p1 資料8 佐藤 聡   第47回障害者政策委員会 提出意見 DPI日本会議では2019年6月に全国に呼びかけて差別事例を収集した。収集した事例は障害者差別解消法が施行された2016年4月以降のもので、469件寄せられ、このうち差別と思われる事例は303件あり、合理的配慮の不提供103件(34%)、直接差別97件(32%)、関連差別76件(25%)、ハラスメント21件(7%),間接差別6件(2%)だった 2019年10月に国連障害者権利委員会より日本政府に対し事前質問事項が出され、5条「平等及び無差別」は次のような説明を求められている。「障害者差別解消法が、直接差別、間接差別、複合差別及び交差差別であれ、 障害のある女子に対するものを含め、生活のあらゆる分野において、障害に基づくあらゆる差別を禁止しているかどうかを本委員会に対しお知らせ願いたい。また、かかる法律が合理的配慮の否定を私的及び公共の場所における障害に基づく差別の形態として認めているかにつき、明確に説明願いたい。」 上記事前質問事項も踏まえて、障害者差別解消法の見直しは、条約との整合性を図った改正が必要と考える。 1間接差別、関連差別、ハラスメントと思われる事例 ・視覚障害者(点字受験)が認められなかった。「墨字での受験ができないため、受験資格を満たしていない」と言われた。結局、試験を受けられなかった。(間接差別) ・4DXのシアターでの映画鑑賞を希望したところ、座席が動くなどの理由で車いす使用者が拒否された。介助者の手を借りて車いすから座席に移乗する、通路でも良いなど色々交渉するが認められず、2D、3Dのスクリーンに行かされた。(関連差別) ・ガラガラの店内、「車いすで入店は大丈夫ですか?」と店員に尋ねたところ「店長に確認します」と一度扉を閉められました。数秒後「他のお客様の迷惑になるのでお断りします」と言われました。合理的配慮などの提案は一切ありませんでした。(関連差別) ・ランチタイムに車いす利用者と店に入ろうとすると「車いすの人は13時くらいからになります」と言われた。(関連差別) ・知人の障害者と飲みに行ったら、居酒屋の主人に「車いすの人が入れるような店じゃねーよ」と言われた。(ハラスメント) ・賃貸物件を探していてメールでのやり取りを続けていた際、初めは小まめに親切な対応をしてもらえていたが、内覧をする段階になりこちらが車椅子に乗っていることを伝えたところ、その後一切返信が来なくなり対応してもらえなかった。電話をしても後で連絡すると言われたきりで最後まで連絡は来なかった。(関連差別) ・物件探しで申し込みをした際に車いすだからという理由で入居を断られた。(関連差別) ・料理教室に行ってみたいと思い、電話で車いすでも可能か確認したところ、「車いすのままでの参加は難しいですね」と断られた。カーペットであるため、みなさん土足ではないからということであるとのことだった。(関連差別) ・新幹線の切符を購入する際に自由席を買おうとしたら満席と言われた。デッキに立つからといったが車いすをたためないとだめだと言われた。(関連差別) ・私をはっきりと指差しで「これ」と物扱いされた。ストレッチャー型の車いすをジロジロと見て、事務室に入り再び出てきて「これは新幹線には乗れません、JR規定でこのような大型サイズのものは乗せないことになっている。旅行は中止して下さい。と言われた。完全に乗車拒否された。(関連差別) ・あるアーティストのライブでさいたまスーパーアリーナに行きました。どのライブでも言われるのは「介助や付き添いは一人まで」とこの日も同じことを言われました。しかし、介助が2人の場合、そして連番チケ p2 ットで友だちと来ている場合、「付き添い一人まで」という制限があるのは差別であると考えます。障害を理由に本来であれば一緒に見られるはずなのに(連番チケットであれば)「一人まで」というルールのせいで別々になってしまうのは悲しいです。 ・ 総合文化施設で、何の表記もない展示ホールの文化財を観ようと電動車椅子で立ち入ったところ、傍にあった普通の車椅子に乗り移ってくださいと怒鳴られ、そのエリアから強制的に出さされた。(関連差別) 2合理的配慮の不提供と思われる事例 ・秋葉原駅から東京駅へ行くときに駅員にスロープをお願いしたら、改札のところで20分くらい放置された。やっと案内係が来たと思ったら、今度はホームについてから降車駅に連絡してくると言っていなくなり、10分後に戻ってきて、2本先の電車に乗せると言われた。急いでいるので次の電車に乗せて欲しいと頼んだが頑なに拒否され、「そんなに急いでいるなら駅員に頼まないで自力で乗ってください」と言われた。私は次に来た電車に乗ろうとして、他の乗客も協力してくれたが、電動車いすが重すぎて乗せられなかった。それを駅員は見て見ぬふりをして助けることもしなかった。結局、改札から乗るまでに45分以上待ってようやく乗れた。そのせいで仕事の打ち合わせに大幅に遅刻してしまった。 ・歯科クリニックに受診しようとしたが、ホームページ記載の連絡先が電話番号しかなく、聴覚障害があるため通訳者を介した電話リレーサービスによる代理電話で連絡をしていた。また、こちらから電話ができないからメールかFAXで連絡してほしいと伝えているのに、先方からは常に電話で連絡が入るため、電話リレーサービスで折り返し連絡することが続いた。数回目の電話の時、「あなたの電話は15分もかかって仕事に支障が出る」と苦情を言われた。過去の電話リレーサービスの所要時間はいずれも5分以内であったが、それを伝えてもとにかく迷惑の一点張りであった。しかも、電話以外の連絡手段の提示はなかった。 ・セルフガソリンスタンドで今まで店員が給油を手伝っていた。ところが、店長が変わり手伝いの結果何かあれば責任が取れないと拒否されるようになった。 ・私立の普通高校へ車いすの筋ジス男性が受験して合格しました。市からは学習中のヘルパー(介助者)の派遣はしてくれましたが、学校からは協力は一切出来ない、例えば休憩時間にトイレに行って、授業に遅れても遅刻になる。当然、移乗があるので他の方よりは時間がかかるので、なかなかトイレに行けない。 ・人工呼吸器ユーザー(小学校4年生)の学校での付き添い強要(母親に)が改善できていない。主治医が付き添い不要と言っているにもかかわらず、教育委員会が認めない。 ・入学を希望した聴覚障害学生が「手話通訳を自分で連れてくることを条件に入学を認める」との条件をつけられた。その後、大学への啓発、相談により、一定の改善は見られているが、現在も情報保証に関する費用の大部分は家庭で負担していて、その額は数百万円にのぼる。 ・映画館で、車椅子席が少なく埋まっていたため、一般席に乗り移ろうとスタッフに手伝いを求めたら(車イスを支えるだけ)、「介助資格がないのでできません」と断られた。 ・車いす利用者と一緒に、キャンプ場を利用したいという内容の電話をかけたが、一部砂利道があるので難しいと言われた。その利用者は、手動車いすのため介助者が持ち上げて移動すれば使用可能ではないかと思い、交渉しようとしたが、対応してくれず、別のバリアフリーのキャンプ場に行ってくださいと言われた。 ・市のホームページから閲覧したり、ダウンロードできる資料がPDF版しかなく、アクセスなPDFにもなっていない。 ・産婦人科に受診しようと事前に車椅子ユーザーである旨も含めて予約を入れた際に「出入口に段差があるが、スタッフは手伝うことはできない。」「診察台に乗り移るに際して、例え介助者がいたとしても自力で乗り移れる人しか受け入れることはできない。」と門前払いをされた。     3その他、障害の推定、過去の障害の経歴、障害者の関係者・家族に対する差別やハラスメント p3 ・60代HIV感染者の男性は、腎臓機能の悪化に伴い2011年から週3回透析治療を受けていた。ところが、2016年8月、転居に伴い新たな透析先を探したが約40の医療機関から断られた。 ・難病の確定診断が得られないまま就職活動をした際、最終面接に於いて他の方には就職後の生活や配属についての質問であったが、そのような質問は一切なく病気についてのみいくつも質問をされて不合格となった。 ・20代の女性が、大手企業での就職試験(面接)の際、大学休学の理由を詰問され過去に精神障害で入院治療をしていたことを伝えた。その際、面接官に「あなたは心が弱い人なんだね」と言われ、結果は不採用であった。 ・パートナーが精神疾患を結婚後に発症した際、「責任はあなたにある」として(親族から)離婚を迫られた。離婚することを拒否したところ、パートナー側の身内からは一切の支援を受けられなかった。