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第3回障がい者制度改革推進会議(2010年2月15日)
議事要録

(※ 委員名は五十音順とし、敬称を略させていただいています。また、記載された内容そのものでなくとも関連する発言があった場合には、「○○(委員名)ほか」と記載した箇所もあります。記載の順序は、必ずしも発言順ではなく、関連する項目をまとめた箇所もあります。)

議事 障害者総合福祉法(仮称)について


1.地域社会で生活する権利

  • 地域社会で生活する権利を法に明記することが必要(19名より書面意見、ほぼ全員が同趣旨)。
  • 総合福祉法(仮称)に地域社会で生活する権利を書き込む場合、障害者基本法の総則的な規定との関係や、どの程度詳細に書くかなどの検討も必要(東[補足])。
  • 地域生活の権利実現のための手続や救済に関する規定が必要。たとえば、施設から地域への移行や、地域生活が困難になったときの支援を求める請求権をどのように規定し、その実現のための手続をどうするか、明らかにする必要がある(竹下[書面意見])。
  • 地域社会とは何を意味するか、生まれ育ったところに限らず、住みたいところに住める選択権を明らかにし(中西)、特定の生活様式を強いられることがないようにすること(尾上、川崎)が必要。
  • 施設で長期間を過ごした知的や精神の当事者にとっては、地域生活を想像することが難しい。地域生活のうえでどんな選択肢があるか知ることや、地域生活を体験する機会を持てるようにすることが重要(土本、関口)。
  • 地域生活を送る上で手話を含む多様なコミュニケーションの選択が保障されるよう権利を規定すべき(久松)。

2.自立の概念

  • 支援を受けることと自立とは矛盾せず、支援を受けることを前提に自己決定を行うことが自立の考え方の基本である(19名より書面意見、委員間で言葉遣いの微妙な差異あり)。
  • 現在の障害者自立支援法第1条の目的規定における「能力及び適性に応じ自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう」という記述は見直すべき(大谷、尾上[書面意見])。
  • 障害のある者の尊厳を保障するために、自己決定権が保障され、自己実現を図るための社会制度(システム)が必要で、支援を受けることがあっても自立の概念には矛盾しない(竹下[書面意見])。
  • 支援なしでの身辺自立、職業的自立、経済的自立などを「自立」と表現することも一般には多く、(総合福祉法では、)定義なしで自立ということばを使うことによる混乱を避けるため、自己決定ということばを使ってはどうか。(佐藤)。
  • 自己決定ということばは、自己責任ということばと対で論じられることもあり、自己決定したのだからその結果について責任を負うのは当然というように論じられることがあるため、注意を要する。自己決定と自己責任の関係についてもしっかりとした議論が必要(大谷、竹下)。
  • 自立と自律(自ら選択する自由を含む)の概念を整理するため議論が必要(大谷、関口、竹下)。
  • 特に女性の立場から、性を否定されることなく個人として尊重され、障がいを理由として、性、生殖、婚姻、子の養育や、これらに関する教育、情報提供、保健サービスに関して不利益な取扱いを受けない権利という観点も重要(大谷)。
  • 障害者自立支援法の(法律の名称にもある)自立という言葉をめぐって混乱が生じてしまったのが日本の現状。支援を得ながら自己決定していく生活が自立生活であるという考え方(国際的な障害者運動では30年もの歴史があり権利条約にも反映されている)を日本でも定着させていく努力が必要(尾上)。
  • 最重度の人たちに対する施策は、自己選択・自己決定のためにも支援が必要ということを前提として自立をとらえてきた。自立を自己決定と言い換えると意味が不足するのではないか(森)。
  • 自己決定するための判断材料の提供を受けるような支援もある。自己決定イコール自立という言い換えには賛成できない(門川)。
  • 自分の思いを伝えるのが難しい仲間たちもいる。一人暮らしでどんな暮らし方をするかも相談しないと分からないこともある。料理をしていて自分の指を切って学習するといったことへの責任もある。難しい文章で自立と言われても、さまざまな困難を抱えているのだから適切な支援が必要だ(土本)。
  • 本人がどんな社会生活をしたいかを明確にして、一般的な市民と同じように、選択して失敗したときにやりなおす権利も含めて、自己選択・自己決定に必要な情報を本人が理解しやすい形で提供することも含めた支援の仕組みが必要(北野)。
  • 今後の議論として、自立と自己決定の関係、自己決定と自己責任の関係、自立と自律との関係など、各々の概念をどう位置づけていくか整理すべき。私たちの自立観を社会に伝えていく必要もある(藤井)。

3.障害の定義、適用範囲

(障害の範囲についてどう考えるか)

  • 権利条約は、障害のあるすべての人の人権と基本的自由の完全かつ平等な享有を目的として示しているが、これに対し自立支援法では制度の谷間に取り残された障害(発達障害、高次脳機能障害、難病等)という問題が議論されてきた。こうした制度の谷間はなくしていくべき(19名より書面意見、ほぼ全員が同意見)。
  • 障害のとらえ方は社会モデル(大谷、尾上、竹下、堂本、中西、久松、森ほか)ないしはICF(国際生活機能分類)モデル(佐藤)に基づいて考え、その観点から障害を定義づけるべき[いずれも書面意見]。
  • 障害の範囲は社会との関係で変わり得るので定義は設けるべきでない(勝又[書面意見])。
  • ICFは条約の設立過程でもICFの考え方では医学モデルの考えがのこっていることが指摘されているので、ニーズに即した定義を考える必要がある(中西、関口)。
  • 社会モデルに基づく障害の概念を、個々のサービスを受けられるかどうかという個別の判断とどうつなげていくかは慎重な議論が必要(新谷)。
  • 乳幼児については、障害がはっきり確定しないため、現行のように三種の障害別にサービス体系をつくるとニーズに応じた支援が保障されないという問題が生じる(大谷)。乳幼児に限らず、ニーズに応じて支援を保障するという視点が重要(大谷、大濱)。
  • 障害を定義づけるというよりこの法律に基づくサービスを必要とする人はだれかを定めていくことが必要。手帳の所持にかかわらず、社会への完全かつ効果的な参加を妨げられている者であって、サービスが必要であると支給決定において認められる者を対象とするべき(尾上)。
  • 医学モデルから社会モデルへ転換していく際、どのようにサービスを体系づけていくかは今後の課題だが、これまで受けていたサービスが受けられなくなることがないかという視点も重要(森)。
  • 社会モデルという言葉を共通の意味で使っているか。ICFにおける環境と個人との相互作用という考え方と社会モデルという言葉との関係を含めて整理が必要。また、ニーズに対する支援を障害者の制度で行うのか一般制度で行うのかと考えると、障害者の総合福祉法に基づく支援の範囲を決める必要はあり、機能障害、疾患、症状などを確認するという手続は必要なのではないか(佐藤)。
  • 年齢に応じて受けられるサービスが自立支援法から介護保険法へ移行する局面などを考えると行政制度の縦割りを克服できる包括的な仕組みをつくることが重要な課題(堂本)。

4.法定サービスメニュー

(現行規定にない社会モデルの視点に立ったサービスメニューは必要か)

  • 必要なサービスとして、教育における通学や就業時の支援(大濱、小川、尾上、中西ほか)、労働における通勤や職場介助、ジョブコーチなどの支援(同)、家庭生活における子育てなどの支援(勝又、土本ほか)、政治参加における支援(小川、森ほか)、病気、入院における支援(大濱、関口、土本ほか)、コミュニケーション保障の一環としての支援(新谷、関口、久松、森ほか)、施設から地域へ移行するための支援(佐藤、土本ほか)、権利擁護に関する支援(かわさきほか)、知的障害に応じた見守り、声かけ、理解を容易にすることなどの支援(土本)、精神障害に応じた24時間緊急相談といった支援(関口)、全身性障害者の24時間介護サービス体制の構築(大濱、森ほか)などがある(計17名より書面意見)。
  • 法律に明文化されていないサービスでも必要な場合には提供できるような仕組みづくり(たとえば障害者からの請求を検討する協議機関の設置や手続規定の整備など)も必要(竹下[書面意見])。
  • 条約19条に明記されているパーソナルアシスタント制度との関係で、重度の障害者が医療を受けるときなどを含めシームレスな介護制度が必要(大濱)。
  • (シームレスなサービスという観点からの考察として)たとえば、入院時の付き添い介助を特別の介護として提供することは、現在の病院の看護基準のもとでは(病院から提供される看護に含まれるから)難しいとされる。通学時の支援については、合理的配慮として差別禁止の観点からも議論し得るが、各場面におけるサービスの配慮が誰の手によってどの分野のシステムにより提供されるべきかという論点と、福祉サービス体系の在り方という論点との重畳的な関係をどう整理するかは悩ましい。縦割りイコール悪とするのではなく、縦割りの間の関係を調整するという観点も念頭に置くことが必要(竹下)。
  • 地域活動支援センターは、人口15万につき一箇所といった基準があるが、過疎の地域では、一箇所でその人口をみるのは面積の広さから無理。裁量的経費で自治体が地域の実情に合わせて活動しているが、これが自治体間の相互乗り入れを阻む原因にもなっている。支援を受けることを権利として位置づけるならば、国が義務的経費を出すべき(関口)。

(自立支援給付と地域生活支援事業の区分けは必要なのか)

  • 自立支援給付は国の義務的経費。地域生活支援事業は内容的には個別給付だが自治体の裁量的経費。このような区別をもうける合理性はない(多数)。
  • 大別して、意見の第一のグループとして、区別を設ける合理性はないということを前提とする意見(一部、区別が残るにしても、少なくとも地域生活支援事業の中で個別給付になじむものは自立支援給付に入れるべきとの意見を含む)、第二のグループとして、地域生活支援事業には個別給付になじまないものもあり、しかもその中で当事者活動を支える重要なものもあり、区別すること自体は一定の合理性があるとの意見(久松ほか)(しかしながら、そのうえで、個別給付、特に移動支援やコミュニケーションの支援は自立支援給付に入れるべきであるとの意見など)。第一と第二のグループに実質的な差はないとも考えられ、個別給付的な性格のものには権利性を与えるべきというのが大方の意見(計16名より書面意見)。
  • 自立支援給付のなかでも訓練等給付と介護給付の区分けが適切かどうかという問題がある。また、ケアホーム、グループホームと分けることはどうなのか。また、福祉的就労を福祉の体系ではなく雇用の体系に位置づけ直して支援すべきとの議論もある。これらを含め、総合的見直しが必要(佐藤)。
  • コミュニケーション支援事業には、集団を対象とするものもある。これまで法的位置づけを持たずに手話通訳の派遣などの制度を構築してきたが、不備を残したまま自立支援給付の枠に入れるには無理がある。個別給付になじまないものだと強調したい(久松)。

(法定メニューの障害者の生活構造に沿った再編成とシンプル化についてどう考えるか)

  • 現行サービスは、専門家が介在しないと利用者が必要なサービスを組めない分かりにくい仕組みで必ずしも利用者のニーズに即した組立ではない。自立支援法以外の福祉サービスとの関連性は考慮されず、縦割り行政で分断化されていることが問題(東[補足])。
  • 障害者の生活構造やニーズに沿ってシンプルかつ切れ目のないサービスに再編すべき(尾上ほか)、目的・機能により体系化しなおすべき(佐藤ほか)、障害の種類や程度にかかわりなく必要なサービスと、障害の特性に応じて必要となるサービスの2類型で組みなおす必要がある(竹下ほか)、などさまざまな提案(計14名より書面意見)。

(自己決定支援の必要性についてどう考えるか)

  • 支援を受けた自己決定、すなわち自己決定そのものを支援し可能な限り本人の法的能力に制限を設けないという世界の流れの中で日本はどうすべきか(東)[補足]。自己決定の前提として、第一に十分な選択肢が準備されること、第二に、選択をするために十分な情報やわかりやすい説明がなされること、第三に、自己決定に困難のある者への支援が必要(門川)という枠組みが議論の参考となる。自己決定への支援が重要であることについては意見の相違はない(計18名より書面意見)。
  • 自己決定に困難のある者への支援は、判断能力が不十分な場合だけでなく、判断するだけの社会的体験を欠く場合、偏見などの中で心理的な抑圧を受けている場合の支援なども含む。各委員の意見は、ケアマネジメントに力点を置くか、あるいはセルフマネジメントに力点を置くかといった観点や、後見制度に力点を置くか、あるいは本人のエンパワーメントに力点を置くかなど、自己決定への支援の在り方を論じる際の力点の置き方に相違あり(東[補足])。
  • サービスの情報が知的障害の仲間にいきわたらず、使えない。知らないままで終わってしまうのはよくない(土本)。
  • 条約第7条で障害のある児童の権利が明記されていることを踏まえて、「支援を決定するときには当事者抜きには決めない」というときの当事者に障害のある児童も含め、児童が自己の意見を表明する権利を意識した支援を考えることが必要(大谷)。

5.支給決定プロセス

(ニーズ把握の基本的視点をどこに置くか)

  • この点に関し論点表では、本人の障害の状況、本人の自己決定ないし選択、置かれた環境、及びそれらの相互関係という4つの視点を挙げている。このうち、いずれかの視点が不要とする意見はなく、いずれも踏まえるべきということかと思われるが、本人の自己決定ないし選択を基本に据えて本人のニーズを把握するということに力点を置く意見が多数(計14名から書面意見)。

(障害程度区分の廃止とそれに代わる協議・調整による支給決定プロセスのための体制構築についてどう考えるか)

  • 本人の意思と無関係に一定の基準を機械的に当てはめて支給内容や支給条件を決めるのではなく、本人の意思を支給決定プロセスに反映させるための方法を模索する一環として、協議・調整という方法が浮上する。現行の障害程度区分には重大な問題点があり、廃止すべきとの見解が大多数。その上で、それに替わる支給決定の仕組みについては、一定の必要な支援を判定する客観的な基準が必要との見解がある一方、そうした客観的な基準とは別に本人の申し出に権利擁護の観点から調整する相談支援機関などの第三者機関の判断を要するという見解もあり、さらなる議論の積み重ねが必要(東[計15名の書面意見を踏まえた説明])。
  • これまでの海外の調査研究からみると、税により障害者サービスを行っている国では、障害程度区分を決めて使えるサービスと使えないサービスを区分けしているような例はない。国のガイドラインや自治体独自のガイドラインに基づき、一定の裁量の範囲で決定している(北野)。
  • 支援決定に当たっては、ガイドライン化できるものと、ガイドライン化ができにくいないし困難なものがあることを意識した検討が必要(北野)。

(セルフマネジメント・本人中心計画と相談支援機関、ピアカウンセリング・ピアサポートの役割についてどう考えるか)

  • 本人のセルフマネジメントやエンパワーメントにおけるピアサポートが重要であり、制度の根幹に据えるべきとする見解が多数(計18名から書面意見)。
  • セルフマネジメントかケアマネジメントか、といった論点の建て方は避けてほしい。本来のケアマネジメントは本人を中心に行われるもの(大久保)。
  • セルフマネジメントとケアマネジメントとを対置するのでなく、単に出来合いのサービスをパッケージにしてサービス利用計画をつくるようなマネジメントから、本人の自己主張(それを支援するピアサポートを含む)に基づくセルフアドボカシー型、エンパワーメント型支援へと切り替えていくことを基本に議論していくことが必要(尾上)。
  • 基本的な考え方として本人の自己決定をいかに適切に支援していくかという観点から制度を論じるべき(松井)。

(不服の場合の異議申し立て手続きについてどう考えるか)

  • 現行制度には不服審査請求があるが、効果をあげていない(多数)。
  • (一定の基準を設けないと予算に際限がなくなるという、いわゆる「青天井論」(藤井[問題提起])をめぐって)「青天井」なのではなく、「天井」は条約が示すように、一般市民と同水準の生活、同程度の社会参加ができるための支援だと考える(佐藤)。
  • 日常生活で毎日出かける人と年に一度しか出かける必要性を感じていない人とを比較するようなことには意味がない。あるいは、障害の種類や程度によって必要とされるホームヘルパーの時間数を基準を以て決めようとすることに合理性はない。こうした点をまず押さえることが必要。そのうえで、障害者のニーズやセルフマネジメントによって組み立てられたサービスのすべてを是とするかという点については、必要性の判断や適正さに一定の社会性を持った価値基準を持ち出さざるを得ないだろう。その際、本人の希望したサービス量を仮に削るとした場合、第三者機関なども視野に置いた適正な手続が必要。「青天井」ではなく、このような一定の価値基準や適正な手続きをめぐる議論を通じて、無駄な支給を決めてはいないということについての社会的コンセンサスを得ることが重要(竹下)。

6.地域移行

(重度障害者の24時間介護体制の構築についてどう考えるか)

  • 重度の人をめぐる支援の在り方は人権問題であり、必要な場合は24時間介護の体制を保障することが重要(多数)。ただし財源問題の壁への指摘(堂本ほか)もあり、財源問題を突破する意味からも、この問題の重要性を再確認する必要がある(東[17名からの書面意見を踏まえた説明])。

(地域移行プログラムの法定化と期限の設定についてどう考えるか)

  • 地域移行に向けたプログラムの法定化が必要(9名)。試行的事業を経た後に法制化の検討が必要(勝又)。一律の取扱いは妥当性を欠く(森)。いずれも法定化の方向性を否定するものではない(東[13名からの書面意見を踏まえた説明])。

(地域移行支援策の法定化についてどう考えるか)

  • 本人の意思確認を前提とするもの(佐藤、竹下ほか)を含め、大方は、地域移行のための支援策の法定化が必要との意見(東[16名からの書面意見を踏まえた説明])。
  • 精神障害者の立場からみると、病院から地域への移行が進んでいないのは基盤ができていないから。家族から自立した生活も視野に入れて、医療と福祉が連携したサービス、住居、所得保障、24時間相談が可能な支援体制などの構築が必要。精神保健福祉法の保護者制度は退院後の家族負担も大きく、障害者の自立を損うため、保護者制度は撤廃すべき(かわさき)。
  • 入所施設をなくし、地域での福祉サービスにお金をまわしてほしい。親が負担するのではなく、自分はどこで住むか誰と住むかを含めて、必要なサポートを受けて自己決定していかないといけない(土本)。
  • 精神病院入院者の4割以上が60歳以上であり働くことを前提とした地域移行には無理がある。認知症の方が精神病院入院者の2割を占めるという状況もあり高齢者の問題として重要(関口)。
  • 盲ろう者は、日本に2万人ほどいると推計され、多くがどこかの施設で生活している。地域で親や兄弟と暮らしたい、友達と交流したいと思っているが、家族とのコミュニケーションができず、家族が嫌がっていたりする。まず盲ろう者通訳介助派遣事業を充実させてほしい(門川)。
  • 施設や病院からの地域移行が進まない原因を明確にしなければならない。日本では入所待機者が多数いるという特異な状況。多くは家族の希望だが、仕組みとサービスがあれば地域で暮らしたいというのが本音。地域移行を推進する法をつくって、一定の年限で入院・入所のベッドの縮小や職員に地域サービスに従事できる無償のトレーニングを行うなどの仕組みをつくることが必要(北野)。
  • 安全、安心が得られる地域の社会資源が乏しい。自立支援法の施行前に社会資源の増設の立法化を目指す動きもあったが、財政面の問題など課題があった。こうした過去の経験も思い返すことが必要(藤井)。

7.利用者負担

(応益負担の廃止についてどう考えるか)

  • 応益負担は廃止すべきということにつき、明示的な意見(13名)を含め委員の意見は同趣旨(東[15名からの書面意見を踏まえた説明])。

(負担の有無についてどのような原則と考え方をとるのか)
(新基準の設定についてどう考えるか)

  • 委員の意見には、原則無償論から応能負担までさまざまな視点があり、表現も多様で、さらに議論を詰めていくことが必要(東[17名からの書面意見を踏まえた説明])。
  • 自立支援法の就労移行や就労継続を支援する事業には費用徴収があり、労働行政で訓練を行う場合の無償ないし訓練手当の支給という考え方とそぐわない(松井)。

8.医療支援

(医療支援の在り方についてどう考えるか)

  • 現状における様々な問題を踏まえたうえで、国による障害者医療の制度拡充を求める意見、障害者だけに限定した議論でなく医療制度全般の中で議論すべきとの提案、都道府県の重度障害者医療と自立支援医療とを総合体系化すべきとの提案など様々な意見(東[12名からの書面意見を踏まえた説明])。

(負担問題についてどう考えるか)

  • 原則無償論から応能負担まで様々な意見があり、議論を深める必要(東[13名からの書面意見を踏まえた説明])。
  • 地方自治体の立場から、医療に関し3点(<1>重症心身障害児・者や重度身体障害者の入所、通所施設、学校等地域の機関において医療的ケアを行うことへの人的、物的、財政的支援、<2>自立支援医療の更新などに関する事務手続きの負担解消、とくに精神や重度の人の複雑な手続きの簡略化、<3>地域移行における医療を含むサービスのコーディネートへの支援)の配慮・充実が必要(清原)。
  • 医師などの専門職に障害者の地域生活への理解を深めるための教育・啓発が必要(中西)。
  • 聴覚障害のある乳幼児の医療に関し、たとえば人工内耳の手術をすることがあるが、手術の後遺症の状況など情報が不足している。障害を持つ子どもの自己決定に基づく医療支援についても議論を提起したい(久松)。
  • 医療法のなかで、精神科特例がある。通常は16人の患者に1人の医師。精神科では48人に1人。先進国の中でもっとも遅れている。大量の長期的入院が実態。医療法規を改正するとともに脱病院の施策を展開することが必要(堂本)。精神障害、知的障害の施設から地域への移行には日本にも先進的な取組事例があり、それらを踏まえた議論も重要(大濱)。

9.その他

  • 法の大きな枠組みの議論、すなわち医療と福祉、教育と福祉、教育と労働など、本来異なる法領域を、一部枠組みを広げて自立支援法で括っている。障害者だけを抜き出した法体系とすることが一般施策体系との格差を生む原因になりかねないということも含め、本来あるべき法体系はいかなるものなのか議論が必要。医療について検討する場合にも、こうした視点が重要(東[補足説明])。

(現行の障害程度区分に基づく国庫負担基準の問題についてどう考えるか)

  • 国庫負担基準の廃止ないし見直しを求める意見が大半。国庫負担基準が事実上の支給限度額の機能を果たしているという見解や、障害程度区分と連動しているのでこれをなくすならば国庫負担基準もなくすべきとの意見(尾上ほか)など(東[12名からの書面意見を踏まえた説明])。

(障害者の地域生活のための財政負担の強化についてどう考えるか)

  • 国際比較のうえで日本の福祉予算が少なすぎる(多数)、OECDの中くらいまで増やしていくべき(関口)、福祉予算の配分のうえで地域生活に重点を置いた財源配分とすべき、長時間や重度の介護などの例に則して市町村に負担がかかり過ぎないよう国の予算措置が必要との意見など(東[15名からの書面意見を踏まえた説明])。

(地域間格差をどのようになくしていくのか)

  • 地方自治体が不十分なサービスしか提供しない場合に国から一定の指示を与える権限を法定化すべきとの意見、出身地と居住地それぞれの自治体の負担関係を見直す必要があるとの意見、都道府県間の財政調整の仕組みが必要との意見、サービス確保のための審査機関の設置が必要との意見、地域間格差がなぜ生じるか調査したうえで対策を講じることが必要との意見など(東[13名からの書面意見を踏まえた説明])。

[以上]

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