p1 資料6−1   差別の定義・概念について   差別の定義・概念をより明確化することについて、どう考えるか。   (1)現状 1障害者権利条約第2条において、「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいうとされている。 2障害者権利条約の締結に向けた国内法の整備の一環として、平成23年に障害者基本法が改正された。同法第4条においては、障害者権利条約に定められている「合理的配慮」の提供も含めた「差別の禁止」に関する基本原則が置かれている。 3さらに、障害者差別解消法は、この障害者基本法に掲げられた基本原則を前提に、差別の解消を具体的な施策として推進するものである。同法では、不当な差別的取扱いを禁止するとともに、社会的障壁の除去の実施に関する「必要かつ合理的な配慮」を行うことが定められている。 4個別の事案において特定の行為が差別に該当するか否かは、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されるものであることから、障害者差別解消法では、「障害を理由とする差別」についてあらかじめ一律に定めることとはされていない。 5なお、平等及び無差別に関する一般的意見第6号(2018年【仮訳・暫定版】)においては、差別の4つの類型として、直接差別、間接差別、合理的配慮の否定、ハラスメントが挙げられているほか、交差差別、複合差別として現れる場合もあるとされている。 (2)主な意見 1「差別」がどのようなことを指すのか、定義を明確にすべきではないか。 2「差別」の定義との関係で、間接差別や関連差別等の取扱いも論点になるのではないか。 3直接差別と合理的配慮はある程度国内で定着しているが、間接差別は知られていないのではないか。 4色々な事例があるため、差別の定義はなかなか難しいこともあるが、法律、基本方針を含めてどのように書いていくのか、あるべき形から議論することも必要ではないか。 5差別の定義・概念は、合理的配慮の否定が差別であるということの共通認識をしっかりと持つためにも、1番目に来る論点ではないか。 6障害者権利委員会の一般的意見第6号では、あらゆる差別の4つの形態の1つにハラスメントが挙げられているが、現行の障害者差別解消法はハラスメントを対象としておらず、そもそも個人間のやり取り自体が対象ではない。パワハラ防止法指針の動向も注視しつつ、障害者差別解消法に盛り込めないか。 (3)検討の方向性(案) 間接差別等に具体的にどのような事例が該当するのかは、相談事例等の積み重ねの中で見いだされていくものと考えられる。 このため、基本方針等において、例えば、形式的には障害を理由とする差別でないものであっても、実質的には障害を理由として障害者でない者と不当に差別的な取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害することは差別として禁止される旨を明示することなどを検討してはどうか。