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障害者施策トップ 推進体制 障がい者制度改革推進会議 > 第7回障がい者制度改革推進会議議事要録

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第7回障がい者制度改革推進会議(2010年4月12日)
議事要録


(国際協力について)

  • (発言)障害分野の国際協力政策の明確化、インクルーシブな国際協力の推進、ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)を初めとする国連機関への支援の強化の3分野について議論して欲しい。国際協力を強調した障害者の権利条約を認識し、障害者基本法での国際協力条項の新設に向けた議論を進めて欲しい。
  • (発言)6月23から25日に、ESCAPで今のアジア太平洋障害者の十年が終わった後、どのような取組みをするべきかという議論をする点も含めて議論して欲しい。

議事 所得保障について


所得保障に関する基本的な方向性について

(1.現在の障害のある人の所得保障制度の課題について、ご意見を賜りたい。…主な書面意見(18名)

  • 障害基礎年金、特別障害者手当の課題について
    給付水準の問題指摘が最も多い。少なくとも生活保護の水準は支給するべき。老齢基礎年金と同額だが障害者は資産形成が困難で、介助を必要とするため状況が異なる。障害厚生年金と労働者災害保障保険と障害基礎年金では給付の格差が大きい。給付の対象者を所得保障の必要度に変更して受給者の範囲や等級に生かすべき。
  • 就労による所得の確保について
    最低賃金が適用され平均給与の7〜8割を目処に障害にかかる費用の上乗せをする制度が望ましい。賃金が得られないための所得保障と障害による特別出資の補てんの区別を明確にするべき。
  • 制度そのものの課題について
    所得保障全体を再検討し給付水準の引上げが必要不可欠。地域で自立するための所得保障の仕組みがない。現物給付か手当支給かその併用かを整理するべき。税制の在り方を含め社会保険方式と社会扶助方式の統合等を抜本的に検討するべき。

(2.障害者権利条約はすべての障害のある人が地域で暮らすことができるようにすることを目指しているが、こうした観点から、どのような仕組みでどの程度の所得を保障するべきなのか。…主な書面意見(18名)

  • 仕組みについて
    障害基礎年金の引上げ、家賃補助、医療費補助を組み合わせ、家賃やアパートの助成の仕組みも検討するべき。すべての人対象のベーシックインカムを構築するべき。就労による所得保障をし、保護雇用制度の創設、特別障害者手当額の増額をするべき。
  • 所得保障の水準について
    生活保護法の基準を下回るべきではない。生活保護の水準まで引き上げるべき。同世代の市民と同等の生活の基礎を補う経済水準にまで引き上げるべき。障害ゆえに必要となる支出を勘案し生活保護給付レベル以上の水準であるべき。社会参加手当も加えるべき。障害ゆえの追加費用の指標をつくることは難しい。

障害基礎年金について

(1.現在の障害基礎年金の水準は生活保護基準にも満たないとして、改善を求める声が従前より上がっている。また、障害基礎年金2級の支給額を1級に、1級をそれ以上に引き上げるべきとの意見もある。以上のことを踏まえて、障害基礎年金の水準についてのご意見を賜りたい。なお、障害基礎年金は老齢基礎年金の早期支給とみなしているため、障害基礎年金2級が老齢基礎年金と同額になっていることも、念頭におかれたい。…主な書面意見(18名)

  • 障害のみ個別に議論するべき(多数)。障害だけを取り出さず、全体の中で議論するべき。老齢基礎年金自体から切り離すべき。セーフティーネットとしての年金制度を構築するべき。日常生活の困難性と稼働能力の不十分さに対する保障をするべき。障害者基礎年金2級の額を生活扶助基本生計額に障害者加算を加えた額に引き上げるべき。老齢基礎年金を含め給付水準を上げる。

無年金障害者について

(1.現在の障害基礎年金は、以下のような要因で無年金となる「谷間の障害者」を生み出している。

 ・国民年金の任意加入時に学生、主婦が障害を負った場合。
 ・日本国籍をもたない人が障害を負った場合。
 ・海外に居住している日本人が障害を負って帰国した場合。
 ・所得保障による支援が必要であるにもかかわらず、障害等級が低い等のために年金が支給されない場合。
 ・保険料を未納としていたため、あるいは保険に未加入であったために年金を受けることができない場合。

このような現状についてのご意見を伺いたい。…主な書面意見(18名)

  • 他に無年金になる原因として、初診日の問題があり、認定は障害が発生した日にするべき(多数)。知的障害は、地域によって医師の認定が異なる。就労によって、年金の支給停止、減額される。無年金については、理由を問わず年金制度の中に組み入れるべき。年金制度は税金で賄う必要があるのではないか。

(2.無年金障害者の問題を解消するためにはどのような手立てが必要か。…主な書面意見(17名)

  • 制度の仕組みを簡素化し、社会扶助にするのが望ましい。社会保険方式から税方式に改めるべき。財源は全額税金で賄うよう制度設計を行うべき。障害であるか否かにかかわらず、勤労所得が最低生活水準に満たないすべての者に対応する基礎的、普遍的な、ベーシックインカムの考え方を取入れる方がよい。

年金以外の手当について

(1.障害者が地域での生活を安定的に継続するため、または地域生活に移行するために、家賃を保障する「住宅手当」の創設が必要であるとする考え方があるが、このことについてご意見を賜りたい。…主な書面意見(14名)

  • 住宅手当が必要(多数)。国民的な賛同を得られるかは、疑問を感じる。住宅手当に、民間からの借上方式、もしくは住宅斡旋などのサポートを含むべき。グループホーム、ケアホーム以外にも借家、アパートの家賃補助も対象にするべき。障害に限らず、低所得を対象にした仕組みとして、高齢者、ひとり親を対象にするべき。

(2.障害ゆえに特別に必要とする経費を補うためにどのような手当が必要だと考えられるか。…主な書面意見(15名)

  • 手当はサービスで支給されるべき。まず、現行の制度の対象者、支給要件、額を見直すべき。障害に伴う特別出費の現状を明らかにし、追加的に必要とされるのはどの程度か、評価基準ガイドラインを当事者参画の委員会で話し合うべき。基本的給付に含めるべき金額と単独給付に分ける構えが必要。具体的に必要な手当としては、地域自立手当、ヘルパー対応にかかわる暖房費、上下水道、消耗品費、社会参加手当、コミュニケーション保障、特別職に関する手当、移動に係る経費等。

財源について

(1.所得保障を拡充するための財源について、ご意見を賜りたい。…主な書面意見(15名)

  • 基本的な考え方として、ベーシックインカム実現に向けた税制改革が必要、コンクリート事業等の公共事業や防衛費等の支出を削り社会保障費を優先する施策が必要、税制改革が不可欠。消費税を財源に制度改革するならば、福祉の充実を目的に、障害者への所得保障も年金の加算項目として制度化するべき。所得税については、累進率のアップ、株式投資や家賃収入からの課税強化等や、1990年代の負担に戻すべき。財源論として、租税一般を財源とし課税単位を世帯から個人単位化するなど課税ベースを広げる税制の改革が必要、拠出性の社会保険方式ではなく税金で賄うべき。

その他

  • ベーシックインカムや就労による所得保障が重要、これから 入所施設から でてくる 仲間たちは しょうがいきそねんきん だけで ちいきで へやを かりて ひとりぐらしや グループホームで せいかつ することは むずかしい(8名)。
  • (発言)障害手帳所持者に所得保障が必要という議論は、全体の理解を得られない。格差社会で、生活保護を受けることができない、生活保護水準以下の所得しかない人たちが多いという最近の調査もあり、人権を保障される生活をどのように確保するかという観点からの議論が必要。当面の策を講じるという考え方は辞めるべき。
  • (発言)全国精神障害者ネットワーク協議会の調査で、最低必要なのは12.7万円と出ている。22万以上という方もいるが、平均をみると、生活保護を上回っている。
  • (発言)年金制度、特に障害に関しては、矛盾がある。稼働所得が収入だという労働に対する考え方があり、概念を変えないといけない。国民全体に一律年金保障し、個別の問題については個別に考えていくという制度設計が必要ではないか。
  • (発言)障害基礎年金の給付水準の根拠を点検するべき。1986年頃に全国消費実態調査の65歳以上の単身、無業の高齢者の月々の基礎的消費支出を基に5万円にした。多くの65歳以上のお年寄りは持ち家で家賃がほとんどかからないが、障害者の場合は、若くて、社会参加にお金が必要。障害者の生活を当面支え、それ以外の国民の最低生活費を保障するようなベーシックインカムにつなげる戦略が必要。
  • (発言)国籍条項を理由にした無年金者が救済措置からも除外をされている差別を早急に是正するべき。現在49歳以上の場合、二次障害等の心配もある。制度設計にあたっては、障害ゆえに必要な特別な支出がどの程度あるのかという基礎調査が必要。
  • (発言)精神障害者は、無年金障害者が多いというデータがある。初診と発病にかなり時間があると、初診日の証明が取れないことがある。初診のカルテが無いとか、初診日認定ができずに受給資格が取れない場合、発病を初診として見直すべき。この他、いわゆる神経系の強迫障害、不安障害が年金受給の対象外になっている。また、週2〜3回のアルバイト程度でも就労できるということで年金がカットされる。月3〜4万で地域生活は無理。救済措置も考えて欲しい。
  • (発言)1万とか2万ならば、自分でお金を使うことは十分できるが、金額が大きい場合に支援が必要で、成年後見しかないという問題がある。成年後見は意義もあるが、政治参加も含めて無権利になってしまう。成年後見の功罪も含めて、検証が必要。
  • (発言)成年後見もいいと思うが、そこまで行かない人たちもある。複雑な成年後見なので、なかなか入りきれない。自分のお金のことをもう少し知っていくべきで、障害者基礎年金のことも含めて、仲間たち、親も含めて、どういうお金なのかということも、教えてくれる支援が必要。

議事 交通アクセス、建物の利用


1 基本的な考え方

(移動や建物を含む諸設備の利用の権利について、障害者基本法等に明文を置くことの是非について、ご意見を賜りたい。…主な書面意見

  • 基本法に明文化するべき(19名、ほぼ全員が同趣旨)。交通基本法との整合性に配慮するべき。身体障害だけでなく知的・発達障害の負担も軽減するべき。差別禁止法にも明文をおくべき。移動の権利として明記するべき。普通の市民が行う活動に障害者も希望すれば参加できる移動権・居住権を含む利用権、アクセス権の保障が大切。

2 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下、バリアフリー新法)」のについて

(旧法も含めてバリアフリー新法が果たして来た役割の中で、積極的に評価するべき点について、ご意見を賜りたい。…主な書面意見

  • 一定の評価ができる(18名、ほぼ全員が同趣旨)。バリアフリーの取組みが広がり障害者の生活に好影響を与えた、配慮するべき障害の範囲が広がった、バリアフリーの基本計画を市町村が定める際に当事者が参画できるようになった、数値目標を定め整備を進めてきた、バリアフリーを社会全体が取り組むべき責務として明記した。課題としては、知的・発達障害のある人へ配慮した移動等の円滑化は手付かず、地域間格差が広がった、整備ガイドラインが努力目標となっている、聴覚障害にかかわる規定が少ない、精神障害者の手帳所持者への交通費減免がされない、電光掲示板に緊急情報の提供がされておらず聴覚障害者に的確に情報を伝える体制を整備するべき。

(地方都市、農村における輸送機関の縮小やバリアフリー整備の遅れは、障害者及び高齢者の生活に与える影響が大きい。現行法適用対象外の既存建物、既存交通施設の段階的変更と支援策についてどう考えるか。…主な書面意見

  • 対象建築物の規模が大きすぎる。2010年までにバリアフリー化を図る駅は1日の乗客数が5000人以上の駅となっているがすべてを対象とするべき。地域間格差を是正するために地方や農村の既存施設・交通機関への助成を実施するべき。地方都市・農村部に適合したバリアフリー化整備基準の創設及び目標数値と期限の設定をするべき。現行法適用対象以外の建物や交通施設も改善を促すための財政の仕組みを充実するべき。家から目的地までの連続した移動を確保するためにドアツードアの移動手段などで移動の権利を確保するべき。既存の施設も緊急度の高いものから改善するべき(15名)。

(地域間格差を埋めるために、「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準」等の各種基準をどのように策定し、個人にとって必要となる合理的配慮が提供されるような仕組みを構築するべきか。…主な書面意見

  • 国の基準は最低基準であり地域の実情に応じた基準を条例で補強するべき。各種基準を細分化し事業者の義務化を強化するべき。個人にとって必要な合理的配慮は各種基準で一律にはできないため、基準の谷間に漏れる人の声をいかに拾うかが大切。地方で高齢者や障害者が円滑に移動するためにコミュニティバスや移動支援の公的保障が必要。交通インフラは地域間格差を前提として基準を設定せざるを得ない(16名)。

(同法25条により策定される市町村の重点整備地区の基本計画の義務付け、ならびに障害者の参画について、ご意見があれば賜りたい。…主な書面意見

  • 重点整備地区の基本計画策定、協議会の設置、策定からモニタリングまで当事者の参画を義務付けるべき(多数)。移動制約者は重点整備地域だけで生活しているのではない。当事者の参画にあたり、人選の公開と公平性が重要。障害者をバリアフリーアドバイザーとして養成し雇用につなげる。当該基本計画と地域福祉計画や障害者計画などとの整合性を確保する。モデル的整備は地域住民の障害理解の促進につながる。基本計画に精神障害者への配慮を位置づける。基本計画に対する監視・評価のメカニズムがないから必要(17名)。

(障害者の権利に関する条約9条1項は、「施設及びサービス利用等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃する」ための適切な措置をとることを規定している。一方で、乗車拒否、利用拒否があることを鑑み、実態調査を行い、改善をはかる仕組みについて、ご意見を賜りたい。…主な書面意見

  • 乗車拒否や利用拒否に関する実態調査は必要(18名、ほぼ全員が同趣旨)。同時に、乗車拒否などについての相談や救済、協議、監視機関等が必要(多数)。当事者を半数以上とする委員会で関連省庁において相互に情報交換しながら対策などを協議し結果を公表する。乗車拒否は直接差別だから社会的制裁をするべき。実態調査は乗車拒否や利用拒否に限定せず、差別事例を広く集める。音声や墨字情報だけでは必要な情報を入手できない。関係者への研修の実態調査をするべき。

(その他…主な書面意見

  • 公共施設や交通機関での絵文字や記号による案内が統一されていないため、知的障害者を混乱させることがある。交通事業者の従業員の(障害やバリアフリーについての)教育が進んでいない。公営住宅をはじめ住宅のバリアフリーは急務。乗り物の行き先や切符の買い方が分からない。バスで療育手帳をみせたら「これはなんですか?」と聞かれた。航空会社スタッフの研修は不十分。航空機搭乗時の診断書提出は見直するべき。日本の住宅のアクセシビリティは低い。一定規模以上の共同住宅など、バリアフリーを義務づけるべき。建物には、情報やコミュニケーション保障のために必要な設備・機器が設置できるようあらゆる障害者のために考慮される必要がある(11名)。
  • (発言)障害者個人に合わせた合理的配慮と、権利条約のアクセシビリティやバリアフリーとは全く違う。個人に合わせた合理的配慮は過剰な負担という免責条項が出てくるが、不特定多数の方が利用する移動などは免責条項があってはいけない。中学校が段差があるといって車椅子を利用する女子の入学を拒否したが、人権侵害。
  • (発言)地域格差は大きな問題。資金の流れ方が原因。地方が交通機関を整備する場合は、国がお金をつけるべき。地方にはエレベータのない駅や建物がたくさんある。
  • (発言)交通アクセス、建物の利用を障害者に焦点を当てて整備した結果、高齢者や多くの人が利用できるというインクルーシブな開発につながっている。情報アクセスについて、最低基準及び指針の策定には当事者参画を義務づけるべき。
  • (発言)国際協力でもアクセシビリティを十分に配慮する必要がある。
  • (発言)バリアフリー新法はハード面の整備が中心。情報アクセスに関して努力義務のままで進展がない。情報に関する専門家と当事者を交えて議論する必要がある。事故や災害、地震、台風等々の非常時に弱者である障害者がどのように避難できるのかも問われている。緊急災害に対応するシステムを聴覚障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者などすべての障害者が利用できる体制についての議論も必要。
  • (発言)移動制約者と言う時に身体障害の方々を中心に考えている部分があるので、知的障害や発達障害の方々への配慮が必要。
  • (発言)アクセスという文言は概念がまだ固まっていないので、あえて翻訳する必要はないのでは。基本法ではアクセスそのものが人権ということを明らかにするべき。
  • (発言)交通でもわかりやすく説明する支援が必要。全国一緒のお金にするなど、交通機関は同じことをしてほしい。
  • (発言)障害者は、特に単独で公共交通機関を利用する時、危険ということで拒否されることがある。建物についても、火災が起こったら危ないなどの理由で障害者団体や障害者個人は拒否されることがある。対策のためにも基本法や差別禁止法などの関連法律を整備する必要がある。

議事 情報へのアクセス


1 情報へのアクセスの基本的な考え方

(障害者の権利条約第21条が明記している表現の自由、知る権利、平等に情報サービスを受ける権利について、障害者基本法等に明文化することについて、ご意見を賜りたい。…主な書面意見

  • 明文化が必要(20名、ほぼ全員が同趣旨)。我が国は、世界をリードする技術基準をいち早く整備し、ユニバーサルデザインによる優れた携帯電話やデジタルテレビ放送の字幕対応、または障害者のための支援機器も多数開発している。しかし、政府調達においても、障害者の差別禁止という点でも、強制力のある法制度や政策がなく、技術はあっても普及せず、利用できない状況。

2 情報アクセスとサービスに関する法制化について

(いわゆる「バリアフリー新法」(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)における基準の設定や基本計画の策定と同様に、情報アクセス分野のバリアフリー化を総合的に推進する法制化が必要であるかどうか。…主な書面意見

  • 独立した法制度にするべきか、他の法律の中に書き込むべきかは議論がわかれるが、何らかの法制度が必要である(19名、ほぼ全員が同趣旨)。

(情報アクセス(例えばテレビ放送における手話や字幕、電話リレーサービスなど)の最低基準及び指針の必要性についてどのように考えるか。…主な書面意見

  • 最低基準、指針の必要性がある(20名、ほぼ全員が同趣旨)。

(情報アクセスのバリアフリー化に向けた最低基準及び指針の策定においては、どのような事項に留意することが必要か、とくに当事者の参画はどのようにあるべきか。…主な書面意見

  • 当事者参画の必要性、重要性がある(多数)。最低基準及び指針の策定だけではなくモニタリングに関する仕組みが必要、海外を含めた先進事例を基にガイドラインを作成することや、費用負担の問題の検討が不可欠。

3 情報アクセスとサービスの実施にあたって

(情報アクセスのバリアフリー化に向けた最低基準及び指針の実施において、その実施状況に対する監視を行い、必要に応じて改善を図ることができる仕組みについて、ご意見を賜りたい。…主な書面意見

  • 仕組みが必要、もしくは重要(18名、ほぼ全員が同趣旨)。情報コミュニケーションを保障する法律に当事者参画の下でのモニタリングの監視を盛り込むべき(多数)。慎重論、既存の仕組みの活用。

4 著作権について

(情報アクセスと著作権についてどのように考えるか。…主な書面意見

  • わかりやすい形での情報の提供が必要。著作権法自体の、権利制限の一般規定、フェアユース規定(公正な使用)において、障害者が利用する場合の制限にならないようにする。情報アクセスと著作権はぶつかり合わないので、アクセス可能な形態への変更自体は自由にするべき。著作権自体に、情報提供の義務づけが必要。著作物利用の一般条項を設け、必要な変形を容易にする制度を設けるべき。情報アクセスへの権利を著作権で制限する構造となっており、制限をどう外していくかが課題。

5 その他

  • 情報という場合には、コミュニケーションとセットで議論するべき。知的の仲間たちにとってわかりやすい情報と、情報を得ていく上で必要とする具体的な配慮や情報を伝える支援サービスが必要(12名)。
  • (発言)聴覚に障害のある人が緊急を要して通訳者に頼んで電話をかけた場合、例えば、銀行のキャッシュカードを紛失し、聴覚障害者の人が男性で通訳する人が女性だと、オペレーターから本人と認められない。通訳者であれば認めてほしい。確認の方法は、当事者も含めて議論が必要。
  • (発言)聴覚、視覚、盲ろう重複について情報アクセスに関する特別規定を基本法へ設けるべき。代筆代読の保障や、通訳・介助者の身分保証の方法は課題だが、障害のある人に対する情報の利用を解決する制度を設けるべき。著作物の利用を拒むことは著作権法の本質に反する。読書へのアクセスを読書バリアフリー法といった考え方で整理するべき。弱視の方、高齢者にも重要。
  • (発言)それぞれの市や町や村でどう実現できるかが大事。障害を理由に、いかに不便なことがあるか、まず具体例を知るべき。市町村に条例ができ、皆さんが地域で不便さを解決していくには、トップダウンとボトムアップの両方大事。
  • (発言)「コミュニケーション」は情報と分けて、定義の整理を。読む権利、話す権利、聞く権利、見る権利を保障するために点字、手話、文字がある。デジタル放送で手話通訳を入れる技術的機能がマニュアル化されておらず何年たっても技術的に難しいとされているので、早急な解決を。著作権や知的財産権を含め、まず著作物にアクセスできなければ著作物の存在をつかめない。著作物の存在をつかめない相手に著作権が行使できるのか?先ずはアクセス権の整理を。
  • (発言)知的障害のある御本人に権利条約をわかりやすく伝える本をつくったが、高齢者や子どもにとってもわかりやすいのではないか。テキストデータでも提供し、ほかの障害の方も利用できる配慮をしている。また新聞「ステージ」の編集には御本人が参画している。わかりやすい形で伝えることが大切。
  • (発言)アメリカでは教育省が子どもや知的障害者のための教育として字幕を普及しており、字幕つき教材の教育効果が確かめられている。子ども用のビデオ素材や番組に字幕をつけてほしい。放送大学の字幕も100%ではなく、NHK教育も子どもの見る時間帯に字幕はない。字幕の教育効果を文部科学省も把握してほしい。
  • (発言)特定の障害のある人たちを対象に、さまざまなことを変えていくことが社会全般にとってプラスになっていく。社会的な障壁を解消していくために、財政的にも無駄なく、有効的な政策にたどり着く一番の近道として当事者参画がかぎ。
  • (発言)情報バリアフリー的なものを設けようという議論の際に、日本語が十分理解できないで困っている外国人などを含めた総合的な情報バリアフリー、コミュニケーション保障的な法律にすることも是非検討されていいのではないか。
  • (発言)情報の問題は、当事者にとっては生存権の基本。立法的な措置で固める必要性については大体一致。同時にコミュニケーションの概念を深めていく。その他、関係審議会等への当事者参画、または、個人情報保護の観点と障害当事者の情報保障の統一性あるいはそれを超えた次元での権利保障や、著作権と情報保障双方を乗り越えた権利としての情報保障と、今後詰める必要がある。

議事 障害者施策の予算確保に向けた課題等


1 障害者予算の意義について

(日本の障害者関係の公的支出(対GDP比)がOECD諸国の中でも低水準であるというデータもあることを踏まえて、障害者施策に財政を投入することの社会的意義や経済的効果についてご意見を賜りたい。…主な書面意見

  • 障害者予算は社会的、経済的に意義がある(18名、ほぼ全員が同趣旨)。予算を増やすべき(多数)。意義として、安定した社会や経済の形成といった新たな産業や雇用の創出、重度訪問介護は雇用対策として優れている、重度者施策は福祉・労働・教育・まちづくりなどさまざまな分野にわたるので効果が大きい、社会の安定に寄与し社会の持続可能性を高める、将来の社会的総負担を減らす、障害者の視点に立った施策はユニバーサル社会につながる。

(財政措置の水準は広い国民的な合意・理解・支援があるかどうかによって左右されるといわれ、国でも自治体でも障害者施策への予算配分の強化には国民の障害者理解の程度が大きな意味を持つ。この点で、障害者理解を広げ高める取り組みの改善についてどう考えるか。…主な書面意見

  • 国民への理解を広げる必要がある(18名、ほぼ全員が同趣旨)。社会保障全般との関連の中で理解を求めることが大事。生活空間に障害のある人が生活し、自然に触れ合うことで理解が促進される。社会モデルへ転換するための研修プログラムの開発が必要。高齢者も障害者福祉サービスが使えると国民の理解は得られるのではないか。啓発活動は障害当事者団体を中心に企画、運営するのが望ましく、国や地方公共団体は財政支援を行うべき。推進会議の中間報告がまとまった段階でタウンミーティングを展開してはどうか。

2 国と地方の財政負担について

(スウェーデンでは個人が福祉サービスを利用した場合の費用を一定額までは地方が負担し、それを超える場合は国が負担するという仕組みを導入することで、長時間介護が必要な場合も必要なだけの支援を受けることができるようにしている。わが国において、地域間格差があるという現状を改善する上で、障害者施策に関する国と地方の財政負担の在り方はどうあるべきか。…主な書面意見

  • 地域間格差をなくすという方向で進めるべき(17名、ほぼ全員が同趣旨)すべてを義務的経費化することは望ましくない。国庫負担基準の範囲内ではなく、要した費用の2分の1を国が4分の1を都道府県が負担する真の義務的経費化が必要。地域間格差を解消するために国と自治体とで財政負担を分け合い均等化するべき。人権にかかわる問題はある程度国が責任と財源をもって地方自治体を指導していく必要がある。障害者の福祉サービスをどう普及させるかを出発点に国と地方の在り方全体を考えるような検討が必要。国庫負担基準という縛りをなくし本来必要なサービスについては国の責任で財政負担することが地域間格差解消に不可欠。基本的な福祉サービスの経費は国で、それ以外のメニューは地方自治体の特徴を出せるようにするべき。

3 障害者施策の予算確保について

(障害者施策の予算を確保するために、地域基盤整備の施策項目と達成期間を定めた総合的な福祉計画を、財源を明らかにした上で定めるべきという考え方について、ご意見を賜りたい。…主な書面意見

  • 財源を明らかにした上で、施策項目と達成期間を定めた総合的な福祉計画を定めることに賛成(14名、ほぼ全員が同趣旨)。脱施設化のための時限立法を設けて、順次地域生活に移行するような仕組みをつくることが必要。予算確保の基準として、権利条約における平等な地域生活と、OECD30か国の中での公的支出の引き上げの2点。

4 その他

  • 所得保障の議論で出た消費税の問題について反対意見など(8名)。
  • (発言)OECDでは、政策分野別に定義を決め、定義に合った支出をまとめている。地方自治体も含めその国で費やされた政策に対する支出をまとめることになっているが、行政上に準備されている統計がどこまで整備されているか国による。
  • (発言)障害者施策の予算が、全省庁の所管するもの全体なら、どうやって把握できるのか。把握できないと、OECDとの比較ができない。障害者施策、政策にかかわる予算をある程度把握していかないと、今後の詰めの議論が進みにくいのでは。
  • (発言)OECDについて、ハビリテーションサービスは医療でも福祉でもやっているので、どう区分けするのかとか、日本で障害者施策というと障害者雇用が入っているが、OECDでは除いているとか、精査しないといけない。
  • (発言)社会保障政策費を諸外国と比べるとき、その国の福祉の構造と結びつけて考えるべき。例えば、スウェーデンでは、福祉サービスのような、特に介護等は第1次的には自治体の責任で、公的扶助は国の支出となり、位置づけが違う。また、日本の消費税で目的税化すれば、障害者施策予算を確保できるというのは大きな誤解を招く。北欧などで、いわゆる直接税と間接税の比率の関係が日本とは発想が違う。
  • (発言)OECDでの日本の低い水準を大きく伸ばすべき。去年の民主党マニフェスト改革17項目のその15「障がい関係予算に数値目標を定めます」を政府方針として示してほしい。推進会議の中間まとめを市民へ広報してほしい。市町村の4分の1負担や国庫負担基準の超過負担を緩和する仕組み、地域生活の予算中心の基盤整備が進む仕掛け、サービスの地域間格差を埋める基盤整備や脱施設化を進める時限立法のような仕組みが必要。
  • (発言)OECDのデータで日本が低い理由は、これまで保護者、家族に依存していたから。精神保健福祉法の保護者制度は典型例。社会的なケアへ変えない限り、仕組みは変わらない。障害を持っている方の普通に社会へ参加、参画する権利性がなかったことも理由。障害者の権利に関する基本法と、障害者の参加、参画を保障する、あるいはサービスの受給権を明確にした障害者の総合福祉法を制定したい。
  • (発言)精神科医療費の入院医療費1兆4,535億を地域へ出せば、脱病院となる。社会的入院が減るし、地域移行できる。皆さん、ハッピーで、元気になって、財政的には余裕が出る。精神障害のことを担保してほしい。国が予算をすべて縛るのではなく福祉の領域で使う予算と地方の裁量権を大きくすることが大事。
  • (発言)オーナーシップは、障害者が中心ということ。推進会議もそういう枠組み。障害者や、障害者の関係者だけが勝手にやっている政策立案という批判を避けるために、いわゆる障害者関係のところとうまく協力をしていくことがパートナーシップ。私たちが持っている専門性や経験を積極的に他の分野の人たちに協力を求めていく姿勢が、推進会議の枠組みが機能することを証明するためにも必要。
  • (発言)1つの手法として消費税について議論するべき。消費税の逆進性をどう緩和して、日本に導入していくか、福祉目的税としてどう使っていくかは重要。将来的には消費税10〜25%を視野に入れ、社会保障全体の財源をどう確保するかが重要。今後、社会保障分野に投資することこそ日本の公共投資と概念を変えていくべき。
  • (発言)日本の場合、所得保障や生活保障を重視し、圧倒的に消極的な政策にお金を費やしている。働きやすい環境づくりという点では非常に少ない。働けない人への所得保障と合わせて、働きやすい環境整備に予算をつけることも検討するべき。
  • (発言)予算が非常に少なく、障害者が一部の人たちの問題となっているが、いつだれがそうなるかわからないので、国民のためにも理解を広げるべき。地方自治体に財源を与えることが必要。地域生活支援事業を義務的経費に移してほしい。
  • (発言)増税イコール消費税イコール目的税には反対。違う財源を見つけてほしい。税収の上がっている地域に国があげるお金は少なく、税収の上がっていない地域に多くても仕方ない。ナショナルミニマム達成に国が果たすべき役割は大きい。
  • (発言)全体を通して、意識するべきは、地域、地方の格差が大きいという問題。特に、沖縄の離島、半島、過疎などは、都会で論じているのとは質が違う。それから、無年金問題や、精神科病院などでの社会的入院などは一刻を争う問題。

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