p1 資料6-2 障害者差別解消支援地域協議会の設置促進・活性化について ・地域協議会の設置を促進するとともに、活性化を図るための方策について、どう考えるか。 (1)現状 ・障害者差別の解消を効果的に推進するためには、国レベルでの施策に加え、身近な地域において、地域の特性を踏まえた主体的な取組が推進されることが必要である。 ・このため、障害者差別解消法(以下「法」)第17条第1項において、国及び地方公共団体の機関で、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(関係機関)は、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う相談や相談事例を踏まえた取組を効果的かつ円滑に行うため、障害者差別解消支援地域協議会(以下「地域協議会」)を組織することができるとされている。 ・また、法第18条第1項及び第2項において、地域協議会は、情報の交換、障害者からの相談及び事例を踏まえた協議並びに障害者差別を解消するための取組を行うとともに、必要があるときは、構成機関等に対し、事案に関する情報の提供及び意見の表明その他の必要な協力を求めることができるとされており、同条第4項において、その庶務は、地域における障害者施策の推進を担い、関係機関等のネットワークの要となり得る地方公共団体が処理することとされている。 ・地域協議会の設置率は、都道府県・政令市は100%である一方、その他一般市町村は約48%となっている(平成30年4月1日時点)。また、開催実績(平成29年度)が0回又は1回の一般市町村が約53%であるなど、その活性化も課題となっている。 ※ 障害者基本計画(第4次)では、市町村(政令市及び中核市等を除く)における地域協議会の組織率について、70%以上(2022年度)を目標値としている。 ・地域協議会を設置しない理由としては、小規模自治体のため個別に設置できない、地域内で需要が高まっていない、具体的な課題がないなどが挙げられている。また、圏域など広域的な設置があれば検討したい、県など広域的な協議会への参加を予定しているなどが挙げられている。(「障害者差別の解消に関する地方公共団体への調査結果」(平成31年4月)) ・内閣府では、地域協議会の設置促進・活性化に向け、「障害者差別解消支援地域協議会の設置・運営等に関するガイドライン」(平成29年5月)の策定や、有識者等のアドバイザー派遣や地域フォーラムの開催といった地域協議会の体制整備・強化事業を実施している。 p2 (2)主な意見 ・地域協議会が十分に機能していないことと、相談件数が少ないことは、相互に関係しているのではないか。 ・全ての地方公共団体で地域協議会が設置されるまでには、まだ長期間を要するのではないか。 ・紛争はない方が望ましいと一概に言えるものではなく、紛争を地域協議会で議論することを通じて、地域の対応力の底上げにつながるという面もあるのではないか。 ・差別以外の相談に対応する中で、潜在化している差別事例を掘り起こすことが重要。そうした対応が可能な人材を育成するとともに、地域協議会への参画を得る必要があるのではないか。 ・地域協議会の女性構成員の割合が低いのは問題ではないか。 ・仮に一律に義務化する場合は、合理的配慮の定義や範囲、過度な負担と認められる事項などを明らかにした上で、政府があらゆる業種、規模の企業や事業者に、全国各地で再度、周知徹底をするための期間を設け、段階的に導入するなどの措置や、既に条例で事業者に対しても義務化している地方自治体が直面している課題を収集・整理し、それらへの対応を検討して公表すること、課題を解決した具体的な成功事例などを地域協議会で公表することが、前提として必要になる。 ・障害者差別の解消に向けては、社会的な意識改革や地域づくりを主体的かつ総合的に取り組むことが重要。地域協議会をより多くの地域で設置できるように進めていくとともに、事例共有や好事例となる協議会に対する事例検証などを通じて事例を発掘・横展開していくことで、連携強化を図ることが重要。 ・事業者としては、障害者と事業者の話し合いがうまくいかずに係争に発展した場合、相談できる体制の機能強化があると心強い。地方公共団体において問題解決に効果を上げている事例や、地域協議会に寄せられたいろいろな案件を具体的にどのように解決したか共有されると、双方に望ましい体制ができるのではないか。 (3)検討の方向性(案) ・市町村における地域協議会の設置を促すため、都道府県の地域協議会の庶務を担う都道府県が、その設置・運営を通じて得られた知見や管内市町村の地域協議会について得た情報を基に、地域協議会の庶務を担うことになる市町村に対して、他の市町村の取組に関する情報提供を行うことや、必要に応じて圏域単位など複数の市町村による地域協議会の共同設置・運営の支援を促すことを検討してはどうか。 ・また、市町村で地域協議会の設置や活用が進まない理由としては、市町村において地域協議会の有用性やその活用方法等が十分認識されていないことも一因であると考 p3 えられる。 さらに、事業者による合理的配慮の提供を促すことも含め、障害者差別の解消を推進するためには、地域の関係機関における事案の共有や協力等が一層重要になるとともに、これまで以上に複数の地方公共団体の区域にわたる広域的な対応が必要となる事案が生じることも想定される。 加えて、地域協議会の間では、地方公共団体の規模や取組状況等により、取り扱う事案の数や種類等が異なることから、蓄積された事例や見識にも差異があると考えられる。 これらを踏まえ、市町村での地域協議会の設置・活性化を促すとともに、地域における課題のより効果的な解決を図る観点から、都道府県の地域協議会と市町村の地域協議会の間や、市町村の地域協議会と他の市町村の地域協議会の間において、必要に応じて情報共有や助言その他の支援・連携を行うことについて検討してはどうか。