p1 資料2 文部科学省の障害者施策実施状況の概要(令和元年度) 1 教育の振興 (1) 初等中等教育 平成31年に文部科学省に設置された「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」において、障害者の権利に関する条約に基づくインクルーシブ教育システムの理念を構築し、特別支援教育の更なる充実を図るための議論がなされている。 平成29年度及び30年度に公示した新特別支援学校学習指導要領等において、@重複障害者である子供や知的障害者である子供の学びの連続性、A障害の特性等に応じた指導上の配慮の充実、Bキャリア教育の充実など自立と社会参加に向けた教育を充実。新学習指導要領については、幼・小・中・高の各学部ごとに段階的に実施。 平成31年3月、「交流及び交流学習ガイド」を改訂し、交流及び共同学習に係る取組の手順や取組事例等を周知した。また、令和元年度には、交流及び共同学習が継続的な取組となることを目標に、「学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進事業」を行った。令和2年11月には、交流及び共同学習オンラインフォーラムを開催し、各自治体における取組の参考となる優れた実践事例を動画で紹介した。 平成30年度から制度化した高等学校における通級による指導については、令和元年度は、すべての都道府県において実施。また、通級による指導の推進を図るため、公立高等学校の教員定数の加配、指導の専門性を高めるためのモデル事業、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における教員研修等を実施。 「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成し、令和2年3月に公表。また、令和元年度より、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所において、発達障害に関して教師が身に付けるべき知識、内容等の整理や、研修の在り方等について検討を進めている。 人工呼吸器の管理などの医療的ケアが必要な幼児児童生徒が増加傾向にあることなどを踏まえ、学校における受入体制の在り方に関する調査研究を行うとともに、教育委員会等による医療的ケアを行う看護師に対する研修をより充実させるため、研修会を企画・実施。 自治体において障害のある子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制を整備する際に要する経費や医療的ケアを行う看護師、特別支援学校の自立活動において教師に対して指導・助言を行う外部専門家の配置に係る経費の一部を引き続き補助。また、特別支援教育支援員については、配置実績を踏まえた地方財政措置を実施。 高等学校段階の生徒に対するメディアを利用して行う授業について、病気療養中等の生徒の教育機会を確保する観点から、上限を超える単位修得等を認めることとす p2 る制度改正等を実施。 令和元年度より学校と放課後等デイサービス事業所との連携に際してのマニュアルを作成することを内容としたモデル事業を実施。 (2) 高等教育 障害学生支援に係るノウハウの蓄積や大学等からの体制整備・支援方法に関する相談等へ対応するため、平成29年度より、専門的な知見等がある複数の大学等がプラットフォームを形成する事業を実施。 独立行政法人日本学生支援機構において、大学等における障害学生支援の充実に資するよう、全国の大学等における障害学生の状況及びその支援状況について把握・分析するための実態調査、各大学等が適切な対応を行うために参考にできる事例集の作成、理解・啓発促進を目的としたセミナーや実務者育成のための研修会の開催などの取組を実施。 学生支援を担当する教職員が集まる会議等において、障害者差別解消法の趣旨や障害者基本計画等について説明をするなど、障害のある学生の支援の充実についての理解促進の取組を実施。 文部科学副大臣の下に発足した「障害者活躍推進チーム」において、令和2年7月に、大学間連携等による障害学生支援体制の強化や学生に対する「心のバリアフリー」の取組の促進等を盛り込んだ「障害のある人の大学等の学びを支援する ー高等教育の学びの推進プランー」を取りまとめるとともに、同プランの内容を踏まえた取組を実施。 (3) 生涯を通じた多様な学習活動 障害者の生涯学習推進を図るため、「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業」として、学校から社会への移行期や人生の各ステージにおける効果的な学習プログラム、実施体制、関係機関・団体等との連携等に関する「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」や、令和2年度からは、都道府県を中心に大学や民間企業等の関係機関と地域連携コンソーシアム形成モデルを構築する「地域における持続可能な学びの支援に関する実践研究」を実施している。また、障害のある人が一般の生涯学習活動に参加する際の阻害要因、促進要因を把握・分析する調査研究を実施している。 文部科学副大臣の下に設置された「障害者活躍推進チーム」において、障害者がその個性や持てる能力を発揮し社会で活躍するため、生涯学習のほか、学校教育、文化芸術、スポーツ等の各分野において重点的に推進すべき6つの政策プラン(「文部科学省 障害者活躍推進プラン」)を平成31年1月から4月に打ち出していたところ、令和2年7月、新たに7つ目の政策プラン「高等教育の学びの推進プラン」を発表した。合わせて、「障害者の生涯学習プラン」を含む既存の6つの政策プランの取組状況をとりまとめた。 p3 実践研究事業の成果普及、障害理解の促進、実践者同士の学びあいによる担い手の育成、障害者の学びの拡大を目指すため、令和元年度に全国6つの各ブロックで、先進的な取組を実践する団体と共催して「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」を開催した。令和2年度は全国7つの各ブロックにおいて開催予定。また、平成30年度より障害者参加型フォーラム「超福祉の学校」を開催し、令和2年度はその成果の普及に取り組んだ。 障害者の生涯を通じた多様な学習を支える活動を行う個人又は団体について、活動内容が他の模範と認められるものに対し、その功績をたたえるため、「障害者の生涯学習支援活動に係る文部科学大臣表彰」を実施した(令和元年度64件、令和2年度73件)。 令和2年7月、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(令和元年法律49号)第7条に基づき、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」を策定した。 2 文化芸術活動・スポーツ等の振興 (1) 文化芸術活動 平成30年6月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が成立・施行されたことを受け、平成31年3月に同法に基づく国の基本的な計画を策定。この計画に基づき、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進。 障害者による文化芸術の鑑賞や創造、発表の機会を確保するため、障害者の優れた文化芸術活動の国内外での公演・展示、映画作品のバリアフリー字幕や音声ガイド制作への支援等の取組を実施。 (2) スポーツ 障害者スポーツの普及促進のため、「障害者スポーツ推進プロジェクト」として、各地域における課題に対して、障害者スポーツの振興体制の強化、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備を図る取組(平成30年度より)や、障害者スポーツ団体の体制の強化を図り、他団体や民間企業等と連携した活動の充実につなげる取組(平成30年度より)、個々人での購入が容易でない障害者スポーツ用具について、地域の保有資源を有効活用し、過大な金銭的負担を負うことなくスポーツを始めることのできる仕組みを構築する取組(令和元年度より)、障害者が観戦しやすい会場づくりや大会・イベント運営方法に関する事例調査(令和元年度)を実施。また、令和2年度には、このプロジェクトの中で、現職教員に対する障害者スポーツのノウハウの普及を実施中。 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、「オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業」として、パラリンピック競技の観戦・体験 p4 事業を重点的に実施するなど、障害当事者以外に向けた障害者スポーツ体験・理解の促進を図るとともに、「Specialプロジェクト2020」として、全国の特別支援学校でのスポーツ・文化・教育の祭典の実施に向けた先進事例を蓄積するためのモデル事業や特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくりの支援を実施。 令和 元年10月に開催予定であった第19回全国障害者スポーツ大会(台風19号により中止)において、精神障害者の卓球を正式種目として追加した。 パラリンピック競技の特性等も踏まえ、各競技団体が行う強化活動や次世代アスリートの発掘・育成の支援、ナショナルトレーニングセンターの拡充など、競技力向上のための取組を実施。