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第26回障がい者制度改革推進会議(2010年11月22日)
議事要録


【合同作業チームからの報告】

医療・合同作業チーム

  • (発言)私たちは議論にあたり権利条約の考え方を前提にしている。同時に、第一次意見、閣議決定、推進会議での議論、総合福祉部会での議論を前提に議論することを確認した。
    その上で3点を障害者基本法の改正に入れることが重要だ。社会的入院を解消し自立した生活及び地域社会へのインクルージョンのための施策の根拠となる規定を設けること。次に、医療保護入院に係る同意を含む保護者制度を解消するための根拠となる規定を設けること。最後に、強制的な入院等の人権制約が行われる場合に適正手続を保障する規定を設けること。医療のところだけではなくて基本理念その他のところに入れて欲しい。3点を合意した後、足りない部分が出てきた。精神医療の質の向上に努めること、一般医療の問題点を解消すること、精神医療の法体系の在り方をどう考えるかだ。
    非自発的入院をできるだけ削減していくことが大前提で、入院した場合にはインフォームドコンセントをすること、入院が必要かどうか精査した上で必要最低限度の適正な病床数に見合った人員配置を行うことを確認したい。急性期の精神医療に関わっている医師、看護師、コメディカル等の仕事の質を確保するためのガイドラインを整備しておくことが必要だ。これらの施策の根拠になる規定を障害者基本法に設ける必要がある。
    一般医療では適正手続の保障がない中で認知症の方などへ行動制限が行われているため、精神医療にとどまらずあらゆる科で行動制限についての適正手続を保障する法的な裏づけが必要だ。また、精神障害者は一般医療を円滑に利用できないことがある。障害者基本法にこうした問題を解消するための規定を設ける必要がある。通院も入院も未然に防止できるものは、できるだけ防止をすべきだという追加意見があった。
  • (発言)障害の定義について、身体的、精神的、知的、感覚的な疾病もしくは損傷があることにより、日常生活もしくは社会関係において他の者と比べて継続的もしくは長期にわたり断続的に相当な制限を受ける状態としてはどうか。

就労・合同作業チーム

  • (発言)<1>労働の権利の保障と苦情に対する救済制度の整備が必要だ。<2>労働施策と福祉施策が一体的に展開できる障害者就労制度を整備し、生計を維持するための賃金補填等による所得保障をすること。<3>多様な就業の場の創出及び必要な仕事の確保。自営、起業、社会的事業所や協同組合での就業あるいは在宅就業といった多様な働く場を積極的につくっていく必要がある。そのために、適切あるいは必要な仕事が安定確保できるようハート購入法等の優先発注制度等が必要だ。<4>障害を持った人たちが適切に仕事をするために職場における合理的配慮及び必要な支援が継続的に確保できること。その中に、職業維持に必要な生活面での支援や通勤支援などが含まれるべきだ。<5>障害を持った人たちが障害者向けの特別な職業サービスだけではなく、一般の市民が利用する職業サービスを身近な所で利用できるようにすること。<6>すべての障害を雇用義務の対象とし、また雇用の質の確保をすること。合理的配慮及び必要な支援が確実に提供されるためには、事業主にも適切なフォローアップサービスが必要だ。

障害児支援・合同作業チーム

  • (発言)<1>権利条約では障害のある子がどう位置づけられ、どのような権利を持っているのかを基本法に盛り込みたい。権利条約は障害のある子どもを規定した上で、23条3項で家庭生活についての平等な権利、4項で父母からの分離禁止、5項で代替的な監護も家庭的な雰囲気の中で保障されなければならないと規定している。30条(文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加)5項(d)には障害のある児童は遊びに対する権利を持っているという規定がある。基本は、家庭及び地域社会の構成員として尊重されるということが明記されなければいけない。<2>子どもの権利条約以降、子どもに関わる事項に関しては最善の利益が確保されなければならないと言われている。保護者が第一義的な養育責任を持つこと、家庭及び地域社会の一員として等しく尊重されること、尊厳等が保障されなければいけないこと等は最低限の確認事項だ。<3>意見表明権は子どもの権利条約では、単に意見表明権を保障するだけではなく、意見を表明できるよう支援を保障するべきだとしている。<4>乳幼児期は障害の有無に関わらず保護者は不安になりやすいので、早期の支援を保障するべきだ。また、家族による監護が得られない場合、代替的に里親的な監護が必要で早期からの継続的かつ可能な限り無償の支援が保障されなければならない。
  • (発言)早期支援の項目で早期発見を外した理由は何か。早期に適切な支援を得られなければ後に障害を持つ可能性が高い子どものことを考えれば、早期発見、早期治療が大切だ。
  • (発言)地域社会での障害児への支援は少ないので、最善の利益の項目で地域社会での障害児に対する支援という言葉を入れていただきたい。親のない子どもへの支援はどう考えるか。
  • (発言)権利条約でもスポーツについて触れているので、これを入れて頂きたい。権利条約は発達という言葉を使っているが、成長という言葉になっている。なぜか。
  • (発言)早期発見は早期支援に含まれている。国及び地方公共団体の責務に早期発見と書くと、見つけ出して支援することにならないか。早期に適切な支援を得られることが盛り込まれれば、早期発見を掲げる必要はない。発達は成長・発達としても問題ない。スポーツに関して、遊び、余暇、スポーツ、レクリエーションとすると長過ぎるので「など」に含めた。親がいない子には家庭的な雰囲気の中で代替的な監護が保障されなければならない。
  • (藤井議長代理)3つの合同作業チームの検討領域は、総合福祉法だけではカバーできない。基本法の役割の1つは他領域、他分野にわたる視点を調整することであり、今後、規定ぶりイメージにこの点が反映されると期待している。

【「障害」の表記について】

  • (発言)作業チームの役割は、推進会議が障害の表記について議論をしやすくするために検討事項の整理を行うことであり、そのため、関係者からのヒアリングを通じて表記の案等に関するプラス面とマイナス面を整理している。関連分野の有識者や障害の表記について積極的に発言しておられる関係者等、合計10名の方からヒアリングを行い、そこで得た知見を分類、整理した。結論としては、法令等における「障害」の表記を現時点で新たに特定のものに決定することは困難である。今後、議論を進めるに当たっては、以下の観点が必要だ。「障害(者)」の表記は、障害のある当事者(家族を含む。)のアイデンティティと密接な関係があるので、当事者がどのような呼称や表記を望んでいるかに配慮すること。「障害」の表記を社会モデルの観点から検討するに当たり、障害者権利条約における障害者の考え方、ICF(国際生活機能分類)の障害概念、及び障害学における表記に関する議論等との整合性に配慮すること。法令等においては当面、現状の「障害」を用いること。今後、制度改革の集中期間内を目途に一定の結論を得ることを目指すべきだ。
  • (発言)検討に当たってはヒアリングの外に、内閣府のホームページで意見を公募した。
  • (発言)「碍」を常用漢字に追加するべきであると文化審議会に求める必要があるのではないか。作業チームは、今後更に検討を進め意見集約を図ると提言している。常用漢字を使うのが国の慣例なので、「障害」、「障碍」、「障がい」を自由に使える状況にすべきだ。意見募集の結果は、「障害」を支持する意見が約4割、「障碍」が同じく約4割、「障がい」その他で2割だった。「障害」と「障碍」はほとんど同じだが、「障碍」の方は使いにくく、このままでよいのか。「障害」を4割が支持しているということは、6割は「障害」を使いたくない、6割の中の多くは「障碍」を使いたいと読むこともできる。「碍」を常用漢字に追加することに対して、反対の委員は理由を聞かせて欲しい。
  • (発言)「碍」を支持する人は4割で、あとの6割の中には「害」の支持が多いのだろう。「碍」を常用漢字表に入れれば、「碍」を使う自治体も出てくる。「碍」が必ずしもいい意味を持っているとは限らず、新しい言葉を考えるか、今のままの「害」を使うしかないと考える。「碍」を常用漢字表に入れるのは「害」を主張している立場からは容認し難い。
  • (発言)障害の法令上の表記は社会モデルへの転換をすべきだが、現段階では「障害」を使うべきだ。「がい」あるいは「チャレンジド」は採用すべきではなく、「碍」はよくわからない。法令上の表記とは別に、常用漢字に加え幅を広げることは反対ではない。
  • (発言)当面「障害」を用いるというのは妥当な結論だ。常用漢字ではない漢字の使用が制限されているわけではないということも含めて、これに賛同する。
  • (発言)以前、内閣府が国民に意識調査をした時は、「碍」に対する理解度は低かった。今回の意見募集では意識の高い人から意見が出され、支持が4割になった。(前者の)国民への意識調査の方がより幅広い人に対して聞いており、一般の人の認識を重視した方がよい。
  • (発言)その調査は無作為抽出で国民の意見を聞いた。しかし、「『障碍』は悪魔のたたりというような悪い意味があるが」と設問で述べており、公平さに欠ける。一般の人々には「障碍」は馴染みがなく、2.4%の支持だった。今回は関心のある人たちが意見を寄せ、4割が支持した。どちらに重みがあるかは簡単には言えない。
  • (発言)所属する組織内で障害の表記に関するアンケートをした。表記を改めるべきだとの意見は33.3%、内閣府の調査では21%だった。改めるべきではないとの意見は31件で49.2%。内閣府は43%だった。現行の「障害」で良いという意見が強かった。
  • (発言)私どもの団体も、同じようなアンケートをした。48加盟団体にアンケートをし、漢字を使う、平仮名を使うに二分された。「碍」が良いという意見は1件だった。幾つかの団体から、「行政が平仮名表記を使っている場合、団体から文章を出すときに『障害』で出すと、『障がい』と平仮名に書き直すよう指導を受けた」という報告がある。慎重に議論をすることを求めたい。加盟団体や他の障害者団体も、自分の団体の名前を表す時に、行政に確認をしながら団体名を使うところが多い。
  • (発言)議論のテーマを誤解しているのではないかと思う。「障碍」、「障害」、「障がい」が良いのかという議論ではない。それについては継続的な検討が必要だということで、全員一致で確認された。検討するために、「碍」を常用漢字に入れて、自由に使えるようにするということについて賛成か反対かということだ。
  • (発言)法律でどの表記を使うかという点について、「害」に加えて、平仮名や「碍」でもよいというのは行政的には好ましくないのではないか。
  • (発言)表現の自由を広げるという意味で「碍」を使うことがあっても良い。ただ、団体がどういう表記をするかは、それぞれの団体に委ねられるべきだ。地方公共団体が当事者抜きに表記を決め、当事者団体や当事者に押し付けるということは決してあってはならない。
  • (発言)「碍」を常用漢字に入れるということは、地方公共団体が使えるということだ。「碍」を使うと、そこに住む当事者すべてが影響を受ける。4割対4割の段階で、使える自由はあるということで認めてしまっていいのか。意識のある方ですら4割対4割と伯仲している。常用漢字にすることで、自治体によっては「碍」を使うようになる。
  • (藤井議長代理)以下のように方向を提案したい。1つは今日ここで合意を得ているように、第二次意見では「障害」という表記を提案せざるを得ない。次に、改革の集中期間を通し「がい」、「害」、「碍」について考えていこうということ。常用漢字に関しては、今日は結論を出しにくい。まだ猶予があるようなので、保留にして更に議論することにしたい。
    (「異議なし」と声あり)

議事 障害者基本法の改正について


【第二次意見骨子案について】

  • (東室長)第一次意見をつくる際にも、目次だけを示した骨子を配った。
    「はじめに」では、第一次意見作成後の経過を書きたい。以降は、本文になる。「I 第1次意見後に議論した事項」は、「1)住宅」「2)文化・スポーツ」「3)ユニバーサルデザイン」「4)障害の予防」があり、基本法の施策関係と、それにとどまらない個別的な政策もあるため、別に書きたい。「2.『障害』の表記」は、先ほどの議論をベースにしたい。
    「II 障害者基本法の改正について」は、4つに分かれる。「1.障害者基本法改正の趣旨・目的」は、改正の経緯や視点を書きたい。「2.総則関係」は、これまで議論してきた総則部分になる。次は、各則で「3.基本的施策関係」として、「1)労働及び雇用」から「14)国際的協調のための施策」になる。
    「4.推進体制」は、中央の推進体制及び地方の推進体制となる。
    この目次について、メール等で、御意見を伺いたい。第一次意見のように、推進会議の問題認識をベースに、基本法改正について盛り込むべき内容を書く。今後具体的にどのように法案をつくるのかが問題だ。各省庁や内閣法制局との折衝を経るが、その過程で結果を推進会議に持ち帰って議論し、キャッチボールすることになると思う。
  • (発言)第一次意見は、推進会議の問題認識として点線で囲い、政府に求める今後の取組みについては白丸で記した。今回はそうせずに、各点線の中から大きいものを白丸で書き、その後、各省庁とすり合わせをするのか。
  • (東室長)第一次意見は提出した後、推進本部ですぐに閣議決定された。だから、かなりぎりぎりまで詰めたものになった。しかし今回、閣議決定は法の提出となり、時間的な間隔がある。白丸部分については、推進会議の問題認識をベースに、大事な部分を書く。
  • (発言)前回、障害のある女性について提案をした。他の委員からも、障害のある女性についてたたき台が出ている。総則にあるが、それでは弱い。各則としても入れていただきたい。もう一点。総則と各則ともに、国際協力について提案し、それが反映されていることはありがたい。権利条約、人権条約は、国際協力になっている。国際的協調は国際協力に変えて欲しい。
  • (発言)就労合同作業チームの意見書を出したが、これとは別に提出する必要があるのか。働くことと所得保障はリンクしているため、関連づけたものを出すことも可能か。
  • (東室長)合同作業チームとして、ある程度まとまったのであれば出していただければと思う。コンパクトに絞っていただくと非常に参照しやすい。意見の部分と反映させる一番重要な部分に分けて書いて欲しい。
  • (発言)現行の12条が医療、介護等で、骨子案は健康、医療になっている。介護だけではなく、特に生活支援が読み取れる項目がないと、医療だけが残ることになる。各則の冒頭に地域生活支援という項目が必要だ。「10)年金等」、「11)経済的負担等の軽減」は、所得保障より積極的な規定ぶりの方が良い。「12)選挙等」も、権利条約の規定からすれば、むしろ政治参加として広い規定ぶりの方が良い。
  • (発言)「12)選挙等」は、政治参加でお願いしたい。全体の構成、目次についても意見を出して良いのか。自己責任、自己決定という考え方を盛り込む場合、権利条約の21条の「表現及び意見の自由並びに情報アクセス」に関わる問題がでてくる。すなわち、障害者は立場が弱くいろいろな人に支えられて社会生活をしているため、言いたいことがあっても言えないという状況や、意見を言いたいけれども手段がないという状況がある。
  • (発言)精神障害について病院関係者と話すと、徹底的に医療モデルで改革をするという視点でいる。福祉に進出しかねないほど、医療モデルの発言が多い。障害者権利条約は医療モデルから社会モデルへの移行を前提にしているが、医療の中で精神障害を語ると、医療モデルを是認するという矛盾になる。精神障害については人権的なことが大きく、医療から外した方が本質を間違えないで済む。
  • (発言)その点はまさに懸念をしたことだ。「3.基本的施策」の最初に、地域生活支援がなければ、社会モデルを総論で言いながら各論は医療モデルになる矛盾がおきる。
  • (藤井議長代理)構成についても意見を言っても良いかとあった。これはどうか。
  • (東室長)当然、受け取る。
  • (発言)意見はメールでというのがわからない。今まで議論を重ねてきた。その時に意見を出したが、それをもう一度繰り返すのでは意味がない。
  • (東室長)そういうことを言っているわけではない。例えば、項目の順番とか項目として抜けているもの、議論はあったが抜けている項目について意見があるだろう。
  • (発言)今まで出した意見はまとめて、案として出てくるのか。
  • (東室長)その前提だ。しかし、何をどこで書くか、目次が確定しないといけない。意見を頂きたい。
  • (発言)法制上の施策は、総則の「10)施策の基本方針」の中に含まれているのか。法制上の措置の問題だ。
  • (東室長)そのような漏れも含めてチェックして欲しい。みんなでつくり上げようという趣旨だ。確かに、法制上の処置は漏れている。
  • (藤井議長代理)今日は延長できない。どうしても発言したい方に絞りたい。
  • (発言)各則と総則についての提案をしている。意見を出したら、終わりなのか。
  • (発言)女性の障害は、妊娠、出産における選択の問題だ。中絶などをなくすために健康の問題を書く必要がある。リプロダクティブヘルスの問題と健康の権利ということがある。
  • (発言)今日のこの意見の取扱いについては、見解を聞きたい。
  • (藤井議長代理)先ほど室長が言ったが、メールで受け付ける。これも入れるという意味だ。
  • (発言)皆さんからの意見をメールで頂き、事務局がまとめる。この意見について、議論は後日やるのか。他の方の賛同意見については、聞かないのか。
  • (東室長)もう少し丁寧な形で議論ができる時間があれば、この場で議論を進めて、まとめるのが通常のやり方だ。皆さん方からもらった意見を6日に素案として出す。過不足があるか、中身の議論ができればと思っている。今日は、素案を出すための項目を精査して欲しい。例えば、障害のある女性という項目は、少なくとも総論部分で書こうとしている。
  • (発言)今日出された意見は、二次意見の中の議論でもう一度議論するのか。
  • (東室長)今は総論しか提案がない。各論にも書けという意見ならば、早急に出して欲しい。
  • (藤井議長代理)目次案についての意見をメールで欲しいということだ。内容は次回以降にもう一度議論するチャンスがある。
  • (発言)わかった。過不足について、意見を出す。
  • (藤井議長代理)どうしても発言をしておきたい方。メールではだめだということであれば。
  • (発言)2つある。1つは、17日に会議をやるのか。2つ目は、これまでの議論で一番多かったのは、地域生活支援が不明確だということだ。最初に、地域生活支援を明確に謳って欲しい。この他に、建物の利用と移動の権利を2つに分けるべきか、どうか。意見を出すので、よろしくお願いしたい。
  • (藤井議長代理)17日は予備日だったが、今後のスケジュールはどうなるのか。
  • (東室長)17日以降もやる必要が出てくるかもしれない。議論の進み具合による。
  • (藤井議長代理)覚悟はしておかなければならないということだ。
  • (発言)第一次意見書が出た後に6月29日に閣議決定をした。第一次意見書を最大限に尊重するとあったが、例えば精神分野では、障害者権利条約に基づきという文言が閣議決定の中では落ちていた。権利という言葉も、出てこない。第二次意見を出す時に、どこまで閣法に反映されるのかをイメージしておきたい。閣法に本当に反映される部分があるならば、条文イメージまで含めて考えざるを得ない。
  • (発言)地域生活を入れないと、精神障害について書けない。また、医療から外れた部分を総則、あるいは各則に入れるかどうかは、いつ決めるのか。それによってメールで出す内容が変わる。

【基本法と個別法の性格について】

  • (藤井議長代理)基本法の性格は大変大事な問題だ。事務局からお話を伺い、今の議論ともオーバーラップする点があるので、更に議論を深めたい。
  • (事務局)資料4は、政府部内で基本法の制定や改正などを検討する際の考え方を整理したものである。今後、二次意見を踏まえ、政府部内で障害者基本法改正の条文化作業を進めていく。その際にも参照すべきものになる。
    さまざまな分野で、基本法が制定されている。それらは、国政の重要な分野で、国の制度・政策などの基本方針、政策推進の枠組みを定めているものである。それぞれの個別分野の政策決定・実施に当たる基本的な理念、方向性を規定しているため、国民の具体的な権利義務は規定しないのが通例になっている。
    これに対し個別法は、政策実現のために必要な制度が規定される。個々の制度の具体的な事項や国民の具体的な権利義務などが担保措置、例えば予算措置や罰則規定などを伴った形で定められる。
    今後、政府部内の法案化作業では、基本法と個別法の役割分担の考え方を踏まえ、基本法に盛り込むべき事項、個別法に盛り込むべき事項などを精査してゆくことになる。
  • (藤井議長代理)基本法は、裁判規範になるのかが大きな注目点だ。基本法には、国民の具体的な権利義務に関する規定は設けられていないという事だった。障害分野を好転させるために、これが本当に作用し得るのか。
  • (事務局)裁判規範は、いろいろな意味で用いられる言葉である。仮に、裁判で請求するという意味で裁判規範となり得るかということであれば、直接条文に基づく請求はできない。他方で、基本法に示された方向に従って個別の制度が制定されるという構造になっているため、個別の事案を判断する際に、基本法で述べられている方向性は参照される。事態を好転させられるかどうかについては、今後、基本法改正の方針に従って個別の制度の必要な見直しがなされていくことかと思う。
  • (発言)基本法が、社会モデル的な理念で制定された場合、今の身体障害者福祉法の等級規定は明らかに規定に外れる。手帳を申請したが、それが却下されたとする。その処分については無効だという訴訟をした時に、福祉法を変えてないからだめだと言われるのか、変えていないことそのものが、法規範上問題があるという裁判結果になるのか。
  • (事務局)個別のケースに必ずしも十分答えられないが、基本法を社会モデルで書き改めようという議論をしている。改正された後には、その趣旨を踏まえて各制度が手直しをされるという順番になる。質問のような事態が発生するとは、考えにくい。
  • (発言)基本法の位置づけについて、違和感がある。私たちの原点は、障害者制度をパラダイム転換する必要があるということで、法文上にその理念がきちんと語られ、当事者の権利性が実体法として語られる必要がある。今、申し上げた理念や権利性を実体法化するための法のネーミングとして、基本法が妥当なのか。基本法は新たな政策課題に対して、行政として取り組む指針を示すために制定してきた。書きぶりとしては、国、自治体の責務を抽象的にこうすべきだと書くのか、極めて具体的に政策課題として、この部署がこの財源の裏づけを込めて実施すべきであると書くのかという疑問がある。後者であれば、政策転換する可能性は出てくる。方向性を示すだけであれば、必ずしも政策転換するとは言えない。日本はドイツとは違い、基本法に権利性、理念が込められていない。基本法は廃止して権利法にすべきだ。
  • (発言)かなり根本的なお話だった。事務局の説明とは相容れない論点も含まれていた。
  • (発言)現行の障害者基本法の第3条は、すべての障害者はその尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すると明確に権利を謳っている。権利そのものを謳えないということではない。今回、私たちが求めている最大の基本的な理念は、地域で生活をする権利だ。地域で生活をする権利を明確に謳うことは、基本法でも十分に可能であると理解しているが、どうなのか。
  • (事務局)3条の部分に権利という言葉がある。このような立法例があるのは事実だ。基本法と個別法という役割分担がある中で、今、議論していただいている内容を基本法に盛り込む場合にどういうことが可能なのか。例えば、具体的な権利や抽象的な権利の規定の仕方はどういう方法があるのか。権利ということではなく、実現すべき内容そのものを書き起こしていくような規定の仕方についても更に検討したい。
  • (藤井議長代理)権利という要素、あるいは性格づけを基本法に入れられないかという点についてはどうなのか。
  • (事務局)規定をする上で、そもそもその規定が何を意味するのかをしっかりと整理する必要がある。表現したい内容を精査し、その次にそれをどう表現するのが適切かということになる。3条に権利と書いてあるのは事実で、それも参考に更に精査をしたい。
  • (発言)この資料が基本法と個別法を説明しているのは理解できる。しかし、これを超えてはいけないという趣旨ではないと理解したい。例えば、教育基本法は戦後直後にできたが、権利規定をたくさん持っている。しかし、障害者基本法は具体的な施策義務に偏っている。我々がどのようにつくりたいのか基本姿勢をしっかりと示すべきで、社会の在り方だけではなく、その社会を実現するための権利規定まで意識して規定するべきだ。障害者基本法で共生社会をつくると言い、その社会を実現するためには地域で自立して生きる権利を持たない限りは共生社会が実現し得ないということを意識して書き込むべきだ。加えて、国民の具体的な権利義務に関する規定は設けられていないと言うが、国民と事業者の責務がなくては、国と地方公共団体だけでは実現できない。そこも踏まえていただきたい。
  • (東室長)なぜ今回、権利規定が必要なのか。これまでいろいろ議論があったが、そこが煮詰まっていない。「権利条約ではこのように書いてある。だから、基本法でも書け」という議論では足りないのではないか。「保護の客体から施策の主体」へという時に、幅広い裁量権の下に自由権が制限されてきたという歴史的な背景がある。それではダメだから権利として書くと必要があると理屈を議論して、一般社会に発信すべきだ。考え方や理屈を出して欲しい。
  • (発言)今、それぞれの委員が言ったことは当然だが、その答を事務局に求めるのは酷だ。決定権があるわけではない。これは、権利条約を反映するためにやるのであって、そこは大臣でなければ決められないと思う。政治的判断をお願いしたい。
  • (東室長)陳情ではなく、理屈、意見をメールで欲しい。
  • (藤井議長代理)担当室としても理論的な根拠がほしいとのことだ。障害を持った人々は他の市民とは違った状況に置かれている。この状況に影響を与えるような基本法でないと、何を議論してきたのかということになる。権利条約の批准要件を満たすよう、また、障害を持った人々の暮らしぶりを好転させられるように、各委員とも理論的な根拠、提案をしていこう。指摘のように、政治判断も含めて考えるべきだ。これについては担当室の方で持ち帰って、判断して欲しい。

[以上]

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