があれば資格取得できる状態であったことから、定期的に受講相談を行い、対応可能な内容については配慮を提供した。 1-(4)-34 事例 両替機のタッチパネルに手が届かず入力できない。 →本人の了承を得て、本人に入力内容を確認しながら、担当者が代わりに入力を行った。 p30 1-(4)-35 事例 定期預金を解約したいが、入院中で銀行に行けない。また、手が不自由なため自筆ができない。 →銀行の者が病院に行き、本人の意思を確認して家族が代筆し、定期預金解約の処理を完了した。 【生活場面例:教育】 1-(4)-36 事例 下肢に不自由さがあり歩行に困難がある。また、長距離の移動では、疲れやすいため、学内の教室移動において、配慮してほしい。 →本人と相談のうえ、教室がある建物の玄関付近にフラットなベンチチェアを複数設置し、休憩してから教室へ移動することができるようにした。 1-(4)-37 事例 試験中にトイレへ行けるようにしてほしい。トイレは多機能トイレを希望する。 →試験会場を多機能トイレの近くにある部屋にするとともに、座席についても部屋の出入口の近くを割り当てた。 1-(4)-38 事例 上肢や手指の動作に不自由さがあり、小さな文字を書くことに困難があるため、学校のテストを受ける際に大きな解答用紙を使えるようにするとともに、時間を延長してほしい。 →解答用紙を拡大し、時間延長も可能とした。 p31 1-(4)-39 事例 筋緊張が強く上肢や手指の動作に不自由さがあり、筆記に困難があるため、小テストや期末テストで配慮してほしい。 →本人と相談のうえ、小テストについてはPC上での解答及びUSBメモリによる提出とし、期末試験については授業担当者が選定した代筆者で対応することにした。 1-(4)-40 事例 片麻痺(左)があり、実験などを伴う授業の際、器具の操作や細かい作業動作をするときに困難が生じるので支援をしてほしい。 →実験や実習などで困難な動作を伴う場合は、教授の補佐役であるチューターが補助することとした。 1-(4)-41 事例 課外授業に参加したいのだが、移動時に乗車予定のバス路線が車椅子に対応していない。 →学校の校用車を随行させ、車椅子を使用している生徒は校用車で移動した。 1-(4)-42 事例 下肢装具を着用しているが、皆と修学旅行に参加したい。現地では他の生徒と一緒に行動したい。 →下肢装具を着用していることを前提として、移動ペース、休憩場所、ホテルの部屋割りなどを検討し、できるだけ他の生徒と一緒に行動できるよう計画した。 1-(4)-43 事例 子供の運動会を見学したい。車椅子を使用しているのだが、車椅子のまま見学できる場所はあるだろうか。 →保護者が見学する場所は先着順の自由スペースであり、車椅子では移動しにくい位置もあることから、車椅子のまま見学しやすいスペースを別途設け、そちらへ案内した。 p32 1-(4)-44 事例 公共交通機関での通学は負担が大きい。自分で障害対応車両を運転することができるので、大学へのマイカー通学を認めてほしい。 →学生のマイカー通学は禁止されているが、障害の状況等を踏まえ認めることとした。 1-(4)-45 事例 下肢不自由のため車椅子を使用している。大学の教職課程で行う教育実習を受けたいが不安がある。 →事前指導は車椅子での受講が可能な講義室に変更したほか、本実習に向けて実施場所の学校を事前見学し環境の確認や、受け入れ学校へ学生の障害の状況の丁寧な説明を行うなど、学生が円滑に教育実習を実施できるよう配慮した。 1-(4)-46 事例 ロッカーの利用について、車椅子に乗った状態で使える高さの場所に指定してほしい。 →使いやすい高さを本人と確認の上、ロッカーの場所を指定した。 1-(4)-47 事例 数時間ごとに自己導尿をする必要があることから、多目的トイレに必要物品を置きたい。また、毎回ではないが授業に遅れてしまう可能性もある。 →多目的トイレの優先的な利用や必要な物品を収納する鍵付きボックスを設置するとともに、授業に遅れることがあることを全教員に周知した。 p33 1-(4)-48 事例 社会福祉士資格取得のための実習を受けるので、配慮をしてほしい。 →実習先において車椅子置き場や休憩室等を準備し、実習スケジュールも適宜変更する等の対応を行った。 1-(4)-49 事例 車椅子を利用しているが車の乗降は一人でできる。自動車教習所に入所したいので、配慮してほしい。 →入所後に、段差のある場所を移動する際の補助や、必要に応じた車椅子に乗車した状態での持ち運びなどの対応を職員が行うこととした。 1-(4)-50 事例 自動車教習所で車椅子を利用しているが、学科教習の教室が2階でエレベーターがない。 →できる限り1階で学科教習を実施することとし、2階で受講する場合は職員4人で車椅子ごと運ぶことにした。 【生活場面例:医療・福祉】 1-(4)-51 事例 肢体不自由のため、病院で支払確認書の代筆をしてほしい。 →窓口及び病院の職員が代筆した。 【生活場面例:交通・移動】 1-(4)-52 事例 車椅子使用者がタクシーに乗るときはリフト付タクシーを手配することになっているが、台数が少ないので希望時間に沿わないことがある。軽量・折畳式の車椅子の場合は、セダンタイプのタクシーの荷台にも収納することができる。 →セダンタイプのタクシーでも対応できる場合には、そちらも配車するようにした。 p34 1-(4)-53 事例 旅客船のタラップが階段状になっているため、車椅子のままでは乗り込むことができない。 →貨物用の搬入口が平らであったことから、本来は貨物用であることを御了解いただいた上で、そちらから乗船していただいた。 1-(4)-54 事例 駅で車両とホームの隙間に車椅子の前輪がはまりそうで怖い。ホームの幅が狭い上に点字ブロックがあり、車椅子で方向転換ができない。 →職員が乗降の介助を行った。 1-(4)-55 事例 車椅子で渡船に乗ろうとしたところ、乗船口に段差があり、付添いがいないために乗船できない。 →事業者において簡易スロープで補助することにより段差を解消した。 1-(4)-56 事例 歩行が困難で車椅子を利用している。空港の利用を予定しているが、空港まで自家用車を利用し、駐車場へ駐車した後、駐車場から館内のエアラインカウンターまで、車椅子を押してほしい。 →事前に空港の利用予定日時や荷物の個数等を聞き取り、駐車場到着後にインフォメーションへ再度連絡するように依頼した。当日は入電後、空港ターミナルビルスタッフが駐車場へ向かい、エアラインカウンターまで対応した。 1-(4)-57 事例 足に障害があるので、搭乗日に空港内のバス降車場から航空会社カウンターまで車椅子の介助を依頼したい。 →手の空いている職員が、バス降車場から航空会社のカウンターまで、車椅子での移動を介助し、案内した。 p35 1-(4)-58 事例 車椅子を利用しているが、空港を利用する際にスーツケースなどの荷物が2個以上あり、1人で荷物を運ぶことができない。 →事前の問合せ時に、空港の利用予定日時や氏名、荷物の個数などを聞いた上で、当日は当人が空港内のタクシー乗降場でタクシーから降車後、空港ターミナルビルスタッフがエアラインカウンターまで荷物を運んだ。 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 1-(4)-59 事例 会計後に袋に商品を入れる際、感染防止のためにレジ袋を自分で開けることとなったが、自分で袋を開けるのが難しいので困っている。 →一律に断るのではなく、可能な範囲で店員が対応した。 1-(4)-60 事例 商業施設の入口に、新型コロナウイルス感染予防のため、消毒液が設置されているが、足踏み式のため、車いすでは使用できない。 →来店の際は、スタッフが消毒のお手伝いを行った。 【生活場面例:その他】 1-(4)-61 事例 法律相談を受けたいが、肢体不自由があるため、法テラスの事務所に来所することが難しい。 →弁護士による出張相談を実施した。 1-(4)-62 事例 住んでいるマンションの駐車場は定期的に抽選で場所替えを行っているが、車椅子の乗降に適さない場所がある。 →車椅子を使用している住民向けの駐車場は、一般の抽選枠とは分けることとし、乗降に適切な場所となるよう配慮して別途指定した。 p36 合理的配慮の提供事例 D内部障害、難病に起因する障害 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(5)-1 事例 難病が原因で身体障害があり、立った姿勢を保つのが難しいので、座ったまま手続をしたい。 →窓口の職員が待合室の座席に行き、手続を行うこととした。 1-(5)-2 事例 保険の申込みをしたいが、難病に起因する障害があり、手が硬直してしまうことから、申込書に自署ができない。 →家族が同席し、代理で記入した。 1-(5)-3 事例 銀行のカード発行手続を行いたいが、化学物質過敏症により郵便物を開くことができないため、郵送での申込手続が難しい。 →ウエブにて申込手続を行った。 【生活場面例:教育】 1-(5)-4 事例 定期的な通院が必要であることから、授業や試験を欠席することが多くなってしまう。 →担当教員の間で授業や試験における配慮について情報共有を行い、欠席が多くなる場合には、レポート提出などの代替手段を設けることとした。 p37 1-(5)-5 事例 難病に起因する障害があり、体調が不安定でなかなか授業に出席できない。 →病気等により、相当の期間欠席する場合は、同時双方向型授業配信等を行い、授業を受けられるようにした。同時双方向型授業配信で授業を受けることが難しい場合は、オンデマンド型の授業も活用した。 また、欠席時の代替評価として、課題の事後提出や追試の実施なども行った。再履修となった場合には、それまでに提出した課題や実験の成果などを転用した。 1-(5)-6 事例 学校にいる間も定期的に薬を飲む必要があるが、うっかり飲み忘れてしまうことが何度もあった。 →生徒本人がアラーム機能付きの時計を持つようにしたほか、担当教員も一緒に時計のアラーム時間を設定して、薬の飲み忘れがないよう声をかけるようにした。 1-(5)-7 事例 試験中に薬と水を机上に置くことと、試験中に服薬することを認めてほしい。 →試験監督者が事前に確認を行った上で、机上に置いて試験中に服薬することを認めた。 1-(5)-8 事例 汗をかきやすいため授業や試験の時に配慮してほしい。 →授業や試験の際にタオルの持込みを認めた。 p38 1-(5)-9 事例 難病に起因する虚弱体質のため呼吸が苦しくなることがある。このため、携帯型の酸素吸入器を学校に持参したい。 →持参した酸素吸入器を保健室に置いて必要なときに使用することとし、また校外での活動の際は養護教諭が携行・管理した。 1-(5)-10 事例 難病に起因する障害により手が震え、字を書くのに時間がかかるため、定期試験の時間を延長してほしい。 →医師の意見を踏まえて校内で検討し、大学入試センター試験の対応を参考に時間を延長した。 1-(5)-11 事例 下肢障害と排尿障害があるため、試験の際に一定の配慮をしてほしい。 →本人の希望に基づき出入口付近に専用の座席を確保し、途中の入退室等をしやすいようにした。 1-(5)-12 事例 内部障害があり、便失禁した際にシャワーを使用したい。 →校内合宿所等のシャワーの使用を許可した。 1-(5)-13 事例 必修の授業に実験があるが、ペースメーカーを使用しているため、実験機器によっては参加できない。 →担当教員と学生間で協議し、参加できない実験について、別室でオンラインによる視聴を行うことができるようにしたり、実験の流れや結果等が分かる動画や資料を提供したりした。 p39 1-(5)-14 事例 てんかんの持病があり、屋外で作業する際に太陽の光がまぶしく気分が悪くなるため、サングラスを使用したい。 →大学の産業医が面談し、サングラスの着用を認めることとした。 1-(5)-15 事例 内部障害があり光に対して感覚過敏があるので、屋内外での活動では配慮をしてほしい。 →教室の窓側に座席が指定された場合はカーテンやブラインドを閉めることとし、屋外活動が必要となる授業では日陰に入ることや日傘をさすことを許可した。 1-(5)-16 事例 症状の特性などについて、クラス担任の教員だけではなく、各教科担任の教員にも知っておいてほしい。 →本人と事前に周知する内容を確認した上で、クラス担任が聞いたことは教科担任に伝え、関係者全体で情報共有するようにした。 1-(5)-17 事例 マラソンなどの体育の授業は、体力が落ちてきており難しい。 →参加が難しい競技は見学し、レポートを提出することで成績を評価した。 1-(5)-18 事例 難病に起因する障害があるので、階段の昇降や体育の授業で配慮してほしい。 →本人と保護者と学校で面談を行い、主治医からの意見に基づき所属クラスの教室を1階にするとともに、体育ではその日の体調等に応じて学習内容の変更・調整を本人と相談しながら行うようにした。 p40 1-(5)-19 事例 大学の必修の授業として2週間の研修旅行があるが、内部障害があり、食事制限があるため個別対応をしてほしい。 →大学の研修施設のバリアフリー室(個室)を利用し、食事も個別にメニューを変更することで個別対応を行った。 1-(5)-20 事例 運転免許を取得したいが、ICD(植込み型除細動器)を使用していることから、教習所の教習の際は電波による影響が無いようにしてもらいたい。 →電波の送信部と受信部の間に入るとICDが誤作動を起こして生命の危険につながるおそれがあることから、教習車両のドアの開閉の際にはリモートキーを使用しないこととした。 【生活場面例:医療・福祉】 1-(5)-21 事例 子供が疾病により医療的ケアを必要とすることになったが、保育園を引き続き利用したい。 →医療的ケアが必要な児童の受入れが可能な園に転園し、医療機関から看護師を派遣する制度を活用しながら通園することとなった。 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 1-(5)-22 事例 内部障害があり、感染症による重症化リスクが高いと言われているので、学校内で他の学生と一緒に実験を行う必要がある場合、感染のリスク回避のための配慮をしてほしい。 →実験は別室でティーチングアシスタント又は教員が1名指導に付き添い、個別に行うこととした。 p41 1-(5)-23 事例 難病に起因する障害があるが、商業施設で買物をした際、今までは購入したものを袋に入れてくれていたのに、「入れられない」と断られた。 →「新型コロナウイルス感染症対策で入れることができなくなった」という理由を伝えた上で、使い捨て手袋を用いて袋に入れるなど感染症対策に配慮した方法で行うことについて理解を求めるようにした。 p42 合理的配慮の提供事例 E知的障害 【生活場面例:行政】 1-(6)-1 事例 庁舎窓口に設置している職員配置図について、漢字が読めないので振り仮名を振ってほしい。 →職員配置図に振り仮名を振った。 1-(6)-2 事例 知的障害があるので、市からの文書を理解することが難しい。要約版の作成や簡易な言葉の使用、ルビを振る等の対応をしてほしい。 →市から、ルビ付き文書を送付した。 1-(6)-3 事例 役所が公表した調査報告書を読みたいのだが、平仮名しか読むことができないので、振り仮名を付けてほしい。 →ページ数の多い調査報告書であるため、要点を抜粋した報告書の概要を作成し振り仮名を付すこととした。 1-(6)-4 事例 選挙の投票を行う際に、次々と他の投票者が来ると、急がされたような気持ちになってパニックを起こしてしまう。 →他の投票者を止めることはできないが、他の投票者が少ないと予想される時間帯を前もってお知らせした。また、実際に来場したときには、他の投票者に間隔を空けてほしい旨をお願いした。 p43 1-(6)-5 事例 図書館において、知的障害のある子供が、発声やこだわりのある行動をしてしまう。 →図書館の職員が母親から、子供の特性やコミュニケーションの方法等について聞き取り、落ち着かない様子のときは個室に誘導するなどの対応をした。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(6)-6 事例 契約時の要望などを自分で説明することが難しいため、同行する介助者から話を聞いてほしい。 →個人情報にも関わることなので通常は本人から聞くことになっているが、必要に応じて介助者から説明を聞くこととした。 1-(6)-7 事例 初めて行く歯科医院だと、極度に施術を怖がってしまう。 →事前に相談があったので、施術室の椅子に座って歯磨きの仕方に関する話をするなど、施術をしないで場に慣れるだけの機会を設けた。 1-(6)-8 事例 子供が買物の会計時に待つことができず、動き回ったり騒いだりしてしまう。 →会計場所に椅子を持って行き、「ここに座って待っていようか」と声をかけ、親の会計が終わるまで話し相手となった。いつも同じ場所に椅子を置くようにしたところ、その後は会計が終わるまで1人で椅子に座って待っていられるようになった。 p44 1-(6)-9 事例 レジでの会計の際に持ち金が不足しており買いたいものが買えないときは、不満が折り合えるまで会計を待ってほしい。 →家族があきらめるように説得していたが、順番を待っている他のお客から「早くしてくれ」と催促があったため、事情を説明した上で他のお客は別のレジで対応した。 【生活場面例:教育】 1-(6)-10 事例 学習活動の内容や流れを理解することが難しく、何をやるのか、いつ終わるのかが明確に示されていないと、不安定になってしまい、学習活動への参加が難しくなる。 →本人の理解度に合わせて、実物や写真、シンボルや絵などで活動予定を示した。 1-(6)-11 事例 学校からの連絡プリントに記載されたカタカナや漢字の読みが難しいため、内容を理解することが困難である。 →プリントのカタカナや漢字に平仮名でルビを振り、読み取りが可能なよう対応した。 1-(6)-12 事例 言葉だけでの指示だと、内容を十分に理解できず混乱してしまうことがある。 →身振り手振りやコミュニケーションボードなどの視覚的な支援も用いて内容を伝えるようにした。 p45 1-(6)-13 事例 咀嚼することが苦手であり、通常の給食では喉に詰まらせてしまったり、誤嚥をしてしまう可能性がある。 →大きな食材については、小さく切ったりミキサーで細かくしたりして、食べやすいサイズに加工した。 1-(6)-14 事例 触覚に過敏さがあり、給食で使うステンレスの食器が使用できず、手づかみで食べようとする。 →シリコン製やポリプロピレン製など、学校にある素材の食器のうちから受け入れやすい触感の食器を用いることとした。 1-(6)-15 事例 多くの人が集まる場が苦手で、集会活動や儀式的行事に参加することが難しい。 →集団から少し離れた場所で本人に負担がないような場所に席を用意したほか、聴覚に過敏があるのであれば、イヤーマフなどを用いることとした。 1-(6)-16 事例 聴覚に過敏さがあり、運動会のピストル音が聞こえると、パニックを起こしてしまうかもしれない。 →ピストルは使用せず、代わりに笛・ブザー音・手旗などによってスタートの合図をした。 1-(6)-17 事例 卒業式での証書授与の際に、どこで立ち止まり、どこを歩くのかを理解するのが難しい。 →会場の床に足形やテープなどで動線と目的の場所を示すことで、どこを歩くのかを理解しやすいようにした。 p46 1-(6)-18 事例 外部で行われる体験学習に参加したいが、学校内と同じように配慮をしてほしい。 →体験学習先と内容や所要時間などについて打合せをし、外部でも同じような配慮を提供できるように調整した。 【生活場面例:医療・福祉】 1-(6)-19 事例 超音波検査を受ける際に、混乱して検査室に移動できない。 →医師がポータブルの検査機器を待合室に持って行き、待合室で検査を行うことで、落ち着いて超音波検査を受けることができた。 【生活場面例:交通・移動】 1-(6)-20 事例 パニック障害があるため、必ず介助者の隣に座りたい。 →ほぼ満席になっており隣り合った空席がなかったが、他の乗客の御了解を得て座席を変更し、隣り合って座れるよう調整した。 【生活場面例.新型コロナウイルス感染症対応】 1-(6)-21 事例 施設見学をしたいのだが、周囲の状況を理解することが難しく、マスクを長時間着用することができない。 →マスク着用の代替として、フェイスシールドやハンカチの使用を認めることとした。 p47 合理的配慮の提供事例 F重症心身障害 【生活場面例:行政】 1-(7)-1 事例 来庁者用の駐車場が玄関から離れているが、重度の障害により長距離の移動は負担となるため、玄関の近くに駐車させてほしい。 →庁舎の玄関の近くにある空きスペースにカラーコーンを置いて、臨時の駐車場とすることで、駐車場から玄関までの移動距離が短くなるようにした。 1-(7)-2 事例 重症心身障害があり車椅子を使用している。相談の面談場所に指定された2階まで移動することが難しいので、場所を変更してほしい。 →同じ建物の1階の部屋を使用することにした。 1-(7)-3 事例 行政主催の総合防災訓練に医療的ケアを必要とする子供を伴い参加しているが、バリアフリー経路までの移動距離が遠い。 →出入口と医療救護所に近い場所に指定座席を配置した。 1-(7)-4 事例 障害者のための運動会への参加を予定しているが、医療的ケアを行う際のプライバシーに配慮してほしい。 →観覧席後方に折り畳み式のテントを設置し、テント内で周囲を気にせず衛生的にケアできるようにした。 p48 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(7)-5 事例 嚥下障害があるため、外食時に通常メニューの食事ができないが、できるだけ家族で同じメニューの食事をしたい。 →予約の際に希望の食形態を聞き取り、それに合わせて可能な限り再調理対応し、なるべく元のメニューに近い食形態で提供した。また、専用のスプーンや食器を持参されたので、洗ってお返しした。 1-(7)-6 事例 食事をする部屋がテーブル席だったため、寝かせる姿勢をとることができなかった。 →和室タイプの部屋もあり空いていたので、そちらに変更した。 1-(7)-7 事例 車椅子がリクライニングタイプのため、スーパーの会計時にレジに並ぶこともレジ横を通ることも難しい。 →レジにおいて、会計の順番が来るまで店員が買物カゴを預かり、順番になったときに声をかけるようにし、それまでは広いところで待てるよう配慮した。 1-(7)-8 事例 デパートの多目的トイレには、成人用のおむつ交換用ベッドがないので不便だ。 →おむつ交換が必要になったと申出があったので、救護室のベッドを利用していただいた。 1-(7)-9 事例 プール施設を利用したいが、着替え用のスペース(ベッド)がないため利用できない。 →着替えるときのプライバシーを保護できるように、人目につかず横になって着替えられるスペースへ案内したり、周囲をつい立てで囲った簡易ベッドを用意したりした。 p49 【生活場面例:教育】 1-(7)-10 事例 学校では仰向け姿勢や後傾椅子座位でいることが多いので、天井灯の光が視野に入り、眩しさから目を閉じてしまう。 →天井灯の手前に白い布などを広げて吊るし、光が直接目に射しこまないようにしたところ、以前よりも目を開けることができるようになった。 1-(7)-11 事例 夏休み期間中に開催する体験学習会に参加したい。重症心身障害のある児童や医療的ケアが必要な児童とその家族が参加しやすいようにしてほしい。 →バリアフリーの会場に、医療的ケアを行うためのスペースと医療機器の電源が取れる延長ケーブルを準備した。 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 1-(7)-12 事例 呼吸に障害があり、介助者に呼吸の様子を常に確認してもらわないといけないため、口元が隠れるマスクを付けることができない。 →口元が隠れるマスク着用の代替として、フェイス・マウスシールドの使用を認めることとした。 p50 合理的配慮の提供事例 G精神障害 【生活場面例:行政】 1-(8)-1 事例 大勢の人がいるところでは、どうしても周囲が気になってしまい落ち着かず、待合室での順番待ちが難しい。 →別室の確保が困難であったため、待合室の中で、比較的周りからの視界が遮られるようなスペースに椅子を移動させ、順番待ちできるよう配慮した。 1-(8)-2 事例 申請書類の記入に長い時間を要するので、役所へ行ってからその場で記入するのは気が引けてしまう。 →外部に持ち出しても問題の生じない内容であったことから、事前に申請書類を送付しておき、役所に来るときに記入済みのものを持参していただくことにした。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(8)-3 事例 異性とのコミュニケーションに負担を感じてしまうことから、同性に接客対応してほしい。 →同性の店員がいる場合には、その者が接客対応するようにした。 p51 【生活場面例:教育】 1-(8)-4 事例 障害の状況によっては、授業中に情緒不安定になってしまうことがある。 →情緒不安定になったときには、落ち着くまで一人になれる場所へ移動して休むことができるようにした。 1-(8)-5 事例 精神障害があるため、教室で授業を受けることが難しい。 →校内で協議し、別室や保健室への登校を認めることにした。 1-(8)-6 事例 特定の講義を受講すると不安が強まり過呼吸になるので、授業内容をあらかじめ知りたい。 →該当科目の教員に授業配慮願を提出することとし、生徒には授業内容を事前に知らせることとした。 1-(8)-7 事例 緊張が著しいので、授業のグループワークで口頭による発表や応答が難しい。 →発表する内容を事前に周知し、代読による発表や筆談による応答を許可した。以降は緊張が緩和されて、自発的に発表ができるようになった。 1-(8)-8 事例 授業で他者とコミュニケーションを取るときや難しい課題に取り組むとき、緊張やパニックが起こることがある。 →緊張したり気分が悪くなったりしたときは、教室から一時的に退室することを認め、クールダウンさせることにした。 p52 1-(8)-9 事例 精神障害があるため病院に通院しており休学中だが、復学に際して提出物などでパソコンを使用することに不安がある。 →レポートや課題を、紙媒体で提出することも認めることとした。 1-(8)-10 事例 社会見学の移動でクラスメイトと同じバスに長時間乗車するとパニックを起こす可能性があるので、移動手段について配慮してほしい。 →バスと別に代替の交通手段を用意し、本人の様子に応じて帰路の途中から車で帰校させるようにした。 1-(8)-11 事例 精神障害があり、大学の時間割の作成や授業に出席することが難しい。 →本人の承諾を得た上で事務部署に情報を提供し、学内手続に関する丁寧な説明や、状況の定期的な確認をするようにした。 【生活場面例:交通・移動】 1-(8)-12 事例 考えていたことと違ったことや通常とは異なる場面への対応が苦手で、パニックになる場合がある。電車やバスなどを利用している際に、事故発生で止まったり遅れたりするなどの異変が生じたときは、状況が理解できるよう丁寧に伝えてほしい。 →障害特性を理解して、アナウンスする場合は、分かりやすく丁寧なアナウンスを心掛けた。 p53 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 1-(8)-13 事例 授業がオンデマンドとなり科目ごとに課題を提出することになった。これに対応できず、授業の出席や課題の提出等ができない。 →スクールカウンセラーによるカウンセリングを行い、課題の提出期限の延長や本人と保護者への提出状況の連絡などを行った。また登校禁止の期間も登校を認め、図書館で学習させるとともに教員が図書館で出欠をとることとした。 1-(8)-14 事例 オンライン授業が増え、自分に対するパソコンの中からの目線に恐怖が強まり、講義を受講できなくなったので、カメラ機能をオフにしたい。 →授業担当教員に授業配慮願を提出することで、カメラ機能をオフにすることを認めることとした。 1-(8)-15 事例 対人緊張が強く、人前で話をすることが難しい。 →オンライン授業時にはカメラをオフにし、話をすることが難しい場合は、チャット機能を活用することを認めることとした。 1-(8)-16 事例 課題提出の管理などについて面談で修学上の支援を受けていたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため大学への入構が制限されてしまい、面談を行うことができなくなってしまった。 →WEB会議システムを使用して、オンラインで面談を定期的に実施した。 p54 合理的配慮の提供事例 H発達障害 【生活場面例:行政】 1-(9)-1 事例 定期的な面談を受けているが、市庁舎が建て替わり、フロア内の声が反響して大きく聞こえるようになった。聴覚過敏があるので辛い。 →面談を会議室や相談室などの別室で実施した。 1-(9)-2 事例 行政が主催するイベントにおいて、発達障害により大きな声を出してしまったときにはロビーに出ることになったが、ロビーでも楽しめるようにしてほしい。 →ロビーでも音声付きでモニター鑑賞ができるようにした。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 1-(9)-3 事例 プール施設でスイムキャップ着用が義務づけられているが、帽子類の着用を嫌がってしまい、スイムキャップもすぐに外してしまう。 →衛生面や循環装置への影響を考えてスイムキャップ着用としているが、配慮すべき理由がある場合には、非着用でも利用を認めることとした。 【生活場面例:教育】 1-(9)-4 事例 資格取得のための講義において、座学での読み書きや筆記テストに難がある。 →タブレットの使用を許可した。 p55 1-(9)-5 事例 文字の読み書きに時間がかかるため、授業中に黒板を最後まで書き写すことができない。 →書き写す代わりに、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット型端末などで、黒板の写真を撮影できることとした。 1-(9)-6 事例 マークシート選択式の試験は通常どおりに受けられるのだが、自由記述式の試験では書字が乱れてしまう。 →自由記述式の試験では罫線のある解答用紙を使うようにした。 1-(9)-7 事例 読み書きに困難さがあるため試験問題を読み、回答を書くまでに時間がかかる。また、あいまいな指示や複数の指示を口頭で受けると理解しづらいため、困っている。 →試験に当たって、時間の延長や別室で受験ができるよう配慮した。指示をする時は短く簡潔にし、視覚情報で具体的に伝える等の支援を教職員で共有しながら行った。 1-(9)-8 事例 学習障害があるため、授業でタブレット端末を使用できるようにしてほしい。 →管理場所や使用方法等を決め、タブレット端末を使用できることとした。 1-(9)-9 事例 テストの問番号がアルファベット表記になっているが、識字障害がありアルファベットの区別がつかないことから、問に対する回答を回答用紙のどの欄に記入すればよいか分からない。 →問題と対応する回答欄を同色の蛍光マーカーで囲んだ。 p56 1-(9)-10 事例 文字を認識することに困難があるため、テキストに記載されている文章を読むことができない。 →認識しやすいフォントを使うようにするとともに、必要に応じて読み上げたり配付資料をテキストデータ化し音声読み上げが可能となるようにした。 1-(9)-11 事例 教員の話を聞いて想像することが苦手なため、内容を理解することができない。 →絵、写真、図、実物などを見せることで、授業内容や活動予定を理解しやすいように配慮した。 1-(9)-12 事例 言葉の分かりにくさがあるので、授業で抽象的な説明をされると理解ができない。具体的に説明する等の配慮をしてほしい。 →担当教員に対し障害特性に関する理解を図り、分かりやすい説明を行うとともに、授業で分からないところは個別に指導を行った。 1-(9)-13 事例 障害の特性により、話を聞きながらノートを取ることができず、学習についていくことが難しい。 →板書内容をプリントして準備し、プロジェクターで表示しながら説明を行うようにした。また、板書をタブレットで撮影することを許可した。 1-(9)-14 事例 周囲の物音に敏感なため気が散ってしまい、集中して学習に取り組むことができない。 →教室内での耳栓使用や、別室への移動により、静かな環境で課題に取り組めるようにした。 p57 1-(9)-15 事例 パニックを起こしてしまうことがあるので、授業中に問題の回答者として指名しないでほしい。また、指名しないことを他の生徒には伝えないでほしい。 →各授業の担当教員が事前に情報共有しておき、他の生徒は気付かないように指名対象から外す配慮を行った。 1-(9)-16 事例 先を見通すことが苦手なため、初めての活動に対して不安になり、参加することができない。 →活動を始める前に、これから活動する内容や手順について説明して確認することで、安心して取り組めるよう配慮した。 1-(9)-17 事例 時間の見通しが持てず、活動の切替え時に混乱してしまうことがある。 →時計やタイマーなどを使って時間の見通しを持てるようにした。 1-(9)-18 事例 触覚過敏があり、肩を叩かれて呼ばれるなどの対応に驚いてしまうことがある。 →なるべく直接体に接触しないようにし、やむを得ない場合には、事前に十分に予告をしてから接触するようにした。 1-(9)-19 事例 触覚過敏があり、新しい素材に触れるとパニックになってしまう。 →本人の意に沿わない場面で対象物に触れることを強要しないようにし、どうしても新しい素材に触れることが必要な場合には、緩和される手立てを検討するようにした。 p58 1-(9)-20 事例 絵画の授業時にいつもパニックになってしまうので、落ち着いて授業参加できるようにしてほしい。 →パニックの要因が色覚過敏であることが見込まれたため、色味の薄い用紙や色鉛筆の使用許可などを配慮し、落ち着いて授業参加できるようになった。 1-(9)-21 事例 集団で行動する授業に適応できずにいるが、本人の希望としては参加したいと思っている。 →無理のない形で段階的に移行することとし、徐々に集団で行動する時間を増やしていく授業スケジュールを計画した。 1-(9)-22 事例 もの忘れをする傾向があり、頻繁に宿題などがあることを忘れて未提出になってしまう。 →宿題などの提出物があるときには、保護者にも連絡して知らせるようにした。 1-(9)-23 事例 野外活動において、発達障害があり、初めての場所だとパニックを起こす可能性があるので、家族と一緒に事前に宿泊したい。 →関係者と調整し、家族で事前に宿泊し、場所に慣れてもらうことにした。 p59 1-(9)-24 事例 学習障害があり、漢字の読み書きや長時間の学科授業が苦手だが、運転免許を取得したい。 →自動車教習所において発達障害のある者を対象としたサポート体制が準備されていたので、それに基づき、学科教習についてはポイントの説明や理解不足の箇所を繰り返し指導するなどの支援を行った。また、筆記試験も個別に実施した。 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 1-(9)-25 事例 教室内の感染予防に対する不安があり、遠隔授業で受講したい。 →校内で作成した新型コロナウイルス感染症対応マニュアルに基づき、遠隔授業の受講を受けられるようにした。 1-(9)-26 事例 発達障害とともに特定の場面や人に対して言葉を発せられないときがあり、授業がオンラインで行われた際に質問をチャットで書き込んでいたが、担当教員に気付かれず困っている。 →各授業を担当する教員に対し、事前に伝達していた生徒等の障害特性に加え、オンライン授業における不都合について伝え、チャットでの質問を確認するようにした。 1-(9)-27 事例 生活リズムが乱れやすい、見通しを立てて計画的に行動することが難しいなどの障害特性がある。このため、リモート授業が中心になると、出席が困難になり、オンラインによる教材の視聴や課題提出も滞ってしまう。 →リモート授業の受講やオンライン教材の視聴をするための自習室を提供することで、授業に出席し、課題に取り組むことができるようにした。 p60 2.環境の整備事例 p61 環境の整備事例 障害者差別解消法(第5条)は、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(施設や設備のバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)を、「環境の整備」として実施に努めることとしています。 新しい技術開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待されます。また、環境の整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修などのソフト面の対応も含まれることが重要です。 ○事例紹介の見方 上段:環境の整備を行った目的などについて見出しを付けています。 下段:どのように環境を整備したのかを記載しています。 p62 環境の整備事例 1 視覚障害 【生活場面例:行政】 2-(1)-1 事例 庁舎の玄関ホールにおいて、動線を分かりやすく整備した例。 →玄関ホール内に出入口付近から通路方向へ誘導する点字ブロックを設置した。 2-(1)-2 事例 階段の段差が分かりやすくなるよう整備した例。 →階段の縁に目立つ色の滑り止めを設置し、弱視でも段差を認識しやすいようにした。 2-(1)-3 事例 視覚障害者にとって必要なコミュニケーション手段である代筆・代読ができるようにした例。 →本人の希望を踏まえて、職員が代読・代筆をするようにした。特に代筆の場合には、複数の職員で確認するようにした。 2-(1)-4 事例 図書館を利用する障害のある人が職員の支援を受けやすくなるよう機器を導入した例。 →誘導用電子チャイムを設置し、利用者の来館が伝わり、職員の支援が受けやすくなった。 p63 2-(1)-5 事例 給付金の申請漏れを防止するため、視覚障害者向けの案内を工夫した例。 →視覚障害者への案内には、点字を常用している場合があることから、役所からの封書に点字の案内も合わせて送付し、一定期間経過しても請求がない人に対しては再度、電話等で直接お知らせした。 2-(1)-6 事例 視覚障害者が駐車場でつまずかないよう改善した例。 →駐車場への誤侵入を防ぐため、点字ブロックやガードを付けるなど必要な箇所を確認し設置するとともに、車止めを1列撤去した。 2-(1)-7 事例 視覚障害のある人に選挙公報を分かりやすく伝えられるよう工夫した例。 →音声CD版を作成したり、ホームページにそのリンクを貼ったりするなど情報保障を拡充し周知した。 2-(1)-8 事例 視覚障害のある人に自治体だよりを分かりやすく伝えられるよう工夫した例。 →点字版、テープ版、デイジー版(デイジー(DAISY)は、「Digital Accessible Information System(アクセシブルな情報システム)」の略でデジタル録音図書の国際標準規格。単に音声を録音するだけではなく、目次から読みたい章や節、注釈など任意のページや場所に飛ぶ機能が備わっている。)の自治体だよりを発行した。 p64 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 2-(1)-9 事例 受付で入力が必要なモニターを見られない人向けに機器を導入した例。 →ハンドセット付きの受付機器を導入した。 2-(1)-10 事例 ATMを使用する際、カードを分かりやすく挿入できるよう工夫した例。 →手触りでカードの前後と表裏が識別できるように、カードデザインに凹凸を追加し、挿し込む方向を分かりやすくした。 2-(1)-11 事例 窓口に行かなくても預金残高を確認できるよう工夫した例。 →視覚障害者対応ATMのハンドセット使用時に、残高の音声出力がされるよう、システム改修を行った。 2-(1)-12 事例 文字や点字を読むことが困難な方に受付先を案内する際の表示を工夫した例。 →受付センターの連絡先を読み上げる音声コードを使用することとし、音声コードをリーフレット等へ印字するようにした。 2-(1)-13 事例 飲食店で視覚障害のある人に注文内容を分かりやすく伝える例。 →点字のメニューを用意した。 p65 2-(1)-14 事例 「補助犬は入店不可」といった対応がなされることのないよう、事前に店員に研修を行った例。 →店員の中に、補助犬とペットの違いを理解していない者がいることにより補助犬の入店を断ってしまうことのないよう、店員の研修に補助犬に関する事項を追加した。 2-(1)-15 事例 契約書類について同行者又は店舗スタッフが代筆できるようにした例。 →重要な書類のため代筆に躊躇してしまうという意見が店舗スタッフからあったので、同行者が代筆する場合と店舗スタッフが代筆する場合のそれぞれについて、どのように対応するのかを具体的にマニュアルで定め、研修を実施した。 2-(1)-16 事例 視覚障害者が代筆を希望する場合に円滑に対応できるよう工夫した例。 →内規を見直し、代筆による記入が可能とする条件を緩和した。 2-(1)-17 事例 弱視の方などが文字を読みやすいように工夫した例。 →商品パンフレットは、ユニバーサルデザインフォントを使って作成した。 2-(1)-18 事例 視覚障害者が点字ブロックを確認しながら円滑に移動できるよう通路の状況を見直した例。 →点字ブロックと商品の間が十分に空くようにしたり、陳列位置に柵を設置したりするなど、店舗レイアウトを変更した。 p66 2-(1)-19 事例 視覚障害のある方が商店街の通路を通行しやすいように改善した例。 →視覚障害者団体の方と一緒に商店街を回って意見を聴くこととし、聴取結果を踏まえ通路沿いにあるイートインスペースや鉢植えのレイアウトを見直すなどの取組を行った。 2-(1)-20 事例 リニューアルに伴い、視覚障害者にとって使いづらくなってしまったホームページの仕様を改善した例。 →視覚障害者の意見を聞きながら、視覚的な演出と視覚障害者にとっての使いやすさが両立するホームページに再構成した。 【生活場面例:教育】 2-(1)-21 事例 視覚障害者が使用できる教材を提供できるよう整備した例。 →試験の過去問などを電子テキスト化、PDF化し、パソコンの読み上げ機能で使ったり、タブレット端末等で拡大したりすることができる問題集を作成した。 学校に点字プリンターを導入した。 2-(1)-22 事例 校内の移動に際した対応として、教室を分かりやすく表示する例。 →教室の用途が分かるように、各教室のドアに点字ラベルで教室名や教室番号を表記するようにした。 2-(1)-23 事例 夜間でも構内や建物内を安全に移動できるように施設を整備した例。 →単独で移動することが不便にならないように、センサー式の夜間照明と多目的トイレを新設し、階段に滑り止めを設置した。 p67 【生活場面例:交通・移動】 2-(1)-24 事例 バスに乗る前に行き先が確認できるようにした例。 →バスの乗降口にスピーカを設置し、そこからドア開閉時に行き先について放送を流すようにした。 2-(1)-25 事例 通学経路にある歩行者用信号機の横断に係る時間設定が短く、渡り切れないことがあるため改善した例。 →交通状況と信号機周期を検証し、通学時間帯はより長い横断時間を確保できるように時間設定を変更した。 2-(1)-26 事例 信号に視覚障害者用の音響装置が複数設置されているが、区別しづらいことから改善した例。 →設置されている装置が全て女性の音声となっており聞き分けができなかったことから、東西と南北の装置をそれぞれ男女の音声に分けて改修した。 2-(1)-27 事例 破損や凸凹が生じている歩道の点字ブロックを整備した例。 →道路保全を担当している機関において視覚障害者団体などからヒアリングを行い、得られた意見等を反映させて点字ブロックの整備を行った。 2-(1)-28 事例 道路工事の箇所を安全に歩行できるように整備した例。 →日中は交通誘導員を配置し、夜間はゴムマット状の誘導ブロックを敷設した。 p68 2-(1)-29 事例 駅のホームや通路の白線表示を改善した例。 →白線表示が薄く、弱視の方が識別しづらくなっていたことから、白線表示を引き直すとともに、一部は点字ブロックに改修した。 2-(1)-30 事例 視覚障害者が使用するタンデム自転車(複数のサドルとペダルがあり複数人で乗車可能な自転車)が公道で使用できるよう規則改正を行った例。 →交通規則でタンデム自転車での公道走行が禁止されていたが、可能となるように交通規則を改めた。 2-(1)-31 事例 大学まで安全に通行できるよう道路を整備した例。 →道路管理者が大学前の横断歩道口の視覚障害者誘導用ブロックの更新及び大学入口までの視覚障害者誘導用ブロックを延伸した。 【生活場面例:災害等】 2-(1)-32 事例 避難所で情報収集に必要なラジオを使用しやすくする例。 →自治体でラジオと合わせてイヤフォンも備蓄した。 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 2-(1)-33 事例 新型コロナウイルス感染症予防のため児童施設が閉鎖されている期間中でも、視覚障害のある子供が学習支援を受けられるよう工夫した例。 →オンラインで音声教材の配布等を実施した。 p69 環境の整備事例 2 聴覚・言語障害 【生活場面例:行政】 2-(2)-1 事例 整理券方式の受付窓口で自分の順番になったことが分かるようにする例。 →順番になったことが視覚的に分かるように、整理番号が表示される電光掲示版を設置した。 2-(2)-2 事例 受付窓口に手話通訳者を置く際に工夫した例。 →予算面から常駐は難しかったものの、定期的に手話通訳者が受付窓口に派遣される仕組みを設けるとともに、派遣される日を広報した。 2-(2)-3 事例 対応時間外における訪問の際に不便を感じないよう工夫した例。 →カメラ・モニター付きのインターホンを設置し、身振りや筆談なども伝わるようにすることで訪問がしやすくなった。 2-(2)-4 事例 聴覚障害者でもホームページの広報動画の内容が理解できるよう工夫した例。 →広報動画に字幕を表示できる機能を追加するようにした。 p70 2-(2)-5 事例 DVの相談窓口の連絡先を工夫した例。 →窓口の連絡先として、電話番号だけでなくFAX番号やメールアドレスも示すこととした。 2-(2)-6 事例 補聴器を使用する方が円滑に会議に出席できるよう工夫した例。 →ペン型のワイヤレスマイクと補聴器専用受信機を購入し、会議時等に貸与した。 2-(2)-7 事例 大きな会場で開催されるフォーラムにおいて手話通訳者が見やすくなるよう工夫した例。 →会場全体から手話通訳者の手話が見えやすいように、高さ60cmほどの台を用意し、手話通訳者を見やすい前の席を希望者向けに確保した。また、拡大スクリーンも設置し、後の席からも見やすいようにした。 【生活場面例:サービス】 2-(2)-8 事例 聴覚障害者に受付の順番が来たことを伝えられるよう機器を導入した例。 →順番になると振動してお知らせする機器を導入した。 2-(2)-9 事例 難聴の方がコミュニケーションを取りやすいように準備した例。 →受付窓口に指向性の対話支援機器を備え、店員が話したことを聞き取りやすいようにした。 p71 2-(2)-10 事例 筆談をするために機器を導入した例。 →タブレットを導入し、店員が話した内容が文章に自動変換されるアプリをインストールした。 2-(2)-11 事例 窓口に手話通訳者を置く際に工夫した例。 →全ての店舗の窓口に手話通訳者を常時配置することは難しいので、事前に連絡をいただいて基幹店舗から派遣する仕組みを設けた。 2-(2)-12 事例 銀行のカードに関する手続が円滑にできるよう工夫した例。 →テレビ電話を通じ、手話と筆談で意思疎通を図る手話通訳のサービスを導入した。 2-(2)-13 事例 通信販売の受付方法を改善した例。 →電話受付のオペレーターに加え、FAXや電子メールによる受付のオペレーターも配置した。 2-(2)-14 事例 聴覚障害者の劇場での鑑賞が可能となるよう機器を導入した例。 →ポータブル字幕機器を導入し、希望者への貸出しを始めることとした。また、劇場に磁気ループを設置し、補聴器や人工内耳へ音声を送れるようにした。 2-(2)-15 事例 通知に掲載する問合せ先を工夫した例。 →電話番号に加え、FAX番号も掲載した。 p72 【生活場面例:教育】 2-(2)-16 事例 入学式と卒業式における情報保障を工夫した例。 →パソコン文字通訳及び手話通訳による情報保障を行うこととし、会場のモニターにパソコン文字通訳の字幕及び手話通訳の動画を表示した。 2-(2)-17 事例 聴覚障害のある生徒等が授業を受ける際の情報保障の例。 →生徒等が文字通訳するノートテイクに加え、授業中の発話を見える化するためのパソコン要約筆記や音声文字変換システムなどによる情報保障の導入を行った。 机・椅子の脚のノイズ軽減の対策を行った。 2-(2)-18 事例 補聴器を使用している生徒が授業を受ける際の情報保障の例。 →携帯できるFM音声送信機を導入し、話し手はそれを装着して授業を行うこととした。また、本人から申出があれば、ノートテイカーを配置できるようにした。 教務担当部署でデジタルワイヤレス補聴援助システム(音声を補聴器等に送信し聞き取りを補助する機器)を購入し、利用の際に貸し出すこととした。 2-(2)-19 事例 ゼミ形式の授業で活発な議論が交わされたときに、議論のやり取りをフォローするために対応した例。 →筆談などにより議論のやり取りを素早く伝えるのは困難であったことから、手話通訳者と派遣契約をし、授業の補助員として配置した。 p73 2-(2)-20 事例 化学反応などを伴う実験を行う際に、安全を確保できるよう整備した例。 →非常時の警報が視覚化されるように、回転灯で知らせる装置を実験室に設置した。 2-(2)-21 事例 聴覚に障害のある学生に必要な支援ができるよう、周囲の者に対し研修を行った例。 →学生や教職員を対象とした手話講習や要約筆記講習を実施した。 2-(2)-22 事例 聴覚障害者もオンライン授業の内容が分かるよう工夫した例。 →視覚的にも情報が伝わるように音声文字変換ソフトを導入した。 【生活場面例:交通・移動】 2-(2)-23 事例 高速道路の無人料金所における障害者手帳の提示方法を工夫した例。 →これまで障害者手帳の提示方法を音声のみで案内していたが、呼び出しレバーを下げ、カメラに向けて手帳を提示することで確認が可能となる機械を設置した。 【生活場面例:災害等】 2-(2)-24 事例 聴覚障害者向けに警報装置を改善した例。 →災害情報を登録された電子メールのアドレスへ配信する警報システムを導入した。また、普段は業務のお知らせなどを表示している電光掲示板に、災害時には緊急速報などの情報が表示されるようにシステム改修を行った。 警報サイレンと連動して視覚で認識できる警報機補助装置を部屋に設置した。 p74 2-(2)-25 事例 災害時に聴覚障害者が自身の障害について周囲に示せるよう工夫した例。 →公的機関などで配布されている『災害時バンダナ』(耳が聞こえないことを示すバンダナ)を取り寄せて、非常時に着用できるようにした。 p75 環境の整備事例 3 盲ろう 【生活場面例:行政】 2-(3)-1 事例 会議の際に、指点字通訳を受けながら会議内容も記録できるよう人員配置を行った例。 →指点字通訳を行っている間は通訳・介助者の手がふさがってしまうことから、会議内容を記録するために、事務局において、通訳・介助者とは別に記録担当者を配置するようにした。 2-(3)-2 事例 弱視・ろうの盲ろう者がフォーラムで聴覚障害者向けの手話を見やすいよう工夫した例。 →フォーラムの参加申込書に配慮してほしいことを記載する欄を設け、事前の申請内容に基づき手話通訳者のすぐ前に座席を設けるなどの配慮を行えるようにした。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 2-(3)-3 事例 保険契約の内容の代読を希望された場合に円滑に対応できるよう工夫した例。 →代読に関するルールをマニュアルとして整備し、マニュアルに基づいて対応した。 p76 2-(3)-4 事例 盲導犬を利用している盲ろう者がスポーツジムを利用しやすいよう工夫した例。 →事務室内に盲導犬のゲージを設置し、利用時にスタッフが盲導犬を預かるようにした。 【生活場面例:教育】 2-(3)-5 事例 盲ろうの生徒が校内を単独で安全に移動ができるよう校内を整備した例。 →点字ブロックの補修や講義棟に自動ドアを設置した。 2-(3)-6 事例 電車の乗降で携帯スロープによる支援が必要となるが、入学予定の学校の最寄りが無人駅で困っている。 →関係者で話し合った結果、鉄道会社が携帯スロープを無人駅に常時配備することとした。 【生活場面例:交通・移動】 2-(3)-7 事例 視覚障害や色弱のある盲ろう者が信号機を識別できるよう工夫した例。 →信号が赤か青かを振動でも知らせるように、触知式信号補助装置(信号が青になると振動するポール型の装置)を設置した。 p77 環境の整備事例 4 肢体不自由 【生活場面例:行政】 2-(4)-1 事例 庁舎の玄関に設置済みのスロープを使いやすくした例。 →スロープを改修し、より緩やかな傾斜に変更した。 2-(4)-2 事例 庁舎のスロープを上がる際に補助が必要な場合に連絡ができるよう設備を整備した例。 →スロープの上がり口にインターホンを設置し、手助けが必要な時は総合案内に繋がるようにした。 2-(4)-3 事例 多目的トイレを使いやすくするために改修した例。 →縦・横両方の機能を備えたL字型の手すりに改修し、起立や着座をしやすいようにした。 2-(4)-4 事例 来庁者が窓口を利用しやすくできるよう案内等を工夫した例。 →障害のある方が支援を求めやすくするため、総合案内及び受付カウンターに「介助や担当課までの同行が必要な方は、お気軽にお声かけください。」という案内表示を掲示した。 p78 2-(4)-5 事例 車椅子の利用者が庁舎内のエレベーターを利用しやすくできるよう工夫した例。 →車椅子利用者が使いやすいエレベーターがある場所の表示を分かりやすくした。 2-(4)-6 事例 自治体が主催するラジオ体操に肢体不自由の障害のある方が参加できるように工夫した例。 →椅子に座ったままでできる体操のプログラムを作成し、実施した。 2-(4)-7 事例 選挙の投票所内を移動しやすいよう整備した例。 →介助者を配置しスロープを設置した。 2-(4)-8 事例 新庁舎の建設に際して障害のある人もない人も同じように利用できる施設にするため工夫した例。 →設計段階から障害当事者や関係団体の意見を取り入れ、ユニバーサルデザインの採用などにより、新庁舎のバリアフリー化を図った。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 2-(4)-9 事例 入口に段差がある店舗において、出入りがしやすくなるよう工夫した例。 →出入口を改修してバリアフリー化を図った。 スロープ設置工事や携帯スロープ購入をすぐには実施できないので、当面の間は頑丈な木の板を購入して対応した。 p79 2-(4)-10 事例 車椅子利用者でも利用しやすくなるようドアを整備した例。 →片開き式のドアや重厚なドアでは一人で開閉するときや出入り自体が困難となることから、スライド式のドアに改修した。 手動ドアを自動ドアに変更した。 2-(4)-11 事例 雨の日でも滑りにくいスロープとなるよう整備した例。 →タイル貼りではなく、滑りにくい材質を用いたスロープに改修した。 2-(4)-12 事例 店内が通行しやすいよう商品配置等工夫した例。 →電動車椅子が通れるように陳列商品の並べ方を変更した。 2-(4)-13 事例 車椅子に座ったまま受付窓口を利用できるように改修した例。 →受付窓口の1つをローカウンターに改修した。 2-(4)-14 事例 車椅子を使用する方が一人で来所できるように整備した例。 →出入口等の段差と駐車場の階段をスロープに改良し、介助なしで来所できるよう整備した。 2-(4)-15 事例 飲食店のカウンターに車椅子で着席できるように改修した例。 →カウンター席の一部を改装し、入口に近い位置にある席の一部を可動椅子に変更した。 p80 2-(4)-16 事例 ホテルを改修する際に多機能トイレも併せて整備した例。 →障害者用トイレに大人用ベッドを設置した。 2-(4)-17 事例 車椅子の乗り降りができるよう、駐車スペースを整備した例。 →駐車場の一部(店舗の出入口に近いもの)について、区切りの見直しを行って車椅子の乗り降りにも対応できる駐車場とした。 2-(4)-18 事例 社員食堂のメニュー内容を見やすくした例。 →高い棚の上に陳列した小鉢の中身を確認できるよう、面を下方に傾けた鏡を設置した。 【生活場面例:その他】 2-(4)-19 事例 下半身に障害がある方が運転免許を取得する際に装置等を導入した例。 →手動でアクセルとブレーキも操作できる教習車両を導入した。 右下肢不自由な方向けに左足用アクセルペダル装置を追加・導入した。 【生活場面例:教育】 2-(4)-20 事例 医療的ケアが必要な生徒の入学に備え、親の付添いなしに通学できるよう人員配置を行った例。 →常勤の看護師を配置し、親の付き添いがなくとも医療的ケアを提供できる環境を整備した。 p81 2-(4)-21 事例 教材や文房具などの毎日の持ち運びが負担になる生徒に配慮した例。 →学校に大きめのロッカーを設置し、そこに学校生活で必要なものを収納しておけるようにした。また、必要があれば教材を2セット渡し、持ち運ばなくとも学校と家で使えるようにした。 2-(4)-22 事例 ケガ防止のため教室の床を改修した例。 →ケガなどを未然に防止できるように、床に滑りにくいコルクボードを敷き詰めた。 2-(4)-23 事例 肢体不自由のある生徒の入学に備え設備改修を行った例。 →トイレの一部を改修し、多目的トイレを設置した。 階段の手すりを増設し、各階に車イス車椅子及び段差のある通路にスロープを設置するとともに、階段昇降時に支援する介助員を雇用した。 教室に専用机を配置し、教室間の移動介助と電動車椅子のバッテリー保管等を行うこととした。 学生寮が障害者の生活に対応していなかったので、段差解消や手すり設置などのバリアフリー化の改築を行った。 2-(4)-24 事例 手が不自由な生徒でもパソコン操作が円滑に行えるよう機器を導入した例。 →タッチパネルで操作できるタブレット端末を導入した。 p82 2-(4)-25 事例 移動に困難を伴う生徒に限らず、パソコン室に移動せずともレポート作成等できるよう端末等の機器を導入した例。 →自習やレポートの作成・印刷のために所属学科の教室にパソコンとプリンターを設置した。 2-(4)-26 事例 エレベーターのない校舎で、車椅子の児童生徒が階層移動できるように設備を整備した例。 →階段昇降機を設置するとともに、車椅子で使用できるトイレを整備した。 2-(4)-27 事例 車椅子の生徒も含め、生徒等が安全に廊下を歩けるよう校内の廊下を整備した例。 →見通しが悪く生徒等と車椅子の先端がぶつかってしまう廊下の交差箇所にミラーを設置して、お互いの死角ができないようにした。 2-(4)-28 事例 積雪時にも一人で移動ができるよう工夫した例。 →教室移動などの動線について検証し、動線に当たる校舎間の除雪を重点的に行うようにした。 2-(4)-29 事例 降雨時にも安全に使用できるようスロープを整備した例。 →スロープに水たまりが発生しないように排水溝を整備した。 p83 2-(4)-30 事例 排水溝の網状の蓋(グレーチング)に車椅子のタイヤがはまらないよう整備した例。 →蓋を置き換えるのは費用負担が大きいことから、通行量の多い箇所の蓋の上にゴムマットを敷いて防止した。 2-(4)-31 事例 スクールバスの巡回ルートについて体調面での負担軽減を図れるように見直した例。 →短い時間での送迎を可能とするため、スクールバスの増車と巡回ルートの見直しを行った。 2-(4)-32 事例 遠方の特別支援学校の送迎を親が行うことについて、負担軽減を図れるように対応した例。 →学校と教育委員会で検討し、より近い場所に分校を立ち上げた。 【生活場面例:交通・移動】 2-(4)-33 事例 駅構内の表示を分かりやすく整備した例。 →バリアフリールートを分かりやすく表示した駅構内図をHP上に掲載した。 2-(4)-34 事例 車椅子を利用している乗客に適切な対応ができるよう、バス運転手に対し研修を行った例。 →車椅子の固定方法などの研修について、定期的に全ての運転手を対象として行うこととした。 p84 2-(4)-35 事例 駅のホームで介助を受けなくても乗降できるよう整備した例。 →駅員に連絡したり携帯スロープを架けたりしなくとも、いつでも車椅子に乗ったまま自力で乗降できるように、各駅を改修してホームと電車の間がバリアフリーとなる乗降スロープを設置した。 2-(4)-36 事例 空港へのアクセスがしやすくなるよう、空港行きのバス路線に車両の導入を行った例。 →車椅子対応のリフト付バスを導入した。 2-(4)-37 事例 航空機に搭乗しやすいよう器具を導入した例。 →アシストストレッチャーを導入した。 2-(4)-38 事例 車椅子使用者が円滑に利用することができる駐車施設について、車の後方の乗降スペースを確保するための工夫を行った例。 →対象区画に近接する駐車区画を利用禁止とすることにより、車椅子使用者が車の後方から安全に乗降できるスペースを確保した。 2-(4)-39 事例 福祉施設への車両での乗り入れがしやすくなるよう、交通規制を見直した例。 →自動車は迂回して福祉施設に入らなければならないことがあったことから、周囲の通行量などを検証した上で、福祉施設の前は一方通行にならないように交通規制を変更した。 p85 【生活場面例・災害等】 2-(4)-40 事例 災害時の移動に備え器具を導入した例。 →災害時に利用することを想定したエアストレッチャーやヘルメット、休憩用のベッド等を整備した。 2-(4)-41 事例 高層階における災害に備え機器を導入した例。 →エレベーターが使えないことを想定し、階段避難車(歩行困難な方を上層階から階段を使用して避難させることができる機器)を備えることとした。 2-(4)-42 事例 避難所に避難してきた際の対応を想定して事前準備を行った例。 →仮設トイレとは別に、本人と介助者が余裕を持って入れる広さの部屋を確保して、ポータブルチェアトイレ、簡易便器、ベッドを置き、着替えやトイレができるようにした。 【生活場面例:その他】 2-(4)-43 事例 海水浴場のシャワー設置場所を整備した例。 →海開きに合わせて、シャワーの設置場所に段差を埋める板を敷き、平坦にすることで、車椅子利用者も利用できるようにした。 p86 環境の整備事例 5 内部障害、難病に起因する障害 【生活場面例:教育】 2-(5)-1 事例 気管切開で吸引処置が必要な生徒の入学に備え研修等を行った例。 →学校でも吸引処置を行えるように学校看護職員を配置し、養護教諭等にも手技の研修等を行った。 【生活場面例:サービス】 2-(5)-2 事例 来客者用トイレを改修した例。 →ストーマを装着した方が来客した際にも使用できるよう、オストメイト対応の多機能トイレに改修した。 p87 環境の整備事例 6 知的障害 【生活場面例:教育】 2-(6)-1 事例 発語がなく、コミュニケーションでは実物や指差し、発声で要求や援助を伝えることができるが明確に相手に伝わらないことが多い障害がある生徒と円滑なコミュニケーションができるよう機器の導入を行った例。 →本人の理解度や操作能力に合わせて選べるよう、絵カードやタブレット端末、音声ペンなどの補助手段を導入した。 2-(6)-2 事例 危険性の予知が難しく、校舎の窓から外へ出ようとすることがある生徒がいる場合に備え校舎の整備を行った例。 →生徒の落下を防ぐため、やや高めの窓手すりや柵を設置した。 2-(6)-3 事例 時間の見通しを視覚的に分かるようにするための工夫を行った例。 →学校の予算で時間の流れが視覚的に分かるタイマーを購入し各教室に設置した。 p88 【生活場面例:災害等】 2-(6)-4 事例 災害時において、日常的に不安感やパニックを起こす障害がある方を誘導できるよう工夫した例。 →避難場所や避難する際の注意などを分かりやすく伝えるための視覚的な手がかりを用意した。また、学校内の避難経路は分かりやすいように、生徒の目線の位置に目印を設置し、避難訓練の際もそれを手がかりにして避難するようにした。 p89 環境の整備事例 7 重症心身障害 【生活場面例:行政】 2-(7)-1 事例 障害の状態に応じてオムツ交換が必要な方に対応できるよう設備を改修した例。 →トイレに成人でも利用可能な壁取付型折りたたみ式オムツ交換シートを設置した。 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 2-(7)-2 事例 重症心身障害児者の車椅子(ストレッチャータイプ)使用者も店舗内を円滑に移動できるよう設備を改修した例。 →ストレッチャータイプの車椅子でも利用できるエレベーターを設置した。 2-(7)-3 事例 理髪店で車椅子に乗ったまま散髪できるよう設備を改修した例。 →調髪椅子の一つを可動式にし、車椅子に座ったまま散髪できるようにした。 【生活場面例:教育】 2-(7)-4 事例 医療的ケアが必要な児童が近隣の学校に通学できるよう体制整備等行った例。 →本人の希望に沿った形で近隣の学校へ通学が可能となるように、看護師の巡回などの体制・設備の整備を行った。 p90 2-(7)-5 事例 スクールバスの中でも医療的ケアができるよう人的配置を行った例。 →看護職員などの医療的ケアに対応できる者もスクールバスに乗車するよう勤務時間を変更した。 【生活場面例:交通・移動】 2-(7)-6 事例 ターミナル駅など大規模な駅で移動しやすくなるよう動線の整備を行った例 →バリアフリーの経路について検証し、どの時間帯でもなるべく分かりやすく利用できるようにスロープ、エレベーター、迂回路などの動線の整備を行った。 【生活場面例:災害等】 2-(7)-7 事例 災害時における重症心身障害者の避難に備え避難所を整備した例。 →人工呼吸器等のバッテリーに充電するための発電機やインバーターを整備した。また、災害時の備えとして、大規模な停電時には医療用電源ステーションを立ち上げる仕組みを整えた。 日頃から災害時を想定した医療物品の保管および医療機器の電源の確保を実施している避難所を整備し、情報を周知していくこととした。 嚥下機能障害のある方が避難してきた際に備え、災害時の備蓄食料に、ペースト食・ソフト食・トロミ剤などを加えた。 p91 環境の整備事例 8 精神障害 【生活場面例:行政】 2-(8)-1 事例 行政機関の窓口を利用しやすくするため職員に周知を行った例。 →窓口対応を行う職員に対して、説明をする際は分かりやすい表現を使い本人が理解しているかを確認するなどの対応方法について周知した。 【生活場面例:教育】 2-(8)-2 事例 講義に集中することが難しい生徒に修学支援を行った例。 →生徒の希望と症状の診断結果を考慮して、一部の講義にチューターを付けて修学支援できることとした。 2-(8)-3 事例 修業年限内の単位取得が難しい生徒のために制度の見直しを行った例。 →大学院生に限定されていた修業年限を延長する長期履修制度を障害や病気のある学部の学生に導入し、学期ごとに履修する単位数を減らすこととした。 p92 環境の整備事例 9 発達障害 【生活場面例:教育】 2-(9)-1 事例 多数の生徒がいる環境では集中できない生徒が授業を受講しやすくできるよう機器の導入を行った例。 →大教室にカメラ、別室にモニターを設置し、別室において受講できるようにした。 2-(9)-2 事例 休憩時間から授業への気持ちの切替えが苦手な生徒が気持ちの切替をしやすくなるよう工夫した例。 →休憩時間に好きな活動をしている途中でも授業への気持ちが切り替えやすくなるように、チャイム前に合図となる音楽を流すようにした。 2-(9)-3 事例 発達障害のある生徒に対応するため教室内の環境の整備を行った例。 →掲示物が視界に入ると集中できない生徒のために、掲示スペースを教室の後ろ側へ移設した。 大きな音に敏感な生徒のために、椅子の引きずる音を減少できるよう、全ての机と椅子の脚に防音加工を施した。 p93 2-(9)-4 事例 発達障害がある生徒への情報発信を工夫した例。 →発達障害のある生徒等を対象とした支援に関する情報を配信するサービスを学内の生徒等向けに構築し、窓口に来なくても就学上の課題を解決できるようにした。また、授業の準備物や提出物に関することや、スケジュール等に関することを、ネット上の掲示板に掲載し、各自で確認できるようにした。 【生活場面例:災害等】 2-(9)-5 事例 長時間並んで待つのが苦手な障害者に対しても、避難所で配給が行えるよう工夫した例。 →障害者・乳幼児・高齢者など、長時間並ぶことが困難な人を対象に、別途配給するようにした。 p94 3.合理的配慮の提供+環境の整備事例 p95 合理的配慮の提供+環境の整備事例 環境の整備は、不特定多数の障害者向けに事前的改善措置を行うものとなりますが、合理的配慮は、環境の整備を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障害者に対して、個別の状況に応じて講じられる措置となります。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の提供内容が異なることとなります。障害を理由とする差別の解消のための取組は、合理的配慮の提供と環境の整備を両輪として進めることが重要です。 多数の障害者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点からは、他の障害者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことや、相談・紛争事案を事前に防止する観点からは、合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、行政機関等・事業者の内部規則やマニュアル等の制度改正等の環境の整備を図ることは有効です。また環境の整備は、障害者との関係が長期にわたる場合においても、そのつどの合理的配慮の提供が不要となる点で、中長期的なコストの削減・効率化にも資することとなります。 ○事例紹介の見方 上段:障害者が困っていることや合理的配慮の申出などを記載しています。 下段:どのように合理的配慮を提供するとともに、環境を整備したのかを記載しています。 ※各取組が「合理的配慮の提供」と「環境の整備」のどちらに該当するかは、文末にカッコ書きで記載しています。 p96 合理的配慮及び環境の整備の提供事例 1 視覚障害 【生活場面例:行政】 3-(1)-1 事例 市役所福祉課関係の部署から郵送する文書には、封筒の表面に中身のことを点字で書いてもらいたい。 →直ちに全ての封筒に点字の印字を行うことは難しいため、代わりに丸シールを貼ることを申出者に提案し、了承を得た。(合理的配慮) その後は、希望者に対して、福祉課からの郵送物の目印として封筒に丸シールを貼る仕組みとした。(環境の整備) 【生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】 3-(1)-2 事例 郵送のみの申請とされている特別定額給付金の申請について窓口対応してもらえないか。 →一般的な受付方法としては窓口対応を想定していなかったが、窓口で対応した。(合理的配慮) また、今後は視覚障害者に限らず、申請手続が困難な障害者に対し、窓口における申請サポートの機会を設けた。(環境の整備) p97 合理的配慮及び環境の整備の提供事例 2 聴覚・言語障害 【生活場面例:サービス】 3-(2)-1 事例 化粧品を買いたいが、聴覚障害があり、店員の説明が聞こえづらい。 →接客の際に、店員がゆっくり、はっきりと話すようにした。(合理的配慮) その後、店舗での簡単な接客手話を勉強する機会を設け、「ありがとうございました」等を手話で伝えられるようにした。(環境の整備) 【生活場面例:医療・福祉】 3-(2)-2 事例 病院の面会予約をしたいが、聴覚障害があり電話でのやり取りが難しいため、メールで予約したい。 →メールでの予約は誤送信や迷惑メールに入ってしまうおそれがあるため、職場の同僚や聞こえる周囲の人に電話で予約をしてもらうこととした。(合理的配慮) その後、FAXを用いた事前予約も可能とすることとした。(環境の整備) 3-(2)-3 事例 病院のホームページの問合せ先が電話対応のみとなっている。電子メールやFAXでも対応できるようにしてほしい。 →ホームページに記載がなかったが、実際には電子メール及びFAXでも受け付けていることを伝えた。(合理的配慮) その後、電子メール及びFAXによる受付が可能である旨をホームページに掲載することとした。(環境の整備) p98 合理的配慮及び環境の整備の提供事例 3 肢体不自由 【生活場面例:行政】 3-(3)-1 事例 成人式に出席したいので、会場の様子を教えてほしい。 →成人式の出席予定者に事前送付する案内状に会場の段差などの様子を記載した。(環境の整備) 当日は職員が申出に応じて個別に席まで誘導した。(合理的配慮) 【生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】 3-(3)-2 事例 寝た姿勢でないとおむつ交換ができないが、多機能トイレに補助設備がなくて困っている。 →代替として救護室を利用いただいた。(合理的配慮) さらに救護室をご利用頂ける旨の案内を設置した。(環境の整備) 【生活場面例:教育】 3-(3)-3 事例 筋ジストロフィーで筋力が弱く消耗しやすいので、大学で実験作業を行いやすくなるようにしてほしい。 →学生をアルバイトとして雇用し、補助員として人員配置を行った。(環境の整備) 補助員が障害のある学生による実験作業の指示を受けて実験作業を代替するようにしたことで、当該学生が実験を行うことができるようにした。(合理的配慮) p99 参考 p100 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (平成25年法律第65号)抄 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。【環境の整備】 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。【不当な差別的取扱いの禁止】 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。【合理的配慮の提供】 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。【不当な差別的取扱いの禁止】 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な(作業者注・下線ここから)配慮をするように努めなければならない(作業者注・下線ここまで)。【合理的配慮の提供】 ※下線部分については、令和6年4月1日から「配慮をしなければならない」となります。 p101 行政機関等 不当な差別的取扱いの禁止 義務 合理的配慮の提供 義務 環境の整備 努力義務 事業者 不当な差別的取扱いの禁止 義務 合理的配慮の提供 努力義務→令和6年4月1日からは義務 環境の整備 努力義務 ※ 雇用・就業については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによります。 p102 同一場面における 不当な差別的取扱い/合理的配慮の提供/環境の整備に当たる事例 公共施設を利用したいのだが、車イスを使っているため出入口にある段差を乗り越えることができないので、職員に手伝ってほしい。 (不当な差別的取扱い) →正当な理由なく障害者の利用を拒む。 (合理的配慮の提供) →職員が段差を乗り越える手伝いをする。 →段差に携帯スロープを架ける。 (環境の整備) →携帯スロープを購入する。 →改修工事により出入口の段差を解消してバリアフリー化する。 申込手続を行うときに、視覚障害があるため自筆では書類に記入することができないので、店員に代筆してほしい。 (不当な差別的取扱い) →正当な理由なく障害者の申込みを拒む。 (合理的配慮の提供) →本人の意向を確認しながら店員が代筆する。 (環境の整備) →申込手続における適切な代筆の仕方について店員研修を行う。 ※ おおよその考え方としては、一定の設備や組織・人員等の環境のもとで、個別の求めやあらかじめの申出に応じて対応するものが合理的配慮の提供であり、不特定多数向けに、設備や組織・人員等の確保など対応体制面の事前の改善措置を行うものが環境の整備です。 p103 不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例/該当しないと考えられる例 障害者に対する障害を理由とした異なる取扱いに「正当な理由がある」場合、すなわち当該行為が 1 客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、 2 その目的に照らしてやむを得ないと言える場合 は「不当な差別的取扱い」にはなりません。 「正当な理由」に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、 ・障害者、事業者、第三者の権利利益 (例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等) ・行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持 等の観点から、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断する必要があります。 正当な理由がなく不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例、正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例としては次のようなものがあります。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断することが必要であること、また正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意しましょう。 正当な理由がなく不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例 ○障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否すること。 ○業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害者でない者とは異なる場所での対応を行うこと。 ○障害があることを理由として、障害者に対して、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げること。 p104 ○障害があることを理由として、具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく、障害者に対し一律に保護者や支援者・介助者の同伴をサービスの利用条件とすること。 正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例 ○実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定すること。(障害者本人の安全確保の観点) ○飲食店において、車椅子の利用者が畳敷きの個室を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行うこと。(事業者の損害発生の防止の観点) ○銀行において口座開設等の手続を行うため、預金者となる障害者本人に同行した者が代筆をしようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の取引意思等を確認すること。(障害者本人の財産の保全の観点) ○電動車椅子の利用者に対して、通常よりも搭乗手続や保安検査に時間を要することから、十分な研修を受けたスタッフの配置や関係者間の情報共有により所要時間の短縮を図った上で必要最小限の時間を説明するとともに、搭乗に間に合う時間に空港に来てもらうよう依頼すること。(事業の目的・内容・機能の維持の観点) p105 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例/該当しないと考えられる例 合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、 1 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること 2 障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること 3 事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと に留意する必要があります。 合理的配慮の提供に当たっては、これらの点に留意した上で、障害者の方が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障害者本人の意向を尊重しつつ、過重な負担の有無も考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要があります。 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例、該当しないと考えられる例としては次のようなものがあります。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であることに留意しましょう。 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例 ○試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。 ○イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。 ○電話利用が困難な障害者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ること。 p106 ○自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。 合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例 ○飲食店において、食事介助等を求められた場合に、当該飲食店が当該業務を事業の一環として行っていないことから、その提供を断ること。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点) ○抽選販売を行っている限定商品について、抽選申込みの手続を行うことが困難であることを理由に、当該商品をあらかじめ別途確保しておくよう求められた場合に、当該対応を断ること。(障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることの観点) ○オンライン講座の配信のみを行っている事業者が、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた場合に、当該対応はその事業の目的・内容とは異なるものであり、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備も有していないため、当該対応を断ること。(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点) ○小売店において、混雑時に視覚障害者から店員に対し、店内を付き添って買物の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、店員が買物リストを書き留めて商品を準備することができる旨を提案すること。(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点) p107 合理的配慮の提供における留意点 (対話の際に避けるべき言葉) 「先例がありません」 →障害者差別解消法が施行されており、先例がないことは断る理由になりません。 「特別扱いできません」 →特別扱いではなく、障害のある人もない人も同じようにできる状況を整えることが目的です。 「もし何かあったら」 →漠然としたリスクでは断る理由になりません。どのようなリスクが生じ、そのリスク低減のためにどのような対応ができるのか、具体的に検討する必要があります。 「その障害種別ならば」 →同じ障害種別でも程度などによって適切な配慮が異なりますので、一括りにしないで検討する必要があります。(盲/弱視、ろう/難聴、全身/半身など) 障害者からの配慮の申出について、合理的ではないものや過重な負担があるものについては、その提供をお断りすることができます。 ・膨大な分量の資料の全文読み上げを求められた ・必要性がないのに買物中は常に店員が同行することを求められた ・個人的な外出予定に沿うよう公共交通機関の時間変更を求められた ・否定されるとストレスで症状が悪化してしまうからと過度な要望であっても否定せずに実行することを求められた など p108 不当な差別的取扱い/合理的配慮の提供に関するQ&A (総合的・客観的判断) Q 障害者が不当な差別的取扱い/合理的配慮の不提供を受けたと感じた場合には、それをもって常に不当な差別的取扱い/合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 障害者側からの感じ方のみで不当な差別的取扱い/合理的配慮の不提供に当たると決まるのではなく、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することとなります。 (行政サービス 1) Q 年金給付や生活支援などの行政サービスについて、障害者が希望する金額や回数などの水準を満たさない場合には、不当な差別的取扱いとなるのでしょうか。 A 行政サービスは、議会の議決を経た予算や法令により定められた審査などに基づいて決まりますので、その結果として障害者の希望と合わない点があっても、不当な差別的取扱いには当たりません。 ※ 申請手続などの行政サービスの目的・内容・機能を損なわないものについては、必要に応じて柔軟な運用を検討してください。 (行政サービス 2) Q 地方公共団体が独自に取り組んでいる行政サービスについて、A市とB市で適用条件や内容などが異なっている場合には、不当な差別的取扱いとなるのでしょうか。 A 各地域独自の行政サービスは、適用条件や内容などが他の地域のものと異なっていても、不当な差別的取扱いには当たりません。 p109 (障害者割引) Q 障害者割引について、身体障害者と知的障害者には適用され、精神障害者には適用されない場合には、不当な差別的取扱いとなるのでしょうか。 A 障害者割引は、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)となりますので、一部の障害種別のみを対象にしたものであっても、不当な差別的取扱いには当たりません。 ただし、正当な理由なく障害種別によって取扱いに差が生じることは望ましくありませんので、精神障害者に対する割引への理解と協力を得て、より多くの事業者で取組が広がっていくことが期待されます。 (接客態度) Q 接客態度について、挨拶がなかったり丁寧でなかったりする場合には、不当な差別的取扱いとなるのでしょうか。 A 障害の有無とは関係のない普段の接客態度に至らない点があっても、不当な差別的取扱いには当たりません。 ※ 障害の有無によって接客態度を変えているのであれば、不当な差別的取扱いに当たります。 (相談/問い合わせ) Q 相談/問い合わせについて、時間や回数などを制限した場合には、合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 相談/問い合わせの制限は、一律に合理的配慮の不提供に当たるのではなく、それが当たるのか否かを具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することとなります。 ※ 例えば一人が相談し続けていることで他の相談者たちが長時間待っている場合などは、対応に区切りを付けたとしても合理的配慮の不提供には当たりません。 p110 (職員等配置) Q 学校教員や店舗サービススタッフなどの職員等について、障害者が希望する人数や有資格者などを配置しない場合には、合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 職員等配置は、環境の整備となりますので、障害者の希望と合わない点があっても、合理的配慮の不提供には当たりません。 ただし、恒常的に障害者への対応に支障を来しているのであれば、増員などの環境の整備に努めてください。 ※ 例えば車イスで段差を乗り越える手伝いをするために他フロアのサービススタッフも呼んでくるなど、一時的な職員等配置の変更については、合理的配慮の提供に当たります。 ※ 学校の入学を断る理由が職員等配置である場合には、その状況について不当な差別的取扱いに関する観点(正当な理由に相当するのか)も検討してください。 (スロープ/エレベーター) Q スロープ/エレベーターについて、役所や店舗などに設置されていない場合には、合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A スロープ/エレベーターの設置は、環境の整備となりますので、それらが設置されていなくとも、合理的配慮の不提供には当たりません。 ただし、恒常的に障害者への対応に支障を来しているのであれば、施設改修などの環境の整備に努めてください。 (身体介護) Q 飲食店での食事介助や温泉施設での入浴介助など、身体介護に当たる行為を求める旨の配慮の申出があった場合には、お断りすると合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 身体介護に当たる行為は、それを事務・事業の一環として行っている場合を除き、お断りしても合理的配慮の不提供には当たりません。 p111 (送迎) Q 障害により移動困難な方から、自宅や最寄り駅などへ送迎してほしい旨の配慮の申出があった場合には、お断りすると合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 自宅などへの送迎は、それを事務・事業の一環として行っている場合を除き、お断りしても合理的配慮の不提供には当たりません。 (インターネット中継) Q 障害により移動困難な方から、開催されるイベントを自宅のパソコンなどにインターネット中継してほしい旨の配慮の申出があった場合には、お断りすると合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 自宅などへのインターネット中継は、それを事務・事業の一環として行っている場合を除き、お断りしても合理的配慮の不提供には当たりません。 ※ 新たに設備や通信ネットワークなどを準備して行うインターネット中継については、合理的配慮の提供ではなく、環境の整備として実施を判断することとなります。 (担当者変更) Q 「主治医をA氏にしてほしい」「相談員からB氏を外してほしい」といった担当者変更を求める旨の配慮の申出があった場合には、お断りすると合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 担当者変更は、現担当者の業務遂行などに問題がないのであれば、お断りしても合理的配慮の不提供には当たりません。問題があるのであれば、そもそも障害の有無に関わらず対処すべきことなので、合理的配慮ではなく通常行うべきこととして変更を検討してください。 ※ 異性と話すことができないなどの特殊な理由があるときは、担当者変更が合理的配慮の提供に当たる場合もあります。 p112 (他の障害種別向けの配慮) Q 聴覚に障害のない障害者が文章でのやり取りを求めたり、体温調節機能に障害のない障害者が室温変更を求めたりなど、他の障害種別向けの配慮を求める旨の申出があった場合には、お断りすると合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 他の障害種別向けの配慮は、お断りしても合理的配慮の不提供には当たりません。 (不適切な言動) Q 暴言や器物破損などの不適切な言動について、障害によるストレスや情緒不安定などが影響している場合には、許容しないと合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 不適切な言動は、障害による影響を考慮することが望ましいですが、過度なものを許容しなくとも、合理的配慮の不提供には当たりません。 (料金設定) Q 演奏会などの料金設定について、例えばA席5,000円/B席2,500円、車イス使用者がB席を希望、車イスに対応できるのはA席のみであった場合には、A席を2,500円で購入できるようにしないと合理的配慮の不提供となるのでしょうか。 A 等級が分かれている料金設定は、まず希望等級のものを選択できるように合理的配慮の提供を検討してください。その結果として希望等級のものを選択できないのであれば、別等級への変更を勧めても、合理的配慮の不提供には当たりません。 ただし、正当な理由なく障害の有無によって選択肢に差が生じることは望ましくありませんので、いずれの選択肢においても対応できるようにすることが期待されます。 ※ 例示の場合には、まずB席を2,500円で購入できるように合理的配慮の提供を検討し、B席では対応できないという結果であれば、A席を5,000円で購入することを勧めても合理的配慮の不提供には当たりません。 p113 【社会モデルとは】 ○障害者差別解消法においては「医学モデル」ではなく「社会モデル」を取り入れています。 ○この社会モデルによると障害はどこにあると考えられているでしょうか? ○例えば階段しかないと車イスでは2階に上がれません。 →障害がある p114 ○しかしエレベーターが設置されれば車イスでも2階に上がれます。 →社会モデルでは障害が解消された ○この事例の車イス使用者は何も変わっていませんが、周囲の環境が変わったことで障害が解消されました。 ○社会モデルでは、障害とは、本人の医学的な心身の機能の障害を指すもの(医学モデル)ではなく、社会における様々な障壁(社会的障壁)との相互作用によって生じるものだと考えられています。 p115 ○社会モデルに基づくと誰にでも障害はあり得るとも考えられます。 ○断崖絶壁では、2階に上がれません。 →障害がある p116 ○ハシゴを持ってくれば、2階に上がれます。 →障害が解消された(合理的配慮の提供) ○階段を設置すれば、いつでも2階に上がれます。 →障害が解消された(環境の整備) p117 ○このように障害のない人も、周囲の環境などの社会的障壁しだいで、できる事とできない事が変わってきます。 ○つまり社会モデルでは、程度の差があるだけで、障害のある人もない人も同じ前提なのです。 ○障害のない人に対しては、すでに多くの社会的障壁が取り除かれています。障害のある人に対しても、合理的配慮の提供や環境の整備などによって社会的障壁を取り除いていきましょう。 →障害の有無によって分け隔てられない共生社会の実現へ!