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第30回障がい者制度改革推進会議(2011年2月14日)
議事要録


議事 障害者基本法の改正について


  • (発言)平成21年に日本障害フォーラム(JDF)は障害者基本法改正に関して、改正は障害者権利条約を十分踏まえて行うべきであると指摘するとともに、条約批准の主な要件として11の改正項目を示した。また当時、内閣府より条約の締結に際して必要な改正事項として、定義に「合理的配慮の否定」が差別に含まれることを明記する等の8項目が示されていた。今回の改正は、このJDFの見解や内閣府の8項目を踏まえるべきだ。今日の案は政務三役が承諾しているのか。第一次意見、第二次意見、特に閣議決定を反映し、権利条約の批准にふさわしい内容になっているか。
  • (発言)今回の案には、地域生活や精神障害者の部分がぬけている。非自発的医療については適正手続だけでなく、「他のものとの平等」「実効的な」が必要だと考えるが、これが入っていない理由は何か。また、「(23)相談等」で「障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務」と施策の客体のような表現になっているのはなぜか。
  • (発言)12月17日に第二次意見をとりまとめて、当時の岡崎担当大臣に小川議長から手渡したことが、推進本部に対する正式な手渡しと理解していた。今回のまとめに至るプロセスを説明していただきたい。
  • (発言)今日の議論を受けてJDFで意見をまとめるので、受け止めていただきたい。旧政権・与党のレベルより下まわらないようにお願いしたい。

1 総則

  • (事務局)本日の資料は、第二次意見の「基本法改正に当たって政府に求める事項」に関する意見に基づき内閣府の責任でまとめ、関係各府省等と調整中である。第二次意見を踏まえ、「(1)目的」が書かれており、併せて、この法律を障害者の福祉の増進と狭くとらえず、すべての国民が共生することができる社会の実現を目的にしているので、「もって障害者の福祉を増進する」という部分を削除している。「(2)定義」で、「障害者の定義を、身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害(以下、「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」とした。併せて、社会的障壁の定義を置き、すべてのものが読み込める定義とした。
  • (発言)次から次へと進めてしまうと、議論がいっぱい出てくるとついていけない。法律用語等があるので、1ページ、1つずつ区切ってもらいたい。
  • (藤井議長代理)進行上、全部に関係することを先に受け付けた上で、1ページずつ、提案と質問、意見を出してもらう。
  • (発言)前文がない理由、経過を質問したい。推進会議では、改正の趣旨や基本法の位置づけを明らかにするために前文が必要とされていたが、省庁から反対する意見があったのか。第二次意見で示した前文、総則、各則、推進体制という基本の骨組みに対して、省庁はどう検討したのかを最初に示すべきだ。
  • (事務局)前文が付いている基本法はあるが、前文は国民の総意として国会で受け止めていただき制定するという手続ではないか、というのが政府部内で検討したときの意見だった。
  • (発言)国民の総意として内閣が存立し、議員内閣制は民主主義、国民主権に基盤を有している。推進会議も同様の基盤の下で議論し、前文を必要と言っている。
  • (事務局)前文の提案を政府がこれまでほとんどしたことがなく、政府から提案すべきではないという意見がある。政府から国会提出後、審議の中でどういった前文がふさわしいのか御議論いただき、適切な御判断をいただきたい。
  • (発言)閣法で前文のある法律は幾つでもある。なぜこの場合、否定されるのか。
  • (事務局)閣法で提案した際に前文がついている法案は、国会で既に提案する検討がされており、今回の例にはそぐわない。政府提案で前文を付している例は多くない。
  • (発言)環境基本法も男女共同参画社会基本法も閣法で前文が付いている。制度を揺るがすようなものには前文がついていることを認識してほしい。
  • (事務局)男女共同参画社会基本法は閣法での提案時には前文を付しておらず、国会の御議論の中で前文を付すべきという結論に至った。環境基本法については確認させていただく。
  • (事務局)政府提案の法案に対して国会で議員の修正で前文が付けられた例や、新規制定の法案に法案の趣旨として付けられる例が多い。今回の法律は、改正するという点、政府で出すという点から必ずしも前文を付けるものではないと内閣府の事務方として判断させていただいている。
    第二次意見の中の総則に関係する12項目をそのまま総則として条文化するのではなく、法技術的に整理した。総則に条文を立てるには各則に共通する事項として立てる必要があるが、障害のある女性に関しては、各則で規定すべき施策が見当たらなかったことと、性別という形で意見が反映できると考えたことから、総則に設けていない。障害のある子どもは、施策として立てるべき内容に尽きるので各則に書いた。
    (発言)全体としては前進があるが、個別には不十分である。日本では、性別による格差全般が深刻で、障害のある女性については更に深刻である。障害者ということと女性ということが重なっている問題への認識が薄い状態である。せめて各則で独立した条文を立てていただきたい。
  • (発言)改正法だから前文がなくていいという問題ではない。権利条約の批准に向け抜本的に変えることは、新しい法律を作ること同じ性格を持つ。障害のある女性が中絶を強制される、また知的障害の女性が望まない妊娠をして被害者となることなどを考えたとき、性別という文言だけでは読み取れない。今の国際的な流れ、特に権利条約の流れで言えば、総則と各則に女性のことを入れるべき。
  • (発言)意見が反映されているところは評価したいが、「(10)施策の基本方針」の2に書かれた表現を改善し、障害者の実情を踏まえた支援が実行できるように、重度障害者を含むさまざまな障害者及び関係者の意見を聞き、尊重しなければならないということを基本原則としていただきたい。
  • (発言)「(1)目的」に共生社会の実現という言葉が入ったことは大きいが、共生社会を実現するという目的が法律全体にかかっていない。共生社会を実現するための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする、と変えていただきたい。
  • (発言)「(1)目的」で、改正によって障害のある人が我が国で生存し、生活していくことにおいてどのような権利が保障されたのかが明確になるべき。「(6)国及び地方公共団体の責務」に、その責務は福祉の増進と書いてあり、障害者は福祉の対象にされている。私たちが望んだ改正の趣旨が失われている理由を御説明いただきたい。
  • (発言)推進会議の議論が反映され評価しているが、「(3)地域社会における共生等」の1の「可能な限り」という表現は避けて、権利として保障していただきたい。また、2でも、情報取得または意思疎通のための手段は最低保障されなければならないので「可能な限り」はそぐわない。子どもに関する規定が設けられていることはいいが、「(15)障害者である子ども等への支援」という表題はすっきりしない。
  • (藤井議長代理)全体に関係することの発言を求めた上で、事務局から残りの総則のポイントをお話しいただき、項目ごとに議論する。またがることがあったら項目を分ける工夫の努力はする。こういう進め方ではどうか。
  • (発言)わかりやすい状況はほかの全国で見ている仲間たちに対してもそうだと思うので、そうしてほしい。
  • (発言)「(2)定義」で、意思疎通等の争いのある言葉を整理しなくていいのか。手話及びその他の非音声言語の定義を明確にし、と閣議決定でうたわれているので、言語の定義の中に手話、非音声言語が含まれると基本法にうたうべきではないか。
  • (発言)「(1)目的」に共生社会が盛り込まれ前進したが、障害の有無にかかわらず共生するという部分から、なぜ「合理的配慮や支援の充足を通じて」が落ちたのか。「(2)定義」で、機能障害の状態に変調があっても日常生活、社会生活上の制限に継続性があると読めるのか。「(1)目的」で、基本的人権の享有主体とされ地域で暮らす権利があるはずだが、なぜ基本原則に「可能な限り」が入るのか。「他の者と平等に」でよいのではないか。また、施策を計画的に、つまり漸進的に進めるということなら、各則の「可能な限り」は不要である。障害のある女性について総則と各則に規定を設けるものがないとは推進会議の認識とずれている。
  • (事務局)目的はすべての国民が共生する社会を実現すること、その下で基本原則は国・地方公共団体だけでなく国民すべてをカバーする原則だ。「(10)施策の基本方針」で施策の策定に当たって意見を反映することを基本原則に入れるべきとの意見があるが、これはすべての国民に係ることではなく国・地方公共団体に係ると整理できるので、基本原則にはならないことになる。「障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策」は、「等」で、共に生きる社会を実現するために政府の講ずる施策はすべて盛り込んでいる。自立及び社会参加の支援という施策の部分も大きいので例示として適切だ。合理的配慮は用語として定義していないが「(4)差別の禁止」に考え方を規定している。具体的な行為を義務づけるという権利の実現には、内容や財源負担などについて精査しないと規定できない。一方、抽象的な権利として規定することについても、どのような負担を求めるかを具体的にしないままの義務づけは適当ではない。
    「(3)地域社会における共生等」の第1項の2、3では、可能な限り選択の機会が確保されということで、選択の機会を100%確保するまで担保できるか留保が必要という姿勢である。個別の場面で必要がなければ取ることも考えられる。
    障害の定義について、二次意見の内容を精査し、継続的という用語ですべて含まれ得ると判断した。女性のところは、各則として施策を規定するためには、どういった施策についてだれが実施するのかまで調整しないと入れることは難しい。ただ、医療その他のところに関しては、性別を付け加えることで、性差を踏まえた医療が適切に提供されるよう規定を改正する必要があると考えた。
  • (発言)「(2)定義」の「継続的」という表現に難病が入っているのか。
  • (事務局)難病による障害についても含まれるという認識である。
  • (発言)今回の提案は昨年6月29日の閣議決定を踏まえているのか確認したい。「(3)地域社会における共生等」にある「可能な限り」については「計画的に図らなければならない」とあり、すぐ100%実施すべきとはなっていないので削除するべきだ。
  • (事務局)閣議決定は政府部内の調整の前提である。差別に関する記述、手話その他の非音声言語の定義を明確化する等、法整備も含めた必要な措置を講ずるという閣議決定の内容を踏まえて検討している。
  • (発言)「(3)地域社会における共生等」で、地域社会において他の人々と共生できるよう計画的に図らなければならないとある。しかし、「(6)国及び地方公共団体の責務」の施策義務や「(11)障害者基本計画等」の計画策定では「自立及び社会参加の支援等のための施策」とあり、「等」に共生社会の実現が含まれることになるが、これでは言葉不足だ。共生社会の実現のための各施策ということを盛り込んでほしい。
  • (発言)「(10)施策の基本方針」の2に関して、すべての障害者に関する施策は、障害者の実情を踏まえて、障害者の意見を尊重しなければならないと基本原則に入れていただきたい。「(3)地域社会における共生等」で、「可能な限り」を削除し、選択の機会を権利として明記すべきである。「(2)定義」か「(4)差別の禁止」で、合理的配慮や過重な負担等は差別禁止法(仮称)で定義すると書いていただきたい。「(4)差別の禁止」で、国の役割として合理的配慮に関する情報提供に限定しない表現にするべきである。「(8)国民の責務」では、すべての国民は基本原則にのっとり社会の実現に努めねばならないと表現すべきである。
  • (発言)権利を保障するためにはお金の問題があるから国民の負担を先に決めるべきというが、既に書かれている「福祉の増進」や「施策の推進」にしても国民の負担は必要だろう。差別禁止によって障害者の基本的人権が実現するために裁判規範性が必要と強調してきたが、今回の表現でその点はどうなるのか。原則に「可能な限り」とはあり得ない。
  • (発言)閣議決定に、国の責務として必要な財源を確保していくとあるのだから「可能な限り」は削除してよいのではないか。「(2)定義」で、「継続的な」という言葉のために難病が排除されてきた歴史を踏まえ、「周期的または断続的」としてほしい。
  • (事務局)「可能な限り」を削除するには、状況を精査して必要ないという見極めをする必要がある。財源確保の条文は現行と同じだが、今回の改正で「共生社会に向けて」という新たな目的に向けて必要な財源を確保するという意味に変わる。「(3)地域社会における共生等」の共生社会の実現を計画的にとの規定は基本原則なので政府だけでなく国民全般にかかるが、「(6)国及び地方公共団体の責務」の施策を計画的にとの規定は国及び地方公共団体にかかっており、同じ「計画的に」でも意味が違う。「(10)施策の基本方針」の2の政府が障害者施策を講ずる時は障害者等の意見を反映すべきとの規定に関しこれを基本原則にすべきとの意見があるが、そのためにはこれを国民全体にかけられるか見極める必要がある。権利という文言を入れることについて、具体的な権利は義務づける内容を精査しないと規定は盛り込めず、抽象的な権利はどんな負担をどの程度強いるのか精査が進まない段階で書くのは難しい。
  • (発言)「権利を保障する」と書く場合と「社会参加の支援」と書く場合では、国民の負担に違いがあるのか。
  • (事務局)施策を進めるに当たっては費用負担が生ずることを踏まえて計画的に進める、あるいは優先順位を決めるなどの判断が必要になる。他方、権利と書くと直ちに実現を求める内容となり、政策的な判断や検討の余地はない。
  • (発言)「(3)地域社会における共生等」に「その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」とありここでは権利と書けるのに、地域社会で生活する権利は負担が幾らかかるかわからないから書けないという説明では納得できない。
  • (発言)「(4)差別の禁止」について、社会的障壁の除去が合理的配慮なのか。障壁の除去が過度な負担だとやらなくてもいいと読めるが、そういう表現が正しいのか。
  • (発言)国民の中に事業者が入っているのか。
  • (発言)「(1)目的」の「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人として尊重される」という記述が障害を持っている個人の主体性を認めるという趣旨であれば、第二次意見の「1)目的」にある「保護の客体から基本的人権の享有主体への考え方の転換」という趣旨を盛り込む必要があるし、さらに権利という用語を用いるべきだ。権利には自由権と社会権があり、自由権は財政出動がかからない。盛り込むのが難しいのは、財政出動が必要になる社会権のことだけか。権利性の規定や、それと連動する前文を置かない趣旨を御説明いただきたい。
  • (発言)基本的人権を保障するために財源出動の可能な限り施策を遂行する、という表現にしてはどうか。基本的人権を保障するためということを明確にしないと、権利条約を批准するための受け皿の改正にならないので「(1)目的」に入れていただきたい。そうでないならば、「(3)地域社会における共生等」にでも、やむを得ない。
  • (発言)改正の柱は、保護の客体から権利の主体への保障と、差別のない社会の実現である。「(3)地域社会における共生等」では「可能な限り」と書いたことで意味がぼやけている。閣議決定では「・・日常生活や社会生活を営めるよう留意しつつ、障害者が自ら選択する地域への移行支援や移行後の生活支援・・」とあるが、今回の案はこれと合っているのか。平成20年12月に内閣府が出した「障害者施策の在り方についての検討結果について」の中で「障害者権利条約の締結に際し必要と考えられる障害者基本法の改正事項」としてまとめられた8項目から退化したのか。
  • (発言)前文に基本法の理念を書いて、「可能な限り」はやめるべき。今までの障害者基本法を構造的に抜本改正していただきたい。
  • (発言)「(3)地域社会における共生等」について、現行第8条の「障害者の自主性が十分に尊重され」ということがなくなっている一方、「可能な限り」が付け加わっているのはなぜか。
  • (発言)障害女性の人権保障に関して、望まない妊娠という被害者になるなどのことは自由権の問題であり、財政出動ということではなく女性に固有の差別の問題だ。
  • (発言)「可能な限り」は取って、どこでだれと生活するかについての選択の機会は自由権として確保する。そのために、必要な支援を確保するという部分は最大限やっていただく。
  • (発言)「(3)地域社会における共生等」で、情報アクセスや意思の疎通についても「可能な限り」を削除して権利として位置づけていただきたい。
  • (発言)「国民の総意」とは何を指すのか説明してほしい。第一次意見、閣議決定、第二次意見が、改正案にどのように反映されているのか、わかるようにしていただきたい。言語・コミュニケーションの保障について閣議決定されたが、改正案にどのように反映されたか説明いただきたい。現行基本法第三条の「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活が保障される権利を有する」の部分の改正案で「権利」が盛り込まれたが、先ほどは「権利」は書けないとの説明だった。その根拠は何か。
  • (事務局)まず「権利」については、基本的人権の享有主体性については確認しこれを前提に規定しているが、自由権的な権利を新たに法定することは難しい課題だ。社会権的な権利についてはどういう権利で、どういう義務が発生し、だれにどういう負担を求めているかを整理しないと書くのが難しい。次に「国民の総意」については、政府が前文を提案するのは難しく、国会の議員修正で入るのが典型例だ。国会で合意されるという意味で「国民の総意」と言った。「可能な限り」については、これを外すとあらゆる場面で踏まえていただきたい規定になるので、外して大丈夫か精査の必要がある。手話については閣議決定及び2次意見を踏まえて検討し、立法技術的には基本法で規定する必要が特にないと考えている。「障害者の自主性が十分に尊重され」については、現行法では「施策の基本方針」で規定していたのを、内容を高めて「基本原則」の1項目に入れている。「国民の責務」については、法律の構成上は国民に事業者も含まれており、国民から切り分けてそれ以上の責務を規定するのは難しい。「女性」については、性差に限らず二重に困難を抱えているという趣旨まで盛り込んだ規定である。
  • (発言)「(4)差別の禁止」の合理的な配慮と、障害者の権利条約第2条で定義している合理的配慮と同じなのか。「(5)国際的協調」を新設で入れていただき心強い。
  • (発言)「共生」は甘い関係や従属関係が生じるという意味合いもあるので、閣議決定でも使われている「インクルーシブ」とするべきだ。
  • (発言)「(2)定義」の障害者の定義は、心身の機能の障害が障害という典型的な医学モデルである。障害者権利条約の障害の考え方と違うものを基本法で定めると、批准のときに、また改正しなければならなくなるのではないか。
  • (事務局)「(4)差別の禁止」の2の規定そのものが合理的配慮の考え方である。合理的配慮の中身等を差別禁止部会で精査している段階で、定義を先にするのは法技術的に難しい。社会的障壁の除去は全ての人に係る規定であり、過重な負担は合理的な配慮を直ちに実施できないことも想定している。一方、国・地方公共団体については、政策的に計画的に実施するという別の条項で規定されている。合理的配慮を欠くことが差別と規定すべきとの意見については、合理的配慮の内容を精査した後に法体系が整うものと考えている。インクルーシブは概念として法律に盛り込むのは難しいが、「(1)目的」に共生社会ということで盛り込んだ。障害を社会モデルと定義すると、この法律や他の法律に出てくる障害という文言への波及もあるので、今回の案が法技術的には適当と判断した。
  • (発言)現行基本法でも障害者差別を定義することなく差別を禁止しており、また障害者権利条約には合理的配慮がないことは差別と書かれている。条約批准に向けて差別禁止部会が合理的配慮の内容等をまとめる前の段階で、合理的配慮の欠如が差別だと書けない理由はない。
  • (発言)抜本的に改革する時には基本法は法の理念をリードしていく立場にある。「合理的配慮の欠如が差別である」ことを基本法から指示するべきだ。

2 基本施策

  • (発言)情報アクセス全般に関連して、例えば選挙のところで、政見放送の字幕等ソフト面を書かず、環境整備や投票所のバリア等のことは書いている。どのように第二次意見を取捨選択したのか。
  • (発言)第二次意見では「政治参加」としていた表題が「(26)選挙等における配慮」に、また「司法手続」は「(27)刑事手続における配慮等」になっているが、このように表題を狭くしたのは何故か。教育は、文科省の特別委員会の論点と比較しても劣る。
  • (事務局)被選挙権に関しては政府提案では難しいため、「政治参加」ではなく「選挙等における配慮」として二次意見を踏まえて選挙の部分のみを規定した。司法手続に関して、刑事手続は自らの意思に反して身柄を拘束されるという強い権限の行使であるため、まず絶対的に保障されなければいけない刑事手続を書いた。教育に関しては、インクルーシブ教育をどのように条文化するのかを検討中である。
  • (発言)「(17)教育」で「交流及び共同学習」を強調すると前提が分離教育ということになるので、あえて打ち出さなくてもよい。「共に学び、共に育つ」と書かれていれば、特別支援学校や特別支援学級でも、交流などの機会を設けるだろう。
  • (発言)「(1)目的」を受けて「(17)教育」に「障害のある子とない子が共に学び、育つことを原則とする」という文言を入れていただきたい。「(14)医療・介護等」の表題を「地域生活」にするよう求めていたが、なぜそのままなのか。また、「国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供を行うに当たっては」とあり、生活支援という言葉が消え介護の給付だけになっているのは何故か。
  • (発言)「(17)教育」の第1項にインクルーシブ教育、共に学ぶ教育が原則だと書いていただきたい。人材の確保及び資質の向上が追加されたのは何故か。
  • (発言)「(17)教育」について、インクルーシブ教育の方向を出すとともに、合理的配慮についても明記していただきたい。
  • (発言)「(17)教育」について、推進会議と文科省の特別委員会での到達点、とりわけ、インクルーシブと選択を尊重してほしい。選択については、当事者の意に反することはやらないと特別委員会で議論されている。
  • (発言)「(17)教育」について、「能力及び障害の状態に応じ」という表現はやめるべきではないか。「障害者が、その年齢や状態を踏まえ」という表現にし、地域の学校で教育を受けることを原則とすることを明記すべきである。
  • (発言)労働と福祉の一体的な展開により、雇用の場に入っていない人たちにも雇用の場を広げるべき。合理的配慮として議論してきた内容が「(19)雇用の促進等」では「適正な雇用管理」と言い換えられているので、正しく書くべきだ。「(18)職業相談等」の障害者に適した職種という表現は古い考え方である。現状では、労働年齢の障害者のうち、雇用と福祉的就労以外の人の働き方の実態や就業率がわからない。多様な就業の機会の確保ということで、雇用以外の働く場を整備していく必要がある。
  • (発言)基本法は牽引役なので厚生労働省で精神障害について検討しているから基本法には書けないという道理はない。閣議決定にもある通り精神障害は我が国では大変遅れており、国際的にも人権侵害として勧告を受けている領域なので、基本法の中で特別に記述することは問題ない。障害の定義が医療モデルになっているのは修正するべきだ。
  • (発言)第二次意見で明記された社会的入院の解消と精神病床の削減、非自発的入院等の際の適正手続きの整備が書かれていない。二次意見にある「基本的人権の尊重の観点に基づき」や「障害のない人との平等を基礎とした実効性のある適正手続を保障すること」すら書かれないとすると、納得できない。
  • (発言)精神障害者は他の障害と比べて差別的な待遇をされているので改革が必要だ。今回の案には、地域生活や精神障害に関わる地域移行の促進が入っておらず憤慨している。なぜ反映されなかったのか。
  • (事務局)精神障害者に関わる地域移行の促進は「(14)医療介護等」の2で、医療もしくは介護の給付、リハビリテーション提供を行うに当たって、人権に十分配慮しなければならないということを盛り込んだ。保護者制度や社会的入院の解消のための具体的な策、体制の整備などについては、検討中なので書き込めない。
  • (発言)検討中だから書けないというのは逆で、検討してほしい方向性を書くべきだ。医療モデルから社会モデルへ移行する大きな方向の中で基本法の構成を変え、精神障害については社会的入院を減らすことと、適正手続を明記すべきだ。裁判なしに身体の自由が拘束されるのは精神の領域だけである。憲法で保障されている人権を担保するところがこの基本法である。
  • (発言)「(14)医療、介護等」の2では、精神障害者の強制入院を排除し、精神障害者の地域での生活を保障することは読み取れない。精神障害者の社会入院をなくすための1項を別に立てる必要がある。
  • (発言)立法事実がないのに医療観察法をつくった。精神障害者だけ、刑を受けるべき人、あるいは減刑されたり、無罪になったりする人が保安処分される。他のものとの平等に反するので書き込んでいただきたい。
  • (発言)「(22)情報の利用におけるバリアフリー化」に関して、知的障害のある人たちにとっては情報がわかりやすいだけでは足りない。自分たちが経験しないと、情報が得られない。今、身体の人たちが中心的に書かれているので、知的も情報があるべき。ふりがなを振ることも情報としては必要ではないか。
  • (発言)福祉サービスは、独立して各則として位置づけるべき。2004年の基本法の改正前までは独立していたし、地方や国の障害者基本計画でも位置づけられている。
  • (発言)「(16)年金等」については社会参加に係る費用についても考慮しなければいけないと明確にしていただきたい。「(23)相談」では「障害者及びその家族その他の関係者による」相談とすべき。また、権利利益の保護等という表現について、促進、救済等、保護だけではない表現を入れていただきたい。相談支援体制の整備を図り、必要な研修等が行われなければならないとうたっていただきたい。
  • (発言)「(14)医療、介護等」で、介護という言葉は、障害者が客体扱いされるので、障害者主体の介助に置き換えていただきたい。障害者が地域で自立した生活を営むことができるように、必要な医療や支援サービスが提供されることと、日常生活における可能な限り身近なところで、ということは根本なので、最初にもってきていただきたい。計画的に講じるということであれば、「可能な限り」という文言は不要である。
  • (発言)「(28)国際協力」が新設されてうれしいが、権利条約32条の国際協力では、国際的な開発計画を含むとなっているので、政府開発援助を含めという言葉を入れていただきたい。
  • (発言)「情報の利用におけるバリアフリー化」で、災害防止のために必要な施策が入ったことは前進である。ただ、情報通信機器あるいは放送の機器の利用範囲だけなので、第二次意見で求めた障害者それぞれに適したコミュニケーション保障の考え方を盛り込むべき。

推進体制

  • (発言)推進体制は、権利条約33条、国内モニタリングとの関係で重要な部分で一歩前進だが、障害者政策委員会に関して、当事者過半数と市町村必置をお願いしたい。
  • (発言)障害者政策委員会という名称について、施策より一段上の政策という用語を用いているのは、個別施策を行政が策定する前提で当事者の感覚であるべき姿を示すためか。また、「(31)障害者政策委員会の所掌事務」の1の3号で、勧告に基づき講じた施策について政策委員会に報告しなければいけないと書かれているが、「勧告に対する対応について」とし常に応答義務が生じるよう御検討いただきたい。
  • (発言)「(31)障害者政策委員会の所掌事務」のモニタリングについて、障害者基本計画のみの調査審議では不十分である。障害者基本計画及び障害者施策に関する事項に関し、と文言を入れていただきたい。
  • (発言)「(33)障害者政策委員会の組織」について、委員を非常勤と規定せず、今後決めたらいいのではないか。「(32)資料の提出要求等」で、関係機関の協力を課すことができるというように強い表現が可能か御検討を願いたい。
  • (発言)「(31)障害者政策委員会の所掌事務」の勧告に対する対応のところで、第二次意見を踏まえて「適切な期間内に」を加えるべきである。
  • (発言)男女共同参画基本法の場合は、内閣府の男女共同参画室が、基本法ができたときに局に格上げになった。行政側の組織については、どうなっているのか。
  • (事務局)合議制の機関で当事者を過半数という例はない。しかし、意見を反映させるための委員構成にすることは条文上規定している。男女共同参画会議では、男女比が約半々の中、偏らないようにクォーター制が定められている。市町村必置を盛り込むのは難しい。政策委員会の名称は障害者に関する施策すべてを対象とする意味である。応答義務は、施策を講じないから報告もしないことではない。条約の実施状況の監視は、未批准ということもあり、また現行の法体系上、基本法に基づいて政府が条約の実施計画をつくり、監視することになる。「(31)障害者政策委員会の所掌事務」の調査審議や監視の対象について、委員会が基本計画に関すると判断すればすべての政策が対象となる。委員を常勤とするなら現時点で決める必要があり、国会の同意や諸般の手続や組織の肥大化という論点のクリアが必要。協力に応じていただけない場合は、組織の主任大臣の内閣総理大臣などから申し出ればよい。国の行政機関の所掌事務の関連で「適切な期間内に」と書くのは難しい。局を設ける検討はされていない。
  • (事務局)要綱は法律の条文を要約したものである。本日の資料は、改正した内容を埋め込んだ改正後の条文の形であり、要綱案ではなくイメージのようなものである。
  • (発言)第二次意見と要綱案の対比表をいただきたい。どの部分をどう取り込んで要綱案を出すことが、推進会議の議論を尊重して条文をつくるという意味ではないか。
  • (発言)条約を批准した折には、33条のフォーカルポイントが政策委員会に当たるのか。差別禁止法ができたら、救済機関等、いろんな組織ができるだろうが、それは条約の直接の要請か。また、それと国内人権機関との関係はどうなるのか。
  • (事務局)条約のフォーカルポイントは、モニタリング機関の方である。政策部局がフォーカルポイントに当たると考えている。差別禁止法制の中で、どういった組織や機能が必要か整理して、その上で判断することになるのではないか。

議事 報告等


わかりやすい第二次意見をつくる作業チーム

  • (発言)今日の午前中、第6回目作業チームで、第二次意見わかりやすい版をつくり上げている。わかりやすくして、だれでも使える形にしている。表はオレンジ色、裏側が水色で「わかります」として、これからつくり上げていきたい。
  • (発言)2月26日の福井の地域フォーラムに間に合わせるため、イラスト等を入れている段階である。。

地域フォーラム

  • (発言)2月12日京都アスニーホールで開催され、40団体600名以上集った。基調報告とシンポジウムを行い、フロアからも意見が出た。推進会議議長あてに、第一次、第二次意見及び今後の障害者制度についての要望書を預かったので、お渡ししたい。
  • (発言)2月12日に福岡クローバープラザで700名が参加した。地域フォーラムin福岡という29団体で構成した団体から、第二次意見への御意見をいただいた。各地域で運動を立ち上げ推進会議を支えてくださるとのことで、力強いサポートを得た。
  • (発言)2月13日、宮城県の仙台市青年文化センター交流ホールで開かれた。約300人の参加。主催は、31団体による地域フォーラム実行委員会。雪が降ったにもかかわらず、皆さん駆けつけてくれた。
  • (発言)1月15日に栃木で開催された。関心が高く、会場の中に入り切れない方は、特設会場でテレビのモニターを見ながら参加してくださった。

差別禁止部会

  • (発言)1月31日に第2回の部会を行った。諸外国の差別禁止法制を学ぶことからスタートし、EU、フランスの報告を受けた。次回も諸外国の立法の過程や内容について学習しながら、国内の差別事象や条例等の状況も把握する作業を進める。

総合福祉部会

  • (発言)今年に入り総合福祉部会は1月25日に開催され、明日2月の部会が開かれる。新しい第2期の作業チームも含めて更に検討を行い、6月には骨格提言素案をまとめ、8月に最終的な報告を目指している。

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