参考1 これまでの障害者政策委員会における主な意見 (障害者差別解消法の見直しの検討関係)   1議論の進め方について   現行法・制度の評価 ・見直しの検討に当たり、現行法の成果と課題について実態(データ)を把握することが重要ではないか。 ・現行制度の課題について原因を分析の上、戦略的に検討することが重要ではないか。   検討の順序 ・現行法の運用状況も踏まえつつ、まずは「どうあるべきか」について議論を行った上で、その具体化に当たり、法や基本方針の改正か、運用の見直しのいずれで対応するのかを検討することも必要ではないか。 ・法改正が必要な事項と、運用の見直しで対応可能な事項を初めから明確に峻別するのは困難。課題を整理し、対応案を提示した上で、それを基に議論していくのが効果的ではないか。 ・進め方としては、次第にまとめていく段階で、法の見直しの議論、運用の見直しの議論に分けて整理していくべきではないか。 ・見直しのスケジュール・議論の進め方について、ロードマップを示すべきではないか。      検討の視点 ・障害者権利条約の趣旨・内容に照らした上で必要な見直しを検討することも必要ではないか。 ・場合によっては、諸外国の法令との比較なども必要ではないか。   2事業者による合理的配慮の提供について   義務の在り方 ・現行法では、事業者の合理的配慮の提供が努力義務とされているが、障害者権利条約との関係で不十分ではないか。現行法の制定時も「小さく生んで大きく育てる」ことを念頭に置いていたのではないか。 ・地方公共団体への調査結果において、事業者の合理的配慮の提供を義務化すると、事業者の反発を招くこと等が危惧される旨の回答が見られたが、そうした危惧から義務付けを後退させるのではなく、むしろ義務付けの上で様々な問題やケースについて議論を p2 重ねて、より良いものにすべきではないか。 ・一回限りのイベントの開催については、合理的配慮の提供の努力義務の対象となる「事業」に該当するかどうか微妙であり、運用だけでは対応できない事項ではないか。 ・事業者の合理的配慮が努力義務のままでいいのかは論点であり、既に義務が課されている条例等の実際の運用を基に議論すべきではないか。 ・合理的配慮の提供が広がれば、障害者のみならず、生きづらさを抱える多くの方々に良い影響が及び、優しい社会、生きやすい社会にする上でのイノベーションを起こせるのではないか。   事業者への影響 ・仮に事業者の合理的配慮の提供を義務化し、斡旋等の紛争解決の手続を整備しても、事業者側の同意がなければ、行政が事業者側に合理的配慮の提供を強制することは困難と考えられる。こうした限界を踏まえると、事業者の合理的配慮の提供を義務化した場合に、実際の違いがどれだけ出てくるのか。   3相談・紛争解決体制について   相談事例 ・相談件数が少ない地方公共団体が多いのではないか。これでは、法が十分に機能しているとは言えないのではないか。 ・地域協議会が設置されていないこと、十分に機能していないことと、相談件数が少ないことは、相互に関係しているのではないか。 ・相談件数を数えていない地方公共団体が多いが、これでは法の運用実態が分からなくなり、問題ではないか。   相談対応 ・現状では相談しても十分な解決につながっていないケースがあり、対応策を検討する必要があるのではないか。 ・日常生活や社会生活を送りながら、差別を受けたことについて相談や紛争解決に訴えることができない障害者やその家族も多いのではないか。 ・潜在化している差別事例を掘り起こすことが重要。そうした対応が可能な人材を育成するとともに、端緒をつかんでいる相談支援専門員や関係団体が地域協議会に関わっていく必要があるのではないか。 p3 ・障害種別、男女別、年齢別等により届きにくい声をどのように拾い上げ、問題を解決していくか検討が重要ではないか。   国・地方公共団体の役割 ・地域間で取組に随分大きな格差ができていることは課題。また、広域自治体も町村も、同じ「地方公共団体」として位置付けられているが、求められる水準は両者で全く異なり、広域自治体と基礎自治体の関係性も論点になるのではないか。 ・地方公共団体への調査結果をみると、国民に最も身近な市町村の対応が薄いのではないか。 ・地方公共団体の中で縦割りで対応するのではなく、他の制度・部署との情報共有や連携が重要ではないか。 ・広域自治体と基礎自治体は対等な位置付けにあり、広域自治体が基礎自治体に対して協力を求める内容を条例に規定しようとしても、踏み込んだ内容を盛り込めないので、この点も法の見直しの議論の中で検討すべきではないか。 ・法第14条は相談・紛争解決の体制整備を求めているが、具体的な内容は明記されていないため、改めて法律や指針の整備なのか、先駆的な取組を周知するのかなど整理が必要ではないか。 ・広域支援相談員を普遍的な専門職として確立するため、全国レベルで研修制度を設けるなど、養成の仕組みを整備すべきではないか。 ・紛争解決の在り方を地方公共団体に引き続き委ねるのか、何らかの措置を講ずるのかについて、今後十分な議論が必要ではないか。ある程度国もイニシアティブを取って、標準化していくことが必要ではないか。 ・広域支援相談員を普遍的な専門職として確立するため、全国レベルでの研修や制度が必要ではないか。 ・紛争がないから良いと一概に言えるものではなく、紛争を地域協議会で議論することを通じて、地域の対応力の底上げにつながるという面もあるのではないか。 ・事案解決の実効性を確保するためには、ワンストップ相談や権限の付与、適切な権限の行使など、様々な選択肢を洗い出しつつ、法の見直しが必要な事項を見極めていく必要があるのではないか。   紛争解決(権限行使) ・権限行使の在り方の検討に当たっては、地方公共団体が有する独自の権限の状況が参 p4 考になるのではないか。 ・権限の委任の状況が当事者に分からないため、適切な機関への相談が難しく、工夫・改善が必要ではないか。 ・仮に事業者の合理的配慮の提供を義務化し、斡旋等の紛争解決の手続を整備しても、事業者側の同意がなければ、行政として事業者側に合理的配慮の提供を強制することは困難と考えられる。こうした限界を踏まえると、事業者の合理的配慮の提供を義務化した場合でも、実際の違いがどれだけ出てくるのか。【再掲】   救済措置の充実化 ・障害者差別を受けた場合の救済措置についても、もう少し踏み込むことができないか検討すべきではないか。 ・相談事例のうち、個別の解決で済むものと、より広範囲で根本的な対策が必要となる事例を整理する必要があるのではないか。 ・現行法の下では、法の趣旨に反する規則の改正などを業界に働きかけることはできても徹底はできないのではないか。主務大臣のない事業や行政指導になじまない性質の事業もあり、その事業者に対しては、監督上の措置を講じることが難しいのではないか。 ・不当な差別的取扱いや合理的配慮の義務違反に当たるような企業のマニュアルや規則について、業界団体や地方公共団体を通じて周知し是正することができれば、予防的に今後生じる事例を解決できるのではないか。 ・差別事案の背景に内規やマニュアル、従業員教育等があることが判明すれば、それらを点検することで、差別事案の発生を事前に防止できるのではないか。 ・調整やあっせん、調停の仕組みを活用することにより、将来志向非金銭的救済が部分的に図られる、または図られる可能性があるのではないか。   5障害者差別解消支援地域協議会について ・地域協議会が設置されていないこと、十分に機能していないことと、相談件数が少ないことは、相互に関係しているのではないか。【再掲】 ・地域協議会の女性構成員の割合が低いのは問題ではないか。 ・潜在化している差別事例を掘り起こすことが重要。そうした対応が可能な人材を育成するとともに、地域協議会への参画を得る必要があるのではないか。【再掲】 ・紛争がないから良いと一概に言えるものではなく、紛争を地域協議会で議論すること p5 を通じて、地域の対応力の底上げにつながるという面もあるのではないか。【再掲】   6事例の収集・整理等について     事例の共有・周知 ・見直しの検討に当たり、現行法の成果と課題について実態(データ)を把握することが重要ではないか。【再掲】 ・成功している事例を収集し、他の地方公共団体でも横展開できるようにしていくべきではないか。 ・地域間の格差が大きいことを踏まえ、全国規模での事例のデータベースをつくり、ノウハウを共有していくべきではないか。 ・好事例の共有を通じて、中小企業を含め、事業者が取組を進めやすい環境を整備していくべきではないか。   事例の整理・分析 ・権限の行使まで至らなくても行政指導で機能すればよい。そうした情報を把握できれば、行政として対応していると言えるのではないか。 ・国の機関による相談事例も解決したのか、しなかったのかを整理すべきではないか。 ・合理的配慮の不提供は、障害当事者側にその自覚がない場合があり、掘り起こしのためには、少し異なるアプローチが必要。 ・差別や合理的配慮の提供の考え方など、事例対応の地域差の解消に向けた何らかの基準の要否について、具体的な事例を踏まえて検討すべきではないか。 ・相談事例は、事業者が法律を正しく理解しているものや具体的な危険があるため対応を変更しないものなどに類型化できるのではないか。   7差別の定義・概念について ・「差別」がどのようなことを指すのか、定義を明確にすべきではないか。 ・「差別」の定義との関係で、間接差別や関連差別等の取扱いも論点になるのではないか。 ・直接差別と合理的配慮はある程度国内で定着しているが、間接差別は知られていないのではないか。 p6 ・色々な事例があるため、差別の定義はなかなか難しいこともあるが、法律、基本方針を含めてどのように書いていくのか、あるべき形から議論することも必要ではないか。   8その他   理解促進・啓発 ・外見からは分かりにくい障害種別の場合、相手方によく説明しないと、合理的配慮に行きつかない。難病も対象であるなど社会の理解を深める取組も必要ではないか。 ・医療機関の関係者、保育施設や教育施設の管理者の理解が不足しているのではないか。また、管理者への研修も、表層的な説明に終始しないようにする必要があるのではないか。 ・国際的に広く認知されている人権に対する国民の理解が深まるよう、一層の周知啓発を図るべきではないか。   その他 ・障害者基本法等に関する議論も必要ではないか。 ・障害のある女性についても論点になるのではないか。 ・公共調達にアクセシビリティの要件を求めることも考えられるのではないか。 (以上)