資料1 p1 障害者に対する「不当な差別的取扱い」に関する主な相談事例 令和元年6月   1.解決に至ったもの(又は解決に向けて進展が見られたもの) 整理番号 (回答元):1(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 女性 年代不明   生活場面:公共交通 (バス) 事案・相談の概要:イベントに参加するため、人工呼吸器付きのストレッチャーを利用した状態でスロープ付きバスを利用する旨をバス事業者に事前に申し出たところ、乗車を断られた。 対応・経過等:事業者より、「混雑状況、乗車時の安全確保(保安ベルトの着用・ストレッチャーの固定)等を考慮し、乗車困難と判断した」旨の説明。その後、相談者の要望を踏まえ、ストレッチャーの固定や乗車時の安全性について検証テストを実施。事業者より試験的に乗車許可との回答が得られ、事業者のスタッフ2名の付き添いの下、無事に乗車できた。今後は、事業者が様々なストレッチャーのタイプを想定した上で対応していく方向で調整が進んでいる。 整理番号 (回答元):2(市区町村) 相談者属性:発達障害 男性 年代不明   生活場面:公共交通(バス) 事案・相談の概要:本人は過去10年以上にわたり一人でバスに乗車していたが、バス乗車中に異性に対する迷惑行為があったことを受け、バス事業者から保護者の同乗が求められるようになった。 対応・経過等:広域専門指導員が確認したところ、本人は迷惑行為を「スキンシップ」と捉えていたことが判明。関係機関(障害主管課、就労継続支援事業所、バス事業者、家族会)による会合を開催し、以下について決定。 . バス事業者への周知活動として研修会を企画し、本人の障害特性や乗車時の対応について共通理解を求める。 . 本人に、バス乗車中を含め、あらゆる場面で「スキンシップ」を求めないなどの社会のルールを教える。 . 地域生活支援事業(移動支援事業)を活用し、バス事業者の協力を得て、関係事業所スタッフの同乗の下、バス乗車訓練を実施する。 バス乗車訓練の開始から1か月半後に担当者会議で協議し、以後は一人で乗車できることとなった。また、地域協議会や相談員への研修会で事例として報告し、取組の共有を図った。 p2 整理番号 (回答元):3(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 女性 40代   生活場面:公共交通 (ハイヤー) 事案・相談の概要:ハイヤーを定期的に利用していたが、ある日、ハイヤーの運転手から「リフト付きワゴンサービスを利用した方がよい」と言われ、ハイヤーの乗車を拒否された。 対応・経過等:事業者より、「障害の状況からリフト付きワゴン車の方が安全と考え、同サービスを紹介したもので、乗車拒否の意図はない」との説明。両者の認識に齟齬が見られたことから、双方に説明を行い、最終的には両者の納得が得られた。 本件を受け、事業者は障害のある利用者への対応を改善し、相談者は同事業者のハイヤーを継続して利用している。 整理番号 (回答元):4(都道府県) 相談者属性: 視覚障害(複数名)   生活場面:公共交通 (航空機) 事案・相談の概要:盲導犬利用者5人で航空機を利用しようとしたところ、航空事業者から、約款に基づき一機当たり一頭しか乗れないと言われ、搭乗できなかった。 対応・経過等: 航空事業者より、「従前は一機につき盲導犬一頭に制限する旨がマニュアルに明記されていたが、要望を踏まえ取扱いを改めることとした」旨の回答があった。 整理番号 (回答元):5(各省庁) 相談者属性:肢体不自由 性別不明 年代不明 生活場面:建物・施設 事案・相談の概要:車椅子でエレベーターに乗ろうとしたところ、「車椅子使用の方は、付き添いの方と一緒に御利用ください」との表示があり、車椅子利用者は単独では乗れないのかとの相談があった。 対応・経過等:不適切な内容であり、他に同様の表示がないか調査を行い、該当部分を撤去したり、テープで覆い隠したりする措置を講じた。 整理番号 (回答元):6(各省庁) 相談者属性:肢体不自由 男性 30代 生活場面:建物・施設 事案・相談の概要:ある公共施設の男子用多目的トイレは、通常は施錠されており、利用する場合は事務所に申し出て、その都度開錠することとされているが、煩雑なため、是正してほしいとの相談があった。 対応・経過等:調整の結果、常時開錠する取扱いに改められた。 整理番号 (回答元):7(市区町村) 相談者属性:知的障害 男性 10代   生活場面:教育(種別不明) 事案・相談の概要:特別支援学級に在籍していることを理由として、サッカー部への在籍を拒否された。 対応・経過等:部員や顧問等は理解を示していたが、校長の許可が得られなかったことが原因と判明。意識改善を図り、在籍が認められるようになった。 整理番号 (回答元):8(各省庁) 相談者属性: 肢体不自由 男性 20代   生活場面: 教育(大学) 事案・相談の概要:通学先の大学で介護等体験を行う必要があるが、大学側から意向の確認がないまま、障害のある学生の介護等体験が免除されることとなった。 対応・経過等:学生から大学側に、ニーズはそれぞれ異なるため対話をしてほしい旨の要望を行い、両者で建設的対話を行った結果、学生の意向を踏まえ、介助者を帯同した上で介護等体験に参加できることとなった。 整理番号 (回答元):9(各省庁) 相談者属性:発達障害 男性 20代 生活場面: 教育(大学) 事案・相談の概要:障害のある学生の研究室への配属に当たって、研究指導や研究室運営上の困難さへの懸念を背景に、なかなか配属先が決まらなかった。 対応・経過等:大学側が学生の相談に対応し、担当教員とも調整。特定の研究室への配属ではなく、複数名の教員が数か月ごとのローテーションで研究指導を担当することとした。その後、当該学生は所定の課程を終え、卒業できた。 p3 整理番号 (回答元):10(市区町村) 相談者属性:精神障害 男性 年代不明 生活場面:教育(大学) 事案・相談の概要:大学のサークルに入会する際に精神障害者手帳を提示したところ、部長から親を連れてくるように言われた。 対応・経過等: サークル側が不適切な対応であったことを認め、謝罪した。 整理番号 (回答元):11(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 女性 年代不明   生活場面: 図書館 事案・相談の概要:ある図書館では、郵送貸出制度(※1)と相互貸借制度(※2)は併用不可とされており、郵送貸出制度を利用している障害者は、相互貸借制度を活用して他の施設等の蔵書を借り受けることができない。 ※1一定の障害者に郵送で書籍を貸し出す制度 ※2自館に蔵書がない場合、他の施設等から取り寄せて貸し出す制度 対応・経過等:両制度が併用不可とされた理由は、相互賃借制度で取り寄せた他の施設等の蔵書を、郵送時における汚破損から守るためであり、障害を理由とした取扱いではない。しかしながら、郵送を利用する障害者が、結果的に相互貸借制度を利用できない状態にあるため、制度を見直し、両制度を併用可能とした。 整理番号 (回答元):12(市区町村) 相談者属性:聴覚障害 男性 40代   生活場面:医療機関 事案・相談の概要:医療機関の診療予約のため「代理電話サービス」を利用したところ、本人確認ができないことを理由に拒否され、FAXで申し込んでもよいか確認したところ、電話以外は不可と断られた。医療機関の窓口でも口頭で本人確認を求められ、時間を要した。また、診察結果の説明時にも、混雑のため筆談対応はできないと医師から断られた。 対応・経過等:障害者差別解消の担当課と、医療担当課が医療機関側に注意・説明。医療機関側が非を認め、後日、医療機関の対応策を相談者に提示したところ、納得が得られた。 整理番号 (回答元):13(市区町村) 相談者属性:盲ろう 女性 40代   生活場面:医療機関 事案・相談の概要:電話で次回の診療予約を行うよう求められたので、電子メールなら利用可能と伝えたが、メールは対応していないと断られた。 対応・経過等:医療機関の事務担当課長より、事務担当課のメールアドレスで受付ができることを確認。相談者に伝え、納得が得られた。 p4 整理番号 (回答元):14(都道府県) 相談者属性:視覚障害 女性 50代   生活場面:医療機関 事案・相談の概要:盲導犬を連れて親族が入院する病院に見舞いに訪れたところ、入口で警備員に止められ、入室できなかった。 対応・経過等:病院側に確認したところ、以下の回答があった。 ・身体障害者補助犬法は承知しており、前向きに検討したい。 ・一方で、病院には動物アレルギーや拒否反応のある患者もおり、盲導犬を連れた方と他の患者の双方に配慮した対応の検討が必要。 ・当面は、受付で盲導犬を預かり、職員が病室まで案内することで相談者側からも了承を得ている。 その後、病院側で次のように取扱いが整理された。 @ 受付、外来(一部を除く)、個室の病室等については入室可 A レントゲン検査室、大部屋の病室等は入室不可 整理番号 (回答元):15(市区町村) 相談者属性:知的障害 女性 10代   生活場面:医療機関 事案・相談の概要:療育手帳の判定の際、既に18歳にもかかわらず、医師から乳幼児に接するかのような言葉で話しかけられた。 対応・経過等:医療機関側より、「警戒心を解くことが目的であった」との説明。人権的な配慮を欠く対応であり、都道府県も同様の見解であったことから、医療機関側に医師への指導を要請した。家族側にも一連の対応を報告し、了承が得られた。 整理番号 (回答元):16(市区町村) 相談者属性:高次脳機能障害 男性 60代   生活場面:福祉施設 事案・相談の概要:障害者施設の職員が、施設利用者に対して子供をあやすかのような応対をしており、障害者差別と受け取られないかとの報告があった。 対応・経過等:施設職員、施設利用者、報告者(施設関係者)の三者からヒアリングを行った上で話合いを実施。施設職員には他意はなかったことが判明したが、言動に配慮するよう注意喚起。施設として、障害者対応の在り方について、改めて見直しを行うきっかけとした。施設利用者からも理解が得られた。 整理番号 (回答元):17(都道府県) 相談者属性:視覚障害 男性 年代不明  生活場面:宿泊施設 事案・相談の概要:ホテルに宿泊予約を行ったところ、ホテル側から盲導犬の受入れはできないので、盲導犬は車中泊等の対応が必要との回答があった。 対応・経過等:ホテル側に身体障害者補助犬法に関する説明を行ったところ、盲導犬同伴での宿泊を受け入れる旨の回答。本事例を踏まえ、障害者差別解消の担当課と、宿泊施設の所管課の両課長の連名で通知を発出し、多くの宿泊施設が加入している関係団体に対し、会員宿泊施設への補助犬の正確な理解・周知を依頼。 整理番号 (回答元):18(各省庁) 相談者属性:聴覚障害 男性 50代   生活場面:金融機関 事案・相談の概要:金融機関に自分で出向くことが難しいため、日常生活自立支援事業の金銭管理の利用を申請したが、判断能力等に問題がないことを理由に断られた。 対応・経過等:調整の結果、金融機関側が相談者の自宅まで出向き、記帳や振込等について対応することとなった。 p5 整理番号 (回答元):19(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 女性 60代   生活場面:店舗 事案・相談の概要:ガイドヘルパーを帯同してスーパーで買い物をする際、レジの従業員が、買い物をしている障害者本人ではなく、ガイドヘルパーに御礼を言いながら釣り銭を渡している。これまでも店長に何度も改善を要望したが、特段の変化が見られない。 対応・経過等:スーパー側に確認したところ、以下の回答があった。 ・従業員に指導を続けているが、入れ替わりも多く、新人を含めた全ての従業員に指導が行き届いていない場合もある。 ・多数の釣り銭を渡す際には手からこぼれ落ちる場合があるため、やむを得ず介助者に釣り銭を渡すこともある。 その上で、スーパーに改善を要請したところ、以下のとおり対応する旨の報告があり、相談者の納得も得られた。 @ レジの従業員を含め、全ての従業員に対して周知徹底を行う。 A 釣り銭を透明のビニール袋に入れて本人へ渡し、御礼を言う。 整理番号 (回答元):20(市区町村) 相談者属性:発達障害 男性 40代   生活場面:店舗 事案・相談の概要:発達障害のある本人は仕事帰りに一人で買い物をする際、しばらく店内に立ち、手を打ち鳴らしたり声を上げたりする癖があり、それが半年続いた。店側は相談先が分からず、警察に通報した。警察は家族に連絡し、今後は店への出入りを禁止する旨を告げた。 ※ 店側が警察に対し、本人の家族側にどのように伝えるよう要請したかについては、店側と警察で食い違いがある。 対応・経過等:市区町村と、都道府県の広域支援相談員が店舗に出向き、障害者差別解消法の概要や相談先、出前講座を紹介。また、広域支援相談員が運営法人の総務人事部長に説明。その結果、運営法人において、直近の店長会議・副店長会議における適切な対応に向けた情報共有と、関連資料の周知を実施。また、地域協議会構成機関の働きかけにより、市区町村が交番担当の警察官全員を対象に、合理的配慮に関する研修を実施。 整理番号 (回答元):21(都道府県) 相談者属性:内部障害 性別不明 年代不明   生活場面:飲食店 事案・相談の概要:障害により刻み食しか食べられないため、店内でミキサーを使用可能か事前に確認したところ、飲食店側から「提供する料理をミキサーで刻まれるのは抵抗があり、困る」と断られた。 対応・経過等: 店長から、「刻み食が必要な方がいることが分かった。個室内であれば持参したミキサーを利用して差し支えない」旨の回答。相談者に説明し、納得が得られた。 整理番号 (回答元):22(各省庁) 相談者属性:聴覚障害 男性 10代   生活場面:サービス(自動車教習所) 事案・相談の概要:特定後写鏡(※)条件の入所希望者を断る自動車教習所があるとの相談があった。※ワイドミラー又は補助ミラー。利用によって、一定の聴覚障害者の運転が可能となる。 対応・経過等:入所前に、教習所と入所希望者・家族との間で、来所方法、連絡手段、教習方法等について話合いの時間を設けた上で受入れを行った。入所前に十分な擦り合わせを図ったことで、相談者も納得し、スムーズな教習を実施できた。 p6 整理番号 (回答元):23(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 男性 60代   生活場面: サービス(プール) 事案・相談の概要:付き添いの妻が、プールの監視員から「プールに入るなら利用料を払え」と言われた。それならば、妻は利用料を支払い、(自分に付き添わず)自由に遊泳すると申し出たところ、「介助者は常に同伴しなければならない」と断られた。介助なしでも遊泳に支障がないにもかかわらず、一連の対応には納得できない。 ※ 妻は、本人(夫)の障害者割引制度を利用して、介助者として利用料を免除されている。 対応・経過等:本人、事業者、相談センターの三者で協議。規則や介助者の取扱い等について本人と事業者が認識を共有した結果、従前どおりの利用方法で差し支えないこととなり、本人の納得も得られた。本件に関しては定期的な協議の場は不要と判断され、今後は相手方に直接申出を行い、合意形成を図ることで対応することとした。 整理番号 (回答元):24(都道府県) 相談者属性:肢体不自由 女性 50代   生活場面:サービス スポーツ クラブ 事案・相談の概要:車椅子でスポーツクラブの見学に行ったところ、従業員から「屋外用の車椅子ですよね」と言われた。その際の従業員の態度が、あたかも拒絶するような印象であったことから、すぐに帰ることにした。 対応・経過等:事業者より、「車椅子利用者を排除する意図は全くなかったが、障害者への接客対応に関するスタッフ教育が不十分だった。再発防止に向け十分に注意していきたい」との説明。相談者に結果を説明し、理解が得られた。 整理番号 (回答元):25(各省庁) 相談者属性: 精神障害 性別不明 年代不明   生活場面:サービス(スポーツクラブ) 事案・相談の概要:てんかんのある者がスポーツクラブを利用しようとしたところ、スポーツクラブの規程に抵触し、利用を断られた。 対応・経過等:スポーツクラブに障害者差別解消法の趣旨を説明。スポーツクラブの規程が見直されることとなった。 整理番号 (回答元):26(市区町村) 相談者属性: 聴覚障害 男性 年代不明   生活場面:サービス(講座) 事案・相談の概要:手話を主なコミュニケーション手段とする障害者が資格取得の講座を申し込んだところ、手話通訳による受講はできないと断られた。 対応・経過等:事業者より、安全上の理由から受入れが困難との回答があったため、親会社に相談者が受講できる方策を一緒に検討したい旨を伝達。その後、事業者が来庁し、相談者の受入れを決定した旨の報告があったので、手話通訳を利用する受講者への配慮事項等について助言。当該助言を踏まえ、事業者は、聴覚障害者に配慮した講座を開講し、相談者は手話通訳を利用して受講の上、資格取得に至った。 p7 整理番号(回答元):27(都道府県) 相談者属性:肢体不自由 性別不明 年代不明 生活場面:イベント 事案・相談の概要:車椅子で立ち見のコンサートに参加しようとしたところ、会場が狭いことを理由に、車椅子での入場を断られた。 対応・経過等:主催者は「入場者の安全確保のため、車椅子での入場はお断りする」と一貫して主張。このため、主催者の許可を得て、相談員が実際の会場を見学したところ、工夫すれば車椅子も入場できることが確認された。主催者は「ブロック内で開催する全てのコンサートにおいて、一律に車椅子での入場を断る」との立場であったため、(当該ブロック内の)他の都道府県の相談員と合同で、主催者の事務局に出向いた。面談では、主催者より「全員立ち見の場合は危険も想定されるので、車椅子の方の入場をお断りすることとしていた」、「今後は車椅子の方も入場可能とするよう各会場に周知したい」との説明があった。後日、相談者から「無事に参加できた」との報告が寄せられた。 整理番号 (回答元):28(市区町村) 相談者属性:発達障害 男性 10代   生活場面:イベント 事案・相談の概要:発達障害のある息子を、ボランティア団体が主催し、市区町村が後援するキャンプに参加させようと申込を行ったところ、特に建設的対話もないまま、障害を理由に参加を断られた。 対応・経過等:教育委員会と障害者差別解消の担当課から保護者に謝罪。その上で、保護者と教育委員会の間で、キャンプに向けた検討課題について話合いを行った結果、無事にキャンプに参加することができた。 整理番号(回答元):29(都道府県) 相談者属性:発達障害 男性 10代 生活場面:イベント 事案・相談の概要:発達障害のある息子を、教育委員会が主催する1泊2日のキャンプに参加させようとしたところ、「日帰りでの参加を検討しませんか」と提案され、障害者の参加を断られたかのように感じられた。 対応・経過等:教育委員会と保護者が協議。日中と夜間に職員を個別に配置し、参加可能なプログラムに無理なく参加させることができた。今後は、事前的な改善措置として、企画段階から人員配置等の配慮を検討するよう担当課に要請した。 整理番号(回答元):30(各省庁) 相談者属性:視覚障害 男性 20代 生活場面:雇用・就業 事案・相談の概要:通常通り作業しているにもかかわらず、作業中に叱られることが多くなった。 対応・経過等:相談者は入社時、障害特性や必要な合理的配慮について職場内に周知していたが、就業年数の経過とともに相談者がスキルアップし、次第に障害が目立たなくなったこと、異動等により相談者に障害があることを知らない同僚が増加したことが背景にあることが判明。このため、職場適応援助者が相談者と職場の支援を行うこととした。相談者の意向により、障害特性と必要な配慮(サポートメモ)を作成し、上司から職場内と関係部署に必要な説明を行うこととした。その結果、コミュニケーションが円滑になり、問題は改善された。 p8   2.解決に向けた進展が見られていないもの 整理番号 (回答元):31(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 男性 年代不明   生活場面:公共交通(バス) 事案・相談の概要:ハンドル型電動車椅子を使用してバスに乗ろうとしたところ、乗車を拒否された。 対応・経過等:バス事業者より、「社内規則に基づき、安全確保のため車椅子をベルトで固定する必要があるが、ハンドル型車椅子は固定できないことから、乗車をお断りした」との説明。また、ハンドル型車椅子での乗車時の安全性に関する検証を行うことも検討したが、安全性に対する考え方がバス事業者と相談者の間で異なり、実現しなかった。バス事業者は、ハンドル型車椅子を固定できるバスの導入予定はなく相談者の納得は得られていない。 整理番号 (回答元):32(市区町村) 相談者属性: 肢体不自由 知的障害 精神障害(複数名) 30代   生活場面:公共交通 (バス) 事案・相談の概要:日常的に車椅子対応のバスを利用しており、バス停で待っていたところ、故障したとのことで車椅子の対応が難しいバスが来た。乗車しようとしたときに、介助者と同乗するように言われた。 対応・経過等:相談者、バス事業者双方から状況、事実関係を確認したところ、以前から相談者が乗車の際はバス事業車に連絡があり、バス事業者が運行規程内で対応していた経緯があった。相談者の住所地の市区町村や入所施設長と情報共有を図り、都道府県に報告。情報の行き違いによるものと思われ、バスの利用に関して以前と同じ対応を求め、解決に向け調整中。その後の経過として本人はバスを利用せず、入所先の車両等で外出している。 整理番号 (回答元):33(市区町村) 相談者属性:精神障害 男性 年代不明   生活場面:公共交通(タクシー) 事案・相談の概要:障害のためタクシーへの乗降に時間を要するが、タクシーの乗務員から「早く乗れ」、「釣り銭はない、細かいお金はないのか」などの発言があった。 対応・経過等: タクシーの事業所を訪問し、社長に障害者差別解消法や条例、障害者への配慮等について説明するとともに、乗降時等の配慮を要請。しかしながら、事業者側は「一般のタクシーは乗降時の介助はしない」と主張し、理解が得られなかった。相談者には、理解が得られなかった旨を伝え、他のタクシー事業者の利用を検討できないか提案した。 整理番号 (回答元):34(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 性別不明 10代   生活場面:教育(中学校) 事案・相談の概要:現在、看護師及び介助者の支援を受けながら公立中学校の特別支援学級に在籍しているが、通常学級への転籍を希望したところ、障害の状況を理由として認められなかった。 対応・経過等:教育委員会としては、本人の障害の状況から、通常学級では学校生活が困難との見解。その後も本人・家族に対する説明が続けられている。 p9   整理番号 (回答元):35(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 知的障害 男性 10代   生活場面:教育(種別不明) 事案・相談の概要:重複障害では希望の学校に進学できないとの相談があった。 対応・経過等:教育委員会や学校を交えた会議を開催し、相談者の懸念を伝達。会議の結果を踏まえ、相談者側に「受験は可能であるが、(受験前の)現段階で合否は出せない」、「必ず合格させる取扱いはできないので、まずは受験勉強を頑張ってほしい」旨を伝えたが、納得は得られていない。 整理番号 (回答元):36(市区町村) 相談者属性:精神障害 男性 50代 生活場面:医療機関 事案・相談の概要:病院デイケアの利用者から以下の相談があった。@ 病院デイケアの利用を止められたが、これは自分に対する懲罰であり、障害者差別である。A 病院デイケアの閉所時刻が30分早められたが、病院職員の終業時刻前に閉所するのは障害者差別である。 対応・経過等:病院側に事実確認を行った上で、相談者に対し、@については「病院デイケアは医師の処方に基づくものであり、判断は正当と考えられる」旨を、Aについては「職員の終業時刻前に閉所することは一般的である」旨を説明したが、相談者の納得は得られなかった。 整理番号 (回答元):37(市区町村) 相談者属性:難病 男性 70代以上 生活場面:医療機関 事案・相談の概要:2年間にわたり定期的に通院していた医療機関から、入院や定期検査を拒否されるようになった。主治医がいるにもかかわらず不可解であり、難病に起因する障害が原因ではないかと疑われる。 対応・経過等: 医療機関より、「どの医療機関でも対応できる疾病であり、必ずしも当機関である必要性はない。ベッド数の空きもない」との回答。しかし、定期的に通院していた医療機関が、突如として受診拒否することは通常考えられず、当該疾病に対応できる医療機関が少ないことも明らかであり、難病に起因する障害を理由とした差別が疑われる。相談者は申立てを含め対応を検討することとしているが、現時点では状況は打開できていない。 整理番号 (回答元):38(市区町村) 相談者属性: 肢体不自由 男性 60代 生活場面:宿泊施設 事案・相談の概要:簡易宿所に宿泊するため、施設の前からフロントに電話し、車椅子のため歩けない旨を伝えたところ店長から「車椅子を1階に置いて2階(のフロント)まで階段を歩いて来い」と言われた。 対応・経過等:簡易宿所より「車椅子の場合は、1階の入口からフロントまで業務用エレベーターで介助する。相談者は過去に無断キャンセルを繰り返しているためお断りした。車椅子を理由とした対応ではない。『歩いて来い』とも言っていない」との説明。簡易宿所には、障害を理由とする宿泊拒否はできない旨を改めて説明。また、相談者には、無断キャンセルをしないよう伝達。 整理番号 (回答元):39(市区町村) 相談者属性: 肢体不自由 女性 40代 生活場面:飲食店 事案・相談の概要:車椅子で飲食店を利用しようとしたところ、入店を断られた。 対応・経過等:飲食店に障害者差別解消法について説明。また、商工会議所を通じてパンフレットを配布。しかしながら、飲食店からは、店内が狭く、段差もあり、物理的に対応できない旨の主張がなされ、改善に至っていない。 p10 整理番号 (回答元):40(市区町村) 相談者属性: 肢体不自由 女性 年代不明 生活場面:飲食店 事案・相談の概要:ファストフードで「車椅子が場所をとる」などの理由で入店を拒否された。 対応・経過等:店舗より「車椅子を理由に入店拒否することはないが、商品へのクレームで長期間にわたり業務に支障が生じるため、入店をお断りしている車椅子利用者はいる。この方に限らず、他の顧客への被害が及ぶ場合は、店長の判断で対応している」との回答。相談者からは、今後は法テラスに相談するとのコメントがあった。 整理番号 (回答元):41(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 男性 年代不明 生活場面:飲食店 事案・相談の概要:飲食店から、入口の段差を理由に入店拒否された。飲食店からは「混雑のため予約者に限定している」との説明もあったが、後日改めて代表者に連絡したところ「介助者を同伴してほしいと案内している」旨の説明を受けた。 対応・経過等:飲食店側が相談者との対話を拒否したため、市区町村が運営責任者に障害者差別解消法の説明を行うとともに、合理的配慮の提供を要請。飲食店側からは、「顧客には(障害の有無にかかわらず)一律の対応を行っており、一方的に『差別』と言われるのは心外」等の主張がなされ、説明を重ねたものの、飲食店側が障害者差別解消法の趣旨を十分に理解したとは言えない状況にとどまっている。 整理番号 (回答元):42(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 女性 70代以上 生活場面:町内会 事案・相談の概要:かねてより仲の良くなかった者が町内会の役員に就任し、その後、役員を中心としたグループから、暴言や嫌がらせを受けるようになった。 対応・経過等:相談者から「嫌がらせや仕返しが悪化するおそれがあるので匿名希望とし、表沙汰にはしてほしくない」旨の意向が示されたため、傾聴で留めざるを得なかった。 整理番号 (回答元):43(市区町村) 相談者属性:肢体不自由 男性 30代 生活場面:雇用・就業 事案・相談の概要:障害のある教員から、学級担任になることを切望しているが、なかなか実現しないとの相談があった。 対応・経過等:教育委員会としては、当該教員に、学級担任になるための資質向上を図る校内研修の受講を求めたが、当該教員は従っていないこと、学級担任を務める場合の支援体制の構築が困難であること等を総合的に勘案し、現時点では学級担任にできる状況ではないと判断しているが、当該教員からは理解を得られていない。 ※ 本資料は、行政機関等又は事業者による障害者に対する「不当な差別的取扱い」に関する相談事例について、各府省庁等又は各地方公共団体から回答のあった主なものを整理したものである。 ※「回答元」は、いずれの機関を経由して内閣府が各事例の回答を受けたかを示すものであり、必ずしも左記機関が自ら当該事例に対応しているとは限らない。 ※「事案・相談の概要」欄及び「対応・経過等」欄については、内閣府において平仄の統一、個人又は団体を特定し得る情報の削除等を行っている。 ※「2.解決に向けた進展が見られていないもの」については、あくまでも相談対応時点の進展状況に基づく区分であり、その後に進展が見られた場合もあり得る。