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第23回障がい者制度改革推進会議(2010年11月1日)
議事要録


議事 障害者基本法の改正について


  • (東室長)前回の会議で、これまで議論されなかった分野は何かを議論した。家庭生活に関する権利は権利条約に規定があるが、議論はなかった。災害対策、避難体制、被害回復の問題、また、福祉用具・機器、盲導犬、聴導犬については、議論をしていない。権利条約14条「身体の自由及び安全」、15条「拷問等」、16条「搾取・暴力・虐待」、17条「個人のインテグリティ、強制収容や虐待」については議論したが、まとまった形ではない。権利擁護、アドボカシーについては、成年後見の中で欠格事由になっているという議論はあったが、正面からの議論はない。教科書や教材へのアクセスの問題は委員から文書が出たが、議論はしていない。

国際協力

  • (事務局)「規定ぶりイメージ」は、これまでの議論を踏まえ、整理したものである。政府の調整は経ていない。国際協力は、総則部分の国際的協調と同様に、男女共同参画の規定を参考にして新設した。目的が適当か、また相互協力の具体的な内容について精査が必要になる。

<規定ぶりイメージ>

国は、障害者の権利の確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援を国際的協調の下に促進するため、外国政府または国際機関との情報の交換その他国際的な相互協力の円滑な推進を図るために必要な施策を講ずるものとすること。(新設)

  • (発言)規定ぶりイメージについて、具体的に説明して欲しい。(イエローカード使用)
  • (事務局)条文イメージと言うと、政府部内で調整をした印象を与えると反省した。御議論を頂いた内容を法文にする際に、どのような言葉遣いができるのかを検討するスタート地点にいる。何もないままで議論をしても進まないため、あえて条文に類するものとして文言を並べたのが今の作業である。
  • (発言)私たちが考えているような国際協力と、この文言は異なる。持てる者が持たない者に持っているものをシェアするのではない。国際協調と国際協力は異なるものだ。
  • (発言)新たに国際協力、国際的協調に関する規定が設けられることは嬉しい。「障害者の自立及び社会参加の支援」の「支援」は要らない。過度に「支援」を強調するのを避けたい。男女共同参画社会基本法と同じ文言になっているが、「外国政府または国際機関との情報の交換」しかないのは、不十分だ。権利条約32条には、国際的及び地域的な関係機関並びに市民社会、特に障害のある人の団体が入っていることを踏まえるべきだ。
  • (発言)この規定が入ったことでどのような違いがあるのか。これまで、国際機関等の障害者施策に対する勧告や改善の要請に応じてこなかったが、これによって応じることになるのか。また、我が国に滞在する外国籍の障害者が日本国籍の障害者と同様のサービスが受けられる規定にすべき。民間の障害者団体等が国の支援を受けながら連携する根拠となる規定にするべき。
  • (発言)外国政府及び国際機関との交流、情報の交換は、政府間だけでなくNGOも含めるべきだ。情報、人的な交流も含めるべき。「相互協力」は、国際的な協力にするべき。
  • (発言)「支援」を取った方がいいという意見に反対する。権利条約32条b項に、能力の開発を容易にし、及び支援するとある。これが抜けるとまずい。
  • (事務局)男女共同参画社会基本法を参考としてこの部分の規定を書いたが、男女共同参画の分野で国際協力は必ずしも位置づけられていない。更に入れるべき点について議論して頂きたい。
  • (発言)男女共同参画では、国際監視と在日外国人についての議論はなかった。国際監視に関して憲法との関係で条約遵守義務があるとの議論はあったが、国際協調・協力での議論ではなかった。国際協力で在日外国人の権利や国際監視を盛り込むのは、無理があるので、別項を立てるべきだ。
  • (発言)項目の見出しは、国際協力になっているが、内容は国際的協調の施策になっている。権利条約第32条国際協力という点から、総則、各則ともに見直す必要がある。
  • (発言)国際協力は、情報の交換だけではなくて、経験、訓練、研修、技術的、経済的支援を明記した方がよい。
  • (発言)国際協調は相互主義という考え方がある。例えば、ある国にいる日本人に対してその国民と同様のサービスを提供している場合は、その国の人にも日本では日本人と同様のサービスを提供するもの。これを相互協力とするならば、外国籍の人へのサービスを意識しなければならない。権利条約は二段階でモニタリングをする。国連でモニタリングをするが、各締約国にもモニタリングを義務づける。締約国に対する国連からの勧告ないし是正指導に、どう対応するのかをどこに規定するのか。
  • (発言)国際協調になると、足並みをそろえて低水準でいいという可能性が出てくる。国際協力は、この条約の目的及び趣旨を実現するために行うものだから、協調して仲良く低水準ということではない。世界中ほとんどの国で精神障害が差別されているが、そこで協調されてしまったら精神障害の分野の進歩はない。
  • (東室長)国連での権利条約の審議の過程で、国際協力については開発の権利を入れ込もうとしていた。しかし、開発の権利を個人の権利に落し込むのは難しい。結果として、条約の実施とし、権利にしていない。条約の国際協力の審議過程では、相互協力として議論していない。
  • (発言)権利条約が批准された場合に、監視が実効性のあるものになることを望む。
  • (発言)「権利の確保」は「権利の保障」にするべき。障害者が主体的に支援に関わることができるかで、施策がうまくいくかが決まる。また「国際協調」は「国際協力」という言葉で統一すべき。
  • (発言)最近インクルーシブ開発が強調されている。日本のODA政策全体にこの観点が反映されるよう、書けないか。

選挙

<規定ぶりイメージ>

国及び地方公共団体は、法律の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票(以下この条において「選挙等」という。)において、障害者が障害者でない者と同等に容易に投票することができるようにするため、選挙等に関する情報の提供に当たって障害者の特性に配慮した措置を講ずるとともに、必要な体制の整備を図らなければならないこと。(新設)

  • (発言)この条文を置くことで、公職選挙法の改正が義務づけられることになるのか。「障害者の特性に配慮した措置」という言葉は気になる。誰が障害者の特性に配慮し、誰が内容を決めるのか不明確な言い回しだ。
  • (事務局)規定ぶりイメージと公職選挙法がどう相関するのかは、詳細に詰めていない。基本法では基本的な方向性を書き、理念を実現するために必要なら個別制度を手直しするという関係になっている。
  • (藤井議長代理)現行公職選挙法の枠にとらわれることなく議論して良いようだ。しかし、そう簡単ではないということも言外にあった。
  • (発言)権利条約29条は、政治的及び公的活動への参加となっている。基本法でも政治参加として幅広く規定できないか。障害のある議員の議会活動や政治活動に関する規定も必要だ。議会の傍聴での情報保障の見直しも必要だ。
  • (発言)条約は被選挙権も取り上げている。選挙、投票に限定するのではなく、幅広く政治参加という書き方にできないか。「障害者の特性に配慮した措置」は避けて欲しい。
  • (藤井議長代理)投票や情報に限らない政治参加とは、どういうイメージか。
  • (発言)第一次意見でも議論になったが、被選挙権は入らなかった。政治に関する情報全般に広げるよう検討できないか。
  • (発言)知的障害がある者にとっては、文章が小さく書かれている箇所があり、わかりづらい。ふりがなを振ってもらいたい。選挙に行くためには、ガイドヘルパーなどの支援がないと行きづらい。期日前投票はどこに投票に行っていいのかがわかりづらい。成年後見人になると選挙ができなくなることも含め、なんとかしたい。
  • (藤井議長代理)これは総務省マターでもある。成年後見人制度と選挙権の矛盾をどう解決できるのか。
  • (発言)選挙等について規定を設けたことは重要な前進だ。このような一般的な規定を設けることで関係法規の改正を促すという役割を果たすこと、また改正を待たなくてもできる施策があるだろう。「選挙のお知らせ」という点字の広報が来るが、選挙公報そのものではないので視覚障害者には選挙公報は保障されていないことになる。
  • (発言)第一次意見で、成年後見人の選挙権に関する欠格条項は人権侵害の側面が強いことから、廃止も含めその在り方を検討するとなっている。基本法にそれがわかる書きぶりが必要だ。欠格条項との関係では公職に就くことや、団体の理事や役職に就くことも制限を受けている。幅広い政治参加及び公的活動が読み取れるような書きぶりにできないか。少なくとも選挙権、被選挙権が含むように書けないか。
  • (発言)ここで大きいのは選挙権、被選挙権と成年後見制度だ。民法改正も視野に入れ、改正が必要という方向性を出すくらいの書きぶりは欲しい。
  • (藤井議長代理)大事な論点が出され、事務局の宿題になった。

公共的施設のバリアフリー化

<規定ぶりイメージ>

3  国及び地方公共団体は、前二項の規定により行われる公共的施設の構造及び設備の整備等が、地域間における整備等の水準に格差が生ずることなく、総合的かつ計画的に推進されるようにするため、必要な施策を講じなければならないこと。

5  国及び地方公共団体は、障害者が障害者でない者と実質的に同等に容易に官公庁施設、交通施設その他の公共的施設を利用できるよう、個々の場合に必要となる合理的な変更又は調整が実施されることを確保するために必要な施策を講じなければならないこと。(現行法第18条関係)

  • (事務局)現行の基本法第18条をベースに、第一次意見の地域間格差の問題、合理的配慮の実施を追加する形にした。
  • (発言)総則に合理的配慮という規定があるが、各則にも入れるのか。移動する権利を保障するという規定を入れなければいけない。事業者の合理的配慮規定がないが、国及び地方公共団体に含まれるのか。ホームドア、可動式ホーム柵を要求してきたが、その取組が読み込める規定にして欲しい。
  • (発言)現行の規定で、「自ら設置する公官庁施設」があるが「自ら設置する」は要らない。国、地方公共団体の合理的配慮を書き、事業者について書かないのは論理が逆だ。実質的という言葉は、実質的に何をするのか詰まっていないため疑問を感じる。国、地方公共団体に合理的配慮を持ち込む場合は制限的にするべき。それ以前にスタンダードミニマムをおさえるべき。
  • (発言)「合理的な変更又は調整」という文言では、一般に理解を広めるのが難しい。合理的配慮という言葉で全体を統一した方が、理解が進む。バリアフリーと、アクセシビリティ及び合理的配慮と二段構えにする方が強化できる。バリアフリーは物理的な内容のイメージが強いため、情報面もイメージできる書き方にするべき。
  • (藤井議長代理)スタンダードミニマムという観点から考えると、ユニバーサルデザインという観点も更に付加する必要はないか。
  • (発言)ユニバーサルデザインとバリアフリー、アクセシビリティを分けていくというのはなかなか難しい作業。万人が使えること、それに加えて個人への合理的配慮を加え、漏れがないようにするべきだろう。
  • (発言)施設の構造及び設備の整備という場合、ソフト面、情報アクセスは入らない。情報のアクセシビリティを含む文言にした方が良い。補助犬にはリハビリ的、心理的な支援の役割もある。身体障害者に限定する補助犬ではなく、障害者補助犬に変える検討をするべき。
  • (発言)国交省で交通基本法の改正案を準備していると聞く。交通分野での移動権が焦点になっている。基本法でも移動権が明記される必要があるのではないか。地域格差を是正するのは重要だが、切れ目のない移動をどう確保していくのかを読み取れるような書きぶりが要るのではないか。
  • (発言)アメリカのADAも同じだったが、バリアフリーはすべての市民が共通な論点で、一緒にやれるテーマだ。5項の「障害者が障害でない者と実質的に同等に容易に」は、「障害者が差別されることなく」という表現に統一するべきだ。国及び地方公共団体だけではなく、公共的施設を設置する事業者を含む表現にし、合理的配慮義務を課すべきだ。しかし、合理的配慮の義務とバリアフリー対応が混乱しないようにする必要がある。
  • (発言)駅の階段やエレベーターの付近に、何番線はどういう駅に行くのか、一覧表が欲しい。もう一つ。建物利用、交通アクセスは22年度内を目途に方策を立てることになっているが、できるだけ進めて欲しい。地方だと無人駅で、ホームがあって階段だけという駅はたくさんある。基準の利用者数に満たないから放っておける問題ではない。
  • (発言)気になるのは基本理念と各則との関係だ。基本法は権利章典として、障害のある人がどういう権利を持っているのかを、一つひとつきちんと確認するべきであると大方の一致をみた。どういう権利を持っているのかという内容が最初に確認され、各施策に入るという形式がとられるべきだ。しかし現行の基本法はそのようなものではないので、抵抗が大きいのならば、逆に基本理念で細かく権利を確定するべき。もう一つは、事業主にも合理的配慮が規定されるべきだ。バリアフリーには合理的配慮が入り、政治的権利、投票権のところにはないので統一するべき。
  • (発言)権利条約は、移動の自由と居所を選択する自由まで謳われている。公共的施設のバリアフリー化というのは狭過ぎる。
  • (発言)5項目は、合理的配慮が実施されることを確保するために必要な施策を国や地方公共団体が講じなければならないということで、国又は地方公共団体の合理的配慮義務を書いているのではない。このような技術的、財政的配慮や啓発は、教育、情報の保障、医療など、いろんなところで必要となるため、他との整合性を考えるべきだろう。
  • (藤井議長代理)権利性を各則に設けるのか、それとも総則に設けるのか。同じく、合理的配慮を各則ごとに書くのかどうするのか。更に議論をする必要がある。
  • (事務局)規定間の調整はまだできていない。総則では、合理的配慮を提供しない場合には、それは差別に当たるとしている。それを前提に各則を立てた。個別に入れる必要はないというのが、大前提になる。推進会議では、合理的配慮をどう提供させていくのかということを一次意見の中で随分議論した。公共的施設は影響が大きいため合理的配慮の実施を担保する条文が必要であるため、国や地方公共団体の施策を講じなければならないと書いた。他の部分にも、こうした規定が必要ということなのか、逆に全体の中でどう規定する方がより良いかを整理する必要がある。事業者が合理的配慮を提供しないことは差別に当たる。公共的施設は多くの人々が利用し設備にバリアフリーのための費用を要するため、国の施策と緊密な関係がある。そして国及び地方公共団体は、合理的配慮を確保するための施策を講じるべきとした。

【合同作業チームからの報告】

就労合同作業チーム

  • (松井座長)6回で議論をする。基本法絡みが1回半。総合福祉法に関連する部分の議論が2回。最後に障害者雇用促進法に係る議論をする。
    第1回目の議論で、障害を持った人たちの働く権利を保障すべきであることが共通理解になった。福祉的就労を総合福祉法の中に残すべきかどうかは大きな議論だ。特に就労移行支援事業あるいは就労継続支援A型、B型を残さない場合に、労働行政の方で引き取ってくれるのかとなると、その確証はない。総合福祉法に関して、地域活動支援センターや生活介護、あるいは自立訓練の事業所でも作業をしているという実態をどう考えるのか。就労系の事業所で賃金が十分ではない場合に賃金補填するのか、あるいは所得保障するのか。最後に、労働法の適用を巡り、労働基準法あるいは最低賃金法、社会保険法などの議論をする。
  • (発言)次回までに、基本法に各作業チームがどのようなことを議論しているのかを出さないといけない。それを期待してよいのか。
  • (発言)基本法の15条、16条の改正だけに焦点を絞れば、6回でまとめることは可能だろう。しかし、総合福祉法の分野が入ってくるので、日程は厳しい。障害者雇用促進法の議論は1回だけしかない。消化不良になる。
  • (発言)住込みで30年間働かされてきた。分け隔てられてきたことも含めて、私たち障害者が抗議できなかった。そのまま放っておかれている。最低賃金も奪われている。ジョブコーチから支援を受けて仕事をしながら、自分の思いを伝える人もいる。しかし、給料の面などなかなか言えない状況もある。伝える人を増やしてほしい。
  • (藤井議長代理)伝える人というのは、権利侵害や低い賃金にある時に、自分に代わって話をしてくれる人。そういうイメージなのか。
  • (発言)そうなる。給料をもらえる権利があるということも言い出せないところもある。そういう人がいればうまくいく。
  • (藤井議長代理)ジョブコーチとは違った意味で、本人の権利性を守るような人的サポーターが、労働の場面でも要るのではないかという意見だった。
  • (東室長)どのような内容を基本法に盛り込むべきなのか。ここでは、一般就労だけではなく、福祉的就労等も念頭に置いている。これからの就労の方向性を示して欲しいと考えている。
  • (座長)就労では労働の権利の保障、福祉的就労制度の抜本的改正、労働保護法の適用の確保、多様な就業の場の創出及び適切な仕事の確保、合理的配慮及び必要な支援の継続的提供の確保、あらゆる種類の障害者への雇用義務の拡大と雇用の質の確保、雇用の質の確保の中で権利擁護的な役割を福祉雇用や一般雇用でも設けることが必要ではないか。
  • (藤井議長代理)労働問題は、権利条約27条や55年前のILO99号勧告の域に達していない。
  • (発言)労働の問題は柱の1つだ。雇用の場面で、権利性をどのように確保していくのか。サングループ事件、札幌3丁目事件、大橋製作所事件は、労働監督行政の監督権限の行使も及ばなかったことが問題だった。2点目に、福祉就労をやめることはかけ声としては一致していが、何を意味するかの議論は一致しない。授産所を廃止してもいいのか、福祉就労をなくすことが何を意味するのかという議論が、これから始まる。3点目は、自営による社会参加、社会貢献あるいは自己実現を位置づける必要がある。

医療合同作業チーム

  • (堂本座長)合同作業チームは、前半は精神医療について、後半はそれ以外の医療、リハビリの問題に分かれている。精神医療について病院関係者、当事者が政策面で話し合ったことは、一度もなかった。最初に当事者から発せられた質問は、障害と疾病の関係をどう考えるかだった。精神障害は他の障害と違い、疾病の部分が慢性化する。どこで障害と区切るのか。これまで医療モデルに重点が置かれてきたが、福祉、人権の視点から考える場合に病院と当事者とでは見解が違うということから始まった。まず社会的入院の解消、自立した生活及び地域社会へのインクルージョンのための施策の根拠となる規定を設けること。2つ目は、精神障害者の自己決定権を尊重するとともに家族の負担を軽減するためには、医療保護入院の同意を含む保護者制度を見直し、地方公共団体その他の公的な機関が責任を負う制度に改めることが必要ではないか。医療モデルだけからの判断ではなく人権の視点を入れるべきで、基本法にはこの施策の根拠となる規定を設けるべきだ。3つ目は強制入院等の人権制約がやむを得ず行われる場合に適正手続を保障するための規定を設けること。精神病院への入院並びに退院、施設の入所は、本人の自由な意思に基づいて行われることが原則となる。
  • (発言)第一次意見にある医療観察法での患者とドクターとの関係も議論になる。
  • (発言)保護者制度を解消するための手立てをしたい。ここで精神科医療を改正しないことには、同じような保護と収容の生活が続くことになる。
  • (藤井議長代理)今、進められている改革ビジョンは6年目に入ったが、社会的入院の7万2千人は減らない。どうすれば一歩踏み込むことができるか。
  • (発言)精神保健福祉法を解体しなければいけない。保護者制度で私たちは大変差別されている。当事者家族の差別法である。この文言を基本法に入れないと解決の目途がつかない。
  • (発言)前回の会議で、任意入院は保護入院の補完だという意見があった。任意入院は当事者と医療の側の契約とはみなされない。保護入院は保護者と病院との民事契約になる。

障害児支援合同作業チーム

  • (大谷座長)基本法に盛り込むべきことをたたき台として示し、議論をした。まず、障害のある子どもも一人の子どもとして、社会や家族の構成員として尊重されるべきという意見があった。その上で、障害のある子、特に乳幼児にとって命、生存が保障されることは非常に大きな意味があるという意見があった。一人の子どもとして尊重されるということは、障害のない子の権利が全部保障されることになる。最善の利益が考慮されるということは、子どもの権利条約以降、揺るぎないところだ。意見表明権はまだ明文化されていない。障害児は様々な措置、判定、判断が必要なので一人ひとりの意見を聞く必要がある。意見には確定的な意見だけではなく、感情、意思、感想など広い概念も含めるべきだ。早期発見と早期支援、早期療育に関しても異論はなかった。施設や入院等の場所でしか養育ができない場合でも、権利条約を踏まえて、小規模で家庭的な雰囲気が保障されるよう早期支援をするべきという意見でまとまった。
  • (発言)最近のニュースで、重症障害児を親が抱え込み、相談する場所もわからないとあった。相談をしながら育てなければ、親も限界となり最終的には入所施設に入れるしかない。最低でも親への保障、生活面での保障、ヘルパーを増やすなどが必要だ。
  • (発言)子どもは言語環境、コミュニケーション環境が整備されて初めて自分の意思を表明できる。環境をどのように整備するかが課題だ。早期支援という言葉には、すべてのあらゆる面でのサポートという考え方が含まれるため、適当だと思う。
  • (発言)家族の養育を受けている場合でも直接支援は必要だ。就学支援は学校だけでよいのか、それとも福祉の分野で支えるべきなのか。
  • (発言)生活支援行為としての医療的ケアや、通勤や通学等におけるシームレスな支援をどう確保するかを作業チームで検討している。学校での医療的ケアの確保について関係者からのヒアリングを準備している。関連資料を障害児支援と医療の作業チームにも提供したい。
  • (発言)現在内閣府では子ども・子育て新システムの検討の中で、幼保一体化ワーキングチームが始まっている。この中で、障害のある子どもたちについても有効に機能するように検討するべきという意見が出ている。基本的人権の保障を考える際に、理念と具体的な教育や児童福祉の制度を視野に入れながら整理、検討をするのが有効ではないか。
  • (発言)意見の表明及び意見の表明への支援について、見解や考え方の表現は言語以外にもいろいろな方法が考えられる。「意見の表明」とすると誤解が生じるのならば、「自分の意思を表現する」という言い方がわかりやすい。
  • (発言)地域における医療の在り方について、アウトリーチと福祉的な訪問サービスとの関係が整理されていない。作業チームで検討したことが本当の改革につながるのであれば、推進会議の意見を反映させて欲しい。
  • (藤井議長代理)障害のある子どもについては、学齢期は生活支援が希薄になる。学齢期から青年期への過渡期も厳しい状況に置かれる。ライフステージの隙間がないように、検討してもらいたい。

【報告事項】

  • (藤井議長代理)差別禁止部会の開催、わかりやすい第一次意見の作業チームの報告をする。
  • (東室長)「障がい者制度改革推進会議の開催について」の5項に基づき、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定に向けた検討を効果的に行うために、障がい者制度改革推進会議差別禁止部会を開催する。部会長は構成員の互選により決定する。差別禁止部会の議事手続及び公開については、障がい者制度改革推進会議の例による。差別禁止部会の庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)において処理をする。前各項に定めるもののほか、差別禁止部会の運営に関する事項そのた必要な事項は、部会長が定める。
  • (発言)4番目の項目で、庶務は内閣府政策統括官において処理するとしているが、障害者差別禁止法を国会に政府提案として提案するのは法務大臣かと思っていた。そうすると、法務省に協力してもらいつつ、進めた方がいいのではないか。
  • (東室長)差別禁止法は、内閣府で所管することになる。他の省庁とも協力関係が必要であれば、それを求めることになる。法務省で人権救済に関わる法案の検討が進められているため、法務省とも連携してやらなければならない。
  • (発言)人権、差別の禁止、救済を担当する省庁が、障害者の差別の禁止について行うのが望ましい。それを踏まえると、内閣府が障害者差別禁止法を所管することで問題ないのか。
  • (発言)私は、法務省が差別禁止法を所管することに反対する。人権法の制定についても、パリ原則との関係から言っても、法務省が所管するべきではない。独立行政機関か内閣府が所管するべきだ。将来的に人権救済を目的とする人権法が制定された場合、法務省との議論が必要になるとしても、所管が法務省になるというのは現時点では反対だ。
  • (発言)人権共同行動では国内に人権機関をつくることと、人権条約の選択議定書を批准することを獲得目標にしている。国内人権機関は内閣府につくることを要望している。権利条約33条の救済機関は国内人権機関の1つとなるため、法務省につくることは反対する。
  • (発言)基本的に内閣府だと思うが、担当室の負担が大きくなる。今の5名体制で更に差別禁止部会も引き受けることになる。スタッフの増員が必要だ。
  • (藤井議長代理)今の話の流れとしては、各省庁にまたがるものの、主に事務を担うのは内閣府ということになる。
  • (事務局)この問題は国会でも質問があった。現在の事務局の仕事量が過密であることは異論がない。周辺にいるスタッフ含め、全面的に協力しながらやっているところ。私どもも要求する立場になるが、協力し合ってやっていきたい。
  • (発言)傍聴者の情報保障はどうなるのか。
  • (発言)部会でも、モニターテレビで情報保障をするのか。
  • (東室長)差別禁止部会の議事手続及び公開は、推進会議と同じになる。
  • (発言)パソコンの要約筆記が付いて、モニターを見ることができるのか。
  • (東室長)今やっていることはやる。
  • (藤井議長代理)わかりやすい第1次意見作業チームからの報告を。
  • (発言)今日を含めて8回目で、大体できた。後は、どのような絵をいれるのか検討する。11月9日の完成を目標にしている。
  • (発言)わかりやすい第一次意見をつくる作業チームは、6月から作業を始めてきた。ようやく最終段階になった。でき上がった後は、私たちの経験を伝え、第二次意見はフレッシュなチームで取組んで欲しい。
  • (藤井議長代理)二人の委員から発言を求められている。
  • (発言)事務局から推進会議のメンバーに、特別支援学級のモデル校見学について呼びかけがあり、これに参加したので、簡単に報告したい。10月28日に、推進会議の委員6名が参加した(代理1名を含む)。介助者、事務局を含め13名で都内の区立小学校を訪問した。特別支援学級に在籍している子どもたちの机やロッカーが通常学級にあった。個別支援計画に沿って必要な時間を通常学級から離れて学習をしていた。すべての教職員がすべての子どもの教育をしており、障害のある子どもは障害児専門の教員が担当するという区別はなかった。このため子どもたちに障害の有無による区別をさせないようだった。障害児と障害児でない子どもを一緒にしたときに親からの心配はあったのか聞くと、当初は色々あったが現在は円滑に学習が進んでいるとのことだった。
  • (発言)障害の有無に関わらず全員が原学級に所属していた。登校も学級単位で行っている。障害のある子とない子が共に学ぶことを、学校全体として配慮していた。支援教室を見たが、支援教室A、支援教室B、支援教室Cとして、フラットな名前にし、いろいろな子どもが支援教室にも来られるようにしていた。インクルーシブな教育制度は決して理念先行の性急なものではないと思った。校長によると、これは特別なことではなく当たり前のことを当たり前にしているだけとのことだった。これがどこの学校でも当たり前の姿になっていくように、制度改革を進めていきたい。
  • (発言)「教科書・教材のアクセス問題への提案」という資料を出した。教科書バリアフリー法が公布、施行され、点字教科書並びに拡大教科書は実現した。しかし、いわゆる電子データによる教科書の保障が必要だ。これからの基本法での教育の問題や、個別の課題等、議論に反映して欲しい。

[以上]

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