資料3-1 「「障害」の標記に関する国語分科会の考え方」の概要  文化審議会国語分科会  ~国会の委員会決議が求める「「碍(がい)」の字の常用漢字表への追加の可否」の検討について~  漢字表の漢字選定の問題として(国語施策の観点から) 常用漢字表は、日本語を用いた書き言葉による民主的で円滑なコミュニケーションを実現することを目的としている。社会における漢字使用の実態を反映し、主に出現頻度と造語力(熟語を構成する能力)が高い漢字が採用されてきた。 検討の過程にある課題について周囲又は問題提起するために漢字を追加することは、常用漢字表の趣旨と合っていない。 〇現時点では、常用漢字表への追加を要するような「碍」の使用頻度の高まりや使用状況の広がりが生じていると判断できない。 〇「障がい者制度改革推進本部」において、当事者が中心となって行われた検討の結果、見解の一致を見ず、「法令等における「障害」の標記については、当面、現状の「障害」を用いる」とされている。 〇これまでにない選定基準によって新たな漢字を常用漢字表に追加することは、国語施策の基本方針に大きな転換をもたらすこととなるため、より慎重な検討が必要となる。 用語の問題として(より広い観点から) 「「害」の字を、人に対して用いることが不適切であるという考え方」があり、この標記を受け入れがたいと感じている人たちがいることを、国語分科会として重く受け止める。 一方で「しょうがい」の標記については当事者・関係者の間にも多様な意見があること、また、仏教語に由来する「障碍(しょうげ)」の意味についての指摘にも留意する必要がある。 〇現時点では、「しょうがい」を用いる限り、一つの標記をもって合意に至ることは難しい状況にある。 〇国語分科会はこの課題について、どの漢字を使うかという標記の問題である以上に、どのような表現を使うかという用語の問題であると考えている。 〇当事者とその関係者の意向を反映できる場において、「しょうがい」を使わない新たな用語に関する議論を行うかどうかも含め検討されることが望ましい。 今後の対応 〇「碍」については、直ちに常用漢字表に追加することはしないが、国会の委員会決議の趣旨に沿い、この漢字の扱いを、常用漢字表における課題の一つと捉え、使用実態や国民の標記に関する意識を調査するなど、国語施策の観点から引き続き動向を注視していく。 〇常用漢字表の次の改定が行われる際には、国会の委員会決議が取り上げられている観点も参考にしつつ、選定基準の見直しが必要であるかどうか、改めて検討する。 〇「障害」の標記に関しては当事者を中心とした議論の行方を見守りつつ、国語施策の観点からも用語全般に関する課題を広く解決していくための考え方を整理することができないか検討する。 「「障害」の表記に関する国語分科会の考え方」の概要(案) 常用漢字表は,日本語を用いた書き言葉による民主的で円滑なコミュニケーションを実現することを目的としている。社会における漢字使用の実態を反映し,主に出現頻度と造語力(熟語を構成する能力)が高い漢字が採用されてきた。 検討の過程にある課題について周知又は問題提起するために漢字を追加することは,常用漢字表の趣旨と合っていない。 「「害」の字を,人に対して用いることが不適切であるという考え方」があり,この表記を受け入れ難いと感じている人たちがいることを,国語分科会として重く受け止める。 一方で,「しょうがい」の表記については当事者・関係者の間にも多様な意見があること,また,仏教語に由来する「障碍(しょうげ)」の意味についての指摘にも留意する必要がある。