p1   資料7   障害者統計の充実に係る調査研究事業について   1本事業の目的・経緯 ・障害者統計の充実については、障害者権利条約の政府報告や第4次障害者基本計画等において、その推進を図ることとされている。 ・これに加えて、「障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟」(略称:インクルーシブ雇用議連)からの平成30年5月の提言書(参考1)も踏まえ、障害者と障害のない者との比較を可能とするための障害者統計の充実について、関係府省(内閣府・総務省・厚生労働省)において検討を進めるため、内閣府において令和元年度予算に必要な調査を行うための経費を計上し、当該調査研究事業の受託先として株式会社野村総合研究所(野村総研)を決定した。   2本事業の実施体制及び現状 ・受託先の野村総研を事務局に学識経験者6名及び関係府省職員(内閣府・総務省・厚生労働省)6名からなる「障害者統計の充実に関する調査研究事業検討チーム」(検討チーム/参考2)を立ち上げ、障害の有無に関する設問を盛り込んだ試行的な調査を行い、調査結果の分析・検証を行うとともに、障害の有無に関する設問の在り方や当該設問を設けて統計を充実することの政策的意義・必要性等について議論を行い、報告書をとりまとめる予定。 ・現在まで検討チームを3回実施したところであり、これまでの議論を踏まえ、試行的調査を実施する前段階となっている。   3試行的調査の概要 ・質問文のわかりやすさなどの回答面での適切さや回答結果により得られる障害者数の規模などの集計結果の妥当性を評価するべく、障害者を捉える複数のパターンの設問等に実際に回答してもらう調査を実施する。(参考3・4) ・一定の回答数を確保するとともに、その実施に要する期間や多様な検討(設問の比較やクロス集計など)が可能であることを考慮し、インターネットによるモニター調査を基本に実施する。 サンプル数は、インターネットモニター調査については、約10,000サンプル。うち、障害者については、約1,000サンプル。 調査項目については、 (1)基本属性(性別、年齢、配偶者の有無、世帯数など) p2 (2)障害者を捉える設問及びその評価(国際的に用いられている障害者を捉える代表的な3パターンの設問及び各設問の評価/参考5) (3)日常生活、障害者関連制度等の活用状況(手帳所持等や日常生活における自立の状況など) (4)雇用、労働(就業の状況、求職活動など)など約30問程度の調査を実施する予定。 ※回答理由の確認等のため「自由記載欄」を設けているほか、補足的に少数によるグループインタビューも実施する予定。 ・一方で、上記インターネット調査では捉えにくい障害者も含め、一定の障害者の回答数を確保する観点から、障害者を対象にインターネットモニター調査と同項目による紙面での調査を実施する予定。 サンプル数は、紙面調査については、1団体10から20サンプル程度。 総計で 100から200サンプル程度。 ・この紙面調査については、障害者政策委員会の委員の皆様が所属等されている当事者団体や家族会など(別添の 12団体)にご協力を依頼して実施する予定。 具体的には、受託者である野村総研を通じて、各団体に回答者の選定(リストアップ)を依頼し、提出いただいたリスト先に直接紙面調査票を郵送し、回答後返送いただくことを想定している。(選定数については、各団体10~から20人程度をお願いしたいと考えている。) 4今後のスケジュール(予定) ・試行的調査の準備・実施・回収 インターネットモニター調査 *インターネットの画面制作:12月中旬から1月上旬 *実査(調査の実施)1月中旬 *集計:1月下旬 ・紙面調査 *障害当事者団体等への依頼12月中旬 *団体からの送付先リストの提出12月中下旬から1月上旬 *調査票封入・発送作業1月上旬 *実査(回答・調査票の返送)1月中下旬 *集計:2月上旬 ・調査結果の分析・取りまとめ:2月上中旬 ・報告書の取りまとめ:3月末 別添 紙面調査への協力依頼を行う予定の障害当事者団体等(順不同) ・(福)日本身体障害者団体連合会 ・(福)全国重症心身障害児(者)を守る会 ・(公社)全国脊髄損傷者連合会 ・(一財)全日本ろうあ連盟 ・(一社)日本発達障害ネットワーク ・(公社)全国精神保健福祉会連合会 ・(福)全国盲ろう者協会 ・(一社)全国肢体不自由児者父母の会連合会 ・全国手をつなぐ育成会連合会 ・(特非)DPI日本会議 ・(福)日本視覚障害者団体連合 ・(一社)日本難病・疾病団体協議会 p4   参考1   2019年度予算概算要求に向けた提言   障害者施策の基礎となる統計調査の準備の充実   障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟   (略称:インクルーシブ雇用議連)   Ⅰ はじめに  私ども、「障害者の安定雇用・安心就労の促進を目指す議員連盟(以下、当議連)」は、本年2月、障害者の雇用・就労環境を本来あるべきディーセントでかつインクルーシブなものへと転換するため、障害者の一般雇用施策と福祉的就労施策の一体的な展開を可能にする制度改革をより深く検討し、具体的な政策につなげていくことを目標に立ち上がった超党派の議員連盟です(添付:役員一覧参照)。 当議連では、まず「障害者統計の現状と課題」をテーマに第1回および第2回勉強会を実施し、政策立案の基礎となるべき障害者雇用・就労にかかわる統計調査がどのような実態にあるのかを掘り下げて議論いたしました。その結果、我が国においては、障害者権利条約で求められる「障害者と他の者」との平等の実現を目指す障害者施策の展開に必要な両者の比較可能な統計データ、並びに「持続可能な開発目標(SDGs)」のターゲットのうち障害者を対象とした指標にかかる統計データ等が十分に整備されていないことなど、早急に対処すべき課題があることを確認いたしました。 つきましては、上記課題を早期に解決するため、以下の通り要望いたします。   Ⅱ 提言の背景  政府が国連に2016年6月に提出した、障害者権利条約第1回政府報告では、「データ・統計の充実」がわが国の障害者施策の課題として挙げられるとともに、次回報告提出(2020年頃の見込み)までの間にその改善に努める旨が記載されています。また、障害者政策委員会は、同条約31条「統計及び資料の収集」に関連して、「障害者に関する政府の監視・評価に使える水準の統計が、国・地方公共団体ともに不足しており、(障害のある者とない者との比較を可能とする)日本の人口全体を対象とした調査の実施や男女別統計の実施を徹底すべきである。」と指摘しています。 p5 そして、2018年3月30日に閣議決定された「第4次障害者基本計画(2018年~2023年)」では、これらの課題への対応として、「『確かな根拠に基づく政策立案』の実現に向け、・・・必要なデータ収集及び統計の収集を図るとともに、障害者施策のPDCAサイクルを構築し、着実に実行する。また、当該サイクル等を通じて施策の不断の見直しを行っていく。」としています。 さらに、2018年3月6日に閣議決定された「第Ⅲ期公的統計の整備に関する基本的な計画(2018年~2023年)」では、「持続可能な開発目標(SDGs)グローバル指標の対応拡大に取組む」としています。グローバル指標は、SDGsの基本理念「誰一人取り残さない」の実現を目指し、障害者について細分化した指標を求めており、国連では2019年の総会で、SDGs採択後はじめて各国からSDGsへの取り組みを聴くことを予定しており、わが国も2017年の自発的報告(HLPF)以降の取組みについて報告することになります。 Ⅲ 提言の内容 1具体的項目  障害者権利条約で求められる「障害者と障害のない者との比較」を可能とするとともに、SDGsのターゲットのうち障害者を対象とした指標にかかる統計データとしても活用できるようにするため、以下の具体的取り組みを要請する。 総務省、内閣府、厚生労働省等による協議の場を構築し、有識者の意見を聴きながら、障害者基本計画に「確かな根拠に基づく政策立案」とあることを踏まえて、障害者基本法ならびに障害者権利条約の理念に則った障害指標の在り方について検討を行うとともに、協議の場において、以下の取組についての検討並びに統計制度全般を所管する総務省及び各種統計を実施する小腸における対応のフォローアップを行うこと。 (1)上記の障害指標の在り方を踏まえた国内プレ調査を実施、条約批准国の統計調査状況を把握するための研究を実施 (2)上記を踏まえ、どういった調査(既存、新規を含む)で障害者の実態を把握することが効果的であるかを検討し、障害者の雇用と就労についての総合的な実態を把握できる統計調査を実施 p6 (3)上記検討の際、国民生活基礎調査等の基幹統計調査への質問項目の追加等を軸に検討することと、その際に国連統計委員会やワシントン・グループの考え方に沿って進めること 2ロードマップ ・2018年度 検討会を設置し、障害指標の在り方の検討を行うとともに、2019年度に国内プレ調査と他の条約批准国の研究を実施するための準備、予算要求を行う。 ・2019年度 国内プレ調査と他の条約批准国の研究を実施する。 ・2020年度以降 国内プレ調査の結果、他の条約批准国の研究の成果を踏まえて、どういった調査(既存、新規を含む)で障害者の実態を把握するか検討し、2022年度に、障害者権利条約やSDGsで求められている統計データが継続的に取得可能な、障害者の雇用と就労についての総合的な公的統計調査を開始するため、2021年度に予算要求をすべく準備を進めること。 参考:ワシントン・グループの6つの設問 6つの質問に4選択肢(Aいいえありません、Bはい多少あります C はいとてもあります。Dできません。)から一つを回答してもらい、CDを1つ以上選択した場合を「障害」と定義する。 1眼鏡を使用しても、見えにくい 2補聴器を使用しても、聴きとりにくい 3歩行や階段の上り下りがしにくい 4通常の言語を使ってのコミュニケーションが難しい。たとえば、人の話を理解したり、人に話を理解されることが難しい 5思い出したり集中したりするのが難しい 6入浴や衣服の着脱のような身の回りのことをするのが難しい p7   障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟   略称:インクルーシブ雇用議連)   役員体制   (2018年4月から) 顧問 尾辻 秀久(自民)(参) 塩崎 恭久(自民)(衆) 髙木 美智代(公明)(衆) 長妻 昭(立憲)(衆) 羽田 雄一郎(国民)(参) 会長 川崎 二郎(自民)(衆) 会長代行 近藤 昭一(立憲)(衆) 会長代理 山本 博司(公明)(参) 副会長 馳 浩(自民)(衆) あべ 俊子(自民)(衆) 中川 正春(無)(衆) 山井 和則(国民)(衆) 横山 信一(公明)(参) 福島 瑞穂(社民)(参) 阿部 知子(立憲)(衆) 高橋千鶴子(共産)(衆) 石井 苗子(維新)(参) 森 ゆうこ(自由)(参) 常任幹事 三ツ林裕巳(自民)(衆) 努台 俊介(自民)(衆) 木村 弥生(自民)(衆) 滝波 宏文(自民)(参) 伊佐 進一(公明)(衆) 川田 龍平(立憲)(参) 初鹿 明博(立憲)(衆) 古本伸一郎(国民)(衆) 柚木 道義(国民)(衆) 矢田わか子(国民)(参) 金子 恵美(無)(衆) 田村 智子(共産)(参) 藤末 健三(無)(参) 山口 和之(無)(参) 事務局長 穴見 陽一(自民)(衆) 事務局次長 石橋 通宏(立憲)(参) 里見 隆治(公明)(参) p8 参考2 令和元年度障害者統計の充実に関する調査研究事業検討チーム構成員名簿 学識経験者(50音順) 国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官 大夛賀 政昭 名城大学経済学部教授 勝浦 正樹 一般社団法人ヒューネットアカデミー 代表理事 勝又 幸子 横浜市立大学学術院国際総合科学群教授 土屋 隆裕 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長 林 玲子 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター副統括研究員 春名 由一郎 内閣府 政策統括官(共生社会政策)付障害者施策担当参事官 衣笠 秀一 総務省 統計局労働力人口統計室室長 中村 英昭 政策統括官(統計基準担当)付統計企画管理官室企画官 内山 昌也 厚生労働省 職業安定局障害者雇用対策課課長 小野寺 徳子 社会・援護局障害保健福祉部企画課課長 野村 知司 政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)付世帯統計室室長 中村 年宏 (株)野村総合研究所(事務局) 社会システムコンサルティング部上級コンサルタント(事務局長) 山本 史門 p9 参考3   障害者を捉える設問の主な事例 ワシントングループ  概要:視覚、聴覚、移動、認知、セルフケア、コミュニケーションの動作のそれぞれについて、「いいえ、苦労はありません」から「全くできません」までの程度を4段階の選択肢でたずねている。 たずね方:日常生活の6動作について、しづらさの程度を4段階で調査。「短い質問セット」では、6動作(視覚、聴覚、移動、認知、セルフケア、コミュニケーション)について、4段階の困難度合を回答させる。 欧州統計局2018ガイドライン 概要:一問目に健康状態を尋ね、障害の有無、日常生活に関する支障の有無、支障の程度について、枝問(2、3問程度)により尋ねる。健康状態→障害の有無(枝問)→日常生活の支障(枝問)→支障の程度(枝問) たずね方:設問を細かく分割し、健康状態から障害の有無にまで絞り込む質問設計。冒頭で健康状態について調査し、その後、該当する回答者を誘導し、障害の有無や日常生活での支障の有無を調査している。 ICF WHODAS2.012項目 概要:膨大なICF調査項目を、ある程度簡略化した調査票。生活動作(機能)だけでなく、活動に関してもたずねている。 たずね方:日常生活(参加・活動を含む)の12項目の困難度合いを5段階で評価。マトリクス形式で回答させる。 p10 参考4   各設問の評価の観点及び方法   統計のプロセス → 回答結果の集計 対象者による回答   設問の評価の観点 適切に回答できるかの評価 ・回答の負担 ・質問文の分かりやすさ、イメージのしやすさ ・選択肢の水準、程度の分かりやすさ 他     検討項目(例) 負担なく記入してもらうことが可能か。 質問文が、どのような健康状態であるか、どのような行動であるかが、分かりやすく書かれているか。 水準、程度等の選択肢(例:ある程度~、かなり~)に関して、適切な回答が得られやすいか。   検討手法 インターネット調査(グループインタビュー)、紙面調査   統計のプロセス 回答結果の集計   設問の評価の観点  集計結果の妥当性の評価 ・「障害者」の割合の妥当性の検討 ・障害の有無による差の有意性   検討項目(例) ・設問の回答結果から推計される障害者割合が、例えば、障害者手帳所持者数、自立支援給付の利用者数等と比較して適切な規模の水準であるか。 ・障害の有無による労働等の結果の違いについて、確認する。(例:障害のない者の方が労働時間が短い。)   検討手法 インターネット調査 p11 参考5   健康状態と労働等に関するアンケート調査(仮称)(案)-抜粋-令和2年1月 (調査実施事業者:株式会社 野村総合研究所) Ⅱあなたの健康状態について、3つのパターン(パターンA、パターンB、パターンC)の設問でお聞きします。 (パターンA) 問7日常生活において苦労していることについて、お答えください。(まるはそれぞれの質問文について一つずつ) 質問文 ・眼鏡を使用しても、見えにくいといった苦労はありますか。 ・補聴器を使用しても、聴き取りにくいといった苦労はありますか。 ・歩行や階段の上り下りがしにくいといった苦労はありますか。 ・通常の言語をつかってのコミュニケーション(たとえば、人の話を理解したり、人に話を理解させることなど)が難しいといった苦労はありますか。 ・思い出したり集中したりするのが難しいといった苦労はありますか。 ・入浴や衣服の着脱のような身の回りのことをするのが難しいといった苦労はありますか。 選択肢 1苦労はありません 2多少苦労します 3とても苦労します 4全く出来ません p12 (パターンB) 問8あなたの現在の健康状態について、お答えください。(まるは一つだけ) 1よい2まあよい3ふつう4あまりよくない5よくない 問9慢性疾患や慢性的な健康問題の有無について、お答えください。(まるは一つだけ) ※慢性疾患や慢性的な健康問題とは、6ヶ月以上疾患や健康問題が継続しているものをさします。 1ある2ない 問10健康問題により、日常の一般的な活動に支障があるかについて、お答えください。(まるは一つだけ) 1非常に支障がある2ある程度支障がある3全く支障がない →「1」、「2」と回答した方は問10-1をお答えください。 問10-1(問10にて「1」、「2」と回答した方にお聞きします。)健康問題により、日常の一般的な活動において6ヶ月以上支障があったかについて、お答えください。(まるは一つだけ) 1はい2いいえ p13 (パターンC) 問11過去30日間において、以下の項目について、難しさがあったかについてお答えください。(まるはそれぞれの質問文について一つずつ) 質問文 長時間(30分くらい)立っている 家庭で要求される作業を行う 新しい課題、例えば初めての場所へ行く方法を学ぶ 誰もができるやり方で地域社会の活動に加わるのに、どれほど問題がありましたか(例、お祭や宗教的、または他の活動) 健康状態のために、どれくらい感情的に影響を受けましたか 何かをするとき、10分間集中する 1kmほどの長距離を歩く 全身を洗う 自分で服を着る 見知らぬ人に応対する 友人関係を保つ 毎日の仕事をする、学校へ行く 選択肢 1全く問題なし 2少し問題あり 3いくらか問題あり 4ひどく問題あり 5全く何もできない p14 Ⅲあなたの健康状態に関する3つのパターンの設問の評価をお聞きします。 問12先に回答したあなたの健康状態に関するパターンA、パターンB、パターンCの設問の評価についてお答えください。(まるはそれぞれの質問文について一つずつ) 質問文 回答してみて最も負担を感じなかった設問はどれですか。 質問文が最も分かりやすかった設問はどれですか。(生活における行動や健康状態の問題について特定しやすかったもの、または理解しやすかったもの) 選択肢が最も選びやすかった設問はどれですか。(問題や困難の程度、水準等について判断しやすかったもの) 上記を総合して最も回答しやすかった設問はどれですか。 選択肢 1パターンA 2パターンB 3パターンC 問13あなたの健康状態に関する3つのパターンの設問について、自由にご意見をご記入ください。