p1 資料7 障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する障害者団体ヒアリング結果概要 令和2年11月内閣府 1 実施期間 令和2年10月26日から10月28日 2 実施者 内閣府政策統括官(政策調整担当)付 3 対象団体 19団体(別紙のとおり) 4 主なヒアリング内容 事業者による合理的配慮の義務化について その他の障害者差別解消法の見直しに関する意見 5 主な意見 事業者による合理的配慮の提供の義務化について 事業者による合理的配慮の提供を義務とすべき。 障害者雇用促進法では事業主による合理的配慮の提供は既に義務となっており、障害者差別解消法においても義務とすべき。 負担が重すぎない範囲という条件があり、条約との整合性や障害者雇用促進法との関係からしても、義務化が当然の流れである。 条約との整合性を確保する観点から義務化すべき。 一部の事業者から建設的対話も行われず門前払いされるなど法の趣旨・内容が十分に守られていない実態を改善して建設的対話がきちんと行われるようにするためにも義務化は不可欠である。 きちんと取り組んでくれる事業者もあるが、まだ少数であり、事業者による合理的配慮を義務にしないと進まない。 障害者差別の解消や合理的配慮についての認識を国民全体に広げていくた p2 め、個々の障害特性に応じた配慮の必要性を踏まえつつ、義務化が必要である。 障害のある女性の複合的な差別の解消に向けて、建設的対話の促進のために義務化は必須である。 条例により義務化された自治体において混乱が生じている実態はどこにもなく、一日も早く義務化すべき。 合理的配慮の不提供の事例の多くが国庫補助金を使用している事業者であり、ボランティア団体や障害者団体が対象となるのは不合理だという意見もあるため、国庫補助金を受けている事業者のみ義務化すべきではないか。 私立高校で合理的配慮の提供を努力義務の範囲でしか受けられないのは大きな問題であり、努力義務だからこそ事例の蓄積もできていないのではないか。障害者が学校生活を通じて社会に対し希望を持てるよう、私立学校が義務化に先鞭をつけるべき。 保護者の付き添いを必須とする、運動を伴う学校行事に参加させないなどがあり、教育の場での合理的配慮について十分な検討が必要である。 不当な差別的取扱いの禁止・合理的配慮の提供について 合理的配慮の提供は、当事者や家族の完全参加と同意を条件とし、前例がないことなどを理由にして一律に上限や制限を設けるべきではない。 行政機関は、事業者よりも高い次元の合理的配慮の提供が求められることを規定すべき。例えば、過重な負担を理由に合理的配慮を提供しない場合には、当事者や家族の求めに応じて書面にてその理由と根拠等の開示をすべき。 公立学校での差別的取扱いの事例が最も多く寄せられており、教職員等への研修の徹底、必要な教職員の配置、施設の改変等の予算確保が必要である。 分野ごとに具体的な差別や合理的配慮の提供例を盛り込んだ各則を法文に盛り込むべき。 失語症者に対する情報保障や意思疎通支援が進んでいない現状があり、基 p3 本的人権に関わる案件に関して支援を行う意思疎通支援者の養成・派遣が必要である。 病気や障害でラベリングした見方ではなく、あくまでもこの人の症状をどのように克服していったらいいのかというコミュニケーションが取れるような取組が一般化していってほしい。 失語症者のコミュニケーションに関する総合的な支援、試験等における配慮、相談窓口、社会の理解促進が必要である。 問題が発生した際に、間に入ってくれる支援者、継続的な粘り強い関わりのできる支援者、認知機能及び心理面への配慮、高次脳機能障害に関する正しい理解の普及などが必要である。 意思の表明について、自閉症を含む発達障害者の場合には、本人の状況が誤解される場合が多いため特に重要である旨を明記するとともに、通訳や家族等を介して意思が伝えられることを含め、また周囲の人が必要としていると気付いた場合も合理的配慮の提供義務に含めるべき。 司法救済ができるように裁判規範性がある規定を設けるべき。 相談・紛争解決体制について 事業者が具体的にどのような合理的配慮を提供すればよいのか相談できる窓口を置くべき。 障害者が地域の身近なところで安心して相談できるよう、障害当事者が相談体制に加わるべき。 相談先が分からない、相談機関があると知らなかったという声があるため、機関名を統一する、ポータルサイトを作るなど、分かりやすい周知をすべき。 相談窓口が分かりにくく、どこに相談すべきか分からないため、相談窓口を明確化・ワンストップ化すべき。 国において、適切な省庁の相談窓口につながるようにワンストップ相談窓口を設けるべき。 p4 障害者コーディネーターの配置による窓口や自宅での相談体制の強化、障害者相談員の活用などによる事例の蓄積が必要である。 高次脳機能障害者の問題行動への対応は確立されている状況とは言えず、必要とされる合理的配慮について明確でないこともあるため、問題が起こった場合に高次脳機能障害者に対する合理的配慮を相談・検討できる場とアクセシビリティの確保が必要である。 第三者機関による調整・助言・指導や不服申立て等の救済制度を確保すべき。 地方公共団体が、紛争解決のためのあっせんの受付、調査、調整、あっせん、必要な場合の勧告と公表を有する部署を設けるべき。 政府から独立した裁判外紛争解決の仕組みをつくり、障害者団体、法律家、社会福祉専門家等を構成員として調整・調停を行う権限を持たせるべき。また、立証責任は一義的に差別した側にあり、差別を受けた側に反証する権利があることとすべき。 裁判外紛争解決が並行線となり打ち切るほかなくなった場合には、司法救済につなぐための相談ができるようにすべき。 周知啓発について 事業者に対する普及啓発を進めるべき。 各行政機関や事業者などが、疾患を抱える障害者の特性を理解するための研修を必須としてほしい。 外から見えない疾患を抱える障害者も法の対象であることを広く周知し、合理的配慮を求めやすい環境を整備すべき。 疾患について間違った情報が長年にわたり広められており、障害者差別解消法によって解決できる道を示してほしい。 新型コロナや後遺症に苦しむ患者が差別的な扱いを受けないように、後遺症の追跡調査や研究を行い、正しい認知を広めるための啓発活動を行うべき。 p5 様々な障害特性への理解が重要であり、障害者との関わりの多い分野での理解が進むよう、公的機関が様々な障害者との接し方、コミュニケーションの仕方を明るく楽しく伝える広報活動を拡充すべき。 対象範囲、定義について 障害を理由とした不当な差別的取扱いと合理的な配慮の不提供が規定を差別の定義として明確化すべき。 障害者権利条約と同様の差別の定義規定を盛り込むべき。 差別の定義を明記するとともに、直接差別、間接差別、関連差別、合理的配慮の不提供を差別と定義し、それぞれの内容を明記すべき。 差別の定義・概念の明確化を図り、実効性のあるものにすべきである一方、反対解釈の濫用を防ぐため、基本方針や対応指針の検討も必要である。 関連差別、間接差別、障害のある女性や子供等に対する複合的差別を含む差別の定義・概念の明確化について、少なくとも基本方針等で対応すべき。家族など関係者に対する差別にもしっかり取り組んでいくことも明確にすべき。 国及び自治体が、障害のある女性が障害及び性別による複合的な差別を受けていることを認識し、実態を把握し、適切な措置をとらなければならない旨を明記し、障害者基本法の総則にも追加すべき。 立法府や司法府についても法の対象とすべき。 その他障害者差別解消法について 法改正と併せて、例えば不当な差別的取扱いの基本的な考え方や合理的配慮の提供が必要となる範囲など、基本方針の改正についても議論すべき。 基本方針の考え方として、やまゆり園事件の差別による虐殺は国が許さないこと、強制不妊手術を再び行わないこと、入所施設への隔離を行わないことを記載すべき。 対応要領や事例集の作成過程に精神障害者の参画がないものが少なくなく、 p6 精神障害者のニーズとして蓋然性のないものが散見されるため、精神障害者の参画を得た上で修正すべき。 バリアフリー化や情報アクセシビリティ確保などの環境整備を義務とすべきではないか。 移動困難な障害者にとって、障害者手帳の提示を要するためオンラインサービスが利用できないのは大きな困難であり、デジタル化(特に障害者手帳の電子化)の促進を法に明記すべき。 出生前検査のありようが、ダウン症がある人とその家族に対する差別につながることを懸念しており、法の見直しにより、障害者差別の解消が進み、これが払しょくされてほしい。 地域において相談・紛争解決の体制整備を進めるために、地域協議会を活性化するための情報やノウハウの提供を行うべき。 地域協議会に精神障害者の構成員が入っていないところが非常に多いため、当事者参画を法文に書き込むなどして後押しすべき。 今回は先送りにせざるを得なかった内容でも、附則に見直し規定を設け、検討内容を明記するなどして継続的な検討を行うべき。 関係施策について 福祉サービスの対象疾患には、客観的に診断基準が確立していることなどが求められ多くの疾患が除外されることから、病名ではなく生活の困難さに応じて支援する仕組みにしてほしい。 障害者手帳を持たない障害者への配慮も必要であり、難病や慢性疾患患者の就労保障や障害特性の周知、障害者雇用促進法における難病や慢性疾患患者の法定雇用義務化、雇用率への算定などが必要。 見た目で分からない障害者が職場で周りに自分自身のことを話せる環境や職場での相談体制の整備、障害により就労が困難で必要な所得が得られない障害者への所得保障も検討すべき。 p7 失語症者自身が使用可能な機器の開発を早急に行い、一人で安全に日常生活を送ることができるよう機器の使用に関して十分な支援体制を確保することが必要である。 誰がどこに住んでいても専門医療を受けられる、安心して相談できる仕組みを義務付けてほしい。 障害者基本法の改正に関しても検討を早急に進めるべき。 障害者政策委員会の構成員に、病棟患者自治会や地域患者会、自立生活センターの当事者スタッフなど幅広い精神障害者によって構成された団体に所属する精神障害者も含めるべき。 障害者権利委員会からの勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、法律の見直しを始めとする必要な措置を講じるべき。 ※ 複数の団体から同趣旨の発言があったものは、同じ項目にまとめて記載している。 p8 別 紙 障害者差別解消法の見直しの検討に係る障害者ヒアリング団体一覧 10月26日(月) (特非)筋痛性脳脊髄炎の会 (特非)全国言友会連絡協議会 (特非)DPI日本会議 (特非)難病のこども支援全国ネットワーク (一社)日本筋ジストロフィー協会 日本障害フォーラム(JDF) (公財)日本ダウン症協会 (公社)日本てんかん協会 10月28日(水)(午前) (一社)全国心臓病の子どもを守る会 (特非)日本失語症協議会 (一社)日本自閉症協会 ピープルファーストジャパン 10月28日(水)(午後) 全国「精神病」者集団 (一社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 DPI女性障害者ネットワーク (一社)日本ALS協会 日本肝臓病患者団体協議会 (特非)日本高次脳機能障害友の会 日本弱視者ネットワーク (合計19団体)