p表紙 障害者施策の動向 障害者差別解消法と基本方針について 内閣府 政策統括官(共生社会政策担当)付障害者施策担当 p1 〜本日の講演の流れ〜 1障害者差別解消法の概要 2障害者差別解消に関する基本方針の概要 3障害者差別解消法の内容〜基本方針に沿って〜 p2 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法<平成25年法律第65号>)の概要 障害者基本法第4条 基本原則差別の禁止 第1項:障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止  何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 第2項:社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止  社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 第3項:国による啓発・知識の普及を図るための取組  国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 具体化 T.差別を解消するための措置 不当な差別的取扱いの禁止 国・地方公共団体等、事業者→法的義務 合理的配慮の提供 国・地方公共団体等→法的義務 事業者→努力義務 具体的な対応 (1)政府全体の方針として、差別の解消の推進に関する基本方針を策定(閣議決定) (2)国・地方公共団体等→当該機関における取組に関する対応要領を策定(※地方の策定は努力義務) 事業者→主務大臣が事業分野別の対応指針(ガイドライン)を策定 実効性の確保 ●主務大臣による事業者に対する報告徴収、助言、指導、勧告 U.差別を解消するための支援措置 相談・紛争解決 ●相談・紛争解決の体制整備→既存の相談・紛争解決の制度の活用、充実 地域における連携 ●障害者差別解消支援地域協議会における関係機関等の連携 啓発活動 ●普及・啓発活動の実施 情報収集等 ●国内外における差別及び差別の解消に向けた取組に関わる情報の収集、整理及び提供 施行日:平成28年4月1日(施行後3年を目途に必要な見直し検討) p3 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針について 基本方針の位置づけ  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第6条第1項の規定に基づき定められるものであり、障害者差別解消に関する政府の施策を総合的かつ一体的に実施するための基本的な考え方を示すもの。 【作成主体】政府(閣議決定) 【作成手続】障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。 ○基本方針の策定に当たり、障害者政策委員会を11回開催  障害者政策委員会において、障害者団体及び事業者団体等からヒアリングを実施 *障害者団体:17団体(政策委員会の委員が所属している団体を除く) *事業者団体等:22団体 p4 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(概要) 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 1.法制定の背景 2.基本的な考え方 (1)法の考え方 (2)基本方針と対応要領・対応指針との関係 (3)条例との関係 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項 1.法の対象範囲 (1)障害者 (2)事業者 (3)対象分野 2.不当な差別的取扱い (1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方 (2)正当な理由の判断の視点 3.合理的配慮 (1) 合理的配慮の基本的な考え方 (2) 過重な負担の基本的な考え方 第3,4 行政機関等/事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 1.基本的な考え方 2.対応要領/対応指針 (1)対応要領/対応指針の位置付け及び作成手続き (2)対応要領/対応指針の記載事項 3.地方公共団体等における対応要領に関する事項【※対応要領のみ】 3´主務大臣による行政措置【※対応指針のみ】 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 1.環境の整備 2.相談及び紛争の防止等のための体制の整備 3.啓発活動 (1)行政機関等における職員に対する研修 (2)事業者における研修 (3)地域住民等に対する啓発活動 4.障害者差別解消支援地域協議会 (1)趣旨 (2)期待される役割 5.差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項 (1)情報の収集、整理及び提供 (2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等 p5 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向(その1) 1.法制定の背景  近年、障害者の権利擁護に向けた取組が国際的に進展。我が国は、平成19年に「障害者の権利に関する条約」に署名し、以来、国内法の整備を始めとする障害者施策に係る取組を進めてきた。  平成23年の「障害者基本法」改正の際には、権利条約の趣旨を踏まえ、基本原則として差別の禁止が規定され、平成25年6月に同規定を具体化するものとして、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が制定された。 障害者施策に係る主な取組 ・平成18年12月 第61回国連総会において障害者権利条約を採択 ・平成19年9月 我が国による障害者権利条約への署名 ・平成23年6月 障害者虐待防止法成立 8月 障害者基本法改正 ※「差別の禁止」を基本原則として規定 ・平成24年6月 障害者総合支援法の制定、障害者優先調達推進法成立 ・平成25年6月 障害者差別解消法成立  ※改正障害者基本法における「差別の禁止」の基本原則を具体化 障害者雇用促進法改正(雇用の分野における障害者差別を禁止) ・平成25年9月 第3次障害者基本計画を閣議決定 ・平成26年1月 我が国による障害者権利条約の締結 ・平成27年2月 障害者差別解消に関する基本方針を閣議決定 p6 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向(その2) 2.基本的な考え方 (1)法の考え方  共生社会を実現するためには、障害者の社会的障壁を取り除くことが重要。 ・障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定 ・行政機関等及び事業者に対し、差別の解消に向けた具体的取組を求める ・普及啓発活動等を通じて、自発的に取り組むことを促す  既に社会の様々な場面において日常的に実践されている合理的配慮もあり、こうした取組を広く社会に示すことにより、取組の裾野が一層広がることを期待。 (2)基本方針と対応要領・対応指針との関係  基本方針に即して、行政機関等においては、その職員の取組に資するための対応要領(※)を、主務大臣においては、事業者における取組に資するための対応指針を作成。  対応要領及び対応指針は、法に規定された不当な差別的取扱い及び合理的配慮について、具体例も盛り込みながら分かりやすく示しつつ、行政機関等の職員に徹底し、事業者の取組を促進するとともに、広く国民に周知。 ※地方公共団体及び公営企業型以外の地方独立行政法人については努力義務 (3)条例との関係  法の施行後においても、地域の実情に即した既存の条例については引き続き効力を有し、また、新たに制定することも制限されることはない。 p7 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その1) 1.法の対象範囲  障害者…身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁(※?)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの *法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。 ※?「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」で、いわゆる「社会モデル」に基づく障害者の概念を踏まえたもの。  事業者…商業その他の事業を行う者(※?) *目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者であり、したがって、例えば、個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も対象となる。 ※?地方公営企業及び公営企業型地方独立行政法人は事業者として扱われる。  対象分野…日常生活及び社会生活全般に係る分野が広く対象となる(※3) ※3行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、法第13条により、「障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)」の定めるところによる p8 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その2) 2.不当な差別的取扱い(その1) (1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方 @法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。 A障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。 B不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務・事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 p9 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その3) 2.不当な差別的取扱い(その2) (2)正当な理由の判断の視点  正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。    正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(※1)及び行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要。 ※1安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等  なお、本法は、個別の場面における特定の障害者に対する取扱いを対象とするものであり、他の法律により定められる立法内容そのものを対象とするものではない。(※2) ※?平成25年6月5日 衆議院内閣委員会 §正当な理由があると判断した場合の留意事項  行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 p10 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その4) 3.合理的配慮(その1) (1)合理的配慮の基本的な考え方 @本法における合理的配慮は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等及び事業者が、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。 合理的配慮の留意事項 @行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること A障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること B事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと p11 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その5) 3.合理的配慮(その2) (1)合理的配慮の基本的な考え方 A障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。 ※合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。 現時点における一例 ・車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮 ・筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮 ・障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更 など ※内閣府及び関係行政機関は、今後、合理的配慮の具体例を蓄積し、広く国民に提供するものとする。 p12 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その6) 3.合理的配慮(その3) (1)合理的配慮の基本的な考え方 B意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。 意思の表明に係る留意事項  意思の表明には、障害者本人の意思の表明が困難な場合には、家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含まれる。 C各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。 p13 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その7) 3.合理的配慮(その4) (2)過重な負担の基本的な考え方  過重な負担については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。 過重な負担の考慮要素 ○事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) ○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) ○費用・負担の程度 ○事務・事業規模 ○財政・財務状況 p14 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項(その8) 3.合理的配慮(その4) §過重な負担に当たると判断した場合の留意事項  行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 環境の整備との関係  合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。 p15 第3 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項(その1) 1.基本的な考え方  行政機関等においては、その事務・事業の公共性に鑑み、障害者差別の解消に率先して取り組む主体として、不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供が法的義務とされており、国の行政機関の長及び独立行政法人等は、当該機関の職員による取組を確実なものとするため、対応要領を定めることとされている。なお、地方公共団体の機関については、対応要領の作成及び公表は努力義務となる。  行政機関等における差別禁止を確実なものとするためには、差別禁止に係る具体的取組と併せて、相談窓口の明確化、職員の研修・啓発の機会の確保等を徹底することが重要であり、対応要領においてこの旨を明記するものとする。 p16 第3 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項(その2) 2.対応要領  対応要領は、行政機関等が事務・事業を行うに当たり、職員が遵守すべき服務規律の一環として定められる必要があり、国の行政機関であれば、各機関の長が定める訓令等が、また、独立行政法人等については、内部規則の様式に従って定められることが考えられる。 【作成主体】@行政機関等の長及び独立行政法人(訓令等又は内部規則)       A地方公共団体の機関(訓令等)(※) 【作成手続】対応要領の作成に当たっては、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じることが必要。作成後は公表しなければならない。 ※地方公共団体の機関の作成は努力義務。なお、国は、地方公共団体等における対応要領の作成に関し、適時に資料・情報の提供、技術的助言など、所要の支援措置を講ずること等により協力しなければならない。 対応要領記載事項 @趣旨 A障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 B障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 C相談体制の整備 D職員への研修・啓発 p17 第4 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項(その1) 1.基本的な考え方  事業者については、不当な差別的取扱いの禁止が法的義務とされる一方で、事業における障害者との関係が分野・業種・場面・状況によって様々であり、求められる配慮の内容・程度も多種多様であることから、合理的配慮の提供については、努力義務とされている。  このため、各主務大臣は、所掌する分野における対応指針を作成し、事業者は、対応指針を参考として、取組を主体的に進めることが期待される。  主務大臣においては、所掌する分野の特性を踏まえたきめ細かな対応を行うものとする。各事業者における取組については、障害者差別の禁止に係る具体的取組はもとより、相談窓口の整備、事業者の研修・啓発の機会の確保等も重要であり、対応指針の作成に当たっては、この旨を明記するものとする。 §公設民営の施設等における留意事項  公設民営の施設など、行政機関等がその事務・事業の一環として設置・実施し、事業者に運営を委託等している場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。 p18 第4 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項(その2) 2.対応指針  主務大臣は、個別の場面における事業者の適切な対応・判断に資するための対応指針を作成するものとされている。  なお、対応指針は、事業者の適切な判断に資するために作成されるものであり、盛り込まれる合理的配慮の具体例は、事業者に強制する性格のものではなく、また、それだけに限られるものではない。事業者においては、対応指針を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待される。 【作成主体】主務大臣 【作成手続】対応指針の作成に当たっては、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じることが必要。作成後は公表しなければならない。 対応指針記載事項 @趣旨 A障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 B障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 C事業者における相談体制の整備 D事業者における研修・啓発 E国の行政機関(主務大臣)における相談窓口 p19 第4 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項(その3) 3.主務大臣による行政措置  事業者による自主的な取組のみによっては、その適切な履行が確保されず、例えば、事業者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など、主務大臣は、特に必要があると認められるときは、事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができることとされている。 行政措置に関する留意事項 ・事業者に対して、対応指針に係る十分な情報提供を行うこと。 ・事業者からの照会・相談に丁寧に対応するなどの取組を積極的に行うこと。 ・報告徴収、助言、指導により改善を促すことを基本とすること。 ※主務大臣が事業者に対して行った助言、指導及び勧告については、取りまとめて、毎年国会に報告する。 p20 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(その1) 1.環境の整備  法は、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることとしている。 事前的改善措置の例 ・バリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化 ・意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援 ・障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上 など §環境の整備における留意事項  環境の整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれることが重要である。 p21 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(その2) 2.相談及び紛争の防止等のための体制の整備  法は、新たな機関は設置せず、既存の機関等の活用・充実を図ることとしており、国及び地方公共団体においては、相談窓口を明確にするとともに、相談や紛争解決などに対応する職員の業務の明確化・専門性の向上などを図ることにより、障害者差別の解消の推進に資する体制を整備するものとする。 障害者に関する既存の相談窓口等  福祉事務所、地方公共団体の担当部局、保健所、教育委員会、法務局・地方法務局,都道府県労働局、公共職業安定所(ハローワーク)、児童相談所、基幹相談支援センター、都道府県障害者権利擁護センター、市町村障害者虐待防止センター 等 ※必ずしも差別に関する相談を行っていないものを含む ※内閣府においては、相談及び紛争の防止等に関する機関の情報について収集・整理し、ホームページへの掲載等により情報提供を行うものとする。 p22 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(その3) 3.啓発活動  障害者差別については、国民一人ひとりの障害に関する知識・理解の不足、意識の偏りに起因する面が大きいと考えられることから、内閣府を中心に、関係行政機関と連携して、各種啓発活動に積極的に取り組み、国民各層の障害に関する理解を促進するものとする。 (1)行政機関等における職員に対する研修  行政機関等においては、法の趣旨の周知徹底、障害者から話を聞く機会を設けるなどの各種研修等を実施することにより、職員の障害に関する理解の促進を図るものとする。 (2)事業者における研修  事業者においては、研修等を通じて、法の趣旨の普及を図るとともに、障害に関する理解の促進に努めるものとする。 (3)地域住民等に対する啓発活動  障害者差別が、本人のみならず、その家族等にも深い影響を及ぼすことを、国民一人ひとりが認識するとともに、法の趣旨について理解を深めることが不可欠であり、また、障害者からの働きかけによる建設的対話を通じた相互理解が促進されるよう、障害者も含め、広く周知啓発を行うことが重要である。 ・内閣府を中心に、多様な主体との連携により、周知啓発活動に積極的に取り組むこと。 ・家庭や学校等のあらゆる機会を活用し、障害に関する知識・理解を深める取組を進めること。 ・グループホーム等の認可等に関して、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。 p23 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(その4) 4.障害者差別解消支援地域協議会(その1) (1)趣旨  障害者差別の解消を効果的に推進するため、地域における様々な関係機関が、地域の実情に応じた差別の解消のための取組を主体的に行うネットワークとして、障害者差別解消支援地域協議会を組織することができることとされている。 ※障害者及びその家族の参画について配慮するとともに、性別・年齢、障害種別を考慮して組織することが望ましい。 (2)期待される役割  地域協議会に期待される役割としては、適切な相談窓口を有する機関の紹介、具体的事案の対応例の共有・協議、協議会の構成機関等における調停、斡旋等の様々な取組による紛争解決、複数の機関で紛争解決等に対応することへの後押し等が考えられる。 p24 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(その4) 4.障害者差別解消支援地域協議会(その2) 地域協議会における取組について  関係機関において紛争解決に至った事例、合理的配慮の具体例、相談事案から合理的配慮に係る環境の整備を行うに至った事例などの共有・分析を通じて、構成機関等における業務改善、事案の発生防止のための取組、周知・啓発活動に係る協議等を行うことが期待される。 ※都道府県の協議会においては、市町村の協議会を補完・支援する役割が期待される。  障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業等を通じて、各地方公共団体においてモデル会議を実施し、他の地域の取組の参考としていただく予定。 ※内閣府においては、法施行後における協議会の設置状況等について公表するものとする。 p25 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(その4) 4.障害者差別解消支援地域協議会(その3) (3)組織・運営のイメージ  協議会においては, @ 必要な情報の交換,A 障害者からの相談及び相談事例を踏まえた差別解消のための取組に関する協議,を行う。各構成機関等は,協議の結果に基づき,当該相談事例を踏まえ,差別解消のための取組を実施。  協議会の構成は,地域の実情等を踏まえ,各協議会において判断。また,協議会の庶務は,協議会を構成する地方公共団体において処理。 ※協議会は必ずしも条例設置である必要はない。 イメージ図 国の機関(地方支分部局等) ××支部 ○○局 △△事務所 地方公共団体の機関 保健所 担当部局 福祉事務所 17条2項の構成員 NPO法人(1号構成員) 学識経験者(2号構成員) 事業者A、事業者B(3号構成員) p26 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(その5) 5.差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項 (1)情報の収集、整理及び提供  本法を効果的に運用していくため、内閣府においては、行政機関等による協力や協議会との連携などにより、個人情報の保護等に配慮しつつ、国内における具体例や裁判例等を収集・整理するものとする。あわせて、海外の法制度や差別解消のための取組に係る調査研究等を通じ、権利条約に基づき設置された、障害者の権利に関する委員会を始めとする国際的な動向や情報の集積を図るものとする。 ※障害者白書や内閣府ホームページ等を通じて、広く国民に提供していく予定。 (2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等  法の施行後においては、技術の進展、社会情勢の変化等の動向や、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例の集積等を踏まえるとともに、国際的な動向も勘案しつつ、必要に応じて、基本方針、対応要領及び対応指針を見直し、適時、充実を図るものとする。 ※いわゆる欠格条項についても、各制度の趣旨や社会情勢の変化等を踏まえ、必要な見直しを検討するものとする。  法の施行後3年を経過した時点における法の施行状況に係る検討の際には、障害者政策委員会における障害者基本計画の実施状況に係る監視の結果も踏まえて、基本方針についても併せて所要の検討を行うものとする。