資料1-1 障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する協議の場(第6回) (一社)全国手をつなぐ育成会連合会・意見書 p1 この度は、ヒアリングの機会をいただき、ありがとうございます。私たち「一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会」は、知的・発達障害のある人(以下「知的障害者」という。)の権利擁護と政策提言を行うため、全国56の団体が正会員となり、正会員の各団体がそれぞれ役割を担う有機的なつながりをもつ連合体として活動していくことを目的として発足したものです。 昭和27(1952)年に、知的障害児を育てる3人の母親が障害のある子の幸せを願い、教育、福祉、就労などの施策の整備、充実を求めて、仲間の親・関係者・市民の皆さんに呼びかけたことをきっかけに、精神薄弱児育成会(別名:手をつなぐ親の会)が設立。昭和30(1955)年に全国精神薄弱者育成会として社団法人となり、昭和34(1959)年には社会福祉法人格を得て全日本精神薄弱者育成会となりました。 その後、平成7(1995)年には「社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会」と改称しましたが、急激に進む少子高齢化や、社会福祉法人のあり方の検討が行われる社会情勢のもと、障害者福祉の運動を進める団体としてふさわしい組織となるべく、平成26(2014)年に社会福祉法人格を返上し、任意団体として全国の育成会の連合体組織である「全国手をつなぐ育成会連合会」を発足。令和2年4月1日には、組織運営の透明性向上と活動の活性化を図るため、一般社団法人格を取得したものです。 地域組織としては47都道府県育成会と政令指定都市育成会(8市)が正会員で、全国の育成会に所属する会員は約10万人です。このほか、活動を支えていただくための会員として「賛助会員」を募集しており、会員、賛助会員の皆さまには機関誌「手をつなぐ」(2万3千部)を毎月お届けしてます。(令和7年10月時点) p2 1 知的障害領域における情報取得等に資する機器等の活用状況 前提として、知的障害と発達障害は異なる障害です。 知的な発達に遅れがあることが主因である社会的障壁により、日常生活や社会生活、あるいは就業上の困難を抱えている状態が知的障害となります。発達障害については、JDDネットワーク様から解説があると思いますが、概説的には自閉スペクトラム症や注意欠陥多動症などが主因である社会的障壁により、日常生活や社会生活、あるいは就業上の困難を抱えている状態となります。 知的障害と発達障害は重複することが多く、表記上も「知的・発達障害」とされるケースも少なくありませんが、今回は弊会とJDDネットワーク様がヒアリング対象となっていますので、弊会からは知的障害領域を中心に発表いたします。 知的障害領域における情報取得関係機器に関しては、必ずしもICTだけに依拠するものではなく、特別な機材でなくても対応できるケース、あるいはハード整備ではなくソフト対応が求められるケースも多数あります。下記に例示します。なお、発達障害と重複している場合の関係機器はJDDネットワーク様の資料を参照してください。 (1)コミュニケーションボード 発語が困難な知的障害者が利用する、指差し式の意思表示ツール。利用対象者や利用場面によって利用方法はカスタマイズする。たとえば、食事場面でメニューが魚と肉で分かれているなら、それぞれの写真をボードに貼り付けて、ボード上部に「どちらを食べますか?」などの質問を添える。 (2)パーテーション 知的障害者の作業スピードが遅くなりがちな場合、指示や激励、他者の視線などが過剰なコミュニケーションになってしまうことも多いため、作業集中度を上げるためにコミュニケーションを低減する。 (3)時間管理およびスケジュール管理機器 知的障害者の場合には、集中力の持続や記憶保持に課題のあるケースも多いため、たとえばホワイトボードに時間ごとの作業を掲示する、タブレット端末にスケジュールを表示するといった活用方法がある。 2 聴覚障害向け情報取得等に資する機器等への期待 情報取得関係機器に関しては聴覚障害領域が先行していますが、たとえば字幕表示は知的障害者にとっても内容の確認をする際に有用です。ただ、いわゆる「分かりやすい日本語」になっておらず、振り仮名もないことから、現時点ではそのポテンシャルを活かしきれていないともいえます。障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の理念を具現化するためにも、振り仮名および「分かりやすい日本語」に対応した字幕の研究も期待されます。 p3 3 アセスメントに基づく情報提供 数は少ないものの、知的・発達障害の特性を踏まえたコミュニケーションアセスメントに基づいて必要な合理的配慮(環境調整)を実施している障害福祉サービス事業所なども現れています。参考まで、川崎市にあるダンウェイ(株)の取組みを紹介いたします。 4 知的障害の理解啓発 こうした情報取得関係機器の開発や普及については、その前提として知的・発達障害の特性理解が重要となります。弊会が展開する「啓発キャラバン隊」では知的・発達障害の特性を、参加型のワークショップにより親しみやすい形で啓発しています。ご関心のある方は下記の担当者までお問合せください。 以上 【問合せ先】 一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会東京事務所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿 7-17-6第三和幸ビル 2F-C 担当:又村(またむら) TEL:03-5358-9274 FAX:03-5358-9275 E-mail:info@zen-iku.jp