p1 資料2石川委員長提出資料   国連障害者権利委員会による審査に向けた今後の審議の進め方について(案)   1これまでの経過 平成28年に国連障害者権利委員会に提出した第1回政府報告の作成に当たっては、障害者政策委員会は「第3次障害者基本計画」の実施状況の監視を行い、意見を「議論の整理」として取りまとめた。この「議論の整理」は、第1回政府報告の付属文書として国連に提出された。 この中で、障害者政策委員会において特に重要なものとして選定された8つのテーマについては、第1回政府報告の本文においても、障害者政策委員会の意見が反映されている(別紙)。 また、昨年9月に国連障害者権利委員会において採択された事前質問事項については、本年6月8日までに政府が回答することとされている。このほか、市民社会や障害者権利条約第33条の監視を担う機関からもパラレルレポート(報告)を提出することが可能とされている。   2今後の対応方針(案) (1)障害者政策委員会における対応方針 令和2年度においては、本年夏の国連障害者権利委員会による審査に向けて、障害者政策委員会としても議論を行ってはどうか。 また、障害者権利条約第33条の監視機関の独立性の観点から、障害者政策委員会としての見解を取りまとめて提出してはどうか。 (2)障害者政策委員会による報告の作成方針 政府以外の機関による報告は、審査側の準備期間を考慮すると、審査の1か月前(7月中頃)までを目途に提出することが望ましいと考えられる。 今後の障害者政策委員会において取りまとめる報告の内容としては、障害者権利 p2 条約の実施状況全体について改めて議論し直し、取りまとめることが望ましいが、国連障害者権利委員会の審査までのスケジュールを勘案すると、こうした対応は現実的でないと考えられる。 このため、第1回政府報告の本文に記載した障害者政策委員会の意見(別紙)を、障害者権利条約の国内実施状況を監視する機関としてその後の進捗状況や新たな課題等を踏まえ修正し、これを障害者政策委員会の見解として国連障害者権利委員会に提出してはどうか。 また、令和元年度には障害者差別解消法の議論を進めてきたことも踏まえると、今般取りまとめる同法の見直しに関する意見も提出してはどうか。 (3)審議スケジュール 第50回2月21日(金) ・今後の議論の進め方について議論 第51回4月17日(金) ・国連障害者権利委員会からの事前質問事項に対する政府の回答(案)について外務省から報告 ・第1回政府報告提出以降の進捗状況や新たな課題について議論 第52回5月25日(月) ・国連障害者権利委員会の審査に向けた障害者政策委員会の見解(仮題)について議論 p3 別紙   障害者の権利に関する条約 第1回日本政府報告 (日本語仮訳)(抜粋) 第6条障害のある女子 41なお、本条に関しては、政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) 障害者権利条約第6条「障害のある女子」に対応するため、障害女性の視点からの記述及び統計を充実させるとともに、例えば、福祉施設での同性介助を標準化するなど、女性に重点を置いた政策立案を推進する必要がある。また、国や地方公共団体の政策を決定する様々な審議会や有識者会議の委員構成については、ポジティブ・アクション(男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供すること)の取組が推進されており、政策委員会においても、こうした視点・取組が必要である。 第12条法律の前にひとしく認められる権利 83なお、本条に関しては、政策委員会より、次のような指摘がなされている。意思決定の支援及び法的能力の行使を支援する社会的枠組みの構築が急務である。また、成年後見制度のうち、特に代行型の枠組みである後見類型の運用に当たっては、最良の支援を提供しても、なお法的能力の行使が困難な場合に本人の権利と利益を守るための最終手段として利用されるべきものであり、かつ、代理人が本人に代わって意思決定をする場合にも、法の趣旨に則り、できる限り本人の意思を尊重するよう制度運用の改善を図る必要がある。 また、家庭裁判所の成年後見人の監督業務の負担の在り方についても課題が共有された。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) p4 第14条身体の自由及び安全 107なお、本条に関しては、政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) 精神保健福祉法等の制度と運用については、医療保護入院についての規定である精神保健福祉法第33条の妥当性について再検証をする必要がある。精神科における患者の権利擁護のため家族や医療従事者から独立した権利擁護者の関与が不可欠である。認知症も含め、本人の意思が反映されない入院の減少につなげていくことが大切であり、そのためにも、継続的に調査を実施した上で、最新の正確な統計に基づいて議論を行う必要がある。 第19条自立した生活及び地域社会への受容 131なお、本条に関しては、政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) 医療的ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援については、地域によってサービスの水準や運用に差異があるなどして利用しづらかったり、保護者に過重な負担となったりしている。人間らしく生きるための24時間の医療的ケア保障、介護保障が必要である。 また、精神障害者の地域移行の支援については、精神科医療そのものの地域移行が必要である。精神科に入院している人の地域移行を考えるのと同時に、地域にいる精神障害者を訪問してサービスを提供すること等、精神障害者が地域で生活できるような資源を開発することが重要である。 第21条表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会 142なお、本条に関しては、政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) 情報提供や意思疎通支援をさらに充実することが求められる。様々なメディアや場面において、特に、緊急時の対応、個別性の高いコミュニケーション方法を用いる人たちへの対応、省庁横断的な対応に課題がある。 p5 また、障害の多様性に対応したアクセシブルな教材の提供や行政情報のバリアフリー化になお課題があることが指摘された。 第24条教育 167なお、本条に関しては、政策委員会より、インクルーシブ教育を推進していくために、我が国が目指すべき到達点に関する議論、また、進捗状況を監視するための指標の開発とデータ収集が必要であるとの指摘があった。また、具体的な課題として、個別の教育支援計画、個別の指導計画の実効性の担保、合理的配慮の充実、本人及び保護者の意思の尊重、特別支援教育支援員の配置や教育的ニーズに応じた教材の提供といった環境の整備などについて問題提起があった。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) 第27条労働及び雇用 181なお、本条に関しては、政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) 障害者の雇用・就業の推進のためには、障害者や企業に対する支援の更なる充実をはかることや、改正障害者雇用促進法の趣旨や法に基づく「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」等について情報提供し、着実に実施することが重要である。 第31条統計及び資料の収集 211なお、本条に関しては、政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと) 障害者に関する政策の監視・評価に使える水準の統計が、国・地方公共団体ともに不足しており、日本の人口全体を対象とした調査の実施や男女別統計の実施を徹底すべきである。 (統計・データについては、I「条約締結に至る経緯と現状」参照)