資料6 内閣府 障害者差別解消法の見直し検討におけるヒアリング 2020年10月 一般社団法人日本筋ジストロフィー協会代表理事 貝谷久宣 p1 1 公立の学校による生徒への合理的配慮の徹底 普通学校教育における差別的な取扱いが、約2,500名の会員に意見を募ったところ最も多く寄せられた。特に校外学習を親の同行を参加の条件とする事例が目立った。親から離れることが教育目的の一環でのはずであるのに矛盾している。 長年にわたる重度肢体不自由児の特別支援教育の歴史から、関係者の意識がそちらへの誘導になりがちであること、また普通学校では受け入れのバリアフリー設備が整っていないため、改善に向けて関係者の大きな努力が必要と思われる。 協議会等を設置して教職員、関係者の研修の徹底、必要な教職員の配置、施設の改変、自治体へ教育における合理的配慮の予算確保するよう通達の強化を提言したい。 【会員から寄せられた不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供の事例】 校外学習への介添え者不提供(親の同行を参加の条件に) 事故の危険性を理由にした遊具の使用禁止 介護時の事故による学校の損害賠償責任を回避するため、介護の不提供 介護の必要性を理由に学童保育の利用制限 生徒のリハビリの必要性を理由としたエレベーターの使用制限 体育科目における見学。体育授業の不提供 2 国庫補助金を受けている事業者について合理的配慮の義務化 事業者の合理的配慮の不提供の事例は、ほぼ公共性の高い国庫補助金を使用している企業、団体に限られた。逆にボランティア団体や障害者団体が規制の対象となるのは不合理であるという意見もあった。障害者差別解消法施行後3年の段階では、米国の1973年リハビリテーション法504条(連邦政府の補助金)と同じように自治体の補助金は除いた形で十分ではないかという提言である。 障がい者コーディネーターの配置による窓口や自宅での相談体制を強化、障がい者相談員を活用するなど合理的配慮に欠ける事例を蓄積することも必要である。 【会員から寄せられた不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供の事例】 職場(病院)における合理的配慮(バリアフリートイレ、介護委嘱職員)の不提供 人工呼吸器使用、障がいの程度を理由としたデイサービス拒否 既存大規模商業施設、新規の商業施設における合理的配慮の不提供 磁器タイルや磨き大理石の床は滑るマットの未敷設 p2 フレイル歩行のバス利用者に対してニーリング(傾車)が都度不実行 車いす不使用を利用としたバスのスロープの提供拒否 公共交通機関である都市間バスは新規車両であっても車いす配慮されていない 車いすタクシーを依頼しても車両及び運転手の不足のため受付拒否。乗車拒否 宿泊施設の予約方法や料金設定が不公平である 3 デジタル化 (特に障害者手帳の電子化) 促進を法文に明記 行政においては、オンライン申請化を推進し未手続者の減少を図る必要があると考える。 また、障害者手帳の頻繁な提示の度に、病名や症状、障がいの程度、居住地など個人情報を窓口の職員に見せるのは個人情報保護の観点から見ても、障害者差別禁止条約の趣旨からしても著しい不条理である。 一般のオンラインチケット決済サービスが障がい者割引で利用できないのは、悪用や誤用防止のためだというのが理由(電子化により防げる)だが、移動困難な筋ジストロフィー者にとって、さらなる大きな格差を感じる。公共性の高い事業者は、一般並みのサービスを提供すべきである。 デジタル庁創設の動きがあり、マイナンバーカード使用が促進されている今、最も必要な人が優先的に恩恵をうけられるように(米リハ法508の趣旨)、優先的に促進されるべきである。 【会員から寄せられた不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供の事例】 官公庁の手続き業務の多くが窓口での手続き(障害者手帳の提示義務が一要因)が必要で外出困難な人の障壁となっている。 大手鉄道会社は長距離移動の際、窓口に行かないと障がい者割引の乗車券が買えない