p1 資料6 障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する事業者団体ヒアリング結果概要 令和2年11月内閣府 1 実施期間 令和2年10月19日から10月26日 2 実施者 内閣府 政策統括官(政策調整担当)付 3 対象団体 34団体(別紙のとおり) 4 主なヒアリング内容 (1) 合理的配慮の義務化についての考え (2) 事業者における取組 (3) 合理的配慮に関する困りごと (4) その他、障害者差別解消法の見直しに関する意見 5 主な意見 (1) 合理的配慮の義務化についての考え 合理的配慮の提供の義務化について 義務化については賛成であるが、義務化により、心の距離が離れたり、ぎくしゃくしたりすることはないかと懸念している。 合理的配慮の義務化については賛成である。ただし、利用者と施設側との双方の理解やユニバーサル化を推進するための支援が必要である。 義務化すると、利用者の方がより強く意見を主張する懸念はあるが、罰則はなく、一部自治体では条例で既に義務化されており、バリアフリー法に基づく所要の対応もしているため、あまり大きなハレーションを起こすことはないと考えている。 合理的配慮の義務化について異論はなく、むしろこれは当然のことだと思っている。ただし、問題は、当たり前のことが世の中で現実にそうなっていないのをどう根づかせていくのか、そのための政策的な柱立てや進め方をどうするのかということである。 義務化について特段反対をするものではないが、具体的な場面や状況等に応じて総合的に判断をするため、非常に問題のある案件等があった場合には p2 共有してほしい。 一般的には義務化について特段支障はないと思う。ソフト面については、これまでも積み重ねてきたが、ハード面について、地方の中小企業は、施設の充実はなかなか厳しい。 合理的配慮は多様かつ個別性が非常に強いため、努力義務を維持することが適当である。仮に義務化するならば、中小企業の実態を十分に踏まえ、具体的にどのような配慮が義務化されるのか、事業者のみならず各主体が共通認識を持つこと、過重な負担の判断基準の明確化、十分な周知期間・準備化期間の確保、ソフト・ハード両面の支援策が不可欠である。 国民全般の理解が進んでいない現段階での義務化は早急であり、事業者のみならず、国民全体が努力しなければならないことを啓発していくことが必要ではないか。 法制定時の前提や背景が大きく変わっていない状況では、義務化する必要性はないのではないか。全体の流れの中で義務化をしていくのであれば、合理的配慮の定義、過重な負担と認められる事項の明確化、実効性のある事業者の相談を受け付ける組織、国民全体への周知徹底が絶対条件である。 一部のセルフにおいては給油協力に十分に要望にお答えできないケースも想定されるため、現状の努力義務の継続を希望する。 ほとんどが中小事業者であり、コロナ関係で経営は非常に厳しい状況であることから、経済的な負担が増えない配慮をお願いしたい。一律に義務化は難しいため、引き続き努力義務でお願いしたい。 義務化の懸念について 世間の理解不足や事業者と当事者の間での認識の違いがある中で義務化すると、トラブルの増加が懸念される。 義務化すると、合理的配慮に該当するかの形式的な議論が焦点となる、トラブルが増えて障害者とのコミュニケーションが取れなくなるなどにより、かえって共生社会に向けた機運を阻害するおそれがあるのではないか。 特に中小事業者にとっては、設備や人的資源に乏しいため、対応が難しいのではないか。 義務化すると、確実に提供できる範囲での対応となり、事業者の創意工夫が止まってしまうのではないか。 p3 義務化に当たっては、事業者に過度な負担を課すことのないようにすべき。 合理的配慮や過重な負担の基準・具体例について 合理的配慮や過重な負担の基準や範囲について、事業者と障害者との間の認識の違いから生じるトラブルが増加しないよう、より明確にしていくべき。 合理的配慮や過重な負担の具体例や判断基準について、事業者に分かりやすく示し、広く共有してほしい。 精神障害など外見から分かりづらい障害のある方に対してどのように接するべきかについて、事例や指針等を示してほしい。 ニュー・ノーマルの時代に対応した合理的配慮の事例、障害者の困りごとや具体的な対応方法を共有すべき。 相談体制の整備について トラブルが起こったときに、事業者が相談できる体制の整備・明確化・周知が必要である。 相談員の対応マニュアル整備や相談員間のネットワーク構築など地域の相談力の向上が必要ではないか。 相談のたらい回しを防止することが必要である。 事業者団体が会員からの相談に応ずるに当たっても、どのように対応すればよいかが分かるとよい。 周知啓発等について 法の趣旨や合理的配慮の内容、具体的な対応方法について、様々な主体への周知啓発が必要である。 他のお客様との関係で、障害者の方に対する合理的配慮が十分に行えない場合もあるため、事業者だけではなく、一般の方の理解促進が必要である。 一部の認識の低い事業者に対しては、しっかりと啓発活動をしていくべきではないか。 企業の中で研修をする際に講師を無料で派遣する、専門家を無料で派遣する、相談機能を創設する、分かりやすいパンフレットを作成する、解説の動画をつくる、対応の事例集を作るなど、多岐にわたるソフト面の支援が大事なの p4 ではないか。 その他支援について 事業者にとって必要な情報が得やすいように、情報提供の仕組みを整備してほしい。 ハード面の整備を要する場合は、事業者の対応では厳しいことから、財政面の支援をしてほしい。 (2) 事業者における取組状況 従業員の理解・対応の向上のため、障害者差別解消法や接遇に関するマニュアルを作成している。 従業員の理解・対応の向上のため、障害者差別解消法や接遇に関する研修会を実施している。 (3) 合理的配慮に関する困りごと 外見上分かりづらい障害がある方の場合、プライバシーの問題があるため対応が難しいが、必要な配慮が分からずにトラブルになることがある。 施設面の制約や人手不足のために要望に十分にお答えできない場合や、よかれと思ったことが逆に気分を害してしまう場合があり、それぞれの要望に応えることの難しさや、要望に直ちにお答えできない悩みがある。 事業規模に違いがあり、運行状況や駅の設備等により利用者の要望に沿えないケースがあるが、利用者から鉄道以外の対応を求められたり、他社と比較して同等の対応を求められたりする場合がある。 合理的配慮をする際に、子供のサインをどう受け止めるか分からないことも多く、本人も自分で言いたいがうまく伝えられないということが起きており、現場でそれぞれ悩みながら対応している。 (4) その他必要なこと 障害者本人が意思表示をするためのツールを用いるなど、必要な支援が何であるかを把握できるようにする体制整備も必要ではないか。 バリアフリー法に基づく公共交通事業者等の計画策定義務との整合性をと p5 るようにしてほしい。 個人情報保護に配慮しつつ、医療提供施設間において、障害に関する情報を共有できる仕組みがあるとよい。 大学等の建築教育機関において、ノーマライゼーションという考え方についての教育を行ってほしい。 ※ 複数の団体から同趣旨の発言があったものは、同じ項目にまとめて記載している。 p6 別 紙 障害者差別解消法の見直しの検討に係る事業者ヒアリング団体一覧 10月19日(月) (公社)日本建築士会連合会 (一社)日本建築士事務所協会連合会 (公社)日本建築家協会 (一社)日本旅行業協会 (公社)全日本不動産協会 10月20日(火)(午前) 全国質屋組合連合会 (一社)全日本指定自動車教習所協会連合会 (公社)日本医師会 10月20日(火)(午後) (公社)消費者関連専門家会議 (一社)日本経済団体連合会 日本商工会議所 西日本遊園地協会 10月21日(水)(午前) 全国商工会連合会 日本ショッピングセンター協会 全国石油商業組合連合会 10月21日(水)(午後) (公社)日本バス協会 (一社)全国ハイヤー・タクシー連合会 定期航空協会 JR東日本(東日本旅客鉄道梶j JR東海(東海旅客鉄道梶j JR西日本(西日本旅客鉄道梶j (一社)日本民営鉄道協会 (一社)日本地下鉄協会 (一社)日本旅客船協会 10月23日(金) (福) 日本保育協会 (公社)日本歯科医師会 (公社)日本薬剤師会 (公社)日本精神科病院協会 10月26日(月) 全私学連合 私立特別支援学校連合会 (一社)日本チェーンドラッグストア協会 (一社)全国生活衛生同業組合中央会 (一社)日本自動車販売協会連合会 日本チェーンストア協会 (合計34団体)