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第12回障がい者制度改革推進会議(2010年5月24日)
議事要録


議事 第一次意見取りまとめに向けた推進会議の問題意識の確認


1.第一次意見の目的や性格

  • (東室長)
    • これまでの議論で主な点を中心に書いている。まだ議論が必要な点は、第二次意見で触れたい。第二次意見は今年の12月を目途に出す予定。
    • 意見書は政府全体としてどういう方向性で改革を進めていくべきか意見を述べるという形。各論における結論部分は、原則、いつまでにこういう方向で何をすべきという書きぶり。
    • 「I はじめに」「II 障害者制度改革の基本的考え方」を総論と呼んでいる。
    • 「I はじめに」は推進会議がどういう現状をベースに議論しているのか、一定程度の認識を示すために書いた。いろんな意見があり、この場でまとめる作業は非常に難しく時間もかかる。何人かで調整し、案を推進会議に上げていただければIIから議論を始めたい。
  • (藤井議長代理)「はじめに」に関しては、東室長を中心に候補者を挙げてチームをつくって記述していただく。

2.総論

【全般】

  • (発言)以下の点等、歴史的な経緯の中で明らかにする客観的、科学的な分析が必要。
    • なぜ障害関係の予算がOECDの30か国中、一番下から何番目というようなランクなのか
    • なぜ障害者の出現率が5〜6%という水準なのか
    • なぜ30万人もの精神障害者がずっと精神病院の中に入り続けているのか
    • なぜ家族依存がずっと続いているのか。
    • 制度政策上の今日の到達点がなぜ生まれているのか。政策の変遷や政策意図がどうだったのか。それに対抗する障害者運動など国民側の運動の成果と貢献、評価をどうするのか。
  • (発言)「我が国」という表現は、やや上から目線に聞こえるので、「日本」としてはどうか。
  • (発言)今日の資料等も含め、追いつけない部分、難しいところもある。後ろの方に解説や説明文を付けてもいい。だんだん自分が置いていかれていると感じていた。資料とかを含めて、わかりやすい文書や本を出していければいい。項目ごとに説明があったらわかりやすい。ほかの知的と言われている人たちの意見を聞いてもう少し具体的にしたらいい。どうしても使わなければならないカタカナ用語は説明をしなければならないのではないか。

【目次】

  • (発言)「改革集中期間の推進体制に係る基本的方向」を最初にしてはどうか。「2.基礎的な課題における改革の方向性」に「言語・コミュニケーションの定義」を入れてほしい。「横断的課題における改革の基本的方向と今後の進め方」の1)基本法の抜本的改正に、言語の定義、コミュニケーションを入れてほしい。2番の「1)インクルーシブな社会の構築」は、文とテーマが合っていないのではないか。
  • (東室長)言語とコミュニケーションの定義は基礎的な課題の問題となるぐらい重要なので検討したい。

【II 障害者制度改革の基本的考え方】

  • (発言)権利や自由権は欠けていた領域なので、重視して今後の改革を進めることは必要。家族依存からの脱却というものもきちんと設けるべき。
  • (発言)地域において自立した生活を営むことは、自らの自己決定に基づいて保障されるのではなく、生まれた場所で生活するという当たり前の権利を明らかにすべき。
  • (発言)どんな重い障害を持つ人も知的障害や精神障害の方も含めて、必要な相談支援や選択肢を広げるような体験、経験を踏まえた自己決定・自己選択が大切にされるべき。
  • (発言)差別のない社会づくりとして、侵害からの救済を受ける法制度に虐待防止も書き込んでほしい。
  • (発言)社会モデルの定義付けか解説をすべき。社会モデルは、本人が持っている損傷と、広い意味での社会制度や社会システム、障害をめぐる価値観や意識、目に見えないものも含めたさまざまな社会関係から障害が生じることを提起する。医学モデルは、何か社会的な活動ができないとか、社会的な不利を抱えているという意味での障害とを同一視するような発想や、医学的な取組みによって損傷イコール障害を克服するという発想。また、医療的な取組みと医学モデルは違うことも示す必要がある。
  • (発言)障害者が人権を持つ主体であれば、人権に根差したという考え方を貫いた方がいい。人権保障、人間として生きるということをもっと強く打ち出すべき。また、共生社会の実現のために、我が国の政策を進めていくことを基本とする考え方を強く打ち出すべき。障害者を精神的にも物理的にも、地域の、社会の中心に置くことを基本的な考え方に位置づけるべき。
  • (発言)「「共生社会」の実現」では特異性がないので「障害の有無にかかわらず多様性を尊重し」とか、具体性を持たせたい。

【III 障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方】

(III-1.全体的な当面の進め方)
  • (発言)総合福祉部会、差別禁止部会以外は、いつの時点でどの部会を設けるか議論するのか。
  • (発言)人権救済機関は八条委員会では済まないのではないか。モニタリング機関を議論するなら、22年度の課題に人権救済機関も取り上げるべき。23年度の重点課題に禁止法と基本法の改正を併記すべき。
  • (発言)基本法に現行個別法の解釈指針を入れ込まないと、現場が混乱する。優先順位が基本法、差別禁止法、個別課題へとなっても仕方がないのではないか。個別課題のロードマップを明記していただければ、納得の仕方もできてくるので、情報開示してほしい。
(III-2.基礎的な課題における改革の方向性)
  • (発言)基本的考え方は権利条約50条を5つにまとめている。権利条約と、裁判での和解文書と、ILOの条約等、日本が批准している条約が基本になることを明確にしてほしい。
  • (発言)我が国では入所施設、病院への分離や排除を、国の福祉政策として進めてきた経緯がある。権利条約の批准に際して、地域で生きる権利を明確に規定し、総合福祉法に地域移行や地域生活支援の充実を柱に据えた内容を明確に盛り込み、地域で暮らす権利を明確にすべき。
  • (発言)障害の捉え方で、医学モデルから社会モデルというとき、医療やリハビリテーションはやめて、環境の改善だけの障害者施策に転換すると誤解されないようにすべき。障害の定義の項で、障害という言葉の意味が違って使われているので、注意が必要。異なる取扱いイコール差別という認識が伺われるが、権利条約の考え方と違うのではないか。障害の表記に関して、碍を常用漢字に入れてほしいという議論をしてきたのではないか。
  • (発言)「国民全体の意識変革」を国民の啓蒙と読まれないよう工夫が必要。
(III-3.横断的課題における改革の基本的方向と今後の進め方)
  • (発言)障害者基本法の抜本的改正に関するモニタリング等の所掌事務の話は、差別禁止部会で検討するのか、別の部会を起こすのか、あるいはこの会議で検討するのか。特にモニタリング機関に関して、差別禁止部会で何らかの救済機関を予定するだろうが、それとイコールにするのかそうでないのか、そこはオープンにして議論するのか。
  • (発言)省庁に対する勧告権限しかない基本法の改正では困るので、裁判規範性という言葉を入れるべきではないか。各省庁への勧告権限を越えた規定が入ってくるので、所轄事務と権限を書きこむのであれば、もう少し詰めた議論をすべき。
  • (発言)障害を理由にした欠格条項を始めとした既存の法律にある障害に基づく差別に当たる規定の改廃に向けた一括見直しも入れてほしい。
  • (発言)差別禁止法は、遅くとも24年の常会に上げることを明確にしてほしい。最重度であっても、ニーズに応じて1日24時間以上のヘルパー制度が必要な人に介護が与えられるような政策の全国の市町村での実施されるようにしてほしい。
  • (発言)地域社会で生活する権利、障害の定義、その他支給決定プロセスや地域移行等、大枠として確認されている問題認識の記述を総合福祉法のところか、個別分野につくってほしい。
  • (金調査官)
    • 障害者基本法の抜本改正でのモニタリングの委員会は、省庁が担当している各施策の実施状況などについて監視を行い、必要に応じて勧告を行うことが主な柱となるだろう。
    • 障害者差別禁止部会では、救済の仕組みが主な課題になるので、モニタリング委員会とは切り分けて、差別禁止部会で救済の在り方については整理すべき課題ではないか。障害者の権利条約の第33条で規定されている国内実施で、施策の促進と保護と監視という3つのキーワードがあるが、保護が差別や人権侵害を受けたときの救済の仕組みに当たると思うので、差別禁止法部会の検討課題と整理していいのではないか。
  • (東室長)
    • 障害者基本法の抜本改正についての今後の進め方は、別の部分で書いているので、少し書き方を整理する。22年度内に意見をまとめて、23年度の通常国会には出すということ。
    • 解釈指針、各個別法との関係で、齟齬が生じることはあり得るという話だからこそ制度改革のための委員会に勧告権を持たせ、手続的な面で保証するのが基本的な考え方。
    • 基本法は理念的な法律なので具体的規範性を議論するのであれば、個別的な法律で書かなくてはならない。だから推進母体ないしモニタリングの母体に実際上の基本法に合うような改正をつくっていく任務というか権限を与えるべきではないか。
    • 差別禁止法の制定の時期も急ぐが、ここに記述したスケジュールでやっていくべき。夏以降、基本法の改正をし、終わった段階では、総合福祉部会に力量がかかっていく。差別禁止法の部会は開催、総合福祉部会と同じ時期に差別禁止法を出せるのか。掛け持ちしている人たちも多い。差別禁止法は単独1本の立法運用ではなくて、すべての分野は法制度で関連する。どんなに早くても24年度ではないか。
    • 差別禁止法部会で救済機関も議論するという前提で、法務省でも全体的な枠組みの中で検討しているので、整合性も留意しながらやるという趣旨。
    • 総合福祉法に関する大枠の議論は、もう少し膨らませた方がいい。他の部会について、この時点でどう設置するとまでは書けない。当面考えているのは、差別禁止の部会だけ。

3.個別分野

【1.労働及び雇用】

  • (発言)福祉的就労は雇用分野と福祉分野にまたがっている。経営者団体、労働組合の関係者も入って、国民的なコンセンサスを得られる形に持っていくべき。労働施策と調整が必要な課題ほか、所得保障との関連も併せて検討する部会を設けるべき。
  • (発言)障害の種類によって賃金格差を起こしている状況が事業主サイドにあるように読めてしまう記述があるので工夫してほしい。職域の拡大は事業主団体としても取り組んでいきたい。法定雇用率の制度や、納付金制度がこれまで果たしてきた役割についても、一定程度評価すべき。
  • (発言)現行政府における障害者の範囲にWHO規定などの国際比較に加えるべき。中軽度難聴者は手帳がないということで、手帳を持っている人とは大きなハンディーを背負っている。社会的モデルを検討するだけでは改善が難しい。
  • (発言)運営の費用の一部助成は、今の就労継続事業や授産施設でも行っている。社会的事業所について、新たに検討することは賃金補てんを含む助成についてである。
  • (東室長)
    • 賃金等に格差があることの根拠は、例えば雇用促進法では障害種別ごとに法定雇用率が決められるシステムになっていないために、実際上は知的障害を持つ人などは採用がないという状況で、実質、雇用促進法で働く障害者の中でも賃金格差があるという意見が出ていた。
    • 労働については、一般就労も福祉的就労も含めたようなものが必要なのかということは前からも議論になっている。部会の必要性は感じているが具体的にいつつくるというところまでは回答できる状況ではない。
    • 賃金補てんという言葉を明確に入れることについては、検討する。
  • (藤井議長代理)部会は今の事務局の機能から言っても、多数は難しい。しかし、総合福祉部会だけで労働は論じがたいとなると、例えば推進会議の中にワーキングチームをつくるとか、並行して議論していくというシステムはどうか。

【2.教育】

  • (発言)高等教育や就労に向けての職業教育や、能力開発のための技術教育についても教育の機会均等が与えられるべき。
  • (発言)就学先の決定や就学先における必要な合理的配慮を最終的に第三者機関で調整できるという形にしてほしい。
  • (発言)インクルーシブ教育の経験者、当事者の入った部会を設けてほしい。また、同様のメンバーによる第三者機関が予定されるべき。
  • (東室長)部会も一般的には話したとおりで、その中で検討する。

【3.所得保障】

  • (発言)「地域での自立した生活」や「地域移行」という表現が「制度改革の基本的考え方」や「基本的な課題における改革の方向性」で打ち出されるべきではないか。
  • (発言)所得を働いて収入を得ることを通して保障するのか、足りない部分については年金等で保障するのかの政策的な検討が必要ではないか。
  • (東室長)「地域での自立した生活」や「地域移行」については、総論辺りできちっと触れるべきかとは思っている。

【4.医療】

  • (発言)医療法と福祉法が合体している精神保健福祉法を改正して、医療法と福祉法を別個に扱うべき。精神医療は原則としては医療法を一般医療に組み入れるべき。
  • (発言)自由はく奪されない制度に改善するべき。保護者制度の見直しも検討では実現しない可能性が高い。退院のサポートを行う地域移行への支援は、体制の整備、拡充を図るべき。
  • (発言)医療の名の下に行われる自由権の制限が人権侵害になり得ることを確認してほしい。自由のはく奪プラス強制医療となっている。本来医療が必須とするインフォームドコンセントとの関係をどのように整理するのか。その際の人権保障はどう担保するのか。
  • (発言)社会的入院の数7万人とあるが、地域の社会資源が進めば、もう少し多く判断できるのではないか。
  • (発言)たんの吸引や経管栄養、摘便、褥瘡の措置、人工呼吸器操作、着脱等の日常における医療類似行為としてほしい。医療類似行為は基本的に家族に認められているが、1人暮らしなどの場合、ホームヘルパーがやっている。現状追認という形で、家族または熟練介護者、現在行為を実施しているへルパーの指導の下できる介護体制を位置づけるべき。
  • (発言)できるだけ幅広く認めようというときに、医療的ケアを医療行為と言い切ることに違和感がある。地域で生活していくための不可欠なものということで、地域医療、もしくは地域生活における権利にくくった方が、権利性が明確になるのではないか。
  • (発言)精神障害以外の障害者、例えば音声言語障害や耳の聞こえない人は医療行為を受ける際、コミュニケーションが保障される体制をつくるべき。
  • (発言)地域で生活行為としての医療的ケアも含めた一体的なサポート体制が得られることと同時に、地域で介護を付けて暮らす障害者が入院した場合でも介護が使えるようにしてほしい。

【5.障害児支援】

  • (発言)専門的支援が家族や地域社会から分離するとか障害の軽減のみを目標とされがちということで、専門的支援を否定的に見るような誤解を与えないようにしてほしい。
  • (発言)障害児の放課後や休日の期間の保障を加えてほしい。
  • (発言)発達支援の当事者の方にどこかの部会に入ってほしい。

【6.虐待防止】

  • (発言)虐待防止の部会をつくってほしい。
  • (発言)早期発見について、精神病院の中の虐待は重要課題。高齢者に手錠みたいなものをかけたり、ベッドに両手両足を拘束したり、といった事件が起きている。
  • (発言)精神病院での、精神障害者に対する行き過ぎた干渉は、虐待を構成する。抑止のための虐待者への不利益処分が不可欠。刑法よりも構成要件を緩和することも考慮すべき。同時に、虐待があったかなかったかという挙証責任の割合、按分も虐待者側にも重く課すべき。拙速な法案提出はすべきではない。
  • (発言)虐待防止の議員立法について精神障害が入っていないとか問題がある。認知症の施設で8,000人ぐらい虐待状態という新聞報道があった。水面下では相当数あるのではないか。
  • (東室長)この分野に関しては、議員立法で議論が進んでいる。推進会議は、推進本部に意見を挙げ、政府としてどうするかという課題を議論する形になる。形式上でいえば守備範囲として議員立法まで及ばない。担当庁は、従来の児童虐待防止法という絡みでいえば、虐待防止法は厚労省。虐待と差別禁止という問題も絡むので、部会も一緒にという手段も選択の可能性としてはあるが、まだ具体的にというところまでは進めていない。
  • (藤井議長代理)通常は政府与党なので、与党が賛成しなかったら議員立法でも困難。ある面では政府の見解は大きい。一方で、今週にも成立する可能性もあり、推進会議でやっている議論は一体何かということもある。状況を知っておいてもらった方がいい。

【7.建物利用・交通アクセス】

  • (発言)移動に関する情報アクセス権という言葉を是非入れてほしい。聴覚障害者、視覚障害者、発達障害者、重複障害者、知的障害者にも関係する。

【8.情報アクセス・コミュニケーション保障】

  • (発言)コミュニケーションは手話通訳であり、要約筆記者であり、考えを伝えることも、考えを受け取ることもやる。障害を持たない人も支援を求めている。コミュニケーションしようとする場に対する保障とすべき。
  • (発言)「自ら必要とする言語及びコミュニケーションを選択する権利」を明記すべき。コミュニケーションが保障された上で福祉サービスを受けるべきで、総合福祉法とは別にコミュニケーション法をつくるべき。
  • (発言)手話通訳者の資格認定、公的機関への雇用、設置、また身分保障等、基本的な制度そのものの見直しを図るべき。
  • (発言)わかりやすい情報として適切な支援が必要。公的に認められていない支援がまだまだある。いろんな場面で自分たちの困難を抱えているということを伝えきれない仲間もいるが、自分だけでいいのではなくて、もっと多くの人たちが情報を受けて経験をして達成感をもってほしい。
  • (発言)福祉と違ったタイプの情報コミュニケーションという人権が独立した法律の下でなされた場合、申請の窓口なども変えると、福祉とコミュニケーション保障両方必要なときに不便にならないのか。

【9.政治参加】

  • (発言)成年被後見人の欠格条項は廃止してほしい。人権を守るための制度が、反対に人権を侵害するような形で位置づけられている。
  • (発言)欠格条項の部分を、選挙権、被選挙権に加え団体の役員になることや地方公務員の試験を受けること等の、広く公的活動に関するとすべき。権利条約第29条は政治活動及び公的活動への参加になっている。
  • (東室長)
    • 選挙活動における配慮等、ほとんど総務省関係ではなく、国会議員の身分や選挙活動に関連する問題。各党・会派で議論の上で具体的に法律を改正するとか、申請するという経緯とのこと。政府というレベル、総務省で法改正案を提案することは非常に難しい。国会で考えてもらうことが1つ前提。
    • 公的活動への参加については、枠組みを整理した上で検討させてほしい。

【10.司法手続き】

  • (発言)裁判の傍聴に当たってのパソコンの要約筆記による全体投影や磁気ループの設置など、傍聴者に対する権利配慮を裁判設置側で準備してほしい。
  • (発言)音声言語の通訳と手話通訳等の通訳の通訳料、通訳に係る費用は無料であるべきと法に明文化してほしい。国連の人権条約にも無料と明記されている。
  • (発言)被拘禁施設内での処遇でも、障害特性が理解されていないため不利益取扱が見逃されている。捜査段階と公判段階にはそれぞれ手話通訳、要約筆記者等々保障すべき。逮捕されてから釈放されるまでを広くとらえる概念として、受刑中を被拘禁中の処遇とすべき。
  • (発言)精神障害者にのみ検察官のいわゆる起訴便宜主義の趣旨を適用していない。示談が成立している場合でも必要的に医療観察法を申し立てなければならず、差別的取扱いではないか。医療観察法で、弁護士が少年法と同様に付き添い人としていることや、いきなり裁判長のところに意見書が行くのも差別。公判前整備手続との法的な違いを説明してほしい。取り調べ段階では、医療の優先が精神障害者にも促されるべき。
  • (発言)捜査段階、公判段階で、筆記者ではなくて要約筆記者の立ち会い、支援が必要。
  • (発言)研修の司法関係者に矯正関係者、刑務官、警察官を含むべき。

【11.国際協力】

  • (発言)国際社会の一員としての責務を障害分野でも果たしてほしいということ。「リハビリテーション等の技術交流」や「技術者養成」は直接障害者に資するものでなくてはならない。障害当事者の能力構築を明記してほしい。第一次アジア太平洋の10年への貢献もあった。
  • (発言)一般住民を対象とした国際協力にも障害の視点を入れることで、障害を持つ人たちがより幅広い国際協力の受益者になり得る。企画の段階から当事者の参加が確保されるべき。
  • (発言)ODAは途上国への施しではなく、世界の共同利益追求のための手段。ハコモノをつくるのではなく、当事者が参画するとか、立体的な交流とかをやってほしい。

4.追加すべき項目

  • (発言)障害のある女性、社会的性別、ジェンダーについて、基本法の総論部分と、優生思想が残っている健康に関する箇所、両方で必要。特に、リプロダクツヘルスライツ、性と生殖に関する健康と権利に関して入れてほしい。
  • (発言)文化、スポーツ。文化活動やスポーツ活動に参加し楽しむ体制づくりも非常に大切。
  • (発言)障害者施策の予算確保の項目を追加してほしい。OECD諸国の中で低過ぎるということで、全体の予算規模の大きさの問題と、施設、病院から地域へと構造転換を進めていくものと、地域間格差是正の点から、仕組みを含めた予算確保をどうするのかを課題とすべき。
  • (発言)自立支援法の基本合意文書の紹介と、障害のある人とのその家族の実態。今後の施策の在り方で、障害者の実態把握を政策の立案と評価の基礎に使う、生活実態に基づいて評価をする、定期的に調査をすると書くべき。
  • (発言)各論の項目として住宅を追加すべき。地域で暮らす上で非常に大事。
  • (東室長)
    • 全般的にジェンダーの視点をどう入れ込むかというのは、権利条約でも最後に出てきた課題としてあったが、具体的な提案をいただければありがたい。
    • 手話についての問いや文化、スポーツとのテーマは権利条約でも触れている。本来議論しなければならなかったが、会議のテーマになっていなかったので、第二次意見書に盛り込めれば盛り込むべく今後議論を進めていくことになる。
    • 予算確保の問題について議論されたが、同時に、政府全体のお金の使い道をもう少し具体的なデータに基づいて検討したいと要望があった。そういう資料をもう少しベースにして、より客観化した議論を続けなければならないかなと思ってい。どこか総論的な部分に入れ込めれば入れ込みたい。
    • 地域生活、地域間格差、構造転換辺りについて細かく書き込むためには、もう少し客観的な検討が必要。包括的な書き方になってもどこかに挿入したい。
    • 基本合意の文章だけではなく、例えば障害者の権利条約でもこれに留意しとか、想起しとかある。一番重要な基本的な指針を提供するものをどこかに位置づける必要性は検討したい。実態の把握に基づく政策と立案という視点も、総論的な部分で入れ込めればとは思う。
    • 住宅に関しては、所得保障の一環として一応は触れているので、御了解願いたい。

5.その他

  • (発言)意見書自体についてもアクセシビリティ、合理的配慮を模範となる形で確保するという社会的アピールが、この推進会議への政治的なサポートを得るという意味でも大事。手話版の検討もお願いしたい。
  • (発言)客観的なデータに基づいてお金の使い方を考えていくというのは、今後予算の積み方や財源の確保において何か新しい方針を内閣で考えようとされているのか。
  • (発言)地方分権で、一括交付金化とか、いろんな基準を都道府県などの条例に委ねるというような動きがある。どの県に住んでもどの市町村に住んでも、最低限の保障はされるべき。
  • (東室長)
    • 推進会議の場だけの情報保障ではなく、多くの人に提示することになる意見書のいろんなバージョンをつくることは、努力すべき課題と認識している。
    • 財源に絡めて、各省庁で障害関連の負担を決算も含めてどういう金額がどういう形で使われているのか資料を出しほしいという委員からの要望について言った。客観的な資料をベースにしてもう少し議論したいということで推進会議の意見と思っていたので、今後財源問題を検討していくと認識していた。
    • 地方分権について議論を始めるのがこの推進会議でも遅く、ヒアリングもやっていない状況。どういう扱いをしていいのかというのは検討させてほしい。

[以上]

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