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第14回障がい者制度改革推進会議(2010年6月7日)
議事要録
【総合福祉部会から「要望書」、「当面の課題」の提出】
(佐藤部会長)まず、障害者自立支援法の一部改正案に関する「要望書」を。次に、「障害者総合福祉法(仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)」を提出する。来年度の概算要求に反映していただきたい事項については、冒頭4点にまとめた。1つは利用者負担の見直し、次は法の対象となる障害の範囲の見直し。3番目は、地域での自立した暮らしのための支援の充実。最後に、新しい総合福祉法を準備するに当たって必要とされる調査、試行事業についての予算措置について。よろしくお願いしたい。
(発言)総合福祉部会ができ、そちらで自立支援法に代わる新しい法律をつくる議論を重ねるという約束。今回、総合福祉部会から出された要望については、一日も早く本部に上げていただきたい。
(発言)自立支援法一部改正案は違憲訴訟団との基本合意に背き、当事者参加の下に障がい者制度改革推進会議で制度改革を進めていくという閣議決定にも反する。手続無視、当事者無視の立法府の進め方には声明をもって遺憾の意を表すべき。
(発言)福祉部会からの要望書は、事前にメールで送付されていたため、みんな読んでいる。推進会議からの文書も、ほぼ同趣旨で良いだろう。遺憾の意を直ちに表明する方が時宜を得ているのではなかろうかと思う。
(発言)内容的には異議ないが、問題は声明を出すあて先。重要なのは、当事者の参画を得て推進会議で挙げたものをちゃんとやってくださいということ。立法府に対するものは、別に御検討いただきたいと思う。
(発言)相手については要検討だが、まずは本部長でということになるだろう。
(東室長)今日いただいた要望書について、この推進会議本体としても同趣旨であるということを確認していただけるならば、小川議長から要望書を出す時に、その旨、伝えて頂くようにと思っている。
1.第一次意見の取りまとめについて
(東室長)第一次意見は今後の制度改革へ向けたロードマップの大枠を示すというもので、細かい点について意見を上げるという趣旨ではない。
とりまとめの過程で念頭に置いた点を述べたい。議論が少ない、または議論されていない点は、今回は反映させることは困難だ。総論部分で、すべての障害者に関係する事項について述べている場合は、個別事例は述べないよう心がけた。会議の場で意見を述べず、提出期限を過ぎて意見書を提出した場合は、反映していない。
【I はじめに】
(発言)障害者施策の歴史について、第二次意見にも盛り込むならば、今回はこのシンプルな内容、骨子のレベルでまとめることで問題はない。
(発言)いろいろな運動に関してほとんど触れられていないという不満もあった。最低限必要な事実、争いのない事実をまとめた。第二次案を出すなら、8月から戦後の当事者運動の成果及びその不十分性も含めてまとめる方が良い。
(発言)第二次意見に、歴史評価、運動の評価を含めてやるのならば、早いうちに起草委員をつくるべきだ。ものすごい議論が予想される。今回はそんな議論をしている暇はなかったため、価値中立的にまとめた。
(発言)「障害者に一般市民以下の生活と無権利状態をもたらしている」という表現は「権利が十分に守られていない状態」にした方が良いだろう。
(発言)この会議の目的は何か。歴史をやればキリがない。エネルギーをどこに配分するのかを考えたい。原案については、課題は残るがこれで良しとしたい。
2.総論
【II 障害者制度改革の基本的考え方】
(東室長)「4.『地域生活』を可能とするための支援」に、「必要に応じて1日24時間以上のホームヘルプ等の介護制度を受けられることも含み、それに具体的な財政措置や、国の強い関与を講じる」を加える提案があるが、このような特定の例示を示すことは適切ではない。財政的措置はあらゆる場面での問題になるため、一箇所のみで書き込むとバランスが崩れる。同じ部分で「地域の障害者の実情に応じて、適切で柔軟な対応ができるとともに」という文言を加えて欲しいということだが、地域間格差が広がるとも読めるので反映しなかった。
(発言)「4.『地域生活』を可能とするための支援」に、「その実現のために24時間介護の可能な支援制度の構築」という文言を入れていただきたい。地域で障害者が24時間暮らしている、必要に応じて介護も保障するという文言になる。
(発言)「介護」ではなくて「介助」という表現にしてもらいたい。「介助」という表現の方が、身体介護だけではなくて、見守りも含めることができる。
(東室長)「その実現のために24時間介助の可能な支援制度の構築」を加えることにしたい。
(発言)「1.『権利の主体』たる社会の一員」は「権利の主体である・・」という表現がよい。
(東室長)「たる」を「である」に変更したい。
(発言)「5.『共生社会』の実現」について。共生社会という概念自体が、十把一絡げに障害者を普通の社会に入れる統合の概念を思い出させる。今後の討議の際には、この言葉を是非再考することを提案したい。
【III 障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方】
(III−2 2)障害の捉え方)
(発言)社会モデルと医学モデルの注記を担当した。最後の方に注記があるが、わかりにくいと思う。初出の近くに入れていただきたい。
(東室長)「社会モデル」という言葉が最初に出てくるところに、注をつけたい。
(発言)現在の注記では、医学モデルは障害者本人の中に問題があるので治療や訓練などを優先するとあり、社会モデルはその外に問題があり環境を変えるという説明になっている。これでは医療、リハビリテーション訓練、障害児教育等もしなくなるのかという問い合わせが寄せられる可能性があるので、次の内容を加えることが望まれる。「医学モデル」から「社会モデル」への転換は、軸足の転換を意味する。「社会モデル」に軸足を移すということは、障壁除去を障害者施策の中心に位置づけ、医療や訓練などの施策の目標を社会参加にし、本人の選択の権利をふまえた支援に転換することを意味する。
(発言)医学モデルから社会モデルに軸足が移ると、医療や訓練が否定されるという誤解は、きちんと読めば、発生しないだろう。
(発言)目標を社会参加にするのはわかるが、目標を支援に転換する以降がよくわからない。精神障害者は、余計な支援をされるのが一番嫌。社会の障壁を取り除いてくれと言っているだけで、支援してくれるのが目標では困ってしまう。
(発言)確かに、医学モデルと社会モデルを並べるだけではわかりにくいかもしれない。ここで示した両モデルは、あくまでも「障害」に対する基本的な考え方の枠組みと方向性を表すもので、医療や福祉、リハビリテーションなどでの実際の個別の取り組みにおいては、両モデルは混在している。認識論としての医学モデルと、実践行為としての医療やリハビリテーションは、区別してとらえるべきだ。
(発言)先の「軸足の転換」という言い方が、ちょっと引っ掛かる。物事をどうとらえるかという枠組みの転換なのに、2つのとらえ方の両方が混在するかのような書き方になっている。
(発言)医療モデルの問題点は2つ。医学モデルは、問題を、本人の属性として内在化させ、個人だけを治療対象にする。2つ目は、専門家がそのプロセスをコントロールしてしまうこと。障害者本人の自己決定、自己選択が問題になるが、そこで支援が強調されてしまうと、問題が解決されてないのではという心配が出る。
(議長代理)医療や福祉、リハビリテーションなどの実際の取り組では両モデルが混在しているという趣旨を書いた方が丁寧だ。
(III−2 3)障害の定義)
(東室長)障害定義に係わってWHO等の基準との国際比較をして欲しいという提案があった。WHOの国際基準とは何か分りにくく、個別の具体的な基準だけを特出すべきではない。今後、総合福祉部会等の検討を通じて進めるべきだろう。
(発言)身体障害者福祉法の別表の規定は1949年につくられて変わっていない。この別表は昭和初期に決めた規定がそのまま続いていると聞く。日本の身体障害者福祉法も改める必要がある。
(発言)身体障害者福祉法は古い定義だが、障害定義を社会的モデルの視点から議論している最中なので、原案で行くべきだ。
(発言)「国際機関並びに各国の状況を勘案して見直すべきである。」という文言を入れてはどうか。
(東室長)「国際水準を踏まえ」を入れることにしたい。
(III−2 4)差別の定義)
(発言)合理的配慮の記載で、区別ということに触れられていないがこれで良いのか。権利条約2条は、区別も差別であることを明確に規定している。
(発言)権利条約第2条では制限も入っているが、制限は触れなくて良いのか。
(東室長) 差別については、区別、制限、排除を含め、「社会の異なる取扱」という言葉で含めたつもり。しかし、すべての異なる取扱いが差別ではないという意見もあったため、「障害者に対する社会の異なる取扱は、個人の障害に起因するものとして、平等な社会参加を困難にするものであっても、これを差別であるとは認識してこなかった。」に、変更している。
(III−2 5)言語・コミュニケーションの保障)
(発言)点字という言葉が抜けていることが気になる。言語としての点字とは言わないが、コミュニケーションとしての点字というのは極めて本質的だ。
(東室長)点字については、入れることにしたい。
(III-2 7)障害の表記)
(発言)「障害者」を「障害のある人」と表現することで障害の表記を議論する布石になる。
(東室長)担当室として「障害者」という表記に統一したのは、法律上もそうなっているからで、統一意見に至っていない。「障害のある人」を含めて検討したい。
(発言)障害の表記に「碍」という言葉を使いたいという人がいるので表現の自由を保障するべきとの発言を書き込まないのは、なぜか。文化審議会は、法律制度の用語を「障碍」にするなら「碍」を常用漢字化しようというスタンスだが、「碍」を使いたいという国民のニーズにも、文化審議会は目を向けていただきたい。
(発言)私の周辺で「碍」を使うと言う人はいない。「障害」の「障」も変えることを考えるべきでは。「障害」を「障碍」に変えるのであれば、逆に使いたくない人の自由を奪うことになる。新しい言葉をつくるぐらいの気持ちでやった方が良い。
(発言)障害の表記の検討は本質的な議論ではないのに、本質的に思われる図式が危険だ。今の表記はだめだという意見は医学モデルで、人間の心身の機能や構造に損傷がある状態が障害だと考えれば、人間と障害がひっついてしまい「障害」という今の表記がけしからんとなる。社会と人間との間にある問題があるにもかかわらず、何もないかのように快い表現に変えるのは危険だ。
(東室長)国語審議会がどういう場合には認めるのかについて議論を紹介していないので、議論をすべきだ。制度改革推進本部からの諮問は、法律の表記としてどのようにすべきかという事でもある。
(事務局、松田統括官)閣議決定で本部から求められているのは、法令上の「碍」の字の表記について検討し、結論を出すということ。3月に基礎資料、5月に意識調査の結果等を推進会議の場で説明し、これ以上どうするかという議論はなされていない。今回は、国語審の答申にかかわらず、別途推進会議の意見を踏まえて対処するということで、「碍」の字については議論がまだ中途にあるという判断で、引き続き審議という形で整理をさせていただきたい。
(III−2 8)実態調査)
(発言)新しく加わったことを評価したいが、「障害者及びその家族の実態調査を速やかに、かつ定期的に実施すべきである」等、明確な要望を出すべきだ。
(III−3 2)障害者を理由とする差別の禁止法」(仮称)等の制定)
(東室長)民法の親族の規定に差別的な規定があり、改正が必要であるという提起がある。議論はあったが、全体的ではなかったため、「差別禁止の検討に併せて、障害者制度改革の推進に必要な他の関係法律を一括して整備するための法案の検討も行うものとする。」という中に含め、今後考えていきたい。
(III−2 3)『障害者総合福祉法』(仮称)の制定)
(東室長) 「1日24時間以上のホームヘルパー等の介助制度」等を加えるよう提案がある。横断的な課題についての改革の基本的な方向を述べることが趣旨であるため、他の項目とのバランス上、今後の福祉部会の議論で取りまとめて欲しい。
3.個別分野
【1.労働及び雇用】
(東室長)「推進会議の問題意識」は、前回の意見を受けて修正できるものは修正している。「政府に求める今後の取組に関する意見」は期限を明らかにするという方針で各省庁と折衝してきた。委員の意見とかなり隔たりがある部分もあるが、ぎりぎりのところまで折衝した結果になっている。「推進会議の問題認識」で、労働部会の設置を書くべきではないかという意見が複数の委員からあった。しかし、現段階において労働の部会を立ち上げることはまだ煮詰まっていない。「1.全体的な当面の進め方」の部会や作業チームでの議論を踏まえという記載で読み込めるのではないか。
(発言)「政府に求める今後の取組に関する意見」の障害者雇用率制度について、ダブルカウント制度の有効性となっているが、法定雇用率の水準の妥当性及びダブルカウント制度の在り方について協議するとしていただきたい。福祉的就労は、総合福祉部会における議論と整合性をとるとなっているが、横断的な課題なので推進会議の下に検討の場を別途設けるということを入れるべきだ。本当は部会としたいところだ。
(発言)すべてが雇用関係を前提とした内容になっていることに、懸念がある。視覚障害者の圧倒的多数の就労者は自営業で、視覚障害者以外でも、就業という形での社会参加を果たしている方がたくさんいる。そうした人たちへの支援が一切触れられていないというのは欠陥だ。
(発言)自営業、自宅で仕事をしている人を含める言葉が入った方がよい。福祉的就労の部分に協同労働の協同組合等という具体的な言葉があるが、いろいろな手法がある。協同労働等と固有名詞にしないでおく方がいいのではないか。
(発言)「障害者に対する通勤支援」の後に「コミュニケーション支援」を入れて欲しい。私たち団体は、視覚障害者を雇用した事例や、聴覚障害者を雇用した企業、知的障害者を雇用した企業、モデル企業の例を毎年報告書を出してきた。コミュニケーション支援をしていることは事実としてあるのだから、言葉として入れるべき。
(発言)高齢者障害者支援機構の助成金制度を抜本的に変え、別の制度をつくるということも可能性としてはあるが、当面はこの助成金制度の見直しをするべきという文言を入れて頂きたい。
(東室長)横断的課題は、推進会議で引き続きやっていく。自営については「推進会議の問題認識」の柱書に、自営等を含むと括弧で入れることにしたい。「協同労働の協同組合」の文言は、他の委員の意見で修正したが再修正したい。「コミュニケーション支援」は、推進会議で最初の方に議論した。職場におけるコミュニケーション支援が合理的配慮として事業者側の義務として出されるものなのか、社会サービスとして提供されるものなのかについては、まだ議論の整理が必要だ。この部分は、自立支援法の問題として書いているため、改めて「コミュニケーション支援」をつけ加えることについては、厚労省と折衝が必要になってくる。省庁との合意ができていないが、皆さんの総意として入れたいとは思う。高齢者障害者支援機構については、「既存の助成制度も含め」という文言になっている。意見としては入っているが、折衝の結果見直しまでのことは入らなかった。
(藤井議長代理)察するには、関係省庁との調整があって、今日はかなり完成度の高い文章になってきている。1つ崩すと、全体に影響が及びかねない。推進会議の意向としては、文言を入れるようにお願いすることがぎりぎりの線かと思う。
(発言)ぎりぎりの折衝を経た文言を変更すれば時間を要するということであれば、第一次意見の中では、提示された内容を可能な限り受け入れていくという方向で議論していくことが求められているのではないか。
(発言)確認させていただきたい。障害者の範囲については、就労の困難さに視点を置いて見直すということで、平成24年度内となっている。その下のダブルカウント制度の有効性については、平成22年度内に検証するとされ時間差があるが、見直す対象者が違うのではないか。そこは、確認して頂いたのか。
(東室長)障害者基本法の改正に伴う各省庁の基本的な施策の部分については22年内にということで投げかけていたが、事項によっては、どうしても後ろにずらしてくれと折衝の中でなった。そういう意味では論理的な整合性というよりも、交渉の結果という形でこうなっている。
(発言)「1)労働及び雇用」の最初のところ、「働く機会が確保されるとともに、多様で利用可能な労働条件・環境」の「多様で利用可能な労働条件」はわからない。「多様な働く機会が確保されるとともに、人としての尊厳にふさわしい労働条件及び利用可能な環境が整備されること」と修正をしていただきたい。
(東室長)提案されたように、変えたい。
【2.教育】
(東室長)教育の機会均等の部分をかなり圧縮した形になった。教育基本法は60年ぶりに改正され、その過程で、障害だけではなく、国籍、民族的出身、宗教等、いろいろ議論がなされた。その上で、教育基本法第4条第1項には障害は書かれていなが、解釈としては含まれているということが示されている。このような経緯を考えると、障害者基本法の改正で、この部分をドラスティックに変えていくというのは非常に困難な問題で、もう少し全国民的な議論が必要であるため、書きぶりをかなり整理した。
「地域における就学と合理的配慮の確保」の部分について、通常学級が原則という表現では、特別支援学校や特別支援学級を例外、第二義的な教育の場となり不適切であるという意見がある。しかし、頂いた修文も「原則」という言葉は残っているので、表現はこのままとしたい。
「最も適切な言語やコミュニケーションの環境」という文言が前回から入り、本人・保護者が望む場合に「のほか」をつけ加えた。この修正によって、希望に基づいて特別支援学校、特別支援学級に就学、在籍する道筋が確保されることが表現上薄められるのではないかという意見があるが、そのような事はないと思っている。
条約に基づいて、盲人、ろう者及び盲ろう者と3者を書いているが、「本人にとって」という表記を加えるべきだという意見がある。しかし、権利条約上、この3者に限られている。基本的には権利条約ベースで表現させていただきたいと思っている。
また、特別支援学校の学校規模や適正配置等を定める特別支援学校設置基準を整備する文言を新設した方がいいという提案があるが、そこまでの議論をしていないため、今回は触れないということで考えている。
(発言)「地域における就学と合理的配慮の確保」とあるのに、盲人、視覚障害者については少なくとも、特別支援学校での就学が原則と読み込まれかねない。権利条約とも合致していると思わない。盲学校の存在は否定しないが、その上で、地域の学校での学籍を保障し、例外としての盲学校という書き方をして欲しいと思っている。「盲人」という言葉だけを削除していただくと納得できる。
(東室長)盲人を削除することについては、御異論がないようなので。削除したい。
(発言)修文の趣旨を確認したい。「当該学校の設置者は、追加的な教職員配置や施設・設備の整備等の条件整備を行うために計画的に必要な措置を講ずる」の部分は、文部科学省が設置できるように整備をすると読むのか、学校の設置者はしなければならないと読むのかによって、国と自治体との関係について、ややニュアンスが違ってくる。このような記述になった経過について教えていただきたい。
(東室長)合理的配慮は即時的に成すべきもので、「計画的に」という文言によって合理的配慮を計画的にすれば良いとなりかねない。長い文章を途中で切って二つの文章にした。意見の提案者にも、聞いてもらいたい。
(発言)教育における合理的配慮義務は当該学校がするべきであり、設置者という前提になる。文科省がどのような責任を持つかということになると、全体としての教育条件を整備するということになれば、政府全体の責務ということになる。どこに焦点を当てて言うのかということだ。
(発言)これは大変重い役割を設置者である自治体が果たさなければいけないことになる記述だ。通常学級で合理的配慮をきちんとしていくには、各自治体の取組みが求められる。「政府に求める今後の取組に関する意見」の部分で、政府全体での議論をするべきだ。文部科学省・広域自治体・基礎自治体での議論が成熟していないのではないかと思ってもいる。「就学前の教育、高校や大学における教育及び就労に向けた職業教育や能力開発のための技術教育等」に、生涯教育、社会教育における教育の機会均等も入るべきだ。
(発言)総論のところ、「差別禁止法の検討に併せて、障害者制度改革の推進が必要な他の関係法律を一括して整備するための法案の検討を行う」に、学校教育法などの他の関係法律を一括して整備するための法案の検討も行うとすれば、24年末までには検討する事が盛り込まれることになる。
(発言)障害者権利条約は、ろう者に対する教育という書き方をしているが、「聴覚障害者」と改めて欲しい。実際、聴覚障害者の中で、特に中軽度の生徒たちは、特別支援学級への在籍が非常に多い。この文脈から、それは出てこない。
(東室長)差別禁止法の部分は、閣議決定にかかわる部分になる。したがって、一般的な規定として書くしかないのかなと思っている。聴覚障害者とろう者という言葉は意味が違う。委員がこれで良いということになれば、そうしたいが。
(発言)聴覚障害者はコミュニケーション、言語習得が常に問題になるためそういう環境の整備が必要だという意味で「ろう者・難聴者、盲ろう者」と書いて欲しい。
(東室長)担当室としては、ほかの方の意見がなければ、そのように修正したい。
【3.所得保障等】
(発言)来月7月に障害年金の認定基準の見直しがあるということを聞いているが、この点について触れられていない。無理であれば、第二次意見書でも結構だが。
(東室長)議論されていないので、今の段階では難しいと思っている。
【4.医療】
(発言)医療観察法は、法務省と厚生労働省の共管の法律で、法構造自体に問題がある。医療観察法における強制医療介入について、障害者の権利条約に違反するかという設問について、違反していないと答える人はいなかった。前回は、保護者制度の後に「等」がついていたが、消えてしまっている。これでは、保護者制度だけをやればいいという話になってしまう。
(東室長) 強制医療介入については入れているが、今の指摘は刑事司法との関係でという事でこれまで議論されていない。今の段階ではこの程度にしておきたい。保護者制度の「等」は入れても良い。
(発言)刑事司法の件について話していなかったのは確かだが、条約違反かどうかは話をした。「障害者権利条約に基づいて自由の剥奪という観点から検討すべきである」と「障害者権利条約に基づいて」の文言を入れていただきたい。
(東室長)「障害者権利条約に基づいて」は検討してみる。
(発言)教えていただきたい。「政府に求める今後の取組に関する意見」の強制入院と保護者制度の見直しについては、その在り方を検討しとなっているが、どこで行われるのか。たんの吸引等についても、同じ質問をしたい。
(東室長) 保護者制度自体については、現在の総合福祉部会のメインテーマではない。しかし、社会的入院の問題については、総合福祉法の1つの大きなテーマだと思っているので、総合福祉部会の文言が入っている。
【5.障害児支援】
(発言)「障害児やその保護者に対する相談支援」という見出しに、「療育等」を加えていただきたい。
(発言)ここの部分は相談支援だけに限っているわけではないので、むしろ「相談」を削除し、「障害児やその保護者に対する支援」とすれば良いと。
(東室長)そのようにしたい。
【6.虐待防止】
(発言)虐待防止に、入所施設や家庭内、労働現場や精神病院等の医療現場等と書いているが、学校が書かれていないので、入れて欲しい。
(東室長) 「学校」を入れることにしたい。
【7.建物利用・交通アクセス】
(発言)障害者権利条約は、「アクセシビリティー」が独立の項目になっているが、今回は、独立したテーマではない。移動の権利に関しては、移動に関する情報アクセスの権利を入れて欲しい。
(東室長)該当部分は、「日常生活だけではなくて、社会生活の分野において」という文言で、全般的にカバーしている。「障害者にとって円滑かつ安全に公共的施設・設備、公共交通機関等を利用できる環境が十分に整っているとはいえない」に、情報保障がないことを入れることは可能だ。
【8.情報アクセス・コミュニケーション保障】
(発言)「情報バリアフリーの取組」という項目の中は、全部聴覚障害者に対するサービスで、バランスが悪過ぎる。放送の関係ならば、副音声サービスか、何か入れて頂きたい。養成についても、点訳者等も含めていただくことが必要かと思う。
(発言)手話付放送、字幕付放送、電話リレーサービス等に、音声解説も入るだろう。さらに、「特性に配慮した方法による情報提供が」の部分に、「情報提供・コミュニケーション支援」という言葉を入れて欲しい。お互いの意思の確認をする双方向性の場合は、情報提供とは言わない。コミュニケーション支援の方が、適切。情報提供とコミュニケーション、この2つが混在した文章になっている。
(発言)結論的には、私はこのままでいいと思う。「日常生活、社会生活、障害者と障害のない人との交流する機会等のあらゆる場面において行われるよう必要な支援を行う」となっている。コミュニケーションも含まれていると十分読める。
(発言)情報提供のみで、発信がないというのが率直に疑問。「情報提供・発信」としてしまうことはだめなのか。
(議長代理) 関係者の意見をまとめ、今後の課題として残すことにしたい。
(東室長)やりとりという言葉は、情報や考えを伝える、または受けるという硬い表現ではわかりにくいため、変更した。さらにあらゆる場面に必要な支援が保障されるということで、委員の意見を敷衍して修正した。副音声サービスということや点訳者という言葉を入れてくれという意見があった。言葉としては音声解説の方が良いということなので入れることにする。
(発言)この項目だけ、関係省庁との協力を得てと括弧に入っている。何故か。
(東室長) 情報アクセス・コミュニケーション支援というのは、総務省だけではできない。そういう意味で、他省庁にかかわる問題だからということで入っている。
【10.司法手続】
(発言)「政府に求める今後の取組に関する意見」は、刑事訴訟手続に限定されている。被拘禁者の処遇についてはやらないということなのか。「刑事訴訟及び処遇において」として欲しかった。折衝の結果、現在の文章になっているのか。
(東室長) そういうことになる。
【11.国際協力】
(発言)ESCAPがアジア太平洋経済社会委員会であるという説明がなくなっている。「アジア」は、「アジア太平洋」にした方がいいと思う。
(東室長)修正を受け入れたい。
【全体】
(発言)「4.個別分野における基本的方向と今後の進め方」は、関係省庁が基本的に検討する。横断的課題や重点課題は推進会議が検討することを確認したい。
(発言)今回の第一次意見の中に入らなかった部分、横断的、重点的課題は、引き続き推進会議でも議論していくということか。
(東室長)関係省庁とはヒアリングなどで協議できる。
(発言)第一次意見は私たちの意見が強調されるような渡し方をされるのか。
(発言)閣議される部分は、どこなのか。
(東室長)小川議長が渡す際に、強調したい点を言うことは可能だ。閣議決定の中身は、政府が取り組むべき課題が中心になる。総論の政府が取り組むべき部分と、各論の○の書かれた部分が閣議決定になる。
(発言)推進委員会の特徴は当事者が仕切り、参加し、議論をしてきたところ。総理官邸に行かれるときに、可能な限り当事者の方に大勢一緒に行っていただきたい。
(議長代理) それでは、今日の意見をもって第一次意見を構成委員として承認することで良いか。(拍手あり)では、承認された。
【その他】
(発言)本日「わかりやすい第一次意見をつくる作業チーム」の第1回会合を開いた。略称「わかりやすいチーム」となった。完成物は、短くする、写真やイラストを使うことになった。視覚障害等の方の利便も考え、テキストデータ等の提供も考える。知的障害の方を念頭に作るが、社会全般にわかりやすい意見として広く提供したい。
(発言)わかりやすくしていかなければならない。会議に参加しても、すごく難しい。初めて見た文章や片仮名で書かれると、わからない。支援がいて、説明してくれたから自分も中に入っていけた。支援者とともに、周りの人たちと協力しながら、わかりやすくしていきたい。
[以上]
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