p1   内閣府本府における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(改定案)に関する意見募集の結果について  令和5年9月29日  内閣府大臣官房人事課    内閣府においては、「内閣府本府における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(改定案)」を公表し、広く国民の皆様から御意見を募集いたしました。  提出された御意見について、以下のとおり概要をまとめましたので、お知らせいたします。  なお、御意見の趣旨又は理由が不明なものや、本意見募集の対象となる事項以外の御意見などについては、取り上げておりません。   1.実施方法  (1)募集期間:令和5年7月6日(木)〜令和5年8月4日(金)  (2)意見提出方法:インターネット上の意見募集フォーム、郵送、FAX及び電子メール   2.御意見総数  本改定案の改定内容に係る御意見は11件ございました。   3.御意見の概要及びそれに対する考え方  別紙のとおり(本改正案の改定内容に係る御意見についてのみ)   4.公布・施行日  公布日:令和5年10月中旬(予定)  施行日:令和6年4月1日 p2   (別紙)内閣府本府における障害を理由とする差別の解消に関する対応要領(改定案)に関する意見募集の結果について   ■本文 第3条(合理的配慮の提供)関係■  番号 1  御意見の概要 第3条(合理的配慮の提供)本文中に「〜社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。」とあるが、こちらに加えて、「合理的配慮の不提供及び障害による差別を発見・確認した場合、管理者・監督者に限らずその他職員であっても報告の義務を負う」ことを設定することが望ましい。  御意見に対する考え方 障害を理由とする差別の解消に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)では、合理的配慮の不提供や障害者差別事案を発見した場合に職員の報告義務を課していないことから、本要領で義務化することは困難であると考えます。  番号 2  御意見の概要 第3条(合理的配慮の提供)に以下の文言を加筆 いかなる相談やいかなる対応の始めに、本人の意思や要望を丁寧に聞き取り、それらを尊重する方針にする。(事例) 施設で行われている異性介助で尊厳か損なわれたため、施設から地域社会への転居のための社会保障制度を利用するために、役所に問い合わせたが、施設職員は仕事で異性介助しているから、我慢して施設暮らしを続けるように言われ、更に尊厳を踏みにじられた。  御意見に対する考え方 別紙留意事項において、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障害者本人の意向を尊重しつつ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応すること、また、合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意することとしています。  番号 3  御意見の概要 (以下の文言を3条に加筆) 障害のある女性については、障害があることのみならず、女性であることを念頭に置き、本人の意思を尊重した配慮と対応が必要である。(事例) 施設内の異性介助を理由とした、施設から地域社会への転居については、本人の尊厳回復のために必要な措置であるため、速やかに地域社会への転居のための社会保障制度の利用を認める必要がある。  御意見に対する考え方 別紙留意事項において、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障害者本人の意向を尊重しつつ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応すること、また、合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意することとしています。   ■本文 第7条(研修・啓発)関係■  番号 4  御意見の概要 第7条(研修・啓発)第4項において、「職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、性別や年齢等にも配慮しつつ障害者に適切に対応するために必要なマニュアルの活用等により、意識の啓発を図る。」について、⇒「性別や年齢等にも配慮しつつ」の客体は誰か?職員なのか、障害者なのか、紛らわしい。順番を入れ替えて、「障害者の性別や年齢、状況等にも配慮し適切に対応するために必要なマニュアルの活用等により、意識の啓発を図る。」と修正して欲しい。  御意見に対する考え方 本要領は、基本方針に即して法第7条に規定する事項に関し、内閣府本府職員が適切に対応するために必要な事項を定めたものです。   ■別紙 第2(正当な理由の判断の視点)関係■  番号 5  御意見の概要 留意事項 第2 正当な理由の判断の視点おいて、「 職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。その際、職員と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。」について、⇒「理解を得るよう努める」ことは当然のことであり、「望ましい」は余分である。よって、「理解を得るよう努めるものとする。」あるいは、「理解を得るよう努めなくてはならない。」と修正して欲しい。  御意見に対する考え方 本規定は基本方針に即して記載しています。なお、本要領には、別紙中「望まれる」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても法に反すると判断されることはないが、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する旨、明記しています。   ■別紙 第3(不当な差別的取扱いの例)関係■  番号 6  御意見の概要 留意事項 第3 不当な差別的取扱いの例(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)のうち、「〇行政手続を行うため、〜障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること」は「確認する。」のほうがよい。  御意見に対する考え方 御指摘を踏まえ、次のとおり修文します。〇行政手続を行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認する。  番号 7  御意見の概要 留意事項 第3 不当な差別的取扱いの例 (正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例)として、「一律に」という文言が加えられているが、「一律に」の意味が不明確である。「一律に」を削除し、「障害があることのみを理由として・・・・」と修正すべきである。また、「業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害者でない者とは異なる場所での対応を行う。」とあるが、求められるべきは、「意に反して」ということであり、次のように修正して欲しい。「業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害者などの意に反し、障害者でない者とは異なる場所での対応を行う。」  御意見に対する考え方 御指摘の文言は、基本方針に即して記載しています。また、留意事項 第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方において、障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いは、不当な差別的取扱いには当たらない旨記載しています。  番号 8  御意見の概要 留意事項 第3 不当な差別的取扱いの例(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)のうち、「〇車椅子の利用者が畳敷きの個室を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行う。」の応用編として内部障害でおむつ使用の際に多目的トイレの大きなゴミ箱設置や経費のゴミ袋の購入などを実施しない場合は不当な差別取り扱いとなるか? または体調不良で数日休んだ場合で診断書が取れなかった場合に暴言や左遷などは不当な差別とりあつかいとなるのか?  御意見に対する考え方 留意事項 第3 不当な差別的取扱いの例に記載されている内容はあくまで例示であり、正当な理由に該当するか否かは、個別の事案ごとに判断する必要があること、正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意することとしています。  番号 9  御意見の概要 本改定案に新設されている「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」は全て削除すべきである。  御意見に対する考え方 御指摘の例示は基本方針に基づき記載したものであるため、いずれも原案のとおりとさせていただきます。なお、掲載されている例はあくまでも例示であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載しています。頂いた内容は、御意見として承り、今後の参考とさせていただきます。 p3   ■別紙 第4(合理的配慮の基本的な考え方)関係■  番号 10  御意見の概要 次の記述と、事例のいずれかを加える。(記述)「あらゆる相談や接遇の最初に、本人の希望を聞きとり、それを尊重するルールをもつ。あらゆる偏見を廃して、本人の話をよく聞くことから始める。」「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」(事例)・入院先で日常的に異性介助が行われている。女性の入浴や排泄や夜勤時の介助は女性の従事者にして欲しいと希望を出しても、対応されなかった。・被害について、警察に話したが、目が見えないのに加害者についてわかるはずがない、知的障害があるから確かな話ではない、などの見方をされ、自分の話を信じてもらえなかったことがある。・障害があるので妊娠や出産や子育ては大変だと、繰り返し言われてきたので、無理なのかなと思ってきた。・障害がなかったころは積極的に産むように言われていた。障害をもつようになってから妊娠したときには、中絶を勧められた。・グループホームにて利用者がカップルで暮らすにあたって、妊娠の可能性があるとの理由から、施設側が不妊処置を勧め、結果として、利用者が不妊処置を選択した。・車いすユーザーの立場で、子育てについて福祉の窓口に相談した。障害のない保護者と同様に子どもと一緒に公園等に行きたいという願いが理解されず、外出時の育児支援はいまだに得られていない。  御意見に対する考え方 留意事項 第4 合理的配慮の基本的考え方において、障害者本人の意向を尊重しつつ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要があるとしています。また、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意することとしています。頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。  番号 11  御意見の概要 次の記述と、事例のいずれか(課題を示す事例および好事例)を加える。記述:「女性からの相談は女性が受ける窓口態勢をとる。」「女性の接遇は女性がすることを基本とする。」「従事者の研修において、障害に加えて女性であることによる経験や課題について当事者から学ぶことを、必修プログラムに組み入れて実施し、業務や啓発に反映する。」(事例)・月経時のことについて相談窓口に詳しく話さなければならない場面があって、担当者は男性ばかりだったので話しづらかった。・女性に対する暴力の相談にたずさわる担当者の研修に、毎回、「障害のある女性と複合差別」を設けて、それぞれ障害の異なる複数の女性を講師として招き、全員で意見交換を行っている。・災害の防止や救援にかかわる担当者の必修研修に、災害時の障害のある女性ゆえの経験をテーマに、地元で課題に取り組んでいる障害のある女性を講師に招き、意見交換し、業務に反映させている。・ガイドヘルパー予約の際に「買い物のガイドだから男性のガイドヘルパーでもいいですか?」と対応されがち。女性として同性のガイドヘルパーを希望する。“排泄や入浴などの介助ではないから男性でもいいでしょう”という見方から転換して、合理的配慮として認識してほしい。  御意見に対する考え方 留意事項 第4 合理的配慮の基本的考え方において、障害者本人の意向を尊重しつつ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要があるとしています。また、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意することとしています。頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。  番号 12  御意見の概要 次の記述および事例を加える。記述:修学や就業の環境や慣習から見直し、補助的手段だけでは解決しないことをふまえ、個々人に合う合理的配慮を提供する。事例:聴覚障害があり、医療現場で働いている。常々、「補聴器をつけていても聞き取れないことがあるので、文字や文章で伝えてほしい」と依頼しているが、対応されていない。上司や看護師から「それ、前、言ったでしょ!」「一回で覚えられないのはやる気がないからだ」などの暴言が日常的になされ、うつ病を発症して入院休職した。  御意見に対する考え方 雇用分野における障害者差別を解消するための措置については、「障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)」の定めるところによることとされており、御意見は本要領の対象ではないと考えます。   ■別紙 第5(過重な負担の基本的な考え方)関係■  番号 13  御意見の概要 留意事項 第5 過重な負担の基本的な考え方において、「職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。」と記載されているが、第2と同様に「理解を得るよう努める」ことは当然のことであり、「望ましい」は余分である。よって、「職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めるものとする。」あるいは、「職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めなくてはならない。」と修正してください。  御意見に対する考え方 本規定は基本方針に即して記載しています。なお、本要領には、別紙中「望まれる」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても法に反すると判断されることはないが、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する旨、明記しています。 p4   ■別紙 第6(合理的配慮の例)関係■  番号 14  御意見の概要 留意事項 第6 合理的配慮の例(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例)のうち、「〇抽選申込みとなっている講座への参加について、〜当該対応を断ること(障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることの観点)」は「断ること。」のほうがよい。  御意見に対する考え方 御指摘を踏まえ、次のとおり修文します。〇抽選申込みとなっている講座への参加について、〜講座への参加を事前に確保しておくよう求められた場合に、当該対応を断ること。  番号 15  御意見の概要 留意事項 第6 合理的配慮の例(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例)のうち、〇イベント当日に、視覚障害のある者から職員に対し、イベント会場内を付き添ってブースを回ってほしい旨頼まれたが、混雑時であり、対応できる人員がいないことから対応を断ること。(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点)⇒論点が違うのではないか。混雑時に視覚障害者のみでブースを回らせる方がよほど危険であり、参加を認めるのであればなんらかの対応が求められる事例だと思う。不適切な事例であり、削除すべきである。  御意見に対する考え方 留意事項 第6 合理的配慮の例に記載されている内容はあくまで例示であり、職員が過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましく、その際には、職員と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めた対応を柔軟に検討することが求められるとしています。  番号 16  御意見の概要 「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないよう十分注意した上で慎重に行うべきである。  御意見に対する考え方 御指摘の例示は基本方針に基づき記載したものであるため、いずれも原案のとおりとさせていただきます。なお、掲載されている例はあくまでも例示であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載しています。頂いた内容は、御意見として承り、今後の参考とさせていただきます。  番号 17  御意見の概要 合理的配慮の提供で、行政主催、共催、後援の講演、イベント等ですら手話通訳や要約筆記が必須ではない。いつ行っても配慮されていることは行政なら絶対で、しっかりと予算も取っておくべき。行政ができていないものを民間にやれというならきちんと手本を示す必要があると思います。そしてこの意見募集について内閣府から発信するものなのに性別が男女しかないのはまずいのではないでしょうか? この意見募集をとるためにフォームを作成して決裁を何度か得ているはずなのに誰も気づかないのでしょうか? 国、都道府県、市区町村ができないものを民間に義務付けする。結局はどちらも責任逃れし、当事者が被害を被ることになります。合理的配慮といって、コミュニケーションボードや音声認識などをいくら設置したところで人の意識が変わらないとそれは配慮してるという形だけのものであり、本当の配慮にはなりません。意識を変えることから始めないと意味がないのです。  御意見に対する考え方 御意見として賜り、今後の参考とさせていただきます。  番号 18  御意見の概要 「合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例」として下記に引用の例が内閣府本府対応指針案に掲載されている。この例を、対応要領にも記載する。かつ、対応要領に、記述「府省庁のウェブサイトでPDF版で提供する文書は、テキストデータ版をはじめ、障害のある人がアクセスしやすい形で提供する」を加える。引用: 〇オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う(環境の整備)。  御意見に対する考え方 本要領は、法第7条に規定する事項に関して定められるものであり、ウェブサイトの改良などの環境の整備については、別途、適切に対応してまいります。   ■全体■  番号 19  御意見の概要 全体的に旧版より改善がなされていると思います。障害者差別の解消に向けて、今後も継続的に一層の対策が具体的になされることを期待します。  御意見に対する考え方 御賛同の御意見と受け止めます。御意見は今後の参考とさせていただきます。  番号 20  御意見の概要 旧版より、よりよく改善されていると感じました。旧版では不透明だった箇所に詳細な事例を盛り込んだり、個別事例としてインターセクショナルな視点が入っていたりと、対応表のうえでも合理的配慮に対する前進的な姿勢が見られて良いです。実際に対応に当たる職員たちによくよく指導し、浸透させることを目指してもらいたいと思います。  御意見に対する考え方 御賛同の御意見と受け止めます。御意見は今後の参考とさせていただきます。  ※上記のほか、障害者施策全般に関わる御意見等を多数いただきました。