資料4 石川委員提出資料 p1 国連障害者権利委員会一般的意見第6号の概要(障害者権利条約第5条「平等及び無差別」に関する障害者権利委員会の意見) 令和元年6月  国連障害者権利委員会一般的意見第6号(2018年)において述べられている主な記述は以下の通り。   1条約における差別概念(関連パラグラフ 12, 13, 18から20) 条約における「差別」の概念には,※1間接差別,※2ハラスメント,※3交差差別,※4複合差別及び※5関連差別も含まれる旨について言及。 ※1パラグラフ18(b)を参照のこと。 ※2パラグラフ18(d)を参照のこと。 ※3パラグラフ19を参照のこと。 ※4パラグラフ19を参照のこと。 ※5パラグラフ20を参照のこと。 条約における「合理的配慮の拒否」を含む差別の禁止は,※6民間部門にも適用される旨について言及。 ※6パラグラフ13においては「公的当局によって規制及び保護されている」と付記されているところ,これは人権委員会 (Human Rights Committee) による市民的及び政治的権利に関する国際規約 (ICCPR) における一般的意見第18号に準ずるものであり,主に開発途上国における非公式経済(インフォーマル・エコノミー)が念頭に置かれたものと考えられる。   2条約における障害概念(関連パラグラフ 20, 73(b), 73(i)) 差別解消法制には,過去,現在,未来及び推定上の障害も包含する必要がある旨について言及※7。 ※7パラグラフ73(b)を参照のこと。   3手続的配慮(関連パラグラフ 23から27, 73(c)) ※8手続的配慮は合理的配慮と混同すべきではない旨について言及。 ※8パラグラフ25(d)を参照のこと。   4救済制度(関連パラグラフ22) 「将来志向非金銭的救済」,通称※9FNRを導入する必要がある旨について言及(参考資料)。 ※9英語ではForward-looking, Non-pecuniary Remediesであり,通称は各単語の頭文字を取ったもの。   5統計(関連パラグラフ34, 71, 73(l)) データを収集及び分析し,それを障害及び交差的な分類に基づいて※10分解する必要がある旨について言及。 ※10パラグラフ71を参照のこと。障害の有無や種別,性別,年齢等の属性ごとに検討可能とすること。Disaggregatedの対訳。非集計化とも訳される。 p2(参考) 将来志向非金銭的救済 (FNR)について 令和元年6月   「将来志向非金銭的救済」は “Forward-looking, Non-pecuniary Remedies” の日本語訳であり,以下英語表記における頭文字を取って“FNR”と呼ぶ。 1※1定義 ※1Romanita Lordache and Iustina Ionescu (2014) “Discrimination and its Sanctions . Symbolic vs. Effective Remedies in European Anti-discrimination Law,” Issue 19, European Anti-Discrimination Law Review, European Commission 差別の構造的要因を克服するための金銭によらない体系的或いは実質的救済。 ※2FNRに含まれる具体的救済策は以下などである。 ※2Public Defender of Rights (2017) “Submissions on the Draft General Comments on Article 5 of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities” 雇用管理規則の改定(採用,報酬またはハラスメントからの保護の領域) 個別組織におけるアクセシビリティの監査 差別廃止計画の採択 公共調達における入札手続への参加禁止措置等 2※3特徴 ※3 Lordache and Ionescu (2014) 従来の「過去志向/※4後ろ向き」な救済と対比して位置づけられるもの。 ※4Ibid.“backward-looking/retrospective” 差別による波及効果に対処することのコミットメントを示すもの。 更なる差別の予防のための環境を創出することに主眼がある。 奨励的アプローチと懲戒的アプローチの双方が含まれる。 3※5諸外国における導入状況 ※5Ibid. 欧州諸国を中心に多数採用されている(英国,アイルランド,ポルトガル等)。