資料3 p表紙    成年後見制度について   平成28年12月12日   成年後見制度利用促進委員会事務局 p1   成年後見制度の利用の促進に関する法律イメージ図 (作業者注:以下ポンチ絵1ページ。)   【基本理念】  成年後見制度の理念の尊重 @ノーマライゼーション A自己決定権の尊重 B身上の保護の重視  地域の需要に対応した成年後見制度の利用の促進  成年後見制度の利用に関する体制の整備  <国等の責務> 1 国の責務 2 地方公共団体の責務 3 関係者の努力 4 国民の努力 5 関係機関等の相互の連携   【基本方針】 1 保佐及び補助の制度の利用を促進する方策の検討 2 成年被後見人等の権利制限に係る制度の見直し 3 成年被後見人等の医療等に係る意思決定が困難な者への支援等の検討 4 成年被後見人等の死亡後における成年後見人等の事務の範囲の見直し 5 任意後見制度の積極的な活用 6 国民に対する周知等 1 地域住民の需要に応じた利用の促進 2 地域において成年後見人等となる人材の確保 3 成年後見等実施機関の活動に対する支援 1 関係機関等における体制の充実強化 2 関係機関等の相互の緊密な連携の確保  <法制上の措置等> 基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上・財政上の措置 成年被後見人等の権利制限に係る関係法律の改正その他の基本方針に基づく施策を実施するために必要な法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずる →施策の実施状況の公表(毎年)   【基本計画】  成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「成年後見制度利用促進基本計画」を策定   【体制】  成年後見制度利用促進会議 1 組織 会長:内閣総理大臣 委員:内閣官房長官、特命担当大臣、法務大臣、厚生労働大臣、総務大臣等 2 所掌事務 @基本計画案の作成 A関係行政機関の調整 B施策の推進、実施状況の検証・評価等  成年後見制度利用促進委員会 ・有識者で組織する。 ・基本計画案の調査審議、施策に関する重要事項の調査審議、内閣総理大臣等への建議等を行う。 →成年後見制度利用促進会議へ意見  この法律の施行後2年以内の政令で定める日に、これらの組織を廃止し、新たに関係行政機関で組織する成年後見制度利用促進会議及び有識者で組織する成年後見制度利用促進専門家会議を設ける(両会議の庶務は厚生労働省に)。   【地方公共団体の措置】  市町村の措置 ・国の基本計画を踏まえた計画の策定等 ・合議制の機関の設置  都道府県の措置 ・人材の育成 ・必要な助言 →市町村の措置を援助   【その他】  この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとする。 p2   成年後見制度利用促進委員会 委員名簿   平成28年9月23日現在 委員〇 新井 誠 中央大学法学部教授、日本成年後見法学会理事長 委員 伊東 香織 岡山県倉敷市長 委員◎ 大森 彌 東京大学名誉教授、特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク代表理事 委員 河村 文夫 東京都奥多摩町長 委員 久保 厚子 全国手をつなぐ育成会連合会会長 委員 櫻田 なつみ 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構 委員 新保 文彦 日本発達障害ネットワーク副理事長、日本自閉症協会副会長 委員 花俣 ふみ代 認知症の人と家族の会 委員 村田 斉志 最高裁判所事務総局家庭局長 委員 山野目 章夫 早稲田大学大学院法務研究科教授 (50音順) 臨時委員 池田 惠利子 社会福祉士、あい権利擁護支援ネット理事、日本成年後見法学会副理事長 臨時委員 川口 純一 司法書士、成年後見センター・リーガルサポート副理事長 臨時委員 齋藤 修一 品川成年後見センター所長 臨時委員 瀬戸 裕司 医師、日本精神神経学会、ゆう心と体のクリニック院長 臨時委員 土肥 尚子 弁護士、東京弁護士会高齢者・障害者の権利に関する特別委員会委員 臨時委員 野澤 和弘 毎日新聞論説委員、社会保障審議会委員 (50音順) ◎印は委員長、〇印は委員長代理 p3   これまでの委員会、WGの開催実績 ○第1回委員会(9月23日) ・委員長互選等 ・今後の進め方 ○第2回委員会(10月3日) ・検討の視点 ・WG設置 ○第1回利用促進WG(10月12日) ・土肥委員、川口委員、池田委員、齋藤委員、伊東委員、村田委員、久保委員、新保委員、花俣委員からの説明 ・意見交換 ○第1回不正防止WG(10月19日) ・村田委員、土肥委員、川口委員、齋藤委員からの説明 ・意見交換 ○第2回WG(両WG合同)(10月24日) ・ヒアリング 日景聡判事(東京家庭裁判所・後見センター所属) 信託協会 大垣尚司教授(立命館大学金融・法・税務研究センター長) 静岡県、静岡県社会福祉協議会 全国社会福祉協議会 全国精神保健福祉会連合会 日本障害者協議会 日本行政書士会連合会 日本税理士会連合会 日本精神保健福祉士協会 ○第3回利用促進WG(11月2日) ・意見交換(利用促進策の強化が必要な場面及び解決すべき課題など) ○第3回不正防止WG(11月9日) ・ヒアリング(日本公証人連合会) ・意見交換(利用促進策の強化が必要な場面及び解決すべき課題など) p4 ○第3回委員会(11月21日) ・WGにおける議論の中間的な報告 ・意見交換 ○第4回委員会(12月2日) ・全国知事会、全国市長会 ・成年被後見人等の医療、介護等に係る意思決定が困難な者への支援等 ・民法及び家事事件手続法改正法の施行後の運用状況 ・意見交換 ○第4回利用促進WG(12月6日) ・意見交換 ○第4回不正防止WG(12月9日) ・意見交換 p5   成年後見制度(補助・保佐・後見、任意後見)利用促進策の強化が必要な場面及び解決すべき課題   平成28年11月21日   場面1:利用者・関係者への制度紹介・情報提供→「まず、知っていただくことが重要」 【委員及びヒアリングで寄せられた主な意見】 ○ まず制度が知られていない。保佐・補助・任意後見といった選択肢も知られていない。 ○ 制度のイメージも悪く、身内の助けも得られない等どうにもならない状況になって初めて、仕方なく制度を使う人が多いのではないか。 ○ 行政職員や福祉・医療関係者の中で、権利擁護や成年後見制度の重要性・メリットについての理解・認識が十分でない。 ○ 成年後見制度は、本人の側に立って生涯を通して支える法的キーパーソンを得られる制度であり、消費者被害や虐待への対応や、在宅で適切な福祉サービスの利用支援や財産管理を通じて、本人意思を尊重したその人らしい人生を支えるなど、モデルケースを周知する啓発を行うべき。 ○ ホームページ、パンフレット、市町村での講演会等だけでは限界があり、利用者の声も取り上げつつ、国も制度の有効な利用策を周知していくべき。 ○ 成年後見制度を今後、支援に重きを置いた運用に変えていくことも周知すべき。 ○ 障害者の個別のニーズを踏まえた周知・啓発も考えていくべき。 ○ 成年後見制度の利用の啓発においても、地域の中核となる機関の役割は大きい。 ○ 認知症サポーターや自閉症サポーターの養成活動などの機会を通じた啓発も行うべき。 ○ 大学の法教育、社会人講座等の充実も重要。 ○ 地域において、成年後見制度の有効性についての認識を高めていくためには、地域に積極的に出向いて説明会・相談会を継続的に実施することが有効。行政が継続的にそうした役割を担えば、行政の中での認識も深まっていく。 【課題】 ○ 成年後見制度の利用促進に向けて、成年後見制度の周知や権利擁護支援の重要性の啓発等に力を入れていく必要があるところ、各地域において社会的ネットワークやその中核となる機関の整備を検討していくに当たり、中核となる機関の役割(地域の関係機関への周知依頼等)や、具体的な推進策をどう考えるか。 ○ 特に、任意後見や保佐・補助について周知し、早期の段階から、その利用を促進していくため必要なことは何か。 p6   場面2:早期の段階からの権利擁護支援の検討開始→「権利擁護支援」の必要な人の発見 【委員及びヒアリングで寄せられた主な意見】 ○ 親族などが気軽に相談できる相談機関が少ない。駆け込み寺のようなものが必要。 ○ 権利擁護や成年後見制度の利用の必要な人を地域で発見していくには、身近な地域における成年後見相談機関の整備と、あそこに行けば相談が受けられるという周知が広く行われることが必要。 ○ 独居の高齢者や障害者の消費者被害、虐待など、権利擁護の必要な人は自らSOSの声を上げられない人が多い。そうしたニーズに気づき、情報を専門機関につなぐ機能が弱いのでは。 ○ 地域のつながりが薄れる中で、地域の見守り活動をどう発展させるかが重要。 ○ 行き詰っている人がいるのがわかっても、それが成年後見制度の利用ニーズだと認識されず、医療や介護につなげればよいと思われている現状がある。 ○ 現時点で成年後見制度に関わる施策について、幅広く取り組みを行っている自治体は未だ多くない。ワンストップの機関があれば、直ちにそうした手を上げられない人の情報が集まる訳ではない。地域の身近な発見者がその機関に相談を持ち込むような関係をどうつくっていくかが重要。関係機関を始め地域全体の啓発が必要。 ○ 地域包括支援センターの地域支援事業としての権利擁護業務の機能強化、研修体制の強化が重要ではないか。 【課題】 ○ 成年後見制度の利用について相談したい人、情報を得たい人が、しっかりとした相談や情報を得られるような体制整備を各地域でどう進めるか。 ○ 特に任意後見や保佐・補助制度について、早期の段階から本人や親族等に利用の検討を促す機会を住民の身近にどう確保していくか。 ○ 権利擁護支援が必要だがその声を上げられない人について、地域においてどのように発見し、適切な権利擁護支援につなげていくか。 ○ 福祉・医療関係者等(地域包括支援センター、ケアマネジャー、障害者相談支援専門員、社会福祉協議会、介護・福祉事業者、医療機関、専門職、民生委員、自治会、金融機関等)や行政職員が、権利擁護支援や成年後見利用の重要性について更に認識を深め、地域における成年後見制度利用促進への取組への関与をどう強めていくか。   場面3:成年後見制度利用に向けた利用者ニーズの見極め(利用者の意思決定支援と、成年後見等実施機関による検討)→多機関参加によるニーズの精査と支援の方向性の検討 p7 【委員及びヒアリングで寄せられた主な意見】 ○ 各相談機関・成年後見関連事業者等にせっかく情報があっても、それが集約されず、適切な支援につながっていないのではないか。 ○ 地域包括支援センターの職員やケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー等が成年後見制度利用のニーズを把握できていても、行政や社会福祉協議会などの成年後見実施機関につなげる仕組みが弱い、どこにつなげればいいかが非常に不明確であるという現状がある。行政が積極的に関与してつなぎの仕組み、ネットワークをつくることが何よりも重要。 ○ 個人のニーズは非常に多様であり、地域の福祉や法律の専門職と行政等が一緒になって各ケースのニーズ評価を行う機能や、本人・親族の意思決定支援の取組があって初めて適切な支援や成年後見制度の活用につながるのではないか。 ○ 社会的ネットワークの中核を担う機関においても、任意後見も含めた成年後見制度等に関する相談、利用に関する積極的な周知、普及活動を行うことが期待される。 【課題】 ○ 早期の段階で任意後見制度や保佐・補助制度の利用を考える人に対し、適切なサポート(利用の意思決定支援)をする仕組みづくりをどう進めるか。 ○ 地域における発見者等からの連絡を受けて、権利擁護ニーズの更なる聞き取りを依頼したり、そうした情報を集約し支援の検討につなげる仕組みづくりをどう進めるか。 ○ 集約された情報を基に、成年後見制度利用を念頭に必要な支援策を検討する体制づくり(専門職の参加等)をどう進めるか。 ○ 地域において成年後見制度の利用促進の中核となる機関を設置する場合どのような機能が必要か。   場面4:本人・親族申立の支援及び市区町村長申立を適切に行える体制の整備→顕在化させたニーズに対応できる体制整備を 【委員及びヒアリングで寄せられた主な意見】 ○地域において、成年後見制度利用促進の社会的ネットワークを構築するとともに、その中核を担う機関を設置し、相談対応、市民・親族後見人等の教育・研修・サポート、地域の専門職団体等との連携、成年後見人等候補者の調整、後見開始後の支援等を行わせるべきではないか。 ○ そうした中核を担う機関の設置・運営には、何らかの形で行政が責任を負うべきではないか。 ○ 本人や支援者が最初から家庭裁判所に相談にいくというのは現実的ではなく、中核的な機関が機能している地域とそうでない地域で対応に違いが出ている。国と都道府県の役割が重要。広域でそうした機関を設置している地域もあり、参考 p8 にすべき。 ○ 制度利用促進のための機関は、各市区町村レベルと、裁判所の支部レベル(ある程度の広域)双方に設置することが考えられるのではないか。 ○ 機能しないセンターを作っても意味はなく、支援チームをしっかり整え、成年後見人の活動をチームで支援していくことが重要。 ○ 行政は人事異動もあり、直営で中核的な機関を設置すれば機能するというものではない。地域の専門職など関係者が責任をもって自発的・積極的に活動に参加する機関でないと、有効に機能する機関にはならない。 ○ 先進的な取組を行っているセンター、広域的に設置されているセンターなど、現在も地域の実情に応じて様々な主体が活動を展開しており、そうした活動を継続できるような柔軟な形を考えていくべき。 ○ ワンストップといっても、一つの機関で相談から支援まですべてを抱えるのは難しく、とりあえず受けるが、支援は別の機関に依頼する、地域の関係者がそれに協力する、中核的な機関はそのコーディネートを担う、ということを基本に、地域における関係機関の役割分担や連携の仕組みを整備していくべき。 ○ 障害者の成年後見人の活動については、親御さんができる限り関わるとともに、親御さんに次いで障害者の特性を理解する法人やNPOなどにその役割を受け継ぎたいとのニーズが強く、厚生労働省も法人後見の役割を重視してきた経緯がある。 ○ 授産施設に通う障害者が毎日立ち寄るなど継続したきめ細かい支援は法人後見がなじむ面がある。障害者は長い期間の支援が必要ということもあり、法人後見を地域の中で誕生させる、機能させることが大切。 ○ 成年後見制度利用支援事業が全自治体で使われることや、首長申立以外や後見類型以外でも助成がなされるようにしていくことが重要。財源確保が必要。 ○ 任意後見受任者として、親族以外の専門家、法人等、その資格の在り方を確認していく必要がある。 ○ 日常生活自立支援事業については、保佐・補助につなげる、また成年後見が必要になった場合は切り替えるなどの工夫をしながら、引き続き活用していくべき。 ○ 家庭裁判所における報酬の在り方につき、裁判官の共通認識の形成や目安の設定ができないか。自治体の報酬助成制度との整合性や、成年後見人等の仕事との見合いで加算基準を設けるなど、具体的に検討していくべき。 【課題】 ○ 成年後見制度の利用等必要な支援に結び付けるため、地域の専門職の協力を得られる体制整備をすべての地域で進めるためにはどのような取組が必要か。(既存の組織等を有効に活用しつつ、社会的ネットワーク、その中核となる機関をどう機能させていくか。) ○ 地域の体制づくりを進めるためには、親族や本人を日常的に見守り支えるチームづくりが重要となるが、どのように進めればよいか。 ○ 必要に応じて周辺市区町村とも協力しつつ、各市区町村が地域の体制整備を進めるために、どのような取組が必要か。またその支援のため、都道府県及び国 p9 が取り組むべき課題は何か。 ○ 市民後見人や成年後見等を行う法人など、成年後見制度の担い手の育成・活用をどのように進めるべきか。 ○ 申立てや報酬に必要な助成の充実に向けてどう取り組むか。 ○ 日常生活自立支援事業の利用者のうち、必要な者については、スムーズに保佐・補助等の成年後見制度の利用につなげる取組をどう進めるか。 ○ 中核的な機関の整備に当たり、まずどのような機能を優先して整備を進めるのが現実的と考えられるか。   場面5:後見等開始に向けた本格調整及び申立ての実施→確実な後見等の開始 【委員及びヒアリングで寄せられた主な意見】 ○ 各地域において、社会的ネットワークやその中核となる機関を中心として、後見等の開始に向けた本格調整や申立て支援を進めることが必要ではないか。 ○ 本人の身上保護を含めた適切な支援を行っていくにふさわしい成年後見人等候補者とそのサポート策について、地域で本人を良く知る支援者などの関係者が裁判所に提案できる体制を目指すべきではないか。 ○ 知的障害者について、地域で暮らせる支援が重要であり、長年暮らしてきた家族や常時支援してきた福祉関係者も成年後見人のキープレーヤーとして重視し、検討していく必要があるのではないか。ただし、社会福祉施設等を経営する法人については、利益相反のチェック、監督の仕組みが重要。 【課題】 ○ 本人・家族の意向・ニーズに即した後見等が運用されるよう、ふさわしい成年後見人等候補者を選任できる体制をどう整備するか。 ○ 後見の運用開始後、本人の状況や成年後見人等の状況に応じて、成年後見人等と一緒にチームを組んで本人の心身の状態・生活の状況等を日常的に見守る体制整備について、どう進めればよいか。 ○ 親族が申立手続を円滑に進められるようにするため、どのような支援・体制が考えられるか。   場面6:後見等開始後の継続的な支援→後見開始後の適切なケア(特に、本人・親族・市民後見人) 【委員及びヒアリングで寄せられた主な意見】 ○ 後見開始後も、親族後見人や市民後見人等が日常的な相談や支援が得られる体制を整備するとともに、専門職を含めた様々な主体が支援に関わり、本人や親族の状況変化や意向に沿って成年後見制度が運用されるよう、家庭裁判所と地域のネットワークが連携・協働する仕組みを作るべきではないか。 ○ 障害者の場合は特に、長期にわたる身上監護、見守り、意思決定支援が重要で p10 あり、施設や病院からの地域移行、障害の医学モデルから社会モデルへの転換、合理的配慮の必要性といったことを重視し、障害者のバリアを変えていく環境や支援の在り方を考えていく必要がある。成年後見人等は重要なキーパーソンであり、自閉傾向や行動障害のある人を理解できる成年後見人等による継続的な支援が必要。 ○ 障害者を地域で支えていくには、住まい確保の支援などで成年後見制度を活用することが重要。 ○ 成年後見の利用者がメリットを感じられる制度にしていくためには、制度利用開始後のサポート体制の整備こそ重要。 ○ 各地域において既に家庭裁判所と法律専門職関係者との連携はできており、これを活用したネットワークづくりを進めていくのが現実的。 ○ 成年後見人等候補者の推薦あるいは交代といった機能も含めながら、身上監護の支援を十分行える組織の設置が求められる。 【課題】 ○ 成年後見制度を、本人の意思決定(よりよい人生の選択・決定)の支援の制度として活用できるようにしていくため、どのような取組を行うべきか。 ○ 本人の身上監護に関する情報や、成年後見制度をどのように使うニーズがあるかを裁判所と共有し、後見等の開始や運用に活かしていく仕組みをどう作っていくか。 ○ 成年後見人と、本人に身近な親族、福祉・医療・地域の関係者、福祉・法律の専門職がチームとなって日常的に本人を見守り、本人の状況を継続的にフォローするような体制をどう作っていくか。(例:担当ケアマネジャー、相談支援専門員、生活保護ケースワーカー、保健師、精神保健ケースワーカー、入所先社会福祉施設、入院先医療機関、初期集中支援チーム、認知症疾患医療センター、介護サービス事業所、訪問看護ステーション、市区町村窓口、サービス調整会議の関わり等) ○ 地域の社会的ネットワークの中核を担う機関が、そうしたチームの編成や、サポートのコーディネートを行うとともに、家庭裁判所とも情報を共有し、成年後見人による財産管理の方針や、身上監護の方針に活かしていく取組をどう進めるか。 ○ 各地域における社会的ネットワークの強化を進める協議会において各専門職団体や関係機関等が協力する体制づくりをどのように進めるか。また、広域での対応や市町村の支援の観点から都道府県の役割をどう考えるか。 ○ 移行型任意後見契約がなされているケースのうち、特に本人の権利擁護のために支援が必要な場合の見守り機能の強化についてどう考えるか。 ○ 地域の状況は様々であることから、ただちに社会的ネットワークの中核となる機関が全地域で全機能を実施することが難しい現状も踏まえ、現実的に優先すべき機能についてどう考えるか。 ○ 現行法上は、成年後見人の交代については、辞任か解任しか認められていないところ、本人と成年後見人との関係がうまくいかなくなったときの対応策についてどのように考えるべきか。 p11   場面7:後見等の不正防止→各機関が参加しての早期発見・対応 【委員及びヒアリングで寄せられた主な意見】 ○ 不正事案の大部分は、親族など専門知識がない成年後見人によるものであり、成年後見人としての責任や義務に対する理解不足等が原因である。 ○ 地域におけるネットワークの中で様々な主体が成年後見等の事案に関わることで、知識不足等から来る不正行為を未然に防止することができるのではないか。 ○ 成年後見制度支援信託以外の成年後見人の財産管理の負担軽減・不正防止のための金融機関における新たな取組が重要であり、地域の金融機関の自主的な取組の促進・後押しが必要。 ○ 全国における成年後見制度支援信託の延べの信託額はかなりの額に上っており、これに代わる新たな取組をしていくことが、地域の金融機関にとっても無視できない問題になっていることを周知してほしい。 ○ 地域の金融機関の声かけ機能は、社会的ネットワークの一つの重要な要素になる。 ○ 不正の機会、正当化をなくしていくシステムを考えていくことも重要であり、横領ができない仕組みづくりを検討すべき(元本領収についての後見監督人の関与、定期預金取引の共同行使等)。 ○ 成年後見人による故意の横領を担保する保険制度を検討すべきではないか。 ○ 障害者の成年後見人として、社会福祉施設等を経営する法人の役割を考えていく際、法人の相互チェックなど、利益相反への監督の仕組みを検討する必要がある。 ○ 移行型の任意後見について実務上の権限濫用防止策の検討が必要。 ○ 任意後見監督人の人材養成が必要。 ○ 任意後見型の信託の開発にも積極的に取り組むべき。 ○ 地方の金融機関や、金融機関以外の新しい信託の受託者も考えていくべき。 ○ リーガルサポートで担っているオンラインでの不正防止機能も、新たなネットワークの一部として、さらに活用できるはずである。制度的な裏付けがあれば、守秘義務との関係もより明確にできる。 ○ 社会的ネットワークは、基本的に発見、相談、支援、サポートといった機能が主眼であり、監督機能とは分けて考えるのが自然。 ○ 例えば、支援は社協、法的問題の解決はリーガルサポートが担いながら、地域の中核となる機関で情報を総合し、家裁とも連携をとっていく形が考えられないか。 ○ 全国的な不正防止機関と住民に身近な利用促進・支援機関との関係については、今後、各専門職団体において検討がなされるべき。 【課題】 ○ 不正防止についても、各地域で様々な取組がなされているところ、今後整備さ p12 れていく社会的ネットワークにおける「支援」の機能と「不正防止」の機能をどのように考えていくか。 ○ 専門職をも含めた不正の動機・機会・正当化をなくしていくための仕組みづくりとして、どのような対策が考えられるか。リーガルサポートなど、既存の不正防止の取組体制を今後どのように活用していくことが考えられるか。 ○ 成年後見制度支援信託に代わる金融機関における新たな取組をどのように促進していくか。 ○ 移行型任意後見契約が適切に発効しない(本人の事理弁識能力が不十分な状況になったにも関わらず申立てをしない)ケースの発見等について、社会的ネットワークの機能との関係でどう考えるか。 ※以上の場面ごとの課題を踏まえ、各関係者の今後強化すべき具体的役割、これらの関係者間の連携の核となる機関の任務及び設置形態、及び国・都道府県・市区町村において果たすべき役割等について、更に具体的な検討を深めていくこととする。 p13   今後更に検討いただきたい論点   平成28年12月2日 <論点1>権利擁護支援の地域ネットワーク及びその中核を担う機関について ○本人に身近な親族、福祉・医療・地域の関係者と後見人がチームとなって日常的に本人を見守り、本人の状況を継続的にフォローするような個別の後見チームの体制をどう作っていくか。その構成員はどうあるべきか。 (例:ケアマネジャー、相談支援専門員、生活保護ケースワーカー、保健師、精神保健ケースワーカー、入所先社会福祉施設、入院先医療機関、認知症初期集中支援チーム、認知症疾患医療センター、介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、訪問看護ステーション、市区町村窓口、サービス調整会議の関わり等) ○福祉・法律の専門職が個別の後見チームのサポート(相談に応じ、専門的な助言をしていく)に対応する仕組みを整備する必要があり、そのため、各地域における権利擁護支援の地域ネットワークの強化を進める協議会を設立し、各専門職団体や関係機関等が自発的に協力する体制づくりを進めることが考えられるが、その構成はどうあるべきか。 ○以上のような個別の後見チームの編成とそのサポート体制や、協議会の事務局など、連携の中核業務を担う機関の整備に向け、以下の点についてどう考えるか。 ・中核を担う機関の設置主体、運営主体はどうあるべきか。 (市町村からの委託が基本となるのではないか。また、どのようなバリエーションがあり得るか。) ・市区町村、都道府県、国の役割について具体的にどう考えるか。 ・各地域において中核を担う機関が担うべき機能のうち、まず優先すべき機能は何か。(場面1〜6のうち) <論点2>不正防止 ○不正防止の観点から、権利擁護支援の地域ネットワークにどのような機能を担わせるのが適当か。 ○各後見人の個別の後見業務に対する日常的なチェック、監督の在り方についてどう考えるか。 p14 (場面1〜6の取組みが結果として場面7にも役立つことを踏まえた上で) ○そもそも不正を起こりにくくする仕組みの強化として、後見制度支援信託に並立・代替する預貯金の管理・運用の方策をどう充実するか。 ○任意後見制度における不正、特に移行型任意後見契約における不正を防ぐために必要な実務的な対応、施策は何か。 <論点3>利用者がメリットを実感できる見直し ・成年後見制度において、後見人等による財産管理の側面のみを重視するのではなく、高齢者や障害者の意思をできる限り丁寧にくみ取ってその生活を守り、権利を擁護していく意思決定支援・身上保護の側面を重視し、利用者がメリットを実感できる制度・運用とすることを基本とすべきではないか。 ・成年後見制度の利用、類型を判断する入口における見直しとして、例えば、精神の状態を判断する医師が福祉関係者の有する本人の置かれた家庭的・社会的状況等に関する情報をも考慮した鑑定書・診断書等を記載しやすくする等の運用の工夫が考えられないか。そのような運用を実現するためには国においてどのような取組が必要と考えられるか。 ・家庭裁判所が後見人を選任するにあたり、本人を取り巻く支援の状況等を考慮して決定する運用が考えられないか。そのような運用を実現するためには国においてどのような取組が必要と考えられるか。