資料5 障害者の情報アクセシビリティ・コミュニケーション支援に係る取組 厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室 障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する協議の場(第1回) 令和4年12月21日 p1 障害者の情報アクセシビリティ・コミュニケーション支援に係る厚生労働省の主な取組1 情報取得等に資する機器等の開発・普及の促進等 障害者のICT機器等の利用促進 障害者ICTサポート総合推進事業 障害者の情報通信技術(ICT)の利用機会の促進を図るため、総合的なサービス拠点(サポートセンター等)の設置・運営や、ICT機器の操作方法を支援するパソコンボランティアの養成・派遣等を行う。 令和4年度から、各自治体が設置するICTサポートセンターの活動を支援するため、ICTサポートセンターにおける取組の好事例の横展開、情報の共有機会の提供等を行う「ICTサポートセンター連携事務局」を設置する事業を開始。 視聴覚障害者情報提供施設の運営 点字刊行物や視覚障害者用の録音物の製作・貸出、情報機器の貸出、視覚障害者に関する相談等に係る事業等を実施する視覚障害者情報提供施設(点字図書館等)、専ら聴覚障害者が利用する字幕(手話)入りの録画物の製作・貸出、情報機器の貸出、聴覚障害者に関する相談等に係る事業を実施する聴覚障害者情報提供施設が全国に設置されている。 障害者自立支援機器等開発促進事業 障害者にとって、使いやすく適切な価格の機器の実用的な製品化を促進するため、障害者の自立支援機器の開発に対する助成、ニーズ・シーズのマッチング強化のための交流会、機器開発に係る人材育成など、企業が障害者等と連携して開発する取組に対して助成を行う。 日常生活用具給付等事業 地域の特性や利用者の状況に応じ、障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与する。 今後、各市町村の地域の障害者のニーズに応じた見直しに資するよう、市町村の実施状況の情報収集を行い、効果的な取組等について市町村に発信することを検討。 p2 障害者の情報アクセシビリティ・コミュニケーション支援に係る厚生労働省の主な取組2 意思疎通支援者の確保・養成・資質の向上等 意思疎通支援事業等の推進 意思疎通支援事業(養成・派遣)<都道府県・市町村> 聴覚、言語機能、音声機能、視覚、失語、知的、発達、高次脳機能、重度の身体などの障害や難病により、意思疎通に支障がある障害者等とその他の者の意思疎通を支援するため、手話通訳者、要約筆記者等の派遣や養成等を実施。 意思疎通支援従事者の養成研修指導者の養成<国が団体へ委託> 意思疎通支援従事者の確保に向けた取組 意思疎通支援従事者確保等事業 主として若年層に対して、意思疎通支援従事者への関心を高め参入促進等を促す広報・啓発活動、意思疎通支援従事者が活躍する事業者等に関する情報収集・対外発信、従事者確保に向けた課題分析を行う事業を令和4年度から実施。 若年層の手話通訳者養成モデル事業 大学の協力を得て、大学生等を対象とした手話通訳講座等を実施することにより、人材確保の裾野の拡大を目指す。 意思疎通支援事業の推進に資する調査研究(令和4年度) 手話通訳に係る意思疎通支援従事者の養成についての研究 代筆・代読に関する効果的な支援方法に関する研究 p3 障害者ICTサポート総合推進事業(サポートセンター) 障害者の情報通信技術(ICT)の利用機会の促進を図るため、総合的なサービス拠点(サポートセンター等)の設置・運営を推進(実施主体:都道府県・指定都市・中核市)。また、各自治体が設置するICTサポートセンターの活動を支援する「ICTサポートセンター連携事務局」を設置し、ICTサポートセンターにおける取組の好事例の横展開、情報の共有機会の提供等により、地域における障害者のICT機器利用に関する相談体制等の充実を図る。 ICTサポートセンター設置自治体 A県ICTサポートセンターの業務:身近な相談窓口支援、WEBによる情報提供、ICT機器の展示、体験利用、ICT機器の紹介・貸出、ICT機器利用相談、利用支援団体の紹介 視聴覚障害者情報提供施設、障害当事者団体、メーカー、パソコンボランティア等と連携 ICTサポートセンター連携事務局が後方支援(全国連絡会議の実施、ICTサポートセンターに対する支援、ICT機器に関する情報収集・発信、関係機関との連携、センター未設置自治体への支援、その他必要な取組) 障害者、そのご家族等に対するICT機器利用に関する相談体制等の充実 PC、スマホ、ネット等の利用において、・自分に適した機器を知りたい・基礎的な使い方を知りたい・便利な利用方法がわからない ICT機器を使った社会参加活動がしたい 障害により会話が困難となった友人とコミュニケーションがしたい など p4 障害者自立支援機器等開発促進事業 事業目的 障害者の自立や社会参加を支援する機器の開発においては、障害像が個別・特異的で多岐にわたるため障害者のニーズと開発者のシーズのマッチングが非常に難しい。またマーケットが小さく技術はあるが開発や製品化及び事業化が進まない状況にある。このため、ニーズとシーズのマッチングを促進するために、開発企業が障害者等と連携して開発する取組に対して助成を行うとともに、障害者等の多岐にわたるニーズを的確に捉え、事業化の視点を踏まえ開発を始める事で支援機器の製品化及び事業化を加速する人材を育成する取組に対して助成を行う。 事業内容 (1)障害者の自立支援機器の開発(実用的な支援機器の製品化)に対する助成 1 テーマ設定型事業、2 製品種目特定型事業 (2)ニーズ・シーズマッチング強化事業  (3)自立支援機器イノベーション人材育成事業(※令和4年度新規創設) 実施主体 民間団体(公募により選定) 補助率 (1)中小企業 2/3(※(1)-2は初年度のみ10/10)    大企業・公益法人 1/2  (2)定額(10/10相当) (3)定額(10/10相当) ニーズ把握から製品販売までのイメージ ニーズの把握・特定〜コンセプト生成→試作機開発〜実証実験〜製品化→製品の普及 (3)自立支援機器イノベーション人材育成事業 デザイン思考等を用いた開発プロセスを体系的に学ぶワークショップの開催 (2)ニーズ・シーズマッチング強化事業 支援機器に関するニーズ、生活における困りごと等を開発側に伝える。 障害当事者との意見交換にてニーズを把握、開発の着想を得る。 ニーズを的確に捉えた支援機器の開発着手 (1)実用的な支援機器の開発に要する費用の助成 ※研究段階を終え基本設計はできているが、試作機の製作までには至っていないものが対象 実用的な支援機器の製品化→普及 p5 障害者自立支援機器等開発促進事業 採択・製品化事例 「(バス・車両用)車載型磁気ループ補聴システムの開発」 難聴者用ヒアリングループ(磁気ループ) 株式会社 ソナール(H22,23) 補聴器は無差別にあらゆる音が聞こえるため、特に広い場所(ホール、会議室、劇場等)で音声を正確に聞き取る事が困難である。補聴器の限界をカバーするため、マイクの音を電気信号に換え、伝線の中で生まれた磁力を補聴器で感知することで聞こえる「音声」にするシステム。販売時期H26〜 使用できる補聴器の種類 ポケット型 操作がし易く、話し手の口元に近づけて聞くこともできる (人工内耳モード切替可、約70%の機種) 耳かけ型 耳の後ろに×タイプで他機種、調整機能があり操作がし易い (人工内耳モード切替可、約60%の機種) 耳あな型 使用者の耳型、聴力に合わせる。音源が鼓膜に近いので、効果が得やすい (人工内耳モード切替不可、一部オプション対応) 「物体の形状に合わせて把持することができる多指機構を有し、軽量で極めて装飾性に優れた量産型筋電義手」 社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団 H28〜H30採択開発成果 片側前腕切断者を主たる対象者とした補助手としての筋電義手。シリコン製のグローブを採用し装飾性の向上と薬指・小指の独立動作を獲得し、親指は健側の手で向きや形状を自在に調整することで、これまでの義手では不可能であった(※親指・人差し指・中指の3指の第3関節部のみが同時に動くのみであった)、親指を除く4指全てが独立して第2〜3関節で曲がり、伸展することも可能になったことから、掌で物を押さえることもできる義手。 「上肢欠損児の両手協調動作を促す訓練用の筋電義手と自助具」 令和元年度 製品種目特定型採択 開発する訓練用筋電義手(白)と市販品(黄) 親指・人差指・中指でつまむ訓練用。プラスチック製材料を用い手先部の重量を減らし、利用時に手先にかかる重さを軽減する。軽さは訓練時に(低年齢)小児の筋電義手の受け入れに重要である。 p6 ニーズ・シーズマッチング強化事業 開催概要 支援機器に係る「ニーズ」と「シーズ」のマッチングを目的とした交流 特別講演をはじめ、事例報告や成果報告 出展企業等との意見交換や交流の推進 p7 日常生活用具給付等事業の概要 1.制度の概要 地域の特性や利用者の状況に応じ、市町村が柔軟な形態により事業を行う地域生活支援事業のうち、必須事業の一つとして規定。 障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与すること等により、福祉の増進に資することを目的とした事業である。 実施主体・・・市町村 対象者・・・日常生活用具を必要とする障害者、障害児、難病患者等(※難病患者等については、政令に定める疾病に限る) 申請方法・・・市町村長に申請し、市町村による給付等の決定後、給付等を受ける。 2.対象種目 以下の「用具の要件」すべて満たすものであって、第二号に掲げる用具の用途及び形状のいずれかに該当するもの。 「用具の要件」 1 障害者等が安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの 2 障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ社会参加を促進すると認められるもの 3 用具の製作、改良又は開発にあたって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないもの 「用具の用途及び形状」 介護・訓練支援用具 特殊寝台、特殊マット等その他の障害者等の身体介護を支援する用具並びに障害児が訓練に用いるいす等のうち、障害者等及び介助者が容易に使用できるものであって、実用性のあるもの 自立生活支援用具 入浴補助用具、聴覚障害者用屋内信号装置その他の障害者等の入浴、食事、移動等の自立生活を支援する用具のうち、障害者等が容易に使用できるものであって、実用性のあるもの 在宅療養等支援用具 電気式たん吸引器、盲人用体温計その他の障害者等の在宅療養等を支援する用具のうち、障害者等が容易に使用できるものであって、実用性のあるもの 情報・意思疎通支援用具 点字器、人工喉頭その他の障害者等の情報収集、情報伝達、意思疎通等を支援する用具のうち、障害者等が容易に使用できるものであって、実用性のあるもの 排泄管理支援用具 ストーマ装具その他の障害者等の排泄管理を支援する用具及び衛生用品のうち、障害者等が容易に使用できるものであって、実用性のあるもの 居宅生活動作補助用具 障害者等の居宅生活動作等を円滑にする用具であって、設置に小規模な住宅改修を伴うもの。 3.費用負担 (1)補助金の負担割合・・・国:50/100以内 都道府県:25/100以内 (2)利用者負担・・・市町村の判断による。 p8 意思疎通支援者の養成・派遣の概要 聴覚、言語機能、音声機能、視覚、失語、知的、発達、高次脳機能、重度の身体などの障害や難病により、意思疎通に支障がある障害者等とその他の者の意思疎通を支援するため、手話通訳者、要約筆記者等の派遣や養成等を実施する。 市町村や都道府県が実施する派遣や養成の事業については「地域生活支援事業」(※地域の特性や利用者の状況に応じ、実施主体が柔軟な形態により様々な事業を実施する)の事業に位置づけられている。 市町村・都道府県で支援者の派遣等を実施 市町村 手話通訳者、要約筆記者の派遣 失語症者向け意思疎通支援者の派遣 手話通訳者の設置 点訳、代筆、代読、音声訳等による支援 都道府県 手話通訳士・者、要約筆記者派遣 盲ろう者向け通訳・介助員派遣 失語症者向け意思疎通支援者派遣 派遣に係る市町村相互間の連絡調整 都道府県・市町村で養成研修を実施 市町村 手話奉仕員の養成 点訳奉仕員、朗読奉仕員等の養成(任意事業) 都道府県 手話通訳者の養成 要約筆記者の養成 盲ろう者向け通訳・介助員の養成 失語症者向け意思疎通支援者の養成 手話奉仕員、点訳奉仕員、朗読奉仕員等の養成(任意事業) 国で指導者を養成 団体委託 社会福祉法人 全国手話研修センター(手話奉仕員・手話通訳者の指導者養成を実施) 社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター(要約筆記者の指導者養成を実施) 社会福祉法人 全国盲ろう者協会(盲ろう者向け通訳・介助員の指導者養成を実施) 一般社団法人 日本言語聴覚士協会(失語症者向け意思疎通支援者の指導者養成を実施)