資料5    障害者基本計画(第4次)の検討を見据えた今後の障害者施策の課題について  T 総論的事項  U 分野横断的事項  V 分野別施策等 (1)生活支援 (2)保健・医療 (3)教育、文化芸術活動・スポーツ等 (4)雇用・就業、経済的自立の支援 (5)生活環境 (6)情報アクセシビリティ (7)安全・安心 (8)差別の解消及び権利擁護の推進 (9)行政サービス等における配慮 (10)国際協力 (11)推進体制  W その他事項    T 総論的事項  【安藤委員】 ■改正障害者基本法の施行後3年の見直しについて 平成23年8月5日施行の障害者基本法の改正法の附則第2条では「施行後3年を目途とした検討」規定があり、すでに同法施行から3年を経過していることから、障害者基本法の見直しに向けた議論を障害者政策委員会で開始すべきである。 ■第4次障害者基本計画と第2回政府報告との関係について 障害者権利委員会の「障害者権利条約第35条第1項に基づき締約国によって提出される、条約が指定する文書に関する指針」(日本障害フォーラムによる日本語訳)では、 障害者権利委員会に提出される、条約が指定する文書では、共通基幹文書に掲載されている情報を繰り返したり、締約国によって採択された法律を単に列挙したり、説明したりするだけではいけない。むしろ、締約国の領土または管轄区域内の、あらゆる種類の障害を持つすべての人による、条約で認められている権利の完全な実現に影響を与える法律と慣行の最新動向に関する分析情報を考慮しつつ、条約第1条から第33条までの実施に関する法律上および事実上の具体的な情報を盛り込まなければならない。また、前述の目標に向けてとられた実質的な措置と、それによって達成された進展に関する詳細な情報も含めなければならない。… とされている。 また、第21回障害者政策委員会(平成27年5月29日開催)でのロン・マッカラム氏のご講演でも、 …国が成し得たこと、そしてまだ足りないことを詳細に書き、正直であるべきです。 とのご指摘があった。 これに対して、わが国の第1回政府報告では、たとえば障害者の地域生活を支えるサービスとして、障害者総合支援法のサービスメニュー、利用者数とサービス提供量の推移、第4期障害福祉計画の成果目標と進捗状況などが紹介されている。 しかし、これらの内容は同指針の要求水準を満たすものではないと考える。 したがって、たとえば障害福祉サービスの支給水準などについて、地域差を含めた国内の現状を把握するように第4次障害者基本計画をデザインし、そのモニタリングが、そのまま第2回政府報告に転用できるようにすべきである。 ■障害者基本計画の計画期間について 障害者基本計画のモニタリングを通じた条約履行のモニタリングという観点から、障害者基本計画の計画期間を政府報告のサイクルに合わせるべきである。 (例)第4次計画:平成30年4月1日〜平成34年3月31日(4ヵ年) 第3次計画の最終モニタリング:平成29年度までの進捗状況 第4次計画の中間モニタリング:平成30年度までの進捗状況 第2回政府報告:平成32年2月19日 第4次計画の最終モニタリング:平成34年度までの進捗状況 第3回政府報告:平成36年2月19日 第5次計画:平成34年4月1日〜平成38年3月31日(4ヵ年) 第5次計画の最終モニタリング:平成38年度までの進捗状況 第4回政府報告:平成40年2月19日 第6次計画:平成38年4月1日〜平成42年3月31日(4ヵ年) 第6次計画の最終モニタリング:平成42年度までの進捗状況 第5回政府報告:平成44年2月19日  【飯塚委員】 ●意思決定の尊重を重んじた適切な治療と支援の提供が出来る計画のための実態把握と対策の視点 わが国では家族扶養・自助が前提とされているが、本来、公的責任において社会的扶養・公助を原則としてしかるべきで公的保護者制度と所得保障を確立すべく計画を求める。 精神科医療における強制入院については、入院中の権利擁護制度が保障されていない。権利保障をするために、強制入院を必要最小限とし、入院時から退院するまでの間の権利保障を監視する第三者機関の設置や罰則規定の制定が最低限必要である。 例えば、障害者権利条約第12条第2項の法的能力については、障害者権利委員会一般的意見(第1号)によると「権利能力」のような法的地位に関する能力と「行為能力」のような法的行為主体に関する能力の2つが想定されている。すなわち、行為能力の制限を伴う医療保護入院や成年後見制度は障害者権利条約に抵触し得る。また、限定的な運用が前提で、補充性要件を設けた最終選択肢という観点が重要である。 とりわけ、医療保護入院制度の非自発的入院における公的保護者制度の確立と本人の意思決定を無視しない自由かつ完全な合意を築ける対策が求められる。精神科医療でもインフォームドコンセントに留まらず、SDM(shared decision making)による医療側からの丁寧な説明による治療を選べる体制を整備する必要がある。 また、JR等公共料金の差別。医療費助成の他障害との格差問題や障害者年金の受給要件、等級の基準による運用が、実生活の実態に耐えうるものであるようにしていくことが重要である。 就労については、職業安定所によっては障害者雇用窓口で精神障害者に対して診断書の提出がルーチン化されている事実などを鑑み、障害種別間の格差是正が必要である。あわせて定着率、再発予防にもつながるIPSモデルを取り入れたい。 今日、統合失調症圏の方たちは、かつての入院中心医療から通院中心医療に実態として推移してきている。重度慢性の状況にある場合でも地域で生活を送っている方も少なくない。精神障害・疾患があっても、人として地域生活を送ることができる感覚を世間に浸透させることなしに、人権侵害は解消しない。 「精神障がい者は危険」「精神病院に入院させるべき」との科学的教育の欠如とあいまって、社会的偏見や差別として形成され助長・増幅されている。人権教育とは別に精神の障害に関する啓発教育を位置づけるべきである。精神の障害に係る何かのときに地域社会が受け入れられるようにするには、当事者、家族にのしかかる過剰な負担の実情を伝えると共に啓発教育が大切である。 また、「重度かつ慢性」的な状況に位置づけられる当事者の実態把握をすすめることは重要である。これは長期入院者の地域移行のカテゴリーから分離することなく、地域で生活を実際に送っている方の事例掌握することで地域生活支援のあり方を検証することにもつながる。 そして、隔離や身体拘束を行うことは一定の要件を満たせば違法ではないが、実際には治療でもないものを「治療」と称して行ったり、転倒予防のためと言って安易に行っているといわざるを得ない例が少なくないと聞いている。自分の家族がこのような状況の精神科病院に入院すると言ったら気が気ではない。厚生労働省は「増加の関連要因についてはわからない」としている。しかし「わからない」ではなく、重大な人権の制限である身体拘束が、10年かけて2倍にもなっている事実について、その背景と要因を国としてもしっかりと調査し、それに基づく対策が必要である。特に病院内における可視化と開示義務を規定することが求められる。 これらの背景には、精神障害者の権利剥奪は精神科医療の特例に見られる低医療費制度体系と表裏一体の問題でもあることを忘れてはならない。よって、精神障害者の計画においては、精神科医療政策との整合性も欠かせないことを記しておく。   また、障害のある女性については「分野横断的事項」に位置づけられている。例えば、精神薬の服薬と妊娠・出産に係る課題(医師から子どもは持たないようにアドバイスされる)などを含めて、障害者権利条約6条の履行が必要と思う。 障害者権利条約の批准に伴う国内での履行を確実なものとするためにも、アジア太平洋障害者の10年・第三次十年の実施、仁川戦略の達成。SDGsの国内実施と連動する計画が求められる。 ●医療保護入院の家族等の同意の廃止 医療保護入院と保護者制度は密接な関係がある。本人が入院に同意していない場合で、入院する必要があるとき、「保護者」の同意で入院させることができた。しかしこの制度は、嫌がる精神障害者を保護者である家族が無理やり入院させるという印象が濃く、しばしば家族と本人との間で軋轢を生じた。家族は本人に恨まれるという不安が強く残り、退院後の家族関係を悪化させる原因にもなった。 今回の法改正で、家族会としては保護者制度が廃止されるのだから、医療保護入院は代弁者制度など他の権利擁護の方策を用いるべきだと考えていた。しかし他の代替え制度は整備できず、また相変わらずの「家族主義」の考え方もあって、「家族等の同意」が残ってしまったことは極めて残念である。 「保護者制度」がなくなった時の、医療保護入院のあり方について、各分野が連携して十分な議論と用意をしておくべきであった。家族会としても法律に家族等の同意を明記することは他科においてはなく、精神科についてのみ明記するのは差別であると主張したが、最終的には3年後の見直しを附則に入れるということで、苦渋の決断をせざるを得なかった。 ●家族支援の取り組みと啓発教育を みんなねっとではその設立以来様々な家族支援の取り組みをしてきた。家族の実態を知るため全国の家族会を対象に家族調査を行った。調査結果によると本人が初めて精神科を受診したとき9割に上る家族が精神疾患に関する知識に乏しく情報から孤立している。また、根強い偏見が残る社会から孤立し、支援が必要にもかかわらず、支援からも孤立している。以上3つの孤立に苛まれている実態が明らかになった。この家族が抱える3つの孤立からの脱却に向けた具体的な活動が計画に反映されてこそ意味がある。 ・家族支援のシステム化 そこで孤立からの脱却を目指し、訪問による本人を含む家族全体を支援する技術(行動療法的家族療法)の実践が必要不可欠と考える。 とりわけ、医療アクセスの状況が厳しい、未治療者、治療中断の中にある本人の回復には、単に福祉だけでなく医療を含めた多職種での家族を一体的にとらえた支援が効果を発揮すると思われる。(医療・福祉・司法などのチームで)危機介入の機能を確立することと行動療法的家族支援のシステム化を強く望む。また、専門家のほかに家族間のピアサポート支援をフォーマルなシステムに組み込むべきである。 ・「こころのバリアフリー教育」の目的・目標について義務教育課程での啓発教育のカリキュラム化を 生涯を通じて5人に 1 人が精神疾患と診断されうるという現代。9割に上る家族が精神疾患に関する知識に乏しく情報から孤立している実態や障害者権利条約第8条「意識の向上」に、「教育制度のすべての段階(幼年期からのすべての児童に対する教育制度を含む)において、障害者の権利を尊重する態度を育成すること。」と明記されている以上、あらゆる教育段階において障害のあるなしにかかわらず、すべての児童生徒に教育すべきである。 精神疾患を含む心の健康の福祉教育は障害児者の人権啓発とともに、「精神疾患等に関する正しい知識を体感的に身に着けさせることは精神疾患患者の未治療期間の短縮となり、精神障害者の回復を早めることにもなる。更に、精神疾患に至らなくとも心に不調を感じた時にも対処方法を身につけられるという効果もある。 以上のようなことから義務教育段階からの心の健康に関する体感的な福祉教育は大切であると考える。また、教職員に対する研修も必要といえる。 以上は厚生労働省のメンタルリテラシーにも合致する。しかし、メンタルヘルスリテラシー」は、疾病に関する教育が、知識を増やすことには効果的であっても、精神障害者に対する態度の変容には影響がないことが、国際的にも、先行研究で明らかになっている。厚労省が「心の病気になってしまったら」との表記があるので仕方ないが、「なってしまう」という表現は、病気や障害をもつことへのネガティブなメッセージを内包したものである。そのため、逆に児童・生徒に新たなる精神疾患に対する誤解や偏見、さらには恐怖心を植えつけてしまう危険性をはらんでいることを懸念し「福祉教育」を実施することで、その危険性を回避していく計画も大事である。つまり、自分自身や自分に一番身近な人や友達の変化に敏感になり、察知したときに行動できるようになる福祉教育計画が大事である。 〈教育は最大の予防と偏見・差別の解消の手段〉 1.「心の病気(精神疾患)のこと」を誰もが知っているようにする 2.「心の病気は予防が大切であること」を教える 3.「心の病気に早く気づき」「もし心の病気になってしまったらどうしたらいい」「心の病気の人にどう接したらいい」について義務教育(小・中)と高等学校段階までに備える教育が重要。 例えば、オーストラリアの精神保健プログラムプログラム,マインドマターズなどが参考となる。(月刊みんなねっと2016年9月号特集「メンタルヘルスと福祉教育をめざして」、2015年10月号の特集「精神障がい・精神保健の正しい教育を」参照されたし)  【伊藤委員】 障害者基本計画(第3次)の「1.基本理念」にあるように、「すべての国民が、障害の有無にかかわらず(以下省略)」「社会への参加を制約している社会的な障壁を除去するために」は何を具体的に取り組むべきかを明確にしなければならないと考えます。その「障壁」とは人が作り出したものであり、具体的には人が作り出したものに他ならないと考えます。そのもっとも具体的な例は様々な分立した「法律」ではないでしょうか。人が作り出したものは人によって改革することも改編することも可能なはずです。将来に向けての理想も盛り込むべきではないでしょうか。 単に「谷間」の問題ではありません。全ての「障壁」を取り除かなければならないのです。まずは障害者手帳の在り方について検討を行うべきです。 障害であろうと、高齢であろうと、子どもであろうと、難病や長期の慢性疾患であろうと一切の区別をすることなく、社会の支援が必要な人には必要な支援を行うことを明示していただきたい。それを阻み、区別し、対象を選別するのは差別解消法の精神から見ても妥当なことではありません。政府が最も力を入れるべき課題であると思います。  【河井委員】 ・第4期障害福祉計画に障害児の項建ができた。障害者基本法においても必要と考える。 ※第4期障害福祉計画で障害児、特に医療的ケアに関して取り上げられることとなっているが、障害者基本計画での位置付けが無ければ必要ではないか。 ・平成27年1月から「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」が開始され、小慢児等の自立とは何かということから始まり、その対策等が議論されている。自立とは就業し、賃金を設ける事だけではなく、重症心身障害児者がいることにより周りの雰囲気が明るくなり、和やかさを醸し出す、というような事も自立の一種であるというような基本計画づくりをご検討願いたい。 ・障害者基本法で言われる「自立」とは「障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。」とあり、支援を得ながらも社会に参加していくことを目指している。一方介護保険法では「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」とあり、日常生活での自立を目的としている。したがって、安易な介護保険優先の論理に迎合することなく、障害者の自立をしっかりとした文言として入れるべきであると考える。  【佐藤委員】 T.障害者基本計画(第4次)について ○位置づけ 障害者権利条約批准後、最初に立案される計画であることから、条約の完全実施に寄与する内容とすべきである。そのため、タイトルや構成を含めて、第3次計画から大きく刷新すべきである。 ○対象期間 対象期間については、国連障害者権利委員会による政府報告の審査の期間に対応して、現行のまま5年計画とすべきである。 ○構成 障害者権利条約との対応関係がわかりやすいように分野別施策の項目を再編すべきである。条約の条文構成は以下のとおりである。 第5条:平等及び無差別、第6条:障害のある女子、第7条:障害のある児童、第8条:意識の向上、第9条:施設及びサービス等の利用の容易さ、第10条:生命に対する権利、第11条:危険な状況及び人道上の緊急事態、第12条:法律の前にひとしく認められる権利、第13条:司法手続の利用の機会、第14条:身体の自由及び安全、第15条:拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由、第16条:搾取、暴力及び虐待からの自由、第17条:個人をそのままの状態で保護すること、第18条:移動の自由及び国籍についての権利、第19条:自立した生活及び地域社会への包容、第20条:個人の移動を容易にすること、第21条:表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会、第22条:プライバシーの尊重、第23条:家庭及び家族の尊重、第24条:教育、第25条:健康、第26条:ハビリテーション(適応のための技術の習得)及びリハビリテーション、第27条:労働及び雇用、第28条:相当な生活水準及び社会的な保障、第29条:政治的及び公的活動への参加、第30条:文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加、第31条:統計及び資料の収集、第32条:国際協力 たとえば、条約第6条、第12条、第13条、第23条、第31条は第3次計画から欠落している。また、条約第9条、第20条については第3次計画で「生活環境」に、第15条、第16条については「権利擁護の推進」に、第29条については「選挙等における配慮等」にまとめられているが、条約の規定からは不十分である。さらに、条約第30条の規定や東京オリパラの開催を踏まえ、「教育,文化芸術活動・スポーツ等」としてひと括りにすべきではない。 U.基本的な考え方 ○基本理念 日本が条約を批准して最初の計画作成であることから、冒頭に条約の目的(第1条前段)、社会モデル(第1条後段)、原則(第3条)を明記すべきである。 ○基本原則 条約第6条を踏まえ、障害のある女性に対する複合的差別の解消を追加すべきである。 また、原則規定であることから、障害者基本法第3条を根拠としている「地域社会における共生等」の「可能な限り」の文言(2ヵ所)を削除すべきである。 さらに、条約第2条において、 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。 とされており、これを「差別の禁止」に盛り込むべきである。 ○国際的協調 条約第37条で締約国と国連障害者権利委員会の協力が規定されていることから、日本が条約を批准したことを踏まえ、この趣旨を盛り込むべきである。 基本原則 (3)国際的な協調 2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の実施については、内閣府の基にSDGs推進本部が設置され、SDGs実施指針の策定が進められている。このSDGsのゴールや指標の中には、障害者について言及がなされている。本基本計画においても、SDGs達成のための取り組みについて盛り込むべきである。 ○権利条約に相応する項目立てをして、欠格条項見直しをその中で扱うこと(再掲) 欠格条項の見直しは、障害者権利条約第四条「一般的義務」1項b (※2)との対応で取り扱われるべき基本的課題であり、第四次障害者基本計画では、権利条約に相応するような項目を立てて(例: 社会的障壁の除去、権利擁護)、その中で扱うべきである。 ※1 第三次障害者基本計画 9.行政サービス等における配慮(4)国家資格に関する配慮等 ○ 各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう,試験の実施等において必要な配慮を提供するとともに,いわゆる欠格条項について,各制度の趣旨も踏まえ,技術の進展,社会情勢の変化等の必要に応じた見直しを検討する。9-(4)-1  ※2 「成年後見利用促進法」第9条「成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律の改正その他の同条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずる」 ※2 条約第四条1項b 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。  【柘植委員】 ・用語の問題(英語訳と日本語訳) “inclusion” “full inclusion” “inclusive” “inclusive education” “inclusive society” “social inclusion” ・・・等の用語の日本語訳が統一されていない(省庁間で、さらには同一省庁の中でも)ので、整理する(各省庁横断的に、全体的に目配りして)。 それらの用語は、日本語では、共生社会 インクルーシブ インクルーシブ教育 インクルーシブ教育システム、包容、包容する教育、包摂、社会的包摂・・・。 (中央教育審議会の教育振興基本計画部会(第7回、第8回)での発言。障害者政策委員会(第30回 2016年10月21日(金))での発言。) 今後の障害者政策が、一般国民にも分かりやすいものにするために。 この分野の学術研究の一層の充実につなげるために。 この分野を国際的な視点から捉えるために(国際比較を容易にするためにも)。  【山崎委員】 憲法に規定される幸福追求権や生存権の観点から計画を作成すべき。    U 分野横断的事項  【安藤委員】 ■通学中、学校内、通勤中、職場内での人的支援の提供の在り方について 障害者差別解消法および改正障害者雇用促進法の施行により、学校設置者や雇用主について合理的配慮の提供義務が課せられた。 しかし、障害者政策委員会差別禁止部会の「『障害を理由とする差別の禁止に関する法制』についての差別禁止部会の意見」(平成24年9月14日)や社会保障審議会障害者部会の「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて」(平成27年12月14日)に見られるように、通学中、学校内、通勤中、職場内での人的支援が合理的配慮によって提供されるべきなのか福祉サービスによって提供されるべきなのかについて、未だ結論が出ていない。 一方で、平成30年4月1日に施行される改正障害者総合支援法では、重度訪問介護について、医療機関への入院時も一定の支援を可能とすることが盛り込まれている。これは、医療機関による合理的配慮と福祉サービスの役割分担のなかで、福祉サービスが一歩踏み込んだ事例である。 したがって、長年の課題となっている通学中、学校内、通勤中、職場内の人的支援についても、早期に結論を出すべきである。  【石川委員長】 ・障害統計の整備  【石野委員】 どの分野においても、まずその情報に「自由に・確実に」アクセスできる環境を整えることを明記する必要があるのではないか。 障害者にとって、情報の取得の「しやすさ」、取得した情報の「わかりやすさ」はそれぞれの権利を行使するためにも「情報アクセシビリティ」に配慮することは分野に関わらず必要な「環境整備」として考えるべきである。  【大日方委員】 障害者に関する統計の取り方について、ニーズを正確に把握するための調査の工夫、あり方について検討することが必要。 障害者手帳を持たない高齢障害者の増加、障害者の多様な暮らし方の変化に柔軟に対応していくためにも、また、就労状況や生活支援などにおいて性別の違いにより、どのような配慮が必要なのかなど、政策を検討するために必要な実態を把握しやすくするための工夫が必要。障害のある女性の権利を守る取組を行うためにも、統計の取り方を工夫する必要がある。  【加藤委員】 〇障害児者が地域で生きる時、彼らの各種様々なニーズに対して一個人、一職種、一機関で完結することはありえない。結果として縦横の時間的・空間的な各種連携が不可欠である。それらを促進するための制度的な規制緩和策や促進策が必要である。 〇縦横連携の効果的で効率的な展開のためには当事者の情報の共有が不可欠となる。そのためのtoolとしてのハード、ソフト両面からの手立ての構築が不可欠である。もちろん、この情報の所有者は本人であることは言を俟たない。  【河井委員】 ・高齢障害者の課題 生活支援、社会参加、スポーツ、芸術等に関して 包括ケアシステムとの関わり  【佐藤委員】 U.基本的な考え方 ○インクルージョンについて 条約第3条で「包容」(インクルージョン)の原則が掲げられ、また、第19条、第24条、第26条、第27条などの各則でも「包容」(インクルージョン)に言及されている。特に第19条は、保護の客体から障害のない人と平等な権利の主体へパラダイムを転換する、この条約の基礎となる条文とされている。よって、すべての分野においてインクルージョンの観点から施策が進められるべきであり、「各分野に共通する横断的視点」に盛り込むべきである。 ○立法府や司法府に関する事項について 条約第1条では「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること」が目的とされていることから、立法府や司法府における条約の実施状況についても監視が求められている。 当面、この監視が適切に行われるように、両者の協力を得ながら障害者政策委員会として状況把握をできるようにすべきである。 その上で、立法府と司法府に関する監視の具体的な体制を、国として第4次計画の期間中に構築すべきである。 ○障害者の自己決定の尊重及び意思決定の支援 条約第12条に関する国連障害者権利委員会の一般的意見第一号(2014年5月19日版)では、 法的能力の行使における支援では、障害のある人の権利、意思及び選好を尊重し、決して代理人による意思決定を行うことになってはならない。 とされており、意思決定の支援については、これを踏まえ行うべきである。 ○欠格条項に代表される法制度の障壁の総点検と根本的な見直し(再掲) 2001年から2002年にかけて主な法令の欠格条項見直し改正がされたが、それ以降は包括的な調査及び見直し作業は行なわれていない。この間に権利条約採択と日本政府の批准、差別解消法の施行という進展があったことを反映できていない。従って、第三次基本計画※1を継承しつつ、「行政サービス」という区分にとどまらず、欠格条項に代表される法制度の障壁の総点検と根本的な見直しに取り組む第四次基本計画策定が求められている。 ○成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律改正(※2)(再掲) 欠格条項見直しと重なることで、併せて扱われなければならない。この課題の遂行、及び、成年後見制度のありかたについて、権利条約に照らして成年後見制度利用促進委員会のみならず政策委員会においても(例えば合同の会議を設けることも含めて)更なる議論が必要である。 ○SDGs実施枠組みでの障害者問題の主流化を 2015年に採択されたSDGsは、「誰も取り残されない世界の実現」を目指しており、その目標達成のために実施される国内外での取り組みにおいて、障害者や女性への配慮が不可欠となっている。SDGs実施指針案の主要原則の中には、包摂性と参加型が明記されていることから、今後SDGs推進本部を中心としたSDGs実施過程において、障害の問題を女性や子供等と同様、横断的な課題とし、障碍者団体の代表が参加する形での省庁横断的なステークホルダー会議の設置や、円卓会議への障害者団体の代表の参加等、国内外におけるSDGs実施枠組みを障害者の問題を主流化した形で策定できるよう努める必要がある。また、SDGsの指標の達成状況をしるための基礎データを収集するため、適切な統計データを取るための調査が必要である。  【柘植委員】 ・発達障害児者の教育や福祉等の横断的な事項 (教育分野における「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の他分野との接続) 改正された発達障害者支援法(教育(第8条))に「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」の作成と活用について明記されたことを踏まえて、発達障害児者の早期から生涯に渡る必要な支援を、それぞれの年齢やライフステージや機関等で閉じることなく、個人情報の保護の視点も踏まえながら、包括的な一つの計画として構築し運用する。(諸外国の先進的な制度や実践を参考にして) そもそも、作成を奨励するのではなく、法令上作成を義務付ける必要がある。(諸外国の先進的な実態を踏まえて。) ・大学における発達障害者への就労支援の充実 すべての大学・高等専門学校における発達障害学生への支援プログラムの構築を行う。 発達障害支援コーディネーターの創設の検討も。  【山崎委員】 @事業所やグループホームを既存の建物や住居を活用して整備する際に障壁となる法律(建築基準法や消防法)については、障害者の地域移行などが阻まれることのないよう規制緩和に向けた省庁間の連携の強化と速やかな対応が図られるべきである。 A障害のある方の日中活動の場や施設で生産した生産品等の販売などが広く行えるよう、民間施設(鉄道の駅や空港など)であれば社会貢献としての場所の提供、また、公共施設(公園など)の利用における規制緩和など更なる推進がなされるべきである。 B障害福祉計画との連動性のある計画にし、抽象的な文言ではなく、実態調査など現状を把握したうえで、より実現可能性のある実施計画を盛り込むべき。 C幼児期から成人期、高齢期までシームレスな仕組みにすべき。    V 分野別施策等   (1)生活支援  【阿部委員】 社会参加の機会の確保のためには障害者同士の支援、障害者団体活動、ピアサポート、障害者相談員が大きな意義と役割を持つのではないか。 ピアカウンセリングという1対1の個別的、限定的なものだけではなく、ピアサポート(当事者や当事者団体間における相互支援)こそが、現代社会では求められているのではないか。 現時点で障害福祉サービス(自立支援給付)を受けていない障害者の社会参加活動の充実も元気づくり、健康づくりにつながり、将来の介護費用の削減につながるのではないか。 専門職の人材の育成・確保のみならず、ピアサポーター、障害者相談員、障害者団体運営のための人材の育成、団体活動の支援が求められているのではないだろうか。  【安部井委員】 【事項】 1.医療的ケアを必要とする在宅の重症心身障害児者のための短期入所、日中活動の場の計画的な整備とサービスの質の向上等 2.医療的ケアを必要とする在宅の重症心身障害児者に対応できる医療機関や訪問看護事業所が少なく、訪問看護の利用範囲が限られている。 3.成年後見制度における身上監護について 【説明】 1.医療的ケアを必要とする在宅の重症心身障害児者のための短期入所、日中活動の場の計画的な整備とサービスの質の向上等 ・在宅重症心身障害児者の短期入所は、人工呼吸器をはじめ様々な医療を必要とするため、重症児(者)施設や病院でなければ受入れ困難。 ・身近な場所に日中活動の場が未整備のため、サービスを選択することは困難。通所施設に合わせて転居せざるを得ない現状がある。カ所数を増やしていくことが必要。 ・重症心身障害児者は感染症に弱いため体調が急変し、入院や在宅療養のため通所をあきらめざるを得ない事例が多く、安定的な事業所運営に支障をきたしやすいことが通所事業所の拡充の妨げになっていると聞いている。通所先が運営継続されるために、安定した施設運営ができる財政的な支援体制が必要。 ・中でも、人工呼吸器を利用している場合、受入れのキャパが限られている。看護する家族支援のために受け入れてくださっている医療職の方々に感謝しているが、マンパワー不足によって解決の糸口が見いだせない。 ・在宅支援に欠かせない看護師やホームヘルパーの育成・養成機関に、重症心身障害児者の特性に関して受講する機会が少ないために、マンパワー確保困難の一因となっている。 2.医療的ケアを必要とする在宅の重症心身障害児者に対応できる医療機関や訪問看護事業所が少ない。 ・NICUを退院した濃厚な医療的ケアを必要とする障害児を家庭で看護する保護者(特に母親)は、24時間365日、片時も目を離せず、疲労の極度に立たされている。 ・これらの保護者を支援するため24時間の訪問医療、訪問看護、訪問介護体制の整備が望まれる。 ・居宅以外の場所での看護が可能となることで、本人の生活の幅が広がり、介護者の負担軽減にもつながる。 3.成年後見制度における身上監護について ・士業型後見人は財産管理を主たる業務としているが、親が望む本人に寄り添った身上監護は業務に入っていない。士業型後見人や市民型後見人の身上監護支援業務の幅を広げるために、研修の場が必要ではないか。 ・重症心身障害者に手術などの医療行為を要する場合、第三者後見人にはその医療行為に同意する権限が付与されていない。重症者の命や人権を守るために、緊急時や終末期における医療行為の判断に法的な体制や仕組みが形作られていくことが望まれる。  【安藤委員】 ■社会福祉の分野横断的な取り組みについて 厚生労働省の第1回「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム・幹事会」(平成27年9月17日開催)や第1回「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」(平成28年7月15日開催)では、子育て、高齢、障害、貧困などの相談支援体制の総合化、包括化、ワンストップ化の方針が打ち出されている。 また、第2回「プロジェクトチーム・幹事会」(平成28年3月24日開催)では、通所系サービスの分野横断的なサービス提供を促進する方針が打ち出されている。 さらに、同省の第3回「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」では、論点整理のひとつとして、精神保健福祉における地域包括ケアシステムの構築が提起され、第82回社会保障審議会障害者部会(平成28年)でも、障害者総合支援法に基づく第5期障害福祉計画(平成30年度〜平成34年度)の基本方針の成果目標のひとつとして「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」を盛り込む案が提示されている。 これらの取り組みは、ただちに介護保険と障害福祉サービスの財源面での統合につながるものではないと考える。しかし、一方で、多くの障害者団体が統合に反対していることも事実である。したがって、障害者施策の範疇を超えるテーマではあるが、障害者政策委員会としても引き続き注視していく必要があると考える。  【飯塚委員】 ●相当な生活水準及び社会的な保証 権利条約第28条では、障害者及び家族の相当な生活水準を営む権利があり、貧困の状況において生活している障害者及びその家族が障害に関連する費用についての国の援助を利用する機会を有することとされている。しかし、重度精神障害者及びその家族は多くの場合低所得世帯であり、経済的に困窮している。以下の施策を求める。 ・医療を受ける以外に引きこもり状態の重度精神障害者への経済的支援 ・医療費の助成 障害者総合支援法に基づき、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療について、医療費の助成を行う。自立支援医療の精神科にとどまらず、他科診療についても身体・知的と同等の助成となるよう自治体への指導強化を求める。 ・障害者年金 障害者が地域で質の高い自立した生活を営むことができるよう、雇用・就業(自営業を含む)の促進に関する施策との適切な組み合わせの下、年金や諸手当を支給するとともに、各種の税制上の優遇措置を運用し、経済的自立を支援する。また、受給資格を有する障害者が、制度の不知・無理解により、障害年金を受け取ることができないことのないよう、制度の周知に取り組む。また、障害年金の裁定に「ガイドライン施行時において、障害基礎年金及び障害厚生年金を受給していた方の再認定に当たりましては、ガイドライン実施前の認定も障害認定基準や認定医の医学的知見に基づいて認定されたものであることなどを踏まえまして、受給者の障害の状態が従前と変わらない場合につきましては、当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とします」とされたが、新規分も含め期限を限定せずに適切な対策を講ずべきである。 さらに、年金生活者支援給付金制度の着実な実施により所得保障の充実を図るとともに、障害者の実態把握に係る調査を引き続き実施していく中で、所得状況の把握についてはその改善を検討する。このとき、就労所得を得ることが年金の切り下げに影響するのではないかという心配で就労意欲を削ぐことのないよう制度確立が欠かせない。 ・65才以降の介護保険サービス適用 介護保険サービスの利用者負担(1割)が重荷になる。これを軽減するよう利用者負担を軽減(償還)する仕組みを65歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを受けていた障害者に限定せず65歳を過ぎても障害福祉サービスに相当の場合ももれなく反映すること、障害福祉サービス事務所が介護保険事務所に転換しやすくすること等の、障害福祉サービスプラス介護保険サービスの円滑な利用を促進する際には、質の担保がなされるように要望したい。 ・成年後見制度の利用促進 成年後見人が一人で対応するのでなく、普段の生活を熟知した家族・関係者や、福祉の専門職等の意思決定を支援する者が継続的に集まり、本人を中心に協議するなど、相談・連携できる体制づくりが必要である。そのためにも成年後見制度の利用度が低い現状に鑑み、家庭裁判所の裁判官等を増員すべきである。また、財産管理と身上監護の充実を行ない包括的な利用が障害者権利条約と照らして矛盾のない制度にすべきである。 ●家庭及び家族の尊重 障害者権利条約第23条では、障害者が婚姻する権利、子を出産する権利を認めることとされており、それを可能とするための必要な手段が提供されることと書かれている。特に障害者が子の養育についての責任を遂行するにあたり、できる限り父母から分離されないように適切な援助を提供することも明記されている。日本でも精神障害者の約半数に婚姻歴があり(精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査 外来調査 平成15年)、約3割の女性患者に出産歴があるとの報告(関口ら,2007)がある。海外では精神疾患のある女性の約7割、男性の約6割が親になるという報告もある(Royal college of psychiatrists, 2014)。精神障害の軽症化などにより、今後、障害者の婚姻や出産は増加すると考えられ、これらを実現するために以下の施策を求める。 ・障害者と配偶者の経済的困窮への対策 特に男性が精神疾患を発症すると、それまで家計を支えてきた者が職を失うことになる場合が多い。女性配偶者が経済的に自立していない場合は、すぐに経済的困窮に陥る。また、双極性障害ではそう状態において浪費という症状が出現するため、多重債務等に陥ることが珍しくない。経済的支援や相談窓口を明確化するなど早急な対策が必要である。 ・親が精神障がいの場合の育児サービス、家事援助サービスの拡充 精神障害や発達障害は、「目に見えない障害」であるがゆえに、周囲の理解を得られにくく、十分なサービスの提供を受けられないでいる。身体に障害がある人は、障害が目に見えるので、不十分ながらも支援に繋がりやすい側面がある。NHKの番組に登場された両上肢機能障害の母親には、月66時間の家事支援の給付がされていた。一方、双極性障害で精神障害者手帳2級の認定を受けているケースでは、希死念慮等がありほとんど外出ができないような状態であるにもかかわらず、家事支援の給付が月5時間に留まっているような事例がある。 また、当事者の性別によって給付の差が出ている。当事者が女性の場合、家事支援の給付は比較的容易に受けられる。ところが当事者が男性の場合、給付が受けられないケースが多くある。夫に障害がある場合、妻には仕事、家事、育児などの全ての負担が圧し掛かる。しかし「家事は女性の仕事」という古い概念から、支援を受けられないケースが多々存在している。早急に性差による受給状況の調査を実施し、改善を図かることを要望する。 参考資料 ・精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査 外来調査 平成15年 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/11/s1111-2c.html#mokuji ・関口典子・中本幸治・渡辺敦司・ほか: 精神疾患に罹患する母とその児の関係;統合失調症女性患者の婚姻,育児についての予備調査.精神神経学雑誌2 07 特別号; S171 ,2007 . ・Royal college of psychiatrists, 2014 http://www.rcpsych.ac.uk/healthadvice/parentsandyouthinfo/parentscarers/parentalmentalillness.aspx ・NHK バリバラ 独自企画 根性で頑張らないといけない? 〜障害者の子育て事情〜川中昌世さん(38歳・両上肢機能障害)とひなこちゃん(2歳) https://www.nhk.or.jp/baribara/genre/original/genre3_1.html  【石野委員】 (1)相談支援体制の構築 障害者のうち視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由などのうち2つ以上の障害を合わせ持つ重複障害者に対する支援に関する項目がないので、加えるべきではないか。 (理由)重複障害者(精神障害・発達障害などを含む)は、個々の障害種類や質や程度、生活実態が違う上、意思疎通も様々である。障害の特性に応じたコミュニケーション手段でサービスが利用できる支援体制の構築が必要であると考える。 (3)障害児支援の充実 1-(3)-3 「障害児の発達を支援する観点から…」における「療育方法等に関する情報提供やカウンセリング等の支援を行う」という記述部分について、情報提供やカウンセリングの内容が特定の立場に偏らないよう、医療・療育に加えて教育、福祉、当事者の社会参加も入れた連携体制を構築していくこと、その連携からの情報提供やカウセリング等の支援を行うべきではないか。 また、成人した障害当事者からも情報を得られるための体制構築の必要性についても記載することが必要と思われる。 (理由)聴覚障害の場合、聴覚障害児の保護者へ医療従事者や言語聴覚士等の専門家による情報提供が人工内耳に偏った視点から行われることがしばしばある。 また、障害児を持った保護者が成人した障害者からの情報や助言を受ける機会が乏しく、障害当事者ではない専門家からの情報にのみ頼らざるを得ない状況がある。保護者が幅広い情報に基づいて子供の療育方法を考えられるようサポートする体制の構築を進めるためにも上述のような改善が必要だと考える。 (4)サービスの質の向上 1-(4)-3 福祉サービスの提供におけるコミュニケーション面の配慮の必要性についても記載すべきである。 (理由)ここでは知的・精神障害者の福祉サービスの適切な利用に向けた支援の必要性を強調しているが、全ての障害それぞれにおけるコミュニケーションの質・配慮のあり方は違っており、個別のニーズに柔軟に対応することを明記することは重要であると考えられるため。 また、聴覚障害者の場合「福祉サービス」というのは地域生活支援事業における意思疎通支援事業となるが、個別給付の事業においても、聴覚障害者の利用方法や、意思疎通支援の保障は今後の課題となると思われる。 (5)人材の育成・確保 1-(5)-1 専門的な人材育成の際に、障害当事者による相談員の育成も加えるべきであると考える。 (理由)相談支援で、障害当事者である相談支援者が同じ障害者に接することで、体験の共有者としてより適切な相談支援が実施することが期待できるため。  【伊藤委員】 1−(1) 追加 ・医療過疎地や重症の患者、通院回数の多い患者への通院支援    ・ポストポリオなど障害の多重化への対応 1−(6)    ・福祉用具の研究開発に、AIの利活用重点化  【岩上委員】 <障害者基本計画関連成果目標1> 今後の目標数値には、1年以上入院している精神障害者18万5千人のうち重度かつ慢性といわれる6割を除いた4割に方の必要なサービスとして、障害福祉サービスと介護保険サービスの目標値を計上すべきと考える。  【門川委員】 ・わが国は、見えるか聞こえるかを前提とした支援機器がほとんどで、目と耳の両方に障害のある盲ろう者にとって、使える機器がきわめて限られている。 ・第3次障害者基本計画の1の(6)にある「福祉用具の研究開発」と関連して、希少障害である盲ろう者に必要な支援機器の開発や普及を促進する必要がある。  【加野委員】 第3次障害者基本計画1(1)4では、「知的障害又は精神障害(発達障害を含む。)により判断能力が不十分な者による成年後見制度の適正な利用を促進するため,必要な経費について助成を行うとともに,後見等の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るための研修を行う。」とされているが、障害者権利委員会は、障害者権利条約第12条に関し、締約国は、後見人制度及び信託制度を許可する法律を見直し、代理人による意思決定制度を、個人の自律、意思及び選好を尊重した支援付き意思決定に置き換える法律と政策を開発する行動を起こす必要があると述べているところであり(障害者権利委員会一般的意見2014年1号)、成年後見制度の利用の促進は、障害者権利条約の考え方と逆行するおそれがある。 成年後見制度においては、成年後見人には成年被後見人の意思の尊重義務が法定されてはいるが(民法858条)、どのようにして、どの程度成年被後見人の意思が尊重されるかは運用次第である。 まずは、知的障害又は精神障害(発達障害を含む。)により判断能力が不十分な者に対する望ましい意思決定支援の制度を構築し、合わせて成年後見制度を見直し、障害者に対する意思決定支援の制度の充実を図るべきである。 また、同計画1(4)3では、「知的障害者又は精神障害者(発達障害者を含む。)が障害福祉サービスを適切に利用することができるよう,本人の自己決定を尊重する観点から,意思決定の支援に配慮しつつ,必要な支援等を行う。」とされているが、その実施内容として、実施状況に記載されているのが、成年後見制度の利用促進状況であるのも不適切である。法定代理人である成年後見人の意思決定ではなく、本人の意思決定の支援が記載されるべきである。  【河井委員】 ・現行の成年後見制度では、医療判断を行わない。適切な身上監護を行う上で、医療判断を迫られる場合も考えられる。保護者や親族が近くにいない場合の医療判断について検討すべきではないか。 ※後見人は、命を預からないので、医療判断の範囲を決めて求めてはいかがか。 ・相談支援の重要性が謳われながら、その達成率は低くなっている。相談支援事業の在り方や人材の育成などについての更なる検討、対策が必要と思われる。 ・児と者の相談機関の連携をより一層術実が具体的に図れるよう検討すべきと考える。 ・医療的ケア従事者の身分を保障する制度を検討し、医療的ケアを安心して利用できるよう求めるべきと考える。 ・グループホームの整備について。「施設から地域へ」を謳う限り、地域の生活基盤が必要である。全国の市町村ではグループホーム等の家賃補助制度を単独で設けている所がある。その制度のない市町村もあるので格差をなくすよう働きかけていただきたい。  【北岡委員】 この間、国において障害者の地域生活、地域移行を進めてきた点は高く評価をしている。その上で、障害者の地域生活の第2ステージに向けてさらに前進していくことが必要である。そのためには地域生活が基本であることを打ち出し、施設や病院からの地域生活への移行が大きく進むようにしていくことが重要である。 特に、高次脳機能障害など谷間にある人々をはじめ、より困難な状況にある方々が必要な支援を得て地域生活が実現できるよう、第4次計画では支援体制やサービス基盤の構築がスピード感を持って着実に進むように行われるべきだと考える。 第3次計画がスタートしたのは平成25年度であるが、高次脳機能障害支援に関して言うと全国に支援拠点が設置完了したのが平成22年度。第3次計画が検討され、作られたのが平成22〜23年度頃と考えると、相談支援が端緒に就いたばかりの時期と言っても過言ではない。そのため、地域生活支援の視点より、医学的リハビリテーションの充実に重きがおかれ、平成13年度〜17年度のモデル事業で取り組まれた評価と訓練プログラムに関する内容となっている。医療中心の支援から福祉の支援も視野に入れた、より生活支援に焦点を当てた内容にされるべきである。例えば、発達障害者児・者については、「発達センターを中心とした地域生活支援体制の充実」と書き込まれており、この様な内容を入れるほか、医学的リハビリテーションだけでなく、社会的リハビリテーションの視点も入れることが必要だと考える。  【佐藤委員】 ○脱施設化の取り組み 条約第19条は、 障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。(a項) について、「効果的かつ適当な措置をとる」(柱書き)ことを締約国に要請している。ここでの「義務を負わない」とは、法令に基づく義務だけではなく、地域生活を選択する機会が事実上確保されていない状態も含まれる(条約制定過程での議論、国連人権高等弁務官事務所ガイダンス、他国の政府報告に対する国連障害者権利委員会の審査、ロン・マッカラム氏の講演、など)。 このことから、政府として、現行の障害福祉計画よりも質的な深化を伴った効果的な脱施設の計画を策定し、年限とあるべき目標の設定によって実効性を確保すべきである。 また、これに対応するため、条約第19条b項を踏まえ、地域生活の支援に必要なサービスの基盤整備について、年限とあるべき目標の設定によって実効性を確保すべきである。 条約は、障害の種別や程度に関係なく、すべての障害者に地域生活の権利を認めている。よって、現在検討されている障害福祉計画の基本指針のように、入所者の障害の重度化や高齢化を理由として、地域生活移行者数や施設入所者数削減の成果目標を抑えるのは適切ではない。 【参考】 国連障害者権利条約第19条 この条約の締約国は、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。この措置には、次のことを確保することによるものを含む。 (a)障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。 (b)地域社会における生活及び地域社会への包容を支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること。 (c)一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の者との平等を基礎として利用可能であり、かつ、障害者のニーズに対応していること。 ロン・マッカラム氏の講演(障害者政策委員会・第21回) 第19条は、障害者が地域社会で暮らす権利について書いていますので、これも重要です。ほとんどの国では、大きな施設をなくし、障害者が地域社会で暮らしていけるためのプログラムをつくっています。そして私は、日本も同じ方向に進んでいると思っております。 第19条を見ていただければ、重度の障害のある人たちが、まだ何人この施設にいるかということを見てもいいかと思います。 これはほかの国でもそうだと思いますが、例えば私は中国の上海でもそれを見ましたが、やはり多くの国では、障害のある人たちを施設から出して、コミュニティで自立した生活を送れるようにしております。この分野においても、日本はまだ改善の余地はあるかと思います。 ニュージーランドにおきましては、2つのプロジェクトについて話しました。それは、人々を施設からコミュニティにどのように移すかというプロジェクトについてです。障害者権利委員会は、そうしたことを知りたいのです。何が成し遂げられたか、それはあると思いますし、まだ幾つか到達していない点があると思います。そのために何をしようとしているかを書くことが大事です。 ◯脱施設、地域移行を促進するための在宅サービスの充実を阻害する「社会的障壁の除去に資する」(障害者総合支援法・第1条−2)行政判断のあり方の視点 例1)常時介護を必要とする障害者の場合、日中及び夜間における医療的ケア「及び見守り」を含む支援の質と量の充実を図るべきである。 例2)公序良俗または社会通念を理由とした規制、制限が、権利条約でいう他の者(障害のない者)との平等の視点からして過度にならず、社会参加の後押しになるように、条約の理念の徹底を図るべきである。 〇障害のある女性の身体的介助について同性介助を標準とすること 障害のある女性の身体的な介助について同性介助を標準とすることを計画に加える(本人が同性介助を希望しない場合は除く) 第2期の政策委員会で行った「議論の整理」にもあるとおり切実なニーズであり安心・安全上も非常に重要である。  【高橋委員】 ○どのような場合でも地域で生活することが可能であるべきではないか。 ・特に児童にあっては、地域で家族とご一緒に生活することが望ましいが、家族の介護負担軽減に役立つ医療型短期入所事業所の設置が進まない。福祉型短期入所事業所での受入促進のための支援を行う必要があるのではないか。  【竹下委員】 権利条約12条(特に2項及び4項)の趣旨ないし精神を徹底する見地で本年10月に施行された成年後見制度利用促進法によって、成年後見制度において被後見人(本人)の主体性、意思決定権がどれだけ実現したかを検証することが必要である。そのためには、以下の方策が実施されるべきである。 1 成年後見制度の運用の実態を把握するための調査 2 被後見人(本人)及び保護者(または関係者)からのヒアリング 3 成年後見人等に対する調査ないしヒアリング  【玉木委員】 成年後見制度については、早期に意思決定支援法を制定して、本人中心の生活支援が行えるシステムにしていく必要がある。少なくとも、現状では、後見類型と補助類型が逆転状況であると考えている。本人の可能性などを確認していきながら、最終手段として、後見類型を活用すべきである。 また、成年後見制度を監視する役割の家庭裁判所が、そもそもいろいろな障害像や障害者権利条約をふまえながら審判をする力を持ち得ていない状況の中で、本当に障害がある人の権利が守られているのか、また、適正に権利行使支援が出来ているのか、疑問が残る。  【辻委員】 ・障害者総合支援法等一部改正法の施行にあたって、都市自治体、利用者及び事業者が新たな制度に円滑に移行できるような制度設計 ・相談支援事業について、相談支援専門員の養成・確保や相談支援事業所増設等の体制整備 ・発達障害者等に係る早期の発見・相談・支援等に対する人材の養成確保や拠点施設等の体制整備  【平川(淳)委員】 1、障害者自立支援法、障害者総合支援法において、3障害合同となり、障害認定も障害支援区分に改められ、精神障害も身体・知的と制度的には同等となり、目指す地域生活支援体制は変わらないと理解している。しかし、精神障害は固定した障害ではないため、その程度がわかりにくく、相変わらず適正な認定がなされていないのが実情です。たとえば一見、何も障害などないように見えても実際には、声掛けや適切な支援がないと全く風呂に入れなかったり、部屋がごみ屋敷のようになってしまったり栄養過多や栄養失調になってしまう等…アプローチの仕方は違っても支援を入れなければ、体の不自由な人や重い知的障害の人と同様に、人としての尊厳や命に関わる障害であることを、当事者本人も、行政機関も理解できず、現場ではたいへん混乱している実態がある。周知を確認するとともに、身体、知的と同等の地域生活支援体制整備を目指してほしい。 2、グループホーム(以後、GH)は従前から自立度が高い利用者に単に食事と寝床を提供する場と定義され、そのため報酬単価が通所系と比べて非常に低い評価となっている。しかし、重度な精神障害者を地域移行する中で、GHは重要な拠点である。精神保健福祉士や社会福祉士などの専門資格者の配置義務化や第三者評価の義務化等、質を確保し、GHの機能向上させることが必要である。また、質の確保のためには、営利や力量のないものが運営を始められないように事前審査も厳格にすべきである。そして、通所訓練の場、居住の場と硬直的に生活を分断して政策を立案するのではなく、トータルで見て、質や役割に応じた報酬形態に改める必要がある。 3、病院からの退院や居住系事業所からの退居それ自体を目的とし、その後、再発再入院になっても意に介さない事例を目にすることが多くなっている。本来は退院退居が目的なのではなく、当事者が“地域で安心して幸福に暮らし続けること”が目的なのであり、退院退居時点を評価するのではなく、その後の安定を評価する仕組みが必要である。また、現行はグループホームを退居したら施設スタッフではなく、地域の保健所や生活支援センターにバトンタッチすれば良いという考え方だが、その方法が良い場合と、継続して施設スタッフが中心になって関わったほうが良い場合があるという側面を理解していただきたい。当事者の問題の全体像を把握した上で、ニーズに合わせて、制度横断的に支援策を立て、資源を調達したり、開拓するコーディネートを行い、かつ、当事者の状況の変化に応じて継続的にサポートしていく『パーソナル・サポート・サービス』が求められている」といわれるようになってきている。従来の縦割り、分断を根本から見直し、形に囚われず真に当事者の幸福を追求すべきである。  【三浦委員長代理】 1 常時介護を要する医療的ケア児、医療的ケア者が通え(通所)、泊まれる(短期入所・入所・GH)障害福祉サービス、並びに家族の付き添い無しで通える学校の体制整備を進めるべきである。 2 医療的ケア児者の支援について、医療型と福祉型のすみわけを再検討し、障害者支援施設における療養介護(又は医療型生活介護等の新設)及び医療型短期入所等を認める。 3 相談支援、在宅サービス、居住の支援などの、障害福祉サービス全般におけるサービスの質の評価と、利用者の権利を守るサービス提供体制(人材確保)について対応を急ぐ必要がある。 4 相談支援事業所を障害者支援施設に併設し(予算措置を含む)、地域生活支援拠点として整備する。 同時に災害福祉ネットワークの拠点としても位置付け、地域生活支援拠点機能を高める。 5 成年後見制度の見直しと医療代諾権等の検討整理。(成年後見制度と権利条約の整合についてしっかり議論を重ねると共に、医療代諾についても一定の見解を整理する) 6 障害児者・難病者・小児慢性特定疾病等の支援の専門性を高めるための介護福祉士等の履修制度及び付加資格制度の導入を図る。 7 意思疎通支援における対象を拡充する。(地域生活支援で不十分なため 例:失語症等)  【山崎委員】 @意思決定支援と成年後見制度との関係についての更なる検討 2014年4月11日の国連障害者権利委員会により採択された障害者権利条約第12条に関する一般的意見1では、成年後見制度による代行決定の問題性(法的能力の権利の否定)が鋭く指摘された。この代行決定(substitute decision making)に代わるものとして「支援付き意思決定(supported decision making)」が示されており、前述の意思決定支援がこの「支援付き意思決定」に相当するものとして議論されていくことが求められる。 A重度化・高齢化に対応するための検討 ・常時支援を要する障がい者、高齢・医療的なケアを要する障がい者等が在宅等で安心して生活を送るため、医療体制の充実と相談機能の強化、グループホーム等を含めたハード面・ソフト面での地域支援、在宅支援の充実等を検討すべきと考える。 ・重度高齢化に対応するため「医療・看護・看とり等」の対応が可能な制度の検討が必要と考える。   (2)保健・医療  【飯塚委員】 ●精神障がい者の地域社会における生活の継続 障害者権利条約第19条には、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めること、地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービスを障害者が利用する機会を有することが明記されている。日本では精神科病院に長期入院を強いられている精神障害者が多く存在している。精神障害者の権利剥奪は精神科医療の特例に見られる低医療費制度体系と表裏一体の問題、偏見や差別が除去されてこそ普通の生活を送ることができる。なぜ、精神疾患を持つものだけが、入院の必要がなくなっても病院に閉じ込められていなければならないのか。病院敷地内でのグループホーム等の閉じ込めの域をでない制度は、認められない。長期入院患者の地域生活を可能にするため、また、極力入院せずに地域で生活を続けるためには、以下の施策が必要である。 @日本特有の精神科病院の抜本的改革 日本の精神科病院の在り方は、長期入院患者を多数抱え続けるという世界でも特異な状態である。その成り立ちと経過、現状については、みんなねっと誌に連載中の氏家憲章氏の記事を是非参照して欲しい。 その解消を図る為に、これまでも政策委員会で様々な検討がなされ、また実践されてきたが、長期入院者の退院促進事業は遅々として進んでいない。 日本の精神科病院の成り立ちの犠牲者ともいえる長期入院者が、ピアサポーターや地域生活支援者の力によって、安心して地域移行が可能となる仕組みを早急に推進して欲しい。 精神科病院敷地内におけるグループホームは、退院に向けた支援を徹底しても、なお、直接地域に出ることに不安に感じる方にとっての通過的な居住の場として、あくまで試行的・例外的に設置を認めるものである。グループホームからの退所の自由を説明し、また第3者の介入によりいつでも地域移行が可能となる支援体制作りを求める。 宿泊型自立訓練設備、グループホーム等とアウトリーチによる医療福祉の充実によって、 A病状悪化時も極力入院せずに地域生活を継続するための仕組み 医療中断者や緊急時に必要とされる入院治療への導入は、専門家が家庭に出向いて、本人が納得して同意が得られるまで働きかける必要がある。精神疾患には病状悪化時に昼夜逆転しやすいという特性がある。そのため、夜間の危機介入体制は地域生活を維持するために必要不可欠である。しかし、現状では精神科救急情報センターはあるものの、電話相談、確保した病床の案内、警察官通報の対応が主であり、専門家が自宅を訪問する体制はとられていない。欧米では、原則24時間365日専門家が緊急訪問するクライシス・インターベンションが導入されている国も多く、極力入院せずに地域でクライシスを乗り切る方向へと変化している。日本では、そのような仕組みがないために、地域生活を継続できずに、強制入院になってしまう。家族による止むを得ない医療保護入院に障害者が傷ついた例や暴力に至る例は多数発生しているが、緊急事態への支援策がほとんどないことに起因している。 家族の実態を調査して、本人・家族の叫びから生まれた“精神障害者の家族への暴力というSOS”を是非参照し、家族等同意のあり方や医療保護入院の妥当性に関する検証をして欲しい。 医療保護入院制度の非自発的入院における公的保護者制度の確立と本人の意思決定を無視しない自由かつ完全な合意を築ける対策が求められる。精神科医療でもインフォームドコンセントに留まらず、SDM(shared decision making)による医療側からの丁寧な説明による治療を選べる体制を整備する必要がある。 B精神障害者を地域で支える医療のあり方 現在一般的に行われている精神科医療を受け続けても、本人の生活実態を把握しその理解と対応策が図られなければ、本人の社会参加は困難である。薬物療法重視の医療は、5分間の医師とのやり取りに終わり、薬を飲む以外は家に引きこもり、社会参加ができないままで過ぎていく。精神障がい者は精神疾患のため日常生活や社会生活にかなりの制限を受けるため、自発性や集中力を回復させるのに時間がかかり、周りからの様々な支援が欠かせない。同居する家族は、何とか社会参加につなげよう、その人らしい人生を送らせようと努力し続けるが、実現できないでいる。“障害を理由とする差別の解消の推進”を謳って、全ての人が安心して暮らしていける共生社会を目指している現在、その対策を図らない医療の現状は、社会参加への障壁とも権利侵害とも言えるのではないか。大きな社会的損失ともいえる精神障害者の社会への不参加を解消する対策を、1日も早く実現して欲しい。 ・地域包括ケアシステムなどによる地域医療の全面的見直し、他職種で、デイケア、訪問看護、アウトリーチなどを実践している精神科医療機関の事情を把握し分析して、効果的で効率的な地域医療を拡充する方策を検討する。その際に、精神科医療機関と自治体との連携の在り方についても検討する。 ・精神科デイケアや外来医療の充実 ・多職種によるアウトリーチ(訪問支援)の充実 医療現場に、地域参加に導く精神保健福祉士などの配置が必要である。10万人に1ヶ所は必要とされる他職種チームによる訪問支援の仕組み(ACT)が理想だが、なかなか実現が難しい現在、地域支援を実現している医療機関に学んで、可能なところから早急に始めて欲しい。ACTの診療報酬化を叶えて欲しい。 ●精神障がい者の身体的健康を維持する保健サービスの提供  障害者権利条約第25条には、「締約国は、障害のある人が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める。締約国は、障害のある人がジェンダーを考慮した保健サービス(保健に関連するリハビリテーションを含む。)にアクセスすることを確保するためのすべての適切な措置をとる。」「(b) 障害のある人が特にその障害のために必要とする保健サービスを提供すること。当該保健サービスには、適切な場合には早期発見及び早期介入〔早期治療〕が含まれるとともに、二次障害〔新たに出現する障害〕、特に子ども及び高齢者の二次障害を最小にし、及び予防するためのサービスが含まれる」とある。精神障害者は、精神科の薬を長期間飲み続けることから生じる以下の問題への対策を求める。 ・精神疾患患者の身体科・産科の受け入れ促進 ・定期的に歯科検診を受けること・歯科医療を受けることが困難な障害者に対する歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持と増進を図る取組み ・障害の状況に応じた知識や技術を有する歯科専門職を育成するための取組み ・精神障がい者(特に外来患者)の肥満対策 平均寿命が15年程度短くなるとの海外研究の結果がでている。その原因の一つとして循環器系の疾患が考えられる。即ち、統合失調症患者では一般人口との比較でメタボリックシンドロームの有病率が高い傾向が見られる。 ・糖尿病等の生活習慣病の予防・合併症の発症や症状の進展等の予防をする ・栄養・食生活・身体活動・運動・休養・飲酒・喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善による健康の増進、医療連携体制の推進、健康診断・保健指導の実施等に取り組む。 ・訪問型サービスに管理栄養士を帯同させて食事等の相談に応ずるなど、健康管理上の支援サービスも提供できるようにすること。 ●身体の自由及び安全を保障した入院医療の提供  障害者権利条約第14条では、身体の自由及び安全を確保することとされている。しかし、精神科病院では強制入院、隔離拘束が行われており、自由や安全が保障されているとは言い難い。そのため、以下の施策を求める。 ・医療保護入院の廃止を目指す ・隔離・拘束を減らすためにも隔離、身体拘束が10年の間に2倍になったことについての実態把握となぜそうなるのかの原因分析と対策が必要、せめてWHOの拘束4時間原則を徹底させる。 ・精神科病棟における患者の権利擁護のために、家族や医療従事者から独立した権利擁護者の関与が不可欠である。なお、法改正後は、家族等のいずれでも退院請求が行えることとなっているが、退院についての説明と同意とを義務づけるべきである。 ●安全・安心に結びつく家族支援  *7「安全・安心」と横断的に 障害者権利条約第16条では、障害者だけでなく、その家族及び介護者についても暴力を防止するための適当な措置を取ることとされている。しかし、統合失調症患者の約6割でその家族への暴力が発生している[1]にも関わらず、家族への暴力を防止する施策は皆無に等しい。特に以下の対策を望む。 1.家族の安全確保として一時避難場所の確保 精神疾患が急変し、医療中断に陥る場合、家族に向けた暴力にいたる場合がある。 そのような場合は、外部からの支援が求められる。緊急の事態においては、家族がいったん家庭から離れて、症状の沈静化を待つ必要がある。その場合の一時避難場所の確保が求められる。身体的暴力を受ける家族は、経済的に余裕がないことが明らかになっており[2]、ホテル等に逃げるだけの経済的余裕がないために暴力をより多く受けていることが懸念される。公的サービスとして一時避難場所を確保する必要があると考える。 2.家族のレスパイトサービスの確保(24時間365日の介護から休息できるサービス) 比較的重度の精神障害者をケアする親の約6割がうつ病や不安障害のハイリスクであり、暴力を受けている人ほど精神的健康が阻害されていることが明らかになっている[3]。症状の重い精神障害者を抱え続ける中で、家族も神経を痛めて、うつ病等に陥りかねない場合があるため、疲弊した家族が休息するためのレスパイトサービスを求める。 参照資料 「世界から見た我が国の精神保健医療福祉」  杏林大学 長谷川利夫氏 (月刊みんなねっと2016年1月号) 「日本の精神科医療の現状と家族会の役割」 (社福)うるおいの家 氏家憲章氏 (2016.11.29 埼玉県精神障害者家族会連合会における講演資料) 「精神科医療の現状と改革の展望」     (社福)うるおいの家 氏家憲章氏(月刊みんなねっと 2016年4月〜12月号) 「精神障がい者の家族への暴力というSOS」  大阪大学 蔭山正子氏(編者) 家族・支援者のためのガイドブック(明石書店)  【石野委員】 (3)研究開発の推進 2-(3)-2 「…多くの障害者・患者が活用できるよう…」の部分について、「…多くの障害者・患者が十分な情報に基づく主体的な選択を通して活用できるよう…」といった十分な情報に基づく自己決定の重要性を強調する表現を盛り込むべきではないか。 (理由)実情として、障害者・患者は特定の専門家から提供された限定的な情報しか得られないことが多く、近親者などの介入も受けやすく、結果として十分な情報に基づいて主体的に決断することが難しい状況があるため。  【伊藤委員】 注釈部分BCALS等神経筋疾患患者の意思決定や意思疎通への支援も明記する 2−(2)−1 ・地域保険医療計画との連携の強化、と在宅医療化に伴う訪問看護、訪問リハビリの充実 ・保健所・自治体の保健師の充実と増員 2−(3)−1 ・遺伝子診断の利用による「障害者」「難病患者」の産み分けによって惹起される社会的な障害者・難病患者・男女差別の醸成の危機に関する対策  【岩上委員】 @国際人権B規約第9条第4項では、「逮捕又は抑留によって自由を奪われた者は、裁判所がその抑留が合法的であるかどうかを遅滞なく決定すること」を求めているが、わが国は、この「裁判所(原文ではcourt)」を入院届に対する精神医療審査会の審査として、国際人権B規約第9条第4項は満たされていると解されている。しかし、精神医療審査会による本人への面会等の手続きには1か月を要している。精神医療審査会を裁判所のなかに位置付けて、迅速かつ適正な審査を行う体制の整備が必要である。 A精神科病床に1年以上入院している精神障害者の高齢化は顕著であり、介護保険サービスの利用を促進するとともに、その上で優先的に利用できる仕組みをつくる必要がある。 B退院後の支援として、短期入所は有効で、本人事由での利用を明確に定義する必要がある。 C障害者総合支援法改正案にある、新サービス「自立生活援助」は、定期的な巡回訪問や随時対応をするもので、地域移行後の一人暮らしを支える支援として期待できる。 D短期入所、自立生活援助も含めて地域生活支援を重層的に行う「地域生活支援拠点」は精神障害者の地域移行福祉施策の柱となる。 E長期入院者は、退院後の生活の見通しを立てることができないことがあるため、退院をあきらめてしまうことがある。退院意欲の喚起については、医療機関の外からの働きかけが有効だがこの仕組みがない。これを市町村の責務とするか、あるいは、現在は「退院したい」と意思表明できる人しか利用できない「地域移行支援」について、まだ意思表明していない人でも利用できる制度にする必要がある。 F意欲喚起については、特にピアサポートの有効性を検証する必要がある。 G地域移行支援を担う相談支援事業所職員と医療機関職員との合同研修を行うといった実効性のある支援技術を学ぶ機会が必要である。 H国が地域移行支援を推進するためには、部局横断的な推進組織が必要だと考える。都道府県においても、医療と福祉の縦割り行政の弊害を除去するため、責任者を明確にしたうえで、各部門各課からなる横断的な地域移行支援推進組織といった構造的な推進体制の整備が必要。 I精神科病院には、精神疾患を併せ持つ、知的障害者、高次脳機能障害のある人が多数長期入院となっています。支援ニーズと有効な支援方法を検証する必要がある。 J都道府県(保健所)には、1年以上の長期入院者と面会して、退院意思の確認を行うとともに、退院意欲がある人には地域移行支援の申請を勧め、退院意欲がない人には市町村による退院意欲の喚起をあっせんすることを義務付ける必要ある。 K入院治療は、退院後の生活を意識した治療方針に基づいて濃密・集中的(〜3か月)に行うとともに、回復に時間を要する場合(4か月〜1年)の中身の濃いリハビリテーション及び、外来機能、訪問診療、訪問看護、地域資源との連携について、診療報酬上、評価することで、地域で支える仕組みを強く推進すべき。 L今後の数値目標には、1年以上入院している精神障害者18万5千人のうち重度かつ慢性といわれる6割を除いた4割の方の必要な障害福祉サービスと介護保険サービスの目標値を計上すべきと考える。 M精神医療及び精神保健福祉全般の水準を図るうえで、(心神喪失等で重大な他害行為を行った者に者の医療及び観察等に関する法律附則第3条にも規定されているが)、新たなビジョン・具体的な計画を策定する必要がある。 N退院時における、保証人の不在、入居費の不足という課題から住まいの確保に困難をきたしている。例えば、市町村、公益法人等が、住居を一括で借り上げて提供できる仕組み、生活困窮者にあるような住居確保給付金支給制度が必要となる。 O住宅セーフティネット法の居宅支援協議会は、住宅確保要配慮者として障害者への支援も掲げているが、実際には行き届いていない。都道府県に対して、居宅支援協議会を機能させることも含めて、精神障害者の地域移行に必要な住まいを早急に確保するための対策を求める必要がある。  【河井委員】 ・医療と福祉の連携はどの障害にとっても重要と考える。この分野では、事業内容が主に精神障害に対するものになっているが、他の障害においても必要である。 ・2-(6)-3で、『小児等在宅医療連携拠点事業』について述べているが、この事業が全国に広がりをもっているのかが資料では不明。 ・ロボット技術が療育・リハビリ分野に有用であることを求めるべきと考える。 ・歩行困難者に対する訪問歯科検診に治療を加えることを検討すべきと考える。 ※歯科訪問診療で担当歯科医が用意できる用具でその治療が限定されている。歯科検診と訪問歯科診療との連携というか結びつきが不明な所から生じていると思われる。  【佐藤委員】 ○基本的考え方について 「障害者が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有する」という権利条約25条の規定に基づき、障害者が障害を理由とする差別を受けることなく、他の者と平等な医療を受ける権利を有することを明記すべきである。  第3次計画では、基本的考え方として「障害者が身近な地域において、保健・医療サービス、医学的リハビリテーション等を受けることができるよう、提供体制の充実を図る」ことが明記されているが、実態として、例えば障害者が障害を理由として受診拒否されている事例があることに加え、厚生労働省が医療従事者向けに作成した差別解消法の対応指針でも「医療機関や薬局において、人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、障害があることを理由に診療・入院・調剤等を拒否すること」は不当な差別的取扱いと考えられる例として挙げられていることから、医療を受ける権利について明記しなければならないと考える。受診拒否といったサービス提供の拒否以外にも、対応指針では、「サービスの提供を制限すること(場所・時間帯などの制限)」、「サービスの提供に際し条件を付すこと(障害のない者には付さない条件を付すこと)」、「サービスの提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをすること」が不当な差別的取扱いと考えられる例として挙げられており、権利条約上の規定および、差別解消法のガイドラインの規定を反映した内容にする必要がある。 ○保健・医療の充実等 権利条約25条a項「障害者に対して他の者に提供されるものと同一の範囲、質及び水準の無償の又は負担しやすい費用の保健及び保健計画(性及び生殖に係る健康並びに住民のための公衆衛生計画の分野のものを含む。)を提供すること。」の規定にもとづき、すべての障害者に対する医療費公費負担制度の在り方について検討すべきである。 現行では、障害者自立支援法にもとづく自立支援医療のほか、難病法にもとづく難病医療費助成制度、地方自治体によるいわゆるマル障による医療費公費負担制度など、制度ごとに対象となる障害者の範囲や、対象となる医療の範囲が異なっている。権利条約25条a項にもとづけば、自ずと障害のない人と同じ範囲の医療サービスを、無償または負担しやすい費用で受けることができると読めることから、権利条約が求める水準の医療費公費負担制度の確立に向けて検討していく必要があるものと考える。 〇精神保健・医療の提供 障害者権利条約第12条及び一般的意見1(General comment No. 4 (2014) Article 12: Equal recognition before the law)では、すべてのものの法的能力を承認し、代替意思決定から支援付き意思決定への制度の変革を求めている。また同第14条では、「不法に又は恣意的に自由を奪われないことといかなる自由の?奪も法律に従って行われること及びいかなる場合においても自由のはく奪が障害の存在によって正当化されないこと」(第1項b)、や第2項で「障害者がいずれの手続を通じて自由を奪われた場合であっても、当該障害者が、他の者との平等を基礎として国際人権法による保障を受ける権利を有すること並びにこの条約の目的及び原則に従って取り扱われること(合理的配慮の提供によるものを含む。)を確保する。」と規定している。 これらのことから、平成27年9月に障害者政策委員会で取りまとめられた「議論の整理〜第3次障害者基本計画の実施状況を踏まえた課題〜」を踏まえつつも現行の精神保健福祉法による精神保健・医療提供の体制を抜本的に見直していく必要がある。 第4次計画においては、強制入院や強制治療の在り方の見直しや入院患者の人権の効果的な保護のための制度の検討を行い、入院年数の短縮化や病床数の削減、身体拘束数の削減、「病床転換」という形ではなく「地域での自立生活やグループホーム」といった条約19条に基づく正当な病院からの地域移行を計画に盛り込むべきである。とくに入院患者への人権の保護のためには虐待防止法の改正を進めるべきである。 ○人材の育成・確保 権利条約25条d項「保健に従事する者に対し、特に、研修を通じて及び公私の保健に関する倫理基準を広く知らせることによって障害者の人権、尊厳、自律及びニーズに関する意識を高めることにより、他の者と同一の質の医療(例えば、事情を知らされた上での自由な同意を基礎とした医療)を障害者に提供するよう要請すること。」の規定およびf項「保健若しくは保健サービス又は食糧及び飲料の提供に関し、障害に基づく差別的な拒否を防止すること。」の規定にもとづき、医療従事者の養成課程や従事者研修にあたって障害者の人権に関する教育を行うことを明記すべきである。その際、障害者差別解消法の施行に伴い、様々な分野で障害当事者本人を講師として研修が行われてきている実態があることから、障害当事者本人による研修の重要性についても第4次計画の中に盛り込むべきである。 ○難病に関する施策の推進 障害者基本法では難病も障害者の範囲に含まれていることから、上記の内容を前提とした上で、難病特有の課題について以下述べていくこととする。 ○難病の相談支援について 難病相談・支援センター等が整備されているが、相談員として難病をもつ当事者を配置するなど、当事者によるエンパワメントの重要性についても盛り込むべきである。 ○難病患者等に対する福祉サービス等の提供について 制度の対象であっても難病のニーズに合った福祉サービスがなければ実質的に福祉サービスがないのと同じであることから、難病患者等のニーズに沿った福祉サービスの提供など、難病患者等にとって使いやすい福祉サービスの在り方についても検討すべきである。 ○難病の医療提供体制について 難病の専門医は疾患単位や疾患領域によっても差はあるものの、全体的に不足していて偏在化している。そのため、専門医のいる地域に移住する難病者や遠方の病院まで受診しに行かざるを得ない難病者は少なくなく、ICTを活用した遠隔診療についても検討すべきである。 ○「制度の谷間」から見た難病と障害の関係について 現行の難病施策は、難病法の基本理念の最初に「難病の克服を目指し」とあるように、難病対策が開始された当初から患者数が少ないがゆえに治療法等の研究が進みにくい疾患に対し、研究推進のために難病者の医療費負担の軽減が行われてきた。現在の指定難病選定の仕組みも、難病研究の対象となる疾患であるか否かによって、難病法にもとづく医療費助成やその他難病施策の対象となるかどうかが決まっていく仕組みとなっている。 そのため、そもそも難病としての要件を満たしていないが治らない病気(難治性疾患や慢性疾患)や病名すら確立していないような病気は難病施策の対象とならない上に、権利条約が発効しているにもかかわらず、実態として既存の障害者施策に含まれていないか、または含まれにくく、必要とするあらゆる支援が受けられない者がいるという課題がある。 よって、難病に関する施策の推進では、現行の難病施策の枠に入ることができず、なおかつ障害施策の中にも入れなかったり十分な支援が提供されなかったりする難治性疾患や慢性疾患による障害者に対する施策の在り方についても検討すべきである。また、その際、疾患名による制限列挙が制度の谷間を生み出してきたというこれまでの経緯を踏まえ、疾患名によらない施策の検討が進められるべきであると考える。 〇障害のある女性の身体的介助について同性介助を標準とすること(再掲) 障害のある女性の身体的な介助について同性介助を標準とすることを計画に加える(本人が同性介助を希望しない場合は除く) 第2期の政策委員会で行った「議論の整理」にもあるとおり切実なニーズであり安心・安全上も非常に重要である。  【高橋委員】 (1) 精神障害者の地域移行の支援 【論点】地域で生活する基盤の充実をどのように進めるのか     E 民間住宅の入居に関しては、精神障害者というだけでなかなか受け入れてもらえない。 ○精神保健福祉法等の制度と運用を改善すべきではないか。 ・「精神病床の利用状況調査結果報告」のような調査を継続的に実施し、最新の正確な統計に基づいて議論をする必要がある。  【玉木委員】 ・すべての医療を見たときに、必ずしも平等な医療サービスを受けられているのか疑問がある。例えば、精神や知的などに障害がある人が通常(内科 外科等)の診療を求めたときに、精神専門の内科に行ってくださいと言って、診療拒否をされるケースは後を絶たない。そもそも精神専門の内科や知的専門の外科などは存在していないはずなのに、一般診療も安心して受けられない状況にある。インクルーシブな視点から考えると「人」を診察できる医師の育成が急務である。 ・特に生まれつき身体に障害のある人の身体機能の維持を図るためのリハビリテーション等の医療サービスがほぼない状態にある。また、中途で障害者になった場合も、医療保険上の6ヶ月制限が、ひとつの壁になっており、リハビリテーションが中途半端で修了するため、回復の途中で退院させられる結果として、福祉サービスに頼らなければならない現状がある。本当は、日常生活及び社会生活が出来るような継続的なリハビリテーションシステムを導入するべきである。  【辻委員】 ・重度障害者等の障害者への医療費の助成 ・発達障害専門医師の育成と充実  【平川(淳)委員】 1、精神障害者は、疾病と障害を併せ持つため、医療と福祉の一体化したサービス体系が必須であるが、医療を排除することが好ましいというマイナスな偏見があり、このことが地域生活に影響を及ぼしていると思われる。医療と福祉のバランスを勘案しつつ、医療を基本としたサービス提供が肝要である。 2、精神障害者が地域で生活する場合、できるだけエンパワーメントを重視した生活支援が基本である。しかし、病識がなく放置をすればさらに2次障害を助長するような状態が起きることがあり、やむを得ず強制的な治療的関与が必要になる場合がある。このような事態を勘案し、地域で医療的介入が必要な場合に精神障害者の人権に十分配慮した適切な対応ができるような法整備が必要である。 3、従来の精神保健医療福祉施策は、統合失調症モデルであり、発達障害や高次脳機能障害、薬物依存、気分障害など多様化する精神障害に十分に対応できているとは言えない。実態に則したきめ細かな対策が必要である。 4、認知症については、今後、急増することが予想されており、特に若年性認知症に対する障害者支援は重要である。しかし、高齢者の認知症に対しては介護保険との整理を行うことが必要性である。 5、精神疾患に対する偏見は根強く、地元の精神科医療機関を利用しにくい現状もあり、2次医療圏など地域完結型の考え方では解決しない問題がある。この点を十分に考慮し、医療計画においては一律に一般科と同様の政策にならないことが必要である。  【三浦委員長代理】 1 障害児者・難病者・小児慢性特定疾患児のホームドクターの育成。(第一次医療の充実) 2 障害児者・難病者・小児慢性特定疾患児いついて、理解ある医師・看護師・リハビリ専門職の養成(養成プログラムへの組み込み)を図ること。   (3)教育、文化芸術活動・スポーツ等  【阿部委員】 成人した障害者にとって、生きがいづくりにつながる生涯教育や成人教育が重要なのではないか。 文化芸術活動・スポーツの振興が強調されているが、身近な地域におけるレクリエーション、余暇活動そして観光なども一人一人の生活の充実、生きがいづくりに求められるのではないか。(障害者権利条約第30条) 地域では、生きがいづくりの活動が行われているのだろうか。そしてその時、障害当事者団体や障害者相談員の役割は大きいのではないだろうか。  【安部井委員】 【事項】 1.医療的ケアを必要とする児童生徒のための通学支援。 2.重症心身障害者の生涯教育 【説明】 1.医療的ケアを必要とする児童生徒のための通学支援。 ・特別支援学校の児童生徒のために、スクールバスによる送迎を行っている 学校であっても、人工呼吸器装着など医療的ケアが必要な障害児の場合には、スクールバスによる送迎の対象外となっている場合が多い。 ・そのため、保護者による送迎と授業中は学校で待機をしなければならない実態が多く見受けられる。保護者による送迎が困難な場合には、訪問教育を選択せざるを得ない状況がある。 ・医療的ケアが必要な児童生徒の通学支援が早急に必要。 2.重症心身障害者の生涯教育 ・重症児者は、どんなに重い障害があっても、何歳になっても発達できる秘められた能力を持っている。潜在能力を引き出し、可能性を最大限に引き伸ばす本人支援が求められている。学ぶことは生きる力にもつながり、自己肯定感とともに根源的な喜びとなり、将来の夢や希望につながる。 ・障害が重く家庭の中で過ごす時間の長い重症心身障害者にとって生涯学習の視点からの支援は皆無に等しい。本人主体の支援としての生涯学習の機会と場が望まれる。  【安藤委員】 ■インクルーシブ教育システムの推進について 障害者権利条約第24条第2項は、 (a)障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されないこと及び障害のある児童が障害に基づいて無償のかつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。 (b)障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること。 (c)個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。 (d)障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般的な教育制度の下で受けること。 (e)学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられること。 として、一般的な教育制度から排除されない権利と、それを実現するために必要な合理的配慮について、かなり鮮明に打ち出している。 この点において、わが国における特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童生徒数の近年の伸びは、非常に特徴的である。 児童生徒や保護者が普通学校/普通学級と特別支援学校/特別支援学級のいずれを選択するかは別にしても、条約および改正学校教育法施行令の趣旨を踏まえ、普通学校/普通学級を希望した場合に必要となる合理的配慮を適切に提供できるような体制整備が急務である。  【飯塚委員】 障害者の権利条約第8条意識向上には「すべての段階の教育制度、特に幼年期からのすべての子どもの教育制度において、障害のある人の権利を尊重する態度を促進すること」また、「障害のある人が、その人格、才能、創造力並びに精神的及び身体的な能力を可能な最大限度まで発達させること。」とある。精神疾患が中・高校生の思春期に大多数発症することから、障害に至る時期での正しい教育を受けると受けないとでは、その後の人生に大きな差異が生じると思われるが、現状は以下の通りである。  東京大学院教育研究科健康教育学分野のHPから 心の不調/病気も他の病気と同様、出来るだけ早期に不調をキャッチし対処すれば、本格的な発症を防ぎ、また回復に繋げることが可能です。しかし、我が国の多くの人は、心に「不調や病気」が存在することすら知らない、あるいは具体的にどのような兆候や症状が現れるのか知らない、考えたこともないのが現状です。心の不調/病気の予防と早期対処のためには、兆候や症状、特徴と、適切な対処方法の正しい知識と理解、つまりメンタルヘルスリテラシー、を心の不調/病気が急増し始める思春期の子どもとその周りの大人が獲得しておく必要があります。 とある。たとえ精神疾患になっても、早期発見と早期治療により重症化させないために以下の施策を要望する。ただし、疾病に関する教育が、知識を増やすことには効果的であっても、精神障害者に対する態度の変容には影響がないことが、国際的にも、先行研究で明らかになっている。教育が病気や障害をもつことへのネガティブなメッセージを内包したものであれば、逆に児童・生徒に新たなる精神疾患に対する誤解や偏見、さらには恐怖心を植えつけてしまう危険性をはらんでいることを懸念し「福祉教育」を実施することで、その危険性を回避していく計画も大事である。つまり、自分自身や自分に一番身近な人や友達の変化に敏感になり、察知したときに行動できるようになる福祉教育計画が大事である。 ●初期の段階で精神疾患・障害の正しい教育が受けられる体制を 今や5大疾患の1つとされ、国民の多くが関わるとされる精神疾患について 、小・中・高校の教育において、相応しい教育が殆どなされていない日本の現状は、国民の知る権利を侵していると言える。現在、教育現場におけるいじめや自殺が減少しないことも、無知による心無い言葉が思わぬ結果を招くことを学ばない結果である。いじめ問題が子どもの精神疾患、さらには自殺の要因となることが日本を含め諸外国の様々な研究から明らかになってきた。とある。是非、オーストラリアやイギリスにおける、徹底した精神疾患教育の実践に学んで、この日本においてもこの病の存在と対応について、学校教育の初期から一貫したカリキュラムの下で教育を実施して、知る権利を保障してほしい。とりわけ、心の不調、病気が急増し始める思春期の中学生段階での早期教育は急務である。 ●精神疾患発症による高校中退を防ぐ対策 第24条教育には「障害のある人が、自由な社会に効果的に参加することを可能とする。」「障害のある人の技能、功績及び能力並びに職場及び労働市場への貢献に対する認識の促進」と記されている。しかし、在学時に適切な対策がとれず、早急な医療への導入が図られなければ、重症化して学業や就労への復帰は望めず、その後の人生を棒に振る結果になる。 学校で表わす不可解な症状は、本人はもとより他の生徒にも不安感をもたらし、本人の苦悩はもちろんのこと、混乱する友人を受容できない周りの子供も不幸である。中学・高校の思春期に発症することが多いこの疾患をしっかり学ぶことは、本人が自から周りに訴えることを可能とし、速やかな対応が可能となり、たとえ精神疾患を患っても、早期回復を果たし学業に復帰することを可能としたい。そして、十分な教育を受け続けることにより、安定した就労もできて、社会参加を果たしその人らしい人生を全う出来ると思われる。 ●家族に正しい知識と対応についての学習の機会を保障 「障害のある人の置かれた状況に対する社会全体(家族を含む。)の意識の向上、並びに障害のある人の権利及び尊厳に対する尊重の促進」が謳われている。 精神疾患を発症した場合に、その最悪期に向き合う家族(親であり、子であり、配偶者)は、この辛い厳しい病に対する予備知識を殆ど持たないために、必要以上に苦悩し翻弄されて、過酷な立場に置かれる。 闇雲にあらゆる努力を重ねて医療につなげた後も、深い自己嫌悪感や不全感に襲われて、家族も鬱や自律神経失調症になる場合も稀ではない。それもこの病への予備知識を全く与えられていなかった結果と考える。 家族は、家庭内で起きた実態を外部に発信する義務があると思うが、世間にこの疾患への理解が乏しい中では、精神疾患を口にする事もはばかられ、外部に知られることを恐れるという家族自身の偏見につながっている。それは世間の偏見をいつまでも解消できない原因にもなっている。家族が正しい知識と対応について学ぶことが大事だと認識して、その対策を求める。 ●学童期の子どもやきょうだいへの支援 親は精神疾患を発症した本人への対応に必死であるが為に、他のきょうだいへの配慮がおろそかになりがちである。また親が精神障害者で理解者・支援者が皆無の場合、その子供の成育環境は悲惨を極める。それに対する対策を早急に求めたい。 ●「精神障害」についての教職員教育 ・思春期に発症する場合が多い精神疾患について、教育現場にいる教師が正しい知識とその対応策を身につけることは、急務である。教育現場で精神的な不調を早めに察知して対応することは、生徒のその後の人生に重大な影響を及ぼすことから、教育する立場の教師に精神保健教育が十分に実施されることを求める。 ・教育の場面が学習につながるように、当事者からの学びを社会モデルの視点を、確実に身につける研修を義務とする。 ●行政職員への精神障害についての教育 *9「行政サービス等における配慮」と横断的に 精神障害者とともに暮らす家族には、その疾病ゆえの様々な困難がある。病状が安定しないときには暴力や暴言、散財などが起きることはしばしばである。このような問題行動に対する行政での相談は、警察や男女平等参画事業、児童相談所等で行われることがあるが、担当者に精神疾患に対する正しい知識がないために、十分な支援が行われていない。行政サービスと医療との連携がとられることも、ほとんどないのである。 精神障害者は、その症状の特性として、一番身近で支援してくれている人に対して攻撃的な言動をとることがある。被害的感情から警察や女性センターなどに家族からの被害を訴えることもあるが、このような機関でも精神疾患に対する正しい知識がないために、適切な対応が取られていないことがある。平成27年度の配偶者暴力相談支援センターの相談件数 (http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/data/01.html)によると、障害者からの相談件数の総数6,333件に占める知的・精神障害者の相談件数は5,599件。これらの相談には、適切な医療の介入がほとんどなされていない。 障害者に対する暴力は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」でも禁止されている重大な人権侵害だが、一方で国は養護者に対する支援を行う責務もある。現行の福祉サービスでは、養護者に対する支援は形骸化しており、ほとんど実施されていない。 行政サービスを担う職員に対する、精神障害に関する教育の実施が急務である。 参考資料 東京大学院教育学研究科身体教育学コース健康教育学分野 HPから 精神疾患の正しい理解のために〜学校精神保健プロジェクトから〜 http://www.P.u−tokyo.ac.jp/〜kenkou/project/index.Html 「精神障がい・精神保健の正しい教育を―世界の教科書比較」(月刊みんなねっと2015年10月号) 愛知県立大学 山田浩雅氏 「メンタルヘルスと福祉教育をめざして」(月刊みんなねっと2016年9月号) 東京国際大学 松本すみ子氏  【石川委員長】 ・インクルーシブ教育の推進について具体性のある目標を計画に盛り込む。 ・修学決定に関しての第三者機関における相談・調停・紛争解決の仕組みの構築 ・高等教育における障害のある学生の支援に関して達成目標を示す。 ・電子教科書は初めからアクセシビリティを機能要件とする必要がある。この点を第4次基本計画に盛り込むべきと考える。  【石野委員】 (1)インクルーシブ教育システムの構築 地域の学校に通学しているきこえない・きこえにくい子どもに対するコミュニケーション上の配慮・授業の情報保障の必要性について、追加し明記することが必要であると思われる。 (理由)手話通訳・要約筆記等の支援を必要としているにもかかわらず、そうした支援を受けられないために就学上の支障が生じているきこえない・きこえにくい子どもが多くの地域で見られていることを鑑み、同節第2項目等で、彼らに対する支援の必要性を改めて記述すべきであると思われるため。 3-(1)-1 本人や保護者の意見が直接聞けるような聞き取りやアンケートのような調査を行い、課題について本人を含む当事者側の思いを反映できるシステムの構築が必要である。 (理由)「本人・保護者に対する十分な情報提供の下、本人・保護者の意見を最大限尊重し」合意形成を行うとあり、保護者の意見が尊重・反映されている現状はあるが、本人である障害児・生徒に対し、十分な情報提供がされているのかどうか、本人の意見がどの程度反映されているのか、現状として把握できていない。 現在、地域の中学校や高等学校に在籍するきこえない・きこえにくい子どもに対応した通級指導教室や難聴学級の制度もなく、教育機関から子ども本人に対し聴覚障害関連の情報提供もほとんどされていない。 本人が意見を表明できる年齢になった時点で、本人の意見・希望を直接吸い上げ、本人と保護者双方が納得いく教育を受けられているのかを把握し、対応することが必要であるため。 3-(1)-4 医療・保健・福祉の連携を、早期に構築すべく、具体的な施策を早急に検討するよう明記すべきである。 (理由)新生児スクリーニングにより、聴覚障害の発見が早期に行うことができるようになったが、「手話言語と人工内耳手術」に関する支援体制が構築されているところは極めて少ないため、各地で混乱が生じている。 早期発見時から子どもの未来を見据えた情報提供と支援体制の構築を行えるようにすることは、喫緊の課題であるため。 3-(1)-5 きこえない・きこえにくい子どもを持つ保護者に対する「早期教育」支援を広げることを強調すべきであると思われる。 (理由)新生児スクリーニングによる早期教育支援を進めるためには、保護者に対し様々な情報を正しく提供すると同時に、親子の会話には手話言語が必須であるため、保護者と子どもの両者に対し手話言語へのアクセスと習得できる環境を整えることが重要となる。 現状では保護者は仕事の都合などで手話言語を習得しにくい例もあるため、政府が推奨する、育児休暇を活用し、手話言語を習得できるシステムの構築が必須であると考える。 (2)教育環境の整備 3-(2)-4 特別支援教育に携わる、ろう学校・地域学校の教職員は、自身の専門性の確保、指導力の向上をはかるため、手話言語の習得を必須とするべきであると考える。そのためにも、教員養成課程において、手話言語の習得を必須として位置づけ、手話言語習得の研修制度確立を目指して検討することを含めるべきではないか。 また、人事異動等でろう学校等へ転任した教員が手話を習得するための研修制度の確立も併せて検討が必要であると考える。 (理由)きこえない子どもの集う学校では言語である手話を教職員は身につけ、生徒と円滑なコミュニケーションができることが絶対的に必要であり、その制度を明確に位置付けることが必要であるため。 3-(2) 教育機関への手話通訳・要約筆記の派遣について、現行制度を拡充する。 (理由)意思疎通支援事業では、その多くにおいて通学先の「教育機関」を派遣対象から除外する運用がなされており、ろう者や難聴を含む聴覚障害者の社会参加の拡大が阻まれている。 教育における合理的配慮を踏まえ、柔軟に対応させるためにも、教育機関への意思疎通支援者の派遣と派遣者の専門性の担保について、現行制度の限界を補完する新たな公的システムの構築を検討すべきである。 (3)高等教育における支援の推進 3-(3)-1 ろう・難聴等の聴覚障害を持つ学生に対する授業の情報保障を提供する公的な枠組みを設けることを目標として明記すべきではないか。 (理由)学生に対する支援は大学によってばらつきがあり、聴覚障害を持つ学生が十分な情報保障を受けられていない現状がある。特に私立大学では大学の財政状況の違いもあり、大学間の格差も大きくなっている。 さらに、障害者を積極的に受け入れる大学ほど財政的な負担が大きくなるため、障害学生向けのサービスを縮小してしまうことも懸念される。こうした課題を解消するためにも、公的な制度による情報保障体制の補完を検討することが必要であり、公的制度による支援システムは聴覚障害者だけでなくすべての障害者にとっても必要とされることであるため。 (4)文化芸術活動,スポーツ等の振興 3-(4)-2 「字幕や音声案内サービスの提供等」に手話言語(手話通訳者)も加えることが必要ではないか。 (理由)字幕、音声サービスだけでなく、手話通訳者やポータブル機器を使用した手話言語ガイド(例:タブレット、スマホでQRコードにアクセスし、手話言語の映像による作品説明を受ける)での情報保障もニーズが高まっており、これらに対する予算措置も併せて検討が必要であると考えるため。 ※イギリスのナショナルギャラリーやフランスのルーブル美術館、ベルサイユ宮殿のように、欧米の著名な文化施設ではモバイル形式の手話案内ガイド機器の貸し出しを行っている例がある。 3-(4)-4 (修正意見) ○ パラリンピック 、デフリンピック 、スペシャルオリンピックス 等への参加の支援等,スポーツ等における障害者の国内外の交流を支援するとともに、パラリンピック等の競技性の高い障害者スポーツにおけるアスリートの育成強化及び競技団体の体制整備の支援を図る。 (理由)障害者スポーツ競技団体は、運営面・財政面での体制整備が整っていない団体が多いため。 (新規項目追加意見) ◯ パラリンピック、デフリンピックなどは、今や競技性の高いものとなっており、競技団体によっては、独自で国内大会や世界選手権大会等を開催している。競技団体による大会開催に関する支援を行う仕組みを検討し、推進を図る項目を新設するべきである。 (新規項目追加意見) ◯ 障害を持つ子供たちの学校外活動の活性化や障害者スポーツ人口の増加を図る観点から、特別支援学校等においても積極的に文化・スポーツ活動などを奨励し、地域学校との文化・スポーツ交流を行う方法などを検討、推進を図る項目を新設すべきである。 (新規項目追加意見) ◯ 2020年東京オリパラのレガシーのひとつとして、障害者スポーツの社会的な認知向上や理解促進、特にパラリンピックに比べて認知度が低いスペシャルオリンピックやデフリンピックの認知向上のため、認知度に周知対象人数等の具体的な目標値を設けてマスメデイアを利用した周知などを強化する項目を新設すべきである (新規項目追加意見) ◯ 効果的なアスリートの強化やスポーツ環境整備を図るため、障害者スポーツに関する研究・調査の推進を図る項目を新設すべきである。 (理由)アスリートの強化やスポーツ環境整備を図るためには、障害に特化した研究や調査が不可欠であり、医療面だけではなく、スポーツ分野における合理的配慮に関する研究・調査も併せた取り組みについての項目を新設すべきである。  【岩上委員】 3−(4)−3 精神障害者のスポーツ振興に取り組む。 振興するためのビジョンと計画が必要なのではないか。 実施状況に「全国障害者スポーツ大会において精神障害者を対象としてバレーボールを実施」と記載されているが、正式競技化は、平成20年に行われたものであり、今後の振興についてはどのような目標をお持ちなのだろうか。  【大河内委員】 テレビ放送や映画等における、字幕並びに音声解説の充実をさらに加速させていく必要がある。特に、字幕の普及に比べて、音声解説はNHKでさえも10%程度と、伸び悩んでいる。新たな字幕・音声解説の提示方法等も視野に入れながら、効率よく字幕や音声解説を多くのコンテンツで実現させていくための検討が必要と考える。  【大日方委員】 障害のある子どもたちが学校体育および地域で活動参加の両面において、スポーツ・運動を実施する機会を増やすために必要な施策について、総合的に検討する必要がある。 例えば、一般校に通う障害のある子どもが体育の授業に参加することができず、見学していることが多いといわれているが実態を正確に把握する必要がある。そのうえで、参加促進する施策、人的支援や競技用の車いす、スポーツ義足など必要な用具の貸し出しサービスの体制整備などを検討すべき。 また、障害のある人がスポーツ施設の利用を断られたり、単独での利用を制限されることがあるとの報告もある。民間施設も含め、その実態を明らかにするとともに、障害者のスポーツ施設の利用促進に向けた取組を行うべき。  【加藤委員】 〇一人ひとりの教育ニーズ、発達ニーズを教師、教育関係者だけで自己完結的に取り組むだけでは無理がある。錯綜する今日的な教育背景(社会・家族・子ども)は余りに多様であることから、教育関係者の資格要件を拡大し学際的な陣容で教育活動を学校と言う場で行うべきではないか。 〇教員養成が視野狭窄のような世界で行われているのではないか。今の時代を受け止めきれていないで、技術的な視点からの要請に終始しているのではないか。  【門川委員】 ・障害者権利条約第24条第三項(?)において「盲聾者である児童」が明記されていて、「その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。」と規定されている。しかし、わが国において、盲ろうの児童生徒がその特性やニーズに応じた教育を受けられているとは言えない。 ・盲ろうの児童生徒に必要な支援(合理的配慮)については、ガイドライン(対応指針等)に具体的に明記するとともに、専門的な知識とスキルを持った教員や支援員の養成・配置が必要である。 ・幼稚園・小学校・中学校・高等学校と特別支援学校における盲ろうの児童生徒の在籍状況や教育の実態の調査を早期に行い、盲ろうの児童生徒への教育システムの構築が喫緊の課題である。  【加野委員】 第3次障害者基本計画3(1)3には、「個別の教育的ニーズのある子どもに対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に答える指導を提供できるよう、小・中学校における通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校という連続性のある「多様な学びの場」のそれぞれの充実を図る。」とある。 これは、自立と社会参加のため、インクルーシブであることよりも、障害のある子を分けて個別の支援を提供することを優先するものであり、実際、特別支援学校の在籍児童数は年々増加し、結果として障害のある子を分離して教育することが進んでいる実態がある。 しかし、障害者権利条約第24条は、締約国が、「障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること」(同条2(b))、「障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般的な教育制度の下で受けること」(同条2(d))「学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられること」(同条2(e))を確保すべきと定めており、インクルーシブな教育における個別の支援を求めている。 障害者権利条約の理念からすれば、障害のある人の自立と社会参加のためには、障害のある子を障害のない子と分けて本人の能力を伸ばすことが優先されるべきではなく、障害のある子と障害のない子が共に学ぶことによって、障害のない子の障害理解が進み、将来、障害のある人が周囲の理解を得て、合理的配慮を含めた必要な支援を受けつつ生活し社会参加できることが重要であり、教育におけるインクルーシブは障害者差別解消のためにも重視されるべきである。 障害者権利条約の締約国としては、通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校の「それぞれの充実」を図るという前に、インクルーシブかつ個別の支援のある教育を実現するために、障害のある子とない子が共に学ぶことを基本としつつ、必要に応じて障害のある子に個別の支援ができるような教育体制を検討、構築すべきである。  【河井委員】 本人が望む場で教育を受ける権利が保障されるべきと考える。本人に通学の体力があり、支障がないならば、保護者の送迎の可否にとらわれることなく通学できるよう、その手段を保障するべきと考える。また、どこで教育を受けるかは本人の意志が尊重されるが、その際に適切な支援を受けられることも保障するべきである。  【北岡委員】 ○障害者の地域生活を進める上でも、小さな時から一緒に過ごすことが重要だと思う。インクルーシブ教育の推進のために、本人保護者が普通学校や普通学級への就学を望む場合には、なるべく行くことができるよう、今後、第4次計画においては、普通学校や普通学級での合理的配慮などの様々な支援が、現在どの程度の状況で、今後それをどのように増やすことができるか、検証し議論を行うことが必要だと考える。 ○障害者の文化芸術活動が当事者・関係者の取り組みにより広がってきている。議員立法で障害者文化芸術推進法案も準備されていることは、大変に喜ばしいと思っている。「地域で生活し、文化芸術をはじめ様々な活動をしていく存在」としての障害者イメージが広がっていくことが、共生社会の実現の上でも重要だと考える。 今後、オリパラ2020の開催などもあり、障害者の文化、芸術、スポーツ活動はより一層発展していく事が考えられ、そのための施策が求められる。 現行の障害者計画では、分野別施策の3で「教育、文化芸術活動・スポーツ等」とされている。文化芸術やスポーツをさらに発展させていくという意味から、第4次計画では教育と分けて「文化芸術活動・スポーツ」と独立した項目として拡充してほしい。 また、パラリンピック、デフリンピック、スペシャルオリンピックスに関してはスポーツ部分のみが取り上げられている。特にパラリンピックにおいては文化プログラムも重視されている側面も捉え、パラリンピックに向けた文化芸術の国内外への積極的に発信と、終了後のレガシーとしての継続した取り組みについても盛り込むべきと考える。  【佐藤委員】 (1)教育について 〇権利条約の履行とインクルーシブ教育推進のための具体的施策 障害のある児童生徒の教育について、障害者権利条約は第24条で生活する地域において質の高いインクルーシブ教育(包容教育)を受ける権利を規定している。 また同第24条の解釈の指針となる国連障害者権利委員会がまとめた一般的意見4(General comment No. 4 (2016) Article 24: Right to inclusive education)には重要なことがかかれている。一般的意見4のパラグラフ11では、排除(exclusion)、分離(segregation)、統合(integration)、インクルージョン(inclusion)について、「排除」は教育から直接、間接的に妨げられ、あるいは教育へのアクセスが否定されること、「分離」は障害のある児童生徒に対し、障害の特性や程度によって障害のない児童生徒から隔離され、分けられた環境で教育が提供されること、「統合」とは、既存の通常の教育施設を標準のものとして適応できる範囲において、障害者をそうした教育機関に配置すること、「インクルージョン」とは教育方法、学習環境や教材などをすべての児童生徒の年齢などにふさわしい形で、彼ら一人一人の教育上の要請に沿った形で提供するために改革するプロセスをふくむもの、とした。そして、教育上のさまざまな改革を行うことなく単に普通学級に障害のある児童生徒を配置するのはインクルージョンではない、「統合」が「分離」から「インクルージョン」への移行を自動的に保障するものではない、としている。パラグラフ18では権利条約第24条2項(a)について重要なことを述べている。一般教育(general education)とは「すべての通常の学習環境(regular learning environments)と教育省」とし、その一般教育システム(general education system)から障害や合理的配慮の過重な負担などを理由に排除されない、としている。パラグラフ19と26では、第24条第2項(b)の障害のない児童生徒と平等に自分が住んでいる地域で質の高いインクルーシブ教育を受ける権利についてのべており、パラグラフ26では自宅から遠くに送られるべきではない、と述べている。パラグラフ33では提供されるすべての支援方法について、インクルージョンを目標に提供されなければならず、教室や校外活動では同級生から隔てられずに一緒に参加できるよう機会を増やすことができる形にすべきであるとしている。さらに締約国の義務を述べているパラグラフ39では、権利条約第4条2項の社会権的権利の漸進的な実現の規定の部分について、インクルーシブ教育の実現において「普通教育」と「特別/分離教育」システムの存続が両立するものではない、としている。 以上、一般的意見4を大まかに整理すると、インクルーシブ教育とは教育のシステム全般にわたり、すべての児童生徒にとって利益となるシステムに改革しながら、住んでいる地域で障害のある無しにかかわらず一緒に学び、活動できるようにする教育の形である。パラグラフ11などを読むとわかる通り、場の統合は前提とされている。 こうした障害者権利条約がめざすインクルーシブ教育の推進のために、第4次計画においては、原則として障害のある児童生徒が普通学校や普通学級へ就学ができるよう、普通学級においてすべての児童生徒が一緒に学ぶことができるインクルーシブ教育の在り方、普通学級に置ける合理的配慮などのさまざまな支援の現況や課題の整理、今後それをどのように増やすことができるのか、障害児童生徒の学籍の推移の把握と分析などを計画に盛り込むべきである。 〇「ユニバーサルデザイン2020」と学校教育の中での社会モデル学習 また、現在、「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議」では最終取りまとめに向けた議論が進められている。その基本的考え方では、「障害者権利条約の理念を踏まえ、すべての人々が、障害のある人に対する差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底していくことが必須」とし、「障害の社会モデルをすべての人が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていき、社会全体の人々の心の在り方を変えていくことが重要」とされている。 これの具体化に向けて、障害のある子どもとない子どもが共に学ぶことを基本とするとともに、学校教育の中で社会モデルを学べるようにすることが求められている。学習指導要領の中に「障害の社会モデルの理解」を盛り込む等の具体的取り組みを第4次計画の中で盛り込むべきである。また、社会モデルについて教員養成過程に採り入れ、障害当事者の積極的登用を行うなど、社会モデルを教えられる人材養成・確保等も第4次計画に記載すること。 (2)文化芸術 アールブリットなど障害者の文化芸術活動に対する認識が社会全般に広がってきている。障害者の文化芸術を推進する法案も作成されている。2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を機に、さらに障害者が文化や芸術面でその鑑賞だけでなく、クリエイターとして力を発揮することができる環境の整備が必要である。 現在は、分野別施策の3で「教育、文化芸術活動・スポーツ等」とされているが、文化芸術やスポーツの施策を独自のものとしてさらに進めるために、第4次計画では「教育」「文化芸術活動・スポーツ」と項目を分けるべきである。  【玉木委員】 ・障害者権利条約にもうたわれているように、インクルーシブな教育を進めていくためには、何をもってインクルーシブな教育というのかを共通にして言語化していく必要がある。 ・一方で、近年、各地で特別支援学校が新設されている中、特別支援教育の対象と効果などを評価する必要がある。合わせて、就学支援委員会の機能と役割を明確にしていく必要がある。さらに進学率97パーセントもある高等学校教育のあり方も含めて、インクルーシブな教育をどう進めていくかを具体化していかなければならない。  【柘植委員】 ・発達障害児者への教育政策・施策の充実 (通級による指導の充実、特別支援教育コーディネーターの専任化、他) すべての小学校、中学校で、通級による指導を実施することが必要(自校で指導・支援が受けられるように) すべての高等学校で、通級による指導実施することが必要(平成30年度から制度の運用が始まる予定。各都道府県で、1〜2校などではなく、すべての高等学校で必要。) すべての小学校、中学校、高等学校に専任の特別支援教育コーディネーターを配置する。(都道府県立の特別支援学校に配置されているように) すべての大学・高等専門学校における発達障害学生への支援プログラムの構築が必要。 幼稚園における発達障害の可能性のある幼児への対応の新たな仕組みが必要。(近隣の小学校通級からの支援を受ける等。) ・幼・小・中・高校における発達障害のある子どもを専門的に指導・支援する教員の養成を行う課程を、新たに大学に設置する必要がある。 (残念ながら、現在日本では、特別支援学校の教員しか、専門的に養成されていない。) 教員養成を行うすべての大学に必要 現行の「特別支援学校教員養成課程」とは別に必要だろう ・発達障害児者の教育や福祉等の横断的な事項 (教育分野における「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の他分野との接続) 改正された発達障害者支援法(教育(第8条))に「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」の作成と活用について明記されたことを踏まえて、発達障害児者の早期から生涯に渡る必要な支援を、それぞれの年齢やライフステージや機関等で閉じることなく、個人情報の保護の視点も踏まえながら、包括的な一つの計画として構築し運用する。(障害国の先進的な制度や実践を参考にして) そもそも、作成を奨励するのではなく、法令上作成を義務付ける必要がある。(諸外国の先進的な実態を踏まえて。) ・大学における発達障害者への就労支援の充実 すべての大学・高等専門学校における発達障害学生への支援プログラムの構築を行う。 発達障害支援コーディネーターの創設の検討も。 ・発達障害児者への教育の効果に関する実験的実証的研究の計画的体系的な蓄積 エビデンスに基づく政策の推進のために 制度的な位置づけも最近行われたばかりであり、他の障害と比べて、知見が足らない。 ・インクルーシブ教育の推進(幼稚園、小学校、中学校、高等学校における特別支援教育の充実) (特別支援学校ではなく)幼稚園、小学校、中学校、高等学校における特別支援教育の思い切った充実(制度の充実、予算や人材の重点配分)が必要。 ・インクルーシブ教育システム、特別支援教育の終点(ゴール)の明確化が必要である。例えば、最終地点と共に、5年後の終点、10年後の終点の明確化 ・個々の子供の十分な学び、確かな学びの確保とその監視が必要性である。「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」の役割の増大は必至 ・物差し(進捗状況の把握のための評価ツール)の開発と経年変化の追跡の必要である。 ・費用対効果の視点も踏まえる必要がある。 (以上4点、障害者政策委員会第25回での発言) ・障害のある子とない子がともに学ぶ機会の拡充が必要。 ・通常学級における障害のある児童生徒の合理的配慮の提供が必要。 ・現行制度の充実が必要。 すべての学校で、通級による指導と特別支援学級での指導を行う。 ・新たな制度の創設 高等学校における通級による指導、特別支援学級 幼稚園における通級による指導、特別支援学級 ・教員の専門性 発達障害児者を担当するより専門性の高い教員の養成が必要。 特別支援教育免許状を創設すべき。 大学院での学びを義務化(基本的に、大卒と、2年間の大学院の修了を、要件とすべき。) ・すべての子ども(障害のない子)への障害理解啓発教育の推進 幼児児童生徒の内から適切で体系的で効果の期待できる障害理解啓発教育を推進する 教育政策の基本としての位置づける。 多様性(ダイバシティー)教育を展開する。 新学習指導要領・幼稚園教育要領に明記する。 ・「エビデンスに基づいた教育政策」(2016伊勢志摩サミットにおけるG7倉敷宣言)、「エビデンスに基づく障害者政策」への転換 監視の方法(手法)の検討において、権利条約の31条(統計及び資料の収集)を十分に踏まえることが重要。 費用対効果の検討や、次年度予算要求の資料としても重要。  【辻委員】 ・インクルーシブ教育システムの構築 ・特別支援教育の充実を図るため、特別支援教育に対応する教職員定数の拡充 ・地域において障害者がスポーツに参加できる環境づくり  【三浦委員長代理】 1 入院中及び何らかの理由で在宅や施設で生活している児童(重症心身障害児・難病慢性疾病等)への教育体制の拡充。(高校・大学も含む) 2 どこでもどういう状態にある方でも、文化・スポーツに親しみ楽しめる場所や、文化芸術活動やスポーツ等を行うことが出来る支援体制の構築(健康管理にもつながるため) 3 一人ひとりに合うような、スポーツ・レクリエーション・芸術活動等の開発と支援。 4 教員免許制度を改め、基本カリキュラムとしてすべての免許に障害等についての理解を促進し、一定程度の専門性を担保できるようにする。(特別支援の免許取得を促すよりすべてに盛り込む方が早いと考える)  【山崎委員】 @障害の理解に向けた教育システムの構築の検討 ・今般、津久井やまゆり園で起きた痛ましい事件は、加害者の誤った障害者への認識が引き起こしたことが一因としてある。障害のある方が安心して一市民として暮らすためには、義務教育はもとより、できるだけ早い段階からの障害理解に向けた教育体制が必要と思われる。 ・学校教育の中での福祉教育を充実させ、子どものころから障害のある人たちとの関わりを持つべき。 A共に過ごせる場として教育との連携強化 ・少子化による学校の空き教室を活用して施設に転用し共に理解促進の場とするなど、インクルーシブな教育システムを構築すべき。 B障害児の支援について ・児童福祉法改正に伴い、平成30年度から「障害児福祉計画」の策定が義務付けられた。子どもに関する支援は、子ども子育て支援法及び子ども子育て事業計画があるが、各制度・計画とのと整合性をとり第4次障害者基本計画の推進にあたることが重要と思われる。   (4)雇用・就業、経済的自立の支援  【阿部委員】 障害者雇用促進法改正に基づく差別の禁止や合理的配慮の提供義務について地域の各企業、働く障害者に十分に周知されているのだろうか。 先端技術を活用した就労支援機器の活用の現状はどうなのだろうか。 既存のモバイルパソコンやiPad等のアクセシビリティ機能の活用の周知も必要ではないだろうか。 障害者雇用に関して地域の格差はないのだろうか。 障害者が障害基礎年金だけで生活を営むことは可能か。障害に基づく出費に対応することができるのだろうか。  【石野委員】 (1)障害者雇用の促進 4-(1)-6及び4-(2)-1 職場における手話通訳者等の情報保障支援者の派遣をカバーする新たな公的枠組みの構築を目標として掲げることも必要ではないか。 (理由)意思疎通支援事業では、その多くにおいて聴覚障害者の勤務先である「職場」を派遣対象から除外する運用がなされており、ろう者や難聴を含む聴覚障害者の社会参加の拡大が阻まれている。 公的派遣制度とは別の枠組みで、雇用側が依頼しやすい仕組みの新設や、現行の雇用側への助成金制度の見直し等、現行制度を補完する新たな公的システムの構築を検討すべきである。 (2)総合的な就労支援 4-(2)-1 「雇用前の雇入れ支援から雇用後の職場定着支援までの一貫した支援」について、「雇用後の職場定着にとどまらない、その先を見通した観点を盛り込むべきではないか。 (理由)多くの職場で、障害者、特に聴覚障害者は定年まで昇進することなく低い職位のままでいることも珍しくない。厚生労働省が実施している障害者雇用実態調査でも管理職の聴覚障害者の割合が他の障害者に比してかなり低くなっており、また、障害者をどのようにキャリアアップさせていくかという問題に頭を痛めている事業所も少なくない。こうしたニーズへの対応を促進する意味でもキャリアアップ支援の視点を文面に盛り込むことが望ましいため。 4-(2)-2 ハローワークにおける対応について、事業所が障害の態様に関係なく応募を受け付けるように事業所に対する指導を強化することを明記すべきである。 (理由)障害者用求人に応募する際、対応が困難な事由があることを理由に応募を受け付けない会社が多く見られる実態があり、これらの事態の改善について基本計画において言及する必要があると感じるため。  【伊藤委員】 ・障害年金の在り方や認定の在り方についても検討を行う必要があります。 4−(1) ・難病・長期慢性疾患も雇用促進法の対象とすること。 ・難病・長期慢性疾患患者はいったん離職すると、再雇用や新たな雇用は相当に困難になる場合が多いことから「離職を防ぐ対策」が必要になっていること。 ・雇用開発助成金の額の障害種別(難病・発達障害)の差別をしないこと事 4−(3)−1 ・難病も明記すること 4−(5) ・雇用保険の給付金の難病による退職も他の障害と同等の額及び日数とすること  【岩上委員】 4−(1)−4 財務省では、精神障害者の雇用実績が顕著であるが、どのような業務内容で雇用しているのか、お聞きしたい。他府省に汎化できるのかどうか。  【大日方委員】 障害者雇用について雇用率を満たすだけでなく、障害がある人が企業の中でどのような仕事を任されているのか、昇進等において「壁」がないかなど、質的な内容についての指標を整備することが必要。 また、ダイバーシティ&インクルージョンに向けてた取組を積極的に行っている企業などの好事例を評価し、広報していく取組についても検討すべき。  【河井委員】 ・障害者の定着を図るため、企業(特定子会社を含む)にアドバイザー(相談専任の機関)設置を検討すべきと考える。 ・チャレンジ制度の運用期間を3〜5年と幅を持たせ、就労支援を図ることを検討すべきと考える。 ・就労に係る移動支援を介護給付で検討すべきと考える。  【佐藤委員】 【論点】法定雇用率の達成に向けてどのように取り組むべきか。 1.都道府県教育委員会の障害者雇用について 都道府県教育委員会が障害者を採用することは、障害者雇用の推進のみではなく、権利条約や障害者基本法が求める障害の有無によって分け隔てられない社会の実現に向けた基盤つくりと学校全体でインクルーシブ教育を推進するためにも重要である。また、幼児教育、小中学校、高校のすべての分野において障害者雇用を積極的に進める必要があり、本計画期間内に、すべての教育委員会が法定雇用率の達成を目標とする。 2.企業に対する支援について 既存の企業への助成制度は、法定雇用率の未達成企業の納付金を財源として実施されている。これは、障害者雇用の促進を目的としている一方、すべての企業が法定雇用率を達成した場合は助成制度の継続が困難となる。こうした矛盾の解消と持続可能な制度とするための財源確保に関する検討と方向性を本計画の期間内に示すことを目標とする。 3.中途障害者に対する支援について 精神障害を原因とする労災認定件数が増加している現状と2018年から障害者雇用促進法に基づき精神障害者雇用が義務化されることを踏まえ、精神障害により長期療養をしている労働者の職場復帰と復帰後を含めた職場環境の改善に関する取り組みを計画に明記することが必要である。 4.障害者募集・採用要件等の検証について 自治体等の職員募集(障害者特別枠採用試験を含む)については、ホームページ上で要件等が公表されているが、一般採用枠での障害者受験に対する配慮(駐車場の確保、体力試験の免除、点字試験の実施、手話通訳の配置等)が示されている一方、障害者特別枠採用試験の募集要項には、活字印刷物・口頭面接に対応できる者、介助者なしで職務遂行できる者。自力通勤可の者等を受験要件としていることは、民間企業の垂範となるべき自治体が合理的配慮を提供しないことを明言している。したがって、地方公共団体等において障害者募集・採用要件及び受験時の対応がどのような状況になっているかの調査・公表を実施する。併せて、明らかとなった現状への対応を検討する体制と具体的な対策を実施することを計画に明記することが必要である。 5.継続雇用の確保について 障害者雇用の促進については、数字が公表されているが、障害者の就労継続状況については、把握されていない。障害者の継続雇用の状況の把握・公表を実施することを計画に明記することが必要である。 【論点】特例子会社はどうあるべきか。 障害者権利条約及び障害者基本法の趣旨から、障害の有無により働く場を分けることには疑問を抱くが、「障害者雇用の促進と継続雇用の確保の視点からは有意義」とする指摘もあることから、「他の者との平等を基礎」とする視点から、少なくとも同一企業グループ内において障害者であることや特例子会社で働いているために親会社、支社の職員との給与や待遇等の差異に関する現状把握と状況に応じた対策の実施を計画に明記することが必要である。 【論点】その他 1.雇用・就業 就労支援A型については、制度本来の趣旨に反し、劣悪な労働環境・条件によるブラック企業的な状況が報告されていることから、現状調査・指導(監査等の活用)及び必要な対応、対策の実施を計画に明記することが必要である。 2.経済的自立の支援について (1)障害福祉サービスから介護保険制度へ移行することにより生じている費用負担の増加についての状況の把握と改善するための対策を検討・実施を計画に明記することが必要である。 (2)稼働収入の確保が困難な重度障害者の所得保障(年金、手当、負担控除)に関する検証と対策の検討を計画に明記することが必要である。 (3)障害特別給付金が障害基礎年金と同様の金額、要件等を確保するための検討の実施を計画に明記することが必要である。  【竹下委員】 障害者の雇用における差別の禁止と合理的配慮については、改正障害者雇用促進法が本年4月に施行されたことによって大きな前進が期待されている。しかし、残された課題も多い。たとえば、雇用関係にない就労者(自営業)における支援が全く講じられていない。そこで、以下の方策の実施が必要である。 1 改正された障害者雇用促進法は「直接差別」のみを禁止の対象としているが、権利条約2条及び27条に照らした場合、間接差別や関連差別を禁止の対象としていないことから、採用や就労において看過できない差別事象が生じていないかを検証するための調査。 2 合理的配慮の提供が「過重な負担」であるとして(同法36条の2及び36条の3)拒まれた事例を収集し、その妥当性を検証することが必要である。 3 自宅就労を中心とする自営業によって就労する障害者に対する支援が皆無に等しい。障害者が自らの能力を生かし、社会に貢献しようとしても、その能力を発揮し、時には障害のない事業者との競争において対応できるようにするための支援が必要である。雇用労働者に対する「職場介助者」に準じた人的支援や開業等に対する資金的支援が具体化されるべきである。  【辻委員】 ・障害者の地域での社会参加を保障するための、雇用の場の確保 ・改正障害者雇用促進法に基づく合理的配慮の提供等を促進するための事業者に対する支援  【松爲委員】 1.就労支援系の障害福祉サービス事業所の運営について 法定雇用率の達成と維持に努力する企業は、福祉から雇用への流れを加速化させるための福祉分野の基本的な改革を求めています。その方策として、 ・就労移行支援事業所、就労継続A型・B型事業所、地域活動支援センター(T型)の設置運営に際しては、常勤の就労支援専門職等(注)の配置を条件とすることが必要です。 ・これらの事業所は、利用者が自主的に選択でき、支援者がそれに向けた援助ができるために、雇用件数、移行支援件数、賃金、在籍期間等の情報を公開することが必要です。 2.障害者就業・生活支援センターの運営について 福祉と雇用を連結する最も重要な支援機関として、多肢にわたる業務の割り当てとその遵守が求められている。それゆえ、同センターの強化を図ることが不可欠です。その方策として、 ・単年度事業のために継続的で効果的な展望が保てないため、支援担当者の安定した労働者性を確保できる体制が必要です。 ・常勤の就労支援専門職等(注)の配置を条件とすることが必要です。 (注)就労支援専門職等には、当面は、認定された障害者職業カウンセラー、職場適応援助者に加えて、企業、ハローワーク、社会福祉法人、NPO等で一定の障害者の職業紹介、雇用・就労支援の経験を有する者が該当すると考えます。 3.人材の育成について ・雇用・就業支援は、障害福祉サービスとは異なる知識と技術の体系です。それゆえ、就労支援系の障害福祉サービス事業所のサービス管理責任者、相談支援事業に従事する専門職は、その資格認定講習で障害者雇用に関する体系的な知識を付与することが必要です。 ・職業リハビリテーション分野における唯一の国家資格である障害者職業カウンセラーの育成を充実することが必要です。そのためには、厚生労働大臣指定研修を高等教育機関で履修できるようにするとともに、国家試験を課して専門職としての位置づけを明確にすることが必要です。 ・障害者法定雇用率の対象に精神障害者が加わったことにより、精神科医療機関のデイケアスタッフに訪問型職場適応援助者の有資格者を育成することが必要です。 4.障害者雇用促進法における合理的配慮について 事業所の人事労務担当者ではなく、全社員に周知させる方策が必要です。  【三浦委員長代理】 1 難病及び小児慢性特定疾病患者の就労支援の拡充。(雇用率の算定対象とする、退職防止対策を打つなど) 2 難病及び小児慢性特定疾病患者も障害基礎年金受給対象とすること。  【山崎委員】 ○障害のある方が一般就労等職場で長く勤めるため企業との協力体制の構築 職場定着にかかる支援は、福祉サービス事業所のみで担う仕組みでは限界があり、企業と福祉サービスの双方向にて定着を図る必要がある。企業においても職場定着における理解を促進する仕組みを構築していただきたい。   (5)生活環境  【安部井委員】 【事項】 外出先に成人障害者のためのオムツ替スペースの確保と、公共交通機関におけ る介護者用シートの確保。 【説明】 ・常時オムツを使用している障害者が、外出先でオムツ交換をしようとする場合、オムツ交換スペースが整備されていないため、外出先を変更しなければならない。(幼児用のオムツ交換スペースは近年整備がすすんでいるが。) ・公共交通機関を利用して車いす利用者が移動する場合、障害者用のスペースは確保されているが、その介助者のスペースが近くに設けられていない。折り畳み式の補助席などが近くにあると介護者の負担が軽減される。  【石野委員】 (3)公共的施設等のバリアフリー化の推進 5-(3)-2 「高度なバリアフリー化」の具体例を記載する。 ・例)@遠隔手話通訳サービスの活用→ただし聴覚障害当事者や住民の合意を得ることが前提。 A窓口担当の手話による対応  【岩上委員】 5−(1)−2 居宅支援協議会の対象者は幅広く、障害者の居宅支援にむけた行き届いた協議が行われているのであろうか。特に、精神障害者地域移行支援におけるの居宅の確保は喫緊の課題であるが、岡山県以外に積極的に取り組んでいる都道府県の居宅支援協議会があればご紹介いただき、良質な協議会を汎化する方法について検討する必要があろう。  【大日方委員】 高齢化が進む社会のなかで、バリアフリーおよびユニバーサルデザインを必要とする人々の数が増えてきている。社会環境の変化と未来予測も踏まえつつ、バリアフリー化の数値目標の設定を検討する必要がある。また、単独で移動する障害者の増加や、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催などもふまえ、移動円滑化基準についても見直しが必要。海外からの観光客が増加しており、国内では普及していないタイプやサイズの大きな車いすなどを使うユーザーの訪日機会が増えていることなどへの対応も踏まえた整備をする必要がある。  【河井委員】 ・既存の施設においても、不特定多数が利用する、既存の大型店舗、病院、文化施設などはバリアフリー化を進めるべきであり、トイレも大人が使用可能なサイズのベッドを備えたユニバーサルトイレに改修することを求めるべきと考える。 ・障害者の日常生活の向上を図るため、住宅の新築・改築時にバリアフリー化改修費、消火設備設置費用の一部を助成に加えることを求めるべきと考える。 ・日常生活・移動の円滑化を図るためにコミュニティバス導入を促すため、規制緩和、助成拡大を求めるべきと考える。 ※コミュニティバスの運行で自治体がバスを運営しているところで、その自治体が積極的に支援しない。路線バスがない所での運行は可としている。運転免許証の返納に対処するために自治体が積極的に働きかけ、イニシャルコスト、ランニングコストに対して補助の拡大が必要である。  【佐藤委員】 @地域間格差の是正 条約第9条では、「都市及び農村の双方において」バリアフリー化を進める旨が書かれている。日本はバリアフリー法により整備が進められてきたが、たとえば、鉄道は法の対象となる駅は1日の乗降客3,000人以上といったように、都市部を中心とした施策になっており、人口の少ない地方での整備が進んでいない。条約の理念に沿って地方でのバリアフリー化を進める計画が必要である。 A交通機関 特に整備が遅れているもの 現状でUDタクシーや空港アクセス・長距離バス)は整備が極端に遅れている。 ・UDタクシーの普及率は、ロンドンではほぼ100%、ニューヨークは25%に対し東京は0.1%と大きく遅れている。 ・空港アクセスバや長距離バス等の適用除外認定車両は、平成32年度までに約25%をリフト付きバス又はスロープ付きバスとする目標が基本方針に定められているが、平成27年度末で5.9%にとどまっている。しかも、5.9%のほとんどがコミュニティバスであり、空港アクセスバスでリフト付きの車両は日本で3台しか走っていない。 このように現状で特に整備が遅れているものを改善するために、法律や制度、施策等を行うべきである。 B建築物 特に整備が遅れているもの(店舗、住居、ホテル) ・バリアフリー法では床面積2,000u以上の店舗しか基準適用義務がない。ほとんどの飲食店、店舗は努力義務にとどまり、生活に密着した建物の整備が進まない。せっかく新築なのに利用できない店舗が続々と作られている。さらに、2,000u以上のショッピングセンターでも、店舗内に段差があり、固定椅子しかなく利用できない店舗もある。 ・共同住宅は2,000uを超えても基準適用義務はない。そのため、車いす等で利用できる共同住宅がほとんど増えていない。公営住宅だけではなく、民間の集合住宅もユニバーサルデザイン化するように、より踏み込んだ基準や目標が必要である。 ・バリアフリールームの設置基準は「客室数が50室以上で1部屋。2%以上が望ましい」されているが基準適用義務がないため、多くのホテルで設置が進まず、絶対数が不足している。さらに、設置されているホテルでも、多くは1室しかない。そのため複数の車いす使用者が宿泊しようとしても、同じホテルには泊まれない。一般客室が空いていても車いすでは入れないため、複数のホテルに分散するしかない。高齢者も含めて様々な人が利用できるようにバリアフリールームの整備と合わせて、一般客室のユニバーサルデザイン化が必要である。 障害者差別解消法ではバリアフリーは「合理的配慮を的確に提供するための環境整備」と位置づけられている。こうした点から、障害のある者がない者と分け隔てられることなくサービス利用ができるというように、これらの項目に関するバリアフリー化を進めていく必要がある。 C公共的施設のバリアフリー化 この項目は第3次計画にもあったが、窓口業務を行う官庁施設に限定されていた。障害を持つ人の雇用等も考慮して、すべての官庁施設に対象を広げてはどうか。 D学校 バリアフリー法では、特別支援学校は基準適用義務を負うが、一般の学校は努力義務となっている。学校は、障害児、障害を持つ保護者・教員等の利用だけにとどまらず、災害時は避難所になる。これまでの災害の時もバリアフリー化されていないため障害者が避難所を利用できなかったという事例が繰り返されている。地域の拠点としてバリアフリー化が不可欠であり、法的義務にすべきことを検討するとともに、整備計画と数値目標の設定を行うべきである。 E切れ目のない移動の確保 権利条約第20条では「障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること」と定められている。第3次計画では、スペシャル・トランス・ポートサービス(STS)の普及拡大が書かれたが、どの程度普及しているのか、さらなる普及・促進を目指して整備計画が必要。 Fバリアフリー化の推進(東京2020オリパラ) 障害者権利条約を踏まえて世界的なバリアフリー整備基準としてIPCアクセシビリティ・ガイドが策定された。これを踏まえて、東京2020アクセシビリティガイドラインの策定が進められている。バリアフリー法を超える素晴らしいガイドラインである。これを日本全体の広めていくために計画に盛り込んではどうか。 第3次計画では「地方公共団体による同法に基づく条例において義務付けの対象となる建築物の追加,規模の引下げ等,地域の実情を踏まえた取組を促すことによりバリアフリー化を促進する」と書かれている。大阪府福祉のまちづくり条例では、共同住宅の基準適合義務対象規模は2,000u以上または20戸以上、飲食店は床面積200u以上と規定され、首都圏よりも整備が進んでいる。こういったようにIPCアクセシビリティ・ガイドや東京2020アクセシビリティガイドラインでの取り組みを踏まえ、条例でのより踏み込んだ規定を推奨する。 G研修 条約9条2項(b)では「施設及びサービス等の利用の容易さに関して障害者が直面する問題についての研修を関係者に提供すること」とある。地方公共団体で研修の目標を定めてはどうか。 H人的支援(案内者、手話通訳者等)の配置状況 条約9条2項(d)では、「公衆に開放される建物その他の施設の利用の容易さを促進するため、人又は動物による支援及び仲介する者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む。)を提供すること」とある。視覚障害者、聴覚障害者等への合理的配慮として、公共的施設での人的支援の配置状況を定めてはどうか。  【三浦委員長代理】 1 難病・小児慢性特定疾病児の運賃・税等、障害児者同等に優遇措置が受けられるように。 2 地方の中山間地域においても、車いすによる自走等が行える道路等の整備の促進  【山崎委員】 ○移動の保障 障害者権利条約第9条による移動の保障をすべき。障がい種別を問わず、人として自由な行動が保障されるよう、通園・通所・通学・通勤・社会参加等、通年かつ長期に渡る外出等においても移動の保障は重要である。必要な場合には、入所施設においても移動支援を利用できるようにすべきと考える。   (6)情報アクセシビリティ  【石川委員長】 ・情報アクセシビリティを推進するための根拠となる法の制定 ・各分野毎の指針 ・アクセシブルデザインに配慮された機器・サービス・システムの公共調達(AD調達)を基本計画に盛り込めないかの検討  【石野委員】 (2)情報提供の充実等 6-(2)-1及び6-(2)-2 取り組み等実施・強化及び整備の促進に当たっては当事者のニーズや意見交換など合意を図りながらの実施・整備とすることを銘記すべきである。また、映像ライブラリーについては、字幕と手話は両論併記とすべきであると考える。 (理由)字幕、手話を対等に明記する必要があるため。 6-(2)-2 「聴覚障害者情報提供施設」関連事項に、全都道府県だけでなくすべての政令指定都市に聴覚障害者情報提供施設の設置義務化にむけて検討する旨を加えるべきである。 (理由)聴覚障害者情報提供施設は平成28年10月末現在、全国で52(指定都市を含む)の設置となっているが、指定都市に限ってはなかなか進まないのが現状である。また平成25年度から平成29年度までの「第3次障害者基本計画」においても、計画終了年度までに全都道府県に設置することを成果目標として挙げているが、政令指定都市は対象外となっている。 聴覚障害者情報提供施設の機能はICT技術の発展に伴い、時代のニーズに即した内容も含めたものへと拡大させるとともに防災及び災害支援の拠点として整備されるべきであるため、中核市への設置もふくめて整備を急ぐべきであると考えるため。 6-(2)-2 「聴覚障害者情報提供施設」について、設置の基準・職員配置の基準明確化などを法制面で見直しを行うことを論点として記載すべきであると考える。 (理由)相談機能の強化や災害時の対応等を考えても、現行の設置基準を見直し、様々な事業や「情報提供施設のあるべき姿」に柔軟に対応できる体制を新しく検討することが必要であると考えるため。 (3)意思疎通支援の充実 6-(3)-1 意思疎通支援事業では、派遣条件に地域格差があり、職場や高等教育機関を派遣対象に含める等、現行制度の拡充について明記し、加えて現行制度では困難となっている職場や高等教育機関における手話通訳者等の情報保障支援者の派遣をカバーする新たな公的枠組みの構築を目標として掲げることも必要ではないか。 (理由)意思疎通支援事業では、平成25年3月27日に障害保険福祉部企画課自立支援振興室長通知の「地域生活支援事業における意思疎通支援を行う者の派遣等について」、別紙2「都道府県意思疎通支援事業実施要綱」「及び別添「区市町村意思疎通支援事業実施要綱の解釈等について」を示されたところですが、依然として地域格差は解消されていません。特に、その多くにおいて聴覚障害者の勤務先である「職場」や通学先の「高等教育機関」を派遣対象から除外する運用がなされており、ろう者や難聴を含む聴覚障害者の社会参加の拡大が阻まれています。市町村の限定的な運用を柔軟に対応させるためにも、職場や高等教育機関を派遣対象として明示的に列挙することが必要であると思われる。加えて、現行制度の限界を補完する新たな公的システムの構築を検討すべきである。 6-(3)-1 意思疎通支援に関する人的支援者の派遣、設置等について、設置率が向上しない現状を踏まえ、人的支援者の専門性にも十分に対応した養成研修等の実施を強化させる旨の事項を加えるべきである。 (理由)意思疎通支援事業は聴覚障害者の情報アクセス・コミュニケーション保障を担う重要な事業にもかかわらず、手話通訳設置事業が37.7%となっている。(平成26年3月31日現在) 地域の社会資源と連携した制度運用と育成も含め検討する必要があるため。 6-(3)-1 意思疎通支援の充実には、意思疎通支援に関する従事者の雇用条件の改善も併せて行う必要である。国家資格化を含めた制度化を図り、高等教育機関等も含めた養成システムを構築することも必要であると考える。 (理由)事業の担い手を増やすためには、雇用条件の改善が必要である。また、特に手話通訳者は言語通訳と同様に分野ごとに高い専門性を有する必要があり、国家資格化を含めた制度の見直しが必要であるため。  6-(3)-2 意思疎通支援に関わる支援機器を行政等で導入を検討する際には、必ず障害当事者と協議の上、合意を得ることが必要である。 (理由)意思疎通支援に関わる支援機器(例:遠隔手話通訳サービス等)は手話通訳者設置、派遣事業を補完しうるが、同事業に代わるものではない。導入にあたっては地域の実情等に応じ、当事者と十分協議をする必要があると考えるため。 (4)行政情報のバリアフリー化 6-(4)-3 政見放送の情報アクセシビリティについて、障害者の参政権の保障のため、障害者への情報保障は義務と明記すべきである。  【伊藤委員】 6−(3)−1 ・意思の表出困難な難病患者のコミュニケーションの支援を行う口文字・文字盤通訳者の養成及びコミュニケーション機器の操作研修支援も明記すること。 6−(3)−2 ・支援機器にAIの利活用も入れること  【大河内委員】 ICTの利用が一般的になった一方、セキュリティーや合理化・無人化等により、障害を持つ人が、最新の情報やサービスにアクセスできない状況が見受けられる。以下その事例。 1)IC乗車券で障害者割引が利用できない 2)障害者割引の乗車券を自動券売機で購入できない(窓口は縮小傾向にある) 3)サービスへのログイン時等に画像での認証等が導入され、一部の人にはアクセスできない状況が増加している  【門川委員】 全国どこの地域に暮らしていても、個々の盲ろう者のニーズに応じた通訳・介助員の派遣が可能となるようにしていく必要がある。  【河井委員】 ・議論の整理でも述べられているが、個別性の高いコミュニケーション方法を用いる人に対する、災害時や重要な行政情報を確実に届ける手段、方法を更に検討するべきと考える。 ・乳幼児期を持つ親の意思確認力向上の施策を求める。 ※親としての自覚。その自覚を導き出す「親力」の養成 ・高齢化等に伴う視覚障害者への情報提供の充実を図るため、電子出版に加えて「音声読み上げ」の施策充実が必要と考える。 ※視覚障碍者の情報提供に「音声データ」がある。現状は行政情報が主流である。PCはないがデッキは持っている事例も多く、音声データの充実が必要と考える。  【佐藤委員】 (1)情報アクセス全般について ○情報通信における情報アクセシビリティの向上 ウェブサイト、PCソフト、スマートフォンのアプリケーションのアクセシビリティ基準の検討・策定を進める。特に、公共性の高いウェブサイトやスマートフォンのアプリケーションにおけるアクセシビリティ基準については、その推進に向けた取り組みが必要である。また、利用可能な通信機器等の普及のため、安価で購入できる機器の開発、購入支援のための施策等を講じるべきである。 〇電気通信へのアクセシビリティ(権利条約第9条、基本法第22条) 電話リレーサービスの拡充: 手話動画通信、文字チャットなどを用いた電話リレーサービスモデル事業が日本財団等において全国展開中だが、24時間のサービスではない。声で聞える人話せる人が電話を24時間利用できるのと同様に、聴覚言語障害のある人も電話を利用できるよう、米国等の先例にならって公共的な制度として拡充を進めるべきである。IPCアクセシビリティガイドライン(2013年)ではリレーサービスの実施が記載されていたのに、日本ではこれまで制度化がされてこなかったためTokyo2020版のガイドラインではリレーサービスの実施が削除される事態となっている。また、消防、警察、相談機関、金融機関等が同サービスによる連絡を音声電話と同等に扱うように、関係省庁や事業者に指導すべきである。 ○情報提供の充実等 テレビの字幕付き放送の一層の充実、並びに字幕放送の音声化への対応を図るための施策を講じる必要がある。 ○マラケシュ条約 条約の批准に向けて、視覚障害、上肢障害、発達障害等、読書に困難を抱える障害者の環境を整えるため、電子書籍のアクセシビリティ向上の取り組みに加え、出版社による電子データ配布の取り組み等、読書面のバリアフリーの取り組みの促進を行うべきである。 ○行政情報のバリアフリー化 政府、地方自治体のウェブサイト、広報誌のアクセシビリティの向上については、義務化も含めた検討を行っていく必要がある。また、有権者通知、選挙公報のアクセシビリティへの配慮も併せて義務化する必要がある。 上記の点を含めた情報バリアフリーを推進するため、ガイドライン並びに法律の制定を検討すべきである。 (2)手話について 障害者権利条約第2条及び障害者基本法第3条では、手話が言語の一部であることが規定されている。これらの規定をふまえ現在多くの自治体で手話言語条例が規定され、言語としての手話の普及等が取り組まれている。ニュージーランドや韓国など多数の国において、手話を言語あるいは公用語と位置づける法律が作られている。障害者権利委員会の各国の政府報告に対する最終見解においても手話言語法の制定を推奨している。第4次計画においては、こうした動向を踏まえ、手話の言語性を保障するための法制度の検討を含む議論が必要である。  【高橋委員】 意思疎通支援を充実すべきではないか。  【竹下委員】 障害者権利条約21条を徹底させるためには、情報アクセシビリティをより安定したものとするためのシステムが未だ構築されていない。近い将来に予定されているマラケシュ条約の批准をも見据えた情報・コミュニケーション法(仮称)、あるいは読書バリアフリー法(仮称)といった法制化によって、情報アクセシビリティを包括的、安定的に、あるいは普遍的に実現するための制度化が必要である。   (7)安全・安心  【阿部委員】 東日本大震災などの教訓は、その後の大規模地震や災害などに生かされたのか。 地域防災計画などの策定に障害者や福祉関係者は参加しているのか。 避難所、仮設住宅のバリアフリー化はどのように推進されたのか。 避難生活において障害特性に応じた支援を行うための体制は整備されているのか。  【石野委員】 (1)防災対策の推進 7-(1)-3 災害発生時等に対する障害者への適切な情報伝達について、音声情報だけでなく、視覚的情報にかかわる環境整備に力を入れるべきである。 (理由)音声情報の他に視覚的情報(新設だけでなく既設の情報伝達機器が音声だけなら文字情報なども表示できるディスプレイ装置への交換、また火災⇒赤ランプ、津波⇒青ランプ、地震⇒緑ランプといった色区分が判明し、すぐ緊急事態に備えられる仕組みなど)が必要不可欠である。障害者だけでなく、高齢者、外国人など幅広い対象者に対し、わかりやすい仕組みが必要と考える。 7-(1)-7及び7-(3)-1 全国統一の通報システムの構築・普及を早急に全国で実施することを明記する。 (理由)ファックス、Eメール等による緊急通報は、全国の自治体に100%の普及率ではなく、また、規格が統一でないため、所管地域外からの通報が出来ないという課題があるため。 (3)防犯対策の推進 7-(3)-2 手話を行うことのできる警察官の交番への配置を推進するとともに、事件・事故発生時に関係当事者が手話通訳者等の派遣を求めた際には、その要望に応じることを明記すること。 (理由)警察官等との意思疎通の際に、どのようなコミュニケーション手段を選ぶかの選択権と判断主体はろう者にあることを明示する必要があるため。  【伊藤委員】 7−(1)−1 ・保健部局、地域の医療機関、訪問医療機関、薬局も連携の対象に入れること  【大日方委員】 災害時の避難・支援の在り方について、必要な設備、人的支援を含めて総合的に検討する必要がある。 たとえば、公共交通機関(特に地下鉄など)での災害発生時の障害者の避難方法について、広報体制は十分だろうか。障害者が避難するために、駅係員の誘導方法だけでなく、周囲の乗客はどのような協力すればよいか、などガイドラインを作成したり、障害のある人の避難誘導の広報機会を増やすなどの取組が必要。 また、避難所においては、障害のある女性も安心して使えるトイレや着替えスペースなどの確保が必要であり、防災計画に入れるべき。障害のある女性が避難所等で性的被害を受けても声を上げにくい、などの事例も報告されており、女性の視点からの配慮が必要。 避難が長期に及ぶ場合、車いすユーザーも安心して暮らせる仮設住宅の整備などが必要。  【加藤委員】 今日、医療的なニーズや多動傾向や知的ハンディをもって生きる児者が、入院や手術や検査などを安心、安全に受けられる状態ではない。財政的な負担も大きいし、場合によって受け入れそのものがなく、拒否されてしまう。 地域の中で、リスキーかもしれないが主体的な生きることに対する、安全、安心施策の制度対応が必要であろう。  【河井委員】 ・医療的ケアが必要な重度障害者は災害時に一般の避難所で過ごすことは難しい。福祉避難所の設置は府市町村の地区防災計画が定めることとなっているが、設置の時期は直後だったり、一定時間経過後であったりと様々である。市区町村で検討することではあるが、在宅の障害者への情報・支援物資の配布も含め、重度障害者に対する配慮を一層促す必要があると考える。 ※支援物質の配布については、災害対策基本法の改正で避難所でなくても支給できるようになったが、在宅避難者のニーズ把握と支援物質の配布の記載がない。情報の提供については、時系列的に行き届くように図る必要がある。 ・避難所(仮設住宅含む)設置に既存のコミュニティを尊重し、コミュニケーションが図れる場所(集会所、ミニマーケット等)の配置が必要と求めるべきと考える。 ・災害訓練に障害者の参画を促す施策が必要と考える。  【佐藤委員】 @仙台防災枠組みとインクルーシブ防災 2016年3月に仙台で開催された第3回国連防災世界会議で「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、政策・計画の策定に障害者を参加させることの重要性が示された。これを踏まえて、国や自治体の防災計画、復興計画において、策定段階から障害当事者を参画させること、インクルーシブ防災の視点を踏まえた計画とすることを、障害者基本計画に盛り込むことが必要である。 A避難所・仮設住宅等のバリアフリー化 1995年の阪神・淡路大震災で、避難所や仮設住宅のバリアフリー化が課題として指摘された。その後、新潟県中越沖地震、東日本大震災、熊本地震でも、これらの課題は改善されず、大きな問題となっている。避難所となる建物、仮設住宅など数値を上げて整備目標を定めるべきではないか。 B復興計画 まちづくり・バリアフリー整備に欠かせないものは当事者の声を反映させることである。復興計画もユニバーサルな計画になるように障害当事者を委員に迎え、当事者の声を踏まえ、反映させることが必要。 C障害のある女性や子どもの安心・安全の確保を重要課題に 障害のある女性、子どもは虐待や犯罪の対象とされやすく災害時にも脆弱な立場におかれている実態がある。障害者基本法26条の「性別、年齢・・」に対応した記述として、障害のある女性や子どもの安心・安全の確保の明記が第4期計画に必要である。  【竹下委員】 本年7月に発生した津久井やまゆり園における大量虐殺事件や連続して発生している視覚障害者の鉄道駅ホームからの転落による死亡事故などに対して、その発生要因を分析するとともに、すべての障害者が安全にして安心できる日常生活(施設利用を含む)及び社会参加できる環境作りが問われている。それらを実現するためには、以下のような方策が実施されるべきである。 1 やまゆり園をはじめとする施設利用における事故・事件を分析し、その要因を明確にしたうえで、安全性を確保するための施策を具体化する。 2 鉄道駅ホームは視覚障害者だけでなく、車いす利用者などの障害者全般にとって危険であるとともに、国民全体にとっても危険な施設(設備)である。 そこで、すべての鉄道駅が危険性の高い施設であることを前提とした短期及び長期の対策が明確にされるべきである。 (1)転落の危険のあるすべての鉄道駅ホームに転落防止柵を何年内に設置するかを明確にする。 (2)転落防止柵が設置されるまでの安全対策としての人的配置を行うとともに、継続的に国民への声かけ運動を行う。  【玉木委員】 ・災害時の要援護者支援は、ミクロの取り組みについては、市町村でそれぞれ具体化していけばいいが、マクロの取り組み、もしくは、考え方については、国として具体化していく必要がある。 ・特に、災害時における避難所や仮設住宅、備蓄薬等の問題については、災害が起きるたびに問題として取り上げられるものの、実感としては、具体的な解決策は、提示されることもなく、同じような問題が浮かび上がるたびに不安になってしまう。 ・災害時医療のトリアージについても、障害のある人の状況を正しく判断し、適切な医療が受けられるような状況を作り出しておく必要がある。  【三浦委員長代理】 1 地震・風水害等災害時の避難と支援、福祉避難所・仮設住宅等の在り方を、設備、人的支援、ガイドラインを含めて検討すべきである。 また、身体・知的・精神・発達障害、難病の人々が、災害時要配慮者・避難誘導要支援者であることを周知する必要がある。 2 福祉避難所の体制整備拡充。(災害福祉ネットワークの構築) 3 災害時における避難所と病院等への薬品の供給体制を整備すること。難病に限らずすべてに共通の課題である。 4 避難所の個室化に向けて設備開発及び個室を必要とする要配慮者の把握。  【山崎委員】 ○福祉避難所に整備について 福祉避難所について、形式上の福祉避難所(協定含む)は各地に整備されつつあるが、医療の提供なども含め、実態として機能する福祉避難所を整備すべき。   (8)差別の解消及び権利擁護の推進  【阿部委員】 障害者差別解消法・障碍者雇用促進法(「差別の禁止」「合理的配慮の提供」について)は地域に周知されているのだろうか。 同上の周知に関して関係機関の連携が大事な役割を担うのではないか。 同上の周知に関して障害当事者団体や障害者相談員は大きな役割を担うのではないか。 障害当事者一人一人が障害者差別解消法・障害者雇用促進法を活用して、自らの暮らしやすさにつなげるための知識と技術(発信力)を身に着けるためにはどのような取り組みが必要になるか。  【安藤委員】 ■成年後見制度について 障害者権利条約第12条第2項では、 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。 と規定しており、また、障害者権利委員会の「障害者権利条約第35条第1項に基づき締約国によって提出される、条約が指定する文書に関する指針」(日本障害フォーラムによる日本語訳)でも、 障害を理由に完全な法的能力を制限する法律が存在するかどうか、また、条約第12条の順守に向けてとられている行動。 について盛り込むことが要請されている。 これに対して、わが国の第1回政府報告では、代行型の制度として成年後見制度の後見類型が存在することについて、障害者政策委員会による「議論の整理」からの引用で言及されているに過ぎない。 このことから、第2回政府報告では、代行型の制度として後見類型が存在すること、一方で成年後見人には民法第858条などに基づく義務を負っていること、さらに代行型の後見類型に過度に依存しないような今後の意思決定支援の在り方について、具体的に詳述することが、ロン・マッカラム氏の言う「正直な報告」につながると考える。 したがって、第4次障害者基本計画においては、成年後見制度の現状認識と今後の方向性について、盛り込むべきである。 ■障害者虐待防止法の施行後3年の見直しについて 平成24年4月1日施行の障害者虐待防止法の附則第2条では「施行後3年を目途とした検討」規定があり、すでに同法施行から3年を経過していることから、障害者虐待防止法の見直しに向けた議論を障害者政策委員会で開始すべきである。 その際、障害者権利条約第16条第1項が「家庭の内外におけるあらゆる形態の搾取、暴力及び虐待(性別に基づくものを含む。)」と規定し、同法附則第2条でも言及されていることから、学校、保育所等、医療機関、官公署等における虐待を同法第2条第2項に基づく「障害者虐待」に盛り込むべきである。  【石川委員長】 ・相談体制の強化・連携・統合 ・紛争解決の仕組みの構築  【伊藤委員】 ・難病・長期慢性疾患、重症心身障害、小児慢性特定疾患も他の障害との差別の解消をすること  【大日方委員】 障害者差別とは何か、凶悪な事件を繰り返さないためにも、国民の意識を変える取組が必要。あわせて、合理的配慮の提供、過重な負担とは何か、事例を集積していく仕組みと、それらを社会に広め、障害者差別解消法について、理解を深めていく体制整備が必要。  【加藤委員】 津久井「やまゆり園」事件は、これまでの我が国の障害施策の在り方に大きな課題を投げかけている。また、この事件に対して条約の視点からの説得力のある対策を提案しない限り、いかなるエビデンスも言葉も制度も表層的で、説得力を持たないであろう。教育、福祉、医療、制度などの重層的な視点からの検討分析、提案、計画、実践が不可欠である。  【加野委員】 第3次障害者基本計画8(2)2では、「障害者本人に対する意思決定支援を踏まえた自己決定を尊重する観点から,意思決定支援の在り方を検討するとともに,成年後見制度の適切な利用の促進に向けた取組を進める。」とされているが、その実施内容として、実施状況に記載されているのが、成年後見制度の利用促進状況のみであるのは不適切である。意思決定支援の在り方の検討状況が記載されるべきである。 また、「成年後見制度の適切な利用の促進に向けた取組」が計画の内容となっている点について、まずは意思決定支援制度の構築、成年後見制度の見直しが必要であることについては、(1)生活支援の項で述べたとおり。  【河井委員】 ・コミュニケーションが難しい重度重複障害者の意思決定支援について、さらに検討を進める必要があると考える。 ・差別の解消及び権利擁護の推進を図るため、地域フォーラムの開催を内閣府主催から都道府県、市町村主催に順次移行し、障害当事者団体、関係諸団体の参画で法の趣旨の浸透を図る必要があると考える。  【佐藤委員】 1.障害者差別解消法について 〇法の運用実態の把握 障害者差別解消法の2019年の改正とその後の運用を計画に盛り込むべきであり、第4次計画においては、本年度より施行された障害者差別解消法の運用実態の把握は必須である。相談の内容、件数や分野、男女比、障害種別などのデータ収集が必要であるが、これらの全国のデータを体系的に構築するための仕組みづくりを行うべきである。支援地域協議会の設置状況や運用内容の把握も同様に必要である。少なくとも2019年の次期改正の前にこうした仕組みづくりを行う必要がある。 〇2019年の改正に必要な内容の整理 改正時に必要な内容を議論すべきである。たとえば、障害者権利条約は第2条で障害に基づく差別を定義し、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を禁止している。障害者差別解消法制定時には規定されなかった障害を理由とする差別の定義について、法の運用の実態も検討しながらすべての類型(関連差別や間接差別も含む)の差別を包括する形での規定を行うべきである。事業者における合理的配慮の義務化は当然のこととなる。 【参考:障害者権利条約第二条「障害に基づく差別」】 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。 また、体系的な統計やデータ収集のためにも個別分野の差別禁止規定を定めた各則が必要である。 〇監視や紛争解決の仕組み  現在は各自治体に任されている差別案件の相談や解決の仕組みについて、国における紛争解決の仕組みをつくることを第4次計画に必ず盛り込むべきである。障害者権利条約第33条では、条約の保護、促進、監視の仕組みを整備するよう、締約国に義務付けしているが、障害者差別解消法の規定では保護の仕組みが全く不十分である。差別事案の中には、構造的なものであって広域にわたり、他に与える影響が重大で個別的な解決が困難な事案もある。また国による行政の一般的な運用に関わるもの、又は国が行った行政処分的な事案は性質上地方公共団体の解決にはなじまない事案もある。以上のことから、障害者基本法に基づいて設置する政策委員会等の既存の組織を活用できるかも含め、中央における差別や虐待などの紛争解決のための機関の設置が検討されるべきである。 【参考:障害者権利条約第三十三条 国内における実施及び監視】 1 締約国は、自国の制度に従い、この条約の実施に関連する事項を取り扱う一又は二以上の中央連絡先を政府内に指定する。また、締約国は、異なる部門及び段階における関連のある活動を容易にするため、政府内における調整のための仕組みの設置又は指定に十分な考慮を払う。 2 締約国は、自国の法律上及び行政上の制度に従い、この条約の実施を促進し、保護し、及び監視するための枠組み(適当な場合には、一又は二以上の独立した仕組みを含む。)を自国内において維持し、強化し、指定し、又は設置する。締約国は、このような仕組みを指定し、又は設置する場合には、人権の保護及び促進のための国内機構の地位及び役割に関する原則を考慮に入れる。 3 市民社会(特に、障害者及び障害者を代表する団体)は、監視の過程に十分に関与し、かつ、参加する。 2.雇用分野における差別禁止 2013年に障害者差別解消法の施行と同時に改正障害者雇用促進法における差別禁止と合理的配慮提供が義務化された。雇用分野における差別事例や紛争解決について、雇用の分野や業種別、障害の種別や性別などのデータ収集やデータ分析を第4次計画に盛り込むべきである。 3.虐待防止について 2012年の障害者虐待防止法の施行以来、虐待に対する取り組みは進んできている。しかし、障害者権利条約第16条などの規定からみると課題も多い。主な課題としては通報義務対象を教育機関や医療機関、保育所などに拡大することと、虐待の防止のための第三者機関による介入の体制の整備などがある。第4次計画期間の中で障害者虐待防止法を改正し、効果的な虐待の防止施策を進めるべきである。 【参考:障害者権利条約第十六条 搾取、暴力及び虐待からの自由】 1 締約国は、家庭の内外におけるあらゆる形態の搾取、暴力及び虐待(性別に基づくものを含む。)から障害者を保護するための全ての適当な立法上、行政上、社会上、教育上その他の措置をとる。 2 また、締約国は、特に、障害者並びにその家族及び介護者に対する適当な形態の性別及び年齢に配慮した援助及び支援(搾取、暴力及び虐待の事案を防止し、認識し、及び報告する方法に関する情報及び教育を提供することによるものを含む。)を確保することにより、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待を防止するための全ての適当な措置をとる。締約国は、保護事業が年齢、性別及び障害に配慮したものであることを確保する。 3 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待の発生を防止するため、障害者に役立つことを意図した全ての施設及び計画が独立した当局により効果的に監視されることを確保する。 4 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力又は虐待の被害者となる障害者の身体的、認知的及び心理的な回復、リハビリテーション並びに社会復帰を促進するための全ての適当な措置(保護事業の提供によるものを含む。)をとる。このような回復及び復帰は、障害者の健康、福祉、自尊心、尊厳及び自律を育成する環境において行われるものとし、性別及び年齢に応じたニーズを考慮に入れる。 5 締約国は、障害者に対する搾取、暴力及び虐待の事案が特定され、捜査され、及び適当な場合には訴追されることを確保するための効果的な法令及び政策(女子及び児童に重点を置いた法令及び政策を含む。)を策定する。 なお、虐待の防止を効果的に進めるためにも障害者基本法の第2章(各則部分)に虐待防止も加えるべきである。  【高橋委員】 合理的配慮の提供について、過重な負担という要素も含めて、事例を集積していかないと、適切に対応できないと考える。  【竹下委員】 権利条約2条が示す差別の禁止と合理的配慮の提供が障害者差別解消法の施行によってどのように前進したかが検証されなければならない。そのためには、以下の方策を実行すべきである。 1 地方公共団体及び民間事業者に対する実態調査 2 当事者団体等からのヒアリングの実施 3 同法7条1項や8条1項における「正当な理由」を根拠に差別事象が発生した場合や同法7条2項及び8条2項に基づく合理的配慮の提供の「過重な負担」として拒まれた場合の妥当性を検証し、権利条約2条の趣旨ないし精神が徹底されるように施策を実施する。  【玉木委員】 ・「虐待」という言葉が、あまりにも曖昧でごまかしやすい状況にある。例えば、障害者に暴力を振るっても「虐待」という言葉でごまかされて、健常者が暴力を振るわれると「犯罪」として取り扱われてしまう。これは、不当な差別的取り扱いにあたるのではないだろうか。やはり今後は、「虐待」事案も慎重に取り扱っていく必要がある。 ・障害者差別解消法が施行されて、各省庁が対応要領を作成しているが、それが機能しているか検証していく必要がある。また、具体的にあっせん・調整がしにくい状況にある。そのためにも、具体的に事例を示しながら、どのように差別解消が進んできたかを検証することも必要である。  【柘植委員】 ・障害者差別解消法の施行に伴う施策 「合理的配慮」の提供の実施状況の把握を行う。 「社会的障壁」の除去の成功例と困難例の収集と公表を行う。 ・障害者差別解消法の施行に伴う施策 公的機関と民間事業者との間で、合理的配慮の提供の義務と努力義務とに分かれているが、同様の業務内容の場合、不当の差になっていないかの監視が必要と考える。 例えば、就学前の、幼稚園、保育所、認定子ども園において、同じような障害のある子どもへの合理的配慮の提供において、必要以上の差になっていないかの監視が必要。  【辻委員】 ・障害者差別解消法の施行にあたって関係機関が連携して対応する体制や自治体間の情報共有体制の構築 ・地方公共団体や事業主に義務付けられている「合理的配慮」の提供、啓発活動や相談・紛争解決の体制整備  【三浦委員長代理】 1 インクルーシブ教育の推進と交流教育の拡充。福祉教育を人権教育としてすべての差別や排除等を許さない教育カリキュラムの導入。(幼児教育から大学教育、その後の社会教育を通して) 2 障害者差別解消法及び差別禁止の企業及び国民への周知体制の強化。 3 10カ年計画等を策定し、こころのバリアフリーをどう進めるか検討する。 国を挙げて差別と闘い、誰もがともに生きる社会を作るというメッセージを出すため。   (9)行政サービス等における配慮  【石野委員】 (2)選挙等における配慮等 9-(2)-1 政見放送の情報アクセシビリティについて、障害者の参政権の保障のため、障害者への情報保障は義務と明記すべきである。  【加藤委員】 〇我が国には多くの制度がさまざまな省庁において複雑に、ある意味非連続に多くのロスを生じながら存在しているようである。さまざまな困難さ(限りなく相対的ではあるとしても)を抱えて生きることを余儀なくされた児者にタイムリーに、スピード感を持って、適切に必要な支援サービスが提供できていないのではないのか。手帳の有無、診断の有無といった公的な証明証の所有の如何ではなく、もっと身近な、ハードルの低い、抵抗感の少ない相談機関、相談者の権威とか専門性を評価しての迅速な、dailyなレベルの支援が活用できるようにすべきではないか。 〇相談支援事業所の箇所数の確保や相談支援専門員の質的、量的確保が不可欠である。この存在が、地域で主体的に生きることを確かに支えることになるであろうから。  【河井委員】 ・官公庁の対応要領・対応指針の主旨の徹底(研修の度合い)が測れる方策を検討すべきと考える。  【佐藤委員】 ○欠格条項に代表される法制度の障壁の総点検と根本的な見直し 2001年から2002年にかけて主な法令の欠格条項見直し改正がされたが、それ以降は包括的な調査及び見直し作業は行なわれていない。この間に権利条約採択と日本政府の批准、差別解消法の施行という進展があったことを反映できていない。従って、第三次基本計画※1を継承しつつ、「行政サービス」という区分にとどまらず、欠格条項に代表される法制度の障壁の総点検と根本的な見直しに取り組む第四次基本計画策定が求められている。 ○成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律改正(※2) 欠格条項見直しと重なることで、併せて扱われなければならない。この課題の遂行、及び、成年後見制度のありかたについて、権利条約に照らして成年後見制度利用促進委員会のみならず政策委員会においても(例えば合同の会議を設けることも含めて)更なる議論が必要である。 ○権利条約に相応する項目立てをしてその中で扱うこと 欠格条項の見直しは、障害者権利条約第四条「一般的義務」1項b (※2)との対応で取り扱われるべき基本的課題であり、第四次障害者基本計画では、権利条約に相応するような項目を立てて(例: 社会的障壁の除去、権利擁護)、その中で扱うべきである。 ※1 第三次障害者基本計画 9.行政サービス等における配慮(4)国家資格に関する配慮等 ○ 各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう,試験の実施等において必要な配慮を提供するとともに,いわゆる欠格条項について,各制度の趣旨も踏まえ,技術の進展,社会情勢の変化等の必要に応じた見直しを検討する。9-(4)-1 ※2 「成年後見利用促進法」第9条「成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律の改正その他の同条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずる」 ※2 条約第四条1項b 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。 ○行政情報のバリアフリー化(再掲) 政府、地方自治体のウェブサイト、広報誌のアクセシビリティの向上については、義務化も含めた検討を行っていく必要がある。また、有権者通知、選挙公報のアクセシビリティへの配慮も併せて義務化する必要がある。 上記の点を含めた情報バリアフリーを推進するため、ガイドライン並びに法律の制定を検討すべきである。  【竹下委員】 未だ国や自治体が開設するホームページに視覚障害者がアクセスできないものが存在する。また、民主主義の根幹であり、国民主権の行使に不可欠である選挙公報が未だ視覚障害者に保障されているとは言えない。 そこで、権利条約21条のしゅ市ないし精神を実施に移すため、公職選挙法の改正によって、視覚障害者に対する選挙公報の保障として、点字、拡大文字または音声版による交付・配布を法的義務として位置づける。また、立ち会い演説会や政見放送における手話通訳や字幕を法的義務として位置づける。  【三浦委員長代理】 1 行政機関・国における物心両面のバリアフリーを急ぐ。特に職員教育は緊急の課題。 2 郵便投票対象者の拡大(難病等)。   (10)国際協力  【石野委員】 (1)国際的な取組への参加 10-(1)-3 海外へロールモデルを示すためにも、日本が加盟している国際機関においては障害当事者への配慮を日本が先導し、推進していくことを明記すべきであると考える。 (理由)障害当事者の立場でESACPの会議に参加しても、ESCAPは障害者の会議出席における情報保障に対する理解を示しておらず、毎回情報保障体制について交渉が必要な状況が続いている。また、2016年からは財政的な理由で、手話通訳者等の手配・費用のすべて会議参加者が自分で用意しなければならない状況となっている。障害者への施策を論じる会議におけるモデルを日本から積極的に示し・推進すべきではないか。 10-(2)-2 障害分野における国際協力および国際交流に関しては国内外のNGO等に支援を行うとあるが、これを発展させて障害分野と一括りせず各障害分野のNGOと明記するべきであると考える。 (理由)障害の質や程度はそれぞれ異なり、求められる専門知識や経験等は実に異なる。その差異に柔軟に対応するためにも「支援の提供と受入れの両面においてはそれぞれの障害の当事者の参画を求めるようにする」というように、第3次障害者基本計画をさらに一歩踏み込ませた施策が必要ではないか。  【伊藤委員】 10−(1)−1から(4)−2まで ・難病・長期慢性疾患の患者団体の国際交流及び研究体制における国際協力も他の障害と同等にすること。  【佐藤委員】 ○国際的な取り組みへの障害当事者の参加 障害者権利条約、「アジア太平洋障害者の10年(2013−2022)」の実施のためのインチョン戦略等、障害者に対する取り組みだけではなく、仙台防災枠組み、SDGs等の国際的な戦略への実施について、これらの関連性を明確にし、障害者政策全体の課題として取り組む必要がある。 また、これら実施の過程において、アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)との連携を強化し、地域内において、研修・事業等を促進していく必要がある。 障害者権利条約31条1Aにもあるとおり、国際協力活動の計画、実施、評価の過程への障害当事者の参加を促進することが必要である。 ○国際協力活動に関わる職員研修 障害の問題は、分野横断的な課題であるため、障害に関連する事業に携わる職員に限らず、JICA職員、JOCV隊員に対して、障害者の理解を促進するための研修を実施すべきである。  【三浦委員長代理】 1 資金のみならず、医療・介護・福祉技術・人材養成等の支援を行う。 2 国際交流の対象団体・分野として、難病や小児慢性特定疾患児などの団体も積極的に交流が行えるよう国の支援を願いたい。   (11)推進体制  【阿部委員】 障害者の自立と社会参加に関する取組を(地域を含め)社会全体で進めることは十分にできているのだろうか。 国民の障害及び障害者理解促進にあたり、障害者団体、障害者相談員が果たすべき役割が大きいのではないだろうか。 障害者の自立及び社会参加の支援にあたり、障害者団体の自主的な活動を十分に展開するために必要なことは何なのだろうか。 障害者施策の適切な企画、実施、評価及び見直し(PDCA)を行うための地域における情報・データの充実を図るにはどのような取り組みが求められるか。  【安倍井委員】 【事項】 濃厚な医療的ケアを必要とする在宅重症児のための体制整備の確立 【説明】 ・NICUから退院する濃厚な医療的ケアを必要とする障害児がいる家庭にとっては、退院に向けた医療・福祉・教育等の在宅支援担当者によるケア会議は、在宅介護の主役である母親にとって大切な機会となる。 しかし、その後の地域生活において、コーディネートする仕組みが整っていないため、サービス利用にたどり着けない。 ・厚生労働省では、医療的ケア児が地域で必要な支援を円滑に受けられるよう、平成30年度から「医療的ケアを要する障害児に対する支援」を市町村・都道府県に働きかけることとしているが、早急な体制整備が必要。  【伊藤委員】 1.連携・協力の確保 ・障害者団体と患者団体をすべて並列的に扱い「障害者団体・患者団体」とすること 2.広報・啓発活動の推進 (1)広報・啓発活動の推進 ・障害者週間には難病・長期慢性疾患も対象であることを明記すること (2)障害及び障害者理解の促進 ・すべて難病・長期慢性疾患も対象であり患者団体も障害者団体と同様に扱われること ・「難病の日」を設けること  【岩上委員】 各省庁における、年度ごとの達成目標、実施状況、課題、汎化されるとよい良質な事例等に基づいて、進捗状況の管理及び評価が必要であろう。 また、複数省庁にまたがる検証課題は、別記しておく必要があろう。  【河井委員】 ・PDCAサイクルを関係者全員が一体となって動かすことにより推進が図れると考える。 ・パブリックコメントの実効性を高めることが必要と考える。 ・推進体制において、各機関との連携、協働は当然であるが、特に重症心身障害児者の医療と福祉の連携は重要である。現在地域移行が推進されているものの、医療的ケアの必要な子どもたちの受け入れ体制が十分ではなく介護者が疲労困憊している状況を考えた場合、総合大病院等の隣に福祉的なショ−トステイやレスパイト施設を建設し、患児者家族が安心して暮らせていける推進体制等を盛り込めないか。  【佐藤委員】 1.連携・協力の確保 障害者権利条約の締約国としては、立法府や司法府における条約の実施状況についても監視が求められる。まずは、障害者政策委員会として把握ができるよう、立法府・司法府に協力を求めることができるようにすることを、連携・協力の確保に盛り込むべきである。 2.広報・啓発活動の推進 (2)障害及び障害者理解の促進を、条約等にあわせて「障害者の権利の尊重と社会モデル理解の徹底」に変更 現行の計画では、「その障害特性や必要な配慮等に関する理解」「小中学校等の特別活動等における、障害者に対する認識と理解」とされている。 だが、条約第8条「意識の向上」では公衆の意識啓発活動について「(i)障害者の権利に対する理解を育てること。(ii)障害者に対する肯定的認識及び一層の社会の啓発を促進すること」とされており、また、「 (b) 教育制度の全ての段階(幼年期からの全ての児童に対する教育制度を含む。)において、障害者の権利を尊重する態度を育成すること」とされている。 さらに、今年8月に発表されたユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議の「中間とりまとめ」では「障害者差別を行わないよう徹底」と「障害の社会モデルをすべての人が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていき、社会全体の人々の心の在り方を変えていくことが重要」とされた。 これらの点から、この項目全体を「障害者の権利の尊重と社会モデル理解の徹底」とした内容に全面的にあらためるべきである。 4.法的整備 障害者基本計画、並びに障害者政策委員会の根拠となっている障害者基本法の再改正が必要である。2011年の改正時の附則に既定された3年後見直しの時機を大幅に過ぎていることに加えて、この間、第3次基本計画、障害者差別解消法、政府報告書といった取り組みの中で課題が明確になってきている。 特に、改正に関わる項目として「障害の定義」「差別の定義」「障害女性の複合的差別」や、各則で「地域生活支援」「精神障害者(強制医療、退院促進など)」「虐待防止」「権利擁護」「意思決定支援」「意思疎通及び情報コミュニケーション支援」などがあり、さらに「障害者政策委員会の監視機関としての充実」等があげられる。 そのため、この第4次計画に向けた議論を通じて、また、平行して障害者基本法改正の必要性に関する検討を行うべきである。 5.調査研究及び情報提供 現行計画では「障害者の性別、年齢、障害種別の観点に留意し、情報・データの充実を図る」とされたが、それから3年を経た第1回政府報告書においても「課題としては、データ・統計の充実が挙げられ、特に性・年齢・障害種別等のカテゴリーによって分類された、条約上の各権利の実現に関するデータにつき、より障害当事者・関係者の方のニーズを踏まえた収集が求められている」と記されている通り、残念ながら改善されてこなかった。その総括に立って、障害者の性別統計や、障害のある人とない人の状況を比較できる情報・データが得られるように政府全体で取り組むことを盛り込むべきである。 また、条約の実施状況の評価に関連して重要な項目についてのデーターを収集することが求められる。 ロン・マッカラム氏の政策委員会での講演では、 ・障害者差別解消法での申し立て件数、 ・後見人制度のもとにいる知的及び認知的な障害のある人の数、 ・まだ施設で生活している人の数、 ・インクルーシブな教育にアクセスをすることができる、障害のある日本の子供たちの数と割合 等を具体的にあげられていた。 今後の政府報告審査に備える点からも、これらの項目についてのデーターを年次的な変化が分かるように明らかにすべきである。    W その他事項  【安倍井委員】 【事項】 1.入所施設の整備 2.医療的ケアを要する者のためのグループホームへの支援 3.児者一貫体制の維持 【説明】 1.在宅で生活をしている重症心身障害者の介護者の高齢化に伴い、入所施設の必要性が高まっている。親亡き後だけでなく、介護者の介護力低下によって介護困難となった場合に備えて入所施設の整備は必要。 2.重症心身障害者(自己の意思が確認できる者の場合)がグループホームで安心して生活するためには、重症心身障害医療が理解できる地域の医師との連携、緊急時の医療体制確保などの医療体制整備が必要。医療的ケアが実施できる看護師の常駐など手厚い人的配置が必要とされる。 更に、安定して運営できる財政支援がなければ、整備は進まない。 医療体制が薄いために、グループホームが終の棲家となり得るのか疑問を持つ親は、グループホームを選択肢の一つと考えていない。 3.どんなに障害が重くとも限りなく成長する可能性を秘めている重症心身障害児者の発達成長には、児童と同じような支援が必要。医療・福祉両面における、児者一貫の支援体制の継続が必要。  【石野委員】 「障害者基本計画」の数値目標について、情報アクセシビリティの観点からも「情報支援」「意思疎通支援」に関する事業についても、数値目標として設定する必要があると考える。  【加藤委員】 限られた、地域でのサービス資源を有効かつ効率的に当事者に収斂させるためには、様々な配慮工夫が必要となるが、障害種別とか年齢ごとのサービス体系ではなく、生活や暮らしの中での困り感に根差したニーズに地域の一次機関が広く対応する一元的機関の存在が必要である。  【北岡委員】 この数年、与野党の関係議員の尽力によって障害者関係の各種法律が整備されてきたことについて感謝している。2011年に成立した改正・障害者基本法と障害者虐待防止法から、すでに5年が経っている。どちらも施行後3年見直しが明記されているが、その時期を過ぎている。ともに、障害者が地域で安心して暮らし、色々な活動に参加していく上で大切な法律なので、さらなる改善が望まれる。 「意思決定支援」や「権利擁護」、「虐待防止」の項目が、現在の障害者基本法には欠けているので、虐待防止法では、重大事案が起きた時の対応が十分とれない等の問題がある。障害者が「地域で、必要な支援を得ながら、活動する存在」という方向感を持ち、障害者基本法改正や虐待防止法などについても、第4次計画を進めていく上での課題として議論できるようにするべきである。  【佐藤委員】 ○条約・第12条をふまえ、意思決定支援に関する新たな制度の検討を行うべきである。 ロン・マッカラム氏の政策委員会での講演では、第12条に関して、「法的能力は、権利条約の中心的なものです。なぜなら、障害のある全ての人は人権の担い手として、完全な法的能力を主張しているからです」と提起されていた。 また、政策委員会は、政府報告に対して、「意思決定の支援及び法的能力の行使を支援する社会的枠組みの構築が急務である」と指摘した。 これらの点をふまえて、代理決定のしくみである成年後見制度ではなく、新たな制度の検討を行うべきである。 ○障害者基本法改正の必要性に関して政策委員会での検討の機会を設けるべき(再掲) 障害者基本計画、並びに障害者政策委員会の根拠となっている障害者基本法の再改正が必要である。2011年の改正時の附則に既定された3年後見直しの時機を大幅に過ぎていることに加えて、この間、第3次基本計画、障害者差別解消法、政府報告書といった取り組みの中で課題が明確になってきている。 特に、改正に関わる項目として「障害の定義」「差別の定義」「障害女性の複合的差別」や、各則で「地域生活支援」「精神障害者(強制医療、退院促進など)」「虐待防止」「権利擁護」「意思決定支援」「意思疎通及び情報コミュニケーション支援」などがあり、さらに「障害者政策委員会の監視機関としての充実」等があげられる。 そのため、この第4次計画に向けた議論を通じて、また、平行して障害者基本法改正の必要性に関する検討を行うべきである。  【柘植委員】 ・「エビデンスに基づいた教育政策」(2016伊勢志摩サミットにおけるG7倉敷宣言)、「エビデンスに基づく障害者政策」への転換 監視の方法(手法)の検討において、権利条約の31条(統計及び資料の収集)を十分に踏まえることが重要。 費用対効果の検討や、次年度予算要求の資料としても重要。  【山崎委員】 @障害者総合支援法改正について ・障害者総合支援法が改正されたが、利用者・家族・事業者に大きな混乱を招くことがないよう、中長期的な視点で制度の変更が必要と思われる課題を整理し検討がする必要がある。 ・障がい種別を一元化した制度となったが、それぞれの障がい特性に応じた支援の違いと支援に関する評価の在り方は、中長期的な視点から今後検討すべきと考える。 ・国が全国一律に共通して実施する事業(個別給付)と、都道府県・市町村が担う事業(地域生活支援事業等)の関係性について整理・検討する必要があると考える。 ・多くの障害者が障害基礎年金による収入が所得の中心となっている。サービス利用に際し低所得者に利用料の負担を求めることは、障害者自立支援法訴訟団の和解事項に反することから、負担の在り方の原則は、現行の仕組み(応能負担)を堅持すべきと考える。 A1億総活躍を政策としているが、障害者総合支援法の中に今後活躍のステージを位置づけてほしい。