資料2−2   公務部門における障害者雇用に関する基本方針   平成30年10月23日   公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議  公務部門は、民間の事業主に対し率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、今般、多くの機関において対象障害者の確認・計上に誤りがあり、法定雇用率を達成していない状況であったことが明らかとなった事態を重く受け止める必要がある。  障害者雇用については、障害者基本法(昭和45年法律第84号)、障害者基本計画(第4次)(平成30年3月30日閣議決定)及び障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号。以下「障害者雇用促進法」という。)において「共生」や「社会連帯」の理念が掲げられ、これを基盤とし、関係施策とあいまって、障害者雇用の推進に向けた取組が進められてきた。  障害者雇用促進法においては、「すべて事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであつて、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るように努めなければならない。」(第5条)とされ、国及び地方公共団体も事業主としてこの責務を有するものである。 また、特に国の機関における障害者雇用については、障害者基本計画(第4次)にお  いて、「国の機関においては、民間企業に率先垂範して障害者雇用を進める立場であることを踏まえ、法定雇用率の完全達成に向けて取り組むなど、積極的に障害者の雇用を進める。」こととされている。  各府省は、今般の事態に対応するに当たって、このような障害者雇用の理念や推進の考え方及び制度の理解を改めて確認・徹底し、再発防止はもとより、法定雇用率の達成に向けた計画的な取組とあわせて、率先垂範して障害者雇用を進める立場から、公務部門における障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を着実に進めていく必要がある。  このため、本閣僚会議の下に「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」(以下「連絡会議」という。議長:厚生労働大臣)を設置し、政府一体となって障害者雇用の推進に取り組む方策について検討を進めてきた。また、連絡会議の下に、弁護士等を構成員とする「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」(以下「検証委員会」という。委員長:松井 巖 氏(弁護士、元福岡高検検事長))を設置し、再発防止とチェック機能の強化策を検討していく上での前提として、今般の事態の事実関係の確認と検証を行った。  連絡会議においては、障害者団体等から御意見を伺ったほか、障害者代表や労働者代表・使用者代表も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会においても、今般の事態について御審議いただいた。 それらも踏まえ、今般、閣僚会議として、公務部門における障害者の活躍の場の拡大に向けた基本方針を策定し、公表するものである。なお、本文中の人事院に係る部分は、人事院に対して検討を要請するものである。   1.今般の事態の検証とチェック機能の強化   (1)今般の事態の検証  今般の事態については、検証委員会において事実関係の確認と検証を実施してきたところであり、その検証結果については、検証委員会から別途報告された報告書のとおりである。検証結果について、真摯に受け止め、今般の事態について深く反省し、再発防止に向けて必要な対策を講じていく。   (2)再発防止のための対策   ア.検証委員会による検証結果を踏まえ、障害者雇用促進法を所管する厚生労働省及び各府省のそれぞれにおいて、本基本方針に基づいて、再発防止策として以下の取組を実施する。  (ア)厚生労働省における取組 ・厚生労働省は、通報対象となる障害者の範囲及びその確認方法、法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数の計上に関して、明確な判断基準を改めて示すとともに、それらの確認・計上、通報対象となる障害者の名簿の作成、関係書類の保存等の障害者雇用促進法に基づく通報等に関する実務、及び各府省における再発防止のための取組に係る留意事項(人事担当部署による内部点検の実施、研修会の実施、事務処理体制の強化等)について示した手引き(以下「手引き」という。)を作成し、各府省に送付する。 また、制度の改正等が行われた際には、手引きについて必要な改訂を行い、改めて各府省に送付する。 ・厚生労働省は、障害者雇用促進法に基づく通報等に関して各府省に毎年発出する文書について、手引きを添付する。 ・厚生労働省は、内閣人事局の協力を得て、各府省の人事担当者向けに、障害者雇用促進法に基づく通報等に関する実務に関する説明会・情報交換会を毎年実施する。 ・厚生労働省は、毎年度、各府省に対して「障害者の任免状況の通報に関するチェックシート」を配布し、各府省からの通報を受けるに当たってチェック済みの当該チェックシートの提出を求め、その内容を確認する。 ・厚生労働省は、各府省から通報される任免状況に関して、各府省が保存する通報対象となる障害者の名簿や障害者手帳(身体障害者については指定医等の診断書を含む。以下同じ。)の写し等の関係書類について必要な調査を行い、通報対象となる障害者の範囲やその確認方法等の実務が適切に実施されているかを確認する。  (イ)各府省における取組 ・各府省は、各部局の責任者を構成員とする会議等、府省全体で障害者雇用の推進を図るために構築する体制の下で、誤りがあった府省においては自らの誤りの原因を踏まえ、再発防止策が継続的に実効あるものとして実施されているか、取組状況のフォローアップを行う。特に、地方支分部局等のある府省においては、再発防止策を本府省のみならず、地方支分部局等にも浸透させ、確実に取り組まれるようにする。 ・各府省は、通報対象となる障害者の範囲やその確認方法等が適切に取り扱われているかを確認することができるよう、手引きにしたがって、通報対象となる障害者の名簿を作成するとともに、障害者手帳の写し等の関係書類を保存する。 ・各府省の人事担当部署は、毎年度、各部局から報告される任免状況について、通報対象となる障害者の範囲やその確認方法等が適切に取り扱われていることを確認するため、適宜対象部局を選定して障害者手帳の写しを実地に確認すること、障害者の任免状況の増減理由に関するヒアリングを行うこと等、内部点検を行う。 ・また、不適正な事務処理を未然に防止するため、通報対象となる障害者の範囲及びその確認方法、法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数の計上、通報書の作成などに関し、「障害者の任免状況の通報に関するチェックシート」を活用しながら、複数の職員によりチェックするなどの体制強化を図る。 ・上記のほか、各府省は、職員自らが通報対象となる障害者として計上されているか確認できる仕組みの整備、各部局の担当者向け研修会の実施、各府省におけるグループウェアの活用等による手引き等の情報の共有等、それぞれの実情に応じた方策を実施する。  イ.地方公共団体における再発防止のための取組  「都道府県の機関、市町村の機関、都道府県等の教育委員会及び独立行政法人等における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況等の再点検結果について」(平成30年10月22日)の結果等を踏まえ、地方公共団体における再発防止のための取組について、本基本方針を参考にしながら必要な措置を講ずるよう、厚生労働省及び総務省より要請する。  ウ.チェック機能の強化に向けた更なる検討  厚生労働大臣による国の行政機関等における障害者の任免状況に関するチェック機能の強化について、引き続き、法的整備を視野に入れた検討を行うとともに、国の行政機関等における障害者の任免状況について、これまで実施してきた厚生労働省による一括した公表と併せて、各機関における説明責任を果たす観点から、各機関が自ら障害者の任免状況を公表する仕組みを検討する。   2.法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組   (1)障害者採用計画の策定  法定雇用率を達成していない府省は、まずは年内の達成を目指し、それが難しい場合には、障害者雇用促進法の下、平成31年末までの障害者採用計画を策定し、当該計画に則って法定雇用率の速やかな達成に向けた取組を進める(法定雇用率を達成していない府省等における障害者採用計画は別紙)。その際、身体障害者、知的障害者、精神障害者のそれぞれの障害特性等を適切に踏まえ、広く働きやすい就労機会を提供することに努めるものとし、特に本年4月から障害者雇用促進法に基づく雇用義務の対象に精神障害者が加わったことを踏まえ、精神障害者の雇用も積極的に進めていく。   (2)障害者採用計画の達成に向けた具体的な取組計画  法定雇用率を達成していない府省は、障害者採用計画と併せ、障害者雇用を推進していくために必要となる府省内の体制整備、障害者の採用活動及び職場定着等に関する具体的な取組計画を策定する。 併せて、法定雇用率を達成している府省においても、当該取組計画を策定する。   (3)障害者雇用に関する理解の促進  ア.人事担当者の理解促進 ・各府省は、障害者の働きやすい職場環境づくりや障害特性に応じた雇用管理に関する人事担当者の理解を深める取組を進める。 ・人事院は、民間事業主等向けの合理的配慮指針を踏まえ、国家公務員における合理的配慮に関する指針を、年内をめどに策定する。その指針を踏まえ、内閣人事局を中心として、厚生労働省及び人事院の協力を得て、公務部門における障害者雇用マニュアルを、年度内をめどに整備する。 ・厚生労働省は、公務部門にも応用できる民間企業における障害者雇用のノウハウについて、各種マニュアル、ガイドブック、リファレンスサービス等により速やかに各府省に提供する。 ・厚生労働省は、障害者の働きやすい職場環境づくりや障害特性に応じた雇用管理に精通した者(民間企業や就労支援機関での豊富な支援経験を有する者)を選任し、障害者が活躍できる具体的な業務の選定等各府省に対してその実情に応じた専門的な助言を行うことができる体制を速やかに整備する。 ・厚生労働省及び内閣人事局は、障害者の働きやすい職場環境づくりや障害特性に応じた雇用管理に関し、各府省に求められる各種取組について説明する障害者雇用セミナーを年内に開催し、その後も継続的に開催する。 ・厚生労働省は、各府省の人事担当者が障害者雇用に関する理解を深め、障害者雇用を進めていくに当たって生ずる課題やその対応等について学ぶ機会を持つことができるよう、障害者雇用職場見学会を年内に開催し、その後も継続的に開催する。 ・内閣人事局は、障害特性を理解した上での雇用・配置や業務のコーディネートを行う障害者雇用のキーパーソンを養成する「障害者雇用キーパーソン養成講習会」を年内に開催し、その後も継続的に実施する。  イ.障害者と共に働く同僚・上司の理解促進 ・各府省は、職場の同僚・上司の障害に対する理解を深め、障害のある職員を温かく見守り、支援する応援者となるよう、障害に対する理解を深めるための研修等の取組を推進する。 ・厚生労働省は、ハローワークにおいて、各府省の取組を支援するため、精神・発達障害者と共に働く職員を対象として、精神・発達障害者に対する知識と理解を深める「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」を年内に開催し、その後も継続的に実施する(各府省に出向いて開催することを含む。)。また、同講座のe-ラーニング版を年度内に作成し、各府省の職員が受講できるように提供する。   (4)採用計画を着実に進捗させるための取組及び支援策  ア.支援策に係る府省別の相談窓口担当者の配置 ・厚生労働省は、速やかに各府省別の「相談窓口担当者」(リエゾン)を定め、各府省からの相談にワンストップで対応する。  イ.ハローワークにおける職業紹介等 ・各府省は、採用計画に基づき、速やかに、ハローワークに対して業務内容や業務上の配慮などを分かりやすく示した求人申込みを行う。 ・厚生労働省は、ハローワークにおいて、各府省の求人申込みに応じて、障害特性に応じたきめ細かな職業相談・紹介、職場定着支援等を実施するため、就職を希望する障害者に対し、ハローワークを中心に就労支援機関の職員や医療機関等の職員から構成される「障害者就労支援チーム」を結成し、就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を実施することを通じ、各府省における円滑な採用や採用する障害者の職場定着を促進する。 ・管轄内に複数の府省が所在するハローワークを中心に求人受理体制を強化するとともに、各府省への就職を希望する求職者のマッチングや就職後の職場定着支援等を実施するため、ハローワークに支援員を配置するなどの体制整備を図る。 ・ハローワークにおいて、求職者と求人者が一同に会する業務説明会を年内に開催し、その後も継続的に開催する。  ウ.障害者就労支援機関等との連携 ・厚生労働省は、各府省向けに、就労移行支援機関や特別支援学校、障害者職業能力開発校などの見学会を年内に開催し、その後も継続的に実施する。 ・また、ハローワークにおいて、障害者就労支援機関(就労移行支援事業所、就労継続支援事業所)に対し、各府省の求人情報を提供すること等により、希望する求職者の円滑な移行を積極的に促し、ハローワークにおける職業紹介につなげる。 ・各府省は就職した障害者を支援している就労支援機関等と連携し、円滑な定着に努める。  エ.より良い職場環境づくりにつなげる職場実習の実施 ・各府省は、障害者の職場実習の実施等を通じて、障害に対する理解を深めるとともに、雇用に当たっての課題の発見とその改善策の検討に取り組むことにより、障害者雇用に係るノウハウを蓄積し、より良い職場環境づくりにつなげる。 ・厚生労働省及び内閣人事局は、ハローワークによる実習希望者の紹介や内閣人事局の「障害者ワーク・サポート・ステーション事業」(各府省の職場へ、障害者(実習生)とその支援者を一定期間派遣)の実施により、各府省における障害者の職場実習を支援する。   (5)地方公共団体に対する対応  「都道府県の機関、市町村の機関、都道府県等の教育委員会及び独立行政法人等における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況等の再点検結果について」(平成30年10月22日)の結果等を踏まえ、法定雇用率を達成していない地方公共団体について、その達成に向けた取組を着実なものとするため、厚生労働省は、総務省の協力を得て、上記(3)及び(4)に記載された支援を踏まえつつ、対応について検討する。   3.国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大   (1)障害者が活躍しやすい職場づくりの推進  ア.障害者の活躍の場の拡大に向けた取組の推進体制の整備 ・各府省は、障害者雇用の推進に関する実務責任者を、障害者雇用促進法第78条の障害者雇用推進者に相当するものとして、人事担当部局の職員の中から選任し、速やかに配置する。 ・各府省は、関係部局の職員により構成する障害者雇用推進チームを設置すること、外部人材の委嘱等により障害者が働く部署の人事担当者からの相談に応じる体制を整備すること等を通じて、速やかに障害者の活躍の場の拡大に向けた府省内の取組の推進体制を整備する。  イ.人事担当者や障害者と共に働く同僚・上司の理解促進等(再掲) ・人事担当者の理解促進 ・障害者と共に働く同僚・上司の理解促進 ・障害者就労支援機関等との連携  ウ.働く障害者向けの相談窓口 ・各府省は、障害者雇用促進法第79条の障害者職業生活相談員に相当するものとして、障害者本人からの相談を受け付ける相談員を職員の中から選任し配置すること等により、速やかに相談体制を整備する。  エ.個々の障害者のサポートをする支援者の配置・委嘱 ・各府省は、勤務に当たって個別的なサポートを行う支援者を必要とする障害者を採用する場合、当該支援者を採用又は職員の中から選任することやハローワーク等に配置される支援者による職場適応に係る支援を受けることにより、採用後における職場適応が円滑に進むようにサポートする。 ・職員の中から支援者を選任する場合において、的確なサポートを行えるよう、厚生労働省等が年度内及びその後継続的に開催する職場での支援者向けの各種セミナー等を受講させる。  オ.障害者の作業環境を整えるための機器の導入・設備改善 ・各府省は、障害者の就労を進めるために必要な施設や設備の設置、整備等について、積極的に取り組むものとする。 ・その際、厚生労働省は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)や民間機関を活用して、各府省からの相談に対応する。   (2)障害者がいきいきと働きやすい人事管理の在り方の検討  障害者が、自らの希望や障害の特性等に応じて、無理なく、かつ、安定的に働くことができるよう、国家公務員の人事管理の在り方について検討を進め、必要な措置を講じていく。 ・人事院は、早出遅出勤務の特例の設定、フレックスタイム制の柔軟化、休憩時間の弾力的な設定等の必要な措置を講ずるとともに、民間や公務における状況を踏まえて、障害者の働きやすさを考慮した勤務時間・休暇制度における更に必要な措置について検討を行う。 ・各府省は、障害を有する職員が、通勤負担等を軽減するため、必要に応じてテレワーク勤務を活用できるよう環境整備を行うこととし、まずは平成30年中に関連規程の整備を行う。 ・内閣人事局は、障害を有する職員の人事評価を行うに際して、当該職員の負担軽減を始め適切な人事評価を確保するため、障害の態様等により留意すべき事項をまとめ、平成30年中に各府省に通知する。   (3)障害者の自立の促進や民間における障害者雇用に資する取組の推進  ア.障害者雇用施策の充実 ・本基本方針に基づく取組については、今般の事態を踏まえ、公務部門における障害者雇用を主眼に置いたものであるが、民間企業における障害者雇用を推進していくことも重要であり、大切なことは、官民を問わず、障害のある方の活躍の場を見出し、拡大していくという視点である。 ・このため、厚生労働省は、ハローワークによるきめ細かな職業相談・職業紹介、機構による各種専門支援サービスの推進、地域の就労支援拠点である障害者就業・生活支援センターの機能強化等により、ハローワークの求職登録者、障害者就労支援機関の利用者、特別支援学校の卒業生、障害者職業能力開発校の修了生等の就職促進と定着支援を積極的に進める。さらに、企業等が障害特性等の情報を共有し、精神障害者等に対する適切な支援や配慮を講じやすくするための情報共有フォーマットである「就労パスポート」の活用の検討等を通じ、障害者雇用施策の充実を図るとともに、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」の報告書を踏まえた障害者雇用施策の充実に向けた検討を進める。  イ.障害者優先調達推進法に基づく、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進 ・各府省は、障害者雇用の推進と併せ、障害者の自立の促進や民間における障害者雇用に資する取組を推進する観点から、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(平成24年法律第50号)に基づく障害者就労施設等からの物品等の調達を着実に推進する。 ・具体的には、各府省は、調達方針において定めている目標の達成に向けて取り組む。また、厚生労働省は、各府省に対し、対象となる障害者就労施設等に関する詳細な情報や創意・工夫等している取組事例を提供する。これらの取組などにより各府省の調達の推進等に向けた取組を進める。   (4)地方公共団体に対する対応  地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大に向け、上記の取組について、各地方公共団体の実情に応じ、本基本方針を参考にしながら必要な措置を講ずるよう、厚生労働省及び総務省より要請する。その際、厚生労働省は、上記(1)に記載された支援を踏まえつつ、対応について検討する。   4.公務員の任用面での対応等   (1)障害者が能力を発揮できる職務の用意  各府省は、個々の障害者がその障害の内容及び程度に応じて能力を発揮できる具体的な職域・職種・業務を把握し、その用意を行う。   (2)障害者を対象とした募集、採用等の考え方の提示  人事院は、厚生労働省の助言を得て、障害者を採用するに当たっての募集、採用方法、採用時の配慮(面接の際の就労支援機関の職員の同席等を含む。)等の基本的な考え方を年内に各府省に提示する。各府省はこの考え方に基づき、障害者の採用に係る手続を実施する。なお、障害者を対象とした募集に基づき採用された場合に障害者手帳の返納や失効を理由とした免職は行わない。   (3)多様な任用形態の確保  ア.障害者を対象とした新たな常勤採用の枠組み(選考採用)の導入 ・法定雇用率を達成するための各府省の採用計画における常勤職員の職務内容、規模等を踏まえた上で、人事院が能力実証等の一部を統一的に行う障害者を対象とした選考試験を平成30年度より導入する。その際、平成30年度については、各府省が年度中に採用を行えることを最優先に時期等を検討する。その結果も踏まえ、平成31年度については、各府省が同年中に採用を行えるよう時期等を検討する。 ・並行して、各府省において個別に選考採用を実施することとし、人事院から承認申請に際しての留意点等を年内に各府省に提示する。また、人事院は、選考手続きにおいて、過去の採用試験に合格したことを評価できる旨を各府省に提示する。 ・選考を経て常勤職員として採用予定の者について、本人の希望に応じ、採用前に非常勤職員として勤務できるプレ雇用を導入することとし、留意事項などを内閣人事局が年内に通知する。  イ.ステップアップ制度の導入 ・非常勤職員として勤務した後、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップの枠組みを平成30年度中に導入することとし、具体的な方法については、内閣人事局及び人事院において、厚生労働省の協力を得て引き続き検討し、年内に各府省に提示する。 ・厚生労働省等において、平成30年度中に、職務実績のある非常勤職員について、必要な手続を経て、ステップアップの取組を実施することとする。  ウ.障害の態様に応じた非常勤職員制度の運用 ・非常勤職員について、人事院及び内閣人事局において、障害特性等に応じた適切な対応を図る観点から、雇用の安定確保等に関する運用指針を年内に策定し、各府省に提示する。   (4)地方公共団体に対する対応  上記の取組について、各地方公共団体の実情に応じ、本基本方針を参考にしながら必要な措置を講ずるよう、厚生労働省及び総務省より要請する。   (5)定員・予算措置  上記施策の推進に必要となる定員及び予算については適切に措置するものとする。   5.今後に向けて  本基本方針に基づく取組状況については、本閣僚会議等政府一体となって推進する体制の下においてフォローアップを行うこととし、今般の事態の再発防止及び障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を着実に推進していく。 その際、本基本方針の目指すものは、法定雇用率が未達成の府省における法定雇用率の達成に留まるものではなく、法定雇用率を達成している府省も含め障害のある方が意欲と能力を発揮し、活躍できる場の拡大に取り組んでいくことであり、今後においても政府一体となって障害者の雇用を不断に推進していく。 (別紙) (編集者注) 以下は表であり、 行政機関名  障害者である職員の不足数(平成30年6月1日現在)※   採用予定数(計画の始期〜平成30年度末)  採用予定数(平成31年度当初〜計画の終期)  採用予定数の合計 の順に記載している。 行政機関合計 3,875.0 1,491.5 2,581.0 4,072.5 内閣官房 28.0 5.5 29.0 34.5 内閣法制局 − − − −  内閣府 47.0 9.0 44.0 53.0 宮内庁 14.0 1.5 15.0 16.5 公正取引委員会 3.0 6.0 0.0 6.0 警察庁 − − − −  金融庁 10.0 10.0 17.0 27.0 消費者庁 10.5 3.0 4.0 7.0 個人情報保護委員会 − − − −  復興庁 5.0 (注) (注) (注)  総務省 80.0 5.0 80.0 85.0 法務省 574.5 383.0 248.5 631.5 公安調査庁 31.0 25.0 0.0 25.0 外務省 138.0 23.0 123.0 146.0 財務省 157.0 68.5 101.0 169.5 国税庁 1,068.5 550.0 546.0 1,096.0 文部科学省 47.0 4.5 44.5 49.0 厚生労働省 − − − −  農林水産省 212.5 44.0 179.0 223.0 林野庁 44.5 24.0 25.0 49.0 水産庁 12.0 5.0 10.0 15.0 経済産業省 103.5 42.5 63.0 105.5 特許庁 64.0 18.0 54.0 72.0 国土交通省 713.5 183.0 549.0 732.0 観光庁 6.0 7.0 0.0 7.0 気象庁 54.0 20.0 46.0 66.0 海上保安庁 − − − −  運輸安全委員会 4.0 5.0 0.0 5.0 環境省 53.0 6.0 47.0 53.0 原子力規制委員会 − − − −  防衛省 350.5 32.0 319.0 351.0 防衛装備庁 29.0 3.0 28.0 31.0 人事院 10.0 6.0 6.0 12.0 会計検査院 5.0 2.0 3.0 5.0 ※ 障害者である職員の不足数(平成30年6月1日現在)については、全体的に平成29年6月1日現在の不足数よりも増加しているが、これは主に本年4月1日からの国の行政機関における法定雇用率が、それまでの2.3%から2.5%になったことに伴うものである。 注 復興庁においては、今般の平成29年6月1日現在の障害者の任免状況にかかる再点検結果により、法定雇用障害者数からの不足数が5.0人と判明したことから、平成32年度末の復興庁の廃止も見据えて、採用予定数について検討中である。