資料8 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律 (令和4年法律第50号) p1 目次 第一章 総則(第一条―第十条) 第二章 基本的施策(第十一条―第十六条) 附則 (作業者注・目次ここまで) 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加するためには、その必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができることが極めて重要であることに鑑み、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の基本となる事項を定めること等により、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「障害者」とは、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二条第一号に規定する障害者をいう。 (基本理念) 第三条 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。 一 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る手段について、可能な限り、その障害の種類及び程度に応じた手段を選択することができるようにすること。 p2 二 全ての障害者が、その日常生活又は社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しくその必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。 三 障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること。 四 デジタル社会(デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)第二条に規定するデジタル社会をいう。)において、全ての障害者が、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術の活用を通じ、その必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。 (国及び地方公共団体の責務等) 第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、その地域の実情を踏まえ、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を策定し、及び実施する責務を有する。 3 国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策が障害者でない者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通にも資するものであることを認識しつつ、当該施策を策定し、及び実施するものとする。 (事業者の責務) 第五条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、障害者がその必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにするよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に協力するよう努めなければならない。 (国民の責務) 第六条 国民は、障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通の重要性に関する関心と理解を深めるよう努めるものとする。 p3 (関係者相互の連携及び協力) 第七条 国、地方公共団体、事業者その他の関係者は、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策が効率的かつ効果的に推進されるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。 (障害者等の意見の尊重) 第八条 国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を講ずるに当たっては、障害者、障害児の保護者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。 (障害者基本計画等との関係) 第九条 政府が障害者基本法第十一条第一項に規定する障害者基本計画を、都道府県が同条第二項に規定する都道府県障害者計画を、市町村が同条第三項に規定する市町村障害者計画を策定し又は変更する場合には、それぞれ、当該計画がこの法律の規定の趣旨を踏まえたものとなるようにするものとする。 2 政府は、障害者基本法第十三条の規定により国会に提出する報告書において、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の実施の状況が明らかになるようにするものとする。 (法制上の措置等) 第十条 政府は、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。 第二章 基本的施策 (障害者による情報取得等に資する機器等) 第十一条 国及び地方公共団体は、障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通に資する情報通信機器その他の機器及び情報通信技術を活用した役務(以下この条及び第十五条において「障害者による情報取得等に資する機器等」という。)の開発及び普及の促進を図るため、障害者による情報取得等に資する機器等に関し、開発及び提供に対する助成その他の支援、規格の標準化、障害者又はその介助を行う者(次項及び第三項において「障害者等」という。)に対する情報提供及び入手の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 p4 2 国及び地方公共団体は、障害者等が障害者による情報取得等に資する機器等の利用方法を習得することができるようにするため、障害者による情報取得等に資する機器等の利用に関し、障害者の居宅における支援、講習会の実施、障害者等からの相談への対応その他の必要な取組を自ら行うとともに、当該取組を行う者を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。 3 国は、障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に資するよう、内閣府、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省その他の関係行政機関の職員、障害者による情報取得等に資する機器等を開発し又は提供する者、障害者等その他の関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。 (防災及び防犯並びに緊急の通報) 第十二条 国及び地方公共団体は、障害の種類及び程度に応じて障害者が防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするため、体制の整備充実、設備又は機器の設置の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、障害の種類及び程度に応じて障害者が緊急の通報を円滑な意思疎通により迅速かつ確実に行うことができるようにするため、多様な手段による緊急の通報の仕組みの整備の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (障害者が自立した日常生活及び社会生活を営むために必要な分野に係る施策) 第十三条 国及び地方公共団体は、医療、介護、保健、福祉、教育、労働、交通、電気通信、放送、文化芸術、スポーツ、レクリエーション、司法手続その他の障害者が自立した日常生活及び社会生活を営むために必要な分野において、障害者がその必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにするため、障害者とその他の者の意思疎通の支援を行う者(第十五条において「意思疎通支援者」という。)の確保、養成及び資質の向上その他の必要な施策を講ずるものとする。 p5 2 国及び地方公共団体は、医療、介護、保健若しくは福祉に係るサービスを提供する者、学校の設置者、事業主、交通施設(移動施設を含む。)を設置する事業者、電気通信若しくは放送の役務を提供する事業者又は文化芸術施設、スポーツ施設若しくはレクリエーション施設の管理若しくは運営を行う者が行う障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通のための取組を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。 (障害者からの相談及び障害者に提供する情報) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者からの各種の相談に応ずるに当たっては、障害者がその必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるよう配慮するものとする。 2 国及び地方公共団体は、障害者に情報を提供するに当たっては、その障害の種類及び程度に応じてこれを行うよう配慮するものとする。 (国民の関心及び理解の増進) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通の重要性に関する国民の関心と理解を深めるよう、障害者による情報取得等に資する機器等の有用性、障害者による円滑な意思疎通において意思疎通支援者が果たす役割等に関する広報活動及び啓発活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。 (調査研究の推進等) 第十六条 国及び地方公共団体は、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に関する調査及び研究を推進し、その成果の普及に努めるものとする。 附則 この法律は、公布の日から施行する。